JP3689634B2 - インクジェット記録画像 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録画像に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方法は、インクを飛翔させ、紙等の被記録媒体にインクを付着させて記録を行うものである。例えば、特公昭61−59911号公報、特公昭61−59912号公報及び特公昭61−59914号公報において開示されている、吐出エネルギー供給手段として電気変換体を用い、熱エネルギーをインクに与えて気泡を発生させることにより液滴を吐出させる方式のインクジェット記録方法によれば、記録ヘッドの高密度マルチオリフィス化を容易に実現することができ、高解像度及び高品位の画像を高速で記録することができる。
【0003】
ところで、従来のインクジェット記録方法に用いられるインクは、水を主成分とし、これにノズル内でのインクの乾燥防止、ノズルの目詰まり防止等の目的でグリコール等の水溶性高沸点溶剤を含有しているものが一般的である。その為このようなインクを用いて被記録媒体に記録を行った場合には、十分な定着性が得られなかったり、被記録媒体としての記録紙表面における填料やサイズ剤の不均一な分布によると推定される不均一画像の発生、等の問題を生じる場合がある。一方、近年は、インクジェット記録物に対しても、銀塩写真と同レベルの高い画質を求める要求が強くなっており、インクジェット記録画像の画像濃度を高めること、色再現領域を広げること、更には、記録物の色の均一性を向上させることに対する技術的な要求が非常に高くなっている。
【0004】
このような状況のもとで、インクジェット記録方法の安定化、そしてインクジェット記録方法による記録物の品質向上を図るために、これまでにも種々の提案がなされてきている。被記録媒体に関する提案のうちの一つとして、被記録媒体の基紙表面に、充填材やサイズ剤を塗工する方法が提案されている。例えば、充填材として色材を吸着する多孔質微粒子を基紙に塗工し、この多孔質微粒子よってインク受容層を形成する技術が開示されている。これらの技術を用いた被記録媒体として、インクジェット用コート紙等が発売されている。
【0005】
また、被記録媒体に噴射される記録液に関する技術提案のうちの一つとして、インク及び該インクと反応する処理液とを、被記録媒体上で該インクと該処理液とが反応するように、該被記録媒体に付与する方法が提案され、また、この技術を用いたインクジェットプリンタが発売されている。
【0006】
具体的には、例えば、特開昭63−60783号公報には、塩基性ポリマーを含有する液体組成物を付着させた後、アニオン染料を含有したインクによって記録する方法が開示されており、特開昭63−22681号公報には、反応性化学種を含む第1の液体組成物と該反応性化学種と反応を起こす化合物を含む液体組成物を被記録媒体上で混合する記録方法が開示されており、更に、特開昭63−299971号公報には、1分子あたり2個以上のカチオン性基を有する有機化合物を含有する液体組成物を被記録媒体上に付与した後、アニオン染料を含有するインクで記録する方法が開示されている。また、特開昭64−9279号公報には、コハク酸等を含有した酸性液体組成物を被記録媒体上に付与した後、アニオン染料を含有しているインクで記録する方法が開示されている。
【0007】
また、更に、特開昭64−63185号公報には、染料を不溶化させる液体組成物をインクの記録に先立って付与するという方法が開示されている。更に、特開平8−224955号公報には、分子量分布領域の異なるカチオン性物質を含む液体組成物をアニオン性化合物を含むインクと共に用いる方法が開示され、また、特開平8−72393号公報には、カチオン性物質と微粉砕セルロースを含む液体組成物をインクと共に用いる方法が開示されており、いずれも画像濃度が高く、印字品位、耐水性が良好で、色再現性、ブリーディングにおいても良好な画像が得られることが記載されている。また、特開昭55−150396号公報には、被記録媒体上に染料インクで記録した後に染料とレーキを形成する耐水化剤を付与する方法が開示され、記録画像の耐水性を付与することが提案されている。
【0008】
(背景技術)
(1)コート紙の画像の検討
上記した被記録媒体の基紙表面に充填材やサイズ剤を塗工して得られる被記録媒体(以降コート紙)は、高品質な画像を形成することができる技術として認知されている。
一般に、高彩度の画像を得るためには、色材を凝集させずに単分子状態で被記録媒体表面に残すことが必要であることは知られている。コート紙の多孔質微粒子には、このような機能がある。しかしながら、与えられたインク中の色材に対して、画像濃度と画像彩度を得るためには、多量の多孔質微粒子で、基紙を覆い隠すような厚いインク受容層の形成が不可欠となり、結果として、基紙の質感が失われてしまうという問題点があった。本発明者らは、このように質感を失う程のインク受容層が必要なのは、色材が多孔質微粒子に、効率的に吸着していないことに起因すると推測した。
【0009】
一層のインク受容層を有するコート紙を想定して、以下に説明する。図9は、コート紙表面付近の断面を模式的に示したものである。同図において、901は基紙であり、903はインク受容層を示す。一般に、インク受容層903は、多孔質微粒子905とそれらを固定化する接着剤907を有する。インクが付与されると、インクは多孔質微粒子905間の空隙を毛管現象によって浸透し、インク浸透部909を形成する。同図にも示したように、インク受容層での多孔質微粒子は局所的には密度が異なるため、この毛管現象によるインクの浸透の仕方は場所によって異なる。このため、インクの浸透過程において、色材は多孔質微粒子表面に均一には接触できず、色材が効率的には多孔質微粒子に吸着されない。
【0010】
更に、接着剤907によってインクの浸透が阻害される部分も生じており、インク受容層903内にはインクが浸透できない部分が存在し、発色には寄与しない部分が発生する。即ち、従来のコート紙においては、上記のような理由により、多孔質微粒子の量に対して効率的に色材を単分子状態で吸着することができず、この結果、高品質の画像を得るためには多量の多孔質微粒子が必要となり、基紙の質感を損なうこととなっていた。
本発明者らは、以上のような新たな知見に基づき、色材を吸着する作用を有する微粒子を用い、且つ、該微粒子に効率的に色材を吸着させるために、微粒子を液相に分散させ、色材インクと共に液体状態で用いることにより、色材と微粒子とを液−液状態で反応させることが可能となり、その結果、画像の濃度と彩度を向上させることができることを見出して、本発明に至った。
【0011】
(2)2液系記録画像の検討
一方、前述したような、インクと該インクとの反応を行う処理液とを併用したインクジェット記録方法(以降「2液系インクジェット記録」と略す)は、被記録媒体の種類によらず極めて高い品位の画像を形成することができるため、優れた技術として既に認知されている。
しかし、本発明者らは、この技術について更なる検討を加えた結果、記録条件によっては記録物に白スジが現れる場合があることを見出した。そして、近年の、銀塩写真に匹敵するような画質が、インクジェット記録物にも求められるようになってきている現状では、この問題を解決する必要があるとの認識を持つに至った。そして、この白スジの発生の原因について、本発明者らはより一層の検討を重ねた結果、インクと該インクと反応性のある処理液との間における反応性の強さに起因するものとの結論を得るに至った。
【0012】
図10(a)〜(c)は、2液系インクジェット記録時の被記録媒体上での現象を模式的に示したものである。この図面を用いて白スジの発生メカニズムを推定的に説明する。例えば、アニオン性の色材を水性媒体中に含むインク(以降「アニオンインク」と略す)と、該アニオン性物質と反応性を有するカチオン性物質を含む水性の液体組成物とを用いた場合を想定すると、先ず、液体組成物1001が被記録媒体1003表面にインクジェット法によって付与される。次いでアニオンインク1005が、被記録媒体1003上の液体組成物1001が付与された部位に付与され、該インクと該液体組成物は、被記録媒体上で液体状態で接触し、アニオン性色材とカチオン性物質との反応が始まる。この結果、インクの水性媒体及び液体組成物の水性媒体は被記録媒体内部に浸透していくものの、インク中の色材は、カチオン性物質との反応によって生じた、色材を単分子状態で保持した微粒子の凝集物1007として被記録媒体表面に残留する。尚、図10(c)における1009は、水性媒体の浸透先端を示すものである。
【0013】
このように、2液系インクジェット記録においては、色材が水性媒体の浸透と共に被記録媒体内部に浸透していくのを抑え、できるだけ被記録媒体表面に留めることで高い画像濃度と高度の耐水性を得ている。そして、これまでの2液系インクジェット記録においては、インクと液体組成物との反応性は、インク中の色材を全てカチオン性物質と反応させて被記録媒体表面に残留させるためにできる限り強くすることが、画質のより一層の向上に繋がるとの認識を有していた。
【0014】
しかし、従来の2液系インクジェット記録が、インク中の色材をより多く被記録媒体表面に残留させようとする思想に基づき、インクと液体組成物の特性を調整したことにより、画像を構成する着色部や画素の周辺の微小な滲みをも抑えてしまった結果として、白スジが生じたり、また、色材の過度の凝集の結果として、画像の彩度を低下させたりするのではないかと推察した。そして、このような知見及び技術的な考察に基づき、本発明者らは、2液系インクジェット記録において、2液の反応の程度を弱めることが、白スジの発生の抑制や画像の彩度のより一層の向上に有効に作用するのでないかとの予測に基づき、種々の実験を重ねた結果、画像の劣化を生じさせることなく、着色部や画素の周囲に微小な滲みを生じさせることができ、しかも、画像の彩度をより一層向上させることができることを見出した。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
以上に記載したような、本発明者らによる新たな知見に鑑み本発明者らは、次のような目的を設定するに至った。
(1)従来よりも、与えられたインクや色材を効率よく、濃度の向上と彩度の向上に貢献せしめることが重要である。従って、本発明の目的は、被記録媒体の質感を損なうことなく、高濃度で、しかも高彩度を有するインクジェット記録画像を提供することにある。
(2)本発明の目的は、白スジの発生を低減し、高彩度で、より高品質なインクジェット画像を提供することにある。
【0016】
また、上述した発明の背景技術の検討によって、本発明にかかる画像形成技術は、インクジェット分野に限定されるものでなく、色材としても顔料や染料以外の吸収特性や発光特性を有する粒子や所望の機能性を有する粒子でもよく、また、紙などの被記録媒体も壁紙やコンクリート壁、更には予め処理された凹凸を有する表面を持つ基材であれば、適用することができ、この点もまた本発明のより上位の目的となる。
【0017】
上記の目的は、下記の本発明によって達成される。
【0018】
先ず本明細書において、「液−液反応」とは、反応物質が液体であるものだけではなくて、反応物質を含有する溶液や分散液内で起こる反応を包含しているものである。
また、「単分子状態」とは、染料や顔料等の色材が、インク中での溶解、若しくは分散した状態をほぼ保っていることを指している。この時、色材が多少の凝集を引き起こしたとしても、彩度が低下しない範囲であればこの状態に含まれることとする。例えば、染料の場合、単分子であることが好ましいと考えられるため、便宜上、染料以外の色材についても「単分子状態」と呼ぶこととする。
【0022】
上記目的を達成することのできる本発明にかかるインクジェット記録画像の実施形態は、インクが含有するアニオン性の色材と、液体組成物が含有する、カチオン性で該色材と反応性を有する微粒子(色材を除く)とによって、アニオン性の成分により構成された普通紙上に形成されたインクジェット記録画像であって、該液体組成物のゼータ電位の絶対値が、5〜90mVであり、着色部のうちの主画像形成部は、色材を表面に吸着した微粒子同士の凝集物によって構成され、主画像形成部の周辺部にはインクの滲みが形成されていることを特徴とする。
【0023】
また、上記目的を達成することのできる本発明にかかるインクジェット記録画像の他の実施形態は、前記主画像形成部の周辺部では微粒子よりも色材の方が多い前記のインクジェット記録画像である。
【0025】
た、上記目的を達成することのできる本発明にかかるインクジェット記録画像の他の実施形態は、微粒子の平均粒子直径が、0.005〜1μmの範囲である前記何れかのインクジェット記録画像である。
【0026】
