JP3680687B2 - 電子鍵盤装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術の分野】
本発明は、押鍵操作により回動する質量体を備えた電子鍵盤装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、適当な質量を有する質量体(ハンマ体)を押鍵操作により駆動して回動させ、アコースティックピアノのような自然な押鍵感触を擬似的に得るようにした電子鍵盤装置が知られている。
【0003】
この装置では例えば、シーソー構造の質量体の腕部に被駆動部を設け、この被駆動部で押鍵による駆動力を鍵から直接、または介在部材を介して間接的に受けることで質量体が回動するように構成される。また、質量体には、錘を設ける等によって慣性モーメントが適当に与えられる。例えば、実際のアコースティックピアノと同様に、高音部から低音部にいくにつれて質量体の慣性モーメントを大きく設定して動的タッチ感をころあい良く調整すると共に、静荷重をも考慮して錘を設定したりあるいは鍵に錘を別途設けたりして、各鍵の静的タッチ感の差異をアコースティックピアノと同程度に少なくするような工夫がなされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の電子鍵盤装置において、いわゆる上跳ね式構造が採用され、質量体の一方の腕部の自由端部等が鍵よりも上方に跳ね上がるように構成される場合がある。この場合は、鍵の特に上方のスペースを確保する必要がある。一方、質量体に錘等を設ける場合は、慣性モーメントを効率よく得るため大きい錘を腕部の自由端部に設けることが多く、しかも錘が上下方向にも多少突出することが多いことから、鍵盤の上下方向のスペースが圧迫される。しかも、慣性モーメントを効率よく得るために錘を設ける腕の長さが長くなる傾向があり、そのため、回動による錘部分の上下方向の移動距離が大きくなることから、鍵盤の上下方向のスペースが一層圧迫される。このような事情から、鍵盤の上下方向のスペースを十分に確保する必要があるため、鍵盤装置の高さ(厚さ)が高くなるという問題があった。
【0005】
また、上記被駆動部は通常、質量体の一方の腕部に設けられるが、被駆動部の近傍に錘が設けられる場合は、隣接する鍵との干渉回避等の要請から錘の大きさをあまり大きくできない。そのため、質量配分の自由度が小さくなって押鍵感触のキースケーリングが適切になされにくいという問題があった。
【0006】
また、動的タッチ感及び静的タッチ感を良好なものとし、適切なキースケーリングを実現するためには、各質量体の質量配分を夫々調整し、各質量体を例えば1つ1つ異なった構成にせざるを得ない場合が多い。すなわち、質量体の質量配分は低音鍵から高音鍵に亘る相違だけでなく、白鍵及び黒鍵間の相違をも考慮しなければならない。つまり、白鍵及び黒鍵の構成上の相違があっても、白鍵及び黒鍵間のタッチ感触(反力)はほぼ同一にしなくてはならない。しかも、白鍵と黒鍵とでは鍵の長さが異なるため、鍵支点位置を異ならせてもなお、動的、静的の押鍵感触の双方を同時に考慮した個々の質量配分の設定を行うと、各質量体の構成は少しずつ異なってくる。そのため、質量体の種類が増えて構成が複雑化し、鍵盤装置本体への組み付け性の悪化や製造コストの増大を招く。しかも、質量配分の設定は容易でない。従って、押鍵感触のキースケーリングを適切に行う場合は、特に低音鍵及び高音鍵間あるいは白鍵及び黒鍵間で質量体の構成を統一しきれず、構成の複雑化を伴うことなく押鍵感触のキースケーリングを行うことが困難であるという問題があった。
【0007】
さらに、質量体の質量配分を調整するため取り付ける錘が複数種類になる場合があるが、他種類の錘の製造やその取り付けを容易にしたり、製造コストを抑える上で、改善の余地があった。
【0008】
本発明は上記従来技術の問題を解決するためになされたものであり、その第1の目的は、鍵盤高さを低くすることができると共に設計の自由度を確保して押鍵感触のキースケーリングを容易にすることができる電子鍵盤装置を提供することにある。また、本発明の第2の目的は、隣接する白鍵及び黒鍵間の押鍵感触を均一化することができると共に、質量体の錘取り付け部の共通化により質量体の構成の簡単化、製造の容易化、組み付けの容易化及び製造コストの低減を図ることができる。また、本発明の第3の目的は、押鍵感触のキースケーリングを容易に実現しつつ、質量体の構成を極力共通にして質量体の構成の簡単化、製造の容易化、組み付けの容易化及び製造コストの低減を図ることができる電子鍵盤装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記第1の目的を達成するために本発明の請求項1の電子鍵盤装置は、押鍵操作により回動する鍵と、回動中心から延びる一方及び他方の両腕部を有するシーソー構造の質量体であって、前記一方の腕部に被駆動部を有し該被駆動部を介して受けた押鍵操作による駆動力によって前記回動中心を中心として回動する質量体とを備え、押鍵操作により前記質量体の前記一方の腕部が前記鍵よりも上方に跳ね上がるように構成した電子鍵盤装置であって、前記回動中心は、前記鍵の後端より後方に位置すると共に、前記質量体の前記他方の腕部は、前記回動中心に対して前記鍵の反対側に延びており、前記質量体の前記一方の腕部と前記他方の腕部とに錘を分離配置すると共に、前記一方の腕部に配置した錘の位置の前記回動中心からの距離を前記他方の腕部に配置した錘の位置の前記回動中心からの距離よりも短く設定したことを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、押鍵操作により鍵が回動し、一方の腕部に設けた被駆動部を介して受けた押鍵操作による駆動力によって質量体が回動中心を中心として回動する。質量体の前記一方の腕部は鍵よりも上方に跳ね上がる。
【0011】
質量体の一方の腕部と他方の腕部とに錘を分離配置したので、いずれか一方の腕部にのみ配置した場合に比し、両錘の大きさを相対的に小さくすることができ、鍵盤高さ方向のスペースを節約することができる。
【0012】
また、前記一方の腕部に配置した錘の位置の前記回動中心からの距離を前記他方の腕部に配置した錘の位置の前記回動中心からの距離よりも短く設定したので、回動による前記一方の腕部(の例えば自由端部)の上下方向の移動距離を小さくすることができる。従って、上方への跳ね上がり位置を低く抑えられ、鍵盤高さ方向のスペースを節約することができる。
【0013】
さらに、前記両距離が同一でないことと、錘を上記のように分離配置したこととによって、慣性モーメントをより軽い錘で得られるので、錘を小さく設計することができる結果、被駆動部と鍵または介在部材の駆動部との当接部分においては、隣接する鍵との干渉等を回避すること等が容易になり、設計の自由度が確保される。その結果、質量配分の調整が容易となるので、キースケーリングを行うことが容易となる。
