JP3681994B2 - 省エネルギシステム設計プログラム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コージェネレーションシステムやコンバインドサイクル発電システムなどを導入する際の計画、運用、シミュレーションによる環境適合性・経済性評価を行うことができる省エネルギシステム設計方法及び省エネルギシステム設計プログラムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の技術としては、以下のようなものが知られている。
特開平9−318665号公報には、電力、ガス、上水、供給熱(地域冷暖房、セントラル冷暖房)、給湯等のエネルギ、資源のフロー、消費の状況をパソコンやテレビの画面に表示して消費者に知らせ、消費者に省エネルギ、省資源に対する意識向上と行動の喚起を促すことができるシステムが開示されている。
【0003】
特開2000−162253号公報には、電力、ガスなどのエネルギの月次消費量のデータから消費量が最低となる月を特定し、最低月の消費量が厨房、照明、動力など非冷暖房負荷によるものとし、他の月については、非冷暖房負荷による消費量を統計的データに基づいて算出し、この消費量を超えた分を季節によって冷房又は暖房負荷による消費量とする負荷種類分析方法と、このようにして得られた負荷種類毎のエネルギ消費のパターンを標準的な負荷別の消費パターンと比較して消費性向を診断する方法が開示されている。
【0004】
特開2000−329805号公報には、電気、ガス、灯油、温水等、複数種のエネルギそれぞれの毎月の実績消費量を取得し、エネルギそれぞれの毎月の実績消費量を厨房用、給湯用、暖房用、冷房用、照明・動力用といった用途別の消費量に分解し、エネルギそれぞれの毎月の用途別の標準消費量を取得し、エネルギそれぞれの毎月の用途別の実績消費量及び標準消費量を共通する単位の消費量にそれぞれ換算し、各エネルギの毎月の換算後の実績消費量を用途別に合算し、また、毎月の換算後の標準消費量を用途別に合算し、月毎及び用途別に合算した用途別の実績消費量を、月毎及び用途別に合算した用途別の標準消費量と比較してエネルギ消費性向を診断する方法が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の技術において、エネルギシステムの設計時には主に定格負荷領域でシステムを検討し、定格性能の高低でシステムを評価している。また、運用時にエネルギ消費性向を診断して定格負荷付近で運用できるように考慮されている。しかし、実際には運用時のエネルギ消費性向が把握できないことも多く、仮に把握できても実際には省エネルギ効果が発揮できるように運用できない。例えば、工場やプラント等では稼働させる必要があるときにはエネルギを使わなければならない。また、従来の技術では、省エネルギ効果以外の因子、例えば、環境影響因子であるNOx、CO2等が考慮できない。
【0006】
本発明は上記の諸点に鑑みなされたもので、本発明の目的は、設計時に部分負荷領域での運用も考慮し、エネルギシステムを構成する装置の運用領域における負荷と効率、排気ガス組成等の性能、初期設備費、維持費などを関数として表しておき、あるエネルギ消費マップに対し、構成装置を順次組み合わせてその全ての運用領域における積分した性能値を算出することで、最適な省エネルギシステムを設計することができる方法及び該方法を計算機又はネットで実現することができるプログラムを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の省エネルギシステム設計方法は、エネルギシステムを構成するプラントに導入可能な機器の種類、性能、価格等を関数として表した導入可能機器リストを、各機器の部分負荷特性、システムの起動タイミングチャートを基本とした運用パターン、電力料金データ及び燃料費、水道代、メンテナンス費用等の運用コストとともに、データベースとして保存しておき、省エネルギシステムを導入するサイト又は施設の予測される電力・熱需要量データを入力してプラント導入機器を選定し、選定された機器に対して部分負荷性能に基づき導入計画への適合性を確認し、選定されたプラント導入機器で構成されるシステムの運用パターンを起動タイミングチャートを基に選定し、運用パターンによって電力契約形態を決定した後、サイト又は施設にシステムを導入した場合のシミュレーションをその全ての運用領域における積分した性能値を算出することで実行し、環境適合性及び採算性を確認して最適な省エネルギシステムを設計するように構成されている。
【0008】
上記の方法においては、サイト又は施設の種類毎の代表的な電力・熱需要パターンを電力負荷パターン及び熱負荷パターンとしてデータベース化しておき、電力・熱需要状態が未知の場合に、データベースに格納されている類似のサイト又は施設のデータを用いることで、あるエネルギ消費マップに対して最適な省エネルギシステムを設計することができる。