また、上記目的を達成することのできる本発明にかかるインクジェット記録画像の他の実施形態は、画像が、複数の色の画像を含む多色画像である前記何れかのインクジェット記録画像である。
また、上記目的を達成することのできる本発明にかかるインクジェット記録画像の他の実施形態は、複数の色が、イエロー、マゼンタ、シアン、レッド、グリーン、ブルー及びブラックから選ばれる少なくとも2つである前記のインクジェット記録画像である。
【0034】
そして、上記した種々の実施形態の採用によって、従来の2液系インクジェット記録の画像を遥かにしのぐ、彩度に優れ、また、白スジの発生が抑制された極めて高品質のインクジェット画像を得ることができ、また、従来のコート紙上に形成した画像と比較しても、その鮮やかさにおいて極めて優れたインクジェット画像を得られるという効果を奏するものである。本発明にかかる各種実施形態によって、このような効果が得られる理由は明らかでないが、これまでに得られた技術的知見に基づけば、以下のようなメカニズムによるものと考えられる。
【0035】
以下に、本発明にかかる記録画像について図11を用いて説明する。
先ず、説明に先立ち、言葉の定義を行う。本明細書中で、「単分子状態」とは、染料や顔料等の色材が、インク中での溶解若しくは分散した状態をほぼ保っていることを指している。この時、色材が多少の凝集を引き起こしたとしても、彩度が低下しない範囲であればこの状態に含まれることとする。例えば、染料の場合、単分子であることが好ましいと考えられるため、便宜上、染料以外の色材についても「単分子状態」と呼ぶこととする。
【0036】
図11は、本発明にかかる記録画像の着色部Iが主画像部IMとその周辺部ISとから成り立っている状態を模式的に示した図である。図11において、1101は被記録媒体、1102は被記録媒体の繊維間に生じる空隙を示す。また、1103は色材1105が化学的に吸着する微粒子を模式的に示した物である。主画像部IMは、表層に色材1105が、単分子状態で均一に表面に吸着した微粒子1103と、色材の単分子状態を保持した微粒子の凝集物1107とで構成されている。1109は、主画像部IM内の被記録媒体繊維近傍に存在する、微粒子同士の凝集物である。主画像部IMは、被記録媒体繊維に微粒子1103が物理的又は化学的に吸着する工程と、色材1105と微粒子1103とが液−液状態で吸着する工程によって形成されたものである。その為、色材自体の発色特性が損なわれることが少なく、普通紙などのインクの沈み込み易い記録媒体においても、画像濃度や彩度が高く、コート紙並みの色再現範囲の広い画像の形成が可能となる。
【0037】
一方、周辺部ISには、インクの微少な滲みが形成される。このように記録媒体1101の表面近傍に色材が残り、且つ周辺部にインクの微少な滲みを形成させるために、シャドウ部やベタ部等のインク付与量が多い画像領域においても白モヤや色ムラが少なく色の均一性に優れる画像の形成が可能となる。また、図11に明示した様に、記録媒体1101が、インクや液体組成物の浸透性を有するものである場合には、本形態はインク成分や液体組成物成分の記録媒体内部への浸透は、必ずしも妨げられるものではなく、ある程度の浸透を許容するものである。
以上はインクジェット記録或いは色材を含む液体組成物を用いる液体表面処理に対して、色材を所望目的による特性を有する粒子とし、被記録媒体を少なくとも凹部を有する表面が備えられている基材とすることで本発明の上位の思想が理解できよう。上記請求項は、この意味でより上位の技術範囲にも変更できることもまた理解できよう。
【0038】
ちなみにこの趣旨から、本発明の上位技術は、所望目的による特性を有する粒子を液状又は液体中に有する第1の液体組成物に対して、予め該粒子を逆極性であり、互いに凝集する特性を備えた微粒子を有する第2の液体組成物が、少なくとも凹部(微少であってもよい)を有する表面を具備する基材に対して付与され、この第2の液体組成物が付与された表面に第1の液体組成物を付与する表面処理方法であり、また、形成された表面の上記技術特徴も、上記趣旨に基づいたものとなる。
従ってこれらの上位技術は、表面に対して与えられた液体の中の粒子を高効率で表面側に均一に定着させることができ、該表面に対して所望の特性を付与することを可能とするものである。
【0039】
【発明の実施の形態】
次に好ましい実施形態を挙げて更に詳しく説明する。
先ず、先に図11を用いて説明した本発明にかかる記録画像の形成工程を図12(1)〜(4)を用いて説明する。
図12(1)〜(4)は、本発明にかかるインクジェット記録画像形成方法の一実施形態の着色部1200の概略断面図及びその形成工程を説明する概略工程図である。同図において、1201は、インクと液体組成物との反応物、例えば色材と微粒子の反応物を主として含む部分(以降「反応部」と略)であり、図11の主画像部IMに相当する部分である。1202は、液体組成物との反応に実質的に関与しなかったインクが、反応部1201の辺縁に流出することによって形成された部分(以降「インク流出部」と略)であり、図11の周辺部ISに相当する。
【0040】
かかる着色部1200は例えば以下のようにして形成される。同図において、1205は、被記録媒体の繊維間に生じる空隙を模式的に表したものである。先ず、色材1204と反応性を有する液体組成物1206が液滴として被記録媒体1203に付与され(図12(1))、その結果、液体組成物の液溜り1207が形成される(図12(2))。液溜り1207内で、被記録媒体の繊維表面近傍の微粒子1209は、被記録媒体の繊維表面に物理的又は化学的に吸着する。この時、分散状態が不安定となって微粒子同士の凝集物1211を形成するものもあると考えられる。一方で、液溜り1207内の繊維より離れた部分では、微粒子1209はもとの分散状態を保っていると考えられる。
【0041】
次いで、インク1213が液滴として被記録媒体1203に付与される(図12(2))。その結果、先ずインク1213と液溜り1207の界面において色材1204は微粒子1209に化学的に吸着する。この反応は液体と液体同士の反応(液−液反応)であるため、色材1204は単分子状態で、微粒子1209の表面に均一に吸着すると考えられる(図12(3)−2)。即ち、微粒子表面近傍では、色材同士は凝集を起こさない、或いは凝集してもわずかであると推測される。その結果、反応部1201の表層部に単分子状態で色材1204が吸着した微粒子が多数形成され、発色に最も影響を与える表面相に色材を単分子状態で残存させることができるため、高画像濃度であって且つ彩度の高い記録画像を形成する。
【0042】
次いで、これら色材1204が吸着した微粒子は、分散状態が不安定となるため微粒子同士で凝集すると考えられる(図12(3)−2)。即ち、ここで形成された凝集物1215は、その内部にも単分子状態の色材を保持している。この凝集物1215により、高画像濃度且つ高彩度の記録画像が形成される。更に、未反応の色材1204の一部は液溜り1207内を拡散し、未反応の微粒子1209表面に吸着する。このように、液溜り1207内部で更に反応が進行するため、より高濃度で彩度の高い画像が形成される。被記録媒体の繊維表面に形成された微粒子の凝集物1211は、液溜り1207の液相が被記録媒体内への浸透を抑制する役割があると考えられる。このため液溜り1207では浸透が抑制された液体組成物中の微粒子1209と色材1204とがより多く混在することが可能となる。これにより、色材1204と微粒子1209の接触確率が高められ、反応が比較的均一に、且つ充分に進行し、より均一で画像濃度と彩度が高い画像が形成される。
【0043】
また、液体組成物1206が被記録媒体1203に付与された際(図12(1))や、液溜り1207にインク1213が付与された際(図12(2))、微粒子1209を分散させている分散媒が変化することによって微粒子1209の分散が不安定となり、色材1204が吸着する前に微粒子1209間で凝集を起こすものも存在する。ここでいう分散媒の変化とは、2種若しくはそれ以上の異種の液体が混合したときに一般的に観察される変化、例えば液相のpHや固形分濃度、溶剤組成、溶存イオン濃度などの物性変化を指し、液体組成物が被記録媒体やインクと接触した際にこれらの変化が急激且つ複合的に生じて、微粒子の分散安定性を破壊し凝集物を生成するものと考えられる。
【0044】
これらは、空隙を埋める効果や、色材を吸着した微粒子をより被記録媒体表面近傍に残存させる効果をもたらすと推測される。これら液溜り1207内で形成された凝集物は、被記録媒体に吸着している物もあれば、液相内を動ける(流動性を有する)ものも存在する。流動性を有するものは、前述の色材と微粒子との過程と同様に、微粒子凝集物表面に色材が単分子状態で吸着し、より大きな凝集塊を形成し、これが発色の向上に寄与しているものである。液相が繊維に沿って浸透する際に液相と共に移動し、空隙を埋めて被記録媒体表面を平滑化し、より均一で高画像濃度の形成に寄与すると考えられる。後述の結果により明らかであるが、本発明によって高発色の画像が得られたのは上記のように色材が単分子状態で微粒子若しくは微粒子凝集物に吸着され被記録媒体表面近傍に残った為であると考えられる。色材が単分子状態で吸着し、被記録媒体表面に残った微粒子は被記録媒体表面に定着する。これにより、堅牢性が向上する。
【0045】
尚、これまで、液体組成物、及びインクの順で、被記録媒体に付与した場合で説明してきたが、インクと液体組成物との液―液の混合が達成されるのであれば、液体組成物とインクとの被記録媒体への付与順はこれに何ら限られるものでなく、インク、液体組成物の順であってもよい。
更に、図12(2)にも示した通り、被記録媒体に付与した液体組成物中の微粒子の少なくとも一部は、液媒体の被記録媒体内部への浸透に伴って、被記録媒体内部に浸透していると考えられる。他方、図12(4)に示した様にインク中の色材も、その全てが被記録媒体上の微粒子に吸着若しくは結合される訳ではなく、インクの液媒体の浸透に伴って、被記録媒体内部に浸透していく。その過程で、図12(4)に明示したように、色材が、先に浸透している微粒子に、単分子状態で吸着若しくは結合していることを想定し得ることである。このように被記録媒体内部において、色材が単分子状態で吸着若しくは結合している微粒子も、発色性の向上に寄与していることが考えられる。更にこのような液媒体の浸透により、定着性も向上すると考えられる。
【0046】
本発明の構成によって、液体組成物と水性インクとによる2液の反応により、より効率的に、液体組成物中の微粒子に色材が吸着されるようになる他の理由を以下に述べる。
本発明者らの検討によると、殆どの場合、水性インクよりも液体組成物の方が比重が大きかった。これは、液体組成物中の微粒子自身の密度が比較的大きいことに起因したものであり、結果として、液体組成物の比重が大きくなっているものと考えられる。これにより、以下のメカニズムが推測される。一般に、先に被記録媒体に付与された液滴により形成された液溜りに、後から別の液滴が打ち込まれた場合、先に付与された液滴が飛散し、その後、双方の液体が混ざり合う。この際、双方を構成する液滴の比重の違いにより、この飛散の仕方と液体の混ざり方が異なる。その様子を図13を用いて説明する。
【0047】
図13の(1)及び(2)は、比重の大きい液体組成物の液滴が被記録媒体に打たれ、比重の小さい水性インクが後から打たれた場合を説明する概略図である。被記録媒体に先に付与された比重の大きな液体組成物1301に対して、該液体組成物よりも比重の小さな水性インクの液滴1303が打ち込まれた場合に(図20(1))、その比重が大きいため液、体組成物1301は飛散しにくく、水性インク1303を包むようになり(図20(2))、双方の液体の接触する面積が多くなり、その結果、双方の物質の反応がより効率的に行われる。
【0048】
一方、図13の(3)及び(4)に示すように、逆に、比重の小さい水性インクの液滴1305が被記録媒体に打たれ、その後に、比重の大きい液体組成物1307の液滴が後から打たれた場合、水性インク1305の飛散は大きくなるが、その後、双方の液体同士が混ざりあう時に、後から打ち込まれた液体組成物1307中の比重の重い微粒子が、先に打たれた水性インク1305中により早く沈み込むため(図13(4))、微粒子と色材との接触確率が高くなり、その結果、双方の物質の反応がより効率的に行われる。
【0049】
以上のように、双方の液体の比重が異なった場合、どちらが先に被記録媒体に打たれるかによって、そのメカニズムは異なるものの、結果として反応が効率的に行われることが予想される。また、ここでは、双方の液体の比重の関係が、液体組成物の方が水性インクよりも大きい場合について説明したが、もし逆の関係にあっても、同様の効果が得られることは、上記説明より明らかである。
この説明から、本発明においてインクと液体組成物との被記録媒体への付与の順番は、被記録媒体上における液―液の混合が達成される限り、実質的な相違を生じないことが理解されよう。