【0014】
よって、鍵盤高さを低くすることができると共に設計の自由度を確保して押鍵感触のキースケーリングを容易にすることができる。
【0015】
上記第2の目的を達成するために本発明の請求項2の電子鍵盤装置は、押鍵操作により各々回動する複数の白鍵及び複数の黒鍵と、回動中心から延びる両腕部を有するシーソー構造の質量体であって、前記複数の各鍵に対応して設けられ押鍵操作によって前記回動中心を中心として各々回動する複数の質量体とを備え、前記複数の各質量体の両腕部は、中空状の錘取り付け部を各々有し、互いに隣接する白鍵及び黒鍵に夫々対応する各質量体の錘取り付け部同士を同一に構成すると共に、該各質量体の錘取り付け部に、中空部を有し外縁形状を同一とした錘を夫々取り付け、該各錘の中空部の容積を個々に設定して該各錘の重さを個々に設定することにより、前記互いに隣接する白鍵及び黒鍵間で押鍵感触を近似させたことを特徴とする。
【0016】
この構成により、押鍵操作により複数の白鍵及び複数の黒鍵が各々回動し、各鍵に対応する複数の各質量体が回動中心を中心として各々回動する。
【0017】
各質量体の両腕部が夫々有する中空状の錘取り付け部に取り付けた、中空部を有する錘の重さを、各錘の中空部の容積を個々に設定して個々に設定することにより、互いに隣接する白鍵及び黒鍵間で押鍵感触を近似させたので、押鍵感触が均一化する。しかも互いに隣接する白鍵及び黒鍵に夫々対応する各質量体の錘取り付け部同士を同一に構成したので、白黒鍵で質量体の錘取り付け部が共通化され、構成がシンプルになる。しかも、各錘の外縁形状は同一であるので、質量体の構成を複雑化させることがない。
【0018】
よって、隣接する白鍵及び黒鍵間の押鍵感触を均一化することができると共に、質量体の錘取り付け部の共通化により質量体の構成の簡単化、製造の容易化、組み付けの容易化及び製造コストの低減を図ることができる。
【0019】
上記第3の目的を達成するために本発明の請求項3の電子鍵盤装置は、押鍵操作により回動する複数の鍵と、該複数の各鍵に対応して設けられ押鍵操作によって回動中心を中心として各々回動する複数の質量体とを備えた電子鍵盤装置であって、前記複数の各質量体は、その本体を樹脂で形成すると共に、該本体に設けた中空状の錘取り付け部に中空部を有し外縁形状を同一とした錘を夫々取り付けて成り、前記複数の各質量体に取り付ける錘の中空部の容積を個々に設定することにより押鍵感触のキースケーリングを実現したことを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、押鍵操作により複数の鍵が回動し、各鍵に対応する複数の質量体が回動中心を中心として各々回動する。前記複数の各質量体は、その本体が樹脂で形成されると共に、該本体に設けた中空状の錘取り付け部に外縁形状を同一とした錘が夫々取り付けられて成るので、各質量体の錘を除いた樹脂部本体を同じ構成にすることができる。しかも、錘は中空部を有し、複数の各質量体に取り付ける錘の中空部の容積を個々に設定することにより押鍵感触のキースケーリングを実現したので、例えば穴や凹部等の中空部の形状を変えて錘の重さを任意に設定することができる一方、質量体の樹脂部本体の構成には影響を与えない。従って、中空部の容積を個々に設定することにより質量配分を適当に設定して押鍵感触のキースケーリングを容易に成すことができると共に、質量体の本体の構成を共通化することができる。しかも、各錘の外縁形状は同一であるので、質量体の構成を複雑化させることがない。
【0021】
よって、押鍵感触のキースケーリングを容易に実現しつつ、質量体の本体の構成を共通にして質量体の構成の簡単化、製造の容易化、組み付けの容易化及び製造コストの低減を図ることができる。
【0022】
上記第3の目的を達成するために本発明の請求項4の電子鍵盤装置は、押鍵操作により回動する複数の鍵と、回動中心から延びる両腕部を有するシーソー構造の質量体であって、前記複数の各鍵に対応して設けられ押鍵操作によって前記回動中心を中心として各々回動する複数の質量体とを備えた電子鍵盤装置であって、前記複数の各質量体の本体は、樹脂で形成されると共に、押鍵操作による駆動力を受けるための被駆動部と、該質量体の回動終了位置を規制するためのストッパと当接するストッパ当接部と、押鍵操作を検出するためのセンサ部を押下するためのセンサ押下部とを備え、前記複数の各質量体は、前記両腕部に中空状の錘取り付け部を夫々設けると共に、該錘取り付け部に中空部を有し外縁形状を同一とした錘を夫々取り付けて成り、前記複数の各質量体の前記被駆動部、前記ストッパ当接部及び前記センサ押下部を複数オクターブに亘る質量体間で同一に構成すると共に、前記両腕部に設ける両錘の重さの組み合わせを、各錘の中空部の容積を個々に設定することで、前記複数オクターブに亘る質量体間で複数設定したことを特徴とする。
【0023】
この構成によれば、押鍵操作により複数の鍵が回動し、各鍵に対応する複数の質量体が回動中心を中心として各々回動する。各質量体は、回動中心から延びる両腕部を有するシーソー構造であり、両腕部に夫々設けた中空状の錘取り付け部に中空部を有し外縁形状を同一とした錘を夫々取り付けて成る。
【0024】
各質量体の被駆動部、ストッパ当接部及びセンサ押下部は複数オクターブに亘る質量体間で同一に構成されるので、質量体の少なくとも主要な構成部分を複数オクターブ間で共通化することができる。また、質量体の両腕部に設ける両錘の重さの組み合わせは、各錘の中空部の容積を個々に設定することで、複数オクターブに亘る質量体間で複数設定されるので、組み合わせによって異なる押鍵感触を複数種類設定することができ、例えば各鍵の動的タッチ感を異ならせることも容易である。その際、錘の重さの組み合わせだけで押鍵感触を設定可能であるので、キースケーリングも容易になる。しかも、各錘の外縁形状は同一であるので、質量体の構成を複雑化させることがない。
【0025】
よって、複数オクターブ間で質量体の主要部分の構成を共通にすることができ、質量体の構成の簡単化、製造の容易化、組み付けの容易化及び製造コストの低減を図ることができると共に、押鍵感触のキースケーリングの実現を容易にすることができる。
【0029】