また、サイト又は施設に省エネルギシステムを導入した場合のシミュレーションにおいて、算出された性能値のうち設備費及びエネルギー費用の削減分から償還年数を計算して採算性を明示することができる。
【0009】
本発明の省エネルギシステム設計プログラムは、コンピュータを、予め省エネルギシステムを導入するサイト又は施設種類毎の代表的な電力負荷パターン及び熱負荷パターン、プラントに導入可能な機器の種類、性能、価格等を関数として表した導入可能機器リスト、各機器の部分負荷特性、システムの起動タイミングチャートを基本とした運用パターン、電力料金データ並びに燃料費、水道代、メンテナンス費用等の運用コストを記録してデータベースとして記憶させておくデータ記録・記憶手段と、省エネルギシステムを導入するサイト又は施設の予測される電力・熱需要量データを入力してプラント導入機器を選定する導入機器選定手段と、選定された機器に対して部分負荷性能に基づき導入計画への適合性を確認し、選定されたプラント導入機器で構成されるシステムの運用パターンを起動タイミングチャートを基に選定する運用パターン選定手段と、運用パターンによって電力契約形態を決定した後、サイト又は施設にシステムを導入した場合のシミュレーションをその全ての運用領域における積分した性能値を算出することで実行し、環境適合性及び採算性を確認するシミュレーション実行・評価手段として機能させるためのプログラムである。
【0010】
本発明のプログラムを計算機上で動作させることで、本発明の省エネルギシステム設計方法を実施して、最適な省エネルギシステムを設計することができる。また、前出のデータベースを伝送手段(インターネット、LANなど)を介してダウンロードすることで、同様に本発明の省エネルギシステム設計方法を実施することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は下記の実施の形態に何ら限定されるものではなく、適宜変更して実施することが可能なものである。
(1)プラント導入機器選定法
コージェネレーションシステムやコンバインドサイクル発電システムを特定のサイト又は施設に導入する際、現在の電力契約形態のみを参考にして発電容量を決定することは非常にリスクの大きなことである。特に契約電力量を参考にすることはただ単に、サイトの最高電気使用量を把握できるだけであって、導入機器選定にはあまり参考にならない。本実施の形態における導入機器選定は、導入サイトスペース、計画導入コスト、電力負荷パターン、熱(蒸気)負荷パターンを考慮して行われる。電力負荷パターン、熱負荷パターンのデータが無い場合は電力負荷パターン、熱負荷パターンのデータベース内に格納されているサイト条件の類似したデータを用いることにより選定可能にする。導入機器選定の概要・順序は以下の表1に示す通りである。
【0012】
【表1】
【0013】
(2)プラント運用パターン選定方法
各々独立して制御されたコージェネレーションシステムやコンバインドサイクル発電システムを複数台導入する場合、その運用方法により採算性、環境適合性が大きく変わる。また、システムが複数台導入されたとしても、必ずしも全てのシステムが設備稼働率100%であるとは限らない。運用パターンは環境適合性を重視して決定し、その結果にしたがって採算性を検討して最適な運用パターンを決定する。
【0014】
(3)省エネルギシステムの設計方法
本実施の形態において必要なデータベースを表2に示す。
【0015】
【表2】
【0016】
▲1▼データベースの詳細
a.電力負荷パターンデータベース
特定の時刻における電力需要を、季節又は月毎で平日(労働日)・土曜日・休日・特定日と分けて、曲線又は関数felec(t)で整理したデータベース。
b.熱負荷パターンデータベース
特定の時刻における熱(蒸気)需要を、季節又は月毎で平日(労働日)・土曜日・休日・特定日と分けて、曲線又は関数fstm(t)で整理したデータベース。c.機器リストデータベース
発電装置、補助ボイラ、冷却システム、制御システム、燃料ガス圧縮機、液体燃料供給装置など、プラントに導入可能な機器の定格性能及び据付工事費込み価格PG_cost、機器サイズPG_spaceのデータベース。導入可能機器リストの一部を表3に示す。
【0017】
【表3】
【0018】
d.機器負荷特性データベース
機器リストデータベースにある発電装置毎に、吸気温度tmp、負荷率lで整理した出力Pow(tmp,l)、熱効率Eff(tmp,l)、排ガス温度Texh(tmp,l)、排ガス流量Gexh(tmp,l)、NOx排出量Gnox(tmp,l)、CO2排出量Gco2(tmp,l)などの性能関数データベース。
e.基本運用パターンデータベース
発電装置の最低負荷率Lmin、電力会社からの最低買電量ECmin、複数台導入時の起動タイミングチャートを整理したデータベース。
f.電力料金データベース
電力会社に支払う電力使用料金E_costを計算するために、各地域における電力会社の契約料金、電気料金、契約条件などをまとめたデータベース。電力料金データベースの一例を表4に示す。