【0050】
図14(1)〜(3)は、本発明にかかるインクジェット記録画像の一実施形態の着色部の形成過程を説明する概略工程図である。図14において、1401は、インクと液体組成物との反応物、例えば、色材と微粒子の反応物を主として含む部分(以降「反応部」と略す)であり、1403は、液体組成物との反応に実質的に関与しなかったインクが、反応部1401の辺縁に流出することによって形成された部分(以降「インク流出部」と略す)である。かかる着色部は、例えば、以下のようにして形成される。
【0051】
先ず、本発明にかかる液体組成物が、液滴として被記録媒体に付与され、その結果、所定の広がりを持った液体組成物の液溜り1411が形成される(図14(1))。次いで、インク1409が、液滴として被記録媒体に付与される(図14(2))。その結果、液体組成物とインクとの間で反応が生じ、反応部1401が形成される。その一方で、本発明にかかる液体組成物とインクとの間の反応は強過ぎないため、液体組成物との反応に実質的に関与しないインクが存在する。そして、そのようなインクは、液溜り1411の辺縁に流出し、インク流出部1403を形成する(図14(3))。そして、インク流出部1403においては、インク中の色材は、インクの水性媒体の被記録媒体内部への浸透に伴って浸透していくため、僅かながら着色部の辺縁に滲みを生じさせ、この滲みが、本発明の最大の効果の一つであるところの、白スジの低減、若しくは消失に、大きく寄与しているものと考えられる。インク流出部1403においては、微粒子は実質的には存在しないか、或いは存在したとしても僅かである。
【0052】
上記図14(1)〜(3)ではインクと液体組成物とが同一の位置に着弾した場合について説明したが、更に、図14(4)〜(6)の概略工程図で、本発明のインクジェット記録画像の別の実施形態の着色部の形成過程を説明する。この形態では、双方の液滴の着弾が同一位置でない場合について説明する。図14(4)〜(6)において、符号は、上記した図14(1)〜(3)の場合と同様である。1401は反応部、1403はインク流出部、1405は双方の着弾が同一位置でないために発生した液体組成物のみの領域(以降「液体組成物部」と略す)である。かかる着色部は、例えば、以下のようにして形成される。
【0053】
先ず、液体組成物が液滴として被記録媒体に付与され、その結果、所定の広がりを持った液体組成物の液溜り1411が形成される(図14(4))。次いで、インク1409が液滴として被記録媒体に付与される(図14(5))。その結果、液体組成物とインクとの間で反応を生じ、反応部1401が形成される一方で、液体組成物との反応に実質的に関与しなかったインクが、液溜り1411の辺縁に流出したものと、着弾が同一位置でないため、反応しなかったインクとがインク流出部1403を形成し、また、着弾が同一位置でないために反応しなかった液体組成物により、液体組成物部1405が形成される(図14(6))。そして、インク流出部1403においては、インク中の色材は、インクの水性媒体の被記録媒体内部への浸透に伴って浸透していくため、着色部の辺縁に滲みを生じさせる。また、色材と微粒子の反応が十分では無いものの、反応部1401は、光学濃度が高いため、本発明の最大の効果の一つであるところの、白スジの低減若しくは消失に、大きく寄与しているものと考えられる。尚、インク流出部1403においては、微粒子は、実質的には存在しないか、或いは存在したとしても僅かである。
【0054】
上記では、本発明にかかるインクと液体組成物とを組み合わせたインクセットによって形成したドットに関して説明したが、同様な現象は、画像形成領域全体においても観察される。ここでは簡略化のため図面を用いての説明は割愛するが、この場合にも、液体組成物とインクの着弾が同じ場合には着色部の辺縁においてのインクの滲みの発生が、また、着色部内で双方の着弾位置が同一位置でない場合では、着色部辺縁でのインクの滲みと反応部の光学濃度が高くなることが、本発明における最大の効果の一つであるところの、印字着色部における白スジの低減若しくは消失に、大きく寄与しているものと考えられる。
【0055】
以下、本発明を特徴づける水性インク及び液体組成物について詳細に説明する。先ず、本明細書におけるカチオン性のインク若しくはアニオン性のインクの定義について述べる。インクのイオン特性について言うとき、インク自体は荷電されておらず、それ自体では中性であることは、当該技術分野においてよく知られていることである。ここでいうアニオン性のインク若しくはカチオン性のインクとは、インク中の成分、例えば、色材がアニオン性基若しくはカチオン性基を有する、又は色材の表面をアニオン性基若しくはカチオン性基を有する化合物によって処理されたものであって、インク中において、これらの基がアニオン性基又はカチオン性基として挙動するように調整されているインクを指すものである。また、アニオン性又はカチオン性の液体組成物に関してもその意味は上記と同様である。
【0056】
<液体組成物>
以下に液体組成物について説明する。
(微粒子)
本発明において用いられる微粒子に望まれる作用としては、
1)インクと混合した際に、色材の本来持つ発色性を損なわずに、色材を吸着する、
2)インクと混合した際或いは被記録媒体に付与された際に、分散安定性が低下して、被記録媒体表面に残存する、
こと等が挙げられ、これらの作用を達成できる微粒子が好適に用いられる。尚、これらの作用は、1種若しくは2種以上の微粒子によって達成されても良い。
【0057】
1)の作用を満たすための性質として、例えば、色材と逆のイオン性を呈することが挙げられる。これにより、微粒子は色材を静電的に吸着できる。本発明においては、色材がアニオン性であるのでカチオン性の微粒子を用いる。イオン性以外に色材を吸着する要素としては、微粒子のサイズや重量、表面の形状が挙げられる。例えば、表面に多数の細孔を持つ多孔質微粒子は、特有の吸着特性を示し、細孔の大きさや形状など複数の要素によって色材を吸着できる。
【0058】
2)の作用は、インクや被記録媒体との相互作用によって引き起こされる。このため、各構成により達成されれば良いが、例えば、微粒子の性質として、インク組成成分や被記録媒体構成成分と逆のイオン性を呈することが挙げられる。また、インク中或いは液体組成物中に電解質を共存させることによっても、微粒子の分散安定性は影響を受ける。
【0059】
本発明において、上記1)と2)の作用のどちらか一方の作用が、瞬時に得られることが望ましい。更には、上記1)と2)と両方の作用が、瞬時に得られることが好ましい。以下、夫々のイオン性微粒子を含有する液体組成物に関して、具体的に説明する。
【0060】
[カチオン性液体組成物]
(カチオン性微粒子)
カチオン性微粒子とは、ゼータ電位がプラスの値を示すものである。
微粒子の分散系における表面の性質は、分散質と分散媒との界面に生じる電気二重層によって議論される。実際には、電気泳動異動度などから得られるゼータ電位に置き換えられる。ゼータ電位の値は、界面に存在するOH-イオンの濃度に大きく支配され、従って微粒子の表面の性質は、液体組成物のpHに大きな影響をうける。
【0061】
本発明において、カチオン性微粒子のゼータ電位は、好ましくは+5〜+90mVである。その理由は定かではないが、上記範囲においては、高濃度で高彩度の画像が得られた。より好ましい範囲としては、例えば+10〜+85mVの範囲では、ヘッドスキャンによるスジムラのより一層の低減を達成することができ、更には+15〜+65mVの範囲では、紙種に因らず極めて優れた発色性を有する画像を得ることが可能である。
【0062】
pHはゼータ電位が上記の値となるように調整される。但し、インクジェット記録装置に使われている部材の腐食の原因となる場合があるので、好ましくは2〜11.5のpH範囲とされるのが望ましい。
そのため本発明で使用する液体組成物に用いられる微粒子は、その表面がカチオン性である必要があるが、本質的にカチオン性である微粒子は勿論のこと、本来は静電的にアニオン性或いは中性である微粒子であっても、処理によって表面がカチオン化された微粒子であれば用いることができる。
【0063】
本発明で好適に用いられるカチオン性微粒子は、具体的には、特に材料種に限定はなく、無機系微粒子や有機系微粒子、無機有機複合微粒子等が挙げられる。
例えば、無機系微粒子としては、カチオン化した、シリカ、アルミナ、アルミナ水和物、チタニア、ジルコニア、ボリア、シリカボリア、セリア、マグネシア、シリカマグネシア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、ハイドロタルサイト等が挙げられ、有機系微粒子としては、スチレンアクリルやアクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸エステル共重合体、SBRラテックス等の共役ジエン系共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体等のビニル系共重合体のカチオン性エマルジョンやラテックス、又はメラミンビーズやプラスチックピグメント等のカチオン変性体等が挙げられる。また、無機有機複合微粒子としては、1級2級及び3級アミン塩型の官能基を表面に有する無機微粒子等が挙げられる。
【0064】
また、本発明で使用する上記したようなカチオン性微粒子は、印字後の発色性や色の均一性、保存安定性等の観点から、動的光散乱方式により測定される平均粒子直径が0.005〜1μmの範囲のものが好適に用いられる。この範囲内では、被記録媒体内部への過度の浸透を有効に防ぐことができ、発色性や色の均一性の低下を抑えることができる。また、カチオン性微粒子が液体組成物中で沈降することも抑えられ、液体組成物の保存安定性の低下も有効に防止することができる。より好ましくは、平均粒子直径が0.01〜0.8μmの範囲内のものであり、このような微粒子を用いれば、被記録媒体に印字した後の画像の耐擦過性や記録物の質感が特に好ましいものとなる。
【0065】
本発明で使用する液体組成物中における上記したようなカチオン性微粒子の含有量としては、使用する物質の種類により、最適な範囲を適宜に決定すればよいが、重量基準で0.1〜40重量%の範囲が本発明の目的を達成する上で好適な範囲であり、より好ましくは、1〜30重量%、更には3〜15重量%の範囲が好適である。このような範囲内では、紙種に因らず、優れた発色の画像を安定に得ることができ、また、液体組成物の保存安定性や吐出安定性にも特に優れている。
【0066】
(酸)
酸は、カチオン性微粒子表面をイオン化し、表面電位を高めることにより、液中での微粒子の分散安定性を向上させると共に、インク中のアニオン性化合物の吸着性向上や、液体組成物の粘度調整の役割を果たす。本発明に好適に用いられる酸は、使用するカチオン性微粒子と組み合わせて、所望のpHやゼータ電位、微粒子分散性等の物性が得られるものであれば特に限定はなく、下記に挙げる無機酸や有機酸等から自由に選択して使用することができる。
【0067】
具体的には、無機酸としては、例えば、塩酸、硫酸、亜硫酸、硝酸、亜硝酸、燐酸、硼酸、炭酸等が挙げられ、有機酸としては、例えば、下記に挙げるようなカルボン酸やスルホン酸、アミノ酸等が挙げられる。カルボン酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、フルオロ酢酸、トリメチル酢酸、メトキシ酢酸、メルカプト酢酸、グリコール酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、カブリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、シクロヘキサンカルボン酸、フェニル酢酸、安息香酸、o−トルイル酸、m−トルイル酸、p−トルイル酸、o−クロロ安息香酸、m−クロロ安息香酸、p−クロロ安息香酸、o−ブロモ安息香酸、m−ブロモ安息香酸、p−ブロモ安息香酸、o−ニトロ安息香酸、m−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、酒石酸、マレイン酸、フマル酸、クエン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸、p−ヒドロキシ安息香酸、アントラニル酸、m−アミノ安息香酸、p−アミノ安息香酸、o−メトキシ安息香酸、m−メトキシ安息香酸、p−メトキシ安息香酸等が挙げられる。また、スルホン酸としては、例えば、ベンゼンスルホン酸、メチルベンゼンスルホン酸、エチルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、2,4,6−トリメチルベンゼンスルホン酸、2,4−ジメチルベンゼンスルホン酸、5−スルホサリチル酸、1−スルホナフタレン、2−スルホナフタレン、ヘキサンスルホン酸、オクタンスルホン酸、ドデカンスルホン酸等が挙げられる。また、アミノ酸としては、グリシン、アラニン、バリン、α−アミノ酪酸、γ−アミノ酪酸、β−アラニン、タウリン、セリン、ε−アミノ−n−カプロン酸、ロイシン、ノルロイシン、フェニルアラニン等が挙げられる。
