JP3673059B2 - ケーキ類及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スポンジケーキ、パウンドケーキなど各種ケーキ類及び、その製造方法に関し、詳しくは、ケーキの体積が大きく、優れた食感を有することを特徴とする各種ケーキ類及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ケーキ類では、一般に体積が大きく、食感が優れ、経時的な食感の劣化が少ないことが望まれる。又、スポンジケーキなどに於いては、焼成後の沈みのないことも重要である。
【0003】
上記要望点を改善する方法として、澱粉を使用する方法では、▲1▼未化工の小麦澱粉、コーンスターチで置換する方法、▲2▼澱粉粒の一部をアルファー化した加工澱粉を使用する方法(特開平1−218538号)、▲3▼膨潤抑制澱粉で置換する方法(特開平7−75479)など、種々提案されている。
【0004】
しかし、▲1▼の方法では、焼成直後の体積では改善が見られるが、焼成後の沈みが大きく、▲2▼では、甘味料として、液糖類を用いることによる増加した水分吸収のために使用しており、澱粉による直接的改善ではない。▲3▼の方法では、ある特定範囲の膨潤度、加熱溶解度を有する膨潤抑制澱粉を発明の範囲としており、特にエーテル化やエステル化との複合化工が良いとはしていない。又、その発明の作用の中で、原料澱粉としてエーテル化澱粉及びエステル化澱粉も使用できるとした記載があるが、これも漂白処理や酸化などと同列の扱いの記載のみであり、他の膨潤抑制加工のみを行った澱粉との食感などの差には言及していない。これら膨潤抑制加工のみを行った澱粉では、体積や食感の経時劣化の点で、改善が見られるものの、焼成後の食感は粉っぽさが強く、パサパサしており、冷凍保存後の食感に於いては、さらに粉っぽさやパサパサ感が強く感じられ、甚だ不満の残る食感と言わざる得ない。
【0005】
上記のように、ケーキ類に要望される点を総合的に解決する方法は未だないのが実状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ケーキ類に要望される問題点を総合的に解決すること、すなわち優れた食感を持ち、焼成後の体積が大きく、且つ保存時の物性劣化の改善を課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決すべく、本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、ケーキ類の材料として、塩化亜鉛、塩化アンモニウムを含み、0.1NHClの塩酸度が3.9±0.1である電解液を用いた1%澱粉糊液10ml中の加熱膨潤度が0.7〜3.5で、0.03〜0.1のアセチル置換度を有する架橋アセチル化澱粉(以下、本発明において、膨潤抑制アセチル化澱粉という)を用いることで、総合的にこの課題を著しく改善されることを発見し、本発明の完成に至った。
【0008】
本発明に於ける、ケーキ類とは小麦粉、砂糖、卵を主原料とし、更に場合によっては油脂類をこれに含めた主原料に、種々の副原料及び適量の水を加えて混練して得た生地を、焼く又は蒸すという加熱処理を施して製造されるものの総称であって、通常その水分含量が約l5重量%程度以上の菓子類である。例えば、デコレーションケーキ、ショートケーキ、ロールケーキなどのスポンジケーキ類、パウンドケーキ、バウムクーヘン、フルーツケーキ、マドレーヌなどのバターケーキ類、その他ワッフル、ホットケーキ、ブッセなどが挙げられる。又、どら焼き、今川焼き、たい焼き、カステラなど、更に蒸しケーキ、蒸しカステラ、鰻頭(特にその皮)などが例示できる。
【0009】
本発明で使用する膨潤抑制アセチル化澱粉は、アセチル化化工及び加熱糊化した際に澱粉粒子の膨澗が抑制されるように何らかの方法で処理した複合加工澱粉であって、そのアセチル化置換度が0.03〜0.10で、且つ膨澗度が0.7〜3.5である。具体的には、アセチル化化工は無水酢酸や酢酸ビニル等通常良く知られる試薬を反応することにより容易に得られる。一方膨潤抑制加工としては、架橋、老化、湿熱処理、乳化剤処理などが挙げられる。膨潤抑制アセチル化澱粉に於いて、アセチル置換度が0.03より低いと粉っぽい食感やパサパサ感の改善が見られず又、0.1より高くしてもさほど食感改善にはならず、むしろ次第に口どけが悪くなり好ましくない。膨潤度が0.7より低い澱粉では粉っぽい食感を生じ、膨潤度が3.5を越える場合、体積の減少が現れ、口どけが悪くなり好ましくない。
【0010】
架橋澱粉はトリメタリン酸塩、ヘキサメタリン酸塩、オキシ塩化リン、エピクロロヒドリンなどの常用の架橋剤を用いて、澱粉を架橋することによって得られる。
【0011】
