JP3672128B2 - 熱交換器の定置洗浄方法、熱交換器の洗浄効率増強装置及び洗浄効率の増強が可能な熱交換器 - Google Patents

熱交換器の定置洗浄方法、熱交換器の洗浄効率増強装置及び洗浄効率の増強が可能な熱交換器 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、流路に配設された熱交換器を定置洗浄する方法、及び熱交換器の洗浄効率を増強する装置に関する。
更に詳しくは、本発明は、流路に配設された熱交換器を定置洗浄する方法であって洗浄効率が極めて高い定置洗浄方法、及び熱交換器の定置洗浄の際の洗浄性を増加させる装置に関する。
本発明は、清潔さが要求される熱交換器、特に、流動性のある食品、医薬品等を連続的に処理する熱交換器に好適に利用できる。
【0002】
【従来の技術】
流動性のある食品、医薬品等を取り扱う産業界、例えば食品産業においては、食品を連続的に管路に流し、加熱、殺菌、調理、冷却等の熱交換処理をすることが、しばしば行われる。実際に、液状(牛乳、ジュ−ス等)、粘液状(高濃度糖液等)、スラリ−状(ス−プ等)、固液混相状(シチュ−等)等の流動性のある食品又は医薬品(以下、これらをまとめて食品と記載する。)においては、製造工程には食品の搬送ル−トとしての管路が設けられ、この管路に食品を流す搬送手段としてポンプが設けられる。そして、加熱、冷却、殺菌等の各処理を行う熱交換器が同様に管路に配設され、管路を流れる食品を連続的に熱交換処理する。
食品の処理工程が終了した後は、食品が通過した管路及び各熱交換器は速やかに洗浄する必要がある。食品産業においては、昔は、管路を構成する配管、及び各熱交換器は作業員が分解して手で洗浄していたが、現在は、管路及び各熱交換器を分解せずにそのままの状態で洗浄液を通液し、洗浄する定置洗浄法が採用されている。
【0003】
定置洗浄法においては、洗浄液として、水、温湯、水酸化ナトリウム等のアルカリ洗剤、硝酸等の酸性洗剤、中性洗剤等が用いられ、これら洗剤の溶液を交互に、かつ高速で管路に通液して洗浄する。即ち、洗浄液を高速で通液することにより流路を高レイノルズ数の乱流状態となし、管路及び管路に配設された各熱交換器の内壁に付着した汚れを化学反応させながら剥離させるのである。従って、定置洗浄法においては大流量で洗浄液を通液することが必要なのである。
また、食品を処理する一連の管路においては、処理条件を一定に保持するために食品を一定の流量で通液する必要があり、このために定量ポンプ、流量コントロ−ル可能なポンプシステム等(以下、これらを一括して定量ポンプと記載する。)が管路に配設されており、定置洗浄の際にもこれらを利用して所定流量の洗浄液を通液することが行われる。
【0004】
ところが、一般に熱交換器は、種々の機器の中でも最も汚れの激しい機器とされており、熱交換器を定置洗浄する場合の洗浄液の流量は、定量ポンプの能力以上の流量、おおむね1.5倍以上の流量が求められることが多い。従って、従来は、熱交換器の定置洗浄に際しては、洗浄液の十分な流量を確保するために、定量ポンプに対して定置洗浄のための特別な装置を付加することが行われていた。
従来の定置洗浄方法の一例を、実際の装置を例示して説明する。図11は、従来の定置洗浄方法を行う牛乳用プレ−ト式殺菌機(プレ−ト式熱交換器により牛乳を加熱殺菌する殺菌装置)の模式図である。
【0005】
図11の牛乳用プレ−ト式殺菌機100において、未殺菌牛乳は矢印Mの方向から導入され、一旦バッファタンク101に貯留され、のち押込ポンプ102により第1熱交換部110に送液される。この第1熱交換部110において、未殺菌牛乳は殺菌後の牛乳と熱交換される。未殺菌牛乳は続いて第1加熱部120に送液されて温湯HW1により加熱される。次いで、保持タンク103に所定の時間貯留された後、押込ポンプ104により均質機(定量ポンプ)105に送液される。均質機105は、一定の流量で未殺菌牛乳を吐出して第2熱交換部130に送液し、ここで未殺菌牛乳は殺菌後牛乳と再度熱交換されて温度が上げられ、第2加熱部140において温湯HW2によって加熱され殺菌温度に到達する。次いで、殺菌後の牛乳は第2熱交換部130及び第1熱交換部110により未殺菌牛乳と熱交換されて温度を下げられ、第1冷却部150にて水Wにより、また第2冷却部160にてチルド水CWにより冷却される。前記の第1熱交換部110及び第2熱交換部130、第1加熱部120及び第2加熱部140、第1冷却部150、並びに第2冷却部160は、全てプレ−ト式熱交換器によって構成されている。
【0006】
以上の牛乳用プレ−ト式殺菌機100においては、殺菌処理が終了した後は、プレ−ト式熱交換器の各プレ−トの伝熱面に蛋白質、カルシウム等のスケ−ルが付着している場合が多く、定置洗浄を行う際には、プレ−トの伝熱面を十分に洗浄できる条件で行う必要がある。
図11の装置においては、均質機105が、殺菌機全体を定置洗浄するための装置170を別途備えている。即ち、均質機105の入口配管105a及び出口配管105bを短絡するバイパス配管171が設けられており、このバイパス配管171に2個のストップ弁173及び174が配設されている。また、バイパス配管171には洗浄液用押込ポンプ172が配設されている。通常の殺菌処理を行っている間は、ストップ弁173及び174は閉鎖しており、バイパス配管171への牛乳の流入を防止している。
【0007】
定置洗浄の際には、矢印C1の方向から洗浄液が流入し、押し込みポンプ102により第1熱交換部110、第1加熱部120、及び保持タンク103に送られ、保持タンク103の出口(図示せず)より排出される。これにより、押し込みポンプ102から保持タンク103までが洗浄される。
一方、保持タンク103より下流の管路については、矢印C2方向より洗浄液が流入し、押し込みポンプ104及び均質機105により、第2熱交換部130から第2冷却部160に至る管路に送液される。
この際にストップ弁173及び174を開き、同時に洗浄液用押込ポンプ172を稼働して、均質機105と共に、バイパス配管171を介しても洗浄液が流れる状態となし、結局、全体の洗浄液の流量を均質機105の吐出能力以上の流量とするのである。このようにして、プレ−トの伝熱面をより効果的に洗浄する工夫がなされていた。
【0008】
一方、図11に示した牛乳用プレ−ト式殺菌機100においては、各熱交換器は全てプレ−ト式熱交換器によって構成されている。プレ−ト式熱交換器は、伝熱面を有する複数枚のプレ−トを組み合わせて、伝熱面を隔てて被処理物及び熱媒体(又は温度の異なる2つの被処理物)を各々通液し、伝熱面を介して熱交換する装置であるが、分解及び組み立てが容易であるため、洗浄性に気をつかう食品産業、医薬品産業等においては標準的に用いられている。
プレ−ト式熱交換器は、種々のプレ−トを組み合わせて自由に設計することができるため、被処理物の熱特性、熱媒体の種類、温度条件、流量条件等に応じて、最適な熱交換器を容易に設計することができる。また、流路を広くとれるので、他の熱交換器よりも熱交換効率が良好であり、設置スペ−スが小さく済み、更に、一枚一枚のプレ−トが汎用品であることから、投資コストが安価で済むという利点がある。従って、一般には、熱交換器の導入を検討する際には、まず、プレ−ト式熱交換器を適用することを前提として検討する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記従来の定置洗浄方法においては、管路全体に一定の流量で洗浄液を流す方法であるため、管路に配設された熱交換器の中で最も汚れの激しいものを対象として洗浄液の流量を設定する必要があり、しかも管路全体を流すことができる範囲までの流量しか設定することはできなかった。従って、それほど汚れていない熱交換器についても必要以上の流量で洗浄液を流がすこととなり、無駄なエネルギ−を要すると共に、最も洗浄され難い熱交換器を十分洗浄できる時間に、洗浄時間を設定するため、全体の洗浄が長時間になっていた。
例えば、図11の殺菌機においては、複数のプレ−ト式熱交換器を備えているが、各熱交換器110〜160において各々汚れの程度は均一ではなく、温度条件、品種、処理量等の条件により個々の熱交換器の汚れの程度は均一ではない。しかしながら、前記従来の定置洗浄方法においては、洗浄液の流量は最も汚れが激しい熱交換器を洗浄できる流量に設定する必要があり、それほど汚れていない他の熱交換器についても必要以上の流量で洗浄液を流がす結果となっていた。そして、洗浄時間は、最も汚れの激しい熱交換器を洗浄できる時間に設定する必要があった。
【0010】
また、例えば、図11において、定量ポンプ(即ち均質機105)にバイパス配管171を設けて洗浄用押込ポンプ172を使用する場合は、洗浄用押込ポンプ172の機種の選定にあたっては、各熱交換器の圧力損失を克服するほどの高い揚程のものを選定する必要があった。即ち、一般に従来の定置洗浄方法においては、管路全体の圧力損失を克服するために大電力の大型ポンプを必要とし、投資額及びランニングコストが高価になる問題点があった。