【0068】
そして、本発明で使用する液体組成物においては、これらを一種又は二種以上混合して使用することができる。これらの中でも、酸の水中での一次解離定数pkaが5以下の酸は、カチオン性微粒子の分散安定性やアニオン性化合物の吸着性に特に優れるため、好適に用いることができる。具体的には、塩酸、硝酸、硫酸、燐酸、酢酸、ギ酸、シュウ酸、乳酸、クエン酸、マレイン酸、マロン酸等が挙げられる。
【0069】
(他の構成成分)
次に、カチオン性の液体組成物を構成するその他の成分について具体的に説明する。本発明で使用するカチオン性の液体組成物は、更に、水溶性有機溶剤及びその他の添加剤を含んでいてもよい。この際に使用する水溶性有機溶剤としては、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類、アセトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール等のアルキレングリコール類、エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール等の1価アルコール類の他、グリセリン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−イミダゾリジノン、トリエタノールアミン、スルホラン、ジメチルサルホキサイド等が挙げられる。上記水溶性有機溶剤の含有量については特に制限はないが、例えば、液体組成物全重量の5〜60重量%、更には、5〜40重量%が好適な範囲である。
【0070】
また、本発明で使用する液体組成物には、更にこの他、必要に応じて、粘度調整剤、pH調整剤、防腐剤、各種界面活性剤、酸化防止剤及び蒸発促進剤、水溶性カチオン性化合物やバインダー樹脂等の添加剤を適宜に配合しても構わない。界面活性剤の選択は、液体組成物の被記録媒体への浸透性を調整する上で特に重要である。水溶性カチオン性化合物は、液体組成物のカチオン性の更なる付与等を目的に、本発明の作用効果を阻害しない範囲において自由に選択し、添加できる。
【0071】
水溶性カチオン性化合物としては、具体的には、例えば、ポリアリルアミン、ポリアミンスルホン、ポリビニルアミン、キトサン、及び、これらの塩酸或いは酢酸等の酸による中和物又は部分中和物、高分子のノニオン性化合物の一部をカチオン化した化合物、例えば、ビニルピロリドンとアミノアルキルアルキレート4級塩との共重合体、アクリルアマイドとアミノメチルアクリルアマイド4級塩との共重合体等、その他1級、2級及び3級アミン塩型の化合物やアミノ酸型両性化合物等から一、種若しくは二種以上選択して使用することができる。更にバインダー樹脂は、カチオン性微粒子の更なる耐擦過性の向上等の目的で、被記録媒体の質感や液体組成物の保存安定性や吐出安定性を損ねない範囲において併用することができ、例えば、水溶性ポリマーやエマルジョン、ラテックス等から自由に選択し、使用することができる。
【0072】
(液体組成物の表面張力)
本発明で使用する液体組成物は、無色或いは白色であることがより好ましいが、被記録媒体の色に合わせて調色してもよい。更に、以上のような液体組成物の各種物性の好適な範囲としては、表面張力を10〜60mN/m(dyn/cm)、より好ましくは10〜40mN/m(dyn/cm)とし、粘度を1〜30cPとしたものである。
【0082】
<インク>
次に、本発明のインクセットを構成するインクについて説明する。ここで言うインクセットとは、本発明の液体組成物と反応性を有する物質を含有する少なくとも一種類以上のインクの組み合わせをいう。また、このインクセットから本発明の液体組成物を除いた少なくとも一種類以上のインクの組み合わせをインクサブセットという。本発明で使用されるインクは、色材として水溶性染料や水不溶性染料、顔料などがもちいられるが、この色材が液体組成物中の微粒子と反応性を有することが望ましい。これにより高彩度の画像が得られると考えられる。
更に、本発明で使用されるインクは、色材としてイオン性基を含有する水溶性染料を用いるか、又は色材として水不溶性染料や顔料を用いる場合には、イオン性化合物を併用させたものを用いるのが好ましい。これにより、高彩度で高濃度の画像が得られると考えられる。本発明で使用される上記の様なインクには、更にこれに、水、水溶性有機溶剤及びその他の成分、例えば、粘度調整剤、pH調整剤、防腐剤、界面活性剤、酸化防止剤等が必要に応じて含まれる。
【0083】
[アニオン性インク]
次に、上記で説明したカチオン性の液体組成物と組み合わせて本発明のインクセットを構成する水性のアニオン性インクについて説明する。ここで言うインクセットとは、本発明で使用する液体組成物と、アニオン性物質を含有する少なくとも一種類以上のアニオン性インクとの組み合わせをいう。また、このインクセットから本発明で使用する液体組成物を除いた少なくとも一種類以上のインクの組み合わせをインクサブセットと呼ぶ。本発明で使用するアニオン性インクは、色材としてアニオン性基を含有する水溶性染料を用いるか、或いは色材として水不溶性染料や顔料を用いる場合には、アニオン性化合物を併用させたものを用いることが好ましい。本発明で使用される上記のようなアニオン性インクには、更にこれに、水、水溶性有機溶剤及びその他の成分、例えば、粘度調整剤、pH調整剤、防腐剤、界面活性剤、酸化防止剤等が必要に応じて含まれて構成される。以下、これらのインクの各構成成分について説明する。
【0084】
(水溶性染料)
本発明で使用するアニオン性基を有する水溶性染料としては、例えば、カラーインデックス(Color Index)に記載されている水溶性の酸性染料、直接染料、反応性染料であれば特に限定されない。また、カラーインデックスに記載のないものでも、アニオン性基、例えば、スルホン基、カルボキシル基等を有するものであれば特に限定されない。ここで言う水溶性染料の中には、溶解度のpH依存性があるものも含まれる。
【0085】
(顔料)
水性のアニオン性インクの別の形態としては、上記のようなアニオン性基を有する水溶性染料の代わりに、顔料及びアニオン性化合物を用い、水、水溶性有機溶剤、及びその他の成分、例えば、粘度調整剤、pH調整剤、防腐剤、界面活性剤、酸化防止剤等を必要に応じて含むインクであってもよい。ここで、アニオン性化合物が顔料の分散剤であってもよいし、顔料の分散剤がアニオン性でない場合に、分散剤とは別のアニオン性化合物を添加したものでもよい。勿論、分散剤がアニオン性化合物である場合でも、更に他のアニオン性化合物を添加したものでもよい。
【0086】
本発明で使用することができる顔料に特に限定はないが、例えば、以下に説明する顔料が好適に使用できる。
先ず、ブラック顔料インクに使用されるカーボンブラックとしては、ファーネス法、チャネル法で製造されたカーボンブラックで、一次粒径が、15〜40ミリミクロン、BET法による比表面積が、50〜300平方メートル/g、DBP吸油量が、40〜150ml/100g、揮発分が0.5〜10%、pH値が2〜9を有するものが好ましい。このようなものとしては、例えば、No.2300、No.900、MCF88、No.40、No.52、MA7、MA8、No.2200B(以上、三菱化成製)、RAVEN1255(コロンビア製)、REGAL400R、REGAL660R、MOGUL L(以上、キヤボット製)、Color Black FW1、Color Black FW18、Color Black S170、Color Black S150、Printex 35、Printex U(以上、デグッサ製)等の市販品を使用することができる。また、本発明のために新たに試作されたものでもよい。
【0087】
イエローインクに使用される顔料としては、例えば、C.I.Pigment Yellow 1、C.I.Pigment Yellow 2、C.I.Pigment Yellow 3、C.I.Pigment Yellow 13、C.I.Pigment Yellow 16、C.I.Pigment Yellow 83等が挙げられる。
マゼンタインクとして使用される顔料としては、例えば、C.I.Pigment Red 5、C.I.Pigment Red 7、C.I.Pigment Red 12、C.I.Pigment Red 48(Ca)、C.I.Pigment Red 48(Mn)、C.I.Pigment Red57(Ca)、C.I.Pigment Red112、C.I.Pigment Red 122等が挙げられる。
【0088】
シアンインクとして使用される顔料としては、例えば、C.I.Pigment Blue 1、C.I.Pigment Blue 2、C.I.Pigment Blue 3、C.I.Pigment Blue 15、3、C.I.Pigment Blue 16、C.I.Pigment Blue 22、C.I.Vat Blue 4、C.I.Vat Blue 6等が挙げられる。
また、いずれの色の色材に関しても、本発明のために新たに製造されたものでも使用可能である。
【0089】
(顔料分散剤)
本発明で使用するインクに用いることができる顔料の分散剤としては、アニオン性基の存在によって、顔料を水、若しくは水性媒体に安定に分散させる機能を有する水溶性樹脂ならどんなものでも使用可能である。特に、重量平均分子量が1,000〜30,000の範囲のものが好ましい。更に、好ましくは、3,000〜15,000の範囲である。具体的には、例えば、スチレン、スチレン誘導体、ビニルナフタレン、ビニルナフタレン誘導体、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸の脂肪族アルコールエステル等の疎水性単量体、又は、アクリル酸、アクリル酸誘導体、マレイン酸、マレイン酸誘導体、イタコン酸、イタコン酸誘導体、フマル酸、フマル酸誘導体から選ばれる二つ以上の単量体からなるブロック共重合体、グラフト共重合体、或いは、ランダム共重合体、また、これらの塩等が挙げられる。これらの樹脂は、塩基を溶解させた水溶液に可溶なアルカリ可溶型の樹脂である。
【0090】
更に、親水性単量体からなるホモポリマー又はそれらの塩でもよい。また、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物等の水溶性樹脂も使用することが可能である。しかし、アルカリ可溶型の樹脂を用いた場合の方が、分散液の低粘度化が可能で、分散も容易であるという利点がある。前記、水溶性樹脂は、インク全量に対して、0.1〜5重量%の範囲で使用されることが好ましい。
【0091】
本発明で使用し得る顔料インクは、以上のごとき顔料及び水溶性樹脂を水溶性媒体中に分散又は溶解して構成される。本発明に用い得る顔料系インクにおいて好適な水性媒体としては、水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒であり、水としては種々のイオンを含有する一般の水ではなく、イオン交換水(脱イオン水)を使用するのが好ましい。
【0092】
分散剤が、アニオン性高分子ではない場合、上述した顔料を含むインクに更に、アニオン性化合物を添加することが好ましい。本発明で好適に使用されるアニオン性化合物としては、顔料分散剤の項で説明したアルカリ可溶性樹脂等の高分子物質の他、下記に挙げるような低分子アニオン性界面活性剤を挙げることができる。
【0093】
低分子アニオン性界面活性剤の具体的なものとしては、例えば、スルホコハク酸ラウリル二ナトリウム、スルホコハク酸ポリオキシエチレンラウロイルエタノールアミドエステル二ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸二ナトリウム、カルボキシル化ポリオキシエチレンラウリルエーテルナトリウム塩、カルボキシル化ポリオキシエチレンラウリルエーテルナトリウム塩、カルボキシル化ポリオキシエチレントリデシルエーテルナトリウム塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、アルキル硫酸ナトリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミン等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
以上のようなアニオン性物質の好適な使用量としては、インク全量に対して、0.05〜10重量%の範囲であり、更に好適には、0.05〜5重量%である。