老化澱粉は澱粉を糊化した後、冷蔵或いは冷凍解凍の繰り返しなどによって澱粉を老化させ(この老化の程度により膨澗度は異なる)、次いで乾燥、粉砕して得られ、その具体例としては市販の春雨を粉砕したものが挙げられる。
【0012】
湿熱処理澱粉は、澱粉を糊化するには不十分な水分の存在下で、加熱処理した澱粉であり、例えば澱粉の水分を20〜25%程度に調整し、これを約100〜130℃で、0.5〜5時間程度加熱処理して得られる。この際、糊化しない範囲で水分を多くし、加熱温度を高くして処理時間を長くすると、膨潤度はより抑制される。
【0013】
乳化剤処理澱粉は、脂肪酸モノグリセライド、庶糖脂肪酸エステルなどの如き乳化剤が澱粉分子内に取り込まれるように処理した澱粉であり、例えば澱粉を30〜40%の水懸濁液とし、これに乳化剤を加えて数時間撹拌後、脱水、乾燥して得られる。
【0014】
その際、用いる原料澱粉としては市販の澱粉、例えば馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、サゴ澱粉、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、小麦澱粉、米澱粉、緑豆澱粉などいずれも使用することができる。また、これら原料澱粉を予め処理した澱粉、例えば漂白処理した澱粉や可溶性澱粉なども、それぞれの処理の程度によって架橋の程度を変える必要はあるが、同じように用いることができる。
【0015】
本発明に於けるアセチル化置換度(D.S.)とは、無水グルコース残基1モル当たりの官能基のモル数を言う。
【0016】
本発明に於ける膨潤度とは、澱粉の膨潤抑制の度合を測定する方法で、その測定法を以下に述べる。
試料澱粉を無水換算150mg精秤し、試験管に移す。その中へ後述する試験用液15ml正確に加え、よく振とう分散させ、直ちに沸騰水浴中に入れ5分間加熱後、急冷し室温程度にした後、再度振とう均一化して10mlメスシリンダーに試験管内溶液を10ml移し、20℃程度で18時間静置して、その沈降した量を測定した値である。
試験用液の調製方法:塩化亜鉛300g,塩化アンモニウム780g,イオン交換水1875gを加温溶解後冷却し、19ボーメ(15℃)に合わす。この液10mlを取り、ブロムフェノールブルー液を2滴加え、0.1N−HClで紫から黄まで滴定して塩酸度を求める。(塩酸度=HClのファクター×滴定に要したml数)塩酸度が3.9±0.1になるようにアンモニア水、塩酸を用いて調整する。調整後、再度塩酸度を確認して、最後にろ過して用いる。
【0017】
本発明に用いる厚みとは、ケーキの体積の大きさを測定する尺度として用いたもので、その測定法は、焼成1日後のスポンジケーキの直径上を底面に対し垂直に切断後、その中心部の厚みを測定した。この厚みが大きいほどケーキの体積は大きい。
【0018】
本発明の菓子類の製造に於いては、通常行われている方法で良く、その中で使用される小麦粉を上記範囲内で膨潤抑制アセチル化澱粉と置換するだけでよい。
【0019】
その置換量が10%以下では、効果は認められるが顕著でなく、使用小麦粉の重量に対し、10〜300重量%の範囲で使用する時、効果が顕著で好ましい。
【0020】
これにより、容易に体積が大きくて食感に優れると共に軽い食感を有し、しかも経時変化の少ない菓子類が得られる。この際、膨潤抑制澱粉は予め小麦粉と混合したプレミックスとして使用することもできるし、それぞれを
別々に添加することもできる。
【0021】
又、菓子類には小麦粉、卵、砂糖、場合によって油脂類の主原料の他に、種々の副材料が用いられている。例えば、乳化油脂、乳化剤、膨張剤、香料、色素、水あめ、オリゴ糖、デキストリン、人工甘味料、リキユール、各種トッピング材などで、これらは必要に応じて従来と同様に用いることができる。
【0022】
又、バッター粘度の調節及びレーズン、ナッツなどのトッピング材の均一な分散などの目的で、α化澱粉、天然ガムなどを添加することもできる。但し、この場合添加量が多くなると体積増大作用を抑制する傾向があるので、悪影響がない程度に添加量は制限する必要がある。
【0023】
以下に本発明について、実施例をもって具体的に示すが、これらの例に於ける部はすべて重量部として表す。
【0024】
【実施例】
実施例1
水1300部に硫酸ナトリウム300部及び水酸化ナトリウム10部を溶解後、原料タピオカ澱粉を1000部加え、撹拌して懸濁液を表1に示す試料番号毎に用意し、架橋剤としてトリメタ燐酸ナトリウムを表1の通り添加して、40℃8時間反応した。その後pH8に調整し、アセチル化剤として無水酢酸塩酸を表1の通り添加して、pH8で2時間反応後、中和、水洗、脱水、乾燥、精粉して架橋アセチル化澱粉を得た。そのアセチル化置換度及び膨潤度を表1に示す。
