JP3673427B2 - ディーゼルエンジンの燃料噴射時期制御装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ストロークの増加に伴って変化する送油率のもとで燃料を圧送するプランジャを有し、該プランジャのストロークの増加途中で、燃料を溢流させている燃料溢流路に設けられたスピル弁を閉弁することでディーゼルエンジンの燃焼室に燃料噴射を行う燃料噴射ポンプを備えたディーゼルエンジンの燃料噴射時期制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来よりディーゼルエンジンに使用される燃料噴射ポンプには、タイマとスピル弁とを備えることで燃料噴射時期および送油率を制御する燃料噴射ポンプ制御装置が使用されている。具体的には、プランジャから圧送される燃料の溢流を停止してディーゼルエンジンへの燃料噴射を実行するスピル弁と、カムを回動させることによりプランジャによる圧送開始時期を変更するタイマとを備え、燃料噴射ポンプの燃料噴射時期および送油率を制御する燃料噴射ポンプ制御装置が知られている。
【0003】
この燃料噴射ポンプ制御装置においては、スピル弁が開いているときは、プランジャから圧送される燃料は燃料溢流路を介して溢流するのでディーゼルエンジンの燃焼室には燃料は噴射されない。しかし、スピル弁が閉じることにより燃料溢流路は閉鎖されて、プランジャから圧送される燃料が全てディーゼルエンジンに供給され燃焼室に噴射されるようになる。したがってスピル弁の開閉時期を変更することにより燃料噴射時期を制御することができる。
【0004】
また、プランジャの移動速度および方向はカムとロータとの相対位置に応じて常時変化し、これに伴ってプランジャから圧送される燃料の圧力も変化する。このためスピル弁が閉弁したときにディーゼルエンジンに噴射される送油率も、ロータがカムの所定位置まで回動して燃料が圧送され始めてから、スピル弁が閉弁して燃料が噴射されるまでの期間、いわゆるプレストローク量に応じて変化する。そこで特開平5−163995号公報や特開平7−259622号公報に記載のごとく、燃料噴射時期とともに機関運転状態に応じた送油率となるようにプレストローク量を調整して燃料の噴射状態を制御し、好適な燃焼を実現するようにしている燃料噴射制御装置が提案されている。
【0005】
このプレストローク量の制御は、スピル弁の閉弁時期を調整することで燃料噴射時期に連動して行ったり、またタイマーも同時または別個に調整することにより行っている。このことにより、好適な燃焼状態となるようにプレストローク量が制御されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このように好適な燃焼状態となるように燃料噴射時期とプレストローク量とを制御しているにも関わらず、ディーゼルエンジンの冷間時においては良好な燃焼が得られない場合がある。
【0007】
ディーゼルエンジンの暖機後の状態での通常の燃料噴射時期の設定においてはプレストローク量の状態を特に考慮しなくても良好な燃焼性が得られている。しかし、冷間時においてはプレストローク量による燃料噴射時期への影響が燃焼性を悪化させる。しかも、この影響は、単に機関温度にて燃料噴射時期を補正しただけでは対応しきれないものである。
【0008】
これは、暖機後の状態では問題なく好適な燃焼が得られる燃料噴射時期であっても、冷間時にはプレストローク量の違いによる燃料噴射時期への影響が暖機後とは異なるため、表面に現れて来るからである。
【0009】
本発明は、上述したごとくディーゼルエンジンの機関温度の違いに伴う燃料噴射時期へのプレストローク量の影響の違いを考慮し、適切な燃料噴射時期制御を実現するディーゼルエンジンの燃料噴射時期制御装置を提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載のディーゼルエンジンの燃料噴射時期制御装置は、ストロークの増加に伴って変化する送油率のもとで燃料を圧送するプランジャを有し、該プランジャのストロークの増加途中で、燃料を溢流させている燃料溢流路に設けられたスピル弁を閉弁することでディーゼルエンジンの燃焼室に燃料噴射を行う燃料噴射ポンプを備えたディーゼルエンジンの燃料噴射時期制御装置であって、ディーゼルエンジンの機関温度に基づき燃料噴射時期を算出するとともに、燃料噴射の開始前における前記プランジャのストローク量であるプレストローク量を、着火遅れを考慮したプレストローク量とすべく前記機関温度に基づき補正し、前記補正されたプレストローク量に応じて前記燃料噴射時期をさらに補正することを特徴とする。
【0014】
このように、ディーゼルエンジンの機関温度に基づき補正されたプレストローク量に応じて燃料噴射時期をさらに補正することによって、冷間時と暖機後とのプレストローク量の影響の違いを燃料噴射時期に反映することができ、適切な燃料噴射時期を設定することができる。
【0018】
請求項2記載のディーゼルエンジンの燃料噴射時期制御装置は、ストロークの増加に伴って変化する送油率のもとで燃料を圧送するプランジャを有し、該プランジャのストロークの増加途中で、燃料を溢流させている燃料溢流路に設けられたスピル弁を閉弁することでディーゼルエンジンの燃焼室に燃料噴射を行う燃料噴射ポンプを備えたディーゼルエンジンの燃料噴射時期制御装置であって、ディーゼルエンジンの機関温度を検出する機関温度検出手段と、前記機関温度検出手段にて検出される機関温度に応じて、燃料噴射時期を算出する燃料噴射時期算出手段と、燃料噴射の開始前における前記プランジャのストローク量であるプレストローク量を検出するプレストローク量検出手段と、着火遅れを考慮したプレストローク量とすべく、前記プレストローク量検出手段にて検出されるプレストローク量に対する補正値を、前記機関温度検出手段にて検出される機関温度に基づき算出する補正値算出手段と、前記プレストローク量検出手段にて検出されるプレストローク量と前記補正値算出手段にて算出される補正値とに応じて、前記燃料噴射時期算出手段にて算出される燃料噴射時期をさらに補正する燃料噴射時期補正手段と、前記燃料噴射時期補正手段にて補正された燃料噴射時期に基づいて燃料噴射タイミングを制御する燃料噴射制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0019】
より具体的には、このように、燃料噴射時期算出手段、機関温度検出手段、プレストローク量検出手段、補正値算出手段、燃料噴射時期補正手段および燃料噴射制御手段を備えた構成とすることができる。
【0020】
ここで、燃料噴射時期補正手段は、プレストローク量と機関温度に対応した補正値とに応じて燃料噴射時期を補正している。
このように、ディーゼルエンジンの機関温度に対応したプレストローク量の補正値に応じて燃料噴射時期をさらに補正することによって、冷間時と暖機後とのプレストローク量の影響の違いを燃料噴射時期に反映することができることから、適切な燃料噴射時期を設定することができる。したがって、請求項1の作用効果を生じることができる。
【0021】
請求項3記載のディーゼルエンジンの燃料噴射時期制御装置は、請求項2記載の構成に対して、前記プレストローク量検出手段は、ディーゼルエンジンが暖機後の状態にあるものとしてプレストローク量を検出することを特徴とする。
【0022】
このように、プレストローク量検出手段は、プレストローク量を検出するに際しては、現在の温度条件がディーゼルエンジンが暖機後の状態にあるとしてプレストローク量を検出している。このことにより、請求項2の作用効果に加えて、各種の要求の変化、例えば、エミッション上の要求で燃料噴射時期の設定を変更したりした場合にも、このような変更に対して一層効率的に対応できる。すなわち、特に冷間時における実験を行わずに、プレストローク量検出手段によりプレストローク量を検出するための参照データや関係式などを作成することができるからである。
【0023】
請求項4記載のディーゼルエンジンの燃料噴射時期制御装置は、請求項2または3の構成に対して、前記補正値算出手段は、前記機関温度検出手段にて検出される機関温度と前記機関回転数検出手段にて検出される機関回転数とに対応した補正値を算出することを特徴とする。
【0024】
このように、補正値算出手段が補正値を算出する際に、ディーゼルエンジンの機関回転数を加味することができる。このことにより、請求項2または3の作用効果に加えて、一層的確に燃料噴射時期を制御できるようになる。
【0025】