上記第3の目的を達成するために本発明の請求項5の電子鍵盤装置は、錘部材と回動部材本体とからなる回動部材であって押鍵操作により回動する回動部材を複数備え、該複数の回動部材に取り付ける錘部材の重さをそれぞれ異ならせることにより、各鍵毎もしくは鍵群毎に押鍵操作時における鍵タッチ感触を異ならせ、押鍵感触のキースケーリングを実現するようにした電子鍵盤装置であって、前記錘部材は、平面外部形状が略同一である複数の板状の錘構成部材を、各々の平面部が対向し且つ各々の外縁が一致するようにカシメ積層することで一体化して構成され、前記複数の回動部材は、各々、前記一体化された錘部材の外周をアウトサート成形により樹脂で覆うことで形成され、各回動部材には、各鍵毎もしくは鍵域毎に重さの異なる錘部材が取り付けられたことを特徴とする。
【0030】
この構成によれば、錘部材は、平面外部形状が略同一である複数の板状の錘構成部材を、各々の平面部が対向し且つ各々の外縁が一致するようにカシメ積層することで一体化して構成されるので、錘構成部材をネジ等で固着する必要がなく、異なる重さの錘部材の製造が容易である。また、複数の回動部材は、各々、上記一体化された錘部材の外周をアウトサート成形により樹脂で覆うことで形成され、各回動部材には、各鍵毎もしくは鍵域毎に重さの異なる錘部材が取り付けられたので、慣性質量の異なる回動部材の製造が容易であり、押鍵感触のキースケーリングを容易に実現することができる。
【0031】
よって、質量体の構成の簡単化、製造の容易化及び製造コストの低減を図ることができると共に、押鍵感触のキースケーリングの実現を容易にすることができる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0033】
図1、図2は、本発明の一実施の形態に係る電子鍵盤装置の部分縦断面図である。図1は非押鍵状態(後述する鍵1、質量体40が回動開始位置にある状態)を示し、図2は押鍵往行程終了状態(鍵1、質量体40が回動終了位置にある状態)を示す。これらの図では、上ケースや蓋体等は省略されている。なお、以下、本鍵盤装置の演奏者側(図1の左方)を前方、演奏者からみて鍵後端方向(同図右方)を後方とそれぞれ称する。
【0034】
本装置は、押鍵操作されるシーソー型の鍵1(白鍵1W及び黒鍵1B)と、質量体支持部材20と、該支持部材20によって回動自在に支持され鍵1によって駆動されて回動するシーソー型の質量体40(回動部材)とを有する。
【0035】
棚板2上には鍵フレーム10が設けられている。鍵フレーム10上には鍵支持部3が設けられ、鍵支持部3には支点ピン6(白鍵用支点ピン6W、黒鍵用支点ピン6B)が各鍵1に対応して突設されている。各鍵1W、1Bにはそれぞれ支点穴1Wa、1Baが設けられている。支点穴1Wa、1Baはいずれも、下方に向かって縮径している。各鍵1の鍵盤装置本体への組み付け(鍵フレーム10への取り付け)時には、支点ピン6が支点穴1Wa、1Baを貫通し、これにより、各鍵1の鍵並び方向及び鍵長手方向の位置が規制されると共に、各鍵1が鍵支持部3によって押離鍵方向に回動自在に支持される。各鍵1の後端部上面には、発泡ウレタンが貼着され、さらにその上面には摺動しやすいテープが貼着されている。これら発泡ウレタン及びテープからなる弾性体が貼着された部分は後述する質量体40の発音位置調整ネジ41(被駆動部)と当接して質量体40を駆動する駆動部9として機能する。上記弾性体により当接がチャタリングなく円滑にされている。
【0036】
鍵フレーム10の前部には、押鍵ストッパ4(白鍵用押鍵ストッパ4W、黒鍵用押鍵ストッパ4B)及びキーガイド5(白鍵用キーガイド5W、黒鍵用キーガイド5B)が各鍵1毎に設けられている。押鍵ストッパ4は鍵1と当接して鍵1の押鍵による回動終了位置(図2)を規制する。キーガイド5は、鍵1の回動時における鍵並び方向への揺動を抑制する。
【0037】
鍵フレーム10上における押鍵ストッパ4、キーガイド5の後方であって鍵支持部3の前方には、スイッチ基板7が設けられ、該スイッチ基板7には各鍵1毎に第1の鍵スイッチ8が設けられている。第1の鍵スイッチ8は主として押鍵操作を検出する。
【0038】
質量体支持部材20は、棚板2上における鍵1の後端部近傍に設けられている。支持部材20は、例えば1オクターブ単位で構成され、前部及び後部の適所で棚板2に固定されている。支持部材20の前部には、非押鍵時用ストッパ21が各鍵1毎に設けられており、非押鍵時用ストッパ21は、鍵1と当接して鍵1の押鍵による回動開始位置(図1)、すなわち非押鍵時の位置を規制する。支持部材20の後部には、後述する質量体用ストッパ22が設けられている。質量体用ストッパ22は弾性を有し、後述する質量体40の当接部44(ストッパ当接部)と当接して押鍵に伴う質量体40の回動終了位置(図2)を規制すると共に、緩衝機能を果たす。
【0039】
支持部材20にはさらに、スイッチ基板23が設けられる。スイッチ基板23は、複数の支持部材20に対応、例えば全鍵に対応して設けられ、ネジ24によって支持部材20に固定されている。スイッチ基板23上には第2の鍵スイッチ25が各質量体40毎に設けられている。第2の鍵スイッチ25は、質量体40によって押下され、主として鍵1の離鍵動作を間接的に検出する。なお、本実施の形態では、設定モードにより、第1の鍵スイッチ8及び第2の鍵スイッチ25の双方による検出結果に基づいて、所定のアルゴリズムによる多彩な楽音制御が可能なように構成されているが、押鍵スイッチ8及び第2の鍵スイッチ25のいずれか一方による検出結果に基づいて楽音制御を行うようにしてもよい。
【0040】
支持部材20にはまた、回動軸部32が設けられる。回動軸部32は後述する質量体40の軸受け部45(回動中心)と係合して質量体40を回動自在に支持する。
【0041】
本鍵盤装置では、いわゆる上跳ね式構造が採用され、質量体40が鍵1よりも上方に跳ね上がる。質量体40は、押鍵開始位置では尾部47が最も高い位置にあり、押鍵終了位置では頭部46の前部上面46dが最も高い位置にあるが、押鍵全行程においては押鍵終了位置における頭部46の前部上面46dの位置が最も高くなる。従って、本装置の高さ(装置の上下方向の厚み)は主として前部上面46dの最高位置を考慮して設定されている。
【0042】
図3は、本電子鍵盤装置を上方からみた平面図である。同図では、本装置のほぼ2オクターブ分が示されているが、質量体40は一部が示され、上ケースや蓋体等は省略されている。質量体40は、白鍵1W及び黒鍵1Bの各々に対応して設けられる。
【0043】
図4は、支持部材20を上方からみた平面図である。同図には、一部の質量体40(G鍵、G#鍵に対応するもの)が併せて示され、スイッチ基板23は省略されている。支持部材20の回動軸部32は、同図に示すように、左側突起部32L及び右側突起部32Rで構成され、各質量体40に対応して設けられる。
【0044】
図5は、質量体40の構成を示す側面図である。
【0045】
