JP3672533B2 - 軟磁性膜とこの軟磁性膜を用いた薄膜磁気ヘッド、ならびに前記軟磁性膜の製造方法と前記薄膜磁気ヘッドの製造方法 - Google Patents

軟磁性膜とこの軟磁性膜を用いた薄膜磁気ヘッド、ならびに前記軟磁性膜の製造方法と前記薄膜磁気ヘッドの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば薄膜磁気ヘッドのコア材として使用される軟磁性膜に係り、前記軟磁性膜にFeCoαあるいはFeCoRh(元素αは貴金属)合金を使用することで飽和磁束密度Bsを2.0T以上にでき、且つ耐食性を向上させることが可能な軟磁性膜とこの軟磁性膜を用いた薄膜磁気ヘッド、ならびに前記軟磁性膜の製造方法と前記薄膜磁気ヘッドの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば薄膜磁気ヘッドのコア層には、特に今後の高記録密度化に伴い、高い飽和磁束密度Bsを有する磁性材料を使用し、前記コア層のギャップ近傍に磁束を集中させて、記録密度を向上させる必要がある。
【0003】
前記磁性材料には従来からNiFe系合金がよく使用されている。前記NiFe系合金は、直流電流を用いた電気メッキ法によりメッキ形成され、1.8T程度の飽和磁束密度Bsを得ることが可能であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら今後の高記録密度化に伴い、さらに高い飽和磁束密度Bsを満たす軟磁性膜を製造することが必要となり、NiFe系合金では十分にその要望に応えることができなかった。
【0005】
またNiFe系合金以外によく使用される軟磁性材料としてFeCo合金膜がある。前記FeCo合金膜は、Feの組成比を適正に調整することで、NiFe系合金膜よりも高い飽和磁束密度Bsが得られる一方、次のような問題点が発生した。
【0006】
薄膜磁気ヘッドや他の磁気素子の構成によっては、前記FeCo合金の上にNiFe系合金を重ねたり、あるいはメッキ形成された非磁性層(例えばギャップ層)の上下に前記FeCo合金を重ねる場合があるが、前記FeCo合金膜を電気メッキ法によりメッキ形成するときなどに、FeCo合金膜がイオン化して溶け出し腐食するといった問題が発生したのである。
【0007】
これは前記FeCo合金膜とNiFe系合金膜との間、あるいは前記FeCo合金膜と非磁性層間には大きな電位差(標準電極電位差)が発生するからであり、この電位差によりいわゆる電池効果が生じて溶け出すものと考えられる。
【0008】
またFeCo合金膜が単層で形成される場合も、薄膜磁気ヘッドや他の磁気素子の製造方法においては、耐食性が要求される。例えばスライダの研削工程や素子の洗浄工程に曝される場合でも腐食しないことが要求される。また薄膜磁気ヘッドの使用上の環境的な要因にも耐食性が要求される。
【0009】
従って薄膜磁気ヘッドのコア層などに使用される軟磁性膜には、高い飽和磁束密度Bsのみならず、優れた耐食性も必要であった。
【0010】
そこで本発明は上記従来の課題を解決するためのものであり、FeCo合金にPdやRhなどの貴金属の元素を添加することにより、飽和磁束密度Bsを2.0T以上にできると同時に耐食性にも優れた軟磁性膜とこの軟磁性膜を用いた薄膜磁気ヘッド、ならびに前記軟磁性膜の製造方法と薄膜磁気ヘッドの製造方法を提供することを目的としている。
【0036】
【課題を解決するための手段】
本発明における軟磁性膜の製造方法は、メッキ浴中のFeイオン濃度を1.2g/l以上で3.2g/l以下とし、Coイオン濃度を0.86g/l以上で1.6g/l以下とし、元素αイオン濃度を0.2mg/l以上で6mg/l以下とする電気メッキ法により、Feの組成比X(質量%)/Coの組成比Y(質量%)の比率が、2以上で5以下で、元素α(ただし元素αは、Pd)の組成比Zが、0.5質量%以上で18質量%以下であり、X+Y+Z=100質量%の関係を満たすFeCoα合金をメッキ形成することを特徴とするものである。この組成比を有する軟磁性膜であれば飽和磁束密度Bsを2.0T以上にできるとともに、元素αを含まないFeCo合金に比べて耐食性に優れた軟磁性膜を製造することが可能である。
【0037】
また本発明では、前記Feの組成比X(質量%)/Coの組成比Y(質量%)の比率が、2.6以上で4.3以下で、元素αの組成比Zが3質量%以上で9質量%以下であり、X+Y+Z=100質量%の関係を満たすFeXCoYαZ合金をメッキ形成することが好ましい。この組成比を有する軟磁性膜であれば飽和磁束密度Bsを2.2T以上にできるとともに元素αを含まないFeCo合金に比べて耐食性に優れた軟磁性膜を製造することが可能である。
【0039】
後述する実験結果によれば、上記のメッキ浴組成を有することで、確実にFeの組成比X(質量%)/Coの組成比Y(質量%)の比率が、2以上で5以下で、元素αの組成比Zが、0.5質量%以上で18質量%以下であり、X+Y+Z=100質量%の関係を満たすFeXCoYαZ合金、好ましくは、前記Feの組成比X(質量%)/Coの組成比Y(質量%)の比率が、2.6以上で4.3以下で、元素αの組成比Zが3質量%以上で9質量%以下であり、X+Y+Z=100質量%の関係を満たすFeXCoYαZ合金をメッキ形成することができる。
【0040】
また本発明では、メッキ浴中にβイオン(ただし元素βはNi、Crの一方あるいは両方)を添加し、前記FeXCoYαZ合金に0.5質量%以上で5質量%以下の組成比Vを有する元素βを含有させ、X+Y+Z+V=100質量%の関係を満たすFeXCoYαZβV合金をメッキ形成してもよい。
【0047】
上記のように本発明では、好ましくはFeCoα合金をパルス電流を用いた電気メッキ法によってメッキ形成する。パルス電流を用いた電気メッキ法では、例えば電流制御素子のON/OFFを繰返し、メッキ形成時に、電流を流す時間と、電流を流さない空白な時間を設ける。このように電流を流さない時間を設けることで、FeCoα合金膜を、少しずつメッキ形成し、従来のように直流電流を用いた場合に比べメッキ形成時における電流密度の分布の偏りを緩和することが可能になっている。パルス電流による電気メッキ法によれば直流電流による電気メッキ法に比べて軟磁性膜中に含まれるFe含有量の調整が容易になり、前記Fe含有量を膜中に多く取り込むことができる。
【0048】
また本発明では、FeCoα合金、FeCoαβ合金のメッキ浴中にサッカリンナトリウムを混入することが好ましい。サッカリンナトリウム(CCONNaSO)は応力緩和剤としての役割を有しており、したがって前記サッカリンナトリウムを混入することでFeCoα合金、FeCoαβ合金の膜応力を低減させることが可能である。
【0049】
また本発明では、前記メッキ浴中に、2−ブチン−1、4ジオールを混入することが好ましい。これによってメッキ形成されたFeCoα合金、FeCoαβ合金の結晶粒径の粗大化は抑制され、前記結晶粒径が小さくなることで結晶間に空隙が生じ難くなり、膜面の面粗れが抑制される。面粗れを抑制できることで保磁力Hcを小さくすることも可能になる。
【0050】
また本発明では、前記メッキ浴中に2−エチルヘキシル硫酸ナトリウムを混入することが好ましい。これによってメッキ浴中に生じる水素は、界面活性剤である2−エチルヘキシル硫酸ナトリウムによって除去され、前記水素がメッキ膜に付着することによる面粗れを抑制できる。
【0051】
また前記2−エチルヘキシル硫酸ナトリウムに代えて、ラウリル硫酸ナトリウムを用いても良いが、2−エチルヘキシル硫酸ナトリウムを用いた方が、メッキ浴中に混入したときの泡立ちが少なく、したがって前記2−エチルヘキシル硫酸ナトリウムをメッキ浴中に多く混入することができ、前記水素の除去をより適切に行うことが可能になる。
【0052】
また本発明は、磁性材料製の下部コア層と、記録媒体との対向面で前記下部コア層と磁気ギャップを介して対向する上部コア層と、両コア層に記録磁界を誘導するコイル層とを有する薄膜磁気ヘッドの製造方法において、
少なくとも一方のコア層を、上記に記載された製造方法による軟磁性膜でメッキ形成することを特徴とするものである。
【0053】
また本発明では、前記下部コア層上に記録媒体との対向面で下部磁極層を隆起形成し、前記下部磁極層を前記軟磁性膜でメッキ形成することが好ましい。
【0054】
また本発明は、下部コア層及び上部コア層と、前記下部コア層と上部コア層との間に位置し且つトラック幅方向の幅寸法が前記下部コア層及び上部コア層よりも短く規制された磁極部とを有し、
前記磁極部を、下部コア層と連続する下部磁極層、上部コア層と連続する上部磁極層、および前記下部磁極層と前記上部磁極層間に位置するギャップ層とで形成し、あるいは前記磁極部を、上部コア層と連続する上部磁極層、および前記上部磁極層と下部コア層との間に位置するギャップ層とで形成し、
このとき前記上部磁極層及び/または下部磁極層を、上記に記載された製造方法による軟磁性膜でメッキ形成することを特徴とするものである。
【0055】
また本発明では、前記上部磁極層を前記軟磁性膜でメッキ形成し、前記上部磁極層上に上部コア層を電気メッキ法によりNiFe系合金膜でメッキ形成することが好ましい。
【0056】
また本発明では、前記コア層を、少なくとも磁気ギャップに隣接する部分で2層以上の磁性層で形成し、あるいは前記磁極層を2層以上の磁性層で形成し、このとき前記磁性層のうち前記磁気ギャップに接する磁性層を、前記軟磁性膜によりメッキ形成することが好ましい。
【0057】
また本発明では、前記磁気ギャップ層に接する以外の他の磁性層を電気メッキ法によりNiFe系合金でメッキ形成することが好ましい。
【0058】
