JP3676486B2 - 地絡検出装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、三相交流配電線の零相電流に基いて配電線系統における地絡の発生を検出する地絡検出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来技術について説明する前に本願明細書で使用する記号で示す量について説明する。本願明細書において、Iu,Iv,Iw,Iu´,Iv´,Iw´,I0 ,I0 ´,Vo,Vu,Vv,Vw,ΔI0 ´,I0 ´avr の記号はベクトル量を示しており、A,B,C,ΔI0 ref 等のその他の記号はスカラー量を示している。
【0003】
従来、三相交流配電線に対して設けられる地絡検出装置では、まず三相交流配電線の各相に対して設けた電流センサから得た測定電流Iu´,Iv´,Iw´を補正して真の三相電流Iu,Iv,Iwを求める。そして次に零相電流I0 をベクトル式I0 =(Iu+Iv+Iw)/3を用いて演算により求める。そしてこの零相電流I0 が、0であれば地絡は発生しておらず、零相電流が基準値よりも大きい場合には複数ある配電線のどこかで地絡が発生したと判定する。
【0004】
測定電流(ベクトル量)を補正するのは、三相交流配電線に対して設けた電流センサが他の相の磁界の影響を受ける場合があったり、またその電流センサ自体の特性で出力に誤差が発生する場合があり、電流センサの出力が真の電流値を表していないからである。特に、トロイダルコイルのように磁界の変化から対応する相の電流を測定する電流センサでは、他相の磁界の影響を強く受ける。そこで従来は、各電流センサの測定値Iu´,Iv´及びIw´をそのまま用いずに、これらの測定値から真の電流値を求めて、その後で零相電流を演算していた。
【0005】
電流センサの出力を補正して磁界の影響を除去する技術はすでにいくつか提案されている。出願人の一人も先に特願平7−40037号により、磁界の影響を除去する技術に関する発明を提案している。特願平7−40037号に記載の発明は、電圧・電流・力率監視装置に用いられる他相電流検出装置の磁界影響係数を設定する発明に関するものである。先に提案した発明では、下記の(1)〜(3)式中の最適な磁界影響係数Kuu〜Kwwを自動で演算により求め、その磁界影響係数Kuu〜Kwwを他相電流検出装置の磁界影響除去装置に入力して、真の電流値Iu〜Iwの測定を可能にする。
【0006】
Iu´=KuuIu+KuvIv+KuwIw …(1)
Iv´=KvuIu+KvvIv+KvwIw …(2)
Iw´=KwuIu+KwvIV+KwwIw …(3)
上記式で、Iu´〜Iw´が三相交流配電線の各相の配電線に対して設けられた3つの電流センサにより測定した計測電流値(ベクトル量)であり、Iu〜Iwは他相の影響を受けない真値(ベクトル量)である。
【0007】
先に提案した発明では、9つの磁界影響係数Kuu〜Kwwを未知数として、これら9つの未知数を演算により決定していた。具体的には、各磁界影響係数について、電流センサの設定条件を考慮して複数の値(例えば102 個)を用意し、各磁界影響係数の組み合わせ[(102 9 個]について各相の補正測定値を求め、その補正測定値から磁界影響係数が適正であるか否かを判定し、適正と判定した9つの磁界影響係数を他相電流検出装置の磁界影響除去装置に入力する。この設定は、配電線に設置される電圧・電流・力率監視装置1台ずつに対して行われる。磁界の影響だけでなく、電流センサの特性から生じる誤差を補正する場合にも、9つの補正係数を決定しなければならない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら従来のように真の電流値を求めるためには、9つの磁界影響係数または補正係数を決定する必要があるため、演算ステップが多くなる上、係数を決定するまでにかなり長い時間を要する場合もある。地絡検出装置の設置個数は、1つの配電系統でも千個単位となる。そのため従来のように補正係数を決定して、真の電流値を求めた後に零相電流の演算を行って、地絡の発生を検出するようにすると、1つの配電系統にすべての地絡検出装置を設置するには、かなりの時間を要することになる。
【0009】
