JP3694343B2 - 低濃度酸素用psa - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、モレキュラーシーブなどの吸着剤を使用して、空気から圧力変動吸着法(PSA)により低濃度の酸素富化空気を効率的に製造するための操業方法及びそのための装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来工業的設備での酸素富化空気を製造する最も経済的な方法は、オンサイトの低温液化空気分離装置で製造した酸素を空気で希釈して用いる方法といわれてきたが、それにもかかわらずこの方法は極めて大型のプラントに限られるだけでなく、総合的な費用は比較的高く、酸素富化空気を使用して燃焼炉の効率を増大したり、大気汚染の低減を図るために採用するにはコスト的に高価になり採用に大きな影響を与えている。
【0003】
これに対し、1970年代にPSA法が開発され、比較的小型の装置においても酸素の製造が容易にできるようになり、小型の酸素発生装置により酸素富化空気の供給が可能となって酸素富化空気の利用分野が大幅に拡張された。特に最近に至りPSAによる酸素製造方法は技術的に目覚ましい発達を遂げ、低温液化分離装置の領域といわれてきた規模の大型の分野への進出が可能となって来ている。特にその安い建設コスト及びランニングコスト、立ち上がり時間が極めて短いこと、保守管理の容易さなどの点から低温液化酸素分離装置の代替さえ行われつつあるのが現状である。これらのPSAの開発の経緯を観察してみると、高純度酸素発生におけるエネルギー効率の向上を目的としたものに限られ、酸素濃度のより高純度のものが目的とされた方法が主であって、製造された酸素富化空気(通常は酸素濃度90〜93%位)は必要以上に高純度であるときは、使用分野によっては製造された高純度の酸素富化空気を空気により薄めて使用している場合さえあった。
【0004】
さらに酸素富化空気の製造のための他の方法として透過膜の利用方法がある。この膜利用システムは簡単でかつ30〜40%の低濃度の酸素が製造できる。装置自体も簡単で比較的少量の需要分野には極めて優れた方法と思われる。このようないくつかの方法があるが大規模の酸素需要分野には主に空気液化分離法が採用されてきた。
現在の使用状況を見てみると、例えば大型の燃焼炉において、酸素富化した空気を燃焼に使用することによって燃焼温度を高め、燃焼効率を増大させ、あるいは大気汚染の低減に寄与させようとしている産業は多い。このような目的においては、一般には99.5%以上の液体酸素を現場の貯蔵タンクに輸送し、燃焼温度の調整や燃焼炉壁耐火物のライフの延長を図るため、空気を混合して所望の低濃度の酸素富化空気を製造したり、あるいは空気で燃焼している燃焼炉に高純度酸素を追加的に吹く込むなどの方法が取られている。特に酸素の需要量が多い大型の装置の場合にはコストの低減のために液体空気の輸送に変えて現場に低温空気分離装置を設置し高純度の酸素の製造をすることが行われていた。
【0005】
しかしエネルギー効率からは、いったん高純度の酸素を製造し、使用に際しこれを空気で希釈して使用することは意味がないことであり、初めから希望する酸素濃度の酸素富化空気を製造されることが望ましいことは言うまでもない。この目的からすれば酸素濃度が50vol%未満の低濃度の酸素富化空気の場合には製造される酸素富化空気の酸素濃度的には透過膜法が好適であるが、現在のところ該方法の設備コストは非常に高く、また透過膜のライフに不安があるなどの理由から有利な方法とは言えない状態にある。また空気液化分離法は、液体空気の製造を経て行う関係から、希望する50vol%未満のごとき低濃度の酸素富化空気の製造をすることは意味のないものであって、このようなものを直接製造してもエネルギー効率の向上は望めないものである。さらにPSA法においてもいまだに低濃度の酸素富化空気のためのエネルギー効率の高い操業プロセスあるいはそのための装置についての開発は行われていなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、低濃度の酸素富化空気、特に大型の装置においても利用可能である50vol%以下の酸素濃度を有する酸素富化空気を製造酸素あたりのエネルギー効率を極めて良く製造できるPSAシステムの操業方法及びそのための製造装置の開発を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