上記したように本発明における軟磁性膜としてのFeCoα合金、FeCoαβ合金を、電気メッキ法によりメッキ形成することで、Feの組成比X(質量%)/Coの組成比Y(質量%)の比率が、2以上で5以下で、元素α(ただし元素αは、Pd)の組成比Zが0.5質量%以上で18質量%以下となる、好ましくは、Feの組成比X(質量%)/Coの組成比Y(質量%)の比率が、2.6以上で4.3以下で、元素αの組成比Zが3質量%以上で9質量%以下となる、FeCoα合金及び、さらに元素βの組成比Vが0.5質量%以上で5質量%以下となるFeCoαβ合金をメッキ形成することが可能である。
【0060】
そしてこのような軟磁性膜を薄膜磁気ヘッドのコア材として使用することで、飽和磁束密度Bsが高く高記録密度化を図ることができ、また元素αやRhを含まないFeCo合金を用いる場合に比べて耐食性にも優れた薄膜磁気ヘッドを歩留まり良く製造することが可能である。
【0061】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の第1実施形態の薄膜磁気ヘッドの部分正面図、図2は図1に示す薄膜磁気ヘッドを2−2線から切断し矢印方向から見た縦断面図である。
【0062】
本発明における薄膜磁気ヘッドは、浮上式ヘッドを構成するセラミック材のスライダ11の側端面11aに形成されたものであり、MRヘッドh1と、書込み用のインダクティブヘッドh2とが積層された、MR/インダクティブ複合型薄膜磁気ヘッド(以下、単に薄膜磁気ヘッドという)となっている。
【0063】
MRヘッドh1は、磁気抵抗効果を利用してハードディスクなどの記録媒体からの洩れ磁界を検出し、記録信号を読み取るものである。
【0064】
図2に示すように、前記スライダ11のトレーリング側端面11a上にAl23膜12を介してNiFe等からなる磁性材料製の下部シールド層13が形成され、さらにその上に絶縁材料製の下部ギャップ層14が形成されている。
【0065】
前記下部ギャップ層14上には記録媒体との対向面からハイト方向(図示Y方向)に向けて、異方性磁気抵抗効果(AMR)素子、巨大磁気抵抗効果(GMR)素子あるいはトンネル型磁気抵抗効果(TMR)素子などの磁気抵抗効果素子10が形成され、さらに前記磁気抵抗効果素子10及び下部ギャップ層14上には絶縁材料製の上部ギャップ層15が形成されている。さらに前記上部ギャップ層15の上にNiFe等の磁性材料で形成された上部シールド層16が形成されている。MRヘッドh1は、前記下部シールド層13から上部シールド層16までの積層膜で構成されている。
【0066】
次に図1及び2に示す実施形態では、前記上部シールド層16がインダクティブヘッドh2の下部コア層としても兼用されており、前記下部コア層16上には、Gd決め層17が形成され、記録媒体との対向面から前記Gd決め層17の先端部までの長さ寸法でギャップデプス(Gd)が規制される。前記Gd決め層17は例えば有機絶縁材料で形成される。
【0067】
また前記下部コア層16の上面16aは図1に示すように、磁極部18の基端からトラック幅方向(図示X方向)に離れるにしたがって下面方向に傾く傾斜面で形成されており、これによりサイドフリンジングの発生を抑制することが可能である。
【0068】
また図2に示すように、記録媒体との対向面から前記Gd決め層17上にかけて磁極部18が形成されている。
【0069】
前記磁極部18は下から下部磁極層19、非磁性のギャップ層20、及び上部磁極層21が積層されている。
【0070】
前記下部磁極層19は、下部コア層16上に直接メッキ形成されている。また前記下部磁極層19の上に形成されたギャップ層20は、メッキ形成可能な非磁性金属材料で形成されていることが好ましい。具体的には、NiP、NiPd、NiW、NiMo、Au、Pt、Rh、Pd、Ru、Crのうち1種または2種以上から選択されたものであることが好ましい。
【0071】
なお本発明における具体的な実施形態として前記ギャップ層20にはNiPが使用される。NiPで前記ギャップ層20を形成することで前記ギャップ層20を適切に非磁性状態にできるからである。
【0072】
さらに前記ギャップ層20の上にメッキ形成された上部磁極層21は、その上に形成される上部コア層22と磁気的に接続される。
【0073】
上記のようにギャップ層20がメッキ形成可能な非磁性金属材料で形成されると、下部磁極層19、ギャップ層20及び上部磁極層21を連続メッキ形成することが可能である。
【0074】
なお前記磁極部18は、ギャップ層20及び上部磁極層21の2層で構成されていてもよい。
【0075】
図1に示すように、前記磁極部18はトラック幅方向(図示X方向)における幅寸法がトラック幅Twで形成されている。
【0076】
図1及び図2に示すように、前記磁極部18のトラック幅方向(図示X方向)の両側及びハイト方向後方(図示Y方向)には例えば無機絶縁材料からなる絶縁層23が形成されている。前記絶縁層23の上面は前記磁極部18の上面と同一平面とされる。
【0077】
図2に示すように、前記絶縁層23上にはコイル層24が螺旋状にパターン形成されている。また前記コイル層24上は有機絶縁材料製の絶縁層25によって覆われている。なお前記コイル層24は絶縁層を挟んで2層以上積層された構成であっても良い。
【0078】
図2に示すように、磁極部18上から絶縁層25上にかけて上部コア層22が例えばフレームメッキ法によりパターン形成されている。図1に示すように、前記上部コア層22の先端部22aは、記録媒体との対向面側でのトラック幅方向における幅寸法がT1で形成され、かかる幅寸法T1はトラック幅Twよりも大きく形成されている。
【0079】
また図2に示すように、前記上部コア層22の基端部22bは、下部コア層16上に形成された磁性材料製の接続層(バックギャップ層)26上に直接接続されている。
【0080】
本発明では、前記上部磁極層21及び/または下部磁極層19が以下の組成比を有する軟磁性膜で形成されている。
(1)組成式がFeCoα(ただし元素αは、Pd)で示され、Feの組成比X(質量%)/Coの組成比Y(質量%)の比率は、2以上で5以下で、元素αの組成比Zは、0.5質量%以上で18質量%以下であり、X+Y+Z=100質量%の関係を満たし、メッキ形成されることを特徴とする軟磁性膜。
【0081】
後述する実験結果により上記の組成比を有するFeCoα合金であると飽和磁束密度Bsを2.0T以上にできることが確認された。このように本発明ではNiFe系合金よりも高い飽和磁束密度Bsを得ることが可能である。
【0082】
Fe及びCoは磁性を担う元素である。Fe、Coの組成比を適切な値にすることによって高い飽和磁束密度を得ることが可能になる。後述する実験によれば、前記Feの組成比X(質量%)/Coの組成比Y(質量%)の比率を2以上で5以下にすると、前記Bsを2.0T以上にできることが確認された。
【0083】
次に前記元素αは特に耐食性を高めるために添加される元素であり、前記元素αが少なすぎると効果的に耐食性を向上させることはできず、多すぎても磁性を担うFe、Co量の減少によって飽和磁束密度Bsの低下を招く。本発明では前記元素αの組成比Zを0.5質量%以上で18質量%以下とすることで、飽和磁束密度Bsを2.0T以上にできると同時にCoとFeのみからなる軟磁性膜よりも効果的に耐食性を向上させることができる。また前記元素αのうち、Pd、Ptのいずれか一種または2種以上を添加すると、より効果的に耐食性を向上させることが可能である。特に前記元素αはPdであることが好ましい。
【0084】
また上記組成比を有するFeCoα合金であると、結晶が緻密に形成されることで膜面の面粗れを少なくでき、耐食性を向上させることができるとともに、保磁力Hcを小さくすることができる。具体的には前記保磁力を2000(A/m)以下にすることが可能である。
【0085】
またFeCoα合金が上記組成範囲内であると、15(μΩ・cm)以上の比抵抗を得ることができる。また膜応力を400MPa以下にすることができる。さらに異方性磁界Hkに関しては、従来から軟磁性材料として一般的に使用されているNiFe系合金と同程度の異方性磁界Hkを得ることができる。
【0086】
また本発明では、前記Feの組成比X(質量%)/Coの組成比Y(質量%)の比率は、2.6以上で4.3以下で、元素αの組成比Zは3質量%以上で9質量%以下であり、X+Y+Z=100質量%の関係を満たすことが好ましい。これにより飽和磁束密度Bsを2.2T以上にすることができると共に元素αを含まないFeCo合金に比べて効果的に耐食性の向上を図ることが可能である。
【0087】
また本発明では、上記FeCoα合金に元素β(ただし元素βはNi、Crの一方あるいは両方)が添加され、すなわち組成式はFeXCoYαZβVで示され、Feの組成比X(質量%)/Coの組成比Y(質量%)の比率は、2以上で5以下で、元素αの組成比Zは、0.5質量%以上で18質量%以下であり、好ましくは、前記Feの組成比X(質量%)/Coの組成比Y(質量%)の比率は、2.6以上で4.3以下で、元素αの組成比Zは3質量%以上で9質量%以下であり、前記元素βの組成比Vは、0.5質量%以上で5質量%以下であり、X+Y+Z+V=100質量%の関係を満たす軟磁性膜であってもよい。
【0088】
前記上部磁極層21及び/または下部磁極層19を、上記組成範囲内のFeCoαβ合金で形成することにより、飽和磁束密度Bsを2.0T以上あるいは2.2T以上にできる。また表面に不動態膜を形成する元素βの添加により、さらに耐食性を向上させることができる。またNiの添加により特に膜応力を小さくすることが可能であるから、元素βとしてNiを選択する方が好ましい。
【0089】