【0011】
一方、従来のプレ−ト式熱交換器においては、設計する際に洗浄効率を考慮した設計を行う必要があった。例えば、図11に示した牛乳用プレ−ト式殺菌機100において、冷却部150を設計する際には、牛乳の流量、入口温度、目標温度、冷却水Wの温度、流量等により、必要とするプレ−トの枚数及び組み合わせを決定することができる。しかしながら、このような冷却用のプレ−ト式熱交換器においては、牛乳以外の高粘度食品を流す場合には、伝熱効率が低下するため、使用するプレ−トの枚数を多くする必要があった。ところが、プレ−トの枚数が増加した場合は、洗浄液を通液する際の圧力損失が大きくなり、定置洗浄の際に洗浄液流量が十分に確保できず、洗浄不良事故が発生する可能性があった。従って、このような場合には圧力損失を小さくするようプレ−トの設計を変更するしかなかった。また、プレ−トの設計変更が不可能な場合は、プレ−ト式熱交換器に替えて、高価で熱効率が悪い他の熱交換器を採用するしかなかった。
結局、従来のプレ−ト式熱交換器にあっては、設計に際して、洗浄条件を考慮した設計を行う必要があり、換言すれば、洗浄条件によって熱交換器の設計の範囲が制約を受けていた。そして、プレ−ト式熱交換器は、洗浄性の面で適用可能な範囲が狭い傾向にあった。
【0012】
このような例を、図12によって説明する。図12は、従来の冷菓ミックス用の殺菌機の模式図である。
図12の冷菓ミックス用の殺菌機200には、前記図11の牛乳用殺菌機100における第1加熱部120、保持タンク103、押込ポンプ104、及び第2熱交換部130に相当する機器は存在しない。殺菌機200において、冷菓ミックスが矢印Mの方向から導入され、一旦バッファタンク201に貯留された後、押込ポンプ202により順次、熱交換部210、均質機205、加熱部240、熱交換部210、第1冷却部250、及び第2冷却部260を通過する。その際の加熱及び冷却の態様は、前記図11の牛乳用プレ−ト式殺菌機100と同様であり、詳細な説明は省略する。また、冷菓ミックス用の殺菌機200には、前記図11の牛乳用プレ−ト式殺菌機100の洗浄用装置170と同様の洗浄用装置270が備えられている。
【0013】
以上の冷菓ミックス用の殺菌機200においては、熱交換部210及び加熱部240には、前記図11の牛乳用殺菌機100と同様にプレ−ト式熱交換器が使用されている。一般に、冷菓ミックスは牛乳に比べて高粘度の食品であるため、前記の各プレ−ト式熱交換器を構成するプレ−トの種類及び枚数は高粘度食品に対応した設計となっている。
【0014】
ところが、冷菓ミックス等の高粘度食品は、温度が低下するほど粘度が増加する性質があるため、図12の冷菓ミックス用の殺菌機200においては、第1冷却部250及び第2冷却部260については、多管式熱交換器が採用されている。この理由は、第1冷却部250及び第2冷却部260において冷菓ミックスを冷却すると粘度が増大し、その結果、伝熱面を介しての伝熱効率が低下するためである。即ち、仮にプレ−ト式熱交換器を採用したとすれば、伝熱効率の低下に応じてプレ−トの枚数を大幅に増加させる必要があり、その結果プレ−ト式熱交換器の流路断面積が大きくなって、定置洗浄の際の洗浄効率が悪化する。従って、冷菓ミックス等の高粘度食品を扱う殺菌機では、冷却部には、やむなく多管式熱交換器を採用していたのである。
このように、プレ−ト式熱交換器は、設計の自由度、伝熱効率、設置スペ−ス、価格等の点で極めて優れているにもかかわらず、適用できる範囲が限られていたのである。
【0015】
以上のように、従来の定置洗浄方法においては、各熱交換器が配設されている管路全体を同一流量で洗浄する方法であるため、個々の熱交換器の汚れの程度に応じて選択的に洗浄条件を設定することができず、無駄が多く、また洗浄時間が長い傾向にあった。また、大電力の大型ポンプを必要とするため設備投資額及びランニングコストが高価になる問題点があり、更に、特に熱交換器に適用する場合には、熱交換器の設計の際に洗浄条件による制約を受ける問題があった。
そして、従来のプレ−ト式熱交換器は、適用できる範囲が限られており、プレ−ト式熱交換器の特有の長所を発揮する場が制約されていた。なお、本発明は、プレート式熱交換器に特に好適に適用できるが、多管式等の他の方式の熱交換器にも適用できる。
【0016】
本発明の目的は、前記従来技術の問題点を解決し、個々の熱交換器の汚れの程度に応じて選択的に洗浄条件を設定でき、洗浄時間が短かく、大電力の大型ポンプを必要とせず設備投資額及びランニングコストが安価であり、洗浄条件による制約を受けずに熱交換器を設計することを可能にした新しい熱交換器の定置洗浄方法を提供することである。
また、本発明の他の目的は、流路に配設された熱交換器に使用できる前記の方法に基づく洗浄効率増強装置を提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
次に、前記課題を解決するために案出した本発明を説明するが、本発明の要素には、後述の実施例の要素との対応を容易にするため、実施例の要素の符号をカッコで囲んだものを付記する。なお、本発明を後述の実施例の符号と対応させて説明する理由は、本発明の理解を容易にするためであり、本発明の範囲を実施例に限定するためではない。
(第1発明)
前記課題を解決するための本発明の第1の発明は、熱交換用熱媒流路(10b、150b、160b、350b、360b)と前記熱交換用熱媒流路(10b、150b、160b、350b、360b)を流れる熱媒との間で熱交換を行う流体が流れる熱交換用流体流路(10a、150a、160a、350a、360a)とを有する熱交換器(10、10A、150,160,350,360)の定置洗浄方法において、前記熱交換器(10、10A、150,160,350,360)の熱交換用流体流路(10a、150a、160a、350a、360a)の入口側及び出口側の流路(11a,11b、181a,181b、381a,381b)を連通するバイパス路(15、181、381)を設け、洗浄時には前記熱交換用流体流路(10a、150a、160a、350a、360a)に洗浄液を流しながら、前記熱交換器(10、10A、150,160,350,360)を通過した前記洗浄液の一部を前記出口側の流路(11b,181b,381b)から前記バイパス路(15、181、381)を介して入口側の流路(11a,181a,381a)に戻し、前記熱交換器(10、10A、150,160,350,360)を通過する洗浄液の流量を増加させることを特徴とする熱交換器(10、10A、150,160,350,360)の定置洗浄方法である。
【0018】
(第2発明)
前記課題を解決するための本発明の第2の発明は、熱交換用熱媒流路(10b、150b、160b、350b、360b)と前記熱交換用熱媒流路(10b、150b、160b、350b、360b)を流れる熱媒との間で熱交換を行う流体が流れる熱交換用流体流路(10a、150a、160a、350a、360a)とを有する熱交換器(10、10A、150,160,350,360)の前記熱交換用流体流路(10a、150a、160a、350a、360a)に洗浄液を通液して前記熱交換器(10、10A、150,160,350,360)を定置洗浄する際の洗浄効率増強装置(10B,180,380)であって、前記熱交換器(10、10A、150,160,350,360)の熱交換用流体流路(10a、150a、160a、350a、360a)の入口側及び出口側の流路(11a,11b、181a,181b、381a,381b)を連通するバイパス路(15,181,381)、前記バイパス路(15,181,381)を導通状態又は遮断状態に切り替える切替手段(13、16,17,16′,17′、183〜186、383〜386)、及び前記バイパス路(15,181,381)に配設されて前記熱交換器(10、10A、150,160,350,360)の出口側から入口側に前記洗浄液を移送する流体移送手段(12,182,382)を備え、洗浄時には前記熱交換器(10、10A、150,160,350,360)を通過した洗浄液の一部を前記出口側から前記バイパス路(15,181,381)を通過させて前記入口側に移送することにより前記熱交換器(15,181,381)の熱交換用流体流路(10a、150a、160a、350a、360a)の洗浄効率を増強する洗浄効率増強装置(10B,180,380)である。
そしてこの洗浄効率増強装置(10B,180,380)は、前記切替手段(13、16,17,16′,17′、183〜186、383〜386)が、前記流体移送手段(12,182,382)の両側のバイパス路(15,181,381)に少なくとも2個づつ配置されたシ−ル弁であることを望ましい態様としてもいる。