[1] 吸着塔が3塔からなる低濃度の酸素富化空気を製造する圧力変動吸着法(PSA)において、脱着工程の終了した吸着塔の塔内洗浄のためのパージ用ガス及び/または昇圧用のガスとして空気を使用する低濃度酸素用PSA、
[2] 吸着塔が3塔からなる低濃度の酸素富化空気を製造するPSAにおいて、パージ工程の終了した吸着塔の向流による昇圧工程に使用するガスとして空気を使用する低濃度酸素用PSA、
[3] 吸着塔が3塔からなる低濃度の酸素富化空気を製造するPSAにおいて、吸着工程の終了した吸着塔の洗浄のための並流によるパージ工程に使用するガスとして、空気を使用する低濃度酸素用PSA、
[4] 吸着塔が3塔からなる低濃度の酸素富化空気を製造するPSAにおいて、
a.第1の塔が吸着操作をしている間にその前段のステップですでに吸着工程を終了した第3の塔の出口端とパージ工程を終えた第2の塔の入口端を連結して均圧操作を行うと同時にパージを終えた第2の塔の出口端から昇圧空気を導入する工程と、
b.引き続き第1の吸着塔が吸着工程にあり、均圧工程を終えた第3の塔入り口端から塔内に残留するガスを放出して減圧を行い、また第2塔の出口端から空気を導入して昇圧を続け、さらに
c.引き続き第1の塔が吸着を行い、第2の塔は引き続き吸着圧に到達するように昇圧を行い、第3の塔は塔入口端より塔出口端に向かって空気を導入して塔内を並流方向に洗浄するパージ工程
からなる工程を第2吸着塔、第3吸着塔に移し順次繰り返し行うことからなる低濃度酸素の製造方法、
[5] 吸着塔が3塔からなる低濃度の酸素富化空気を製造するPSAにおいて、
a.第1の塔が吸着操作をしている間にその前段のステップですでに吸着工程を終了した第3の塔の出口端とパージ工程を終えた第2の塔の出口端を連結して均圧操作を行うと同時にパージを終えた第2の塔の入口端から昇圧空気を導入する工程と、b.引き続き第1の吸着塔が吸着工程にあり、均圧工程を終えた第3の塔入り口端から塔内に残留するガスを放出して減圧を行い、また第2塔の入口端から空気を導入して昇圧を続け、さらに
b.引き続き第1の塔が吸着を行い、第2の塔は引き続き吸着圧に到達するように昇圧を行い、第3の塔は塔出口端より塔入口端に向かって空気を導入して塔内を向流方向に洗浄するパージ工程
からなる工程を第2吸着塔、第3吸着塔に移し順次繰り返し行うことからなる低濃度酸素の製造方法、
[6] 低濃度の酸素富化空気の酸素濃度が23〜50vol%である上記[1]〜[5]の低濃度酸素の製造方法、
[7] 吸着塔が3塔からなる低濃度の酸素富化空気を製造するPSA装置において、吸着工程用の原料空気圧縮機、パージ工程後の均圧工程及び昇圧工程のための昇圧空気圧縮機及び塔内洗浄のパージ工程に使用するパージ空気ブロワーを設けてなるPSA装置、及び
[8] 吸着工程の終了した吸着塔の塔内洗浄のためのパージ用ガス及び/または昇圧用のガスとして空気を使用し、吸着塔に向流に供給する低濃度酸素用富化空気を製造するPSA装置において、水分吸着剤を各吸着塔の入口端及び出口端に充填するかまたは水分吸着剤を充填した2塔以上の水分吸着装置を別途設け、パージ工程に使用する空気及び/または昇圧工程に使用する空気を処理できるように配管した低濃度酸素用PSA装置、を開発することにより上記の目的を達成した。
【0008】
本発明で生産する低濃度の酸素富化空気の酸素濃度は、原則的に23vol%〜50vol%の酸素富化空気であり、そのためのPSA装置の基本的な構成は従来使用されているPSA装置をそのまま使用するかあるいは若干手を加えるだけで使用可能である。また酸素分離のために使用する吸収剤は従来使用されてきたモレキュラーシーブ(ゼオライト)のような窒素あるいは酸素を選択的に吸収できるものであれば使用可能である。