以上のように本発明では、上記したFeCoα合金あるいはFeCoαβ合金は、2.0T以上、好ましくは2.2T以上の高い飽和磁束密度Bsを得ることが可能であるので、前記FeCoα合金あるいはFeCoαβ合金を上部磁極層21及び/または下部磁極層19に使用することにより、前記磁極層のギャップ近傍に磁束を集中させて記録密度を向上させることが可能であるとともに、元素αを含まないFeCo合金を使用する場合に比べて耐食性に優れた薄膜磁気ヘッドを製造することが可能である。
【0090】
(2)組成式がFeXCoYRhwで示され、Feの組成比X(質量%)は56質量%以上で、Coの組成比Yは20質量%以上で、Rhの組成比Wは1.7質量%以上で20質量%以下であり、X+Y+W=100質量%の関係を満し、且つメッキ形成されることを特徴とする軟磁性膜。
【0091】
後述する実験結果により上記の組成比を有するFeCoRh合金であると飽和磁束密度Bsを2.1T以上にできることが確認された。このように本発明ではNiFe系合金よりも高い飽和磁束密度Bsを得ることが可能である。
【0092】
Fe及びCoは磁性を担う元素である。Fe、Coの組成比を適切な値にすることによって高い飽和磁束密度を得ることが可能になる。後述する実験によれば、前記Feの組成比Xを56質量%以上に、且つCoの組成比Yを20質量%以上にすると、前記Bsを2.1T以上にできることが確認された。
【0093】
次に前記Rhは特に耐食性を高めるために添加される元素であり、前記Rhが少なすぎると効果的に耐食性を向上させることはできず、多すぎても磁性を担うFe、Co量の減少によって飽和磁束密度Bsの低下を招く。本発明では前記Rhの組成比Wを1.7質量%以上で20質量%以下とすることで、飽和磁束密度Bsを2.1T以上にできると同時にCoとFeのみからなる軟磁性膜よりも効果的に耐食性を向上させることができる。
【0094】
また上記組成比を有するFeCoRh合金であると、結晶が緻密に形成されることで膜面の面粗れを少なくでき、耐食性を向上させることができるとともに、保磁力Hcを小さくすることができる。具体的には前記保磁力を2000(A/m)以下にすることが可能である。
【0095】
またFeCoRh合金が上記組成範囲内であると、15(μΩ・cm)以上の比抵抗を得ることができる。また膜応力を400MPa以下にすることができる。さらに異方性磁界Hkに関しては、従来から軟磁性材料として一般的に使用されているNiFe系合金と同程度の異方性磁界Hkを得ることができる。
【0096】
また前記Rhの組成比Wは、7.5質量%以上であることが好ましい。これによってNiFe合金膜と同等の耐食性を得ることが可能になることが後述する実験によってわかった。特に図1および図2のように、下部磁極層19、非磁性層のギャップ層20及び上部磁極層21が連続してメッキ形成される形態にあっては、前記下部磁極層19及び上部磁極層21の耐食性が低いと、各磁極層19、21をメッキ形成する際にこれら磁極層が溶け出して適切にメッキ形成できないという不具合が発生するため、図1及び図2のような連続メッキ膜に本発明の軟磁性膜を使用する場合には、Rhが7.5質量%以上となるCoFeRh合金膜を使用することが好ましい。
【0097】
また本発明では、前記Feの組成比X(質量%)/Coの組成比Y(質量%)の比率は、2.030以上で2.704以下で、Rhの組成比Wは7.5質量%以上で10質量%以下であり、X+Y+W=100質量%の関係を満たすことが好ましい。後述する実験によれば、各元素の組成範囲を上記範囲内に収めることで、飽和磁束密度Bsを2.2T以上にできると共に、従来からコア材等に使用されているNiFe合金と同等の耐食性を得ることができる。
【0098】
また本発明では、上記FeCoRh合金に元素β(ただし元素βはNi、Crの一方あるいは両方)が添加され、すなわち組成式はFeXCoYRhwβVで示され、Feの組成比Xは56質量%以上で、Coの組成比Yは20質量%以上で、Rhの組成比Wは1.7質量%以上で20質量%以下であり、好ましくは、Rhの組成比Wは7.5質量%以上であり、より好ましくは、前記Feの組成比X(質量%)/Coの組成比Y(質量%)の比率は、2.030以上で2.704以下で、Rhの組成比Wは7.5質量%以上で10質量%以下であり、さらに前記元素βの組成比Vは、0.5質量%以上で5質量%以下であり、X+Y+W+V=100質量%の関係を満たす軟磁性膜であってもよい。
【0099】
前記上部磁極層21及び/または下部磁極層19を、上記組成範囲内のFeCoRhβ合金で形成することにより、飽和磁束密度Bsを2.1T以上あるいは2.2T以上にできる。また表面に不動態膜を形成する元素βの添加により、さらに耐食性を向上させることができる。またNiの添加により特に膜応力を小さくすることが可能であるから、元素βとしてNiを選択する方が好ましい。
【0100】
以上のように本発明では、上記したFeCoRh合金あるいはFeCoRhβ合金は、2.1T以上、好ましくは2.2T以上の高い飽和磁束密度Bsを得ることが可能であるので、前記FeCoRh合金あるいはFeCoRhβ合金を上部磁極層21及び/または下部磁極層19に使用することにより、前記磁極層のギャップ近傍に磁束を集中させて記録密度を向上させることが可能であるとともに、Rhを含まないFeCo合金を使用する場合に比べて耐食性に優れ、あるいはNiFe合金と同等の耐食性を有する薄膜磁気ヘッドを製造することが可能である。
【0101】
上記した(1)及び(2)の軟磁性膜は、以下に説明する薄膜磁気ヘッドの構造にも使用することができる。
【0102】
図3は、本発明における第2実施形態の薄膜磁気ヘッドの構造を示す部分正面図、図4は図3に示す4−4線から薄膜磁気ヘッドを切断し矢印方向から見た縦断面図である。
【0103】
この実施形態では、MRヘッドh1の構造は図1及び図2と同じである。
図3に示すように下部コア層16上には、例えば無機絶縁材料で形成された絶縁層31が形成されている。前記絶縁層31には、記録媒体との対向面からハイト方向(図示Y方向)後方に所定の長さ寸法で形成されたトラック幅形成溝31aが形成されている。前記トラック幅形成溝31aは記録媒体との対向面においてトラック幅Twで形成されている(図3を参照のこと)。
【0104】
前記トラック幅形成溝31aには、下から下部磁極層32、非磁性のギャップ層33、及び上部磁極層34が積層された磁極部30が形成されている。
【0105】
前記下部磁極層32は、下部コア層16上に直接メッキ形成されている。また前記下部磁極層32の上に形成されたギャップ層33は、メッキ形成可能な非磁性金属材料で形成されていることが好ましい。具体的には、NiP、NiPd、NiW、NiMo、Au、Pt、Rh、Pd、Ru、Crのうち1種または2種以上から選択されたものであることが好ましい。
【0106】
なお本発明における具体的な実施形態として前記ギャップ層33にはNiPが使用される。NiPで前記ギャップ層33を形成することで前記ギャップ層33を適切に非磁性状態にできるからである。
【0107】
なお前記磁極部30は、ギャップ層33及び上部磁極層34の2層で構成されていてもよい。
【0108】
前記ギャップ層33の上には、記録媒体との対向面からギャップデプス(Gd)だけ離れた位置から絶縁層31上にかけてGd決め層37が形成されている。前記Gd決め層37は例えば有機絶縁材料で形成される。
【0109】
さらに前記ギャップ層33の上に形成された上部磁極層34は、その上に形成される上部コア層40と磁気的に接続される。
【0110】
上記のようにギャップ層33がメッキ形成可能な非磁性金属材料で形成されると、下部磁極層32、ギャップ層33及び上部磁極層34を連続メッキ形成することが可能である。
【0111】
図4に示すように前記絶縁層31の上にはコイル層38が螺旋状にパターン形成されている。前記コイル層38は有機絶縁材料などで形成された絶縁層39によって覆われている。
【0112】
図3に示すように、トラック幅規制溝31aのトラック幅方向(図示X方向)における両側端面には、前記上部磁極層34の上面から前記絶縁層31の上面31bにかけて下部コア層16から離れる方向にしたがって徐々に幅寸法が広がる傾斜面31c,31cが形成されている。
【0113】
そして図3に示すように上部コア層40の先端部40aは、前記上部磁極層34上面から前記傾斜面31c,31c上にかけて下部コア層16から離れる方向に形成されている。
【0114】
図4に示すように前記上部コア層40は、記録媒体との対向面からハイト方向(図示Y方向)にかけて絶縁層39上に形成され、前記上部コア層40の基端部40bは下部コア層16上に直接形成されている。
【0115】
図3及び図4に示す第2実施形態では、下部磁極層32及び/または上部磁極層34が、上記した(1)あるいは(2)の軟磁性膜でメッキ形成される。これによってギャップ近傍に磁束を集中させることができ、記録密度を向上させることができ、高記録密度化に優れるとともに元素αを含まないFeCo合金を用いた場合に比べて耐食性に優れた薄膜磁気ヘッドの製造が可能である。
【0116】
図1ないし図4に示す実施形態では、いずれも下部コア層16と上部コア層22、40間に磁極部18、30を有し、前記磁極部18,30を構成する下部磁極層19,32及び/または上部磁極層21,34は、上記した(1)あるいは(2)の軟磁性膜でメッキ形成されるが、前記上部磁極層21,34の上に重ねて形成される上部コア層22,40はNiFe系合金でメッキ形成されていることが好ましい。
【0117】