質量体40は、適当な押鍵感触を得るために設けられる。質量体40は、発音位置調整ネジ41、フロントウェイトFRW(錘部材)及びバックウェイトBUW(錘部材)を除く部分(回動部材本体)が樹脂で形成され、各質量体40はいずれも同様に構成される。質量体40には、欠円状の穴を有する軸受け部45が両側面に形成される。質量体40は、両軸受け部45が支持部材20の回動軸部32の両突起部32L、突起部32Rに嵌合されることにより回動自在に支持され、押離鍵時には支持部材20に固着された回動軸部32に対して軸受け部45が回動することにより質量体40は回動変位する。
【0046】
質量体40は、軸受け部45から前方に延びる前方延設部40A(一方の腕部)と、軸受け部45から後方に延びる後方延設部40B(他方の腕部)とから構成される。質量体40には、押鍵時に適当な慣性力を得るための質量として、前方延設部40Aの頭部46及び後方延設部40Bの尾部47には中空状の錘取り付け部46e、47eがそれぞれ形成されている。これら錘取り付け部46e、47eには、フロントウェイトFRW及びバックウェイトBUWが分離配置されている。
【0047】
各ウェイトFRW、BUWの質量体40への組み付けは、質量体40を金型によって成形する際、金属製錘としてのウェイトFRW、BUWに対する樹脂のアウトサートの同時成形によって各ウェイトFRW、BUWが樹脂内にインサート成形されることによってなされる。場合によっては、質量体40とウェイトFRW、BUWとを別々に形成し、ウェイトFRW、BUWの外縁部FRWe、BUWe(平面外部形状)(図6、図7参照)の周囲を軟質樹脂でアウトサート成形したものを錘取り付け部46e、47eの内周に圧着挟持させて質量体40を完成するようにしてもよい。各ウェイトFRW、BUWの重さの設定については後述する。
【0048】
なお、フロントウェイトFRWの重心FPから軸受け部45の中心までの距離をLF、バックウェイトBUWの重心BPから軸受け部45の中心までの距離をLBと記す。
【0049】
各ウェイトFRW、BUWの取り付けにより、質量体40はいずれも、前方延設部40Aの方が後方延設部40Bよりも重く設定されている。従って、非押鍵状態及び押鍵初期には鍵1の駆動部9と常に当接し、鍵1と質量体40とが連動状態となる。なお、押鍵態様によっては押鍵往行程途中から質量体40が鍵1の駆動部9から離間する場合がある。
【0050】
発音位置調整ネジ41は延設部40Aに設けられている。発音位置調整ネジ41は、曲面状の頭部41a、六角レンチ用の六角穴(図示せず)を有する調整部41b、及びネジ部(図示せず)を有する軸部41cが一体となって構成され、例えば質量体40の金型による成形時にインサート成形により質量体40に取り付けられる。発音位置調整ネジ41は、頭部41aが鍵1の駆動部9と当接して押鍵による駆動力を質量体40に伝達し、これによって質量体40が回動する。発音位置調整ネジ41は質量体40の成形時に最も下方に突出した状態でインサートされ、成形後はドライバで回転させることで下方への突出量が個々に調整可能になっている。これによって、質量体40の回動量と押鍵スイッチ25の検出による発音タイミングとの関係を調整することができる。
【0051】
後方延設部40Bの下面には、アクチュエータ42(センサ押下部)が設けられ、アクチュエータ42は、質量体40の回動に伴い支持部材20の鍵スイッチ25を押下する。後方延設部40Bの後端部下面には、当接部44が形成されている。当接部44は、質量体40の回動によって支持部材20の質量体用ストッパ22に当接する。
【0052】
図6、図7はそれぞれ、フロントウェイトFRW、バックウェイトBUWの構成を示す図である。図6(a)〜(c)及び図7(b)は側面図、図6(d)及び図7(a)は底面図及び平面図である。
【0053】
図6(d)、図7(a)に示すように、フロントウェイトFRW、バックウェイトBUWはそれぞれ厚みFt、Btの板状部材で、いずれも鉄等の金属で構成される。フロントウェイトFRWの側面形状としては、図6に示すように、穴がないもの(同図(a)、A型と称する)、小さい穴FRWaが設けられたもの(同図(b)、B型と称する)、穴FRWaより大きい穴FRWbが設けられたもの(同図(c)、C型と称する)の3種類がある。A、B、C型の各型では外縁部FRWeの形状は略同一である。A、B、C型のいずれも重心FPが一致している。また、バックウェイトBUWの側面形状としては、図7(a)に示すように、外縁部BUWeの形状及び穴開きの態様が1種類である。
【0054】
フロントウェイトFRW及びバックウェイトBUWの厚みFt、Btは、鉄板の打ち抜きで得られる板状の構成部材を積層することで設定される。従って、もっとも薄いウェイトは1枚の構成部材だけで構成され、積層枚数を増やすことで厚みFt、Btが増す。フロントウェイトFRW及びバックウェイトBUWの製造手法については後述する(図12〜図17)。
【0055】
図8は、フロントウェイトFRWの厚さFtと型とによる組み合わせの一例を示す図である。フロントウェイトFRWは、同図(a)に示すように白鍵1W用に8種(W1〜W8)、同図(b)に示すように黒鍵1B用に8種(B1〜B8)がそれぞれ用意されている。
【0056】
例えば、白鍵1W用フロントウェイトFRW(W1〜W8)は、同図(a)に示すように、厚さFtがtW1、tW1、tW2、tW2、tW3、tW4、tW4、tW5というように例えば0〜0.5mmずつ順に厚くなるように設定されている。また、型は図6に示したB型、A型、B型、A型、A型、B型、A型、A型という順で設定されている。その結果、重量は、gW1、gW2、gW3、gW4、gW5、gW6、gW7、gW8というように順に数gずつ重くなるように設定される。
【0057】
黒鍵1B用フロントウェイトFRW(B1〜B8)では、同図(b)に示すように、厚さFtがtB1、tB2、tB3、tB3、tB4、tB4、tB5、tB6というように設定されている。また、型は図6に示したC型、A型、B型、A型、A型、A型、A型、B型という順で設定されている。その結果、重量は、gB1、gB2、gB3、gB4、gB5、gB6、gB7、gB8という順序で設定される。フロントウェイトFRW(B1〜B8)では、ウェイトFRW(B2)が最も軽く、ウェイトFRW(B8)が最も重くなっている。
【0058】
図9は、バックウェイトBUWの厚さBtの設定の一例を示す図である。バックウェイトBUWは、同図(a)に示すように白鍵1W用に8種(W1〜W8)、同図(b)に示すように黒鍵1B用に8種(B1〜B8)がそれぞれ用意されている。
【0059】