【0021】
(第3発明)
前記課題を解決するための本発明の第3発明の洗浄効率増強装置(10B)は、熱交換用熱媒流路(10b)、この熱交換用熱媒流路(10b)を流れる熱媒との間で熱交換を行う流体が流れる熱交換用流体流路(10a)、この熱交換用流体流路(10a)に流入する流体の入口及び出口を有する熱交換ユニット(10A)に着脱可能に装着される循環用流体移送ユニット(10B)により構成され、且つ前記熱交換用流体流路(10a)の入口側から出口側に流れる洗浄液により前記熱交換ユニット(10A)の熱交換用流体流路(10a)を洗浄する際の洗浄効率を増強する洗浄効率増強装置(10B)である。また、この洗浄効率増強装置(10B)は、前記熱交換用流体流路(10a)の入口側に接続する流体流入側接続路(Ri)、前記熱交換用流体流路(10a)の出口側に接続する流体流出側接続路(Ro)、前記両接続路を連通するバイパス路(15)、前記バイパス路(15)に配設されて前記熱交換用流体流路(10a)の出口側から入口側に前記流体を移送する流体移送手段(12,182,382)、及び前記バイパス路(15)に配設されて前記バイパス路(15)を導通状態又は遮断状態に切り替える切替手段(13、16,17,16′,17′、183〜186、383〜386)を有し、洗浄時には前記熱交換ユニット(10A)を通過した洗浄液の一部を前記熱交換器ユニット(10A)の出口側から前記バイパス路(15)を通過させて前記入口側に移送することにより前記熱交換ユニット(10A)の熱交換用流体流路(10a)の洗浄効率を増強する循環用流体移送ユニット(10B)により構成されている。
【0022】
(第4発明)
前記課題を解決するための本発明の第4発明の洗浄効率増強装置(10B)は、熱交換用熱媒流路(10b)、この熱交換用熱媒流路(10b)を流れる熱媒との間で熱交換を行う流体が流れる熱交換用流体流路(10a)、及び前記熱交換用流体流路(10a)の入口側及び出口側の流路を連通するバイパス路(15)の両端部分(15a,15a)が形成された熱交換ユニット(10A)に着脱可能に装着される循環用流体移送ユニット(10B)により構成され、且つ前記熱交換用流体流路(10a)の入口側から出口側に流れる洗浄液により前記熱交換ユニット(10A)の熱交換用流体流路(10a)を洗浄する際の洗浄効率を増強する洗浄効率増強装置(10B)である。また、この洗浄効率増強装置(10B)は、前記熱交換用流体流路(10a)の入口側及び出口側の流路を連通するバイパス路(15)の前記両端部分(15a,15a)に接続するバイパス路中央部分(15b)及び前記バイパス路中央部分(15b)に配設されて前記熱交換用流体流路(10a)の出口側から入口側に前記流体を移送する流体移送手段(12,182,382)を有する循環用流体移送ユニット(10B)により構成されている。
この第4発明の洗浄効率増強装置(10B)は、前記バイパス路(15)を導通状態又は遮断状態に切り替える切替手段(13、16,17,16′,17′、183〜186、383〜386)を、バイパス路中央部分(15b)の前記流体移送手段(12,182,382)が配置された位置の片側または両側に設けることが可能である。また、前記バイパス路(15)を導通状態又は遮断状態に切り替える切替手段(13、16,17,16′,17′、183〜186、383〜386)が前記熱交換側ユニット側に設けられている場合は省略することが可能である。また、前記流体移送手段(12,182,382)としては、渦巻ポンプ(12)を使用することが好ましい。
【0023】
【作用】
(第1発明の作用)
前述の特徴を備えた本発明の第1の発明の熱交換器(10、10A、150,160,350,360)の定置洗浄方法では、前記熱交換器(10、10A、150,160,350,360)の入口側及び出口側の管路(11a,11b、181a,181b、381a,381b)を連通し、洗浄液の一部を出口側の管路(11b,181b,381b)から入口側の管路(11a,181a,381a)に戻す。したがって、熱交換器(10、10A、150,160,350,360)を通過する洗浄液の流量を増加させて洗浄することができる。
【0024】
(第2発明の作用)
前述の特徴を備えた本発明の第2の発明の洗浄効率増強装置(10B,180,380)では、熱交換器(10、10A、150,160,350,360)の入口側及び出口側の管路(11a,11b、181a,181b、381a,381b)を連通するバイパス配管(15,181,381)は、切替手段(13、16,17,16′,17′、183〜186、383〜386)により導通状態又は遮断状態に切り替えられる。前記導通状態では、前記パイパス配管に配設された流体移送手段(12,182,382)により、前記熱交換器(10、10A、150,160,350,360)の出口側から入口側にバイパス配管(15,181,381)を通って洗浄液を移送することができる。このため、第2の発明の洗浄効率増強装置(10B,180,380)は、前記熱交換器(10、10A、150,160,350,360)の出口側から入口側に通液する洗浄液を増加させることができるので、洗浄効率を増強させることができる。
【0027】
(第3発明の作用)
前述の特徴を備えた本発明の第3発明の洗浄効率増強装置(10B)を構成する循環用流体移送ユニット(10B)は、熱交換用熱媒流路(10b)、この熱交換用熱媒流路(10b)を流れる熱媒との間で熱交換を行う流体が流れる熱交換用流体流路(10a)、この熱交換用流体流路(10a)に流入する流体の入口、及び前記熱交換用流体流路(10a)に流入する流体の出口を有する熱交換ユニット(10A)に着脱可能に装着されて使用される。
前記循環用流体移送ユニット(10B)が前記熱交換ユニット(10A)に装着された状態では、循環用流体移送ユニット(10B)の流体流入側接続路(Ri)及び流体流出側接続路(Ro)は、前記熱交換ユニット(10A)の前記熱交換用流体流路(10a)の入口側及び出口側に接続される。前記両接続路を連通するバイパス路(15)に配設された流体移送手段(12,182,382)は、前記熱交換用流体流路(10a)の出口側の流体の一部を前記入口側に移送する。また、前記バイパス路(15)に配設された切替手段(13、16,17,16′,17′、183〜186、383〜386)は、前記バイパス路(15)を導通状態又は遮断状態に切り替える。
したがって、第3発明の洗浄効率増強装置(10B)は、熱交換ユニット(10A)の熱交換用流体流路(10a)を洗浄する際には、熱交換用流体流路(10a)を流れる洗浄液の量を増加させることができるので、熱交換ユニット(10A)の熱交換用流体流路(10a)の洗浄効率の増強が可能である。
【0028】
(第4発明の作用)
前述の特徴を備えた本発明の第4の発明の洗浄効率増強装置(10B)を構成する循環用流体移送ユニット(10B)は、熱交換用熱媒流路(10b)、この熱交換用熱媒流路(10b)を流れる熱媒との間で熱交換を行う流体が流れる熱交換用流体流路(10a)、及び前記熱交換用流体流路(10a)の入口側及び出口側の流路を連通するバイパス路(15)の両端部分(15a,15a)が形成された熱交換ユニット(10A)に着脱可能に装着されて使用される。
前記循環用流体移送ユニット(10B)が前記熱交換ユニット(10A)に装着された状態では、循環用流体移送ユニット(10B)のバイパス路中央部分(15b)及び熱交換ユニット(10A)のバイパス路両端部分(15a,15a)が接続される。前記バイパス路中央部分(15b)に配置された流体移送手段(12,182,382)は、前記熱交換用流体流路(10a)の出口側の流体の一部を前記入口側に移送する。
したがって、熱交換ユニット(10A)の熱交換用流体流路(10a)を洗浄する際には、熱交換用流体流路(10a)を流れる洗浄液の量を増加させることができるので、熱交換ユニット(10A)の熱交換用流体流路(10a)の洗浄効率の増強が可能である。
【0029】
【発明の実施の形態】
次に、本発明について詳述するが、本発明は、食品に限らず、一般的な流動性のある被処理物(以下、製品と記載する。)についても適用できる。
(第1発明の実施の形態の説明)
まず本発明の第1の発明である定置洗浄方法について説明する。
本発明の定置洗浄方法は、管路(11a,11b、181a,181b、381a,381b)に配設された熱交換器(10、10A、150,160,350,360)に製品を流して種々の処理を行う工程に使用できるものであり、従来の定置洗浄法に準じて使用することができる。熱交換器(10、10A、150,160,350,360)としては、プレ−ト式、チュ−ブラ式、二重管式、多管式、かきとり式等があり、製品を密閉状態で連続的に処理する熱交換器(10、10A、150,160,350,360)であれば全て本発明の対象となり得る。