従来のPSAにおいては図5及び図6の例に示すように、脱着工程の終了した吸着塔のパージ工程、その終了後の均圧工程、さらに均圧したのちの昇圧工程のいずれにおいても製品ガス純度を維持する必要性から吸着工程ガス(製品酸素ガス)あるいは吸着工程直後の高純度酸素ガスを用いている。このため吸着塔内の酸素濃度は高く維持でき、そのため製品酸素ガス濃度を高く維持できるがサイクルあたりの製造ガス量は小さくなり、エネルギー効率は低くならざるを得なかった。
【0009】
本発明の第1の発明は吸着塔が3塔からなるPSAであって、従来のPSAとは異なり、低濃度の酸素富化空気、特に50vol%以下のような低濃度の酸素富化空気を製造することを目的としており、製造酸素あたりのエネルギー効率を高めるため従来のPSAが製品酸素ガスを使用してきた脱着工程の終了した吸着塔の塔内洗浄のためのパージ用ガス及び/またはパージ工程の後の吸着塔の昇圧用のガスとして空気を使用するところにある。
本発明の第2の発明は、吸着塔は同じく3塔のPSAであってパージ工程の終了した吸着塔の昇圧工程に使用するガスとして空気を使用するものであるが、この空気は吸着塔に対して向流方向から供給するものである。この結果吸着塔出口端に設けられる水分吸着剤あるいは出口側に設けられた水分吸着装置により空気中の水分が吸着され、酸素用の吸着剤の吸水を防止できる。
本発明の第3の発明は、吸着塔が3塔からなる低濃度の酸素富化空気を製造するPSAにおいて、吸着工程の終了した吸着塔の洗浄のためパージ工程に使用するガスとして空気を使用するものであり、この空気は吸着塔に対し並流方向から供給するものである。
【0010】
本発明のPSA装置には、空気の供給のために、原料空気圧縮機A、昇圧空気圧縮機B、パージ空気ブロワーCを並列的に設け、これらを効率的に働かせることによりエネルギー効率を高く維持しているものであり、特にパージ空気ブロワーCを設けることによるエネルギー効率の向上は顕著なものがある。
また吸着塔は従来のPSAにおいては一般的に吸着塔に空気を向流方向から供給することはほとんどないが、本発明のステップにおいてはこのような空気の供給方法が可能であるため水分吸着剤を吸着塔の入口端及び出口端に充填するか、または水分吸着剤を充填した水分吸着装置を別途設け、パージ用空気、昇圧用空気を処理できるようにした装置にする。
さらに本発明においては、極めて大型の装置、例えば発電用ボイラー、大型ごみ焼却場、熔解炉など大量の低濃度の酸素富化空気を必要とするような場合においてPSAユニットを複数基設けるような場合には、同一のサイクルで、かつ位相を変えて操業することによりパージ空気ブロワーを共同で複数基例えば3ユニットで1基のパージ空気ブロワーCを共同で使用する方式を採ることにより設備費を大きく削減可能になる。
【0011】
以下図面を参照して本発明を詳細に説明する。なおこの図に示すステップは本発明を実施するための単なる例示であってこれに限定されるものではない。
図1のプロセスにおいては、吸着工程の空気は原料空気圧縮機Aから、均圧工程、パージ工程、昇圧工程のいずれの工程においても使用するガスは空気であり、均圧工程の空気は昇圧空気圧縮機Bから供給され、パージ工程の空気はパージ空気ブロワーCから、昇圧工程の空気は昇圧空気圧縮機Bからそれぞれ供給される。
このステップにおいては吸着塔が3塔からなるPSAであり、
a.第1の塔が吸着操作をしている間にその前段のステップですでに吸着工程を終了した第3の塔の出口端とパージ工程を終えた第2の塔の入口端を連結して均圧操作を行うと同時にパージを終えた第2の塔の出口端から昇圧空気を導入する工程、
b.引き続き第1の吸着塔が吸着工程にあり、均圧工程を終えた第3の塔入り口端から塔内に残留するガスを放出して減圧を行い、また第2塔の出口端から空気を導入して昇圧を続け、さらに
c.引き続き第1の塔が吸着を行い、第2の塔は引き続き吸着圧に到達するように昇圧を行い、第3の塔は塔入口端より塔出口端に向かって空気を導入して塔内を並流方向に洗浄する工程
からなり、続いてステップ4においてa.工程の第1吸着塔は第2吸着塔と読み替え、第2吸着塔を第3吸着塔と読み替え、さらに第3吸着塔を第1吸着塔と読み替えることによる次々同様な操作をする工程を順次第2吸着塔、第3吸着塔に繰り返し行うことにより低濃度酸素を製造することからなる。
【0012】