請求項5記載のディーゼルエンジンの燃料噴射時期制御装置は、請求項2〜4のいずれか記載の構成に対して、前記プレストローク量検出手段は、機関回転数と機関負荷とに応じてプレストローク量を検出することを特徴とする。
【0026】
このように、より具体的には、プレストローク量検出手段は、プレストローク量を検出するに際して、機関回転数と機関負荷とをパラメータとしている。このことにより、請求項2〜4のいずれかの作用効果を的確に生じさせることができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
[実施の形態1]
図1は、上述した発明が適用されたディーゼルエンジン制御装置2の概略構成を表すブロック図である。
【0028】
ディーゼルエンジン4は自動車の駆動用として車両に搭載されている。このディーゼルエンジン4は、ターボチャージャー6を備えており、エアクリーナー8を介して吸気管10に導入された空気は、ターボチャージャー6によって過給され、インタークーラー12、ベンチュリー14を介して、シリンダー16内の燃焼室18に導かれる。
【0029】
燃焼室18内にては燃料噴射弁20から燃料が噴射され、燃焼した後の排気は、排気管22に排出され、ターボチャージャー6を駆動させて外部に排出される。
【0030】
なお、ターボチャージャー6より上流側の排気管22と、ベンチュリー14よりも下流の吸気管10との間には、排気環流管24が設けられている。この排気環流管24には、電子制御装置(以下単に「ECU」という)51の指示により電気式負圧調整弁(EVRV)74を介して開閉が調整されるEGRバルブ26が設けられている。排気環流管24は、EGRバルブ26が開状態の場合に、その開度に応じて排気を排気管22から吸気管10へ供給し、排気再循環を実現している。
【0031】
燃料噴射弁20へは、分配型燃料噴射ポンプ28から高圧燃料が、燃料噴射時期と燃料噴射量とが調整されて供給されている。この分配型燃料噴射ポンプ28にはタイミングコントロールバルブ30が設けられて、ECU51により駆動される。このことにより、燃料噴射の開始前におけるプランジャ31のストローク量であるプレストローク量を、後述する電磁スピル弁32とは別個にあるいは連動して調整することができる。
【0032】
更に、分配型燃料噴射ポンプ28の燃料溢流路32aには電磁スピル弁32が設けられ、ECU51により駆動されて燃料噴射時期、実プレストローク量および燃料噴射量を調整する。
【0033】
また、ベンチュリー14内の第1絞り弁34はアクセルペダル36と連動して開閉すると共に、第1絞り弁34の回動軸にはアクセルセンサ38が設けられて、アクセル開度ACCP、すなわち、運転者によるアクセルペダル36の操作量を検出している。ベンチュリー14内に第1絞り弁34と並列に設けられた第2絞り弁40はダイヤフラム機構42と負圧切換弁72とを介して、ECU51により調整される。
【0034】
ECU51の電気的構成について、図2のブロック図に従って説明する。
ECU51は、中央処理制御装置(CPU)52、制御に必要なプログラムやマップ等を予め記憶した読出専用メモリ(ROM)53、CPU52の演算結果等を一時記憶するランダムアクセスメモリ(RAM)54、予め記憶されたデータ等を保存するバックアップRAM55、タイマカウンタ56、入力インターフェース57および出力インターフェース58等を備えている。また、上記各部52〜56と入力インターフェース57および出力インターフェース58とは、バス59によって接続されている。
【0035】
前述したアクセルセンサ38、ベンチュリー14より下流の吸入空気の圧力を検出する吸気圧センサ62、ディーゼルエンジン4のエンジン冷却水温THWを検出する水温センサ64、分配型燃料噴射ポンプ28内で燃料の温度を検出する燃温センサ66、吸気管10に設けられて吸入空気の温度を検出する吸気温センサ67、その他のセンサは、それぞれバッファ、マルチプレクサ、A/D変換器(いずれも図示せず)を介して入力インターフェース57に接続されている。
【0036】
また、分配型燃料噴射ポンプ28の回転からディーゼルエンジン4のエンジン回転数eneを検出する回転数センサ68、ディーゼルエンジン4のクランクシャフトの基準角度位置を検出するクランクポジションセンサ70、車速センサ71、その他のセンサは、波形整形回路(図示せず)を介して入力インターフェース57に接続されている。さらに、図示していないがスタータスイッチ等は入力インターフェース57に直接接続されている。このことで、CPU52は、上記各センサの信号を読み込むことができる。
【0037】
また、前述したタイミングコントロールバルブ30、電磁スピル弁32、ダイヤフラム機構42の動作を図示していないバキュームポンプが発生する負圧と大気圧との供給状態にて調整することで第2絞り弁40の開度を調整する負圧切換弁72、およびEGRバルブ26の開度を前記バキュームポンプの負圧と大気圧との供給状態にて調整することで排気環流管24による排気の環流量を調整するEVRV74は、それぞれ駆動回路(図示せず)を介して出力インターフェース58に接続されている。
【0038】
したがって、CPU52は、前述のごとく入力インターフェース57を介して読み込んだセンサ類の検出値に基づき、出力インターフェース58を介してタイミングコントロールバルブ30、電磁スピル弁32、負圧切換弁72、EVRV74等を好適に調整し、ディーゼルエンジン4の駆動状態を適切に制御している。
【0039】
次に、本実施の形態において、ECU51により実行される制御のうち、燃料噴射時期制御について説明する。図3は燃料噴射時期設定処理のフローチャートを示す。この処理は、爆発行程毎のクランク角割り込みで実行される。なお個々の処理に対応するフローチャート中のステップを「S〜」で表す。
【0040】
処理が開始されると、まずRAM54内の作業メモリに、回転数センサ68の検出値から得られているエンジン回転数eneを読み込み(S110)、水温センサ64の検出値から得られている冷却水温gthwを読み込む(S120)。更に、別途実行された図示していない燃料噴射量設定処理にて算出されている最終燃料噴射量eqfin(機関負荷に相当する)をRAM54内の作業メモリに読み込む(S130)。
【0041】
次に、エンジン回転数eneおよび冷却水温gthwに基づいて、図5に示すエンジン回転数eneと冷却水温gthwとをパラメータとするベース冷間時噴射時期eacld2bseの2次元マップから、該当するベース冷間時噴射時期eacld2bseを算出する(S140)。このベース冷間時噴射時期eacld2bseは、プレストローク量が「0」での失火限界から実験的に求めた値である。なお、本実施の形態では、図5に示すベース冷間時噴射時期eacld2bseの2次元マップの内で、最も高温側である領域Ar1ではベース冷間時噴射時期eacld2bseとして「0」が設定されている。
【0042】
次に、冷却水温gthwに基づいて、図6に示す冷却水温gthwをパラメータとする噴射量補正係数emacldqの1次元マップから、該当する噴射量補正係数emacldqを算出する(S150)。この噴射量補正係数emacldqは、無負荷で決定された前記ベース冷間時噴射時期eacld2bseに対する噴射量感度を実験的に求めて設定したものである。なお、本実施の形態では、図5に示す噴射量補正係数emacldqの1次元マップの内で、最も高温側である領域Ar2では噴射量補正係数emacldqとして「0」が設定されている。
【0043】
次に、エンジン回転数eneおよび最終燃料噴射量eqfinに基づいて、図7に示すエンジン回転数eneと最終燃料噴射量eqfinとをパラメータとするベースプレストローク量eaplstbの2次元マップから、該当するベースプレストローク量eaplstbを算出する(S160)。このベースプレストローク量eaplstbは暖機後の実プレストローク量を実験により求めて設定したものである。本実施の形態では、実プレストローク量は、燃料噴射量制御を行う電磁スピル弁32の閉弁タイミングにより制御されている。そして、この閉弁タイミングは、エンジン回転数eneと最終燃料噴射量eqfinとの2次元マップにより設定されている。このため、図7の2次元マップもエンジン回転数eneと最終燃料噴射量eqfinとをパラメータとしている。
【0044】
