JP3673396B2 - 浮上体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は送風機と浮上体を組みにして送風機による気流の中で浮上体が継続して浮上する玩具に関する。
【0002】
【従来の技術】
局所的な上昇気流の中に軽い球体を置くと浮上を継続できることが公知技術として知られていた。上昇気流の中で浮上力が球体の空気抵抗により発生し、球体の側面の流速による空力で上昇気流から外れないように横方向の復元カが作用するものであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
球体の浮上力は空気抵抗によるが球体は比較的空気抵抗係数が小さく、適当な大きさ重さの球体を浮上させるには強力な送風機を必要とし、玩具として適切な規模に収めることが難しかった。また球体には形態の方向性が無いので姿勢を安定させる必要がなく、安定して浮上させやすい半面、浮上している状態に面白味に欠けるものがあった。
【0004】
本発明は、上記問題点を解消し、下からの気流に対して球よりも空気抵抗の大きい形状の浮上能力の高い浮上体を小規模な送風機による上昇気流の中で安定して浮上させる浮上玩具を提供することをその課題とする。
なお、浮上能力とは弱い気流で浮上できたり同じ気流なら高く浮上できたりする能力を指すものとする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上方向に送風する送風機(2)による気流の中で浮上する浮上体(1)であって、全体が椀型をなし、窪んだ底面は平らに形成されているとともに、底部中央には穴を形成したことを特徴とする。
【0006】
以下作用について説明するが、非定常流の流体の現象で難しいものがあって推測の域を出ない点もある。なお、試作品の実験により同じ投影面積の球体よりも遥かに浮上能力が高いことと安定した浮上の継続が可能なことは実験事実として確認されている。
【0007】
図3は平らな底面の椀型の浮上体1を上昇気流中に置いたときの流れを示したものである。下から浮上体1の底面に当った気流は底面に沿い次いで底面から横面に沿って横面の上部の縁まで比較的滑らかに流れて、横面の上部の縁で渦を巻いて流れが乱れるものと推測される、底面から横面に曲るときの丸みは、気流が大きく剥離せずに沿って流れることに寄与し、横面の上部の縁はそこで気流の流れが不連続となり大きな空気抵抗を発生することに寄与していることになる。この形状は球よりも遥かに大きな浮上カとなる空気抵抗を発生するが、さらに同じ肉厚ならば下からの気流に対する同じ投影面積の球よりも軽量化を計れる効果も加わり、球よりも高い浮上能力を得ることができることになる。
【0008】
この浮上体1は球体と違って形状に方向性があるので安定して浮上するためには、常に底面が下になるような姿勢安定性が必要となり、また上昇気流から横に外れると上昇気流の中心方向へ戻す横方向の復元力が必要である。実験事実として安定浮上することが確認されているのでこの2つの条件が満たされていることは確かであるが、以下に横方向の復元カの原理について述べる。
【0009】
図4の(a)と(b)の図で下の3本の上向きの矢印は上昇気流を表していて、(a)は浮上体1がこの中央に位置しているときで(b)は右にずれているときである。図3のように横面の脇を気流は比較的滑らかに内側に湾曲する形で流れて、横面には負圧が作用すると推測され、この負圧は流速が速い程大きくなることになる。図4では横面の脇を流れる気流による空力をLとRの矢印で示してあり、負圧なので外向きとなっている。(a)の中央に位置しているときは流速が等しいので矢印LとRで示す力は等しく相殺された形となる。(b)では右側の外れた側の流速が減少するのでRが小さくなり反対側のLが勝って中心方向に戻す横方向の復元力が発生するものと推測される。
【0010】
【実施例】
発明の実施例について図面を参照して説明する。
【0011】
図1は本発明の1実施例の斜視図である。送風機2の発生する上昇気流の中で浮上体1が浮上している状態を示すものである。図2は図1のノズル6周辺部と浮上体1を中央で切断した縦断面図である。
【0012】
図1と図2において送風機2について説明する。なお送風機2は送風機全体を指し示すもので特定部分を指すものではない。送風機2はプロペラ3をモータ4で回転させてノズル6に空気を送り込み、上の吐出口より真上方向に送風する作用をして、局所的な上昇気流を発生させる。モータ4は一般的な模型用小型モータで電源は電池ボックス5より供給される。ノズル6は上の口径が下より少し絞られた傾斜のついた筒状で、内部には上から見て十字に垂直な板を組み合せた形の気流を整える作用のある整流板7が固着されていて、上部には受け皿8が設けられている。受け皿8は皿状に外側から内側に向かって緩い傾斜がついていてノズル6と一体となっている。べ一ス9に設けられたモータベース10でモータ4を、ノズル支柱11でノズル6を固着してある。
【0013】
受け皿8の上に浮上体1を置いて送風を開始すれば浮上を開始し、浮上中に送風を停止させたときは浮上体1が受け皿8に着地してきて、このまま再び送風を起動すれば浮上状態に移行させることができる。なお、これらのことが可能なことは試作品の実験により確認が行われている。この実施例の電源は電池ボックス5となっているが、替りにACアダプタとすれば永続的に浮上させることができる。
【0014】