図2のプロセスにおいては、吸着工程の空気は原料空気圧縮機Aから、均圧工程、パージ工程、昇圧工程のいずれの工程においても使用するガスは空気であり、均圧工程の空気は昇圧空気圧縮機Bから供給され、パージ工程の空気はパージ空気ブロワーCから、昇圧工程の空気は昇圧空気圧縮機Bからそれぞれ供給される。
このステップにおいては吸着塔が3塔からなるPSAであり、
a.第1の塔が吸着操作をしている間にその前段のステップですでに吸着工程を終了した第3の塔の出口端とパージ工程を終えた第2の塔の出口端を連結して均圧操作を行うと同時にパージを終えた第2の塔の入口端から昇圧空気を導入する工程と、
b.引き続き第1の吸着塔が吸着工程にあり、均圧工程を終えた第3の塔入り口端から塔内に残留するガスを放出して減圧を行い、また第2塔の入口端から空気を導入して昇圧を続け、さらに
c.引き続き第1の塔が吸着を行い、第2の塔は引き続き吸着圧に到達するように昇圧を行い、第3の塔は塔出口端より塔入口端に向かって空気を導入して塔内を向流方向に洗浄するパージ工程
からなり、続いてステップ4においてa.工程の第1吸着塔は第2吸着塔と読み替えて次々同様な操作をする工程を順次第2吸着塔、第3吸着塔に繰り返し行うことにより低濃度酸素を製造することからなる。
【0013】
図3のプロセスにおいては、吸着工程の空気は原料空気圧縮機Aから、均圧工程、昇圧工程のいずれの工程においても使用するガスは空気であり、パージ工程のガスは吸着工程終了後の減圧ガスを使用している。均圧工程の空気は昇圧空気圧縮機Bから供給され、昇圧工程の空気は昇圧空気圧縮機Bからそれぞれ供給される。この装置においてはパージ工程にパージ空気ブロワーCは使用していないので不要となっている。
このステップにおいては吸着塔が3塔からなるPSAであり、
a.第1の塔が吸着操作をしている間にその前段のステップですでに吸着工程を終了した第3の塔の出口端と脱着工程を終えた第2の塔の出口端を連結してパージ工程を行う工程と、
b.引き続き第1の吸着塔が吸着工程にあり、パージ工程を終えた第2の塔入り口端から第3の塔からの均圧用ガスを導入(同時に第3の塔から塔内の残留ガスを向流に放出してもよい。)すると共に昇圧空気圧縮機Bから昇圧用の空気を導入する均圧を行う工程と、さらに
c.引き続き第1の塔が吸着を行い、第2の塔は引き続き第2の塔出口から昇圧空気圧縮機Bからの昇圧用空気を導入し、第3の塔は塔入口端より塔内のガスを完全に脱着する工程
からなり、続いてステップ4においてa.工程の第1吸着塔は第2吸着塔と読み替えて次々同様な操作をする工程を順次第2吸着塔、第3吸着塔に繰り返し行うことにより低濃度酸素を製造することからなる。
【0014】
さらに図4のプロセスにおいては、吸着工程及びパージ工程の両者の工程において使用するガスは空気であり、均圧工程及び昇圧用のガスとしては製品酸素ガスを使用する。吸着工程の空気は原料空気圧縮機Aからの空気を、パージ工程の空気はパージ空気ブロワーCからの空気を使用する。
このステップにおいては吸着塔が3塔からなるPSAであり、
a.第1の塔が吸着操作をしている間にその前段のステップですでに吸着工程を終了した第3の塔の出口端とパージ工程を終えた第2の塔の出口端を連結して均圧操作を行うと同時にパージを終えた第2の塔の出口端から製品酸素ガスを導入する工程、
b.引き続き第1の吸着塔が吸着工程にあり、均圧工程を終えた第3の塔入り口端から塔内に残留するガスを放出して減圧を行い(同時に第2の塔の入口端にさらに昇圧ガスを供給してもよい。)、また第2塔の出口端から第1塔からの製品酸素ガスを導入して昇圧を続け、さらに
c.引き続き第1の塔が吸着を行い、第2の塔は引き続き第1の塔からの製品ガスの一部を導入して吸着圧に到達するように昇圧を行い、第3の塔は塔出口端より塔内に残留するガスを放出する脱着工程さらに
d.引き続き第1の塔の吸着塔は吸着工程にあり、第2の塔は同じく第1の塔からの製品ガスの一部を導入して吸着圧に到達するように昇圧を行い、第3の塔は塔入口から空気を導入してパージ工程を行う工程