本発明の目的は、従来よりも少ない数の補正係数を設定するだけで、真の電流値を求めることなく、地絡の発生を検出できる地絡検出装置を提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、検出精度の高い地絡検出装置を提供することにある。
【0011】
本発明の更に他の目的は、補正係数の設定が容易な地絡検出装置を提供することにある。
【0012】
本発明の他の目的は、補正係数の設定精度が高い地絡検出装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、三相交流配電線の零相電流に基いて配電線系統における地絡の発生と発生方向を検出する地絡検出装置を改良の対象とする。本発明の地絡検出装置では、三相交流配電線に対してそれぞれ設けられて対応する相から発生する磁界の変化から対応する相の電流をベクトル量で検出する3つの電流センサを用いる。この種の電流センサとしては、例えば鉄心を有しないトロイダルコイルを用いた電流センサや、鉄心を有する変流器等がある。トロイダルコイルを用いた電流センサは、他相の磁界の影響を必ず受けるため、その影響の補正は必須である。また鉄心を有する変流器でも、構造によっては他相の磁界の影響を受ける場合があり、またその特性から出力に誤差(比誤差や位相誤差)が発生する場合が多い。
【0014】
本発明では、零相電流演算手段によって3つの電流センサにより測定した三相の測定電流Iu´,Iv´及びIw´をI0 ´=(AIu´+BIv´+CIw´)/3の演算式に入力して相対的な零相電流I0 ´を周期的に求める。但しA,B及びCは、他相の磁界の影響またはその電流センサの特性から生じる誤差を補正するための補正係数である。地絡の発生の検出のためだけであれば、真の電流値を知る必要はなく、零相電流を監視してその変化から地絡の発生を検出することが可能である。そこで本発明では、9つの補正係数(未知数)を決定して真の電流値を求める従来の技術を用いずに、零相電流の相対的な変化を監視する目的のために3つの係数をA,B及びCを用いることとした。I0 ´=(AIu´+BIv´+CIw´)/3の式は、相対的な零相電流を求めるための式であり、測定電流に誤差が含まれていなければ、A,B及びCはすべて1になる。しかしながら、実際に使用する電流センサからは誤差が出力される。したがってA,B及びCの係数は、各電流センサから出力される誤差を相対的に補正する補正係数である。
【0015】
本発明では係数自動設定手段を用いてこれらの補正係数を決定する。係数自動設定手段では、補正係数A,B及びCのうちCを定数とする。Cを定数とすることにより、真の零相電流ではなく、相対的な零相電流を求めることになる。真の零相電流を求めることができるCの値を決定しようとすると、従来と同様に9つの未知数を決定する必要性が出てくるが、Cを定数とすることにより、未知数はA及びBの二つとなる。係数自動設定手段では、地絡が発生していない状態でI0 ´=0となるA及びBを求めて前記演算式にA,B,Cを入力する。本発明では、未知数が2つですむため、未知数を簡単にしかも短い時間で決定することができる。
【0016】
具体的には、A=αC及びB=βCとして、I0 ´=0となるα及びβを求めて、その結果から上記演算式にA,B,Cを入力する。ベクトル量の式であるI0 ´=(AIu´+BIv´+CIw´)/3においてI0 ´=0となる場合には、その式の実数部と虚数部が共に0になる。実数部の式と虚数部の式の2つの式からは、2つの未知数α及びβ(即ちA及びB)の解を求めることができる。したがってCを定数とおくことにより、簡単な式で補正係数A及びBを決定することができる。
【0017】
なお補正係数の精度をより高めるためには、決定した補正係数A,B,Cのうち中間値となる補正係数の値を基準値として補正係数を正規化するのが好ましい。例えば、BがAとCの中間の値であるとすると、実際に設定する補正係数A´,B´及びC´をA/B,B/B=1及びC/Bとする正規化を行う。このようにするとCを定数とした場合でも、設定する補正係数の精度がより高いものとなる。
【0018】