次に、エンジン回転数eneおよび冷却水温gthwに基づいて、図8に示すエンジン回転数eneと冷却水温gthwとをパラメータとする冷間時プレストローク補正係数t_mplstthwの2次元マップから、該当する冷間時プレストローク補正係数t_mplstthwを算出する(S170)。この冷間時プレストローク補正係数t_mplstthwは、プレストローク量による着火遅れが、同一プレストローク量にてもディーゼルエンジン4の暖機の程度に応じて変化するために設けられた補正係数である。すなわち、暖機の程度に応じてベース冷間時噴射時期eacld2bse(あるいはベースプレストローク量eaplstb)を補正するための係数である。なお、本実施の形態においては、図8に示す冷間時プレストローク補正係数t_mplstthwの2次元マップの内で、最も高温側である領域Ar3では冷間時プレストローク補正係数t_mplstthwとして「0」が設定されている。
【0045】
次に、冷間時プレストローク進角補正量eaplstが、ステップS160にて求められたベースプレストローク量eaplstbとステップS170にて求められた冷間時プレストローク補正係数t_mplstthwとに基づいて、次式1に示すごとく算出される(S180)。
【0046】
【数1】
eaplst ← eaplstb(1 + t_mplstthw)… [式1]
次に、冷間時噴射時期eacld2が、次式2に示すごとく算出される(S190)。式2では、ステップS140にて求めたベース冷間時噴射時期eacld2bse、ステップS150で求めた噴射量補正係数emacldq、ステップS130にて読み込んだ最終燃料噴射量eqfinおよびステップS180にて求めた冷間時プレストローク進角補正量eaplstが用いられる。
【0047】
【数2】
次に、前記ステップS180にて求められた冷間時プレストローク進角補正量eaplstによる補正により前記ステップS190にて得られた冷間時噴射時期eacld2に基づき、更に必要に応じてこれ以外の噴射時期補正を加味して、目標噴射時期eatrgが設定される(S200)。このことにより、ECU51は、目標噴射時期eatrgとなるようにタイミングコントロールバルブ30の通電時間を制御する。
【0048】
このようにして、目標噴射時期eatrgに冷間時プレストローク進角補正量eaplstが加味されることにより、機関温度の違いによる燃料噴射時期へのプレストローク量の影響の違いを反映させることができる。
【0049】
上述した実施の形態1の構成において、ステップS140が燃料噴射時期算出手段としての処理に相当し、水温センサ64が機関温度検出手段に相当し、ステップS160がプレストローク量検出手段としての処理に相当し、ステップS170が補正値算出手段としての処理に相当し、ステップS180,S190が燃料噴射時期補正手段としての処理に相当し、ステップS200が燃料噴射制御手段としての処理に相当する。
【0050】
なお、前述した内容は冷間時の燃料噴射時期制御について記載したものであり、暖機後の通常の燃料噴射時期制御とは別の処理である。具体的には、ステップS120にて冷却水温gthwの読み込み後、冷却水温gthw<60℃(エンジン機種により異なる値)の場合にのみ、前述の制御内容(ステップS130〜S200)を実行し、冷却水温gthw≧60℃の場合は通常の暖機後の燃料噴射時期制御を行うように制御ロジックの使い分けがなされる。
【0051】
以上説明した本実施の形態1によれば、以下の効果が得られる。
(イ).ステップS160〜S190の処理により、ベースプレストローク量eaplstb(プレストローク量に相当する)と、冷却水温gthw(機関温度に相当する)に対応した冷間時プレストローク補正係数t_mplstthw(補正値に相当する)とに応じて、燃料噴射時期(eacld2bse+emacldq×eqfin)を補正して、冷間時噴射時期eacld2を設定している。
【0052】
このように、ディーゼルエンジン4の機関温度とプレストローク量とに応じて燃料噴射時期を補正することによって、冷間時と暖機後とのプレストローク量の影響の違いを燃料噴射時期に反映することができる。このことから、良好な燃焼のために適切な燃料噴射時期を設定することができる。
【0053】
(ロ).ステップS160におけるベースプレストローク量eaplstbの算出は、ディーゼルエンジン4が暖機後の状態にある場合に実験で得られた2次元マップ(図7)を用いている。
【0054】
このため、各種の要求の変化、例えば、エミッション上の要求で燃料噴射時期を変更したり、タイミングコントロールバルブ30による調整を変更することにしたとしても、冷間時における実験を行わずに暖機後の状態にて図7に示したマップデータを作成することができ、一層効率的に各種設定の変更に対応できる。
【0055】
(ハ).また、ステップS170では、冷間時プレストローク補正係数t_mplstthwを求めるのに、冷却水温gthwに加えて、エンジン回転数eneをもパラメータとしている2次元マップ(図8)を用いている。このことにより、一層的確に燃料噴射時期を制御できるようになる。
【0056】
[その他の実施の形態]
・前記実施の形態において、ディーゼルエンジンの機関温度として冷却水の温度を用いたが、これ以外に燃温センサ66にて検出される燃料温度をディーゼルエンジンの機関温度を表す値として用いても良い。またディーゼルエンジンの潤滑油の温度をディーゼルエンジンの機関温度を表す値として用いても良い。
【0057】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の実施の形態には、特許請求の範囲に記載した技術的事項以外に次のような各種の技術的事項の実施形態を有するものであることを付記しておく。
【0058】
(1).燃料噴射の開始前に燃料噴射ポンプのプランジャに与えるべきストローク量であるプレストローク量をディーゼルエンジンの運転状態に応じて変更することで、燃料噴射時の送油率をディーゼルエンジンの運転状態に応じて変更し得るディーゼルエンジンの燃料噴射時期制御装置であって、
ディーゼルエンジンが冷間時にある場合、プレストローク量に応じて燃料噴射時期を補正することを特徴とするディーゼルエンジンの燃料噴射時期制御装置。
【0059】
(2).燃料噴射の開始前に燃料噴射ポンプのプランジャに与えるべきストローク量であるプレストローク量をディーゼルエンジンの運転状態に応じて変更することで、燃料噴射時の送油率をディーゼルエンジンの運転状態に応じて変更し得るディーゼルエンジンの燃料噴射時期制御装置であって、
ディーゼルエンジンの機関温度とプレストローク量とに応じて燃料噴射時期を補正することを特徴とするディーゼルエンジンの燃料噴射時期制御装置。
【0060】
(3).燃料噴射の開始前に燃料噴射ポンプのプランジャに与えるべきストローク量であるプレストローク量をディーゼルエンジンの運転状態に応じて変更することで、燃料噴射時の送油率をディーゼルエンジンの運転状態に応じて変更し得るディーゼルエンジンの燃料噴射時期制御装置であって、
ディーゼルエンジンの運転状態に応じて、燃料噴射時期を算出する燃料噴射時期算出手段と、
ディーゼルエンジンが冷間時にあるか否かを判定する機関冷間時判定手段と、
前記プレストローク量を検出するプレストローク量検出手段と、
前記機関冷間時判定手段にてディーゼルエンジンが冷間時にあると判定されている場合には、前記プレストローク量検出手段にて検出されるプレストローク量に応じて、前記燃料噴射時期算出手段にて算出される燃料噴射時期を補正する燃料噴射時期補正手段と、
前記燃料噴射時期補正手段にて補正された燃料噴射時期に基づいて燃料噴射タイミングを制御する燃料噴射制御手段と、
を備えたことを特徴とするディーゼルエンジンの燃料噴射時期制御装置。
【0061】
(4).燃料噴射の開始前に燃料噴射ポンプのプランジャに与えるべきストローク量であるプレストローク量をディーゼルエンジンの運転状態に応じて変更することで、燃料噴射時の送油率をディーゼルエンジンの運転状態に応じて変更し得るディーゼルエンジンの燃料噴射時期制御装置であって、
ディーゼルエンジンの運転状態に応じて、燃料噴射時期を算出する燃料噴射時期算出手段と、
ディーゼルエンジンの機関温度を検出する機関温度検出手段と、
前記プレストローク量を検出するプレストローク量検出手段と、
前記機関温度検出手段にて検出される機関温度に対応した補正値を算出する補正値算出手段と、
前記プレストローク量検出手段にて検出されるプレストローク量と前記補正値算出手段にて算出される補正値とに応じて、前記燃料噴射時期算出手段にて算出される燃料噴射時期を補正する燃料噴射時期補正手段と、