【0094】
(自己分散型顔料)
また、アニオン性のインクに用いることのできる顔料としては、分散剤を用いることなしに、水若しくは水性媒体に分散させることのできる自己分散型の顔料も使用できる。自己分散型の顔料は、顔料表面に少なくとも1種のアニオン性親水性基が直接若しくは他の原子団を介して結合されているものである。アニオン性の親水性基としては、例えば、下記に挙げた親水性基の中から選択される少なくとも1種であるもの、更に、他の原子団が、炭素原子数1〜12のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基又は置換基を有してもよいナフチル基であるものが挙げられる。
Figure 0003689634
【0095】
このようにカーボンブラック表面への親水性基の導入によってアニオン性に帯電させたカーボンブラックは、イオンの反発によって優れた水分散性を有するため、水性インク中に含有させた場合にも分散剤等を添加しなくても安定した分散状態を維持する。
【0096】
(インク中添加成分)
また、上記の成分の他に、必要に応じて所望の物性値を持つインクとするために、界面活性剤、消泡剤、防腐剤等を添加することができ、更に、市販の水溶性染料等を添加することもできる。
【0097】
界面活性剤としては、脂肪酸塩類、高級アルコール硫酸エステル塩類、液体脂肪油硫酸エステル塩類、アルキルアリルスルホン酸塩類等の陰イオン界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル類、アセチレンアルコール、アセチレングリコール等の非イオン性界面活性剤があり、これらの1種又は2種以上を適宜選択して使用できる。その使用量は、分散剤の添加量により異なるが、インク全量に対して、0.01〜5重量%が望ましい。この際、インクの表面張力は30mN/m(dyn/cm)以上になるように活性剤の添加する量を決定することが好ましい。なぜなら、本発明で使用するインクジェット記録方式においては、ノズル先端のぬれによる印字ヨレ(インク滴の着弾点のズレ)等の発生を有効に抑えることができるからである。
【0098】
以上で説明したような顔料系インクの作成方法としては、はじめに、分散樹脂、水を少なくとも含有する水溶液に、顔料を添加して攪拌した後、後述の分散手段を用いて分散処理を行い、必要に応じて遠心分離処理を行って、所望の分散液を得る。次に、この分散液に上記に掲げたような成分を更に加えて攪拌して、インクとすればよい。
【0099】
また、アルカリ可溶型の樹脂を使用する場合には、樹脂を溶解させるために塩基を添加することを要する。この際、樹脂を溶解させるためのアミン或いは塩基の量は、樹脂の酸価から計算によって求められるアミン或いは塩基量の1倍以上を添加することが必要である。アミン或いは塩基の量は、以下の式によって計算で求められる。
【数1】
Figure 0003689634
【0100】
更に、顔料を含む水溶液を分散処理する前にプレミキシングを30分間以上行うと、分散効率がよくなる。このプレミキシング操作は、顔料表面の濡れ性を改善し、顔料表面への分散剤の吸着を促進するものである。
【0101】
アルカリ可溶型樹脂を使用した場合の分散液に添加される塩基類としては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アミンメチルプロパノール、アンモニア等の有機アミン、或いは水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の無機塩基を用いることが好ましい。
【0102】
一方、顔料インクの調製に使用する分散機は、一般に使用される分散機ならいかなるものでもよいが、例えば、ボールミル、サンドミル等が挙げられる。その中でも、高速型のサンドミルが好ましく、例えば、スーパーミル、サンドグラインダー、ビーズミル、アジテータミル、グレンミル、ダイノールミル、パールミル、コボルミル(いずれも商品名)等が挙げられる。
【0103】
尚、本発明で使用するインクは、上記成分の他に必要に応じて、水溶性有機溶剤、界面活性剤、pH調製剤、防錆剤、防カビ剤、酸化防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤及び水溶性ポリマー等の添加剤を添加してもよい。
【0104】
本発明で用いることのできる上記色材を溶解又は分散する液媒体は、水と水溶性有機溶剤との混合物であることが好ましい。具体的な水溶性有機溶剤としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等の炭素数1〜4のアルキルアルコール類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類、アセトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジアキサン等のエーテル類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングコリコール等のポリアルキレングリコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−へキサントリオール、チオジグリコール、へキシレングリコール、ジエチレングリコール等のアルキレン基が2〜6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類、グリセリン、エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、スルホラン、ジメチルサルフォオキサイド、2−ピロリドン、ε−カプロラクタム等の環状アミド化合物及びスクシンイミド等のイミド化合物等が挙げられる。
【0105】
上記水溶性有機溶剤の含有量は、一般には、インクの全重量に対して重量%で1%〜40%が好ましく、より好ましくは3%〜30%の範囲である。また、インク中の水の含有量は、30〜95重量%の範囲で使用される。30重量%より少ないと、色材の溶解性等が悪くなり、インクの粘度も高くなるため好ましくない。一方、95%より多いと蒸発成分が多くなり過ぎて、十分な固着特性を満足させることができない。
【0106】
本発明で使用するアニオン性インクは、一般の水溶性筆記用具としても使用できるが、熱エネルギーによるインクの発泡現象によりインクを吐出させるタイプのインクジェット記録方法に適用する場合に特に好適であり、吐出が極めて安定となり、サテライトドットの発生等が生じないという特徴がある。但し、この場合には、熱的な物性値(例えば、比熱、熱膨張係数、熱伝導率)を調整する場合もある。
【0120】
<水性インクの濃度>
上記したアニオン性のインク中に含まれる色材成分の重量濃度は、水性染料、顔料や自己分散型顔料などの色材の種類に応じて適宜選択されるが、インクの重量に対し、0.1〜20重量%、特には0.1〜12重量%の範囲が好ましい。
また、色材成分の重量濃度が0.3〜7重量%の範囲では、液体組成物中の微粒子の濃度とインク中の色材の濃度との関係に関して、重量基準で、該微粒子1に対して色材が1.2以下、特には1.0以下とした場合、通常の2液系の記録条件の下で形成される画像の発色性は特に優れたものとなる。
【0121】
<インクジェット画像形成方法>
次に、本発明のインクジェット画像形成方法について具体的に説明する。本発明のインクジェット画像形成方法は、アニオン性の色材を含むインクと、該色材と逆極性の微粒子を含む液体組成物とを被記録媒体上で液−液反応させる工程を含み、被記録媒体繊維表面近傍の微粒子が、被記録媒体の繊維表面に物理的に吸着或いは化学的に結合する工程と、上記インクと液体組成物との界面において、色材がインク中での分子状態を保持したまま上記微粒子表面に吸着又は結合する工程と、上記色材が、液体組成物中に分散して、該色材がインク中での分子状態を保持したまま上記微粒子表面に吸着又は結合する工程と、上記色材が、上記微粒子表面に吸着したことに起因して、微粒子の分散状態が不安定となり、微粒子同士の凝集を引き起こす工程と、上記色材を表面に吸着又は結合した微粒子が、被記録媒体表面に定着する工程とを有することを特徴とする。
【0122】
かかる本発明のインクジェット画像形成方法の実現は、上記で説明した、色材を含むアニオン性の水性インク、及び、該インクとは逆の極性の微粒子が分散状態で含まれているような液体組成物を用いることによって可能となる。以下、これらの液体組成物及び水性インクを被記録媒体上に付与する方法について説明する。
【0123】
本発明のインクジェット画像形成方法は、上記で説明したような液体組成物を被記録媒体上に付与する工程(ii)と、色材を含むアニオン性の水性インクを被記録媒体に付与する工程(i)を含むが、その際に、被記録媒体の画像形成領域、又は画像形成領域とその近傍に液体組成物を付与して、水性インクと液体組成物とが互いに液体状態で接するように付与する。ここでいう画像形成領域とは、インクのドットが付着する領域のことであり、画像形成領域の近傍とは、インクのドットが付着する領域の外側の1〜5ドット程度離れた領域のことを指す。
【0124】
本発明のインクジェット画像形成方法では、前記した本発明で使用する液体組成物と水性インクとが被記録媒体上で液−液体状態で接するようになれば、これらを何れの方法で付与させてもよい。従って、液体組成物とインクの何れを先に被記録媒体上に付与するかは問題ではない。例えば、工程(ii)を行なった後に工程(i)を行なってもよいし、工程(i)を行なった後に工程(ii)を行なてもよい。また、工程(i)を行なった後に、工程(ii)を行ない、その後に再び工程(i)を行なうことも好ましい。また、液体組成物を被記録媒体に先に付与させた場合に、液体組成物を被記録媒体に付与してから、インクを被記録媒体上に付与させるまでの時間については特に制限されるものではないが、互いに液体状態で接するようにするためには、ほぼ同時、或いは数秒以内にインクを被記録媒体上に付与させることが好ましい。
【0125】
(被記録媒体)
上記した本発明のインクジェット画像形成方法に使用される被記録媒体としては、特に限定されるものではなく、従来から使用されている、コピー用紙、ボンド紙等のいわゆる普通紙が好適に使用される。勿論、インクジェット記録用に特別に作製されたコート紙やOHP用透明フィルムも好適に使用される。更に、一般の上質紙や光沢紙にも好適に使用することができる。
【0126】
(液体組成物の付与方法)
液体組成物を被記録媒体上に付与せしめる方法としては、例えば、スプレーやローラー等によって被記録媒体の全面に付与せしめる方法も考えられるが、本発明においては、インクが付与する画像形成領域、或いは画像形成領域とその画像形成領域の近傍にのみに選択的且つ均一に液体組成物を付与せしめることのできるインクジェット方式により行う。また、この際には、種々のインクジェット記録方式を用いることができるが、特に好ましいのは、熱エネルギーによって発生した気泡を用いて液滴を吐出する方式である。
【0127】
<インクジェット記録装置>
次いで、本発明のインクジェット記録装置について説明する。本発明のインクジェット記録装置は、色材を含む、アニオン性の水性インクを収容したインク収容部と、該インクを吐出させるインクジェットヘッドを備えた第1の記録ユニットと、該水性インクとは逆の極性に表面が帯電している微粒子が分散状態で含まれている液体組成物を収容した液体組成物収容部と、該液体組成物を吐出させるインクジェットヘッドを備えた第2の記録ユニットとを備えていることを特徴とする。また、別の形態のインクジェット記録装置としては、色材を含む、アニオン性の水性インクを収容したインク収容部と、該水性インクとは逆の極性に表面が帯電している微粒子が分散状態で含まれている液体組成物を収容した液体組成物収容部と、上記インク収容部に収容されている水性インクと上記液体組成物収容部に収容されている液体組成物とを各々独立に吐出させるためのインクジェットヘッドとを備えていることを特徴とする。以下、これらについて説明する。
【0128】
本発明のインクジェット記録装置は、記録ヘッドの記録インクに記録信号を与え、発生した熱エネルギーにより液滴を吐出する方式のものが特に好ましい。その装置の主要部である記録ヘッドの構成を図1、図2、図3に示した。尚、図1は、インク流路に沿ったヘッド13の断面図であり、図2は、図1のA−B線での断面図である。
【0129】
記録ヘッド13は、インクを通す溝14を有するガラス、セラミック、又はプラスチック板等と、感熱記録に用いられる発熱抵抗体を有する発熱ヘッド15(図では薄膜ヘッドが示されているが、これに限定されるものではない)とを接着して得られる。発熱ヘッド15は、酸化シリコン等で形成される保護膜16、アルミニウム電極17−1及び17−2、ニクロム等で形成される発熱抵抗体層18、蓄熱層19、アルミナ等の放熱性のよい基板20よりなっている。