例えば、白鍵1W用バックウェイトBUW(W1〜W8)は、同図(a)に示すように、厚さBtがtW11、tW12、tW13、tW14、tW15、tW16、tW17、tW18というように例えば1.0mmずつ順に厚くなるように設定されている。その結果、重量は、gW11、gW12、gW13、gW14、gW15、gW16、gW17、gW18というように順に数mmg〜数gずつ重くなるように設定される。
【0060】
黒鍵1B用バックウェイトBUW(B1〜B8)では、同図(b)に示すように、厚さBtがtB11、tB11、tB12、tB13、tB14、tB15、tB16、tB17というように例えば0〜1.0mmずつ順に厚くなるように設定されている。その結果、重量は、gB11、gB12、gB13、gB14、gB15、gB16、gB17、gB18というように順に0〜数gずつ重くなるように設定される。
【0061】
このように、厚さFt、Bt、型の組み合わせによって白鍵1W用、黒鍵1B用フロントウェイトFRW、白鍵1W用、黒鍵1B用バックウェイトBUWのそれぞれに8種類の重さを設定可能にしたので、1つの質量体40についてのフロントウェイトFRW及びバックウェイトBUWは理論的には8×8=64パターンの組み合わせが可能である。本実施の形態では、動的タッチ及び静的タッチを共に考慮して、全鍵について適当な組み合わせが選択され、質量体40の質量分布は1つ1つ異なっている。
【0062】
例えば、質量体40の慣性モーメントは高音鍵から低音鍵に向かうにつれて大きくなるように設定される。そのためにはフロントウェイトFRW及びバックウェイトBUWの総重量を低音鍵ほど重く設定すればよい。これにより、動的タッチ感をアコースティックピアノに近づけることができる。
【0063】
また、上記のように動的タッチ感を調整する際、静的タッチ感、すなわち、きわめてゆっくり押鍵したとき(弱タッチ時)に鍵1にかかる押鍵反力も同時に考慮しなければならない。例えば、アコースティックピアノと同様に、最高音鍵と最低音鍵の弱タッチ時における押鍵反力の差が数g程度に収まるように設定される。これにより、静的タッチ感をアコースティックピアノに近づけることができる。
【0064】
これら動的タッチ感及び静的タッチ感は独立して調整することは困難であり、両者が同時に考慮して両者が最適となるように各ウェイトFRW、BUWを設定する。これにより、押鍵感触のキースケーリングを実現することができる。なお、隣接する白鍵1Wと黒鍵1Bとを比べれば、両者の押鍵感触は近似したものとなっている。
【0065】
本実施の形態によれば、フロントウェイトFRW及びバックウェイトBUWを質量体40の頭部46及び尾部47に分離配置したので、図10で説明するように、いずれか一方にのみ配置した場合に比し、各ウェイトをより小さくして同様の慣性モーメントを得ることができる。
【0066】
図10は、梁における錘の配置と慣性モーメントIとの関係を示す図である。
【0067】
同図(a)に示すように、全長Lで支点からの両腕の長さがL/2の梁に、重さnの錘を一方の腕先端部にのみ配置した場合は、慣性モーメントIは、n×(L/2)2=nL2/4である。一方、同図(b)に示すように、重さn/2の錘を両方の腕先端部にそれぞれ配置した場合は、慣性モーメントIは、2×(n/2)×(L/2)2=nL2/4である。すなわち、梁にかかる全錘の総重量はnで等しく、慣性モーメントIも等しい。
【0068】
本鍵盤装置ではこれを応用し、ウェイトFRW、BUWの材質を同じとして、頭部46及び尾部47に分離配置したことにより(同図(b)に相当)、ウェイトを頭部46または尾部47の一方に集中配置した場合よりも(同図(a)に相当)、1つのウェイトの容積乃至大きさを相対的に小さくしている。従って、鍵盤高さ方向のスペースの節約につながる。
【0069】
また、本実施の形態によれば、図5に示すように、フロントウェイトFRWの重心FPから軸受け部45の中心までの距離LFを、バックウェイトBUWの重心BPから軸受け部45の中心までの距離LBよりも短く設定したので、図11で説明するように、距離LFと距離LBとを等しく設定した場合に比し、より軽いウェイトで同様の慣性モーメントを得ることができる。
【0070】
図11は、梁における支点からの腕長さと慣性モーメントIとの関係を示す図である。
【0071】
同図(a)に示すように、全長Lで支点からの両腕の長さがL/2の梁に、重さn/2の錘を両方の腕先端部にそれぞれ配置した場合は、慣性モーメントIは、2×(n/2)×(L/2)2=nL2/4である。一方、同図(b)に示すように、両腕の長さがL/3と2L/3である梁の両腕の先端部に、重さn/2の錘をそれぞれ配置した場合は、慣性モーメントIは、(n/2)×(L/3)2+(n/2)×(2L/3)2=5nL2/18である。すなわち、梁の全長はLで等しく、梁にかかる全錘の総重量もnで等しいが、慣性モーメントIは{nL2/4}<{5nL2/18}で、同図(b)に示すような配置態様の方が大きい。つまり、両腕の長さを等しくするよりも異ならせた方が、同じ慣性モーメントIをより小さい総重量の錘で得ることができる。
【0072】
本鍵盤装置ではこれを応用し、ウェイトFRW、BUWの材質を同じとして、距離LFと距離LBとを異ならせたことにより、両距離を等しく設定した場合に比し、より軽いウェイトで同様の慣性モーメントを得ている。
【0073】
また、本実施の形態では、距離LFを距離LBより短く設定したことにより、頭部46の上下方向の移動距離を小さくすることができる。ここで、上述したように、押鍵全行程においては押鍵終了位置における頭部46の前部上面46dの位置が最も高くなることから、前部上面46dの上方への跳ね上がり位置を低く抑えられ、鍵盤装置の高さ方向のスペースの節約につながる。
【0074】
さらに、距離LFと距離LBを異ならせたことと、各ウェイトFRW、BUWを頭部46及び尾部47に分離配置したこととにより、慣性モーメントIをより軽いウェイトで得られるので、各ウェイトFRW、BUWを小さく設計することができる結果、質量体40の調整ネジ41と鍵1の駆動部9との当接部分近傍においては、隣接する鍵1との干渉等を回避すること等が容易になり、設計の自由度が確保される。その結果、質量配分の調整が容易になるので、タッチ感触のキースケーリングを行うことが容易になる。
【0075】
また、両ウェイトFRW、BUWの重さの組み合わせを任意に選択して各質量体40に取り付けるようにしたので、重さの組み合わせだけで押鍵感触を設定可能であることから、各質量体40の質量配分を適当に設定して押鍵感触のキースケーリングを容易に成すことができる。しかも、フロントウェイトFRWについては、穴FRWa等の大きさと厚さFtとを組み合わせるだけで複数種類の重さを設定でき、バックウェイトBUWについては厚さBtの設定により複数種類の重さを設定できるので、所望の押鍵感触の設定が容易である。
【0076】
