JP3672392B2 - 半導体封止用エポキシ樹脂組成物 - Google Patents

半導体封止用エポキシ樹脂組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、常温保存性及び成形性に優れ、かつ高品質の成形品を与えるエポキシ樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ダイオード、トランジスター、集積回路等の電子部品は、主にエポキシ樹脂組成物で封止しているが、特に集積回路では、耐熱性、耐湿性に優れたビフェニル型エポキシ樹脂を種々のフェノール樹脂硬化剤で硬化させ、充填材として溶融シリカ、結晶シリカ等の無機充填材を配合した半導体封止用エポキシ樹脂組成物(以下、樹脂組成物という)が用いられている。この樹脂組成物に用いられているビフェニル型エポキシ樹脂は、平面構造を有する分子を主鎖に有し、比較的低分子量である。又、常温では結晶性の固体であるが、いったん溶融すると極めて低粘度の液体になる特性を有している。しかし、樹脂の低分子量化により分子が動き易くなって反応の初期段階では架橋反応が速やかに始まり、従って、樹脂混練時に架橋反応が一部進み、所定の流動性が得られない。又、樹脂混練後は結晶性が失われ、常温でも反応が起こり易く成形時の流動性の低下、即ち保存性に問題がある。
【0003】
又、ビフェニル型エポキシ樹脂と種々のフェノール樹脂硬化剤の硬化促進剤としては、例えば、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、ベンジルジメチルアミン、トリフェニルホスフィン、2−メチルイミダゾール、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート等が挙げられるが、これらの硬化促進剤を用いた樹脂組成物は、常温における保存性が悪い欠点がある。
例えば、特公昭51−24399号公報には、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレートが常温保存性及び硬化性改善に有効であることが記載されている。しかし、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレートは、カチオン性のテトラフェニルホスホニウム基とアニオン性のテトラフェニルボレート基のイオン結合が強力で、融点は300℃以上となり、樹脂組成物に作成時に混練しても充分に均一分散することできないため、触媒活性が低くなり成形時に良好な硬化反応性を発現することができない。この欠点を解消するため、特開昭55−153358号公報では、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレートを原料の一部に予め溶融混合した後に、樹脂組成物の作成時に混練する手法が提案されている。
【0004】
しかし、この方法では、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレートが溶融混合の際に、既にイオン結合が外れた構造となるため、常温での反応性を抑えることができず、保存性が低下する。
アニオン部とカチオン部のイオン結合がある程度の強さであり、潜伏性触媒として好ましい挙動を示し、原料の一部との溶融混合が不要で樹脂組成物にドライブレンドが可能な触媒として、特公平5−76490号公報には、潜伏性触媒としてテトラ置換ホスホニウム・テトラ置換ボレートが提案されている。このテトラ置換ホスホニウム・テトラ置換ボレートのボロン側の置換基は炭化水素基で、その内の少なくとも1個は炭素数1〜6個のアルキル基であり、樹脂組成物の作成時にドライブレンドが可能であり、保存性に優れているとされているが、長期間にわたる常温での保存性という観点からは、保存性はなお充分とはいえない。このため、樹脂組成物を常温で保存した場合、成形時の流動性の低下から、充填不良が発生したり、ICチップの金ワイヤーが断線し、導通不良が発生する等の問題点が生じる。従って、このような樹脂組成物は、冷蔵保存及び冷蔵輸送する必要があり、保存、輸送に多大なコストがかかっているのが現状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、常温においては硬化が進むことなく長期間にわたって樹脂組成物を安定に保存することが可能であり、成形時に加熱された際に硬化反応が始まり、良好な成形性及び高品質の成形品を与えることができる半導体封止用エポキシ樹脂組成物を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(A)式(1)で示されるエポキシ樹脂を総エポキシ樹脂量中に30〜100重量%含むエポキシ樹脂、
【化3】
Figure 0003672392
(式中のR1は水素、炭素数1〜6の鎖状もしくは環状アルキル基、フェニル基、ハロゲンの中から選択される基、又は原子であり、それらは互いに同一であっても異なっていてもよい。)
【0007】