図1と図2の浮上体1の実施例について説明する。浮上体1は発泡スチロール等の軽い材質で作られているものとして、この実施例は洗面器に似た形の椀型で、横面は上に広がった形で傾斜がついていて、曲面で連続的に底面から横面へと繋がっている。底面は平らになっていて中央には適切な大きさの円形の穴が空いている。底面の面積は減少する結果となるがこの穴に流入した気流が穴の縁で渦を発生して空気抵抗を発生する効果があるものと推測され、この実施例と穴が無いこと以外は全て同じ条件の図10の(a)の実施例との比較実験で浮上能力の向上が確認されている。なお、この実施例は浮上能力と安定性との総合性能において実験で良好な結果が得られている。
【0015】
図5は図1の先の実施例と断面形の異なる浮上体1の実施例の縦断面図である。(a)に示す実施例は底面の平らな部分が無くて全面が球面構成となっている。(b)に示す実施例は底面から横面へ2箇所で段階的に折れ曲がった折れ線構成となっている。折れ線であるが角度が浅いため気流がその面に沿ってほぼ連続的に流れて、丸みを持った曲り方に準ずるものとなっている。(c)に示す実施例は横面が内側に傾斜しているものとなっている。
【0016】
図6の斜視図において付加物のある浮上体1の実施例について説明する。元となるのは図1に示した実施例でこれに付加物を加えたもので、付加物に下から気一流が当ることによる浮上能力の向上を目的としている。(a)に示す実施例は浮上体1の上部の周囲に水平に4つの小さな羽根12を設けたものである。羽根12に角度をつけることにより浮上体1を回転させたり逆に気流が旋回している場合はそれと相殺させて回転を止めたりすることもできる。(b)に示す実施例は上部に小さい円盤13を中央に設置したものである。
【0017】
図7は底面が正多角形をした実施例の斜視図である。正8角形の中央に穴の空いた平らな底面の周囲が上に曲って8面の横面となっていて、底面から横面への移行は曲線となっている。
【0018】
図8は図1の実施例の横面に縦に4つの切れ込みを入れた形の実施例の斜視図である。切れ込みは深く底面の平らな面に達しているので、別の表現をすれば中央に穴の空いた円盤に4つの湾曲したフィンをつけた形である。実験によると切れ込みにより浮上能力は増加するが安定性は低下する。浮上能力が増加する理由として、肉抜きの軽量化の他に切れ込みにより渦が発生して空気抵抗が増加することが推測される。切れ込みの替りに穴にしても良い。
【0019】
図9は底面に穴が複数ある椀型の実施例の底面図である。(a)は中央近辺に4つの円形の穴があるもので(b)はさらにその外周に8個の穴が円周上にあり合計12個の穴がある形となっている。(c)は放射状に4つの細い扇型の穴を空けたものである。
【0020】
上述の構成によれば、次のような効果が期待できる。
【0021】
(イ)球体よりも効率良く浮上できて、一般的な小型模型用モータを用いた送風機2による弱い上昇気流でも適当な大きさ重さの浮上体1を高い位置で浮上させることが可能である。
【0022】
(ロ)形状に方向性の無い球体がただ浮上しているのに較べて本発明は上下のある形状で安定した姿勢で浮上するので見た目の面白さがある。図9の(c)の実施例は所謂空飛ぶ円盤に似た形となっている効果がある。光沢のある多角形にした場合は光の反射が角度により変わるので、ゆっくりと回転すると椀型には無い雰囲気を出すこともできる。
【0023】
(ハ)電源が供給される限り永続的に浮上させ続けることが可能なので玩具としてだけでなく室内インテリアとするのにも適している。
【0024】
(二)試作品の実験結果によると、安定に浮上できるモータ4の回転数の範囲はかなり広く、モータ4の回転数の微調整は不用である。したがって電圧制御等は不用である。
【0025】
(ホ)浮上状態にするには受け皿8の上に浮上体1を置いてから送風機2を作動させるか、送風機2を作動させて浮上体1を手で持って上昇気流の中に置けば良いだけで誰にでも簡単に行なうことができる。
【0026】
(へ)送風機2を切ると受け皿8の上に着地してくるので、そのまま電源を入れれば浮上を開始する。したがって送風機2の電源のみの操作で浮上の開始と終了の動作を繰り返し行なうことができる。
【0027】
(ト)浮上能力の低い浮上体1と高い浮上体1をひと組みにして低い浮上体1の上で高い浮上体1を縦に重ねて2つ同時に浮上させることができることが実験により確認されている。
【0028】
(チ)実験によると浮上体1および送風機2は特殊な材料や高い工作精度は要求されないので低コストで提供することができる。また浮上体1は形状により充分な浮上能力が得られて極端に軽量化する必要が無いので耐久性を持たせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例を示す斜視図である。
【図2】 図1のノズル6周辺部と浮上体1の部分の縦断面図である。
【図3】 浮上体1の回りを流れる気流を表した側面図である。
【図4】 上昇気流に対する浮上体1の位置と作用する空力との関係を示す側面図である。
【図5】 浮上体1の実施例の縦断面図である。
【図6】 浮上体1の実施例の斜視図である。
【図7】 浮上体1の実施例の斜視図である。
【図8】 浮上体1の実施例の斜視図である。
【図9】 浮上体1の実施例の底面図である。
【符号の説明】
1 浮上体
2 送風機
3 プロペラ
4 モータ
5 電池ボックス
6 ノズル
7 整流板
8 受け皿
9 べ一ス
10 モータベース
11 ノズル支柱
12 羽根 13 円盤

Claims (1)

  1. 上方向に送風する送風機(2)による気流の中で浮上する浮上体(1)であって、全体が椀型をなし、窪んだ底面は平らに形成されているとともに、底部中央には穴を形成したことを特徴とする浮上体。
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