前記燃料噴射時期補正手段にて補正された燃料噴射時期に基づいて燃料噴射タイミングを制御する燃料噴射制御手段と、
を備えたことを特徴とするディーゼルエンジンの燃料噴射時期制御装置。
【0062】
(5).前記プレストローク量検出手段は、ディーゼルエンジンが暖機後の状態にあるものとしてプレストローク量を検出することを特徴とする(4)記載のディーゼルエンジンの燃料噴射時期制御装置。
【0063】
(6).(4)または(5)の構成に加えて、ディーゼルエンジンの機関回転数を検出する機関回転数検出手段を備え、
前記補正値算出手段は、前記機関温度検出手段にて検出される機関温度と前記機関回転数検出手段にて検出される機関回転数とに対応した補正値を算出することを特徴とするディーゼルエンジンの燃料噴射時期制御装置。
【0064】
(7).前記プレストローク量検出手段は、機関回転数と機関負荷とに応じてプレストローク量を検出することを特徴とする(4)〜(6)のいずれか記載のディーゼルエンジンの燃料噴射時期制御装置。
【0066】
【発明の効果】
請求項1記載のディーゼルエンジンの燃料噴射時期制御装置においては、ディーゼルエンジンの機関温度に基づき補正されたプレストローク量に応じて、燃料噴射時期をさらに補正することを特徴とする。このように、ディーゼルエンジンの機関温度に基づき補正されたプレストローク量に応じて燃料噴射時期をさらに補正することによって、冷間時と暖機後とのプレストローク量の影響の違いを燃料噴射時期に反映することができ、適切な燃料噴射時期を設定することができる。
【0068】
請求項2記載のディーゼルエンジンの燃料噴射時期制御装置においては、ストロークの増加に伴って変化する送油率のもとで燃料を圧送するプランジャを有し、該プランジャのストロークの増加途中で、燃料を溢流させている燃料溢流路に設けられたスピル弁を閉弁することでディーゼルエンジンの燃焼室に燃料噴射を行う燃料噴射ポンプを備えたディーゼルエンジンの燃料噴射時期制御装置であって、ディーゼルエンジンの機関温度を検出する機関温度検出手段と、前記機関温度検出手段にて検出される機関温度に応じて、燃料噴射時期を算出する燃料噴射時期算出手段と、燃料噴射の開始前における前記プランジャのストローク量であるプレストローク量を検出するプレストローク量検出手段と、着火遅れを考慮したプレストローク量とすべく、前記プレストローク量検出手段にて検出されるプレストローク量に対する補正値を、前記機関温度検出手段にて検出される機関温度に基づき算出する補正値算出手段と、前記プレストローク量検出手段にて検出されるプレストローク量と前記補正値算出手段にて算出される補正値とに応じて、前記燃料噴射時期算出手段にて算出される燃料噴射時期をさらに補正する燃料噴射時期補正手段と、前記燃料噴射時期補正手段にて補正された燃料噴射時期に基づいて燃料噴射タイミングを制御する燃料噴射制御手段とを備えたことを特徴とする。ここで、燃料噴射時期補正手段は、プレストローク量と機関温度に対応した補正値とに応じて燃料噴射時期を補正している。このように、ディーゼルエンジンの機関温度に対応したプレストローク量の補正値に応じて燃料噴射時期をさらに補正することによって、冷間時と暖機後とのプレストローク量の影響の違いを燃料噴射時期に反映することができることから、適切な燃料噴射時期を設定することができる。したがって、請求項1の効果を生じることができる。
【0069】
請求項3記載のディーゼルエンジンの燃料噴射時期制御装置においては、請求項2記載の構成に対して、前記プレストローク量検出手段は、ディーゼルエンジンが暖機後の状態にあるものとしてプレストローク量を検出している。このように、プレストローク量検出手段は、プレストローク量を検出するに際しては、現在の温度条件がディーゼルエンジンが暖機後の状態にあるとしてプレストローク量を検出している。このことにより、請求項2の効果に加えて、各種の要求の変化、例えば、エミッション上の要求で燃料噴射時期の設定を変更したりした場合にも、このような変更に対して一層効率的に対応できる。すなわち、特に冷間時における実験を行わずに、プレストローク量検出手段によりプレストローク量を検出するための参照データや関係式などを作成することができるからである。
【0070】
請求項4記載のディーゼルエンジンの燃料噴射時期制御装置においては、請求項2または3の構成に対して、前記補正値算出手段は、前記機関温度検出手段にて検出される機関温度と前記機関回転数検出手段にて検出される機関回転数とに対応した補正値を算出している。このように、補正値算出手段が補正値を算出する際に、ディーゼルエンジンの機関回転数を加味することができる。このことにより、請求項2または3の効果に加えて、一層的確に燃料噴射時期を制御できるようになる。
【0071】
請求項5記載のディーゼルエンジンの燃料噴射時期制御装置においては、請求項2〜4のいずれか記載の構成に対して、前記プレストローク量検出手段は、機関回転数と機関負荷とに応じてプレストローク量を検出している。このことにより、請求項2〜4のいずれかの効果を的確に生じさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態1としてのディーゼルエンジン制御装置の概略構成を表すブロック図。
【図2】 実施の形態1で用いられる制御系のブロック図。
【図3】 実施の形態1でECUにより実行される燃料噴射時期制御処理を示すフローチャート。
【図4】 実施の形態1でECUにより実行される燃料噴射時期制御処理を示すフローチャート。
【図5】 実施の形態1の燃料噴射時期制御処理にて用いられるベース冷間時噴射時期eacld2bseを求めるための2次元マップ構成説明図。
【図6】 実施の形態1の燃料噴射時期制御処理にて用いられる噴射量補正係数emacldqを求めるための1次元マップ構成説明図。
【図7】 実施の形態1の燃料噴射時期制御処理にて用いられるベースプレストローク量eaplstbを求めるための2次元マップ構成説明図。
【図8】 実施の形態1の燃料噴射時期制御処理にて用いられる冷間時プレストローク補正係数t_mplstthwを求めるための2次元マップ構成説明図。
【符号の説明】
2…ディーゼルエンジン制御装置、4…ディーゼルエンジン、6…ターボチャージャー、8…エアクリーナー、10…吸気管、12…インタークーラー、14…ベンチュリー、16…シリンダー、18…燃焼室、20…燃料噴射弁、22…排気管、24…排気環流管、26…EGRバルブ、28…分配型燃料噴射ポンプ、30…タイミングコントロールバルブ、31…プランジャ、32…電磁スピル弁、32a…燃料溢流路、34…第1絞り弁、36…アクセルペダル、38…アクセルセンサ、40…第2絞り弁、42…ダイヤフラム機構、51…電子制御装置(ECU)、52…CPU、53…ROM、54…RAM、55…バックアップRAM、56…タイマカウンタ、57…入力インターフェース、58…出力インターフェース、59…バス、62…吸気圧センサ、64…水温センサ、66…燃温センサ、67…吸気温センサ、68…回転数センサ、70…クランクポジションセンサ、71…車速センサ、72… 負圧切換弁、74…電気式負圧調整弁(EVRV)。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ストロークの増加に伴って変化する送油率のもとで燃料を圧送するプランジャを有し、該プランジャのストロークの増加途中で、燃料を溢流させている燃料溢流路に設けられたスピル弁を閉弁することでディーゼルエンジンの燃焼室に燃料噴射を行う燃料噴射ポンプを備えたディーゼルエンジンの燃料噴射時期制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来よりディーゼルエンジンに使用される燃料噴射ポンプには、タイマとスピル弁とを備えることで燃料噴射時期および送油率を制御する燃料噴射ポンプ制御装置が使用されている。具体的には、プランジャから圧送される燃料の溢流を停止してディーゼルエンジンへの燃料噴射を実行するスピル弁と、カムを回動させることによりプランジャによる圧送開始時期を変更するタイマとを備え、燃料噴射ポンプの燃料噴射時期および送油率を制御する燃料噴射ポンプ制御装置が知られている。
【0003】
この燃料噴射ポンプ制御装置においては、スピル弁が開いているときは、プランジャから圧送される燃料は燃料溢流路を介して溢流するのでディーゼルエンジンの燃焼室には燃料は噴射されない。しかし、スピル弁が閉じることにより燃料溢流路は閉鎖されて、プランジャから圧送される燃料が全てディーゼルエンジンに供給され燃焼室に噴射されるようになる。したがってスピル弁の開閉時期を変更することにより燃料噴射時期を制御することができる。