前記上部コア層22,40は飽和磁束密度Bsよりもむしろ比抵抗が高いことが好ましい。高周波帯域での記録時において、上部コア層22,40から前記上部磁極層21,34に適切に記録磁界を導くには、前記上部コア層22,40の部分で渦電流損失が発生することを抑制する必要があるため、本発明では、上記の(1)あるいは(2)の軟磁性膜よりも比抵抗の高いNiFe系合金を上部コア層22,40に用いることが、高記録密度化を図る上で効果的である。なお前記上部コア層22,40には例えばNi80Fe20合金が使用される。
【0118】
ところで本発明では上部磁極層21,34として上記の(1)あるいは(2)の軟磁性膜を使用し、上部コア層22,40としてNiFe系合金を使用しているが、これにより前記上部コア層22,40を電気メッキ法にてメッキ形成しているとき、前記上部磁極層21,34がイオン化されて溶け出すのを適切に防止することができる。
【0119】
本発明における元素αあるいはRhは、その元素自体がイオン化されにくい貴金属であり、これらが添加されることで、上部磁極層21,34のイオン化を阻止することが可能である。
【0120】
あるいはFeCoαβ合金あるいはFeCoRhβ合金を上部磁極層21,34として使用する場合、イオン化されにくい元素αあるいはRhの他に、表面に不動態膜を形成しやすいNiやCrが添加されていることで、より効果的に前記上部磁極層21,34のイオン化を抑制することができ、高い飽和磁束密度Bs及び耐食性に優れた磁極を形成することができる。
【0121】
なお下部磁極層19,32も上記の(1)あるいは(2)の軟磁性膜で形成されることが好ましく、これにより上部コア層22,40をメッキ形成するときの、前記下部磁極層19,32のイオン化を効果的に抑制することが可能である。
【0122】
また本発明では、前記下部磁極層19,32及び/または上部磁極層21,34は2層以上の磁性層が積層されて構成されていてもよい。かかる構成の場合、ギャップ層20,33に接する側の磁性層が上記の(1)あるいは(2)の軟磁性膜で形成されることが好ましい。これによってギャップ近傍に磁束をより集中させることができ、今後の高記録密度化に対応可能な薄膜磁気ヘッドを製造することが可能である。
【0123】
また前記ギャップ層20,33に接する磁性層以外の他の磁性層は、如何なる材質、組成比の磁性材料で形成されても良いが、前記ギャップ層20,33に接する側の磁性層よりも飽和磁束密度Bsが小さくなることが好ましく、例えば前記他の磁性層はNiFe系合金で形成されることが好ましい。これにより前記他の磁性層からギャップ層20,33に接する側の磁性層に適切に記録磁界が導かれ高記録密度化を図ることが可能になると共に、前記他の磁性層をメッキ形成するときの、前記ギャップ層20,33に接する側の磁性層のイオン化を適切に防止することができる。
【0124】
なお前記他の磁性層はNiFe系合金で形成される必要はなく、上記の(1)あるいは(2)の軟磁性膜などで形成されても良いが、ギャップ層20,33に接する側の磁性層よりも低い飽和磁束密度Bsを有するように組成比を適切に調整することが好ましい。その方法としてはギャップ層20,33に接する側の磁性層に比べてFe量を減少させればよい。
【0125】
また下部磁極層19,32の飽和磁束密度Bsは高いことが好ましいが、上部磁極層21,34の飽和磁束密度Bsよりも低くすることにより、下部磁極層と上部磁極層との間における洩れ磁界を磁化反転しやすくすると、より記録媒体への信号の書込み密度を高くできる。
【0126】
また図1ないし図4のように下部磁極層19、32及び上部磁極層21、34間に非磁性のギャップ層20、33がメッキ形成される場合、前記下部磁極層19、32及び上部磁極層21、34の耐食性はNiFe合金膜と同等程度であることが好ましい。磁極層やギャップ層をメッキ形成する際に、前記磁極層が溶け出して適切にメッキ形成できないという不具合が発生するからである。そこで本発明では前記下部磁極層19、32及び上部磁極層21、34に上記した(1)の軟磁性膜、あるいはRhが7.5質量%以上の(2)の軟磁性膜を使用することが好ましい。
【0127】
図5は本発明における第3実施形態の薄膜磁気ヘッドの縦断面図である。
この実施形態ではMRヘッドh1が図1と同じである。図5に示すように下部コア層16にはアルミナなどによる磁気ギャップ層(非磁性材料層)41が形成されている。さらに前記磁気ギャップ層41の上にはポリイミドまたはレジスト材料製の絶縁層43を介して平面的に螺旋状となるようにパターン形成されたコイル層44が設けられている。なお、前記コイル層44はCu(銅)などの電気抵抗の小さい非磁性導電性材料で形成されている。
【0128】
さらに、前記コイル層44はポリイミドまたはレジスト材料で形成された絶縁層45に囲まれ、前記絶縁層45の上に軟磁性材料製の上部コア層46が形成されている。
【0129】
図5に示すように、前記上部コア層46の先端部46aは、記録媒体との対向面において、下部コア層16の上に前記磁気ギャップ層41を介して対向し、磁気ギャップ長Gl1の磁気ギャップが形成されており、上部コア層46の基端部46bは図5に示すように、下部コア層16と磁気的に接続されている。
【0130】
本発明では、下部コア層16及び/または上部コア層46は、上記した(1)あるいは(2)の軟磁性膜で形成される。これにより飽和磁束密度Bsを2.0T以上あるいは2.1T以上にできるとともに元素αあるいはRhが添加されていないFeCo合金に比べて耐食性を向上させることができる。
【0131】
上部コア層46及び/または下部コア層16が、2.0T以上あるいは2.1T以上の高い飽和磁束密度Bsを有する上記した(1)あるいは(2)の軟磁性膜で形成されることで、ギャップ近傍に磁束を集中させることができ、記録密度を向上させることができるから、高記録密度化に優れ、しかも元素αやRhを含まないFeCo合金を用いた場合に比べて耐食性に優れた薄膜磁気ヘッドの製造が可能である。
【0132】
また図1ないし図4と異なって、図5に示す実施形態のように磁気ギャップ層41が、アルミナ(Al23)やSiO2などのスパッタ膜で形成される場合、その上あるいは下に形成されるコア層16、46は、少なくともFeCo合金膜よりも高い耐食性を有していれば、前記コア層16、46をメッキ形成する際に前記コア層16、46が溶け出すという不具合は発生せず、したがって特にコア層16、46を上記の(2)の軟磁性膜で形成する場合、Rhの組成比Wは1.7質量%以上あればよい。
【0133】
図6は本発明における第4実施形態の薄膜磁気ヘッドの縦断面図である。
図5との違いは、上部コア層46が2層の磁性層で積層されて構成されていることである。
【0134】
前記上部コア層46は、高い飽和磁束密度Bsを有する高Bs層47とその上に積層された上層48とで構成されている。
【0135】
前記高Bs層47及び/または下部コア層16は、上記した(1)あるいは(2)の軟磁性膜で形成される。これにより飽和磁束密度Bsを2.0T以上あるいは2.1T以上にできるとともに元素αあるいはRhが添加されていないFeCo合金に比べて耐食性を向上させることができる。
【0136】
前記上部コア層46を構成する上層48は、高Bs層47に比べて飽和磁束密度Bsが小さくなっているものの、前記高Bs層47よりも比抵抗が高くされている。前記上層48は例えばNi80Fe20合金で形成される。
【0137】
前記NiFe系合金は本発明におけるFeCoα合金、FeCoNiα合金、FeCoRh合金及びFeCoRhβ合金よりも飽和磁束密度Bsが低くなるものの比抵抗は高くなる。これによって前記高Bs層47が前記上層48よりも高い飽和磁束密度Bsを有し、ギャップ近傍に磁束を集中させて、記録分解能を向上させることが可能になる。なお前記上層48はNiFe系合金で形成される必要はなく、FeCoα合金やFeCoRh合金などで形成されてもよいが、かかる場合、上層48の飽和磁束密度Bsが高Bs層47の飽和磁束密度Bsよりも小さくなるように組成比を調整する必要がある。その方法としてはFe量を高Bs層47に含まれるFe量よりも少なくすればよい。
【0138】
また前記上部コア層46に比抵抗の高い上層48が設けられたことで、記録周波数が上昇することにより発生する渦電流による損失を低減させることができ、今後の高記録周波数化に対応可能な薄膜磁気ヘッドを製造することができる。
【0139】
また本発明では図6に示すように、高Bs層47が、ギャップ層41と対向する下層側に形成されていることが好ましい。また前記高Bs層47はギャップ層41上に直接接する上部コア層46の先端部46aのみに形成されていてもよい。
【0140】
また下部コア層16も、高Bs層と高比抵抗層の2層で構成されていてもよい。かかる構成の場合、高比抵抗層の上に高Bs層が積層され、前記高Bs層がギャップ層41を介して上部コア層46と対向する。
【0141】
また図6に示す実施形態では、上部コア層46が2層の積層構造となっているが、3層以上であってもよい。かかる構成の場合、高Bs層47は、磁気ギャップ層41に接する側に形成されることが好ましい。
【0142】
また高Bs層47を本発明における上記した(1)あるいは(2)の軟磁性膜で形成し、上層48をNiFe系合金で電気メッキ法にてメッキ形成するとき、前記高Bs層47にはその元素自体イオン化され難いRh、Pt、Pd、Ru、Irの貴金属が含まれており、あるいは表面に不動態膜が形成されやすいNiが含まれているので、前記高Bs層47がイオン化されて溶け出す現象を適切に抑制することができる。
【0143】
図7は本発明における第5実施形態の薄膜磁気ヘッドの縦断面図である。
図7の実施形態ではMRヘッドh1の構成は図1と同じである。図7に示すように下部コア層16の上に下部磁極層50が記録媒体との対向面から隆起形成されている。前記下部磁極層50のハイト方向後方(図示Y方向)には絶縁層51が形成されている。前記絶縁層51の上面は、凹形状となり、コイル形成面51aが形成されている。