また、各ウェイトFRW、BUWは、重さを異ならせても各外縁部FRWe、BUWeの形状はそれぞれ略同一を維持したので、頭部46、尾部47への取り付けに支障がなく、各ウェイトFRW、BUWの質量体40への取り付け性が確保される。従って、中空状の錘取り付け部46e、47eの構成を各質量体40で異ならせる必要がない。しかも、上述したように、各質量体40の樹脂部分(当接部44、アクチュエータ42を含む)は同様に構成される。なお、質量体40の製造時には調整ネジ41の突出量が一律とされるから、調整ネジ41の構成も同一である。従って、ウェイトFRW、BUW以外は全質量体40を同じ構成として製造することができ、構成をシンプルにすることができる。
【0077】
よって、鍵盤高さを低くすることができると共に設計の自由度を確保して押鍵感触のキースケーリングを容易にすることができる。それと同時に、質量体の本体の構成を共通にして質量体の構成の簡単化、製造の容易化、組み付けの容易化及び製造コストの低減を図ることができる。
【0078】
次に、フロントウェイトFRW及びバックウェイトBUWの製造手法を説明する。両ウェイトFRW、BUWは同様にして製造されるので、フロントウェイトFRWについて説明する。
【0079】
図12は、ウェイト製造装置の構成を示す外観斜視図である。
【0080】
本装置は、ロール状に巻設された鉄板材からフロントウェイトFRWを構成する板状構成部材(以下、「パーツ」と称する)を打ち抜き、これらを積層するものである。
【0081】
板幅が数cm程度で直径が1m程度かそれ以上の巻き解きローラR1に巻設された鉄板材SBを、作業台を兼ねる下金型Aの前後においてたるみ部Y1、Y2を形成しつつ、下金型A上を同図右方に移動し、巻き解きローラR1から巻き取りローラR2に巻き取られるように構成される。ローラR1、R2は低速且つ一定速で回転し、両者の回転速度は略同一である。鉄板材SBの両たるみ部Y1、Y2間に亘る被処理部Cは、該被処理部Cの幅方向両側に設けた移動用のガイド部G1、G2によってガイドされながら、後述する間欠移動手段によって巻き取り方向(同図右方)に間欠的に引き込まれる。
【0082】
図13は、ガイド部G1の構成を示す部分断面図である。
【0083】
ガイド部G1では、同図に示すように断面コ字状の囲い部G11中に上下にローラRL1、RL2が回動自在に固着され、若干のクリアランスを有して被処理部Cが介在している。ガイド部G2もガイド部G1と左右対称に同様に構成される。
【0084】
上記間欠移動手段としては、本実施の形態ではロボットアームによる移動手段を採用している。すなわち、空気圧制御による互いに対向する2つのアクチュエータからなるマジックハンドMHによって鉄板材SBの被処理部Cを数カ所同時に挟持しつつ、平行移動アクチュエータ(不図示)の通電毎に、被処理部Cが瞬間的に移動して間欠的に一定方向に移動する。
【0085】
なお、鉄板材SBに、その流れ方向と平行に被ガイド孔を点在させて幅方向両側に設けると共に、この被ガイド孔に噛み合う引き込みガイド歯車を引き込み側(たるみ部Y2の左方)に設け、このガイド歯車によって巻き取り方向(同図右方)に間欠的に引き込むように構成してもよい。いずれの構成を採用する場合でも、その平均速度をローラR1、R2の速度に等しくさせることにより、たるみ部Y1、Y2のたるみ量を略一定に保つことができる。
【0086】
下金型Aの上方には、これに対向する上金型Bが配置され、上金型Bは全体が上下方向に僅かに移動可能に構成されている。本金型では、4つのステージが構成され、各ステージでそれぞれ異なる処理がなされる。
【0087】
図6に示すフロントウェイトFRWの透孔h1、h2は、積層のベースとなる1枚目のパーツにのみ設けられる。積層保持用ハーフパンチ部h11、h22は、積層される2枚目以降のパーツに設けられ、後述するように積層の直下にあるパーツの透孔h1、h2またはハーフパンチ部h11、h22にその突起した部分が嵌入されてかしめられる。
【0088】
下金型Aでは、同図左方から、第1ステージST1には、フロントウェイトFRWの穴FRWaに対応する凹状の孔刃H0が設けられる。第2ステージST2には、フロントウェイトFRWの透孔h1、h2に対応する凹状の小孔刃H1、H2が設けられる。第3ステージST3には、フロントウェイトFRWの積層保持用ハーフパンチ部h11、h22に対応する凹状の小孔刃H11、H22が設けられる。第4ステージST4には、フロントウェイトFRWの外縁部FRWeに対応する凹状の大孔刃H6が設けられる。
【0089】
一方の上金型Bでは、第1ステージST1には、孔刃H0に対応する凸状のアクチュエータ型刃K1が設けられ、第2ステージST2には、小孔刃H1、H2に対応するアクチュエータ型刃K2が設けられる。第3ステージST3には、小孔刃H11、H22に対応するアクチュエータ型刃K3が設けられる。第4ステージST4には、大孔刃H6に対応するアクチュエータ型刃K4が設けられる。各アクチュエータ型刃K1〜K4はいずれも上金型Bに対して上下動可能に構成され、対応する各孔刃H0、H11、H22、大孔刃H6にそれぞれ対向している。
【0090】
第2ステージST2はベースとなるパーツを形成する場合にのみ機能し、それ以外のパーツについては不動となる。第3ステージST3はベース材以外に対してのみ機能する。
【0091】
図14は、第1ステージST1の部分断面図、図15は第4ステージST4の部分断面図の一例を示す図である。
【0092】
鉄板材SBは、板金型A上において、ロボットアーム(マジックハンドMH)により、左方から右方に順送りされつつ、各孔等を上下金型B、Aの合わせ打ち抜き処理により同時打ち抜きまたはシーケンス打ち抜き(各ステージを0.25秒ずつずらせて4打開けする)により処理される。
【0093】
例えば、積層構造のフロントウェイトFRWにおける最下層のベース材の製造では、ロボットアームで鉄板材SBを第1ステージST1の所定位置に移動させて、そのまま鉄板材SBを噛んだまま、下金型A上に被処理部Cを載置し、上金型Bを下方に僅かに降下させ、両金型A、Bで被処理部Cを挟持した状態で刃K1を通電と同時に下方に移動させる。すると、孔刃H0及び刃K1により、図14に示すように所定位置に穴FRWaが打ち抜き形成される。その後ロボットアームは被処理部Cを離し、直前に挟持していた位置より左方に挟持位置を変え、被処理部Cを右方に移動させる。すると、透孔h1、h2を開けるべき所定の位置に被処理部Cが移動する。第2ステージST2では小孔刃H1、H2及び刃K2により、図14と同様な態様(位置、直径は異なるが)で透孔h1、h2が打ち抜き形成される。
【0094】