【0030】
本発明の方法は、まず目的とするべき熱交換器(10、10A、150,160,350,360)の入口側の管路(11a,181a,381a)と出口側の管路(11b,181b,381b)とを連通する。ここで連通とは、少なくとも熱交換器(10、10A、150,160,350,360)を定置洗浄する際に、熱交換器(10、10A、150,160,350,360)の入口側の管路(11a,181a,381a)と出口側の管路(11b,181b,381b)とを洗浄液が導通する状態にすることである。
連通する手段としては、前記熱交換器(10、10A、150,160,350,360)が配設されている管路(11a,11b、181a,181b、381a,381b)において、熱交換器(10、10A、150,160,350,360)の上流側の管路(11a,181a,381a)と下流側の管路(11b,181b,381b)とを短絡することが望ましい。この場合、予め入口側の管路(11a,11b、181a,181b、381a,381b)から別なバイパス配管(15,181,381)を分岐させて、これを出口側の管路(11b,181b,381b)に連結すれば良い。また、定置洗浄の前に作業員が熱交換器(10、10A、150,160,350,360)の入口側及び出口側の管路(11a,11b、181a,181b、381a,381b)に高圧ホ−スをつないで短絡させる方法であっても良い。
【0031】
熱交換器(10、10A、150,160,350,360)を定置洗浄している間は洗浄液が管路(11a,11b、181a,181b、381a,381b)に流れているが、この場合、洗浄液は熱交換器(10、10A、150,160,350,360)の入口側の管路(11a,181a,381a)より熱交換器(10、10A、150,160,350,360)内部に流入し、出口側の管路(11b,181b,381b)を介して排出される。本発明の方法では、熱交換器(10、10A、150,160,350,360)の出口側の管路(11b,181b,381b)を流れる洗浄液の一部を、前記連通した箇所を介して、熱交換器(10、10A、150,160,350,360)の入口側の管路(11a,181a,381a)に戻す。このように洗浄液を戻すための流体移送手段(12,182,382)としては、ポンプを使用することが望ましい。例えば、前記バイパス配管(15,181,381)を使用する場合は、バイパス配管(15,181,381)にポンプを設置しておく。また、作業員が手でホ−スにより短絡する場合は、ホ−スを2本用意し、ポンプの入口及び出口に2本のホ−スを各々接続すれば良い。尚、ポンプは定量ポンプでも渦巻ポンプでも良いが、安全性が高く、振動が少なく、かつ安価な渦巻ポンプが望ましい。
このように、洗浄液の一部を熱交換器(10、10A、150,160,350,360)の入口側の管路(11a,181a,381a)に戻すことにより、熱交換器(10、10A、150,160,350,360)の内部を通過する洗浄液の流量が増加する。従って、通常の定置洗浄よりも洗浄効率が高まることになる。本発明の方法により定置洗浄を行えば、特に汚れの激しい熱交換器(10、10A、150,160,350,360)に対して、選択的に洗浄効率を高めることが可能であり、全体の洗浄時間を短縮することができる。
【0032】
また、本発明の方法においては、洗浄液を熱交換器(10、10A、150,160,350,360)の入口側管路(11a,181a,381a)に戻すためのエネルギ−を要するが、このエネルギ−は、当前記熱交換器(10、10A、150,160,350,360)の圧力損失を克服する程度のもので良い。従って、流体移送手段(12,182,382)としてポンプを使用する場合、必要とするポンプの流体移送能力は小さいもので良く、安価である。即ち、管路全体に洗浄液を流す従来の方法では、管路全体の圧力損失を克服するほどのエネルギ−を必要とするが、本発明の方法では当然前記熱交換器(10、10A、150,160,350,360)の圧力損失を克服するだけのエネルギ−だけでよく、ランニングコスト及び投資コストをも節減できるのである。
【0033】
更に、本発明の方法を適用した熱交換器(10、10A、150,160,350,360)は、熱交換器(10、10A、150,160,350,360)の設計に際して、洗浄性の限界を考慮する必要がなく、従来よりも自由に設計することができる。
尚、本発明の方法は、1台の熱交換器(10、10A、150,160,350,360)に適用しても良いが、直列又は並列に接続された複数台の熱交換器(10、10A、150,160,350,360)に同時に適用しても良く、また、熱交換器(10、10A、150,160,350,360)と別な周辺機器とが管路で連結されている場合には、当前記熱交換器(10、10A、150,160,350,360)と周辺機器とに同時に適用しても良い。
【0034】
また、本発明の方法を適用する管路(11a,11b、181a,181b、381a,381b)は、高圧の定量ポンプ等により洗浄液の流量が所定量に規定される管路(11a,11b、181a,181b、381a,381b)であることが望ましい。なぜならば、出口側の管路(11b,181b,381b)から入口側の管路(11a,181a,381a)に洗浄液の一部を戻す操作によって、管路全体の洗浄液の流量が影響を受けることは好ましくなく、従って、管路を流れる洗浄液の流量は、別途、高圧の定量ポンプ等により所定の流量に規定されていることが望ましい。
【0035】
(第3、第4発明の実施の形態の説明)
次に、本発明の第3、第4発明である洗浄効率増強装置(10B,180,380)について説明する。第3、第4発明の洗浄効率増強装置(10B,180,380)は、流路(11a,11b、181a,181b、381a,381b)に配設された熱交換器(10、10A、150,160,350,360)に付加的に備えられる装置である。
前記洗浄効率増強装置(10B,180,380)は、熱交換器(10、10A、150,160,350,360)の入口側及び出口側の流路(11a,11b、181a,181b、381a,381b)を連通するバイパス路(15,181,381)を備えている。バイパス路(15,181,381)は、熱交換器(10、10A、150,160,350,360)の入口側の流路(11a,181a,381a)及び出口側の流路(11b,181b,381b)を連通するものであればいかなるものでも良いが、熱交換器(10、10A、150,160,350,360)自体は1台である必要はなく、複数台であっても良い。具体的に例示すれば、2台の熱交換器(150,160,350,360)が流路(181a,181b、381a,381b)によって上流及び下流に直列に接続されている場合には、その上流の熱交換器(150,350)の入口側流路(181a,381a)と、下流の熱交換器(160,360)の出口側流路(181b,381b)とを連通する形でバイパス路(15,181,381)を設置することができる。この場合は、双方の熱交換器(150,160,350,360)の洗浄効率を増強することができる。
【0036】
また本発明の洗浄効率増強装置(10B,180,380)は、バイパス配管(15,181,381)を導通状態又は遮断状態に切り替える切替手段(13、16,17,16′,17′、183〜186、383〜386)を備えている。切替手段(13、16,17,16′,17′、183〜186、383〜386)を備える目的は、通常の製品を流している場合にバイパス配管(15,181,381)を遮蔽状態にし、定置洗浄を行っている間のみにバイパス配管(15,181,381)を導通状態にするためである。従って、切替手段(13、16,17,16′,17′、183〜186、383〜386)は、このような目的を達するものであればいかなるものでも良い。
一方、本発明のバイパス配管(15,181,381)に配置される流体移送手段(12,182,382)としては、渦巻ポンプ(12,182,382)を使用することが好ましい。渦巻ポンプ(12,182,382)は、吐出方向を熱交換器(10、10A、150,160,350,360)の入口側管路(11a,181a,381a)に向けた状態で接続される。即ち、渦巻ポンプ(12,182,382)の吸込口を熱交換器(10、10A、150,160,350,360)の出口側管路(11b,181b,381b)の方向に向け、渦巻ポンプ(12,182,382)の吐出口を熱交換器(10、10A、150,160,350,360)の入口側管路(11a,181a,381a)の方向に向けて配置するのである。