Cを定数としたことから、零相電流演算手段で求めた零相電流は真の零相電流ではなく相対的な零相電流となる。したがって零相電流演算手段の出力を単に基準値と対比するだけでは、正確に地絡の発生を検出することができない。そこで本発明では、地絡発生判定手段で、零相電流演算手段により求めた相対的な零相電流I0 ´の変化量が地絡試験に基いて予め定めた基準値(ベクトル量)以上になったときに地絡が発生したと判定する。
【0019】
ここで相対的な零相電流I0 ´の変化量とは、単純には、周期的に出力される相対的な零相電流I0 ´の偏差である。このような偏差を変化量としてもよい。しかしながら、ノイズが発生したり、地絡とは無関係に過渡的に電流が大きく変化する場合があるため、地絡の検出精度を高めるためには、過去の所定サイクル分の相対的な零相電流I0 ´の平均値と零相電流演算手段により演算した相対的な零相電流との偏差を変化量とするのが好ましい。このようにすると、検出誤差の発生を抑制することができる。
【0020】
また地絡試験に基いて予め定めた基準値(ベクトル量)は、A,B及びCの値を設定した後に、人工地絡試験を行って、その際に求められる相対的な零相電流の変化量から決定する。したがって、設定した係数の値、各電流センサの特性、各電流センサの設置状態及び配電線の設置状態によって、この基準値は異なってくる。そのため本発明では、この基準値を設定する基準値設定手段を具備している。なお基準値の決定の際に、相対的な零相電流を知ることができるようにするためには、零相電流演算手段の演算結果を表示手段に表示できるようにする。基準値の決定は、作業者がマニュアルで決定してもよい。その場合には、基準値設定手段は、基準値の入力手段により構成される。また基準値の決定を、自動化することも可能である。この場合には、人工地絡試験前の相対的な零相電流と人工地絡試験時の相対的な零相電流との偏差を求め、この値を基準にしてある程度の余裕を見込んた値を基準値として決定するように、基準値設定手段を構成すればよい。
【0021】
なお地絡発生判定手段は、過去の所定サイクル分の相対的な零相電流の平均値を求める平均値演算手段と、この平均値と零相電流演算手段により演算した相対的な零相電流との偏差を求める偏差演算手段と、偏差が前記基準値を超えたときに地絡の発生と判定する判定手段とから構成できる。
【0022】
本発明の地絡検出装置は、その地絡検出装置が設置された配電線で地絡が発生したことを検出するというよりは、その地絡検出装置が設置された配電系統のどこかで地絡が発生したことを検出するものである。本発明の地絡検出装置の検出結果は、配電系統全体における地絡の発生の有無と、地絡発生箇所の特定の用途に用いられる。地絡検出装置が設置された配電線で地絡が発生したか否かは、零相電圧V0 =(Vu+Vv+Vw)/3と零相電流I0 との位相角θが90度に近いか否かによって判定する。零相電圧V0 =(Vu+Vv+Vw)/3と零相電流I0 との位相角θが90度に近い場合には、その配電線の機器設置箇所より負荷側で地絡が発生したと判断することができる。また零相電圧V0 =(Vu+Vv+Vw)/3と零相電流I0 との位相角θが270度に近い場合には、配電線の機器設置箇所より電源側で地絡が発生していることを意味する。本発明の地絡検出装置の検出結果は、例えば変電所の監視装置のモニタに表示され、地絡箇所の特定や、地絡発生対策のために利用される。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して、本発明の実施の形態の一例について詳しく説明する。図1は、本発明の地絡検出装置の一例の構成を示すブロック図である。同図において、1〜3は三相交流配電線の各相の配電線に対して配置される電流センサであり、例えばトロイダルコイルやロゴスキーコイル等のように他相の磁界の影響を受ける空芯コイルからなる電流センサである。
【0024】
電流センサ1〜3の出力はアナログ−デジタル変換器即ちA/D変換器4に入力されてアナログ信号からデジタル信号に変換される。A/D変換器4の出力は、零相電流演算手段5に入力される。零相電流演算手段5は、3つの電流センサ1〜3により測定した三相の測定電流Iu´,Iv´及びIw´をI0 ´=(AIu´+BIv´+CIw´)/3の演算式に入力して相対的な零相電流I0 ´を周期的に求める。例えば、電源周波数が60サイクルであれば、1/60秒毎に即ち1サイクル毎にサンプリングを行って相対的な零相電流I0 ´を出力する。なおA,B及びCは、他相の磁界の影響またはその電流センサの特性から生じる誤差を補正するための補正係数である。各相の真の電流値Iu,Iv,Iwを電流センサ1〜3から出力される測定値Iu´,Iv´,Iw´で表すと、下記の式[数1]のように表すことができる。