(B)1分子中にフェノール性水酸基を2個以上有するフェノール樹脂硬化剤、(C)無機充填材、及び(D)式(2)で示されるホスホニウムボレートからなる潜伏性触媒を必須成分とし、かつエポキシ樹脂(A)のエポキシ基とフェノール樹脂硬化剤(B)のフェノール性水酸基の当量比が0.5〜2であり、無機充填材(C)の含有量が、エポキシ樹脂とフェノール樹脂硬化剤の合計量100重量部当たり250〜1400重量部であり、かつ潜伏性触媒(D)の含有量が、エポキシ樹脂とフェノール樹脂硬化剤の合計量100重量部当たり0.4〜20重量部であることを特徴とする半導体封止用エポキシ樹脂組成物であり、
【化4】
Figure 0003672392
(ただし、式中、X1、X2、X3及びX4は、芳香環もしくは複素環を有する1価の有機酸又は1価の脂肪族基であり、それらは互いに同一であっても異なっていてもよい。又Y1、Y2、Y3及びY4は、芳香環もしくは複素環を有する1価の有機酸又は1価の脂肪族基であって、それらのうち少なくとも1つは、分子外に放出しうるプロトンを少なくとも1個有するプロトン供与体がプロトンを1個放出してなる基であり、それらは互いに同一であっても異なっていてもよい。)
【0008】
、従来の樹脂組成物に比べ、常温においては硬化が進むことなく長期間にわたって樹脂組成物を安定に保存することが可能であり、更に加熱成形時に硬化反応が発現して良好な成形性及び高品質の成形品を得ることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明で用いる式(1)のエポキシ樹脂は、通常スチルベン型エポキシ樹脂と呼ばれる公知物質であり、特開昭64−85215号公報には、グリシジル基末端スチルベン系エポキシ化合物とシッフ系化合物を含むエポキシ樹脂組成物が提案されているが、常温保存性、成形性は十分ではない。(剛直なオレフィン2重結合を含んでおり配向性を強く示す。)このエポキシ樹脂は、常温では結晶性の固体であるが、加熱により溶融すると極めて低粘度の液体になる特性を有している。しかし、同じ結晶性のビフェニル型エポキシ樹脂より強い配向性を示し、フェノール樹脂硬化剤、その他の成分と混合、加熱混練後冷却し樹脂組成物としても、剛直なオレフィン2重結合により結晶性が損なわれず、常温でも反応が起こりにくい。従って、これを用いた樹脂組成物を常温保管しても成形時の流動性は低下しない。
【0010】
このエポキシ樹脂の使用量は、これを調節することにより、保存性を最大限に引き出すことができる。保存性の効果を引き出すためには、式(1)で示されるエポキシ樹脂を総エポキシ樹脂量中に30重量%以上、好ましくは50重量%以上含むことが望ましい。30重量%未満であると保存性が不充分である。
式(1)で示されるエポキシ樹脂と他のエポキシ樹脂を併用する場合は、例えば、ビフェニル型エポキシ化合物、ビスフェノール型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン変性エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ化合物、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ化合物等が挙げられる。
【0011】
本発明で用いる1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有するフェノール樹脂硬化剤とは、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、パラキシリレン変性フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、トリフェノールメタン化合物等が挙げられる。又、これらのフェノール樹脂は、単独でも混合して用いてもよい。
フェノール樹脂が有するフェノール性水酸基は、エポキシ樹脂が有するオキシラン環と反応して架橋構造を形成する。エポキシ樹脂のエポキシ基とフェノール樹脂のフェノール性水酸基の当量比が0.5〜2が好ましく、この範囲から外れると、樹脂組成物の硬化性の低下、あるいは硬化物のガラス転移温度の低下等が生じるおそれがある。
【0012】
本発明で用いる無機充填材としては、例えば、溶融シリカ粉末、球状シリカ粉末、結晶シリカ粉末、二次凝集シリカ粉末、多孔質シリカ粉末、アルミナ、クレー、タルク等が挙げられる。特に流動性の向上という点から球状シリカ好ましい。球状シリカの形状は、流動性改善のために粒子自体の形状は限りなく真球状であり、かつ粒度分布がブロードであることが好ましい。
本発明の無機充填材の含有量は、エポキシ樹脂とフェノール樹脂の合計量100重量部当たり250〜1400重量部が好ましく、250重量部未満であると、低熱膨張化、低吸水化が得られず、耐半田ストレス性が不充分である。1400重量部を越えると、樹脂の流動性が低下し成形時に充填不良などが生じたり、高粘度化による半導体パッケージ中のダイパット、金線ワイヤーのずれ等の不都合が生じる。
【0013】