【0037】
以上の本発明における流体移送手段(12,182,382)として渦巻ポンプ(12,182,382)を使用した場合の作用を説明すると、まず、熱交換器(10、10A、150,160,350,360)に製品を流して通常の処理を行っている間は、切替手段(13、16,17,16′,17′、183〜186、383〜386)によってバイパス配管(15,181,381)は遮断状態とされており、製品は熱交換器(10、10A、150,160,350,360)にのみ流れる。熱交換器(10、10A、150,160,350,360)を定置洗浄する際には、切替手段(13、16,17,16′,17′、183〜186、383〜386)によってバイパス配管(15,181,381)を導通状態とし、洗浄液が熱交換器(10、10A、150,160,350,360)及びバイパス配管(15,181,381)の双方に流れるようにする。この状態で、前記渦巻ポンプ(12,182,382)を稼働させれば、熱交換器(10、10A、150,160,350,360)の出口側の管路(11b,181b,381b)から入口側の管路(11a,181a,381a)に一部の洗浄液が戻る。すると熱交換器(10、10A、150,160,350,360)を通過する洗浄液の流量が増加し、洗浄効率が向上する。即ち、熱交換器(10、10A、150,160,350,360)の洗浄効率を増強することができる。
【0038】
前記流体移送手段(12,182,382)として渦巻ポンプ(12,182,382)を使用した場合、渦巻ポンプ(12,182,382)の揚程は、熱交換器(10、10A、150,160,350,360)の圧力損失より高い揚程であることが必要である。即ち、熱交換器(10、10A、150,160,350,360)に洗浄液を流した場合において、熱交換器(10、10A、150,160,350,360)の入口側管路(11a,181a,381a)とバイパス配管(15,181,381)との分岐点から、出口側管路(11b,181b,381b)とバイパス配管(15,181,381)との分岐点までの、圧力損失よりも高い吐出圧力を必要とする。
また、本発明の洗浄効率増強装置(10B,180,380)は、通常の定置洗浄を行う熱交換器(10、10A、150,160,350,360)に対して付加的に備えるものであり、定置洗浄を行っているときの洗浄液の流量は別途定量ポンプにより規定されていることが望ましい。その場合でも、渦巻ポンプ(12,182,382)の吐出圧力が高すぎる場合は、管路内部の圧力バランスが変動し、管路全体の洗浄液の流量に影響を及ぼす可能性がある。従って、渦巻ポンプ(12,182,382)の吐出圧力は極端に高くないものが好ましい。結局、渦巻ポンプ(12,182,382)の性能は、大流量型でかつ吐出圧力が小さいものが望ましく、対象とする熱交換器(10、10A、150,160,350,360)の種類、性能等によって異なるが、渦巻ポンプ(12,182,382)の吐出圧力は、当前記熱交換器(10、10A、150,160,350,360)の圧力損失よりもおおむね0.3〜0.5kg/cm2 程度高いものが好ましい。また、渦巻ポンプ(12,182,382)は、洗浄液が直接接触するため、耐蝕性、耐薬品性に優れたものが望ましい。
【0045】
(実施例)
次に、図面により本発明の実施の形態の例(実施例)を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
図1は本発明の実施例1の熱交換器の洗浄効率増強装置の説明図である。
図1において、熱交換器として多重管式熱交換器10が、管路を構成する入口配管11a及び出口配管11bに配設されている。製品(熱交換用流体)は矢印Ma方向より入口配管11aに流入し、多重管式熱交換器10の内側管路10aを通り、出口配管11bを介して矢印Mb方向に排出される。多重管式熱交換器10の外側管路10bには矢印HWaより温湯(熱媒)が流入し、外側管路10bを通って矢印HWb方向に排出され、製品と熱交換される。
図1の装置においては、入口配管11a及び出口配管11bを短絡するバイパス配管15が設置され、バイパス配管15には渦巻ポンプ(流体移送手段)12及びストップ弁13が配設されている。多重管式熱交換器10に製品が流れている場合は、ストップ弁13は閉じており、バイパス配管15は遮断されている。
【0046】
(実施例1の作用)
多重管式熱交換器10を定置洗浄する場合には、矢印Maから洗浄液が流入し、多重管式熱交換器10の内部を通って矢印Mb方向へ流出するが、この際に、ストップ弁13を開け、渦巻ポンプ12を稼動させれば、洗浄液は、出口配管11bから入口配管11aに(即ち矢印Cの方向に)戻る。従って、多重管式熱交換器10を通る洗浄液の流量が増加し、多重管式熱交換器10の洗浄効率が増強される。
尚、この場合には、バイパス配管15に、渦巻ポンプ12の吐出圧力及び流量を調節するための調節弁を設けておくことが可能である。
【0047】
(実施例2)
図2は本発明の実施例2の熱交換器の洗浄効率増強装置の説明図である。
図2において、前記図1と共通する要素には、図1と同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
図2においては、図1のストップ弁13に換えて、流路切替弁16及び17により構成される切替手段(16+17)を備えている。流路切替弁16及び17は、通常状態では、入口配管11a及び出口配管11bを各々連通する状態で流路を開いており、バイパス配管15には製品が流れない流路になっている。
前記切替手段(16+17)の流路切替弁16及び17は、シール弁であり、渦巻ポンプ12の両側のバイパス配管15に2個づつ配置されている。シ−ル弁とは流路を遮断及び導通する弁であって、稼動部分がベロ−ズ等でシ−ルされており流路を通る流体が稼動部分に接触しない構造を有するものである。
【0048】
(実施例2の作用)
そして、多重管式熱交換器10を定置洗浄する際には、入口配管11a及び出口配管11bとバイパス配管15とが互いに連通する状態に流路を開く。従って、前記図1に示す実施例1と同様の作用効果が得られるのである。
【0049】
(実施例3)
図3は本発明の実施例3の熱交換器の洗浄効率増強装置の説明図である。
図3において、前記実施例2の図2と共通する要素には、図2と同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
図3において、本実施例3では、前記シ−ル弁により構成された切替弁16,17と前記渦巻ポンプ12との間のバイパス路15にシール弁により構成されたストップ弁16′及び17′が配置されている。この場合、熱交換器10の入口側の管路及び出口側の管路と渦巻ポンプ12とが、2個のシ−ル弁で二重に遮断されることになる。
【0050】
(実施例3の作用)
前述の構成を備えた実施例3では、管路が無菌状態の製品を流すものである場合でも、2個のシ−ル弁により渦巻ポンプが二重に遮断されているため渦巻ポンプ側から管路に細菌が入ることはなく、細菌的に安全である。即ち、仮に1個のシ−ル弁が破損したとしても、もう1個のシ−ル弁により管路が遮蔽されるためである。従って、管路が無菌状態の製品を流すものであっても、渦巻ポンプを選定する際には、特に無菌対策を施した機種を選ぶ必要がなく、通常の安価な機種を選定することができる。このような態様は、製品が殺菌後の食品又は医薬品である場合に、特に効果的である。
【0051】
(実施例4)
図4は本発明の実施例4の熱交換器の説明図である。
図4において、前記実施例3の図3の要素に対応する要素には、前記図3と同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
図4において、熱交換器10は、プレート式熱交換器を有する熱交換ユニット10A及び洗浄効率増強装置の機能を有する循環用流体移送ユニット10Bを結合して構成されている。
前記プレート式熱熱交換器を有する交換ユニット10Aは、熱交換用流体(製品)入口P1及び出口P2を有しており、前記入口P1及び出口P2は、熱交換ユニット10Aの同一の側面に設けられている。前記入口P1及び出口P2が設けられた熱交換ユニット10A側面は、循環用流体移送ユニット10Bが装着される面である。
【0052】
前記循環用流体移送ユニット10Bは、前記入口配管11a及び出口配管11bに接続する入口Q1及び出口Q2と、前記熱交換ユニット10Aの入口P1及び出口P2に接続する接続口Q3及びQ4とを有している。