【0144】
前記下部磁極層50上から前記絶縁層51上にかけてギャップ層52が形成されている。さらに前記絶縁層51のコイル形成面51a上にはギャップ層52を介してコイル層53が形成されている。前記コイル層53上は有機絶縁製の絶縁層54によって覆われている。
【0145】
図7に示すように上部コア層55は、前記ギャップ層52上から絶縁層54上にかけて例えばフレームメッキ法によりパターン形成されている。
【0146】
前記上部コア層55の先端部55aは前記ギャップ層52上に下部磁極層50と対向して形成される。前記上部コア層55の基端部55bは、下部コア層16上に形成された持上げ層56を介して前記下部コア層16に磁気的に接続される。
【0147】
この実施形態においては、上部コア層55及び/または下部磁極層50は、上記の(1)あるいは(2)の軟磁性膜で形成される。これにより飽和磁束密度Bsを2.0T以上あるいは2.1T以上にできるとともに元素αあるいはRhを含有しないFeCo合金に比べて耐食性を向上させることができる。
【0148】
前記下部磁極層50及び上部コア層55が上記の(1)あるいは(2)の軟磁性膜で形成されることで、ギャップ近傍に磁束を集中させることができ、記録密度を向上させることができるから、高記録密度化に優れ、しかも元素αやRhを含まないFeCo合金を用いた場合に比べて耐食性に優れた薄膜磁気ヘッドの製造が可能である。なお前記飽和磁束密度Bsは2.2T以上であることが好ましい。
【0149】
図7では下部磁極層50が形成され、前記下部磁極層50が下部コア層16よりも高い飽和磁束密度Bsを有する上記の(1)あるいは(2)の軟磁性膜で形成されると、ギャップ近傍に磁束を集中させることができ記録密度の向上を図ることが可能である。
【0150】
また上部コア層55は、その全体が上記の(1)あるいは(2)の軟磁性膜で形成されていてもよいが、図6と同様に前記上部コア層55が2層以上の磁性層の積層構造であり、そのギャップ層52と対向する側が高Bs層として上記の(1)あるいは(2)の軟磁性膜で形成されていてもよい。またかかる場合、前記上部コア層55の先端部55aのみが2層以上の磁性層の積層構造で形成され、前記ギャップ層52上に接して高Bs層が形成されていることが、ギャップ近傍に磁束を集中させ、記録密度を向上させる点からして好ましい。
【0151】
なお各実施形態において、符号16の層は、下部コア層と上部シールド層の兼用層となっているが、前記下部コア層と上部シールド層とが別々に形成されていてもよい。かかる場合、前記下部コア層と上部シールド層間には絶縁層を介在させる。
【0152】
次に図1ないし図7に示す薄膜磁気ヘッドの一般的な製造方法について以下に説明する。
【0153】
図1及び図2に示す薄膜磁気ヘッドは、下部コア層16上にGd決め層17を形成した後、レジストを用いて記録媒体との対向面からハイト方向に下部磁極層19、非磁性のギャップ層20及び上部磁極層21から成る磁極部18を連続メッキによって形成する。次に前記磁極部18のハイト方向後方に絶縁層23を形成した後、例えばCMP技術を用いて前記磁極部18の上面と前記絶縁層23の上面とを同一平面に平坦化する。前記絶縁層23の上にコイル層24を螺旋状にパターン形成した後、前記コイル層24の上に絶縁層25を形成する。そして前記磁極部18上から絶縁層25上にかけて上部コア層22を例えばフレームメッキ法により形成する。
【0154】
図3及び図4に示す薄膜磁気ヘッドは、下部コア層16上に絶縁層31を形成した後、レジストを用いて前記絶縁層31の記録媒体との対向面からハイト方向後方に向けてトラック幅形成溝31aを形成する。さらに前記トラック幅形成溝31aに図3に示す傾斜面31c,31cを形成する。
【0155】
前記トラック幅形成溝31a内に、下部磁極層32、非磁性のギャップ層33を形成する。前記ギャップ層33上から絶縁層31上にGd決め層37を形成した後、前記ギャップ層33上に上部磁極層34をメッキ形成する。次に前記絶縁層31上にコイル層38を螺旋状にパターン形成した後、前記コイル層38上に絶縁層39を形成する。そして前記上部磁極層34上から絶縁層39上にかけて上部コア層40を例えばフレームメッキ法にて形成する。
【0156】
図5、図6に示す薄膜磁気ヘッドは、まず下部コア層16上にギャップ層41を形成し、さらに絶縁層43を形成した後、前記絶縁層43の上にコイル層44をパターン形成する。前記コイル層44上に絶縁層45を形成した後、ギャップ層41から前記絶縁層45上にかけて上部コア層46をフレームメッキ法によりパターン形成する。
【0157】
図7に示す薄膜磁気ヘッドは、まず下部コア層16上にレジストを用いて下部磁極層50を形成し、さらに前記下部磁極層50のハイト方向後方に絶縁層51を形成する。前記下部磁極層50と前記絶縁層51の上面はCMP技術によって一旦平坦化された後、前記絶縁層51の上面に凹形状となるコイル形成面51aを形成する。次に前記下部磁極層50上から前記絶縁層51上にギャップ層52を形成した後、前記ギャップ層52上にコイル層53を螺旋状にパターン形成し、さらに前記コイル層53上に絶縁層54を形成する。そして、前記ギャップ層52上から絶縁層54上にかけて上部コア層55を例えばフレームメッキ法によりパターン形成する。
【0158】
次に本発明における、Feの組成比X(質量%)/Coの組成比Y(質量%)の比率が、2以上で5以下で、元素α(ただし元素αは、Pd)の組成比Yが、0.5質量%以上で18質量%以下であり、X+Y+Z=100質量%の関係を満たすFeCoα合金のメッキ形成法について以下に説明する。
【0159】
本発明では、前記FeCoα合金を電気メッキ法によってメッキ形成するものである。
【0160】
前記電気メッキ法には、直流電流を用いた電気メッキ法やパルス電流を用いた電気メッキ法などがある。本発明では、直流電流による電気メッキ法を使用することが可能である。
【0161】
ただし、以下の理由によりパルス電流を用いた電気メッキ法を用いることが好ましいとした。
【0162】
パルス電流を用いた電気メッキ法では、例えば電流制御素子のON/OFFを繰返し、メッキ形成時に、電流を流す時間と、電流を流さない空白な時間を設ける。このように電流を流さない時間を設けることで、FeCoα合金膜を、少しずつメッキ形成し、従来のように直流電流を用いた場合に比べメッキ形成時における電流密度の分布の偏りを緩和することが可能になっている。
【0163】
なおパルス電流は、例えば数秒サイクルでON/OFFを繰返し、デューティー比を0.1〜0.5程度にすることが好ましい。パルス電流の条件は、FeCoα合金の平均結晶粒径及び膜面の中心線平均粗さRaに影響を与える。
【0164】
上記のようにパルス電流による電気メッキ法では、メッキ形成時における電流密度の分布の偏りを緩和することができる。
【0165】
本発明では、Feイオン濃度を1.2g/l以上で3.2g/l以下とし、Coイオン濃度を0.86g/l以上で1.6g/l以下とし、元素αイオン濃度を0.2mg/l以上で6mg/l以下とする。後述の実験結果に示すように、上記比率であると確実にFeの組成比X(質量%)/Coの組成比Y(質量%)の比率を、2以上で5以下にでき、元素αの組成比Zを、0.5質量%以上で18質量%以下にできる。
【0166】
上記のメッキ浴組成では、Feのイオン濃度が従来に比べて低いことが特徴的である。従来では、前記Feイオン濃度は例えば4.0g/l程度であったが、低濃度にすることで攪拌効果を上げることができ、より適切にFeCoα合金のFe含有量を大きくすることができるとともに緻密な結晶を形成でき、耐食性に優れたFeCoα合金にすることができる。
【0167】
また本発明では前記Feの組成比X(質量%)/Coの組成比Y(質量%)の比率が、2.6以上で4.3以下で、元素αの組成比Zが3質量%以上で9質量%以下であり、X+Y+Z=100質量%の関係を満たすFeXCoYαZ合金をメッキ形成することが好ましく、上記したメッキ浴組成を適切に調整することで前記組成比を有するFeCoα合金を容易に製造することが可能である。上記の組成範囲で形成されたFeCoα合金では、飽和磁束密度Bsを2.2T以上にできる。
【0168】
また本発明では、メッキ浴中に元素βイオンを含ませることで、FeXCoYαZβV合金をメッキ形成することができる。前記元素βイオン濃度は、0.3g/l以上で1g/l以下であることが好ましく、これにより元素βの組成比Vを、0.5質量%以上で5質量%以下にでき、X+Y+Z+V=100質量%の関係を満たす、FeXCoYαZβV合金をメッキ形成することができる。
【0169】
次に本発明における、Feの組成比Xが56質量%以上で、Coの組成比Yが20質量%以上で、Rhの組成比Wが1.7質量%以上で20質量%以下であり、X+Y+W=100質量%の関係を満たすFeXCoYRhw合金のメッキ形成法について以下に説明する。
【0170】
本発明では、前記FeCoRh合金を電気メッキ法によってメッキ形成するものである。
【0171】
前記電気メッキ法には、直流電流を用いた電気メッキ法やパルス電流を用いた電気メッキ法などがある。本発明では、直流電流による電気メッキ法を使用することが可能であるが、上記したようにパルス電流を用いた電気メッキ法を用いた方が、従来のように直流電流を用いた場合に比べメッキ形成時における電流密度の分布の偏りを緩和することが可能になっている。
【0172】