【0025】
【表1】
Figure 0003673059
【0026】
実施例2
対照として、水1300部に硫酸ナトリウム300部及び水酸化ナトリウム10部を溶解後、原料タピオカ澱粉を1000部加え、撹拌して懸濁液を表1に示す試料番号毎に用意し、エーテル化剤として酸化プロピレン及び架橋剤としてトリメタ燐酸ナトリウムを表2の通り添加して、40℃15時間反応後、中和、水洗、脱水、乾燥、精粉して架橋ヒドロキシプロピル化澱粉を得た。そのヒドロキシプロピル化置換度及び膨潤度を表2に示す。
【0027】
【表2】
Figure 0003673059
【0028】
実施例3
実施例1に於けるタピオカ澱粉をコーンスターチ又は馬鈴薯澱粉に替えて、トリメタ燐酸ナトリウム及び無水酢酸を表2の通り添加した他は同様にして架橋アセチル化澱粉を得た。そのアセチル化置換度及び膨潤度を表3に示す。
【0029】
【表3】
Figure 0003673059
【0030】
実施例4
実施例1で得た架橋アセチル化澱粉及び架橋澱粉を用いて表4に示す処方で、全卵、砂糖、水を秤取り、撹拌してもとの容積の約4倍まで起泡した後、ふるいを通した小麦粉及び化工澱粉(試料番号1〜21)を添加し、起泡をつぶさないよう均一に混合した。この生地300gを焼型に移し、電気オーブン170℃で25分間焼成してスポンジケーキ試料を得た。又、対照として小麦粉のみを用いて同様にスポンジケーキ試料を調製した。室温で1日保存した後、厚みの測定及び食感の判定を行った。更にこのケーキ試料をラップに包み、1週間冷凍庫内(約−18℃)に保存後、室温で解凍して、食感の判定を行った。その結果を表5に示す。
【0031】
【表4】
Figure 0003673059
【0032】
尚、表5及び表6の食感は以下の基準により評価した。
◎:柔らかで、舌触り、口溶けが良く、粉っぽさが無い。軽い食感である。
○:僅かにパサパサ感が感じられるが、粉っぽさは無く、食感は良い。
△:パサパサ感があり、粉っぽさが感じられる。或いは、僅かに口溶けが悪く、やや重い食感である。
×:パサパサで、粉っぽく食感が悪い。或いは、口の中で団子状になり、口溶けが悪く、重たい食感である。
【0033】
【表5】
Figure 0003673059
【0034】
実施例5
実施例2及び3で得た化工澱粉(試料番号22〜34)を用い、実施例4と同様にしてスポンジケーキ試料を調製し、厚みの測定及び食感の判定を行った。その結果を表6に示す。
【0035】
【表6】
Figure 0003673059
【0036】
実施例6
実施例1及び2で得た化工澱粉(試料番号7,10,13及び25)を用い、表7に示す処方で、砂糖、マーガリン、膨張剤、ふるいを通した小麦粉及び化工澱粉等をミキサーで撹拌しながら、全卵を徐々に添加して、約1.5倍まで起泡した。この生地に干しぶどうを添加混合して、その300gを焼型(5×5×17cm)に移し、電気オーブン170℃で30分間焼成してパウンドケーキ試料を調製した。厚みの測定及び食感の判定をスポンジケーキと同様に評価した。その結果を表8に示す。尚、α化澱粉は、スターチMH−A(日澱化學製)を使用した。
【0037】
【表7】
Figure 0003673059
【0038】
【表8】
Figure 0003673059
【0039】
以上の実施例からわかるように、ケーキ類の製造に於いて、使用小麦粉の一部を本発明の膨潤抑制アセチル化澱粉と置き換えることで、体積が大きく、口溶けがよく粉っぽさが無い好適な食感を容易に付与することができる。更に、保存時の経時変化が少ないものとなる。スポンジケーキなど焼成後、冷凍保存した後、デコレーションを施すような状況に於いても、焼成直後に近い食感を保持し、食感の向上に有用である。
【0040】
【発明の効果】
本発明澱粉を使用して製造されたケーキ類は、体積が大きく、口溶けがよく粉っぽさが無い好適な食感を有し、保存時の食感の変化が非常に少ない。

Claims (2)

  1. 塩化亜鉛、塩化アンモニウムを含み、0.1NHClの塩酸度が3.9±0.1である電解液を用いた1%澱粉糊液10ml中の加熱膨潤度が0.7〜3.5で、0.03〜0.1のアセチル置換度を有する架橋アセチル化澱粉を小麦粉に対し、その添加量が10%〜300%の範囲で含有することを特徴とするケーキ類。
  2. 塩化亜鉛、塩化アンモニウムを含み、0.1NHClの塩酸度が3.9±0.1である電解液を用いた1%澱粉糊液10ml中の加熱膨潤度が0.7〜3.5で、0.03〜0.1のアセチル置換度を有する架橋アセチル化澱粉を使用する小麦粉に対し、その添加量が10%〜300%の範囲で添加することを特徴とするケーキ類の製造方法。
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