そして、前記入口Q1及び接続口Q3間を接続する流体流入側接続路Ri及び前記出口Q2及び接続口Q4間を接続する流体流出側接続路Roは、バイパス路15により接続されている。前記バイパス路15と流体流入側接続路Ri及び流体流出側接続路Roとの接続部にはそれぞれ切替弁17及び16が配置されている。
切替弁17は、前記入口Q1及び接続口Q3を接続し且つバイパス路15及び流体流入側接続路Ri間を遮断する製品流通位置と、前記入口Q1及び接続口Q3を接続し且つバイパス路15及び流体流入側接続路Ri間も接続する洗浄液流通位置との間で切替え制御されるように構成されている。
切替弁16も前記切替弁17と同様に構成され、前記出口Q2及び接続口Q4を接続し且つバイパス路15及び流体流出側接続路Ro間を遮断する製品流通位置と、前記出口Q2及び接続口Q4を接続し且つバイパス路15及び流体流出側接続路Ro間も接続する洗浄液流通位置との間で切替え制御されるように構成されている。、
【0053】
(実施例4の作用)
本実施例4の熱交換器10は、着脱自在な熱交換ユニット10A及び循環用流体移送ユニット10Bにより構成されており、循環用流体移送ユニット10Bは洗浄効率増強装置としての機能を有している。この熱交換器10は、熱交換ユニット10Aに循環用流体移送ユニット10Bを装着することにより、洗浄効率増強装置の機能を持たせることができる。したがって、熱交換の機能のみを有する熱交換器に、洗浄効率増強装置を配管により接続する作業に比べて、現場での設置作業が極めて簡単である。
本実施例4の熱交換器10は、前記実施例3と同様に洗浄効率を増強することができる。また、本実施例4の熱交換ユニット10Aは、前記循環用流体移送ユニット10Bを省略して、洗浄効率増強装置としての機能を持たない熱交換器としても使用することができる。
【0054】
(実施例5)
図5は本発明の実施例5の熱交換器の説明図である。
図5において、前記実施例4の図4と共通する要素には、前記図4と同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
図5において、熱交換器10は、プレート式熱交換器を有する熱交換ユニット10A及び洗浄効率増強装置の機能を有する循環用流体移送ユニット10Bを結合して構成されている。
前記熱交換ユニット10Aは、入口P1及び前記内側配管10aを接続する接続路に切替弁17が設けられ、出口P2及び前記内側配管10aを接続する接続路に切替弁16が設けられている。また、循環用流体移送ユニット10Bが装着される側面に接続口P3,P4が設けられており、前記切替弁17及び接続口P3間と、前記切替弁16及び接続口P4間にはそれぞれバイパス路15の両端部15a,15aが形成されている。前記バイパス路15の両端部15a,15aにはストップ弁17′,16′が設けられている。
前記循環用流体移送ユニット10Bには、前記熱交換ユニット10Aの接続口P3,P4と接続する接続口Q3,Q4、及び前記接続口Q3及びQ4を接続するバイパス路中央部15bを有している。バイパス路中央部15bには渦巻ポンプ12が設けられている。
前記熱交換ユニット10Aのバイパス路両端部15a,15a及び循環用流体移送ユニット10Bのバイパス路中央部15bによりバイパス路15が形成されている。
【0055】
(実施例5の作用)
本実施例5の熱交換器10は、着脱自在な熱交換ユニット10A及び循環用流体移送ユニット10Bにより構成されており、循環用流体移送ユニット10Bは洗浄効率増強装置としての機能を有している。この熱交換器10は、熱交換ユニット10Aに循環用流体移送ユニット10Bを装着することにより、洗浄効率増強装置の機能を持たせることができる。したがって、熱交換の機能のみを有する熱交換器に、洗浄効率増強装置を配管により接続する作業に比べて、現場での設置作業が極めて簡単である。
また、本実施例5の熱交換ユニット10Aは、前記循環用流体移送ユニット10Bを省略して、洗浄効率増強装置としての機能を持たない熱交換器としても使用することができる。
また、本実施例4の熱交換器10は、前記実施例3と同様に洗浄効率を増強することができる。
【0056】
(実施例6)
図6は本発明の実施例6の熱交換器の説明図である。
図6において、前記実施例5の図5と共通する要素には、前記図5と同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
図6において、ストップ弁16′,17′は、循環用流体移送ユニット10B側のバイパス路中央部15bの前記渦巻ポンプ12の両側に設けられている。
この実施例6も前記実施例5と同様の作用を奏する。
【0057】
(実施例7)
図7は本発明の実施例7の熱交換器の説明図である。
図7において、前記実施例6の図6と共通する要素には、前記図6と同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
図7において、切替弁16,17の代わりに、バイパス路両端部15a,15aにストップ弁16′,17′が設けられている。
この実施例7も前記実施例6と同様の作用を奏する。
【0058】
(実施例8)
図8は本発明の実施例8の熱交換器の説明図である。
図7において、前記実施例7の図7と共通する要素には、前記図7と同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
図8に示す実施例8は、前記実施例7の図7のバイパス路両端部15a,15aに設けられたストップ弁16′,17′が省略され、バイパス路中央部15bには、前記渦巻ポンプ12の両側にそれぞれ2個のストップ弁16′,17′が設けられている。
この実施例8も前記実施例7と同様の作用を奏する。
【0059】
(実施例9)
図9は本発明の熱交換器の洗浄効率増強装置の実施例9を備えた、牛乳用プレ−ト式殺菌機100の説明図である。図9において、前記図11と共通する要素には、前記図11と同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0060】
図9において、牛乳用プレ−ト式殺菌機100の主要な機器の仕様は次のとおりである。
バッファタンク101 400リットル
押込ポンプ102 揚程50m
第1熱交換部110 伝熱面積20m2
第1加熱部120 伝熱面積10m2
保持タンク103 1500リットル
押込ポンプ104 揚程10m
均質機105 最大流量8000l/h
第2熱交換部130 伝熱面積10m2
第2加熱部140 伝熱面積6.5m2
第1冷却部150 伝熱面積24m2
第2冷却部160 伝熱面積24m2
【0061】
図9において、牛乳用プレ−ト式殺菌機100においては、第1冷却部150及び第2冷却部160に、本発明の洗浄効率増強装置180が備えられている。
本発明の洗浄効率増強装置180は、バイパス配管181(内径2インチ)を有しており、第1冷却部150の入口側の管路181a、及び第2冷却部160の出口側の管路181bを短絡する。バイパス配管181には、シ−ル弁183、184、185、及び186(2インチ用)が配設され、流体移送手段としての渦巻ポンプ182(揚程55m)も同様に配設される。
【0062】
(実施例9の作用)
洗浄効率増強装置180の作用を説明する。定置洗浄が始まれば、保持タンク103の下流を洗浄する洗浄液は矢印C2方向より流入する。洗浄液は均質機105によって一定流量となり下流の管路全体に送液される。
第1冷却部150及び第2冷却部160についてみれば、シ−ル弁183、184、185、及び186が開き、バイパス配管181が導通状態となる。従って、第1冷却部150の入口側の管路181a、及び第2冷却部160の出口側の管路181bが、互いに連通する。この状態で渦巻ポンプ182を稼動させると、洗浄液の一部が、第2冷却部160の出口側の管路181bより、第1冷却部150の入口側の管路181aに戻る。かくして、第1冷却部150及び第2冷却部160を通過する洗浄液の流量が増大し、第1冷却部150及び第2冷却部160の洗浄効率が増強されることになる。
【0063】
尚、牛乳用プレ−ト式殺菌機100が牛乳を殺菌している間は、バイパス配管181において、第1冷却部150の入口側の管路181a、及び第2冷却部160の出口側の管路181bは、各々2個づつのシ−ル弁183及び184、並びに185及び186によって、渦巻ポンプ182と隔てられている。従って、管路を流れる無菌状態の牛乳と渦巻ポンプとは、2個のシ−ル弁で隔てられているため、細菌的に極めて安全である。本発明の装置は、このように無菌製品が流れる管路に配設された熱交換器についても有効に利用することができる。
【0064】
(実施例10)
次に、前記図9により本発明の実施例10の定置洗浄方法を説明する。この実施例10は、前記図9に示す実施例9の装置を使用した定置洗浄方法の一例であり、図9に基づいて説明する。