【0019】
【表4】
【0020】
g.運用コストデータベース
プラント運用上必要な、燃料代F_cost、水道代W_cost、消耗品代C_cost、メンテナンス費用M_cost、人件費L_cost、保険料I_cost、税金T_cost、利率IRなど地域毎にまとめたデータベース。一例として、燃料代のデータを表5、水道代のデータを表6、メンテナンス費用のデータを表7に例示する。
【0021】
【表5】
【0022】
【表6】
【0023】
【表7】
【0024】
▲2▼設計の手順
図1は、本発明の実施の第1形態による省エネルギシステム設計方法を実施する手順を示している。データベースを用いた設計手順を図1に示すフローチャートを参考にしながら説明する。最初のステップでは、プラント導入が計画されているスペースP_space、計画導入コストP_cost、現在の電力負荷パターンfelec(case,t)、熱負荷パターンfstm(case,t)を入力する。電力・熱需要状態が未知の場合は、データベースにあらかじめ分野別に記憶されている代表的負荷パターンのうち類似のものを用いる。データベースに記憶されている電力負荷パターン及び熱(蒸気)負荷パターンの一例を図2〜図9に示す。入力されたデータをもとに機器リストデータベースより導入する機器を選定する。その際、以下の数1に示す基準にしたがい機器を選定する。ここでPG*は導入機器の整理番号である。
【0025】
【数1】
【0026】
次のステップでは選定された機器に関して部分負荷特性を機器負荷特性データベースのデータを基にして計算する(数2)。その結果、蒸気発生量Gstm(tmp,l)、蒸気タービン出力Pow_st(tmp,l)、必要補機動力Pow_sub(tmp,l)などを得る。結果に基づき導入計画への適合性を確認する。ここで、数2の式はm台の発電装置、n台の蒸気タービン、o個の必要補機がある場合であり、felec,maxは年間を通しての電力負荷最大値である。式について適合しない場合は、機器の選定に戻り再び導入機器の選定を行う。
【0027】
【数2】
【0028】
次のステップではプラント運用パターン選定を行う。発電装置には機器固有の連続運転可能最低負荷率Lminがあり、その負荷率以下で運用することは不可能である。また、基本として電力会社からの商用電源を使用する場合、逆潮流を防止するために、最低買電量ECminを決定し運用する。以下の数3に示す式にてプラント必要電力量felec(t)に対する運用可能範囲が表される。
【0029】
【数3】
【0030】
以上の条件を考慮して、例えば、図10〜図15に示すような起動タイミングチャートを基本とした運用パターンを選定する。選定の結果、以下の関数が決定される。
買電量:EC(x)
電気料金:ECcost(x)
発電量:E(x)
燃料量:Gfuel(x)
水道量:Gwater(x)
運転時間:Ton(x)
NOx排出量:Gnox(x)
CO2排出量:Gco2(x)
【0031】
次のステップとして、電力の契約形態の決定をする。運用パターンによって最大買電量ECmaxが決定するため、その電力量に合わせて契約電力量を決定する。これで全ての検討条件が決定されたため、次のステップとして1年間のサイトシミュレーションを実行する。サイトシミュレーションの概要は以下の数4〜数12に示す式で表される。
【0032】
【数4】
【0033】
【数5】
【0034】
【数6】
【0035】
【数7】
【0036】
【数8】
【0037】
【数9】
【0038】
【数10】
【0039】
【数11】
【0040】
【数12】
【0041】
上記式の計算結果より、各々のエミッション性能、燃料費などが算出でき、環境負荷、運用コストが計算できる。シミュレーション結果に対して環境負荷適合性を先ず確認する。確認項目がNOxの場合は排出規制値内かどうか、CO2の場合は火力発電所を基準とした削減率を確認する。規制値外もしくは削減効果が無い場合は、運用パターンを変更して再びサイトシミュレーションを行い、適切な運用パターンを選定する。環境適合性の確認後、人件費L_cost、保険料I_cost、税金T_cost、利率IRなどを含めたライフサイクルコストでの採算性を確認する。採算性が悪化する場合や、予め設定した基準償却年数に対して長い償却年数が必要な場合、または複数ケースが考えられる場合は機器選定まで戻り、同様の手順にて採算性評価まで行う。このような経済性評価の一例を表8に示す。また、償却年数を計算して経済性を評価したグラフの一例を図16に示す。償却年数は設備費、エネルギー費用等の削減分から計算することができる。
【0042】
【表8】
【0043】
本実施形態の省エネルギシステム設計方法は、以上のようにして計画、運用、シミュレーションによる環境適合性・経済性評価まで行う。また、本実施形態の省エネルギシステム設計方法を実現できるプログラムを作成し、このプログラムをコンピュータ上で動作させることで、最適な省エネルギシステムを設計することができる。また、前出のデータベースを伝送手段(インターネット、LANなど)を介してコンピュータにダウンロードすることでも、本実施形態の方法を実現することができる。
