JP3696558B2 - β−アミロイド切断酵素の新規な阻害剤 - Google Patents

β−アミロイド切断酵素の新規な阻害剤 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、βアミロイド切断酵素(BACE、膜貫通アスパルチルプロテアーゼβセクレターゼ、β部位APP切断酵素、メマプシン−2、BACE−1)の新規な阻害剤、それを含有する薬剤組成物、及び例えばアルツハイマー病、クロイツフェルト−ヤーコブ病、プリオン障害、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、頭部外傷、発作、ダウン症候群、膵炎、封入体筋炎、他の末梢アミロイドーシス及び糖尿病のような神経障害の治療におけるその使用に関する。
【0002】
【従来の技術】
アルツハイマー病(AD)、中枢神経系(特に脳)の進行性神経変性疾患は、記憶の逐次損失、脳の衰退するオリエンテーション・スキル、運動、感覚、言語及び認知機能を特徴とする。この疾患の病理学的インジケーターは神経原線維濃縮体とアミロイド・プラークとである。これらのアミロイド・プラークはADに特有であるが、神経原線維濃縮体は多くの痴呆障害に関連する。βアミロイド・ペプチド(βAP)、39〜43アミノ酸長さの高度に不溶性のペプチドは、βシート構造をとり、オリゴマー化し、タンパク質凝集体を形成する強い傾向を有し、アミロイド・プラークの主要な成分である。アミロイド・ポリペプチド前駆物質がある一定のプロテアーゼ、セクレターゼとして知られるグループによって切断されるときに、βAPの産生が生ずる。βアミロイド・ペプチドのアミノ末端におけるβ−セクレターゼによる切断と、残基39と43との間の(最も頻繁には残基42における)γ−セクレターゼによる切断が、このペプチドが産生される手段を構成する。α−セクレターゼ(及び他のメタロプロテアーゼ)による切断は、βアミロイド・ペプチドの残基16と17との間を切断することによって可溶性切断産物を生じる。この経路は可溶性産物を産生することによって、βAPの可能な蓄積を減ずる。
【0003】
神経原線維濃縮体は、かっては栄養素を神経細胞に輸送することができたが、その後正常に機能しない濃縮体に変性したミクロチューブ及びミクロフィラメントから成る。これらの主要成分は高リン酸化τタンパク質とβAPである。これらの高リン酸化τタンパク質は、ADを含めた無数の神経変性障害にも関連する。βAPは、τの高リン酸化の原因であるので、これらの神経原線維濃縮体を惹起するとして実証されている。
【0004】
βAPの産生を制限するか(βまたはγセクレターゼの阻害)又はそのクリアランスを高める(α−セクレターゼの刺激)ことによってβAPの濃度を低減する作用剤は、AD及び他の神経変性状態に対して顕著な効果を及ぼすことができた。詳しくは、β−セクレターゼを阻害するように設計された薬剤はβAP濃度を減ずる筈であるので、アミロイド・プラーク及び神経原線維濃縮体を生じる傾向も弱める。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、βアミロイド切断酵素の新規な阻害剤、それを含有する薬剤組成物、及び例えばアルツハイマー病、クロイツフェルト−ヤーコブ病、プリオン障害、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、頭部外傷、発作、ダウン症候群、膵炎、封入体筋炎、他の末梢アミロイドーシス及び糖尿病のような神経障害の治療におけるその使用を提供する。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、式:
【化2】
Figure 0003696558
で示される化合物及びこのような化合物の製薬的に受容される塩に関する。
【0007】
本発明はまた、ヒトを含めた哺乳動物におけるアルツハイマー病、クロイツフェルト−ヤーコブ病、プリオン障害、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、頭部外傷、発作、ダウン症候群、膵炎、封入体筋炎、他の末梢アミロイドーシス及び糖尿病から選択された障害又は状態を治療するための薬剤組成物であって、このような障害又は状態の治療に有効である量の式I化合物又はその製薬的に受容される塩と、製薬的に受容されるキャリヤーとを含む前記薬剤組成物に関する。
【0008】
本発明は、ヒトを含めた哺乳動物におけるアルツハイマー病、クロイツフェルト−ヤーコブ病、プリオン障害、筋萎縮性側索硬化症、進行性核上性麻痺、頭部外傷、発作、ダウン症候群、膵炎、封入体筋炎、他の末梢アミロイドーシス及び糖尿病から選択された障害又は状態を治療する方法であって、前記哺乳動物にこのような障害又は状態の治療に有効である量の式I化合物又はその製薬的に受容される塩を投与することを含む前記方法に関する。
【0009】
本明細書で用いる“治療する”なる用語は、このような用語が適用される障害若しくは状態の進行を逆転する、軽減する、妨害する又はこのような障害若しくは状態を予防することを意味する。
本明細書で用いる“治療”なる用語は、“治療する”を直前に定義したと同様に、治療する行為を意味する。
【0010】
式I化合物はキラル中心を含有しうるので、種々なエナンチオマー形及びジアステレオマー形として存在しうる。本発明は、このような化合物のラセミ混合物と個々のエナンチオマー及びジアステレオマー並びにそれらの混合物の両方としての式I化合物の全ての光学異性体及び全ての立体異性体と、それぞれ、それらを含有する又は用いる、上記で定義した全ての薬剤組成物及び治療方法とに関する。
【0011】
本発明の式I化合物は少なくとも2つの不斉中心を有するので、これらは種々な立体異性体形又は形態で生成することができる。それ故、これらの化合物は分離した(+)−又は(−)−光学活性形並びにこれらの混合物として存在しうる。本発明はその範囲内にこのような形の全てを包含する。個々の異性体は、最終生成物又はその中間体の製造における、例えば光学分割、光学的選択反応又はクロマトグラフィー分離のような既知方法によって得ることができる。