【0004】
また、プランジャの移動速度および方向はカムとロータとの相対位置に応じて常時変化し、これに伴ってプランジャから圧送される燃料の圧力も変化する。このためスピル弁が閉弁したときにディーゼルエンジンに噴射される送油率も、ロータがカムの所定位置まで回動して燃料が圧送され始めてから、スピル弁が閉弁して燃料が噴射されるまでの期間、いわゆるプレストローク量に応じて変化する。そこで特開平5−163995号公報や特開平7−259622号公報に記載のごとく、燃料噴射時期とともに機関運転状態に応じた送油率となるようにプレストローク量を調整して燃料の噴射状態を制御し、好適な燃焼を実現するようにしている燃料噴射制御装置が提案されている。
【0005】
このプレストローク量の制御は、スピル弁の閉弁時期を調整することで燃料噴射時期に連動して行ったり、またタイマーも同時または別個に調整することにより行っている。このことにより、好適な燃焼状態となるようにプレストローク量が制御されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このように好適な燃焼状態となるように燃料噴射時期とプレストローク量とを制御しているにも関わらず、ディーゼルエンジンの冷間時においては良好な燃焼が得られない場合がある。
【0007】
ディーゼルエンジンの暖機後の状態での通常の燃料噴射時期の設定においてはプレストローク量の状態を特に考慮しなくても良好な燃焼性が得られている。しかし、冷間時においてはプレストローク量による燃料噴射時期への影響が燃焼性を悪化させる。しかも、この影響は、単に機関温度にて燃料噴射時期を補正しただけでは対応しきれないものである。
【0008】
これは、暖機後の状態では問題なく好適な燃焼が得られる燃料噴射時期であっても、冷間時にはプレストローク量の違いによる燃料噴射時期への影響が暖機後とは異なるため、表面に現れて来るからである。
【0009】
本発明は、上述したごとくディーゼルエンジンの機関温度の違いに伴う燃料噴射時期へのプレストローク量の影響の違いを考慮し、適切な燃料噴射時期制御を実現するディーゼルエンジンの燃料噴射時期制御装置を提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載のディーゼルエンジンの燃料噴射時期制御装置は、ストロークの増加に伴って変化する送油率のもとで燃料を圧送するプランジャを有し、該プランジャのストロークの増加途中で、燃料を溢流させている燃料溢流路に設けられたスピル弁を閉弁することでディーゼルエンジンの燃焼室に燃料噴射を行う燃料噴射ポンプを備えたディーゼルエンジンの燃料噴射時期制御装置であって、ディーゼルエンジンの機関温度に基づき燃料噴射時期を算出するとともに、燃料噴射の開始前における前記プランジャのストローク量であるプレストローク量を、着火遅れを考慮したプレストローク量とすべく前記機関温度に基づき補正し、前記補正されたプレストローク量に応じて前記燃料噴射時期をさらに補正することを特徴とする。
【0014】
このように、ディーゼルエンジンの機関温度に基づき補正されたプレストローク量に応じて燃料噴射時期をさらに補正することによって、冷間時と暖機後とのプレストローク量の影響の違いを燃料噴射時期に反映することができ、適切な燃料噴射時期を設定することができる。
【0018】
請求項2記載のディーゼルエンジンの燃料噴射時期制御装置は、ストロークの増加に伴って変化する送油率のもとで燃料を圧送するプランジャを有し、該プランジャのストロークの増加途中で、燃料を溢流させている燃料溢流路に設けられたスピル弁を閉弁することでディーゼルエンジンの燃焼室に燃料噴射を行う燃料噴射ポンプを備えたディーゼルエンジンの燃料噴射時期制御装置であって、ディーゼルエンジンの機関温度を検出する機関温度検出手段と、前記機関温度検出手段にて検出される機関温度に応じて、燃料噴射時期を算出する燃料噴射時期算出手段と、燃料噴射の開始前における前記プランジャのストローク量であるプレストローク量を検出するプレストローク量検出手段と、着火遅れを考慮したプレストローク量とすべく、前記プレストローク量検出手段にて検出されるプレストローク量に対する補正値を、前記機関温度検出手段にて検出される機関温度に基づき算出する補正値算出手段と、前記プレストローク量検出手段にて検出されるプレストローク量と前記補正値算出手段にて算出される補正値とに応じて、前記燃料噴射時期算出手段にて算出される燃料噴射時期をさらに補正する燃料噴射時期補正手段と、前記燃料噴射時期補正手段にて補正された燃料噴射時期に基づいて燃料噴射タイミングを制御する燃料噴射制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0019】
より具体的には、このように、燃料噴射時期算出手段、機関温度検出手段、プレストローク量検出手段、補正値算出手段、燃料噴射時期補正手段および燃料噴射制御手段を備えた構成とすることができる。
【0020】
ここで、燃料噴射時期補正手段は、プレストローク量と機関温度に対応した補正値とに応じて燃料噴射時期を補正している。
このように、ディーゼルエンジンの機関温度に対応したプレストローク量の補正値に応じて燃料噴射時期をさらに補正することによって、冷間時と暖機後とのプレストローク量の影響の違いを燃料噴射時期に反映することができることから、適切な燃料噴射時期を設定することができる。したがって、請求項1の作用効果を生じることができる。
【0021】
請求項3記載のディーゼルエンジンの燃料噴射時期制御装置は、請求項2記載の構成に対して、前記プレストローク量検出手段は、ディーゼルエンジンが暖機後の状態にあるものとしてプレストローク量を検出することを特徴とする。
【0022】
このように、プレストローク量検出手段は、プレストローク量を検出するに際しては、現在の温度条件がディーゼルエンジンが暖機後の状態にあるとしてプレストローク量を検出している。このことにより、請求項2の作用効果に加えて、各種の要求の変化、例えば、エミッション上の要求で燃料噴射時期の設定を変更したりした場合にも、このような変更に対して一層効率的に対応できる。すなわち、特に冷間時における実験を行わずに、プレストローク量検出手段によりプレストローク量を検出するための参照データや関係式などを作成することができるからである。
【0023】
請求項4記載のディーゼルエンジンの燃料噴射時期制御装置は、請求項2または3の構成に対して、前記補正値算出手段は、前記機関温度検出手段にて検出される機関温度と前記機関回転数検出手段にて検出される機関回転数とに対応した補正値を算出することを特徴とする。
【0024】
このように、補正値算出手段が補正値を算出する際に、ディーゼルエンジンの機関回転数を加味することができる。このことにより、請求項2または3の作用効果に加えて、一層的確に燃料噴射時期を制御できるようになる。
【0025】
請求項5記載のディーゼルエンジンの燃料噴射時期制御装置は、請求項2〜4のいずれか記載の構成に対して、前記プレストローク量検出手段は、機関回転数と機関負荷とに応じてプレストローク量を検出することを特徴とする。
【0026】
このように、より具体的には、プレストローク量検出手段は、プレストローク量を検出するに際して、機関回転数と機関負荷とをパラメータとしている。このことにより、請求項2〜4のいずれかの作用効果を的確に生じさせることができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
[実施の形態1]
図1は、上述した発明が適用されたディーゼルエンジン制御装置2の概略構成を表すブロック図である。
【0028】
ディーゼルエンジン4は自動車の駆動用として車両に搭載されている。このディーゼルエンジン4は、ターボチャージャー6を備えており、エアクリーナー8を介して吸気管10に導入された空気は、ターボチャージャー6によって過給され、インタークーラー12、ベンチュリー14を介して、シリンダー16内の燃焼室18に導かれる。
【0029】
燃焼室18内にては燃料噴射弁20から燃料が噴射され、燃焼した後の排気は、排気管22に排出され、ターボチャージャー6を駆動させて外部に排出される。
【0030】