本発明で用いる潜伏性触媒は、式(2)で示されるホスホニウムボレートである。式(2)において、ホスホニウム基のX1、X2、X3及びX4は、芳香環若しくは複素環を有する1価の有機基又は1価の脂肪族基であり、それらは互いに同一であっても異なっていてもよい。このようなホスホニウム基としては、例えば、テトラフェニルホスホニウム基、テトラトリルホスホニウム基、テトラエチルフェニルホスホニウム基、テトラメトキシフェニルホスホニウム基、テトラナフチルホスホニウム基、テトラベンジルホスホニウム基、エチルトリフェニルホスホニウム基、n−ブチルトリフェニルホスホニウム基、2−ヒドロキシエチルトリフェニルホスホニウム基、トリメチルフェニルホスホニウム基、メチルジエチルフェニルホスホニウム基、メチルジアリルフェニルホスホニウム基、テトラ−n−ブチルホスホニウム基等を挙げることができる。
式(2)において、X1、X2、X3及びX4は、芳香環を有する1価の有機基であることが特に好ましく、又、式(2)で示されるホスホニウムボレートの融点は、特に限定されるものではないが、均一分散の点からは250℃以下であることが好ましい。特に、テトラフェニルホスホニウム基を有するホスホニウムボレートは、エポキシ樹脂との相溶性が良好であり、好適に使用することができる。
【0014】
式(2)において、ボレート基のY1、Y2、Y3及びY4は、芳香環若しくは複素環を有する1価の有機基又は1価の脂肪族基であって、それらのうちの少なくとも1つは、分子外に放出しうるプロトンを少なくとも1個有するプロトン供与体がプロトンを1個放出してなる基であり、Y1、Y2、Y3及びY4は互いに同一であっても異なっていてもよい。このようなボレート基を与えるプロトン供与体としては、例えば、酢酸、トリフルオロ酢酸、ステアリン酸、安息香酸、1−ナフトエ酸、2−ナフトエ酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ポリアクリル酸などのカルボン酸やその無水物の部分開環体、フェノール、ビフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、1−ナフトール、2−ナフトール、ポリフェノール、イソシアヌル酸、ベンゾトリアゾール、更にこれらのうち芳香環を有する化合物の芳香環に置換基を有する化合物等を挙げることができる。特に好ましくは安息香酸、1−ナフトエ酸、2−ナフトエ酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族カルボン酸やフェノール、ビフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、1−ナフトール、2−ナフトール、ポリフェノール等のフェノール性化合物が良好であり、好適に使用できる。
【0015】
式(2)で示されるホスホニウムボレートからなる潜伏性触媒は、エポキシ樹脂/フェノール樹脂硬化剤系に配合された場合、常温においては触媒活性を示さないのでエポキシ樹脂の硬化反応が進むことがなく、成形時の高温において触媒活性が発現し、しかもいったん発現すると従来の硬化促進剤よりも強い触媒活性を示して樹脂組成物を硬化度を高める。この潜伏性触媒は、常温においてはアニオン性のテトラ置換ボレート基が保護基として作用し、活性点となるカチオン性のテトラ置換ホスホニウム基とイオン結合を形成することによりキャップする。又、熱硬化性樹脂と他の配合成分とを混合する際の加熱あるいは発熱によっても、この保護基は外れない。つまり、カチオン性のテトラ置換ホスホニウム基とアニオン性のテトラ置換ボレート基の間のイオン結合の解離に必要なエネルギーは、成形時にのみ得られるものである。このとき、ホスホニウムボレートの保護基は外れ活性点が露出し、硬化反応が進行する。このためには、カチオン性のテトラ置換ホスホニウム基とアニオン性のテトラ置換ボレート基のイオン結合が強すぎないことが重要であり、従来の硬化促進剤であるテトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレートは、イオン結合が強すぎる。このため、融点が300℃以上となり、樹脂組成物の作成時に混練しても充分な均一分散ができず、硬化促進剤としての効果を充分に発現させることができない。
【0016】
そこで、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレートを用いる場合、原料の一部に予め溶融混合した後に、樹脂組成物の作成時に混練する手法が提案されている。しかし、この方法では、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレートが溶融混練時に、既に保護基のテトラフェニルボレート基が外れた構造となるために、低温での反応性が高くなり、常温での保存性が低下し、目的とする効果が十分に発現しない。そこで、前述のようにテトラフェニルホスホニウム基とその保護基の結合力をある程度弱めた構造が好ましい。
具体的には、ボロンに結合する官能基の種類をフェニル基よりも電子吸引性の高い官能基に変えれば、ボレートアニオンの陰イオン性が低減し、テトラフェニルホスホニウム基とのイオン結合が弱くなると共に、融点が200〜250℃となり、樹脂組成物に均一に混練することが可能となる。
【0017】