まず、予備的に牛乳用プレ−ト式殺菌機100を次の条件で作動させ、牛乳の殺菌を行った。
乳固形分8.2%、乳脂肪3.2%、温度4℃の牛乳を、牛乳用プレ−ト式殺菌機100に通液し、第1熱交換部110及び第1加熱部120で加熱し、第1加熱部120出口温度を85℃に調節し、同温度で保持タンク103において5分間の保持した。均質機105を流量8000l/hで稼動し、均質圧力を、第1段を60kg/cm2 、第2段を20kg/cm2 に設定し、第2加熱部140の出口温度を135℃に設定し、第2熱交換部130に至るまでの時間は2秒であり、これを殺菌条件とした。次いで、第2熱交換部130及び第1熱交換部110を介して30℃に冷却し、更に第1冷却部150で温度15〜25℃の水、及び第2冷却部160で温度3℃のチルド水でそれぞれ冷却し、第2冷却部160の出口で5℃に設定した。以上の条件で、3時間装置を運転し、24トンの殺菌牛乳を得た。
【0065】
次に、以下の条件により牛乳用プレ−ト式殺菌機100の定置洗浄を行った。尚、バッファタンク101から保持タンク103までの管路の洗浄については説明を省略する。
矢印C2方向より80℃の温湯を通液し、均質機105により流量8000l/hに調節して下流の管路に通液した。均質圧力は0とした。第2加熱部140で加熱操作を行い、第2加熱部140出口で110℃、第1冷却部150の入口で100℃、第2冷却部160の出口で90℃に各々維持した。
このとき、シ−ル弁183、184、185、及び186を開け、渦巻ポンプ182を稼動し、超音波式流量計(ポリソニック社製、MST−P)により配管の外側から、第1冷却部150及び第2冷却部160を通過する温湯の流量を測定した結果、12000l/hであり、流量が増加していることが確認された。
【0066】
以上の条件により、温湯で30分、次いて2%の水酸化ナトリウム溶液で30分、再度温湯で30分、1%の硝酸溶液で30分、温湯で30分、順次定置洗浄を実施した。
定置洗浄の終了後に、第1冷却部150及び第2冷却部160のプレ−ト式熱交換器を分解して洗浄状態を点検した結果、いずれのプレ−トも伝熱面は完全に洗浄されており、スケール等の付着は認められず、本発明の方法により定置洗浄を行えば、洗浄効率が極めて高いことが確認された。
【0067】
(比較例1)
次に、前記図9により説明した前記実施例10と同一の牛乳用プレ−ト式殺菌機100を用いた比較例を説明する。
まず、予備的に前記実施例10と同一の条件で牛乳の殺菌処理を行い、以下の条件により牛乳用プレ−ト式殺菌機100の定置洗浄を行った。尚、バッファタンク101から保持タンク103までの管路の洗浄については説明を省略する。
比較例1においては、定置洗浄を、前記実施例10と同一の温度条件、洗浄液濃度、洗浄時間で行ったが、定置洗浄の開始時点から終了まで、シ−ル弁183、184、185、及び186を閉鎖し、渦巻ポンプ182を停止した状態とした。この比較例1の場合、前記第1冷却部150、第2冷却部160のプレート式熱交換器に流れる洗浄液の流量は、前記均質機105の流量8000l/hである。
定置洗浄終了後に、第1冷却部150及び第2冷却部160のプレ−ト式熱交換器を分解し、洗浄状態を点検した結果、第1冷却部150で0枚、第2冷却部160で30枚のプレ−トについて、伝熱面に洗浄不良が発見された。従って、この結果から、本発明の方法を実施しない場合は洗浄効率が低下することが確認された。
【0068】
(比較例2)
次に、従来の定置洗浄の設備を備えた、前記図11の牛乳用プレ−ト式殺菌機100による比較例について説明する。この比較例2の内容は図11に基づいて説明する。
まず、予備的に前記実施例10及び比較例1と同一の条件で牛乳の殺菌処理を行い、以下の条件により牛乳用プレ−ト式殺菌機100の定置洗浄を行った。尚、バッファタンク101から保持タンク103までの管路の洗浄については説明を省略する。
前記実施例10及び比較例1と同一の温度条件、洗浄液濃度条件、及び時間で定置洗浄を行ったが、その際に、ストップ弁173及び174を開け、バイパス配管171を導通状態として渦巻ポンプ172を稼動して行った。即ち、均質機105の下流における洗浄液の流量を、前記比較例1よりも多い12000l/hにして定置洗浄を行った。
定置洗浄終了後、第1冷却部150及び第2冷却部160のプレ−ト式熱交換器を分解し、洗浄状態を点検した結果、いずれのプレ−トも伝熱面は完全に洗浄されており、スケール等の付着は認められなかった。
【0069】
以上の実施例10、比較例1、及び比較例2の結果を検討すると、第1冷却部150及び第2冷却部160の洗浄効率については、比較例2に記載した従来の定置洗浄方法では十分な洗浄効率が得られるが、比較例2よりも洗浄液の流量が小さい比較例1では十分な洗浄効率は得られなかった。しかしながら、比較例1の洗浄条件で本発明の実施例10の定置洗浄法を適用すれば、比較例2と同等の洗浄効率を得ることができた。更に、比較例2における渦巻ポンプ172(図11参照)と実施例10における渦巻ポンプ182(図9参照)を対比すれば、後者のポンプは前者よりも小型、かつ低出力のもので十分であり、設備投資額及びランニングコストの面で有利である。
【0070】
以上の結果から、本発明の定置洗浄方法は、従来の定置洗浄方法(比較例2)よりも少ない洗浄液の流量で同等の洗浄効率を得ることができ、また設備投資額及びランニングコストの面で有利であることが確認された。
尚、前記実施例10並びに比較例1及び比較例2については、殺菌条件、洗浄条件を種々変更して同様に実施したが、いずれもほぼ同様の結果が得られた。
【0071】
(実施例11)
次に、前記図12の従来の冷菓ミックス用の殺菌機200に、本発明の実施例11の洗浄効率増強装置を適用した実施例を説明する。図10は、本発明の実施例11の洗浄効率増強装置を適用した冷菓ミックス用殺菌機の模式図である。図10の冷菓ミックス用殺菌機では、前記図12の冷菓ミックス用殺菌機200の第1冷却部250及び第2冷却部260に使用されている多管式熱交換器に替えて、プレ−ト式熱交換器を使用している。図10において、前記図12と共通の要素には前記図12と同一の符号を付して、詳細な説明は省略する。
【0072】
図10において、冷菓ミックス用殺菌機200の主要な機器の仕様は次のとおりである。
バッファタンク201 600リットル
押込ポンプ202 揚程70m
熱交換部210 伝熱面積12m2
均質機205 最大流量6000l/h
加熱部240 伝熱面積17m2
第1冷却部350 プレ−ト式熱交換器 伝熱面積29m2
第2冷却部360 プレ−ト式熱交換器 伝熱面積12m2
【0073】
図10の冷菓ミックス用殺菌機200の第1冷却部350及び第2冷却部360には、本発明の洗浄効率増強装置380が備えられている。洗浄効率増強装置380は、バイパス配管381(内径2インチ)を有しており、第1冷却部350の入口側の管路381a、及び第2冷却部360の出口側の管路381bを短絡する。バイパス配管381には、シ−ル弁383、384、385、及び386(2インチ用)が配設され、流体移送手段としての渦巻ポンプ382(揚程10m)も同様に配設される。
前記図10で説明した実施例11は、定置洗浄時において、前記実施例9及び実施例10と同様の作用を奏する。
【0074】
(実施例12)
本発明の実施例12の定置洗浄方法は、前記図10で説明した実施例11の装置を使用した定置洗浄方法である。この実施例12を前記図10に基づいて説明する。
まず、予備的に冷菓ミックス用殺菌機200を次の条件で作動させ、冷菓ミックスの殺菌を行った。
乳脂肪8%、温度65℃の冷菓ミックスを、冷菓ミックス用殺菌機200に通液し、熱交換部210で加熱し、均質機205を流量6000l/hで稼動し、均質圧力を、第1段を140kg/cm2 、第2段を30kg/cm2 に設定し、加熱部240の出口温度を85℃に設定し、熱交換部210に至るまでの時間は15秒であり、これを殺菌条件とした。次いで、熱交換部210を介して75℃に冷却し、更に第1冷却部350で温度30℃の水、及び第2冷却部360で温度5℃のチルド水でそれぞれ冷却し、第2冷却部360の出口温度を10℃に設定した。以上の条件で、3時間装置を運転し、18トンの殺菌冷菓ミックスを得た。
【0075】
次に、以下の条件により冷菓ミックス用殺菌機200の定置洗浄を行った。尚、バッファタンク201周辺の管路の洗浄については説明を省略する。
矢印C1方向より温湯を通液し、均質機205により流量6000l/hに調節して下流の管路に通液した。均質圧力は0とした。加熱部240で加熱操作を行い、加熱部240出口で93℃、第1冷却部350の入口で88℃、第2冷却部360の出口で85℃に各々維持した。この際、シ−ル弁383、384、385、及び386を開け、渦巻ポンプ382を稼動し、超音波式流量計により配管の外側から、第1冷却部350及び第2冷却部360を通過する温湯の流量を測定した結果、10000l/hであり、流量が増加していることが確認された。