からなり、続いてステップ5においてa.工程の第1吸着塔は第2吸着塔と読み替え、第2吸着塔を第3吸着塔と読み替え、さらに第3吸着塔を第1吸着塔と読み替えることによる次々同様な操作をする工程を順次第2吸着塔、第3吸着塔に繰り返し行うことにより低濃度酸素を製造することからなる。
【0015】
なお各図面において減圧ポンプDが記載されているがこれは設置しなくとも問題はないが、脱着工程の際に残留ガスの追い出しに併用することは製造効率が向上するので設置することもできる。
以上の説明からも明らかなように本発明においては、パージ用ガス及び昇圧用のガスのいずれかに空気を使用するものであり、好ましくはその双方に空気を使用するものである。その際昇圧用の空気は吸着塔に対し向流に供給することが好ましく、またパージ用の空気は並流に供給することが好ましい。特に好ましくはパージ工程においては並流に、昇圧工程においては向流に空気を供給する組み合わせあるいはその逆にパージ工程においては向流に、昇圧工程においては並流の組み合わせにある空気の供給方法が好ましい。
【0016】
3塔式PSAに限らないが、このような空気の供給法を取るに際しては、吸着塔の入口端と出口端の双方に活性アルミナ、シリカゲルなどの吸着剤を充填した水分吸着層を設けた吸着塔とすることによりPSA用の吸着剤の吸湿を防ぐことが可能である。また水分吸着層を設けるため、吸着塔の内容積の減少を防ぎたい時には、水分吸着剤を充填した2塔以上の水分吸着装置を設け、昇圧空気圧縮機B及び/またはパージ空気ブロワーCからの空気をあらかじめ脱湿処理して吸着塔に送入するようにしても構わない。できれば吸着塔の入口端及び出口端に水分吸着層を設けた吸着塔を使用することが好ましい。
【0017】
本発明のPSAは、3塔のうちいずれかのものが常時吸着工程にあって、吸着塔へ空気を連続的に供給する必要があり、またステップの組み合わせによっては常時いずれかの吸着塔が昇圧用空気を必要とする均圧工程あるいは昇圧工程もにある場合があって昇圧空気圧縮機Bは常時運転が必要となるプロセスもあり、一方パージ工程においてはさほど高い圧力を必要としないのでこの工程においては圧縮機に代えてエネルギー効率の高いブロワーを使用することも可能なプロセスとすることもできる。この結果本発明のPSA装置においては原料空気圧縮機Aとともに昇圧空気圧縮機B及び/またはパージ空気ブロワーCを併設することによって効率の高い酸素製造ができることになる。
【0018】
またこのように工程を組むことにより、製品ガスの圧力は従来のPSAが減圧〜最高3kg/cm2 位であるのに対し、容易に5kg/cm2 程度を確保できる利点もある。このような製品ガスの高い圧力は高圧操業をしている熔解炉や産業廃棄物のための特殊な焼却炉の助燃用ガスとして特に有利である。
本発明のPSAは大型のものだけでなく通常PSAが使用されている小型の装置、あるいは中型の装置でも可能であるが、特に大規模のものの対応策としては大型のPSAユニットを複数併設して同一のサイクルで位相を代えて操業することが好ましい。これは比較的低濃度の酸素富化空気を直接PSAで製造する場合、高濃度の酸素を空気と混合希釈して低濃度の酸素富化空気を供給する場合に比べ酸素濃度の変動幅は大きくなるのが普通である。このため需要先が許容できる変動幅になる程度の大きさのクッションタンクを置くことが望ましいが、複数のユニットを位相を代えて操業する時は、それぞれのPSAステップの酸素濃度変化を干渉により打ち消すことになり酸素濃度の均一化にとっても有利であり、また間欠運転を必要とされるパージ空気ブロワーを複数のユニットで共有することが可能となり、イニシャルコストの節減にもなり有利である。
【0019】
【作用】
PSAによる酸素製造の原理は、通常モレキュラーシーブゼオライトのような窒素吸着剤を充填した1基以上の吸着塔に比較的高い圧力で空気を導入して窒素を吸着させ、酸素富化ガスを製品として取り出す。そして吸着した窒素が吸着塔からブレークスルーする前に空気の導入を停止し、次にその塔を比較的低い圧力へ移すことによってモレキュラーシーブゼオライトに吸着されている窒素を脱着させ塔を再生させることにある。構成する吸着塔の数、再生圧力を大気圧または真空圧で行うか、圧力回収をどのように行うかで様々なシステムが組み立てられている。