本発明の潜伏性触媒であるホスホニウムボレートにおいて、保護基であるアニオン性のテトラ置換ボレート基は、ボロンに結合する置換基がテトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレートのフェニル基より電子吸引性の高い置換基であるため、テトラ置換ボレート基のアニオン性が低減し、カチオン性のテトラ置換ホスホニウム基とアニオン性のテトラ置換ボレート基の間のイオン結合がある程度弱まり、融点もテトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレートの300℃以上と比較し、180〜260℃となり、予め原料の一部と溶融混合することなく、樹脂組成物の作成時にドライブレンドのみで速やかな硬化性を示すものと考えられる。
又、本発明の潜伏性触媒は、カチオン性のテトラ置換ホスホニウム基と、アニオン性のテトラ置換ボレート基の解離に必要なエネルギーは、エポキシ樹脂と他の配合成分とを混合する際の加熱あるいは発熱によっては得られないため、保護基は外れず、低温での反応性は低い。成形時の高温では解離に必要なエネルギーが得られるため、保護基が外れ、高い反応性を示す。つまり低温での反応性は低いが高温での反応性は非常に高いという潜伏性触媒として理想的な反応挙動を示す。このため常温における保存性の向上、混練時に反応が少ないために封止樹脂の低粘度化、更に高温に加熱したときの高い反応性などを達成することができる。
【0018】
潜伏性触媒の添加量は、エポキシ樹脂とフェノール樹脂硬化剤の合計量100重量部当たり0.4〜20重量部が好ましい。潜伏性触媒が、0.4重量部未満だと加熱成形時に充分な硬化が得られないおそれがある。20重量部を越えると硬化が速すぎて流動性の低下により充填不良が生じるおそれがある。
本発明の潜伏性触媒は、単独でも、又他の硬化促進剤と併用することもできる。他の硬化促進剤と併用する場合、本発明の潜伏性触媒は、潜伏性触媒と他の硬化促進剤の合計量の50重量%以上であることが好ましい。本発明の潜伏性触媒が50重量%未満であると、本発明の目的を十分に達成することができないおそれがある。本発明の潜伏性触媒と混合使用することができる他の硬化促進剤としては、例えば、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィン等が挙げるられる。
本発明の樹脂組成物は、(A)〜(D)成分の他に、必要に応じてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のカップリング剤、ブロム化エポキシ樹脂、三酸化アンチモン、ヘキサブロムベンゼン等の難燃剤、カーボンブラック、ベンガラ等の着色剤、天然ワックス、合成ワックス等の離型剤及びシリコーンオイル、ゴム等の低応力添加剤等の種々の添加剤を適宜配合しても差し支えない。
【0019】
又、本発明の樹脂組成物を成形材料として製造するには、エポキシ樹脂、フェノール樹脂硬化剤、潜伏性触媒、無機充填材、その他の添加剤をミキサー等によって充分に均一に常温混合した後、更に熱ロール又は、ニーダー等で溶融混練し、冷却後粉砕して封止材料とすることができる。これらの成形材料は、電気部品あるいは電子部品であるトランジスター、集積回路等の被覆、絶縁、封止等に適用することができる。
【0020】
本発明を実施例で説明する。
実施例1
式(3)で示されるエポキシ樹脂(融点124℃) 60.6重量部
【化5】
Figure 0003672392
【0021】
Figure 0003672392
【化6】
Figure 0003672392
【0022】
Figure 0003672392
を、常温においてミキサーで混合し、70〜100℃で2軸ロールにより混練し、冷却後粉砕して成形材料とした。
得られた成形材料のスパイラルフローは112cm、175℃におけるゲル化時間は35秒、25℃で3日間保存した後の保存性は100%、硬化性は82、耐半田性は0/8であった。
【0023】
実施例2〜5
実施例1と同様にして、表1の組成に従って配合して得られた成形材料について評価した。実施例2、3では式(5)で示されるエポキシ樹脂(融点96℃)を用いた。更に実施例2、5では、YX4000H(油化シェルエポキシ(株)、融点105℃、エポキシ当量185g/eq)を用いた。
【化7】
Figure 0003672392
実施例2、4では、フェノールアラルキル樹脂(三井東圧化学(株)、XL−225−3L、軟化点95℃,水酸基当量177g/eq)を用いた。
実施例2では、式(6)で示される潜伏性触媒を用いた。
【0024】
【化8】
Figure 0003672392
なお、実施例3で用いるテトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレートの溶融混合物とは、フェノールノボラック樹脂(軟化点62℃,水酸基当量105g/eq)90重量部に、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート10重量部を溶融混合(以下PT1という)したものである。
【0025】
実施例3、5では式(7)で示される潜伏性触媒を用いた。
【化9】
Figure 0003672392
【0026】