次いで被処理部Cが右方にシフトして、第3ステージST3ではアクチュエータが停止し、なにも動作せず、次いで被処理部Cが右方にシフトして、第4ステージST4で外縁部FRWeが大孔刃H6及び刃K4によって打ち抜かれ、図15に示すように、ベースのパーツが得られる。
【0095】
図16は、第3ステージST3の部分断面図、図17は第4ステージST4の部分断面図の一例を示す図である。
【0096】
ベースパーツ以外のパーツを製造する場合は、まず第1ステージST1ではベースパーツと同様に穴FRWaが打ち抜き形成され、次いで被処理部Cが右方にシフトされ、第2ステージST2ではなにも動作せず、さらに被処理部Cが右方にシフトされ、第3ステージST3では、図16に示すように、積層保持用ハーフパンチ部h11、h22が、小孔刃H11、H22及びアクチュエータ型刃K3によって形成される。
【0097】
次いで被処理部Cが右方にシフトされ、第4ステージST4では、図17(a)に示すように、外縁部FRWeが打ち抜かれ、先に形成されているパーツ(n−1枚目のパーツ)上に積層される。その際、直下の(n−1枚目)パーツがベースパーツであるときは、下方に突出したハーフパンチ部h11、h22がベースパーツの透孔h1、h2に圧入され、かしめ状態となって両パーツが固着される。一方、直下の(n−1枚目)パーツがベースパーツでないときは、下方に突出したハーフパンチ部h11、h22が直下のパーツのハーフパンチ部h11、h22の上方に開口した凹部に圧入され、かしめ状態となって両パーツが固着される。
【0098】
所定の全パーツが積層されたら、下金型Aの大孔刃H6の凹部が広がり方向に開口し、フロントウェイトFRWが自重で同図(b)に示す収容箱に収容される。その後、次のフロントウェイトFRWの製造に移行する。
【0099】
これらの動作をシーケンス制御で行うには、第1〜第4ステージでの処理は0.25秒程ずらせて各3種の孔あけ等を行い、その後上金型Bを持ち上げると同時にロボットアームが被処理部Cを持ち替えて右方に1ステージ分シフトさせる。持ち替え時間は例えば1秒程度である。このような1押さえ3孔あけ作業を繰り返す。この繰り返しは、次の最終層のn層目が終わって元に戻るという繰り返しである。
【0100】
本実施の形態では、上記のような制御によってかしめ固定により自動的に複数のパーツを積層してフロントウェイトFRW、バックウェイトBUWを製造できるので、積層のためのネジ固着作業が不要で製造容易であり、製造コストの低減も図ることができる。しかも、積層枚数でその重さを調整できるので、複数種類の慣性を有する質量体40の製造が容易である。よって、質量体の構成の簡単化、製造の容易化及び製造コストの低減を図ることができると共に、押鍵感触のキースケーリングの実現を容易にすることができる。
【0101】
なお、フロントウェイトFRWの重さを種々設定するための一手段として、設ける穴FRWa等の大きさを変更するようにしたが、外縁部の形状を同じくして重さを変えればよいので、設ける穴等の中空部としては複数の小穴や凹部等、あらゆる形状が許される。そして、その中空部の容積を変えることにより重さを変更すればよい。
【0102】
なお、フロントウェイトFRWの重さの設定は、穴FRWa等の中空部または厚さFtのいずれか一方のみを変更することで行うようにしてもよい。また、バックウェイトBUWについても、フロントウェイトFRWと同様に中空部を設けてその容積を変えることのみで重さを設定してもよいし、あるいはこれを厚さBtとの組み合わせによって行うようにしてもよい。また、フロントウェイトFRWの厚さFtと型とによる組み合わせや、バックウェイトBUWの厚さBtの設定は例示であり、質量体40の錘取り付け部46e、47eの構成がある程度統一することができれば、他の態様で重さを変更するようにしてもよい。
【0103】
なお、本実施の形態では質量体40の主要構成の共通化及びキースケーリングを全鍵に亘って行うようにしたが、複数オクターブに亘る質量体40間でのみこれらを行うようにしてもよい。これにより、複数オクターブに亘る質量体40の構成を共通化することができ、その範囲で上記と同様の効果を得ることができる。この場合、キースケーリングは上記複数オクターブにおける複数の鍵間で行い、好ましくは全鍵に対して行うようにする。
【0104】
なお、本実施の形態では、質量体40のウェイト以外の構成をすべて同一にしたが、質量体40の主要構成部分である当接部44、アクチュエータ42及び発音位置調整ネジ41が極力3つとも同一構成になるようににすれば、その他の部分は多少異なっていてもよい。
【0105】
なお、本実施の形態では、基本的には全鍵に亘る質量体40の主要構成の共通化及びキースケーリングの実現という観点で説明したが、白鍵1Wと黒鍵1Bとでは鍵長さが異なる等の相違点があり、白鍵1W同士あるいは黒鍵1B同士の調整よりもむしろ、白鍵1Wと黒鍵1Bとの押鍵感触の調整の方が難しい場合もある。そこで、互いに隣接する白鍵1W及び黒鍵1B間で対応する各質量体40同士の主要構成部分同士を略同一に構成すると共に、上記のようなウェイトFRW、BUWの重さの設定により、両白黒鍵間で押鍵感触を近似させるようにしてもよい。そしてこれを互いに隣接する白黒鍵同士について行えば、結果として押鍵感触のキースケーリングを実現することができる。
【0106】
なお、本実施の形態では鍵1の駆動部9と質量体40の発音位置調整ネジ41とが直接当接して質量体40が駆動回動されるようにしたが、鍵1と質量体40との間に介在部材を設けて質量体40が間接的に駆動されるように構成した場合でも、本発明の効果を奏することができる。
【0107】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の請求項1に係る電子鍵盤装置によれば、鍵盤高さを低くすることができると共に設計の自由度を確保して押鍵感触のキースケーリングを容易にすることができる。
【0108】
請求項2に係る電子鍵盤装置によれば、隣接する白鍵及び黒鍵間の押鍵感触を均一化することができると共に、質量体の錘取り付け部の共通化により質量体の構成の簡単化、製造の容易化、組み付けの容易化及び製造コストの低減を図ることができる。
【0109】
請求項3に係る電子鍵盤装置によれば、押鍵感触のキースケーリングを容易に実現しつつ、質量体の本体の構成を共通にして質量体の構成の簡単化、製造の容易化、組み付けの容易化及び製造コストの低減を図ることができる。
【0110】
請求項4に係る電子鍵盤装置によれば、複数オクターブ間で質量体の主要部分の構成を共通にすることができ、質量体の構成の簡単化、製造の容易化、組み付けの容易化及び製造コストの低減を図ることができると共に、押鍵感触のキースケーリングの実現を容易にすることができる。
【0112】