ところでこれらのPSAシステムは、基本的には酸素収率(%)、吸着剤要求量(=BSF;kg吸着剤/ton酸素発生量/日)及び電力原単位(Kwh/Nm3 酸素)の3つの指針で評価される。
【0020】
本発明は、23〜50vol%のような低濃度の酸素富化空気を効率的に製造するためのプロセス、その実施のための装置に関するものである。
従来のPSAが、製品ガス中の酸素濃度の高いガスを目的として、パージ工程、昇圧工程に使用するガスを製品である高純度の酸素ガスを使用して製品ガスの酸素濃度を維持しようとしているのに対し、本発明では製品ガス中の酸素濃度を使用に適する低濃度の酸素富化空気を目的としているので、そのような効率の低下するステップを放擲し、パージ工程または昇圧工程のいずれかあるいはその双方のステップに使用するガスを空気にすることにより効率の向上が可能となり、このため単位エネルギーあたりの酸素製造量は大幅に向上できた。
さらに吸着塔の塔内洗浄のためのパージ用のガスを、空気に代えたこと及び操業を常圧に近い低圧での操業が可能なためパージ空気ブロワーの使用することによりエネルギー効率の向上を図っている。従来のPSAでは製品ガスを使用しているため、PSAの操業圧力を維持する必要があるので原料空気圧縮機でなければならなかったのに対し、低圧のブロワーでこれを代えることによりエネルギーの効率の向上が達成できた。
【0021】
吸着工程(製品ガスを製造する工程)は、原料空気圧縮機から連続的に空気を供給することにより行われるので、従来のものより操業圧力は高く維持することは可能であり、高圧力の製品ガスを製造できる。
特に大型の低濃度の酸素富化空気を必要とするような場合には複数のPSAユニットを並列的に、同一のサイクルで位相を代えて操業するときは装置の一部の共有を可能となるだけでなく、操業切替などのための酸素濃度変動を抑え均一化にさらに有利に使用できるメリットがある。
【0022】
【実施例】
[実施例1]
図1に示す装置で内径600mm、直胴部の高さ2400mmの鋼鉄製の吸着塔第1〜第3の各々に対して、塔入口端側に直径2〜5mmのビーズ状活性アルミナを高さ400mmに充填し、その上部に直径2〜3mm、嵩密度700g/LのNa−13Xゼオライトを高さ2000mmに充填した。原料空気圧縮機A及び昇圧空気圧縮機Bは2段レシプロ型空気圧縮機、パージ空気ブロワーCは吐出圧力0.1kg/cm2 Gのターボ型空気送風機を使用した。
図1に示すサイクルステップにおいて、酸素富化空気の酸素濃度30%、吸着圧力は5kg/cm2 G、脱着圧力は大気圧としてサイクルタイム180秒で運転した。この結果、下記のエネルギー効率が得られた。
酸素収率 71.2%
BSF 287kg吸着剤/ton酸素/日
電力原単位 0.396Kwh/Nm3 酸素
【0023】
[実施例2]
図4に示す装置で、実施例1と同じ吸着剤を同量使用し、図4に示すサイクルステップを、酸素富化空気の酸素濃度30%、吸着圧力は5kg/cm2 G、脱着圧力は大気圧としてサイクルタイム180秒で運転した。この結果、下記のエネルギー効率が得られた。
酸素収率 70.4%
BSF 304kg吸着剤/ton酸素/日
電力原単位 0.448Kwh/Nm3 酸素
【0024】
[実施例3]
図3に示す装置を使用した。ただし、原料空気圧縮機A及び昇圧空気圧縮機Bは吐出圧力0.1kg/cm2 Gのターボ型空気送風機、真空ポンプDは2段水封ルーツブロワーを使用し、パージ空気ブロワーCは使用しなかった。吸着剤は嵩密度660g/LのCa−13Xゼオライトを使用した。
図3に示すサイクルステップを、酸素富化空気の酸素濃度30%、吸着圧力は0.1kg/cm2 Gとし脱着圧力は260torrとして、サイクルタイム150秒で運転した。そしてPSAで製造したほぼ大気圧の酸素富化空気を2段レシプロ型酸素圧縮機(記載していない。)によって4.5kg/cm2 Gまで圧縮した。この結果、下記のエネルギー効率が得られた。
酸素収率 78.5%
BSF 561kg吸着剤/ton酸素/日
電力原単位 0.375Kwh/Nm3 酸素
【0025】
[比較例1]