【0025】
【数1】
Figure 0003676486
上記式において、9個の係数Kuu〜Kwwが、真の電流値を求めるために他相の磁界の影響及び電流センサの特性から生じる誤差を補正するための補正係数である。そして真の零相電流I0 は、I0 =(Iu+Iv+Iw)/3により求まる。また電流センサで測定した電流の測定値で表すと、この真の零相電流I0 はI0 =(Ao Iu´+Bo Iv´+Co Iw´)/3と表すことができる。ここでAo =Kuu+Kvu+Kwu,Bo =Kuv+Kvv+Kwv及びCo =Kuw+Kvw+Kwwである。
【0026】
本発明においては、9個の補正係数を求めることをしないで地絡の発生を検出するために、真の零相電流ではなく、相対的な零相電流I0 ´を求める。この相対的な零相電流I0 ´も、I0 ´=(AIu´+BIv´+CIw´)/3の演算式により求めることができる。但しA,B及びCは補正係数である。3つの未知数A,B及びCは、係数自動設定手段6が自動的に演算を行って決定する。1つの式で3つの未知数を決定することはできないため、本発明では係数Cを定数とする。例えばCを1とする。Cを1にすることは、Iw´を測定する電流センサを基準にした残りの電流センサの出力の誤差を補正すること、即ちIw´を測定する電流センサの出力には誤差がないとみなすことを意味する。このような設定をするために、I0 ´は相対的な零相電流となるのである。
【0027】
係数自動設定手段6は、Cを定数として、地絡検出開始前に地絡が発生していない状態である測定値を入力したときのI0 ´=(AIu´+BIv´+CIw´)/3=0となるA及びBを決定する。具体的には、I0 ´=0とした場合に、このベクトル式を下記の実数部と虚数部の式に分ける。
【0028】
実数部 AIu´(r)+BIv´(r)+CIw´(r)=0 …▲1▼
虚数部 AIu´(i)+BIv´(i)+CIw´(i)=0 …▲2▼
Cが定数であれば、A=αC及びB=βCと表すことができ、これを上記▲1▼及び▲2▼の式にいれると下記のようになる。
【0029】
実数部 αCIu´(r)+βCIv´(r)+CIw´(r)=0…▲1▼´
虚数部 αCIu´(i)+βCIv´(i)+CIw´(i)=0…▲2▼´
係数自動設定手段6では、この2つの式からα及びβの解を求め、更にA=αC及びB=βCの決定をする。仮にC=1であれば、A=α及びB=βである。そしてこのA及びBを、零相電流演算手段5の上記(AIu´+BIv´+CIw´)/3の演算式に自動設定する。
【0030】
さらに精度を高めるためには、A,B,Cの中間値で正規化を行うことが好ましい。例えば演算により求めた補正係数が、それぞれA=1.023,B=1.011,C=1の場合には、Bが中間値であるため、Bの値で正規化を行う。具体的には、
A´=A/B=1.0118
B´=B/B=1
C´=C/B=0.9891
として、補正係数A´,B´及びC´を演算に使用する。このような正規化を行うことにより、単にCを定数とおいた場合の近似値と比べて補正係数の値をより精度の高いものとすることができる。
【0031】
以後、零相電流演算手段5は設定されたA,B,CまたはA´,B´,C´(以下A,B,Cで説明する。)の係数を用いて演算を行う。なお補正係数A,B,Cを決定するにあたっては、1サイクルのサンプリング値でこれらの補正係数を決定せずに、複数サイクルのサンプリング値で求めたこれらの補正係数の平均値により、A,B,Cの係数を決定してもよい。
【0032】
