JP3674465B2 - 電気自動車用電池の最大充放電電力演算装置 - Google Patents

電気自動車用電池の最大充放電電力演算装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気自動車用電池に用いられる最大充放電電力演算装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電気自動車等の電池の放電電力および充電電力は、それぞれ最大放電電力および最大充電電力以下となるように制御される。これらの最大充放電電力を算出する方法として、特開平10−104325号公報に開示されているものがある。この公報に開示されている最大充放電電力演算はパワー演算と呼ばれるものであって、走行中に所定容量(以下ではサンプリング容量と呼ぶ)放電する間に電池の電圧Vと電流Iをサンプリングし、そのサンプリングデータから電池の現状放電可能出力を演算するものである。このパワー演算は、電池の残存容量を推測するのに有効な手段である。また、放電末期において容量計の指示がempty付近になったときには車両の出力調整が行われるが、そのような出力調整を行う際にも有効である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、電気自動車に駆動用電池として搭載される電池にはリチウムイオン電池やニッケル水素電池などがあるが、それらの電池の開放電圧E0とSOC(state of chrage)との間には図7に示すような関係がある。すなわち、SOCが小さくなるほど開放電圧E0の減少の割合が大きくなり、サンプリング容量あたりの開放電圧変化ΔE0は図8に示すようになっている。電池のSOCが100%(満充電状態)から50%ぐらいまでは、ΔE0はそれ程変化せずほぼ一定と見なせるが、SOCが50%より小さくなるとΔE0が増加するのが分かる。
【0004】
そのため、図8の符号B1で示すようにSOCが50%より大きな状態においてパワー演算を行うと、サンプリング容量Cだけ放電する間に得られるサンプリングデータ(黒丸印で示す)は図9(a)のような分布となる。一方、符号B2で示すように、SOCが50%より小さな状態において得られるサンプリングデータは図9(b)のような分布となる。図9の(a)、(b)において、d1とd2,d11とd21およびd12とd22はそれぞれ電流値がほぼ等しいデータを表しており、d1,d11,d12はサンプリング開始直後に得られるデータ、d2,d21,d22はサンプリング終了直前に得られるデータである。サンプリングする間の電圧変化は、図9(a)の場合にはΔV1、図9(b)の場合にはΔV2(>ΔV1)となる。
【0005】
パワー演算では、図9(a)のようなサンプリングデータから回帰直線L1を算出する。回帰直線L1は次式(1)で表わされ、回帰直線L1の傾きから電池の内部抵抗Rが、縦軸(V軸)の切片から電池の開放電圧E0が算出される。このとき、電池の寿命を考慮した使用電圧範囲の下限電圧である放電終止電圧Vminと回帰直線L1とから得られる電流Imaxは、放電許容値を与える。そして、放電可能電力Pmaxは、式(2)で与えられる。
【数1】
V=E0−I・R …(1)
Pmax=Vmin・Imax=Vmin・(E0−Vmin)/R …(2)
【0006】
しかしながら、サンプリングする間の電池の開放電圧の変化が大きいと、図9(b)に示すようにサンプリングデータのバラツキが大きくなり、Pmaxの演算誤差が大きくなってしまうという不都合があった。例えば、サンプリング容量Cを放電する間の前半に高負荷側のデータd12がサンプリングされ、放電後半に低負荷側のデータd21がサンプリングされた場合を考える。この場合、図9(b)のL21で示すような回帰直線が得られ、回帰直線L21の傾きは電池の実力値を示すIV特性直線L0の傾きより小さくなる。すなわち、内部抵抗が実際より小さく算出され、電池の放電可能電力Pmaxは実力より大きく演算されてしまうことになる。
【0007】
逆に、放電前半に低負荷側のデータd11がサンプリングされ、放電後半に高負荷側のデータd22がサンプリングされた場合には、回帰直線はL22のようになる。そのため、内部抵抗が実際より大きく算出され、電池の放電可能電力Pmaxは実力より小さく演算されてしまう。例えば、放電可能電力Pmaxが実際より大きく算出されてしまった場合には、容量計がemptyを表示する前に電池容量がゼロとなってしまうというような不都合が生じる。