図5に示す装置で、実施例1と同じ吸着剤を同量使用し、図5に示すサイクルステップを、酸素富化空気の酸素濃度30%、吸着圧力は5kg/cm2 G、脱着圧力は大気圧としてサイクルタイム180秒で運転した。図5は図4に対してパージガスを製品ガスで向流に行う点が異なっている。この結果、下記のエネルギー効率が得られた。
酸素収率 66.8%
BSF 331kg吸着剤/ton酸素/日
電力原単位 0.538Kwh/Nm3 酸素
【0026】
[比較例2]
比較例1と同じ装置及び吸着剤を使用し、図5に示すサイクルステップにおいて、酸素富化空気の酸素濃度90%、吸着圧力は5kg/cm2 G、脱着圧力は大気圧としてサイクルタイム180秒で運転した。この結果、下記のエネルギー効率が得られた。
酸素収率 42.7%
BSF 864kg吸着剤/ton酸素/日
電力原単位 0.831Kwh/Nm3 酸素
この結果に対して、得られた酸素濃度90%の酸素富化空気を30%まで空気で希釈すると下記のエネルギー効率が得られた。
総合酸素収率 65.6%
総合BSF 338kg吸着剤/ton酸素/日
また希釈空気の圧力を実施例1と同じ性能の2段レシプロ型空気圧縮機によって4.5kg/cm2 Gまで昇圧した時の総合電力原単位は下の通りであった。
総合電力原単位 0.528Kwh/Nm3 酸素
【0027】
[比較例3]
実施例3と同じ装置(ただし昇圧空機圧縮機Bは使用しなかった。)及び吸着剤を使用した。図6に示すサイクルステップにおいて、酸素富化空気の酸素濃度90%、サイクルタイム150秒で運転した。本比較例は製品酸素で昇圧することが実施例3とは異なっている。この結果、下記のエネルギー効率が得られた。
酸素収率 52.0%
BSF 1646kg吸着剤/ton酸素/日
電力原単位 0.396Kwh/Nm3 酸素
この結果に対して、得られた酸素濃度90%の酸素富化空気を30%まで空気で希釈すると下記のエネルギー効率が得られた。
総合酸素収率 73.5%
総合BSF 644kg吸着剤/ton酸素/日
また90%酸素濃度の酸素富化空気及び希釈空気の圧力を実施例3と同じ性能の2段レシプロ型空気圧縮機によって4.5kg/cm2 Gまで昇圧した時の総合電力原単位は下の通りであった。
総合電力原単位 0.389Kwh/Nm3 酸素
【0028】
以上の結果からも明らかなように、比較例1と比較例2に示すように同じサイクルステップで運転する場合、PSAによって90%酸素濃度の酸素ガスを製造して、空気で30%酸素濃度の酸素富化空気まで希釈するのと、PSAで直接30%酸素濃度の酸素富化空気を製造するのとでは、酸素収率、BSF及び電力原単位においてほとんど差がないが、実施例1と比較例1及び比較例2、さらに実施例3と比較例3とを比較すれば明らかなように、パージガス及び/または昇圧ガスを空気とした場合においては、酸素収率、BSF及び電力原単位について格段の優位性が認められる。
【0029】
【発明の効果】
本発明は、低濃度の酸素富化空気の製造を目的として、脱着工程の終了した吸着塔の塔内洗浄のためのパージ用ガス及び/または再生した塔の昇圧用のガスとして空気を用いるPSAであり、このため、
▲1▼ 低濃度酸素製造のために、エネルギーあたりの生産酸素量が大きい。
▲2▼ パージ空気ブロワーを使用しているのでエネルギー消費が少なくて済む。
▲3▼ 吸着工程(製造工程)の操業圧力を高くできるので、製品ガスの圧力を高くできる。
▲4▼ 複数ユニットを併設するときは、パージ空気ブロワーを兼用させることにより設備費を小さくすることができる。
▲5▼ 複数のユニットを位相を変えて操業することにより、圧力変動を小さくできる。
等多くの利点を有するプロセスであり、必要な濃度の酸素を安価に得ることができる。
このため、例えば鉄鋼精練、非鉄金属精練、窯業、化学、発酵、ゴミ焼却、廃水処理など、低純度酸素を必要とする分野に安価な酸素を供給することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施するためのPSA装置の一例のフローチャート及び該装置のための操作の一つのステップを示す。
【図2】本発明を実施するためのPSA装置の一例のフローチャート及び該装置のための操作の一つのステップを示す。