【0130】
記録インク21は、吐出オリフィス22まで来ており、圧力Pによりメニスカス23を形成している。ここで、アルミニウム電極17−1及び17−2に電気信号が加わると、発熱ヘッド15のnで示される領域が急激に発熱し、ここに接しているインク21に気泡が発生し、その圧力でメニスカス23が突出し、吐出オリフィス22よりインク小滴24となり、被記録材25に向かって飛翔する。図3は、図1に示したノズルを多数並べた記録ヘッドの概略図を示す。該記録ヘッドは多数の流路を有するガラス板等27と図1において説明したものと同様の発熱ヘッド28を密着して作られる。
【0131】
図4に、上記で説明したヘッドを組み込んだインクジェット記録装置の一例を示した。図4において、61はワイピング部材としてのブレードで、その一端はブレード保持部材によって保持されて固定端となり、カレンチレバーの形態をなす。ブレード61は記録ヘッド65による記録領域に隣接した位置に配置され、また、本例の場合、記録ヘッド65の移動経路中に突出した形態で保持される。62は、記録ヘッド65の吐出口面のキャップであり、ブレード61に隣接するホームポジションに配設され、記録ヘッド65の移動方向と垂直な方向に移動して、インク吐出口面と当接し、キャッピングを行う構成を備える。更に63はブレード61に隣接して設けられるインク吸収体であり、ブレード61と同様、記録ヘッド65の移動経路中に突出した形態で保持される。前記ブレード61、キャップ62及びインク吸収体63によって吐出回復部64が構成され、ブレード61及びインク吸収体63によってインク吐出口面に水分、塵等の除去が行われる。
【0132】
65は吐出エネルギー発生手段を有し、吐出口を配した吐出口面に対向する被記録材にインクを吐出して記録を行う記録ヘッド、66は記録ヘッド65を搭載してその移動を行う為のキャリッジである。キャリッジ66はガイド軸67と慴動可能に係合し、キャリッジ66の一部はモーター68によって駆動されるベルト69と接続(図示せず)している。これによりキャリッジ66はガイド軸67に沿った移動が可能となり、記録ヘッド65による記録領域及びその隣接した領域の移動が可能となる。
【0133】
51は被記録材を挿入するための給紙部、52はモーター(図示せず)により駆動される送りローラーである。これらの構成によって記録ヘッド65の吐出口面と対向する位置へ被記録材が給送され、記録が進行するにつれて、排紙ローラー53を配した排出部へ排出される。
【0134】
上記構成において記録ヘッド65が記録終了等でホームポジションに戻る際、吐出回復部64のキャップ62は記録ヘッド65の移動経路から退避しているが、ブレード61は移動経路中に突出している。この結果、記録ヘッド65の吐出口面がワイピングされる。尚、キャップ62が記録ヘッド65の吐出口面に当接してキャッピングを行う場合、キャップ62は記録ヘッドの移動経路中に突出するように移動する。
【0135】
記録ヘッド65がホームポジションから記録開始位置へ移動する場合、キャップ62及びブレード61は前記したワイピング時の位置と同一の位置にある。この結果、この移動においても記録ヘッド65の吐出口面はワイピングされる。前記の記録ヘッド65のホームポジションへの移動は、記録終了時や吐出回復時ばかりではなく、記録ヘッド65が記録のために記録領域を移動する間に所定の間隔で記録領域に隣接したホームポジションへ移動し、この移動に伴って上記ワイピングが行われる。
【0136】
図5は、ヘッドにインク供給部材、例えばチューブを介して供給されるインクを収容したインクカートリッジ45の一例を示す図である。ここで40は供給用インクを収容したインク収容部、例えば、インク袋であり、その先端にはゴム製の栓42が設けられている。この栓42に針(図示せず)を挿入することにより、インク袋40中のインクをヘッドに供給可能ならしめる。44は廃インクを受容するインク吸収体である。インク収容部としては、インクとの接液面がポリオレフィン、特にポリエチレンで形成されているものが好ましい。また、本発明にかかるカートリッジの他の形態として、本発明にかかるインクセットを構成するインクと液体組成物とが各々個別に収容した2つの収容部を有し、該インク及び該液体組成物を吐出させるためのヘッドに対して着脱可能に構成され、且つ、インク及び液体組成物が該記録ヘッドに供給可能に構成されているカートリッジを挙げることができる。
【0137】
図15は、そのようなカートリッジ1501の一例を示すものであるが、図中の1503は、インクが収容されているインク収容部、1505は、液体組成物が収容されている液体組成物収容部である。該カートリッジは、図16に示すように、インク及び液体組成物の各々を吐出せしめる記録ヘッド1601に着脱可能に構成されてなると共に、カートリッジ1501を記録ヘッド1601に装着した状態では、液体組成物及びインク及びが、記録ヘッド1601に供給されるように構成されているものである。
【0138】
本発明で使用されるインクジェット記録装置としては、前記の如きヘッドとインクカートリッジとが別体となったものに限らず、図6に示す如きそれらが一体となったものも好適に用いられる。
【0139】
図6において、70は記録ユニットであって、この中にインクを収容したインク収容部、例えば、インク吸収体が収納されており、かかるインク吸収体中のインクが複数のオリフィスを有するヘッド部71からインク滴として吐出される構成になっている。インク吸収体の材料としては、例えば、ポリウレタンを用いることができる。72は、記録ユニット内部を大気に連通させるための大気連通口である。この記録ユニット70は、図4で示す記録ヘッドに代えて用いられるものであって、キャリッジ66に対し着脱自在になっている。
【0140】
更に、本発明で使用する記録ユニットの他の実施形態として、インクと液体組成物とを、1個のインクタンク内の各々の収納部に収納し、且つ、インク及び液体組成物の各々を吐出させる為の記録ヘッドを一体的に備えた記録ユニット、具体的には、例えば、図17に示すように、液体組成物を収容部1701Lに、該ブラックインクを収容部1701Bkに、また、イエロー、シアン及びマゼンタのカラーインクを各々カラーインク収納部1701Y、1701M及び1701Cに収納し、更に、各々のインクを各々個別に吐出させることができるように、インク流路を分けて構成した記録ヘッド1703を備えているような記録ユニット1701挙げられる。
【0141】
尚、本発明に使用する記録装置において、上記ではインク及び液体組成物に熱エネルギーを作用させてインク液滴を吐出するインクジェット記録装置を例に挙げたが、その他、圧電素子を使用するピエゾ方式のインクジェット記録装置でも同様に利用できる。
【0142】
さて、本発明のインクジェット画像形成方法を実施する場合には、例えば、前記図3に示した記録ヘッドを5つキャリッジ上に並べた記録装置を使用する。図7は、その一例である。81、82、83、84は、夫々、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック各色の記録インクを吐出するための記録ヘッドである。また、85は、本発明で使用する液体組成物を吐出させるためのヘッドである。該ヘッドは前記した記録装置に配置され、記録信号に応じて、各色の記録インクを吐出する。また、本発明で使用する液体組成物は、各色の記録インクを吐出に先立ち、例えば、少なくとも各色の記録インクが記録紙に付着する部分に予め付着させておく。図7では記録ヘッドを5つ使用した例を示したが、これに限定されるものではなく、図8に示したように、1つの記録ヘッドで液流路をイエロー801Y、マゼンタ801M、シアン801C、ブラック801Bk及び無色の液体組成物801S毎に分けて行うのも好ましい。勿論、液体組成物とインクの記録順が上記した順序とは逆になるようなヘッドの配置をとってもよい。
【0143】
図18は、本発明にかかるインクジェットプリント装置の他の実施形態の概略構成を示す模式的斜視図である。
図18において、1804はキャリッジ1803の主走査方向に延在し該キャリッジを摺動自在に支持する走査レール、1805はキャリッジ1803を往復動させるための駆動力を伝達する駆動ベルトである。また、1806、1807及び1808、1809は、それぞれ、プリントヘッドによるプリント位置の前後に配置されて被プリント材1810の挟持搬送を行うための搬送ローラ対である。紙などの被プリント材1810は、プリント位置の部分で、プリント面を平坦に規制するためのプラテン(不図示)に圧接状態で案内支持されている。この時、キャリッジ3に搭載された各ヘッドカートリッジ(ヘッド)1801、1802の吐出口形成面は、該キャリッジ1803から下方へ突出して被記録媒体搬送用ローラ1807、1809間に位置し、プラテン(不図示)の案内面に圧接された被記録媒体1810に平行に対向するようになっている。
【0144】
図18において、キャリッジ1803上には合計6個のヘッドカートリッジが位置決め搭載されており、本実施例では、キャリッジ1803上の図示左端から右側へ向けて、イエローのプリントヘッド1801Y、マゼンタのプリントヘッド1801M、シアンのプリントヘッド1801C、ブラックのプリントヘッド1801B、液体組成物吐出ヘッド1802、第2のブラックのプリントヘッド1801BBの順に配置されている。液体組成物吐出ヘッド1802はインク中の色材と反応性を有する液体組成物を被記録媒体1810へ吐出するものである。また、右端の第2のブラックのプリントヘッド1801BBは、往復プリントでの副走査プリント時などに使用されるブラックインクを用いるプリントヘッドである。つまり、前述の各実施例におけるブラックプリントヘッド1801Bの次に(右隣に)液体組成物吐出ヘッド1802を配置し、更にその次に(右端)に前記ブラックのプリントヘッド1801BBを配置する構成が採られている。
【0145】
図18において、プリント領域の左側には回復ユニット1811が配設され、該回復ユニット1811においては、前記ヘッドカートリッジ1、2の配置に対応して、左から右へ、プリントヘッド1801Y、1801M、1801C、1801Bをキャッピングするキャップ1812が順次配置され、その次に(右隣に)液体組成物吐出ヘッド1802をキャッピングするキャップ1813が配置され、更にその右隣(右端)には第2のブラックプリントヘッド1801BBをキャッピングするキャップ1812が配置されている。そして各々のキャップは、は上下方向に昇降可能に設けられており、キャリッジ1803がホームポジションにあるといには、各ヘッド1801、1802の吐出口形成面に対して対応するキャップ1812、1813が各々圧接されることにより、各ヘッド1801、1802の吐出口が密封(キャっピング)され、これにより吐出口内のインク溶剤の蒸発によるインクの増粘、固着が防止され、吐出不良の発生が防止されている。
【0146】
また、回復ユニット1811は、各キャップ1801、1802に連通した吸引ポンプ1814とキャップ1813に連通した吸引ポンプ1815を備えている。これらのポンプ1814、1815はプリントヘッド1801や液体組成物吐出ヘッド1802に吐出不良が生じた場合に、それらの吐出口形成面をキャップ1812、1813でキャッピングして吸引回復処理を実行するのに使用される。更に左端から5番目の液体組成物用のキャップ1813と6番目(右端)のブラックインク用のキャップ1812との間に液体組成物吐出ヘッド1802用のブレード1817が配置され、右端のキャップ1812の右側(プリント領域側)に各プリントヘッド1801用のブレード1816が配置されている。
【0147】
そしてブレード1817はブレードホルダー1819によって保持され,ブレード1816はブレードホルダー1818によって保持されている。この形態においては、ブレードホルダー1818、1819は、各々キャリッジ1803の移動を利用して駆動されるブレード昇降機構(不図示)による昇降され、それによってブレード1816、1817は、ヘッド1801、1802の吐出口形成面に付着したインクや異物をワイピングすべく突出した位置(ワイピング位置)と吐出口形成面に接触しない後退した位置(待機位置)との間で昇降する。この場合、プリントヘッド1801をワイピングするブレード1816と液体組成物吐出ヘッド1802をワイピングするブレード1817は、互いに独立して個別に昇降できるように構成されている。
【0148】