【0008】
本発明の目的は、パワー演算精度の向上を図ることができる最大充放電電力演算装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
発明の実施の形態を示す図1に対応付けて説明すると、本発明は、サンプリング容量を放電する間に電池1の電圧Vを測定する電圧測定手段4と、サンプリング容量を放電する間に電池1に流れる電流Iを測定する電流測定手段5と、電圧測定手段4および電流測定手段5の測定結果に基づいて電池1の開放電圧を求めて充放電可能電力を算出する演算手段6とを備え、電圧測定手段4および電流測定手段5によるサンプリング測定と演算手段6による充放電可能電力の演算とを繰り返し行う電気自動車用電池の最大充放電電力演算装置に適用され、サンプリング測定毎に、該サンプリング測定より以前に算出された開放電圧に基づいて、各サンプリング測定の開始から終了までの電池1の開放電圧の変化がほぼ一定となるようにサンプリング容量を設定する設定手段6を設けたことにより上述の目的を達成する。
【0010】
なお、本発明の構成を説明する上記課題を解決するための手段の項では、本発明を分かり易くするために発明の実施の形態の図を用いたが、これにより本発明が発明の実施の形態に限定されるものではない。
【0011】
【発明の効果】
本発明によれば、充放電可能電力の演算を行う際のサンプリング容量は、そのサンプリング測定より以前に算出された開放電圧に基づいて電池の開放電圧変化がほぼ等しくなるように設定されるので、放電末期であってもサンプリングデータの電圧に関するバラツキを小さくすることができ、充放電可能電力演算の演算精度を向上させることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図1〜図6および図9を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は電気自動車の走行駆動機構の一例を示すブロック図である。複数の単セル101から成る電池1はインバータ2に直流電力を供給し、インバータ2は直流電力を交流電力に変換してモータ3を駆動して走行エネルギーを発生させる。また、回生時には車両の走行エネルギーがモータ3およびインバータ2を介して電気エネルギーに逆変換され、電池1が充電されるとともに車両に回生ブレーキがかかる。電圧センサ4は電池1の両端電圧Vを検出し、電流センサ5は電池1に流れる電流Iを検出する。
【0013】
電池1の状態を監視して制御するバッテリーコントローラ6では、前述したパワー演算や電池1の充放電制御などが行われる。例えば、走行中にサンプリング容量だけ放電する間に電圧センサ4および電流センサ5により電圧Vと電流Iをサンプリングし、そのサンプリングデータから電池1の放電可能電力Pmaxや充電可能電力PCmaxを演算する。また、この演算結果に基づいて電池1の残存容量を算出し、容量計7に残存容量を表示させる。放電可能電力Pmaxや充電可能電力PCmaxはTPC(トルクプロセッシングコントロール)8に送られ、TPC8はこれらのデータに基づいて出力制御命令および回生制御命令をモータコントローラ9に出力する。モータコントローラ9は、TPC8からの命令に従ってインバータ2によるモータ3の駆動を制御する。
【0014】
《Pmax,PCmaxの算出方法について》
ここで、放電可能電力Pmax,充電可能電力PCmaxの算出方法について説明する。電池1が放電状態にあるときに、電池1の電圧Vおよび電流Iをサンプリングする。このサンプリングは所定のサンプリングタイミング容量だけ放電する間に行われる。そして、図9(a)に示すように、得られたサンプリングデータからIV特性を直線回帰演算する。前述したように、回帰直線L1は式(1)で表わされ、回帰直線L1の傾きから電池の内部抵抗Rが、縦軸(V軸)の切片から電池の開放電圧E0がそれぞれ算出される。
【数2】
V=E0−I・R …(1)
【0015】
回帰直線L1と放電時の放電下限電圧(車両システムとしての使用下限電圧)Vminとの交点の電流Imaxは放電許容値を与え、充電時の許容最大電圧Vmaxとの交点の電流ICmaxは充電許容値を与える。放電可能電力Pmaxおよび充電可能電力PCmaxは次式(2),(3)で与えられる。