係数自動設定手段6による係数の設定が終了した後は、基準値設定手段8から地絡発生判定手段7の判定手段7Cに基準値ΔI0 ref を入力する。この基準値ΔI0 ref は、地絡試験に基いて予め定める。すなわちA,B及びCの値を設定した後に、人工地絡試験を行って、その際に求められる相対的な零相電流の変化量から決定する。この基準値は、設定した係数の値、各電流センサの特性、各電流センサの設置状態及び配電線の設置状態によって異なってくる。なお人工地絡試験の際に、相対的な零相電流I0 ´を測定できるように、この例では、零相電流演算手段5の演算結果を表示手段9に表示できるようにしている。作業者は、人工地絡試験を行う前に地絡が発生していない状態で表示手段9に表示された相対的な零相電流と人工地絡試験を行ったときに表示手段9に表示された相対的な零相電流との偏差から基準値を決定する。条件によって異なるが、具体的な一例では、この基準値を絶対値で「340mA」と決定する。この基準値は、基準値設定手段8から入力する。基準値の決定を自動化することも可能である。その場合には、零相電流演算手段5の出力を基準値設定手段8に入力する。そして基準値設定手段8を、人工地絡試験前の相対的な零相電流と人工地絡試験時の相対的な零相電流との偏差を求めて、この値を基準にある程度の余裕を見込んた値を基準値として自動決定するように構成する。
【0033】
地絡発生判定手段7は、過去の所定サイクル分の相対的な零相電流の平均値を求める平均値演算手段7Aと、この平均値と零相電流演算手段5により演算した相対的な零相電流との偏差を求める偏差演算手段7Bと、偏差が前述の基準値を超えたときに地絡の発生と判定する判定手段7Cとから構成される。平均値演算手段7Aは、零相電流演算手段5から出力される相対的な零相電流I0 ´の複数サイクル(例えば6サイクル)分の平均値を順次演算する。具体的には零相電流演算手段5は、新たに相対的な零相電流I0 ´が測定された時点で、その時点より6サイクル前の各サイクルで出力された6つの相対的な零相電流I0 ´の平均値を演算する。装置のスタート当初は、6サイクル経過するまでは、平均値を出力しない。平均値演算手段7Aから平均値I0 ´avr が出力されると、偏差演算手段7Bは、平均値I0 ´avr と零相電流演算手段5から出力される最新の相対的な零相電流I0 ´との偏差(I0 ´avr −I0 ´)を求める。地絡が発生していない状態で、負荷状態の変化に応じて零相電流演算手段5から同相絶対値で102mAの相対的な零相電流が出力されているとし、平均値演算手段7Aから同相絶対値で100mAの平均値が出力されているときには、その偏差は2mAである。前述のように、例えば基準値を絶対値で340mAとすると、この偏差が340mAを超えた場合に、判定手段7Cは地絡が発生したと判定する。そしてその結果を表示手段9に表示する。ここでは表示手段9が装置の一部を構成しているが、判定結果を変電所に配置した監視装置の表示手段に表示するのが一般的である。変電所の監視装置では、例えばこの判定結果と零相電圧Vo=(Vu+Vv+Vw)/3が一定値を超えているか否かにより、実際に地絡が発生しているか否かを判断する。地絡が発生した場合、どの配電線で測定しても零相電圧Voは同じ変化をする。そのため零相電圧Voの測定だけでは、地絡の発生箇所を特定できない。そこで零相電圧Voと零相電流I0 との間の位相角θを見て、地絡が発生している配電線が特定できる。また地絡が発生しているときの零相電流の方向により、地絡発生箇所を特定する。位相角θが90度に近い場合には、その配電線の機器設置箇所より負荷側で地絡が発生していることが分かる。また位相角θが270度に近い場合には、その配電線の機器設置箇所より電源側で地絡が発生していることが分かる。相対的な零相電流であっても、地絡が発生した配電線の特定には利用できるため、地絡の発生の検出結果と一緒に相対的な零相電流も表示手段9に表示する。
【0034】
図2は、図1の実施の形態の要部をコンピュータを用いて実現する場合に用いるソフトウエアのアルゴリズムを示すフローチャートである。ステップST2における「リセット」とは、装置の設置または起動開始時、または電流センサの交換時に入力されるリセット信号があるか否かを意味している。ステップST3が係数自動設定手段6を実現し、基準値を自動入力する場合にはステップST4が基準値入力手段8を実現し、ステップST5が零相電流演算手段5を実現し、ステップST6が平均値演算手段7Aを実現し、ステップST7が偏差演算手段7Bを実現し、ステップST8が判定手段7Cを実現している。
【0035】
上記例では、電流センサ1〜3として他相の磁界の影響を大きく受けるトロイダルコイルからなる電流センサを用いているが、他相の磁界の影響を受けない変流器CTを用いる場合にも本発明を適用できるのは勿論である。