図19は図18のインクジェットプリント装置のワイピング動作を示す模式図である。図18において、(A)に示すように、プリントヘッド用のブレード1816が突出(上昇)した後、キャリッジ1803に搭載された各ヘッドが右側(プリント領域側)からホームポジションに向かって移動してくる。上昇したプリントヘッド用のブレード1816は、(B)に示すように、キャリッジ1803の左向き移動に伴いプリントヘッド1801を順次ワイピングしていく。そして、(C)に示すように、液体組成物吐出ヘッド1802がプリントヘッド用のブレード1816の手前(右隣)にきた時点で該ブレード1816が待機位置まで後退(下降)し、該ブレード1816と液体組成物吐出ヘッド1802との接触が防止される。
【0149】
更にキャリッジ1803が左向きに移動して液体組成物吐出ヘッド1802がプリントヘッド用ブレード1806を通過した時点で、(D)に示すように、プリントヘッド用ブレード1806及び液体組成物吐出ヘッド用ブレード1817の両方を突出(上昇)させる。そして、キャリッジ1803の左向き移動に伴って、(E)に示すように、ブレード1817による液体組成物吐出ヘッド1802のワイピングとブレード1816による右端のプリントヘッド1801BBのワイピングを同時に行う。全てのヘッド1801、1802のワイピングが終了した後、(F)に示すように、両方のブレード1816、1817を後退(下降)させ、待機位置で待機させる。
【0150】
図18及び図19の実施例では、キャリッジ1803がプリント領域側(右側)から回復ユニット1811のあるホームポジション側へ移動するときにブレード1816、1817によるワイピングを行うようにしたが、ワイピング方向はこれに限定されるものではなく、ホームポジション側から右側(プリント領域側)へ移動する際にワイピングするようにしてもよい。
図18のインクジェットプリント装置は、液体組成物吐出ヘッド1802からインク中の色材と反応性を有するような、本発明にかかる液体組成物を被プリント材1810に吐出し、各プリントヘッド1801から吐出されたインクと被記録媒体1810上で接触させて記録物を形成可能な様に構成されている。被記録媒体1810上ではインク中の色材が液体組成物と反応することによって、インク中の色材が単分子状態で微粒子表面に吸着し、その微粒子によって画像の形成がなされる為、発色性や色の均一性に優れた画像が得られる。
【0151】
【実施例】
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。尚、文中、部及び%とあるのは特に断りのない限り重量基準である。
また、文中のゼータ電位は、微粒子の固形分濃度が0.1%になるよう液体組成物をイオン交換水で分散させた後に、ゼータ電位測定機(ブルックヘブン社製、BI−ZETA plus、液温20℃、アクリルセル使用)で測定した値である。pHは、作成した液体組成物に対し、液温25℃でpHメーター計(堀場製作所(株)製、カスタニーpHメーターD−14)を用いて測定した。微粒子の平均粒子直径は、微粒子の固形分濃度を0.1%になるよう液体組成物をイオン交換水で分散させた後に、動的光散乱法粒度分布計(ブルックヘブン社製、BI−90、液温20℃、アクリルセル使用)を用いて測定した。
【0152】
先ず、本発明で使用する液体組成物の作製について説明する。
以下に示す各成分を混合溶解した後、ポアサイズが1μmのメンブレンフィルター(商品名、フロロポアフィルター、住友電工(株)製〉にて加圧濾過し、本発明の液体組成物A、B、C及びEを得た。
<液体組成物Aの組成>
Figure 0003689634
【0153】
ここで、上記で用いたアルミナ水和物は、下記合成方法により得た。
(アルミナ水和物の合成例)
米国特許明細書第4242271号に記載の方法でアルミニウムドデキシドを製造した。次に、米国特許明細書第4202870号に記載された方法で、前記アルミニウムドデキシドを加水分解してアルミナスラリーを製造した。このアルミナスラリーをアルミナ水和物の固形分が7.9重量%になるまで水を加えた。アルミナスラリーのpHは9.3であった。3.9%の硝酸溶液を加えてpHを調整し、コロイダルゾルを得た。このコロイダルゾルを83℃でスプレードライすることによってアルミナ水和物を作製した。このアルミナ水和物は水中で表面がプラスに帯電し、カチオン性を示す。
【0154】
上記で得られた液体組成物AのpHは3.5であり、ゼータ電位は+39mVであった。また、インクタンクに液体組成物Aを充填し、60℃/Dry1ヶ月の保存試験を行った後もインクタンク内に沈降物は見られず、記録ヘッドからの吐出安定性も良好であった。
【0155】
<液体組成物Bの組成>
・グリセリン 7.5重量%
・ジエチレングリコール 7.5重量%
・コロイダルシリカ(平均粒子直径:0.02μm
、商品名:スノーテックスAK、日産化学工業(株
)製) 10.0重量%
・硝酸 0.6重量%
・水 74.4重量%
ここで、上記コロイダルシリカは、表面にカチオン処理を施したもので、水中でカチオン性を示す。
【0156】
上記で得られた液体組成物BのpHは3.8であり、ゼータ電位は+68mVであった。また、インクタンクに液体組成物Bを充填し、60℃/Dry1ヶ月の保存試験を行った後もインクタンク内に沈降物は見られず、記録ヘッドからの吐出安定性も良好であった。
【0157】
<液体組成物Cの組成>
・グリセリン 7.5重量%
・ジエチレングリコール 7.5重量%
・コロイダルジルコニア(平均粒子直径:0.10
μm、商品名:ZrO2ゾル第一稀元素化学工業
(株)製) 10.0重量%
・硝酸 0.6重量%
・水 74.4重量%
ここで、上記ジルコニアは、水中で表面がプラスに帯電し、カチオン性を示す。
【0158】
上記で得られた液体組成物CのpHは3.1であり、ゼータ電位は+82mVであった。また、インクタンクに液体組成物Cを充填し、60℃/Dry1ヶ月の保存試験を行った後もインクタンク内に沈降物は見られず、記録ヘッドからの吐出安定性も良好であった。
【0159】
<液体組成物Eの組成>
下記に示す各成分を60℃水浴中で混合し、1時間超音波攪拌及び分散し、比較例の液体組成物Eとした。
Figure 0003689634
【0160】
次に、本発明の実施例及び比較例で使用するインク1、2、3及び4の作製について説明する。
<インク1の作製(アニオン性染料)>
下記に示す各成分を混合し、十分攪拌して溶解後、ポアサイズが0.45μmのフロロポアフィルター(商品名:住友電工(株)製)にて加圧濾過し、本発明で使用するマゼンタ染料インクM1を得た。
(マゼンタインクM1)
Figure 0003689634
【0161】
<インク2の作製(アニオン性自己分散型顔料)>
(顔料分散液の作製)
市販の酸性カーボンブラック「MA−77」(pH3.0、三菱化成社製)300gを水1000mlによく混合した後、これに次亜塩素酸ソーダ(有効塩素濃度12%)450gを滴下して、100〜105℃で10時間攪拌した。得られたスラリーを東洋濾紙No.2(アドバンティス社製)で濾過し、顔料粒子を充分に水洗した。この顔料ウエットケーキを水3000mlに再分散し、電動度0.2μsまで逆浸透膜で脱塩した。更に、この顔料分散液(pH8〜10)を顔料濃度10重量%に濃縮した。以上の方法で、表面に親水性の−COO−基が直接結合し、アニオン性に帯電した自己分散型カーボンブラックが分散された顔料分散液2を得た。
【0162】
(インクの作製)
下記に示す各成分を混合し、十分攪拌して溶解後、ポアサイズが3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム製)にて加圧濾過し、本発明におけるブラック顔料インクBk2を得、この記録液をインクサブセット2とする。
ブラックインクBk2
・顔料分散液2 30.0部
・トリメチロールプロパン 6.0部
・グリセリン 6.0部
・エチレングリコール 6.0部
・イオン交換水 52.0部
【0163】
<インク3及びインク3の作製>
インク3(顔料系)
下記に示すようにして顔料分散液3−2を作成後、これを用いて本発明で使用するイエロー顔料インクY3を得た。
(顔料分散液3−1の作製)
Figure 0003689634
【0164】
上記成分を混合し、ウォーターバスで70℃に加温し、樹脂分を完全に溶解させる。この溶液に新たに試作されたピグメントイエロー10部、イソプロピルアルコール1部を加え、30分間プレミキシングを行った後、下記の条件で分散処理を行った。
・分散機:サンドグラインダー(五十嵐機械製)
・粉砕メディア:ジルコニウムビーズ、1mm径
・粉砕メディアの充填率:50%(体積比)
・粉砕時間:3時間
更に、遠心分離処理(12,000rpm、20分間)を行い、粗大粒子を除去して分散液3−1とした。
【0165】
(インクの作製)
上記の分散液3−1を使用し、下記の組成比を有する成分を混合し、顔料を含有するインクを作製し、これをイエロー顔料インクY3とした。
・上記顔料分散液3−1 30.0部
・グリセリン 10.0部
・エチレングリコール 5.0部
・N−メチルピロリドン 5.0部
・エチルアルコール 2.0部
・イオン交換水 48.0部
【0166】
インク3(水不溶性染料+アニオン性分散体)
(水不溶性染料分散液3−2の作製)
・C.I.ディスパースレッド158ウエット
ケーキ 24.0部
・スチレン−アクリル酸−エチルアクリレート
(酸価250、重量平均分子量=13,000、
固形分20重量%) 20.0部
・イソプロピルアルコール 10.0部
・イオン交換水 146.0部
これらの材料をバッチ式縦型サンドミル(アイメックス社製)に仕込み、1mm径のガラスビーズをメディアとして充填し、水冷しつつ3時間分散処理を行った。分散後、平均粒径120nm、固形分15%の分散体3−2を得た。
【0167】
(インクの作製)
上記の分散液3−2を使用し、下記の組成比を有する成分を混合し、水不溶性染料を含有するインクを作製し、これを水不溶性染料インク3とした。
・上記分散液3−2 40.0部
・チオジグリコール 16.0部
・ジエチレングリコール 6.0部
・イオン交換水 48.0部
【0168】
<インク4(顔料+ノニオン分散剤+アニオン性化合物)の作製>
下記に示すようにして顔料分散液4を作成後、これを用いて本発明で使用するシアン顔料インクC4を得た。
(顔料分散液4の作製)
・ポリビニルピロリドン 2.0部
・ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン
セチルエーテル 3.0部
・トリエタノールアミン 5.0部
・イオン交換水 90.0部
【0169】
上記成分を混合し、ウォーターバスで70℃に加温し、樹脂分を完全に溶解させる。この溶液に新たに試作されたピグメントブルー15を10部、イソプロピルアルコール1部を加え、30分間プレミキシングを行った後、下記の条件で分散処理を行った。
・分散機:サンドグラインダー(五十嵐機械製)
・粉砕メディア:ジルコニウムビーズ、1mm径
・粉砕メディアの充填率:50%(体積比)
・粉砕時間:3時間
更に、遠心分離処理(12,000rpm.20分間)を行い、粗大粒子を除去して分散液4とした。
【0170】
(インクの作製)
上記の分散液を使用し、下記の組成比を有する成分を混合し、顔料を含有するインクを作製し、これをシアンインクC4とした。
・上記顔料分散液4 30.0部
・グリセリン 10.0部
・尿素 5.0部
・2−ピロリドン 5.0部
・エチルアルコール 2.0部
・ポリアクリル酸 1.5部
・イオン交換水 46.5部
【0171】
[実施例1〜9、及び比較例1〜9]
上記のようにして得られた液体組成物A〜C及びEとインク1〜4とを用いてインクセットを構成し、普通紙(商品名:キヤノン オフィスマルチ(Canon Office Multi)(以降「KG紙」と略)に記録を行い、実施例1〜9及び比較例1〜7の記録画像を得た。
また、インク1〜4を用いて、インクジェット用コート紙(商品名:カラーBJ用紙LC−101及び高品位専用紙HR−101、キヤノン(株)製)に記録を行い、比較例8及び9の記録画像を得た。各記録条件を表1に示した。
【0172】
使用したインクジェット記録装置としては、図4に示したのと同様の記録装置を用い、図8に示した5つの記録ヘッドを用いてカラー画像を形成した。この際、液体組成物を先うちして先ず記録紙上に付着させ、その後、インクを付着させた。具体的には、印字領域を3回の走査で印字する3パスファイン印字を行なった。このとき液体組成物は、各パス毎に、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのいずれかのインクが印字される画素位置に印字を行なった。即ち、各パス毎のイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの印字データの論理和を液体組成物の印字データとして用いた。尚、ファイン印字時のファインマスクの種類には特に制限はなく、公知の技術が利用可能であるので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0173】