【数3】
Pmax=Vmin・Imax=Vmin・(E0−Vmin)/R …(2)
PCmax=Vmax・ICmax=Vmax・(E0−Vmax)/R …(3)
なお、放電下限電圧Vminは以下の(a),(b)の要因から決定されており、Vmin≧E0/2となっている。
(a)電池の寿命を考慮した使用電圧範囲の下限電圧(放電終止電圧)
(b)車両搭載ユニットの性能,機能を保証可能な使用電圧範囲の下限電圧
【0016】
ところで、前述したように、SOCが50%以下となって開放電圧変化ΔE0が大きくなると、PmaxやPCmaxの演算誤差が大きくなり演算精度が低下するという問題があった。そこで、本実施の形態では、各サンプリングにおいて開放電圧変化ΔE0がほぼ一定となるように、具体的には、ΔE0の値が小さい満充電状態の開放電圧変化とほぼ等しくなるように、サンプリング容量を設定するようにした。
【0017】
《サンプリング容量の設定方法について》
図2は、バッテリーコントローラ6で行われるパワー演算およびサンプリング容量の設定の手順を示すフローチャートである。図2に示すフローチャートでは、満充電時を初期状態としてステップS1からスタートする。初期状態では規定のサンプリング容量C0に設定されている。ステップS1では、サンプリング容量C0を放電する間に電圧Vおよび電流Iをサンプリングする。ステップS2では、ステップS1で得られたサンプリングデータに基づいて所定のパワー演算を行う。すなわち、図9(a)の回帰直線L1を求めて内部抵抗R,開放電圧E01,放電可能電力Pmax,充電可能電力PCmaxなどを算出する。ステップS3では算出された開放電圧E01をメモリする。
【0018】
ステップ4では、再びサンプリング容量C0を放電する間に電圧Vおよび電流Iをサンプリングする。次いで、ステップS5でパワー演算を行った後に、ステップS6においてステップS5で算出された開放電圧E02をメモリする。ステップS7では、メモリされた開放電圧E01,E02と予め定められた規定の開放電圧変化ΔE0xおよびサンプリング容量C0とに基づいて、式(4)により補正後のサンプリング容量Cxを算出する。ステップS8では、ステップS7で算出されたサンプリング容量Cxを放電する間に、電圧Vおよび電流Iをサンプリングする。
【数4】
C0×ΔE0x/(E01−E02)=Cx …(4)
【0019】
その後、ステップS7に戻って、ステップS8でサンプリングされたデータに基づいてパワー演算を行う。以後、ステップS5〜S8の処理を繰り返し実行して、パワー演算を繰り返し行う。その際、パワー演算が行われる度にステップS7でサンプリング容量Cxが設定され、そのサンプリング容量Cxが次のタイミングのサンプリングの時に採用される。
【0020】
次に、上述したようにサンプリング容量Cxを設定することによって、各サンプリング時の開放電圧変化がほぼ等しくなることについて説明する。式(4)の開放電圧変化ΔE0xとしては、例えば、図3に示すようにほぼ満充電状態G1においてサンプリング容量C0放電する間の電圧変化を用いる。図3は電池1の開放電圧とSOCとの関係を示す図であり、符号G2で示すようにSOCが50%より小さいところでは、開放電圧E0の変化が大きくなる。また、図4は図3のG2で示す部分の拡大図である。
【0021】
図4において、E03はサンプリング容量Cxを放電する間のサンプリングデータに基づくパワー演算で得られた開放電圧である。このパワー演算よりも以前に、前回のパワー演算で開放電圧E02が得られ、前々回のパワー演算で開放電圧E01が得られている。Cx’は前回のパワー演算の際に用いられるサンプリング容量であり、サンプリング容量Cx,Cx’は上述した式(4)により設定される。図3の曲線はSOCの低下とともに傾きが大きくなっているので、E01−E02>ΔE0xとなっている。
【0022】
図4において、E01〜E02の部分の曲線を直線と見なすと、この直線の傾きは次式(5)のようになり、直線と見なしたときのE02−E03は式(6)に示すようにΔE0xに等しくなる。すなわち、本実施の形態では、各パワー演算の際のサンプリング容量Cxは、サンプリング開始から終了までの開放電圧変化がΔE0xとほぼ等しくなるように設定される。実際には、開放電圧とSOCとの関係を表す曲線は、SOCの低下とともに傾きが増加する曲線なので、E02−E03はΔE0xよりやや大きな値となる。