【0076】
以上の条件により、温湯で30分、次いて2%の水酸化ナトリウム溶液で30分、再度温湯で30分、1%の硝酸溶液で30分、温湯で30分、順次定置洗浄を実施した。
定置洗浄の終了後に、第1冷却部350及び第2冷却部360のプレ−ト式熱交換器を分解して洗浄状態を点検した結果、いずれのプレ−トも伝熱面は完全に洗浄されており、スケール等の付着は認められなかった。
以上の結果から、本発明のプレ−ト式熱交換器が、従来使用できなかった場所にも使用できることが判明し、従来よりも適用範囲が広いことが実証された。
尚、図10の第1冷却部350及び第2冷却部360は、前記図12の第1冷却部250及び第2冷却部260に比して、設置面積は約4割少なく、価格は約3割であった。従って、従来の熱交換器に替えて本発明のプレ−ト式熱交換器を採用すれば、設置スペ−ス、投資額の面で有利となることは明らかである。
【0077】
【発明の効果】
以上詳記したとおり、本発明は、熱交換器の入口側及び出口側の管路を連通し、洗浄液の一部を出口側の管路から入口側の管路に戻し、熱交換器を通過する洗浄液の流量を増加させて洗浄する方法、及びその方法を実施する装置、並びにその装置を備えたプレ−ト式熱交換器に係るものであり、本発明により奏せられる効果は次のとおりである。
(1)本発明の方法又は装置によれば、個々の熱交換器の汚染程度に応じて選択的に洗浄条件を設定することが可能であり、無駄が少なく洗浄時間を短縮することができる。
(2)本発明の方法又は装置によれば、大電力の大型ポンプが不要であり、設備投資額及びランニングコストが安価である。
(3)本発明のプレ−ト式熱交換器は、洗浄性が良好であると共に、設計の際に洗浄条件による制約を受けず、従来よりも設計及び設置場所の自由度が大きくなる。また、設置スペ−ス及び設備投資額の面で有利なプレ−ト式熱交換器の利点をより広範な場所で発揮することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例1の定置洗浄装置の説明図である。
【図2】 本発明の実施例2の定置洗浄装置の説明図である。
【図3】 本発明の実施例3の熱交換器の説明図である。
【図4】 本発明の実施例4の熱交換器の説明図である。
【図5】 本発明の実施例5の熱交換器の説明図である。
【図6】 本発明の実施例6の熱交換器の説明図である。
【図7】 本発明の実施例7の熱交換器の説明図である。
【図8】 本発明の実施例8の熱交換器の説明図である。
【図9】 本発明の実施例9の洗浄効率増強装置を備えた牛乳用プレ−ト式殺菌機の説明図である。
【図10】 図10は、本発明の実施例11の洗浄効率増強装置を適用した冷菓ミックス用殺菌機の模式図である。
【図11】 従来の定置洗浄方法を行う牛乳用プレ−ト式殺菌機の模式図である。
【図12】 従来の冷菓ミックス用の殺菌機の模式図である。
【符号の説明】
Ri…流体流入側接続路、
Ro…流体流出側接続路、
10,10A…熱交換器、
10B,180,380…洗浄効率増強装置、
10a…熱交換用流体流路、
10b…熱交換用熱媒流路、
11a,181a,381a…管路(入口側管路)、
11b,181b、381b…管路(出口側管路)、
12…流体移送手段(渦巻ポンプ)、
13…切替手段(ストップ弁)、
15,181,381…バイパス配管、
15a…バイパス路両端部分、
15b…バイパス路中央部分、
16,17…切替手段(切替弁)、
16′,17′、183〜186、383〜386…切替手段(ストップ弁)、
100…牛乳用プレ−ト式殺菌機、
105…均質機、
110…第1熱交換部、
120…第1加熱部、
130…第2熱交換部、
140…第2加熱部、
150…熱交換器(第1冷却部)、
150a…熱交換用流体流路、
150b…熱交換用熱媒流路、
160…熱交換器(第2冷却部)、
160a…熱交換用流体流路、
160b…熱交換用熱媒流路、
182,382…流体移送手段、
170…殺菌機全体を定置洗浄するための従来の洗浄用装置、
180…本発明の洗浄効率増強装置、
200…冷菓ミックス用殺菌機、
205…均質機、
210…熱交換部、
240…加熱部、
250…第1冷却部(多重管式熱交換器)、
260…第2冷却部(多重管式熱交換器)、
270…殺菌機全体を定置洗浄するための従来の洗浄用装置、
350…熱交換器(第1冷却部)、
350a…熱交換用流体流路、
350b…熱交換用熱媒流路、
360…熱交換器(第2冷却部)、
360a…熱交換用流体流路、
360b…熱交換用熱媒流路、
380…本発明の洗浄効率増強装置、

Claims (7)

  1. 熱交換用熱媒流路と前記熱交換用熱媒流路を流れる熱媒との間で熱交換を行う流体が流れる熱交換用流体流路とを有する熱交換器の定置洗浄方法において、前記熱交換器の熱交換用流体流路の入口側及び出口側の流路を連通するバイパス路を設け、洗浄時には前記熱交換用流体流路に洗浄液を流しながら、前記熱交換器を通過した洗浄液の一部を前記出口側の流路から前記バイパス路を介して入口側の流路に戻し、前記熱交換器を通過する洗浄液の流量を増加させることを特徴とする熱交換器の定置洗浄方法。
  2. 熱交換用熱媒流路と前記熱交換用熱媒流路を流れる熱媒との間で熱交換を行う流体が流れる熱交換用流体流路とを有する熱交換器の前記熱交換用流体流路に洗浄液を通液して前記熱交換器を定置洗浄する際の洗浄効率増強装置であって、前記熱交換器の熱交換用流体流路の入口側及び出口側の流路を連通するバイパス路、前記バイパス路を導通状態又は遮断状態に切り替える切替手段、及び前記バイパス路に配設されて前記熱交換器の出口側から入口側に前記洗浄液を移送する流体移送手段を備え、洗浄時には前記熱交換器を通過した洗浄液の一部を前記熱交換器の出口側から前記バイパス路を通過させて前記入口側に移送することにより前記熱交換器の熱交換用流体流路の洗浄効率を増強する前記洗浄効率増強装置。
  3. 前記切替手段が、前記流体移送手段の両側のバイパス路に少なくとも2個づつ配置されたシ−ル弁である請求項2に記載の洗浄効率増強装置。
  4. 熱交換用熱媒流路、この熱交換用熱媒流路を流れる熱媒との間で熱交換を行う流体が流れる熱交換用流体流路、この熱交換用流体流路に流入する流体の入口及び出口を有する熱交換ユニットに着脱可能に装着される循環用流体移送ユニットにより構成され、且つ前記熱交換用流体流路の入口側から出口側に流れる洗浄液により前記熱交換ユニットの熱交換用流体流路を洗浄する際の洗浄効率を増強する洗浄効率増強装置であって、前記熱交換用流体流路の入口側に接続する流体流入側接続路、前記熱交換用流体流路の出口側に接続する流体流出側接続路、前記両接続路を連通するバイパス路、前記バイパス路に配設されて前記熱交換用流体流路の出口側から入口側に前記流体を移送する流体移送手段、及び前記バイパス路に配設されて前記バイパス路を導通状態又は遮断状態に切り替える切替手段を有し、洗浄時には前記熱交換ユニットを通過した洗浄液の一部を前記熱交換ユニットの出口側から前記バイパス路を通過させて前記入口側に移送することにより前記熱交換ユニットの熱交換用流体流路の洗浄効率を増強する循環用流体移送ユニットにより構成された前記洗浄効率増強装置。
  5. 熱交換用熱媒流路、この熱交換用熱媒流路を流れる熱媒との間で熱交換を行う流体が流れる熱交換用流体流路、及び前記熱交換用流体流路の入口側及び出口側の流路を連通するバイパス路の両端部分が形成された熱交換ユニットに着脱可能に装着される循環用流体移送ユニットにより構成され、且つ前記熱交換用流体流路の入口側から出口側に流れる洗浄液により前記熱交換ユニットの熱交換用流体流路を洗浄する際の洗浄効率を増強する洗浄効率増強装置であって、前記熱交換用流体流路の入口側及び出口側の流路を連通するバイパス路の前記両端部分に接続するバイパス路中央部分及び前記バイパス路中央部分に配設されて前記熱交換用流体流路の出口側から入口側に前記流体を移送する流体移送手段を有し、洗浄時には前記熱交換ユニットを通過した洗浄液の一部を前記熱交換ユニットの出口側から前記バイパス路を通過させて前記入口側に移送することにより前記熱交換ユニットの熱交換用流体流路の洗浄効率を増強する循環用流体移送ユニットにより構成された洗浄効率増強装置。
  6. 前記バイパス路を導通状態又は遮断状態に切り替える切替手段が前記バイパス路中央部分の前記流体移送手段が配置された位置の片側または両側に設けられた請求項5記載の洗浄効率増強装置。
  7. 前記流体移送手段が渦巻ポンプであることを特徴とする請求項4ないし6記載の洗浄効率増強装置。
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