また、ここで用いた記録ヘッドは、600dpiの記録密度を有し、駆動条件としては、駆動周波数9.6kHzとした。600dpiのヘッドを使用したときの1ドットあたりの吐出量はイエロー、マゼンタ、シアンインク及び液体組成物については夫々15ng、ブラックインクについては1ドットあたり30ngのヘッドを使用した。
得られた記録画像を構成する、各画素の辺縁部及び中心部における液体組成物中の化合物に対する色材の割合を以下の条件にて確認した。
【0174】
(記録画素における色材比測定)
プリンターを用いて、表1に記載した条件で各液体組成物及び各インクのベタ画像を印字した後、印字部の記録画素を走査型電子顕微鏡SEM(商品名:S4700;日立製)及びX線マイクロ分析XMA(商品名:EDAX;EDAX社製)(以降「XMA」と略)を用いて元素分析を行った。この時、値にばらつきが生じるため、夫々数箇所の測定を行った。尚、XMAは、深さ方向に数μmのオーダーで元素分析ができる装置であり、表面の局所的な元素分析に適している。また、加速電圧は、測定する元素によって変える必要があり、夫々元素に応じて適した値に設定した。評価基準を以下に示す。
【0175】
A:画素の辺縁部における液体組成物A〜E中の化合物に由来する元素に対するインク1〜4中の色材に由来する元素の割合が、画素の中心部におけるそれと比較して大きい。
B:画素の辺縁部における液体組成物A〜E中の化合物に由来する元素に対するインク1〜4中の色材に由来する元素割合が、画素の中心部におけるそれと比較して同程度である。
C:画素の辺縁部における液体組成物A〜E中の化合物に由来する元素に対するインク1〜4中の色材に由来する元素割合が、画素の中心部におけるそれと比較して小さい。
【0176】
Figure 0003689634
*比較例8及び9に用いた紙は、XMAで検出される多孔質微粒子を含むコート層を有している。
【0177】
(評価方法及び評価基準)
実施例1〜実施例9及び比較例1〜比較例9で得られた夫々の記録画像について、下記の評価方法及び評価基準で評価を行った。その結果を表2に示す。
【0178】
Figure 0003689634
【0179】
(記録画像の評価方法)
(1)発色性
プリンタを用いて各実施例及び比較例に対応するべたパッチを印字し、それらのカラーチャートを測色した。色材がカラーのものは彩度及び光学濃度を、色材が無彩色のものは光学濃度を測定し、発色性の評価として比較した。その際、印字は同一条件とし、測色は印字後24時間経過後、GRETAGスペクトロリノで光源:D50、視野:2°の条件で測定した。評価基準を以下に示す。インクのみの印字に対しての濃度の比を各被記録媒体毎に算出し、その平均値を評価基準とした。又、比較例8及び9に関しては、KG紙に形成した各々のインクのみの印字の濃度を基準として評価したものである。
AA:光学濃度比が1.20倍以上
A :光学濃度比が1.06〜1.20倍未満
B :光学濃度比が1.0〜1.06倍未満
C :光学濃度比が1.0倍未満
【0180】
また、カラーの色材を用いたものについて、その彩度を示した。
【数2】
Figure 0003689634
【0181】
(2)均一性
プリンターを用いて、インクのベタ画像を印字した後、目視にて白モヤと色ムラに関して色の均一性を評価した。評価基準は、以下の通りである。
A:白モヤや色ムラはほとんど発生しない。
B:若干紙の繊維に沿って白モヤや色ムラが見えるが、実質上問題のないレベルである。
C:紙の繊維に沿って著しく白モヤや色ムラが見える。
【0182】
(3)スジムラ
プリンターを用いて、インクのベタ画像を印字した後、目視にてスジムラを評価した。評価基準は、以下の通りである。
A:スジムラはほとんど発生しない。
B:若干ヘッドスキャン毎のスジムラが見えるが、実質上問題のないレベルである。
C:著しくヘッドスキャン毎の白いスジムラが見える。
【0183】
(4)擦過性
プリンターを用いて、インクのベタ画像を印字した。印字して16時間後、印字部の上にシルボン紙を重ね、更にその上に3.5cm×3.5cmの分銅を載せ、40g/cm3の圧力をかけながら15cm/secの速度でシルボン紙を引張って印字部の擦過性を評価した。評価基準は以下の通りである。
A:インク落ちはほとんど発生しない。
B:若干インクがシルボン紙に付着するが、印字部の色落ちは目立つレベルではない。
C:インクがシルボン紙に多く付着し、明確に印字部の色落ちが生じる。
【0184】
(5)風合い
プリンターを用いて、インクのベタ画像を印字した後、目視にて記録媒体の風合いを評価した。評価基準は、以下の通りである。
A:印字部及び未印字部ともに違和感がなく普通紙のような風合いを持っている。
B:印字部と未印字部で風合いが異なる、又は記録媒体全体が普通紙の風合いと大きく異なる。
【0185】
<インク5(アニオン性染料)の作製>
下記に示す各成分を混合し、十分攪拌して溶解後、ポアサイズが0.45μmのフロロポアフィルター(商品名:住友電工(株)製)にて加圧濾過し、本発明におけるシアン染料インクC5を得た。
Figure 0003689634
【0186】
[実施例10]
上記で作製したインク5と液体組成物Aとを用いて、印字を行った。印字条件は前述した実施例1と同様である。
【0187】
(記録媒体の色材量の観察)
実施例10の記録画像における、着色部の端部の元素分析をXMAで行った。
先ず、被記録媒体の未印字部において、被記録媒体の表面に存在する元素(この場合はカルシウム)に対する、液体組成物中の化合物に由来する元素(この場合はアルミニウム)の相対量及びインク中の色材に由来する元素(この場合は銅)の相対量を求めた。
【0188】
尚、これら検出元素は、被記録媒体、化合物、色材に応じて適宜対応する元素に変える必要がある。この後、着色部の端部において、元素分析を行い、同様にカルシウム元素に対するアルミニウム及び銅の相対量を求め、先に求めた未印字部との差より、各元素の存在量を算出し、夫々被記録媒体に定着している化合物の量及び色材の量とした。その結果、着色部の端部における色材の量が、化合物の量よりも多い部分を有していることが分かった。
【0189】
[実施例11〜17]
上記で作製した液体組成物Aとインク1とを用いて、下記1)〜7)の商品名で各国に流通している7種類の普通紙上に記録し、実施例11〜17の記録画像を得た。この画像を上記した評価基準に基づき評価した。記録条件及び評価結果を下記表3に示す。
1)キヤノン社製 PB用紙
2)キヤノン社製 Brilliant White paper
3)Union Camp社製 Great White Inkjet
4)ハンマーミル(Hammermill)社製 Jet Print
5)ゼロックス(Xerox)社製 Xerox 4024
6)ヒューレットパッカード(Hewlett Packard)社製 Bright White Inkjet Paper
7)Aussdat Ray社製 Rey Jet
【0190】
Figure 0003689634
【0191】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、特に、普通紙に対するカラーインクジェット記録を行った場合に、普通紙の風合いを残しながらインクジェット用コート紙並みの優れた発色性と色の均一性が得られ、且つベタ画像部のスジムラが少なく、印字部の擦過性に優れたインクジェット記録画像が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】インクジェット記録装置のヘッド部の縦断面図。
【図2】インクジェット記録装置のヘッド部の横断面図。
【図3】インクジェット記録装置のヘッド部の外観斜視図。
【図4】インクジェット記録装置の一例を示す斜視図。
【図5】インクカートリッジの縦断面図。
【図6】記録ユニットの斜視図。
【図7】本発明の実施例で使用した複数の記録ヘッドが配列した記録ユニットを示した斜視図。
【図8】本発明に使用する別の記録ヘッドの斜視図。
【図9】コート紙にインクジェット記録を行なったときの着色部の状態を説明する模式的断面図。
【図10】2液系インクジェット記録の説明図。
【図11】本発明にかかるインクジェット画像の着色部の状態を説明する模式的断面図。
【図12】本発明にかかるインクジェット記録画像の着色部の形成工程を示す概略工程図。
【図13】本発明にかかるインクセットを構成するインク及び液体組成物が被記録媒体上で互いに混合されるときの現象を説明する概略図。
【図14】本発明にかかるインクセットを構成するインク及び液体組成物が被記録媒体上で互いに接するように付与されたときの着色部近傍の状態を説明する概略平面図。
【図15】本発明にかかるインクタンクの平面図。
【図16】図15のインクタンクが、記録ヘッドに装着された状態を示す概略図。
【図17】本発明にかかるインクカートリッジの概略斜視図。
【図18】本発明にかかるインクジェットプリント装置の一つの実施形態を模式的に示す一部破断斜視図。
【図19】図18のインクジェットプリント装置のワイピング動作を示す模式図であり、(A)はインク用ブレードの上昇、(B)はプリントヘッドのワイピング、(C)はインク用ブレードの下降、(D)は液体組成物が適正位置についた後の両ブレードの上昇、(E)は液体組成物と第2のブラックインク用ヘッドのワイピング、(F)は両ブレードの下降をそれぞれ示す。
【符号の説明】
13:ヘッド
14:溝
15:発熱ヘッド
16:保護膜
17−1:アルミニウム電極
17−2:アルミニウム電極
18:発熱抵抗体層
19:蓄熱層
20:基板
21:インク
22:吐出オリフィス
23:メスニカス
24:インク小滴
25:被記録材
26:マルチ溝
27:ガラス板
28:発熱ヘッド
40:インク袋
42:栓
44:インク吸収体
45:インクカートリッジ
51:給紙部
52:紙送りローラ
53:排紙ローラ
61:ブレード
62:キャップ
63:インク吸収体
64:ヘッド回復部
65:記録ヘッド
66:キャリッジ
67:ガイド軸
68:モータ
69:ベルト
70:記録ユニット
71:ヘッド部
72:大気連通孔
81〜84:記録ヘッド
85:液体組成物吐出ヘッド
901:基紙
903:インク受容層
905:多孔質微粒子
907:接着剤
909:インク浸透部
1001:液体組成物
1003:被記録媒体
1005:アニオンインク
1007:インクと液体組成物の凝集部
1009:水性媒体の浸透先端
I:着色部
IM:主画像部
IS:主画像部の周辺部
1101:被記録媒体
1102:繊維間の空隙
1103:微粒子
1105:色材
1107:色材の単分子状態を保持した微粒子の凝集物
1109:微粒子同士の凝集物
1200:着色部
1201:インクと液体組成物の反応部
1202:インク流出部
1203:被記録媒体
1204:色材
1205:繊維間の空隙
1206:液体組成物
1207:液溜り
1209:微粒子
1211:微粒子同士の凝集物
1213:インク
1215:色材が吸着した微粒子同士の凝集物
1301,1307:液体組成物
1303,1305:水性インク
1401:インクと液体組成物の反応部
1403:インク流出部
1405:液体組成物のみの領域
1409:インク
1411:液溜り
1501:カートリッジ
1503:インク収容部
1505:液体組成物収容部
1601:記録ヘッド
1701Bk:ブラックインク収容部
1701C:シアンインク収容部
1701M:マゼンタインク収容部
1701Y:イエローインク収容部
1701L:液体組成物収容部
1703:記録ヘッド

Claims (5)

  1. インクが含有するアニオン性の色材と、液体組成物が含有する、カチオン性で該色材と反応性を有する微粒子(色材を除く)とによって、アニオン性の成分により構成された普通紙上に形成されたインクジェット記録画像であって、該液体組成物のゼータ電位の絶対値が、5〜90mVであり、着色部のうちの主画像形成部は、色材を表面に吸着した微粒子同士の凝集物によって構成され、主画像形成部の周辺部にはインクの滲みが形成されていることを特徴とするインクジェット記録画像。
  2. 前記主画像形成部の周辺部では微粒子よりも色材の方が多い請求項1に記載のインクジェット記録画像。
  3. 微粒子の平均粒子直径が、0.005〜1μmの範囲である請求項1又は2に記載のインクジェット記録画像。
  4. 画像が、複数の色の画像を含む多色画像である請求項1〜3の何れか1項に記載のインクジェット記録画像。
  5. 複数の色が、イエロー、マゼンタ、シアン、レッド、グリーン、ブルー及びブラックから選ばれる少なくとも2つである請求項4に記載のインクジェット記録画像。
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