実施例1〜6の樹脂組成物は、いずれも製造直後の流動性は良好であり、又、25℃で3日間保存した後でも、すべて製造直後の90%以上のスパイラルフロー値を示し保存安定性に優れている。175℃におけるゲル化時間は、25〜35秒の範囲であって成形作業性は良好であり、硬化によりショアD硬度は82〜88に達している。耐半田性試験では、クラックは発生しなかった。
これらの評価結果を表1に示す。
【0027】
評価方法
スパイラルフロー:EMMI−I−66に準じたスパイラルフロー測定用の金型を用い、金型温度175℃、注入圧力70kg/cm2、硬化時間2分で測定。(cm)。
ゲル化時間:175℃の熱板上で樹脂組成物を溶融後、へらで練りながら硬化するまでの時間を測定。(秒)。
25℃での保存性:樹脂組成物を25℃にて3日間保存した後、スパイラルフローを測定し、樹脂組成物調製直後のスパイラルフローに対する百分率で表す。(%)。
硬化性:樹脂組成物を金型温度175℃、硬化時間2分で成形し、型開きした後ショアD硬度を測定。測定値。
耐半田性:得られた樹脂組成物をタブレット化し、低圧トランスファー成形機にて175℃、100kg/cm2、120秒の条件で6×6mmのチップを80pQFP(厚さ1.5mm)に封止し、パッケージ8個を85℃、相対湿度85%で168時間処理した後、240℃のIRリフローにて10秒間処理し、パッケージクラック個数を顕微鏡で観察し、クラックの生じたパッケージがn個のとき、n/8と表示。
【0028】
比較例1〜5
実施例1と同様にして、表2の組成に従って配合して得られた樹脂組成物について評価した。なお、比較例3で用いるテトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレートの溶融混合物とは、フェノールノボラック樹脂(軟化点62℃,水酸基当量105g/eq)85重量部に、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート15重量部を溶融混合(以下PT2という)したものである。
比較例1〜3及び4の樹脂組成物は、25℃で3日間保存した後、スパイラルフロー値が製造直後の値の68〜76%まで低下し、保存安定性が不良であった。比較例5の樹脂組成物は、潜伏性触媒の量が不十分で、2分間の加熱によっても全く硬化せず、成形が不能であった。評価結果を表2に示す。
【0029】
【表1】
Figure 0003672392
【0030】
【表2】
Figure 0003672392
【0031】
【発明の効果】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、常温においては硬化の進行がなく、長期間にわたり保存性に優れ、成形時の加熱により初めて硬化反応が発現し良好な成形性及び高品質の半導体装置を得ることができる。

Claims (3)

  1. (A)式(1)で示されるエポキシ樹脂を総エポキシ樹脂量中に30〜100重量%含むエポキシ樹脂、
    Figure 0003672392
    (式中のR1は水素、炭素数1〜6の鎖状もしくは環状アルキル基、フェニル基、ハロゲンの中から選択される基、又は原子であり、それらは互いに同一であっても異なっていてもよい。)
    (B)1分子中にフェノール性水酸基を2個以上有するフェノール樹脂硬化剤、(C)無機充填材、
    及び(D)式(2)で示されるホスホニウムボレートからなる潜伏性触媒を必須成分とし、かつエポキシ樹脂(A)のエポキシ基とフェノール樹脂硬化剤(B)のフェノール性水酸基の当量比が0.5〜2であり、無機充填材(C)の含有量が、エポキシ樹脂とフェノール樹脂硬化剤の合計量100重量部当たり250〜1400重量部であり、かつ潜伏性触媒(D)の含有量が、エポキシ樹脂とフェノール樹脂硬化剤の合計量100重量部当たり0.4〜20重量部であることを特徴とする半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
    Figure 0003672392
    (ただし、式中、X1、X2、X3及びX4は、芳香環もしくは複素環を有する1価の有機酸又は1価の脂肪族基であり、それらは互いに同一であっても異なっていてもよい。又Y1、Y2、Y3及びY4は、芳香環もしくは複素環を有する1価の有機酸又は1価の脂肪族基であって、それらのうち少なくとも1つは、分子外に放出しうるプロトンを少なくとも1個有するプロトン供与体がプロトンを1個放出してなる基であり、それらは互いに同一であっても異なっていてもよい。)
  2. 式(2)で示される潜伏性触媒のプロトン供与体が、1分子内に少なくとも1個のカルボキシル基を有する芳香族カルボン酸である請求項1記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
  3. 式(2)で示される潜伏性触媒のプロトン供与体が、1分子内に少なくとも1個の水酸基を有するフェノール性化合物である請求項1記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
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