【0036】
【発明の効果】
請求項1及び2の本発明によれば、未知の補正係数が従来よりも少ない2つですむため、必要な補正係数の設定を簡単にしかも短い時間で行える。しかも真の電流値を求めることなく、地絡の発生の有無を検出できる。
【0037】
請求項3の発明によれば、ノイズ等の影響を受けることなく地絡の発生の有無を高い精度で検出できる。
【0038】
請求項4の発明によれば、補正係数の演算精度をより高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の地絡検出装置の一例の構成を示すブロック図である。
【図2】 図1の実施の形態の要部をコンピュータを用いて実現する場合に用いるソフトウエアのアルゴリズムを示すフローチャートである。
【符号の説明】
1〜3 電流センサ
4 A/D変換器
5 零相電流演算手段
6 係数自動設定手段
7 地絡発生判定手段
8 基準値設定手段
9 表示手段

Claims (4)

  1. 三相交流配電線の零相電流に基いて配電線系統における地絡の発生を検出する地絡検出装置であって、
    前記三相交流配電線に対してそれぞれ設けられて対応する相から発生する磁界の変化から対応する相の電流をベクトル量で検出する3つの電流センサと、
    前記3つの電流センサにより測定した三相の測定電流Iu´,Iv´及びIw´をI0 ´=(AIu´+BIv´+CIw´)/3の演算式[但しA,B及びCは、他相の磁界の影響またはその電流センサの特性から生じる誤差を補正するための補正係数]に入力して相対的な零相電流I0 ´を周期的に求める零相電流演算手段と、
    前記相対的な零相電流I0 ´の変化量が地絡試験に基いて予め定めた基準値以上になると地絡が発生したと判定する地絡発生判定手段と、
    前記基準値を設定する基準値設定手段と、
    前記補正係数A,B及びCのうちのCを定数とし、地絡が発生していない状態でI0 ´=0となる前記A及びBを求めて前記演算式に前記A,B,Cを入力する係数自動設定手段とを具備していることを特徴とする地絡検出装置。
  2. 三相交流配電線の零相電流に基いて配電線系統における地絡の発生を検出する地絡検出装置であって、
    前記三相交流配電線に対してそれぞれ設けられて対応する相から発生する磁界の変化から対応する相の電流をベクトル量で検出する3つの電流センサと、
    前記3つの電流センサにより測定した三相の測定電流Iu´,Iv´及びIw´をI0 ´=(AIu´+BIv´+CIw´)/3の演算式[但しA,B及びCは、他相の磁界の影響またはその電流センサの特性から生じる誤差を補正するための補正係数]に入力して相対的な零相電流I0 ´を周期的に求める零相電流演算手段と、
    前記相対的な零相電流I0 ´の変化量が地絡試験に基いて予め定めた基準値以上になると地絡が発生したと判定する地絡発生判定手段と、
    前記基準値を設定する基準値設定手段と、
    前記補正係数A,B及びCのうちのCを定数とし、A=αC及びB=βCとして、I0 ´=0となる前記α及びβを求めて前記演算式に前記A,B,Cを入力する係数自動設定手段とを具備し、
    前記係数自動設定手段は、地絡が発生していない状態で前記3つの電流センサから出力された測定電流を前記式に代入して、I0 ´=0の式の実数部と虚数部が共に0になる前記α及びβを求めることを特徴とする地絡検出装置。
  3. 前記変化量は過去所定サイクル分の前記相対的な零相電流の平均値と前記零相電流演算手段により演算した相対的な零相電流との偏差である請求項1または2に記載の地絡検出装置。
  4. 前記係数自動設定手段は、求めた前記補正係数A,B及びCのうち中間値の補正係数を基準値として前記補正係数を正規化し、正規化した補正係数A,B,Cを前記演算式に入力することを特徴とする請求項1または2に記載の地絡検出装置。
JP06771296A 1996-03-25 1996-03-25 地絡検出装置 Expired - Lifetime JP3676486B2 (ja)

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