なお、ターボチャージャー6より上流側の排気管22と、ベンチュリー14よりも下流の吸気管10との間には、排気環流管24が設けられている。この排気環流管24には、電子制御装置(以下単に「ECU」という)51の指示により電気式負圧調整弁(EVRV)74を介して開閉が調整されるEGRバルブ26が設けられている。排気環流管24は、EGRバルブ26が開状態の場合に、その開度に応じて排気を排気管22から吸気管10へ供給し、排気再循環を実現している。
【0031】
燃料噴射弁20へは、分配型燃料噴射ポンプ28から高圧燃料が、燃料噴射時期と燃料噴射量とが調整されて供給されている。この分配型燃料噴射ポンプ28にはタイミングコントロールバルブ30が設けられて、ECU51により駆動される。このことにより、燃料噴射の開始前におけるプランジャ31のストローク量であるプレストローク量を、後述する電磁スピル弁32とは別個にあるいは連動して調整することができる。
【0032】
更に、分配型燃料噴射ポンプ28の燃料溢流路32aには電磁スピル弁32が設けられ、ECU51により駆動されて燃料噴射時期、実プレストローク量および燃料噴射量を調整する。
【0033】
また、ベンチュリー14内の第1絞り弁34はアクセルペダル36と連動して開閉すると共に、第1絞り弁34の回動軸にはアクセルセンサ38が設けられて、アクセル開度ACCP、すなわち、運転者によるアクセルペダル36の操作量を検出している。ベンチュリー14内に第1絞り弁34と並列に設けられた第2絞り弁40はダイヤフラム機構42と負圧切換弁72とを介して、ECU51により調整される。
【0034】
ECU51の電気的構成について、図2のブロック図に従って説明する。
ECU51は、中央処理制御装置(CPU)52、制御に必要なプログラムやマップ等を予め記憶した読出専用メモリ(ROM)53、CPU52の演算結果等を一時記憶するランダムアクセスメモリ(RAM)54、予め記憶されたデータ等を保存するバックアップRAM55、タイマカウンタ56、入力インターフェース57および出力インターフェース58等を備えている。また、上記各部52〜56と入力インターフェース57および出力インターフェース58とは、バス59によって接続されている。
【0035】
前述したアクセルセンサ38、ベンチュリー14より下流の吸入空気の圧力を検出する吸気圧センサ62、ディーゼルエンジン4のエンジン冷却水温THWを検出する水温センサ64、分配型燃料噴射ポンプ28内で燃料の温度を検出する燃温センサ66、吸気管10に設けられて吸入空気の温度を検出する吸気温センサ67、その他のセンサは、それぞれバッファ、マルチプレクサ、A/D変換器(いずれも図示せず)を介して入力インターフェース57に接続されている。
【0036】
また、分配型燃料噴射ポンプ28の回転からディーゼルエンジン4のエンジン回転数eneを検出する回転数センサ68、ディーゼルエンジン4のクランクシャフトの基準角度位置を検出するクランクポジションセンサ70、車速センサ71、その他のセンサは、波形整形回路(図示せず)を介して入力インターフェース57に接続されている。さらに、図示していないがスタータスイッチ等は入力インターフェース57に直接接続されている。このことで、CPU52は、上記各センサの信号を読み込むことができる。
【0037】
また、前述したタイミングコントロールバルブ30、電磁スピル弁32、ダイヤフラム機構42の動作を図示していないバキュームポンプが発生する負圧と大気圧との供給状態にて調整することで第2絞り弁40の開度を調整する負圧切換弁72、およびEGRバルブ26の開度を前記バキュームポンプの負圧と大気圧との供給状態にて調整することで排気環流管24による排気の環流量を調整するEVRV74は、それぞれ駆動回路(図示せず)を介して出力インターフェース58に接続されている。
【0038】
したがって、CPU52は、前述のごとく入力インターフェース57を介して読み込んだセンサ類の検出値に基づき、出力インターフェース58を介してタイミングコントロールバルブ30、電磁スピル弁32、負圧切換弁72、EVRV74等を好適に調整し、ディーゼルエンジン4の駆動状態を適切に制御している。
【0039】
次に、本実施の形態において、ECU51により実行される制御のうち、燃料噴射時期制御について説明する。図3は燃料噴射時期設定処理のフローチャートを示す。この処理は、爆発行程毎のクランク角割り込みで実行される。なお個々の処理に対応するフローチャート中のステップを「S〜」で表す。
【0040】
処理が開始されると、まずRAM54内の作業メモリに、回転数センサ68の検出値から得られているエンジン回転数eneを読み込み(S110)、水温センサ64の検出値から得られている冷却水温gthwを読み込む(S120)。更に、別途実行された図示していない燃料噴射量設定処理にて算出されている最終燃料噴射量eqfin(機関負荷に相当する)をRAM54内の作業メモリに読み込む(S130)。
【0041】
次に、エンジン回転数eneおよび冷却水温gthwに基づいて、図5に示すエンジン回転数eneと冷却水温gthwとをパラメータとするベース冷間時噴射時期eacld2bseの2次元マップから、該当するベース冷間時噴射時期eacld2bseを算出する(S140)。このベース冷間時噴射時期eacld2bseは、プレストローク量が「0」での失火限界から実験的に求めた値である。なお、本実施の形態では、図5に示すベース冷間時噴射時期eacld2bseの2次元マップの内で、最も高温側である領域Ar1ではベース冷間時噴射時期eacld2bseとして「0」が設定されている。
【0042】
次に、冷却水温gthwに基づいて、図6に示す冷却水温gthwをパラメータとする噴射量補正係数emacldqの1次元マップから、該当する噴射量補正係数emacldqを算出する(S150)。この噴射量補正係数emacldqは、無負荷で決定された前記ベース冷間時噴射時期eacld2bseに対する噴射量感度を実験的に求めて設定したものである。なお、本実施の形態では、図5に示す噴射量補正係数emacldqの1次元マップの内で、最も高温側である領域Ar2では噴射量補正係数emacldqとして「0」が設定されている。
【0043】
次に、エンジン回転数eneおよび最終燃料噴射量eqfinに基づいて、図7に示すエンジン回転数eneと最終燃料噴射量eqfinとをパラメータとするベースプレストローク量eaplstbの2次元マップから、該当するベースプレストローク量eaplstbを算出する(S160)。このベースプレストローク量eaplstbは暖機後の実プレストローク量を実験により求めて設定したものである。本実施の形態では、実プレストローク量は、燃料噴射量制御を行う電磁スピル弁32の閉弁タイミングにより制御されている。そして、この閉弁タイミングは、エンジン回転数eneと最終燃料噴射量eqfinとの2次元マップにより設定されている。このため、図7の2次元マップもエンジン回転数eneと最終燃料噴射量eqfinとをパラメータとしている。
【0044】
次に、エンジン回転数eneおよび冷却水温gthwに基づいて、図8に示すエンジン回転数eneと冷却水温gthwとをパラメータとする冷間時プレストローク補正係数t_mplstthwの2次元マップから、該当する冷間時プレストローク補正係数t_mplstthwを算出する(S170)。この冷間時プレストローク補正係数t_mplstthwは、プレストローク量による着火遅れが、同一プレストローク量にてもディーゼルエンジン4の暖機の程度に応じて変化するために設けられた補正係数である。すなわち、暖機の程度に応じてベース冷間時噴射時期eacld2bse(あるいはベースプレストローク量eaplstb)を補正するための係数である。なお、本実施の形態においては、図8に示す冷間時プレストローク補正係数t_mplstthwの2次元マップの内で、最も高温側である領域Ar3では冷間時プレストローク補正係数t_mplstthwとして「0」が設定されている。
【0045】
次に、冷間時プレストローク進角補正量eaplstが、ステップS160にて求められたベースプレストローク量eaplstbとステップS170にて求められた冷間時プレストローク補正係数t_mplstthwとに基づいて、次式1に示すごとく算出される(S180)。
【0046】
【数1】
eaplst ← eaplstb(1 + t_mplstthw)… [式1]
次に、冷間時噴射時期eacld2が、次式2に示すごとく算出される(S190)。式2では、ステップS140にて求めたベース冷間時噴射時期eacld2bse、ステップS150で求めた噴射量補正係数emacldq、ステップS130にて読み込んだ最終燃料噴射量eqfinおよびステップS180にて求めた冷間時プレストローク進角補正量eaplstが用いられる。