【数5】
Figure 0003674465
【0023】
このように、本実施の形態のようにサンプリング容量Cxを決定すると、Cxだけ放電する間の開放電圧変化は各サンプリング時の電池のSOCに依らずほぼ一定となる。このときの各開放電圧変化は、規定開放電圧変化ΔE0xにほぼ等しい値となる。その結果、図5に示すように、SOCが50%より小さな放電末期であっても、電流値が等しいデータの電圧のバラツキをΔE0x程度とすることができ、パワー演算の精度を向上させることができる。なお、上述した実施の形態では、式(4)によりサンプリング容量Cxを算出するようにしたが、サンプリング以前に算出された開放電圧に基づく算出方法は式(4)以外にも様々な式が考えられる。
【0024】
ところで、電池1が低温状態となったり劣化したりすると、図6に示すように開放電圧とSOCとの関係を表す曲線がL50からL51のように変化する。このように変化すると、常温時や劣化前と比べて開放電圧の変化の割合が増加する。その結果、サンプリング時の開放電圧変化がより大きくなり、サンプリングデータのバラツキによるパワー演算精度の低下が著しくなる。このような場合にも、上述した実施の形態のようにサンプリング容量Cxを設定することにより、演算精度の低下を防止することができる。
【0025】
また、上述した実施の形態では、サンプリング毎に算出される開放電圧に基づいてCxを設定するようにしたが、劣化時、低温時等の種々の電池状態に対するSOCと開放電圧との関係を示すマップを予め用意しておき、電池温度、電池の劣化状態、SOCに応じてサンプリング容量Cxを最適なものに設定するようにしても良い。ただし、上述したようにリアルタイムに算出される開放電圧に基づいてCxを算出する場合、検出された開放電圧に電池温度や劣化状態等は反映されているので、それらを考慮する必要が無く演算負荷を軽くすることができる。
【0026】
以上説明した実施の形態と特許請求の範囲の要素との対応において、電圧センサ4は電圧測定手段を、電流センサ5は電流測定手段を、バッテリーコントローラ6は演算手段および設定手段をそれぞれ構成する。
【図面の簡単な説明】
【図1】電気自動車の走行駆動機構の一例を示すブロック図である。
【図2】パワー演算およびサンプリング容量の設定の手順を示すフローチャートである。
【図3】電池1の開放電圧とSOCとの関係を示す図である。
【図4】図3のG2の部分の拡大図である。
【図5】本実施の形態の場合の、放電末期のサンプリングデータ分布を示す図である。
【図6】電池温度が低下した場合や電池が劣化した場合の、開放電圧とSOCとの関係を示す図である。
【図7】開放電圧E0とSOCとの関係を示す図である。
【図8】サンプリング容量あたりの開放電圧変化ΔE0を示す図である。
【図9】サンプリングデータと回帰直線との関係を示す図であり、(a)はSOCが50%より大きな場合を、(b)はSOCが50%より小さな場合を示す。
【符号の説明】
1 電池
2 インバータ
3 モータ
4 電圧センサ
5 電流センサ
6 バッテリーコントローラ
8 トルクプロセッシングコントローラ
9 モータコントローラ

Claims (1)

  1. サンプリング容量を放電する間に電池の電圧を測定する電圧測定手段と、前記サンプリング容量を放電する間に前記電池に流れる電流を測定する電流測定手段と、前記電圧測定手段および電流測定手段の測定結果に基づいて前記電池の開放電圧を求めて充放電可能電力を算出する演算手段とを備え、前記電圧測定手段および電流測定手段によるサンプリング測定と前記演算手段による充放電可能電力の演算とを繰り返し行う電気自動車用電池の最大充放電電力演算装置において、
    前記サンプリング測定毎に、該サンプリング測定より以前に算出された前記開放電圧に基づいて、前記各サンプリング測定の開始から終了までの電池の開放電圧の変化がほぼ一定となるように前記サンプリング容量を設定する設定手段を設けたことを特徴とする電気自動車用電池の最大充放電電力演算装置。
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