【図3】本発明を実施するためのPSA装置の一例のフローチャート及び該装置のための操作の一つのステップを示す。
【図4】本発明を実施するためのPSA装置の一例のフローチャート及び該装置のための操作の一つのステップを示す。
【図5】従来のPSA装置の一例を示すフローチャート及びその操作ための一つのステップを示す。
【図6】従来のPSA装置の一例を示すフローチャート及びその操作ための一つのステップを示す。
【符号の説明】
A 原料空気圧縮機
B 昇圧空気圧縮機
C パージ空気ブロワー
D 減圧ポンプ
1A,2A,3A,4A,8Aなど 自動切換バルブ
5,10,14,16,18など バルブ

Claims (8)

  1. 吸着塔が3塔からなる低濃度の酸素富化空気を製造する圧力変動吸着法(PSA)において、脱着工程の終了した吸着塔の塔内洗浄のためのパージ用ガス及び/または昇圧用のガスとして空気を使用することを特徴とする低濃度酸素用PSA。
  2. 吸着塔が3塔からなる低濃度の酸素富化空気を製造するPSAにおいて、パージ工程の終了した吸着塔の向流による昇圧工程に使用するガスとして空気を使用することを特徴とする低濃度酸素用PSA。
  3. 吸着塔が3塔からなる低濃度の酸素富化空気を製造するPSAにおいて、吸着工程の終了した吸着塔の洗浄のための並流によるパージ工程に使用するガスとして、空気を使用することを特徴とする低濃度酸素用PSA。
  4. 吸着塔が3塔からなる低濃度の酸素富化空気を製造するPSAにおいて、
    a.第1の塔が吸着操作をしている間にその前段のステップですでに吸着工程を終了した第3の塔の出口端とパージ工程を終えた第2の塔の入口端を連結して均圧操作を行うと同時にパージを終えた第2の塔の出口端から昇圧空気を導入する工程と、
    b.引き続き第1の吸着塔が吸着工程にあり、均圧工程を終えた第3の塔入り口端から塔内に残留するガスを放出して減圧を行い、また第2塔の出口端から空気を導入して昇圧を続け、さらに
    c.引き続き第1の塔が吸着を行い、第2の塔は引き続き吸着圧に到達するように昇圧を行い、第3の塔は塔入口端より塔出口端に向かって空気を導入して塔内を向流方向に洗浄するパージ工程
    からなる工程を第2吸着塔、第3吸着塔に移し順次繰り返し行うことからなる低濃度酸素の製造方法。
  5. 吸着塔が3塔からなる低濃度の酸素富化空気を製造するPSAにおいて、
    a.第1の塔が吸着操作をしている間にその前段のステップですでに吸着工程を終了した第3の塔の出口端とパージ工程を終えた第2の塔の出口端を連結して均圧操作を行うと同時にパージを終えた第2の塔の入口端から昇圧空気を導入する工程と、
    b.引き続き第1の吸着塔が吸着工程にあり、均圧工程を終えた第3の塔入り口端から塔内に残留するガスを放出して減圧を行い、また第2塔の入口端から空気を導入して昇圧を続け、さらに
    c.引き続き第1の塔が吸着を行い、第2の塔は引き続き吸着圧に到達するように昇圧を行い、第3の塔は塔出口端より塔入口端に向かって空気を導入して塔内を向流方向に洗浄するパージ工程
    からなる工程を第2吸着塔、第3吸着塔に移し順次繰り返し行うことからなる低濃度酸素の製造方法。
  6. 低濃度の酸素富化空気の酸素濃度が23〜50vol%である請求項1〜5記載の低濃度酸素の製造方法。
  7. 吸着塔が3塔からなる低濃度の酸素富化空気を製造するPSA装置において、吸着工程用の原料空気圧縮機、パージ工程後の均圧工程及び昇圧工程のための昇圧空気圧縮機及び塔内洗浄のパージ工程に使用するパージ空気ブロワーを設けてなることを特徴とするPSA装置。
  8. 吸着工程の終了した吸着塔の塔内洗浄のためのパージ用ガス及び/または昇圧用のガスとして空気を使用し、吸着塔に向流に供給する低濃度酸素用富化空気を製造するPSA装置において、水分吸着剤を各吸着塔の入口端及び出口端に充填するかまたは水分吸着剤を充填した2塔以上の水分吸着装置を別途設け、パージ工程に使用する空気及び/または昇圧工程に使用する空気を処理できるように配管したことを特徴とする低濃度酸素用PSA装置。
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