【0047】
【数2】
次に、前記ステップS180にて求められた冷間時プレストローク進角補正量eaplstによる補正により前記ステップS190にて得られた冷間時噴射時期eacld2に基づき、更に必要に応じてこれ以外の噴射時期補正を加味して、目標噴射時期eatrgが設定される(S200)。このことにより、ECU51は、目標噴射時期eatrgとなるようにタイミングコントロールバルブ30の通電時間を制御する。
【0048】
このようにして、目標噴射時期eatrgに冷間時プレストローク進角補正量eaplstが加味されることにより、機関温度の違いによる燃料噴射時期へのプレストローク量の影響の違いを反映させることができる。
【0049】
上述した実施の形態1の構成において、ステップS140が燃料噴射時期算出手段としての処理に相当し、水温センサ64が機関温度検出手段に相当し、ステップS160がプレストローク量検出手段としての処理に相当し、ステップS170が補正値算出手段としての処理に相当し、ステップS180,S190が燃料噴射時期補正手段としての処理に相当し、ステップS200が燃料噴射制御手段としての処理に相当する。
【0050】
なお、前述した内容は冷間時の燃料噴射時期制御について記載したものであり、暖機後の通常の燃料噴射時期制御とは別の処理である。具体的には、ステップS120にて冷却水温gthwの読み込み後、冷却水温gthw<60℃(エンジン機種により異なる値)の場合にのみ、前述の制御内容(ステップS130〜S200)を実行し、冷却水温gthw≧60℃の場合は通常の暖機後の燃料噴射時期制御を行うように制御ロジックの使い分けがなされる。
【0051】
以上説明した本実施の形態1によれば、以下の効果が得られる。
(イ).ステップS160〜S190の処理により、ベースプレストローク量eaplstb(プレストローク量に相当する)と、冷却水温gthw(機関温度に相当する)に対応した冷間時プレストローク補正係数t_mplstthw(補正値に相当する)とに応じて、燃料噴射時期(eacld2bse+emacldq×eqfin)を補正して、冷間時噴射時期eacld2を設定している。
【0052】
このように、ディーゼルエンジン4の機関温度とプレストローク量とに応じて燃料噴射時期を補正することによって、冷間時と暖機後とのプレストローク量の影響の違いを燃料噴射時期に反映することができる。このことから、良好な燃焼のために適切な燃料噴射時期を設定することができる。
【0053】
(ロ).ステップS160におけるベースプレストローク量eaplstbの算出は、ディーゼルエンジン4が暖機後の状態にある場合に実験で得られた2次元マップ(図7)を用いている。
【0054】
このため、各種の要求の変化、例えば、エミッション上の要求で燃料噴射時期を変更したり、タイミングコントロールバルブ30による調整を変更することにしたとしても、冷間時における実験を行わずに暖機後の状態にて図7に示したマップデータを作成することができ、一層効率的に各種設定の変更に対応できる。
【0055】
(ハ).また、ステップS170では、冷間時プレストローク補正係数t_mplstthwを求めるのに、冷却水温gthwに加えて、エンジン回転数eneをもパラメータとしている2次元マップ(図8)を用いている。このことにより、一層的確に燃料噴射時期を制御できるようになる。
【0056】
[その他の実施の形態]
・前記実施の形態において、ディーゼルエンジンの機関温度として冷却水の温度を用いたが、これ以外に燃温センサ66にて検出される燃料温度をディーゼルエンジンの機関温度を表す値として用いても良い。またディーゼルエンジンの潤滑油の温度をディーゼルエンジンの機関温度を表す値として用いても良い。
【0057】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の実施の形態には、特許請求の範囲に記載した技術的事項以外に次のような各種の技術的事項の実施形態を有するものであることを付記しておく。
【0058】
(1).燃料噴射の開始前に燃料噴射ポンプのプランジャに与えるべきストローク量であるプレストローク量をディーゼルエンジンの運転状態に応じて変更することで、燃料噴射時の送油率をディーゼルエンジンの運転状態に応じて変更し得るディーゼルエンジンの燃料噴射時期制御装置であって、
ディーゼルエンジンが冷間時にある場合、プレストローク量に応じて燃料噴射時期を補正することを特徴とするディーゼルエンジンの燃料噴射時期制御装置。
【0059】
(2).燃料噴射の開始前に燃料噴射ポンプのプランジャに与えるべきストローク量であるプレストローク量をディーゼルエンジンの運転状態に応じて変更することで、燃料噴射時の送油率をディーゼルエンジンの運転状態に応じて変更し得るディーゼルエンジンの燃料噴射時期制御装置であって、
ディーゼルエンジンの機関温度とプレストローク量とに応じて燃料噴射時期を補正することを特徴とするディーゼルエンジンの燃料噴射時期制御装置。
【0060】
(3).燃料噴射の開始前に燃料噴射ポンプのプランジャに与えるべきストローク量であるプレストローク量をディーゼルエンジンの運転状態に応じて変更することで、燃料噴射時の送油率をディーゼルエンジンの運転状態に応じて変更し得るディーゼルエンジンの燃料噴射時期制御装置であって、
ディーゼルエンジンの運転状態に応じて、燃料噴射時期を算出する燃料噴射時期算出手段と、
ディーゼルエンジンが冷間時にあるか否かを判定する機関冷間時判定手段と、
前記プレストローク量を検出するプレストローク量検出手段と、
前記機関冷間時判定手段にてディーゼルエンジンが冷間時にあると判定されている場合には、前記プレストローク量検出手段にて検出されるプレストローク量に応じて、前記燃料噴射時期算出手段にて算出される燃料噴射時期を補正する燃料噴射時期補正手段と、
前記燃料噴射時期補正手段にて補正された燃料噴射時期に基づいて燃料噴射タイミングを制御する燃料噴射制御手段と、
を備えたことを特徴とするディーゼルエンジンの燃料噴射時期制御装置。
【0061】
(4).燃料噴射の開始前に燃料噴射ポンプのプランジャに与えるべきストローク量であるプレストローク量をディーゼルエンジンの運転状態に応じて変更することで、燃料噴射時の送油率をディーゼルエンジンの運転状態に応じて変更し得るディーゼルエンジンの燃料噴射時期制御装置であって、
ディーゼルエンジンの運転状態に応じて、燃料噴射時期を算出する燃料噴射時期算出手段と、
ディーゼルエンジンの機関温度を検出する機関温度検出手段と、
前記プレストローク量を検出するプレストローク量検出手段と、
前記機関温度検出手段にて検出される機関温度に対応した補正値を算出する補正値算出手段と、
前記プレストローク量検出手段にて検出されるプレストローク量と前記補正値算出手段にて算出される補正値とに応じて、前記燃料噴射時期算出手段にて算出される燃料噴射時期を補正する燃料噴射時期補正手段と、
前記燃料噴射時期補正手段にて補正された燃料噴射時期に基づいて燃料噴射タイミングを制御する燃料噴射制御手段と、
を備えたことを特徴とするディーゼルエンジンの燃料噴射時期制御装置。
【0062】
(5).前記プレストローク量検出手段は、ディーゼルエンジンが暖機後の状態にあるものとしてプレストローク量を検出することを特徴とする(4)記載のディーゼルエンジンの燃料噴射時期制御装置。
【0063】
(6).(4)または(5)の構成に加えて、ディーゼルエンジンの機関回転数を検出する機関回転数検出手段を備え、
前記補正値算出手段は、前記機関温度検出手段にて検出される機関温度と前記機関回転数検出手段にて検出される機関回転数とに対応した補正値を算出することを特徴とするディーゼルエンジンの燃料噴射時期制御装置。
【0064】
(7).前記プレストローク量検出手段は、機関回転数と機関負荷とに応じてプレストローク量を検出することを特徴とする(4)〜(6)のいずれか記載のディーゼルエンジンの燃料噴射時期制御装置。
【0066】
【発明の効果】
請求項1記載のディーゼルエンジンの燃料噴射時期制御装置においては、ディーゼルエンジンの機関温度に基づき補正されたプレストローク量に応じて、燃料噴射時期をさらに補正することを特徴とする。このように、ディーゼルエンジンの機関温度に基づき補正されたプレストローク量に応じて燃料噴射時期をさらに補正することによって、冷間時と暖機後とのプレストローク量の影響の違いを燃料噴射時期に反映することができ、適切な燃料噴射時期を設定することができる。