本発明では、Feイオン濃度を1.0g/l以上で5.0g/l以下とし、Coイオン濃度を0.1g/l以上で5.0g/l以下とし、Rhイオン濃度を1.0mg/l以上で10.0mg/l以下とする。後述の実験結果に示すように、上記比率であると確実にFeの組成比Xを、56質量%以上で、Coの組成比Yを20質量%以上で、Rhの組成比Wを、1.7質量%以上で20質量%以下にできる。
【0173】
上記のメッキ浴組成では、Feのイオン濃度が従来に比べて低いことが特徴的である。従来では、前記Feイオン濃度は例えば4.0g/l程度であったが、低濃度にすることで攪拌効果を上げることができ、より適切にFeCoRh合金のFe含有量を大きくすることができるとともに緻密な結晶を形成でき、耐食性に優れたFeCoRh合金にすることができる。
【0174】
また本発明では前記Rhの組成比Wが7.5質量%以上であるFeXCoYRhW合金をメッキ形成することが好ましく、上記したメッキ浴組成を適切に調整することで前記組成比を有するFeCoRh合金を容易に製造することが可能である。上記の組成範囲で形成されたFeCoRh合金では、NiFe合金膜と同程度の耐食性を有する軟磁性膜を形成することができる。
【0175】
さらに本発明では前記Feの組成比X(質量%)/Coの組成比Y(質量%)の比率が、2.030以上で2.704以下で、Rhの組成比Wが7.5質量%以上で10質量%以下であり、X+Y+W=100質量%の関係を満たすFeXCoYRhw合金をメッキ形成することが好ましく、上記したメッキ浴組成を適切に調整することで前記組成比を有するFeCoRh合金を容易に製造することが可能である。上記の組成範囲で形成されたFeCoRh合金では、飽和磁束密度Bsを2.2T以上にできるとともに、NiFe合金膜と同程度の耐食性を得ることが可能になる。
【0176】
また本発明では、メッキ浴中に元素βイオンを含ませることで、FeXCoYRhWβV合金をメッキ形成することができる。前記元素βイオン濃度は、10.0g/l以上で20.0g/l以下であることが好ましく、これにより元素βの組成比Vを、0.5質量%以上で5質量%以下にでき、X+Y+W+V=100質量%の関係を満たす、FeXCoYRhWβV合金をメッキ形成することができる。
【0177】
また本発明では、FeCoα合金、FeCoαβ合金、FeCoRh合金あるいはFeCoRhβ合金のメッキ浴中にサッカリンナトリウム(C64CONNaSO2)を混入することが好ましい。前記サッカリンナトリウムは応力緩和剤の役割を持っており、メッキ形成されたFeCoα合金、FeCoαβ合金、FeCoRh合金及びFeCoRhβ合金の膜応力を低減させることが可能になる。
【0178】
また上記したFeCoα合金、FeCoαβ合金、FeCoRh合金あるいはFeCoRhβ合金のメッキ浴中に、2−ブチン−1、4ジオールを混入することが好ましい。これにより前記FeCoα合金、FeCoαβ合金、FeCoRh合金及びFeCoRhβ合金の結晶粒径の粗大化を抑制し保磁力Hcを低減させることができる。
【0179】
また本発明では、前記FeCoα合金、FeCoαβ合金、FeCoRh合金あるいはFeCoRhβ合金のメッキ浴中に2−エチルヘキシル硫酸ナトリウムを混入することが好ましい。
【0180】
前記2−エチルヘキシル硫酸ナトリウムは界面活性剤である。前記2−エチルヘキシル硫酸ナトリウムの混入によって、FeCoα合金、FeCoαβ合金、FeCoRh合金及びFeCoRhβ合金のメッキ形成時に発生する水素を除去でき、メッキ膜に前記水素が付着することを防止することができる。前記メッキ膜に水素が付着すると、結晶が緻密に形成されずその結果、膜面の面粗れをひどくする原因となるため、本発明のように前記水素を除去することで、前記メッキ膜の膜面の面粗れを小さくでき、保磁力Hcを小さくすることが可能である。
【0181】
なお前記2−エチルヘキシル硫酸ナトリウムに代えてラウリル硫酸ナトリウムを混入してもよいが、前記ラウリル硫酸ナトリウムは、前記2−エチルヘキシル硫酸ナトリウムに比べてメッキ浴中に入れたとき泡立ちやすいために、前記ラウリル硫酸ナトリウムを効果的に水素を除去できる程度に混入することが難しい。このため本発明では、前記ラウリル硫酸ナトリウムに比べて泡立ちにくい2−エチルヘキシル硫酸ナトリウムを水素を効果的に除去できる程度に混入することができて好ましい。
【0182】
また前記メッキ浴中にホウ酸を混入することが好ましい。ホウ酸は、電極表面のpH緩衝剤となり、またメッキ膜の光沢を出すのに効果的である。
【0183】
上記した軟磁性膜の製造方法を用いて図1ないし図7の各図におけるコア層及び磁極層をメッキ形成する。
【0184】
上記の製造方法によれば、再現性良くしかも容易に、上記の(1)あるいは(2)の軟磁性膜をメッキ形成でき、飽和磁束密度Bsが2.0T以上あるいは2.1T以上と高く高記録密度化に対応でき、しかも耐食性に優れた薄膜磁気ヘッドを製造することが可能である。
【0185】
なお本発明では、上記の(1)あるいは(2)の軟磁性膜の用途として図1ないし図7に示す薄膜磁気ヘッドを提示したが、この用途に限定されるものではない。例えば上記の(1)あるいは(2)の軟磁性膜は、薄膜インダクタ等の平面型磁気素子等にも使用可能である。
【0186】
【実施例】
本発明では、以下に示されたメッキ浴からパルス電流による電気メッキ法を用いてFeCoPd合金をメッキ形成し、この際、前記FeCoPd合金の組成比と飽和磁束密度Bsとの関係について調べた。
【0187】
(メッキ浴組成)
▲1▼FeSO4・7H2O 6g/l〜16g/l(Feイオン濃度は、1.2g/l〜3.2g/l)
▲2▼CoSO4・7H2O 4.1g/l〜7.6g/l(Coイオン濃度は、0.86g/l〜1.6g/l)
▲3▼PdCl2 0〜10mg/l(Pdイオン濃度は、0g/l〜6mg/l)
▲4▼サッカリンナトリウム 2g/l
▲5▼塩化ナトリウム 25g/l
▲6▼ホウ酸 25g/l
▲7▼2−エチルヘキシル硫酸ナトリウム 0.15ml/l
また実験に際して以下の成膜条件を共通にした。
【0188】
まず電極のpHを2.3に設定した。またパルス電流のデューティー比(ON/OFF)を500/500msecに設定した。また電流を500〜1000mAに設定した。
【0189】
そして本発明では、Si基板上にCu下地層をスパッタ形成した後、前記Cu下地層上に上記のメッキ浴からFeCoPd合金あるいはFeCo合金を0.5μm〜1μmの膜厚でメッキ形成した。
その実験結果は、以下の表1に示されている。
【0190】
【表1】
Figure 0003672533
表1に示されたFe、Co及びPdの各組成比と飽和磁束密度Bsとの関係をまとめたのが図8の三元図である。
【0191】
図9は、図8の領域Aの組成範囲内を拡大した部分三元図である。
実験によれば、Feの組成比X(質量%)/Coの組成比Y(質量%)を5質量%としたライン、Feの組成比X(質量%)/Coの組成比Y(質量%)を2としたライン、Pdの組成比を18質量%としたライン、Pdの組成比を0.5としたラインで囲まれる領域B内の組成範囲であれば、飽和磁束密度Bsを2.0T以上にでき、しかもPdを含まないFeCo合金に比べて耐食性に優れた軟磁性膜を製造することができることがわかった。
【0192】
次に、Feの組成比X(質量%)/Coの組成比Y(質量%)を4.3としたライン、Feの組成比X(質量%)/Coの組成比Y(質量%)を2.6としたライン、Pdの組成比を9質量%としたライン、Pdの組成比を3質量%としたラインで囲まれる領域C内の組成範囲であれば、飽和磁束密度Bsを2.2T以上にでき、しかもPdを含まないFeCo合金に比べて耐食性に優れた軟磁性膜を製造することができることがわかった。
【0193】
上記したFeの組成比X(質量%)/Coの組成比Y(質量%)の比率の範囲は、飽和磁束密度Bsとの関係から求めたものである。
【0194】
図10は、表1の各サンプルに示すFeの組成比X(質量%)/Coの組成比Y(質量%)の比率と飽和磁束密度Bsとの関係を示すグラフである。
【0195】
図10に示すように、Feの組成比X(質量%)/Coの組成比Y(質量%)を2以上で5以下にすれば確実に飽和磁束密度Bsを2.0T以上にできることがわかる。
【0196】
次に図10に示すように、Feの組成比X(質量%)/Coの組成比Y(質量%)を3から4程度にすると前記飽和磁束密度Bsを最も大きくでき、本発明ではこの実験結果から好ましい前記Feの組成比X(質量%)/Coの組成比Y(質量%)の比率を2.6以上で4.3以下とした。これによって飽和磁束密度Bsを2.2T以上確保できることがわかる。
【0197】
ただし前記飽和磁束密度Bsは、図10を見てわかるように、Pdの組成比にも依存する。当然のことながら前記Pdの組成比を大きくしていけば、Feの組成比X(質量%)/Coの組成比Y(質量%)を上記比率内に収めても、磁性を担うFe、Co量が減少するため、飽和磁束密度Bsは低下しやすくなる。
【0198】
また前記Pdは耐食性を向上させるために添加される貴金属である。耐食性の向上のためには前記Pdをある程度、FeCo系合金内に含有させないと、その効果を適切に発揮させることはできない。
【0199】
そこで次に前記Pdの組成比を限定することとした。
本発明ではFeCo系合金中に含まれるPdの組成比と耐食性との関係について実験を行った。実験は、表1から選択された6つのサンプルを用意して行った。各サンプルの膜構成は、Fe20Ni80合金膜/軟磁性膜/NiP合金膜/Fe60Ni40とした。
【0200】
表1からは、上記膜構成中の軟磁性膜としてパルス電流による電気メッキ法にてメッキ形成されたFe72Co28合金からなるサンプル2、Fe78.72Co20.78Pd0.5合金からなるサンプル11、Fe68Co27Pd5合金からなるサンプル24、Fe63.51Co26.59Pd9.9からなるサンプル32、Fe55.55Co26.9Pd17.55合金からなるサンプル33の5つを用意し、さらに新たに、Fe70Ni30からなるサンプル34を用意した。