【0044】
【発明の効果】
本発明は上記のように構成されているので、つぎのような効果を奏する。
(1) 設計時に部分負荷領域での運用も考慮しているため、あるエネルギ消費マップに対して最適な省エネルギシステムを設計することができる。
(2) 環境影響因子(NOx、CO2等)も考慮できるので、不経済な運用方法(例えば、部分負荷ではNOxが多いので、やむを得ず定格負荷で運用したら、エネルギが余ってしまった等)を避けることができる。
(3) あるエネルギ消費マップにおける等価運転時間を算出し、これをもとにメンテナンスコストを算出するので、例えば、機器の寿命が短くなるような無理な運転で、燃料代は節約できたがメンテナンスコストが増大してかえって不経済になってしまうといったこともない。
(4) 本発明は、計画時にエネルギの消費性向を考慮しているため、運用時におけるエネルギ負荷の変動に追従し、効果的に省エネルギを達成することができる。
(5) サイトシミュレーションにおいて、設備費及びエネルギー費用の削減分から償還年数を計算して採算性を明示することができる。
(6) プラント導入機器のデータベースがインターネット、LANなどの伝送手段を介して提供されるので、プラント導入機器が単一のメーカーに限定されることなく、かつ、常に最新のデータを基にした最適な省エネルギシステムを設計することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の第1形態による省エネルギシステム設計方法を実施する手順を示すフローチャートである。
【図2】データベースに格納された電力負荷パターン(春季)の一例を示すグラフである。
【図3】データベースに格納された熱(蒸気)負荷パターン(春季)の一例を示すグラフである。
【図4】データベースに格納された電力負荷パターン(夏季)の一例を示すグラフである。
【図5】データベースに格納された熱(蒸気)負荷パターン(夏季)の一例を示すグラフである。
【図6】データベースに格納された電力負荷パターン(秋季)の一例を示すグラフである。
【図7】データベースに格納された熱(蒸気)負荷パターン(秋季)の一例を示すグラフである。
【図8】データベースに格納された電力負荷パターン(冬季)の一例を示すグラフである。
【図9】データベースに格納された熱(蒸気)負荷パターン(冬季)の一例を示すグラフである。
【図10】データベースに格納されたシステムの起動タイミングチャート(環境負荷軽減モードでの電力量)の一例を示すグラフである。
【図11】データベースに格納されたシステムの起動タイミングチャート(環境負荷軽減モードでの蒸気量)の一例を示すグラフである。
【図12】データベースに格納されたシステムの起動タイミングチャート(蒸気需要重視モードでの電力量)の一例を示すグラフである。
【図13】データベースに格納されたシステムの起動タイミングチャート(蒸気需要重視モードでの蒸気量)の一例を示すグラフである。
【図14】データベースに格納されたシステムの起動タイミングチャート(電力需要重視モードでの電力量)の一例を示すグラフである。
【図15】データベースに格納されたシステムの起動タイミングチャート(電力需要重視モードでの蒸気量)の一例を示すグラフである。
【図16】償却年数の計算による経済性評価の一例を示すグラフである。
Claims (2)
- 最適な省エネルギシステムを設計するためにコンピュータを、
予め省エネルギシステムを導入するサイト又は施設種類毎の代表的な電力負荷パターン及び熱負荷パターン、プラントに導入可能な機器の種類、性能、価格等を関数として表した導入可能機器リスト、各機器の部分負荷特性、システムの起動タイミングチャートを基本とした運用パターン、電力料金データ並びに燃料費、水道代、メンテナンス費用等の運用コストを記録してデータベースとして記憶させておくデータ記録・記憶手段と、
省エネルギシステムを導入するサイト又は施設の予測される電力・熱需要量データを入力してプラント導入機器を選定する導入機器選定手段と、
選定された機器に対して部分負荷性能に基づき導入計画への適合性を確認し、選定されたプラント導入機器で構成されるシステムの運用パターンを起動タイミングチャートを基に選定する運用パターン選定手段と、
運用パターンによって電力契約形態を決定した後、サイト又は施設にシステムを導入した場合のシミュレーションをその全ての運用領域における積分した性能値を算出することで実行し、環境適合性及び採算性を確認するシミュレーション実行・評価手段として機能させるための省エネルギシステム設計プログラム。 - データベースがインターネット又はLANなどの伝送手段を介してデータ記録・記憶手段に提供される請求項1記載の省エネルギシステム設計プログラム。
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