請求項5に係る電子鍵盤装置によれば、質量体の構成の簡単化、製造の容易化及び製造コストの低減を図ることができると共に、押鍵感触のキースケーリングの実現を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態に係る電子鍵盤装置の部分縦断面図である(非押鍵状態)。
【図2】 同電子鍵盤装置の部分縦断面図である(押鍵往行程終了状態)。
【図3】 同電子鍵盤装置を上方からみた平面図である。
【図4】 支持部材を上方からみた平面図である。
【図5】 質量体の構成を示す側面図である。
【図6】 フロントウェイトFRWの構成を示す図である。
【図7】 バックウェイトBUWの構成を示す図である。
【図8】 フロントウェイトFRWの厚さFtと型とによる組み合わせの一例を示す図である。
【図9】 バックウェイトBUWの厚さBtの設定の一例を示す図である。
【図10】 梁における錘の配置と慣性モーメントIとの関係を示す図である。
【図11】 梁における支点からの腕長さと慣性モーメントIとの関係を示す図である。
【図12】 ウェイト製造装置の構成を示す外観斜視図である。
【図13】 ウェイト製造装置のガイド部G1の構成を示す部分断面図である。
【図14】 ウェイト製造装置の第1ステージST1の部分断面図の一例を示す図である。
【図15】 ウェイト製造装置の第4ステージST4の部分断面図の一例を示す図である。
【図16】 ウェイト製造装置の第3ステージST3の部分断面図の一例を示す図である。
【図17】 ウェイト製造装置の第4ステージST4の部分断面図の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 鍵(白鍵1W、黒鍵1B)、 2 棚板、 3 鍵支持部、 9 駆動部、 20 質量体支持部材、 23 スイッチ基板、 25 第2の鍵スイッチ、 32 回動軸部(突起部32L、32R) 40 質量体(回動部材)、 40A 前方延設部(腕部)、 40B 後方延設部(腕部)、 41 発音位置調整ネジ(被駆動部)、 42 アクチュエータ(センサ押下部)、 44 当接部(ストッパ当接部)、 45 軸受け部(回動中心)、 46 頭部、 46d 前部上面、 46e 錘取り付け部、 47 尾部、 47e 錘取り付け部、 10 鍵フレーム、 FRWe 外縁部(平面外部形状)、 BUWe 外縁部(平面外部形状)、 FRW フロントウェイト(インサート錘、錘部材)、 BUW バックウェイト(インサート錘、錘部材)、 A 下金型、B 上金型、 h1、h2 透孔、 h11、h22 積層保持用ハーフパンチ部、 H0 孔刃、 H1、H2 小孔刃、 H11、H22 小孔刃、 H6 大孔刃、 K1、K2、K3、K4 アクチュエータ型刃
Claims (5)
- 押鍵操作により回動する鍵と、回動中心から延びる一方及び他方の両腕部を有するシーソー構造の質量体であって、前記一方の腕部に被駆動部を有し該被駆動部を介して受けた押鍵操作による駆動力によって前記回動中心を中心として回動する質量体とを備え、押鍵操作により前記質量体の前記一方の腕部が前記鍵よりも上方に跳ね上がるように構成した電子鍵盤装置であって、
前記回動中心は、前記鍵の後端より後方に位置すると共に、前記質量体の前記他方の腕部は、前記回動中心に対して前記鍵の反対側に延びており、
前記質量体の前記一方の腕部と前記他方の腕部とに錘を分離配置すると共に、前記一方の腕部に配置した錘の位置の前記回動中心からの距離を前記他方の腕部に配置した錘の位置の前記回動中心からの距離よりも短く設定したことを特徴とする電子鍵盤装置。 - 押鍵操作により各々回動する複数の白鍵及び複数の黒鍵と、回動中心から延びる両腕部を有するシーソー構造の質量体であって、前記複数の各鍵に対応して設けられ押鍵操作によって前記回動中心を中心として各々回動する複数の質量体とを備え、
前記複数の各質量体の両腕部は、中空状の錘取り付け部を各々有し、
互いに隣接する白鍵及び黒鍵に夫々対応する各質量体の錘取り付け部同士を同一に構成すると共に、該各質量体の錘取り付け部に、中空部を有し外縁形状を同一とした錘を夫々取り付け、該各錘の中空部の容積を個々に設定して該各錘の重さを個々に設定することにより、前記互いに隣接する白鍵及び黒鍵間で押鍵感触を近似させたことを特徴とする電子鍵盤装置。 - 押鍵操作により回動する複数の鍵と、該複数の各鍵に対応して設けられ押鍵操作によって回動中心を中心として各々回動する複数の質量体とを備えた電子鍵盤装置であって、
前記複数の各質量体は、その本体を樹脂で形成すると共に、該本体に設けた中空状の錘取り付け部に中空部を有し外縁形状を同一とした錘を夫々取り付けて成り、
前記複数の各質量体に取り付ける錘の中空部の容積を個々に設定することにより押鍵感触のキースケーリングを実現したことを特徴とする電子鍵盤装置。 - 押鍵操作により回動する複数の鍵と、回動中心から延びる両腕部を有するシーソー構造の質量体であって、前記複数の各鍵に対応して設けられ押鍵操作によって前記回動中心を中心として各々回動する複数の質量体とを備えた電子鍵盤装置であって、
前記複数の各質量体の本体は、樹脂で形成されると共に、押鍵操作による駆動力を受けるための被駆動部と、該質量体の回動終了位置を規制するためのストッパと当接するストッパ当接部と、押鍵操作を検出するためのセンサ部を押下するためのセンサ押下部とを備え、
前記複数の各質量体は、前記両腕部に中空状の錘取り付け部を夫々設けると共に、該錘取り付け部に中空部を有し外縁形状を同一とした錘を夫々取り付けて成り、
前記複数の各質量体の前記被駆動部、前記ストッパ当接部及び前記センサ押下部を複数オクターブに亘る質量体間で同一に構成すると共に、
前記両腕部に設ける両錘の重さの組み合わせを、各錘の中空部の容積を個々に設定することで、前記複数オクターブに亘る質量体間で複数設定したことを特徴とする電子鍵盤装置。 - 錘部材と回動部材本体とからなる回動部材であって押鍵操作により回動する回動部材を複数備え、該複数の回動部材に取り付ける錘部材の重さをそれぞれ異ならせることにより、各鍵毎もしくは鍵群毎に押鍵操作時における鍵タッチ感触を異ならせ、押鍵感触のキースケーリングを実現するようにした電子鍵盤装置であって、
前記錘部材は、平面外部形状が略同一である複数の板状の錘構成部材を、各々の平面部が対向し且つ各々の外縁が一致するようにカシメ積層することで一体化して構成され、
前記複数の回動部材は、各々、前記一体化された錘部材の外周をアウトサート成形により樹脂で覆うことで形成され、各回動部材には、各鍵毎もしくは鍵域毎に重さの異なる錘部材が取り付けられたことを特徴とする電子鍵盤装置。
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