【0201】
そしてこれら各サンプルを温純水(60℃)、純水(45℃)、市水(45℃)、希硫酸(pH=2)に浸し、その後、各サンプルを切断して耐食性の良否を評価した。評価は10段階の評価とし、10の評価は、軟磁性膜の部分が全く腐食されておらず、すなわち最も耐食性に優れていることを意味する。また10の評価から数字が1つ減る毎に、軟磁性膜の部分の腐食の度合が大きくなり、1の評価は、軟磁性膜の部分がほとんど腐食され、最も耐食性が悪いことを意味する。
その実験結果をまとめたのが以下の表2である。
【0202】
【表2】
Figure 0003672533
【0203】
表2に示すように、軟磁性膜にFe70Ni30合金膜を選択したサンプル34では、いずれの液に浸したときでも耐食性の評価が高く非常に耐食性に優れていることがわかった。
【0204】
これに対し、軟磁性膜にFe72Co28合金膜を選択したサンプル2では、温純水(60℃)及び市水(45℃)における耐食性の評価が3の評価と4の評価と低く、希硫酸に浸した時の評価はすべて5であり、腐食しやすいことがわかった。
【0205】
このように、軟磁性膜にFe72Co28合金膜を選択した場合、耐食性が低下する原因は、Fe72Co28合金膜の上にFe60Ni40合金膜を電気メッキ法にてメッキ形成するとき、前記FeCo合金膜とNiFe系合金膜との間に大きな電位差(標準電極電位差)が発生し、この電位差によりいわゆる電池効果が生じて前記FeCo合金膜が溶け出すからであると考えられる。
【0206】
一方、FeCo合金にPdを0.5質量%含有させたサンプル11では、Pdを含有しないサンプル2と比較して見ると、特に、希硫酸に浸した時、耐食性が改善されたことがわかる。希硫酸は、スライダ加工などで使用される洗浄液の一つであり、この希硫酸での耐食性の改善は、スライダ加工時に、さらに希硫酸を使用しやくなり好ましい。
【0207】
さらにPdの組成比を増やしたサンプル24、32及び33では、Pdを含まないサンプル2に比べて飛躍的に耐食性の向上を図ることができることがわかり、特にPdを17.55質量%含有させたサンプル33に至っては、Fe70Ni30合金よりも優れた耐食性を示した。
【0208】
このようにFeCo合金にPdを含有させたFeCoPd合金膜であるとPdを含まないFeCo合金膜より耐食性が向上する理由は、Pdはそれ自体イオン化され難い貴金属だからであり、前記PdがFeCo合金内に含有されることで、FeCoPd合金の上にFeNi合金を電気メッキ法にてメッキ形成するとき前記FeCoPd合金のイオン化を抑制でき、前記FeCoPd合金の耐食性を向上させることが可能になっている。
【0209】
この表から見て、本発明ではPd量を0.5質量%すると、Pdを含まないFeCo合金に比べて効果的に耐食性の向上を図ることが可能になることがわかる。
【0210】
Pd量を0.5質量%含有するサンプルNo.11は表1に示すように、Feの組成比X(質量%)/Coの組成比Y(質量%)は約3.78であり、飽和磁束密度Bsも2.0Tを越え約2.18Tとなっている。
【0211】
このようにサンプルNo.11では、Feの組成比X(質量%)/Coの組成比Y(質量%)が2以上で5以下の範囲内に収まり、飽和磁束密度Bsを2.0T以上得ることができるととともに、耐食性を、Pdを含まない軟磁性膜に比べて向上させることができることが確認されたので、本発明では、前記Pdの組成比の下限値を0.5質量%以上に設定した。
【0212】
次に、Pdを17.55質量%含有するサンプルNo.33では表1を見てみると、Feの組成比X(質量%)/Coの組成比Y(質量%)が約2.07である。上記したように本発明では、Feの組成比X(質量%)/Coの組成比Y(質量%)を2以上で5以下に設定している。すなわちこのサンプルNo.33では、Feの組成比X(質量%)/Coの組成比Y(質量%)が2付近であり、しかもPdの組成比は、他のサンプルに比べて最も高いため、Feの組成比(絶対値)が最も小さくなっている。サンプルNo.33ではFeの組成比は約55.55質量%である。
【0213】
サンプルNo.33では、他のサンプルに比べてFeの組成比が最も低いものの、飽和磁束密度Bsは依然として2.0Tを越えている。上記したようにBsはFe量に最も影響を受けるため、サンプルNo.33程度のPdの組成比であり、且つFeの組成比X(質量%)/Coの組成比Y(質量%)を2以上5以下にすれば、飽和磁束密度を2.0T以上確保できることがわかる。
【0214】
また表2を見てみると、Pdの組成比を17.55質量%としたサンプル33は耐食性をより効果的に向上させることができることがわかる。したがって本発明では、前記Pdの組成比の上限値を18質量%以下とした。
【0215】
以上の実験結果により、本発明では、Feの組成比X(質量%)/Coの組成比Y(質量%)を2以上で5以下とし、且つPdの組成比を0.5質量%以上で18質量%以下と設定した。これによって飽和磁束密度を2.0T以上にできると共に、Pdを含まないFeCo合金に比べて耐食性に優れた軟磁性膜を製造することが可能になる。
【0216】
次に、Feの組成比X(質量%)/Coの組成比Y(質量%)を2.6以上で4.3以下とし、2.2T以上の飽和磁束密度を得ることができる場合のPdの組成比を設定する。
【0217】
表1で示すように、Pdを含むものでFeの組成比X(質量%)/Coの組成比Y(質量%)が2.6以上で4.3以下であり、飽和磁束密度が2.2Tを越えているサンプルは、No.15、17、18、19、20、22、25、26、27である。またサンプルNo.30では、飽和磁束密度Bsがわずかに2.2Tを下回るもののPd量が約9質量%に高くても2.2Tに近い飽和磁束密度Bsを得ることが可能である。
【0218】
これらサンプルのPd量を見てみると、Pd量は、約3質量%から9質量%の範囲内であることがわかる。
【0219】
そこで本発明では、Feの組成比X(質量%)/Coの組成比Y(質量%)が2.6以上で4.3以下であり、且つPd量が3質量%以上で9質量%の範囲を好ましい組成範囲とした。これにより飽和磁束密度Bsが2.2T以上で、しかもPdを含まないFeCo合金に比べて耐食性に優れた軟磁性膜を製造することができる。
【0221】
次に、FeCoRhからなる軟磁性膜の組成比と飽和磁束密度Bsとの関係について調べた。
【0222】
(メッキ浴組成)
▲1▼FeSO4・7H2O 5.0g/l〜25.0g/l(Feイオン濃度は、1.0g/l〜5.0g/l)
▲2▼CoSO4・7H2O 0.4g/l〜20.0g/l(Coイオン濃度は、0.1g/l〜5.0g/l)
▲3▼Rh(SO43 0〜48mg/l(Rhイオン濃度は、0g/l〜10mg/l)
▲4▼サッカリンナトリウム 2g/l
▲5▼塩化ナトリウム 25g/l
▲6▼ホウ酸 25g/l
▲7▼ラウリル硫酸ナトリウム 0.02ml/l
また実験に際して以下の成膜条件を共通にした。
【0223】
まず電極のpHを1.7に設定した。また直流電流を用いた電気メッキ法で、前記FeCoRh合金をメッキ形成した。このときの電流値は500〜1000mAであった。
【0224】
そして本発明では、Si基板上にCu下地層をスパッタ形成した後、前記Cu下地層上に上記のメッキ浴からFeCoRh合金あるいはFeCo合金を0.5μm〜1μmの膜厚でメッキ形成した。
その実験結果は、以下の表3に示されている。
【0225】
【表3】
Figure 0003672533
【0226】
表3に示されたFe、Co及びRhの各組成比と飽和磁束密度Bsとの関係をまとめたのが図11の三元図である。
【0227】
図12は、図11の一部の組成範囲内を拡大した部分三元図である。
実験によれば、Fe組成比Xを56質量%としたライン、Co組成比を20質量%としたライン、Rhの組成比を1.7質量%としたライン、Rhの組成比を20質量%としたラインで囲まれる領域内の組成範囲であれば、飽和磁束密度Bsを2.1T以上にでき、しかも以下に説明するようにRhを含まないFeCo合金に比べて耐食性に優れた軟磁性膜を製造することができることがわかった。
【0228】
次に上記した組成範囲内で形成されたFeCoRh合金の耐食性について調べた。実験では前記FeCoRh合金をべた膜でメッキ形成し、このメッキ膜を希硫酸(pH=2)、希硫酸(pH=4)及び温純水(60℃)に浸したときのエッチング量を調べた。その実験結果は表4に示されている。
【0229】
【表4】
Figure 0003672533
【0230】
表4に示すように、Rhが1.7質量%以上含まれていれば、FeCo合金膜よりもエッチング量を小さくできることがわかった。
【0231】
以上の実験結果から本発明では、FeCoRh合金のFe量を56質量%以上とし、Co量を20質量%以上とし、およびRh量を1.7質量%以上で20質量%以下とすれば、飽和磁束密度Bsを2.1T以上にできると共に、耐食性をFeCo合金よりも良好にできることがわかった。
【0232】
次に本発明では、図1ないし図4に示す実施形態のように、下部磁極層19、32、ギャップ層20、33及び上部磁極層21、34を連続メッキ形成したときの下部磁極層19、32及び上部磁極層21、34の耐食性について調べた。実験では下部磁極層19、32をFeCoRh合金膜でメッキ形成し、ギャップ層20、33をNiP合金膜でメッキ形成し、上部磁極層21、34を下からFeCoRh合金、およびFeNi合金の2層でメッキ形成した。