【0068】
請求項2記載のディーゼルエンジンの燃料噴射時期制御装置においては、ストロークの増加に伴って変化する送油率のもとで燃料を圧送するプランジャを有し、該プランジャのストロークの増加途中で、燃料を溢流させている燃料溢流路に設けられたスピル弁を閉弁することでディーゼルエンジンの燃焼室に燃料噴射を行う燃料噴射ポンプを備えたディーゼルエンジンの燃料噴射時期制御装置であって、ディーゼルエンジンの機関温度を検出する機関温度検出手段と、前記機関温度検出手段にて検出される機関温度に応じて、燃料噴射時期を算出する燃料噴射時期算出手段と、燃料噴射の開始前における前記プランジャのストローク量であるプレストローク量を検出するプレストローク量検出手段と、着火遅れを考慮したプレストローク量とすべく、前記プレストローク量検出手段にて検出されるプレストローク量に対する補正値を、前記機関温度検出手段にて検出される機関温度に基づき算出する補正値算出手段と、前記プレストローク量検出手段にて検出されるプレストローク量と前記補正値算出手段にて算出される補正値とに応じて、前記燃料噴射時期算出手段にて算出される燃料噴射時期をさらに補正する燃料噴射時期補正手段と、前記燃料噴射時期補正手段にて補正された燃料噴射時期に基づいて燃料噴射タイミングを制御する燃料噴射制御手段とを備えたことを特徴とする。ここで、燃料噴射時期補正手段は、プレストローク量と機関温度に対応した補正値とに応じて燃料噴射時期を補正している。このように、ディーゼルエンジンの機関温度に対応したプレストローク量の補正値に応じて燃料噴射時期をさらに補正することによって、冷間時と暖機後とのプレストローク量の影響の違いを燃料噴射時期に反映することができることから、適切な燃料噴射時期を設定することができる。したがって、請求項1の効果を生じることができる。
【0069】
請求項3記載のディーゼルエンジンの燃料噴射時期制御装置においては、請求項2記載の構成に対して、前記プレストローク量検出手段は、ディーゼルエンジンが暖機後の状態にあるものとしてプレストローク量を検出している。このように、プレストローク量検出手段は、プレストローク量を検出するに際しては、現在の温度条件がディーゼルエンジンが暖機後の状態にあるとしてプレストローク量を検出している。このことにより、請求項2の効果に加えて、各種の要求の変化、例えば、エミッション上の要求で燃料噴射時期の設定を変更したりした場合にも、このような変更に対して一層効率的に対応できる。すなわち、特に冷間時における実験を行わずに、プレストローク量検出手段によりプレストローク量を検出するための参照データや関係式などを作成することができるからである。
【0070】
請求項4記載のディーゼルエンジンの燃料噴射時期制御装置においては、請求項2または3の構成に対して、前記補正値算出手段は、前記機関温度検出手段にて検出される機関温度と前記機関回転数検出手段にて検出される機関回転数とに対応した補正値を算出している。このように、補正値算出手段が補正値を算出する際に、ディーゼルエンジンの機関回転数を加味することができる。このことにより、請求項2または3の効果に加えて、一層的確に燃料噴射時期を制御できるようになる。
【0071】
請求項5記載のディーゼルエンジンの燃料噴射時期制御装置においては、請求項2〜4のいずれか記載の構成に対して、前記プレストローク量検出手段は、機関回転数と機関負荷とに応じてプレストローク量を検出している。このことにより、請求項2〜4のいずれかの効果を的確に生じさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態1としてのディーゼルエンジン制御装置の概略構成を表すブロック図。
【図2】 実施の形態1で用いられる制御系のブロック図。
【図3】 実施の形態1でECUにより実行される燃料噴射時期制御処理を示すフローチャート。
【図4】 実施の形態1でECUにより実行される燃料噴射時期制御処理を示すフローチャート。
【図5】 実施の形態1の燃料噴射時期制御処理にて用いられるベース冷間時噴射時期eacld2bseを求めるための2次元マップ構成説明図。
【図6】 実施の形態1の燃料噴射時期制御処理にて用いられる噴射量補正係数emacldqを求めるための1次元マップ構成説明図。
【図7】 実施の形態1の燃料噴射時期制御処理にて用いられるベースプレストローク量eaplstbを求めるための2次元マップ構成説明図。
【図8】 実施の形態1の燃料噴射時期制御処理にて用いられる冷間時プレストローク補正係数t_mplstthwを求めるための2次元マップ構成説明図。
【符号の説明】
2…ディーゼルエンジン制御装置、4…ディーゼルエンジン、6…ターボチャージャー、8…エアクリーナー、10…吸気管、12…インタークーラー、14…ベンチュリー、16…シリンダー、18…燃焼室、20…燃料噴射弁、22…排気管、24…排気環流管、26…EGRバルブ、28…分配型燃料噴射ポンプ、30…タイミングコントロールバルブ、31…プランジャ、32…電磁スピル弁、32a…燃料溢流路、34…第1絞り弁、36…アクセルペダル、38…アクセルセンサ、40…第2絞り弁、42…ダイヤフラム機構、51…電子制御装置(ECU)、52…CPU、53…ROM、54…RAM、55…バックアップRAM、56…タイマカウンタ、57…入力インターフェース、58…出力インターフェース、59…バス、62…吸気圧センサ、64…水温センサ、66…燃温センサ、67…吸気温センサ、68…回転数センサ、70…クランクポジションセンサ、71…車速センサ、72… 負圧切換弁、74…電気式負圧調整弁(EVRV)。
Claims (5)
- ストロークの増加に伴って変化する送油率のもとで燃料を圧送するプランジャを有し、該プランジャのストロークの増加途中で、燃料を溢流させている燃料溢流路に設けられたスピル弁を閉弁することでディーゼルエンジンの燃焼室に燃料噴射を行う燃料噴射ポンプを備えたディーゼルエンジンの燃料噴射時期制御装置であって、
ディーゼルエンジンの機関温度に基づき燃料噴射時期を算出するとともに、燃料噴射の開始前における前記プランジャのストローク量であるプレストローク量を、着火遅れを考慮したプレストローク量とすべく前記機関温度に基づき補正し、前記補正されたプレストローク量に応じて前記燃料噴射時期をさらに補正することを特徴とするディーゼルエンジンの燃料噴射時期制御装置。 - ストロークの増加に伴って変化する送油率のもとで燃料を圧送するプランジャを有し、該プランジャのストロークの増加途中で、燃料を溢流させている燃料溢流路に設けられたスピル弁を閉弁することでディーゼルエンジンの燃焼室に燃料噴射を行う燃料噴射ポンプを備えたディーゼルエンジンの燃料噴射時期制御装置であって、
ディーゼルエンジンの機関温度を検出する機関温度検出手段と、
前記機関温度検出手段にて検出される機関温度に応じて、燃料噴射時期を算出する燃料噴射時期算出手段と、
燃料噴射の開始前における前記プランジャのストローク量であるプレストローク量を検出するプレストローク量検出手段と、
着火遅れを考慮したプレストローク量とすべく、前記プレストローク量検出手段にて検出されるプレストローク量に対する補正値を、前記機関温度検出手段にて検出される機関温度に基づき算出する補正値算出手段と、
前記プレストローク量検出手段にて検出されるプレストローク量と前記補正値算出手段にて算出される補正値とに応じて、前記燃料噴射時期算出手段にて算出される燃料噴射時期をさらに補正する燃料噴射時期補正手段と、
前記燃料噴射時期補正手段にて補正された燃料噴射時期に基づいて燃料噴射タイミングを制御する燃料噴射制御手段と、
を備えたことを特徴とするディーゼルエンジンの燃料噴射時期制御装置。 - 前記プレストローク量検出手段は、ディーゼルエンジンが暖機後の状態にあるものとしてプレストローク量を検出することを特徴とする請求項2記載のディーゼルエンジンの燃料噴射時期制御装置。
- 前記補正値算出手段は、前記機関温度検出手段にて検出される機関温度と前記機関回転数検出手段にて検出される機関回転数とに対応した補正値を算出することを特徴とする請求項2または3記載のディーゼルエンジンの燃料噴射時期制御装置。
- 前記プレストローク量検出手段は、機関回転数と機関負荷とに応じてプレストローク量を検出することを特徴とする請求項2〜4のいずれか記載のディーゼルエンジンの燃料噴射時期制御装置。
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