【0233】
そして実験で使用したFeCoRh合金膜の組成比の異なる各サンプルを希硫酸(pH=4)及び温純水(60℃)に浸し、どの程度エッチングされたかを官能評価した。なお実験では、上記したFeCoRh合金膜で形成された部分をFeCo合金膜で形成したサンプル、及びFeNi合金膜で形成したサンプルも用意し、これらサンプルについても同様の耐食性実験を行った。その実験結果は表5に示されている。
【0234】
【表5】
Figure 0003672533
【0235】
なお表5に示す官能評価は10段階の評価とし、10の評価は、軟磁性膜の部分が全く腐食されておらず、すなわち最も耐食性に優れていることを意味する。また10の評価から数字が1つ減る毎に、軟磁性膜の部分の腐食の度合が大きくなり、1の評価は、軟磁性膜の部分がほとんど腐食され、最も耐食性が悪いことを意味する。
【0236】
表5に示すように、下部磁極層及び上部磁極層をFeCo合金膜で形成したサンプルでは、そもそもメッキ形成が不可能で耐食性評価を行うことができなかった。
【0237】
一方、Rhを2.6質量%混入したFeCoRh合金膜では、FeCo合金膜よりも耐食性は向上するものの、官能評価はすべて「1」でかなりエッチングされてしまい耐食性は特にNiFe合金膜に比べると非常に悪かった。
【0238】
これに対し、Rhを7.5質量%以上混入したFeCoRh合金膜では、FeNi合金と同等の耐食性を得ることができることがわかった。
【0239】
以上の実験結果から特に連続メッキで形成する部分に、FeCoRh合金膜を使用する場合、Rhを7.5質量%以上にすることが好ましいことがわかった。
【0240】
次に本発明のより好ましい組成範囲について以下に説明する。本発明では飽和磁束密度Bsが2.2T以上あり、しかも耐食性がNiFe合金膜と同等程度あるFeCoRh合金であることがより好ましい。その組成範囲は表3や表5から算出すると、図12に示すFeの組成比X(質量%)/Coの組成比Y(質量%)を2.030としたライン、Feの組成比X(質量%)/Coの組成比Y(質量%)を2.704としたライン、Rhの組成比を7.5質量%としたライン、Rhの組成比を10質量%としたラインで囲まれる領域内であることがわかった。従って本発明では、FeCoRh合金膜のより好ましい組成範囲を、Feの組成比X(質量%)/Coの組成比Y(質量%)が2.030以上で2.704以下で、Rhの組成比が7.5質量%以上で10質量%以下である範囲内であるとした。
【0241】
【発明の効果】
以上詳述した本発明では、Feの組成比X(質量%)/Coの組成比Y(質量%)の比率が2以上で5以下であり、元素α(ただし元素αは、Pd)の組成比Zが、0.5質量%以上で18質量%以下であり、X+Y+Z=100質量%の関係を満たし、且つメッキ形成されるFeCoα合金であれば、2.0T以上の飽和磁束密度を得ることができると共に元素αを含まないFeCo合金に比べて耐食性に優れた軟磁性膜を製造することができる。
【0242】
また本発明では、前記Feの組成比X(質量%)/Coの組成比Y(質量%)の比率は2.6以上で4.3以下であり、元素αの組成比Zは3質量%以上で9質量%以下であり、X+Y+Z=100質量%の関係を満たすことが好ましい。これにより飽和磁束密度Bsを2.2T以上にすることができるとともに元素αを含まないFeCo合金に比べて耐食性に優れた軟磁性膜を製造することができる。
【0246】
また本発明では前記FeCoα合金に元素β(ただし元素βはNi、Crの一方あるいは両方)を添加してもよい。
【0247】
本発明では、前記FeCoα合金をパルス電流を用いた電気メッキ法あるいは直流電流を用いた電気メッキ法によりメッキ形成することで、上記した組成比を有する前記FeCoα合金を再現性良く形成することができる。
【0248】
以上のようにして形成されたFeCoα合金を薄膜磁気ヘッドの磁極層やコア層に使用することにより、前記磁極層やコア層のギャップ近傍に磁束を集中させて記録密度を向上させることが可能である。したがって今後の高記録密度化に対応可能な薄膜磁気ヘッドを製造することができる。しかも耐食性に優れた薄膜磁気ヘッドを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の薄膜磁気ヘッドの部分正面図、
【図2】図1の縦断面図、
【図3】本発明の第2実施形態の薄膜磁気ヘッドの部分正面図、
【図4】図3の縦断面図、
【図5】本発明の第3実施形態の薄膜磁気ヘッドの縦断面図、
【図6】本発明の第4実施形態の薄膜磁気ヘッドの縦断面図、
【図7】本発明の第5実施形態の薄膜磁気ヘッドの縦断面図、
【図8】電気メッキ法によりメッキ形成されたFeCoPd合金とFeCo合金の組成比と飽和磁束密度との関係を示す三元図、
【図9】図8の領域Aの部分を拡大した部分三元図、
【図10】Feの質量%/Coの質量%の比率と飽和磁束密度との関係を示すグラフ、
【図11】電気メッキ法によりメッキ形成されたFeCoRh合金とFeCo合金の組成比と飽和磁束密度との関係を示す三元図、
【図12】図11のある所定領域の部分を拡大した部分三元図、
【符号の説明】
11 スライダ
10 磁気抵抗効果素子
16 下部コア層(上部シールド層)
18、30 磁極部
19、32、50 下部磁極層
20、33 ギャップ層
21、34 上部磁極層
22、40、46、55 上部コア層
41 磁気ギャップ層
47 高Bs層
48 上層

Claims (13)

  1. メッキ浴中のFeイオン濃度を1.2g/l以上で3.2g/l以下とし、Coイオン濃度を0.86g/l以上で1.6g/l以下とし、元素αイオン濃度を0.2mg/l以上で6mg/l以下とする電気メッキ法により、Feの組成比X(質量%)/Coの組成比Y(質量%)の比率が、2以上で5以下で、元素α(ただし元素αは、Pd)の組成比Zが、0.5質量%以上で18質量%以下であり、X+Y+Z=100質量%の関係を満たすFeCoα合金をメッキ形成することを特徴とする軟磁性膜の製造方法。
  2. 前記Feの組成比X(質量%)/Coの組成比Y(質量%)の比率は、2.6以上で4.3以下で、前記元素αの組成比Zが3質量%以上で9質量%以下であり、X+Y+Z=100質量%の関係を満たすFeCoα合金をメッキ形成する請求項記載の軟磁性膜の製造方法。
  3. メッキ浴中にβイオン(ただし元素βはNi、Crの一方あるいは両方)を添加し、前記FeCoα合金に0.5質量%以上で5質量%以下の組成比Vを有する元素βを含有させ、X+Y+Z+V=100質量%の関係を満たすFeCoαβ合金をメッキ形成する請求項1または2記載の軟磁性膜の製造方法。
  4. 前記電気メッキ法には、パルス電流を用いた電気メッキ法を使用する請求項ないしのいずれかに記載の軟磁性膜の製造方法。
  5. メッキ浴中にサッカリンナトリウムを混入する請求項ないしのいずれかに記載の軟磁性膜の製造方法。
  6. 前記メッキ浴中に2−ブチン−1、4ジオールを混入する請求項ないしのいずれかに記載の軟磁性膜の製造方法。
  7. 前記メッキ浴中に2−エチルヘキシル硫酸ナトリウムを混入する請求項ないしのいずれかに記載の軟磁性膜の製造方法。
  8. 磁性材料製の下部コア層と、記録媒体との対向面で前記下部コア層と磁気ギャップを介して対向する上部コア層と、両コア層に記録磁界を誘導するコイル層とを有する薄膜磁気ヘッドの製造方法において、
    少なくとも一方のコア層を、請求項ないしのいずれかに記載された製造方法による軟磁性膜でメッキ形成することを特徴とする薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  9. 前記下部コア層上に記録媒体との対向面で下部磁極層を隆起形成し、前記下部磁極層を前記軟磁性膜でメッキ形成する請求項記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  10. 下部コア層及び上部コア層と、前記下部コア層と上部コア層との間に位置し且つトラック幅方向の幅寸法が前記下部コア層及び上部コア層よりも短く規制された磁極部とを有し、
    前記磁極部を、下部コア層と連続する下部磁極層、上部コア層と連続する上部磁極層、および前記下部磁極層と前記上部磁極層間に位置するギャップ層とで形成し、あるいは前記磁極部を、上部コア層と連続する上部磁極層、および前記上部磁極層と下部コア層との間に位置するギャップ層とで形成し、
    このとき前記上部磁極層及び/または下部磁極層を、請求項ないしのいずれかに記載された製造方法による軟磁性膜でメッキ形成することを特徴とする薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  11. 前記上部磁極層を前記軟磁性膜でメッキ形成し、前記上部磁極層上に上部コア層を電気メッキ法によりNiFe系合金膜でメッキ形成する請求項10記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  12. 前記コア層を、少なくとも磁気ギャップに隣接する部分で2層以上の磁性層で形成し、あるいは前記磁極層を2層以上の磁性層で形成し、このとき前記磁性層のうち前記磁気ギャップに接する磁性層を、前記軟磁性膜によりメッキ形成する請求項ないし11のいずれかに記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  13. 前記磁気ギャップ層に接する以外の他の磁性層を電気メッキ法によりNiFe系合金でメッキ形成する請求項12記載の薄膜磁気ヘッドの製造方法。
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