【0012】
本発明の式I化合物が塩基性化合物である限り、これらは全て種々な無機酸及び有機酸によって非常に多様な異なる塩を形成することができる。このような塩は動物に投与するために製薬的に受容可能でなければならないが、最初に反応混合物から塩基化合物を製薬的に受容されない塩として単離して、次に、簡単にアルカリ性試薬による処理によって遊離塩基化合物に転化させ、その後に該遊離塩基を製薬的に受容される酸付加塩に転化させることが、実際にはしばしば望ましい。本発明の塩基化合物の酸付加塩は、該塩基化合物を水性溶媒中で又は例えばメタノール若しくはエタノールのような適当な有機溶媒中で選択された無機酸若しくは有機酸の実質的に当量によって処理することによって容易に製造される。溶媒を細心に蒸発させると、所望の固体塩が容易に得られる。本発明の上記塩基化合物の製薬的に受容される酸付加塩の製造に用いられる酸は非毒性酸付加塩、即ち、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硝酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、酸性クエン酸塩、酒石酸塩、酒石酸水素塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、サッカリン酸塩、安息香酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、及びパモエート[即ち、1,1’−メチレン−ビス−(2−ヒドロキシ−3−ナフトエート)]塩のような、製薬的に受容されるアニオンを含有する塩を形成するような酸である。
【0013】
本発明の式I化合物が酸性化合物である限り、これらはまた種々な無機塩基及び有機塩基によって非常に多様な異なる塩を形成することができる。本発明の製薬的に受容される塩基塩の製造に試薬として用いられる化学塩基は、式I化合物によって非毒性塩基塩を形成するような塩基である。このような非毒性塩基塩は、例えばナトリウム、カリウム、カルシウム及びマグネシウム等のような、薬理学的に受容されるカチオンから誘導されるような塩基塩を包含する。
【0014】
製薬的に受容される塩に関するレビューのためには、Berge等,J.Pharm.Sci.,66,1−19(1977)を参照のこと。
【0015】
本発明はまた、通常天然に見出される原子質量又は質量数とは異なる原子質量又は質量数を有する原子によって1個以上の原子が置換されている事実以外は、式(I)に示された化合物と同じである同位体標識化合物をも包含する。本発明の化合物中に組み入れることができる同位体の例は、例えば、それぞれ、2H、3H、13C、11C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18F及び36Clのような、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素及び塩素の同位体を包含する。上記同位体及び/又は他の原子の他の同位体を含有する、本発明の化合物、そのプロドラッグ及び前記化合物又は前記プロドラッグの製薬的に受容される塩も本発明の範囲内である。本発明のある一定の同位体標識化合物、例えば、3H及び14Cのような放射性同位体が組み込まれた同位体標識化合物は、薬物及び/又は基質の組織分布分析に有用である。トリチウム化、即ち、3H及び炭素−14、即ち、14C、同位体は、それらの製造の容易さ及び検出可能性のために、特に好ましい。さらに、例えばジュウテリウム、即ち、2Hのような重い同位体による置換はより大きい代謝安定性、例えばin vivo半減期の増加又は必要投与量の減少から生じる、ある一定の治療上の利益を与えることができるので、情況によっては好ましいと考えられる。本発明の式(I)の同位体標識化合物とそのプロドラッグとは一般に、以下のスキームに及び/又は実施例及び調製例に開示する方法を実施することによって、容易に入手可能な同位体標識試薬を非同位体標識試薬の代わりに用いることによって、製造することができる。
【0016】
本発明のより明確な実施態様は、治療される障害又は状態がアルツハイマー病である上記方法に関する。
本発明の他のより明確な実施態様は、治療される障害又は状態が筋萎縮性側索硬化症である上記方法に関する。
本発明の他のより明確な実施態様は、治療される障害又は状態が糖尿病である上記方法に関する。
【0017】
本発明の他のより明確な実施態様は、治療される障害又は状態が膵炎である上記方法に関する。
本発明の他のより明確な実施態様は、治療される障害又は状態が封入体筋炎である上記方法に関する。
【0018】
本発明の他のより明確な実施態様は、治療される障害又は状態が進行性核上性麻痺である上記方法に関する。
本発明の他のより明確な実施態様は、治療される障害又は状態が頭部外傷である上記方法に関する。
【0019】
本発明の他のより明確な実施態様は、治療される障害又は状態が発作である上記方法に関する。
本発明の他のより明確な実施態様は、治療される障害又は状態がプリオン障害である上記方法に関する。
【0020】
本発明の他のより明確な実施態様は、治療される障害又は状態がクロイツフェルト−ヤーコブ病である上記方法に関する。
本発明の他のより明確な実施態様は、治療される障害又は状態がダウン症候群である上記方法に関する。
【0021】
本発明の他のより明確な実施態様は、治療される障害又は状態が血管性痴呆、HIV病による痴呆、頭部外傷による痴呆、パーキンソン病による痴呆、ハンチントン病による痴呆、ピック病による痴呆、クロイツフェルト−ヤーコブ病による痴呆、物質誘導持続性痴呆、多重病因による痴呆及び他に特定されない(not otherwise specified(NOS))痴呆から選択される上記方法に関する。
【0022】
本発明の他のより明確な実施態様は、治療される障害又は状態がアルツハイマー型の痴呆であり、合併症のない早期発現するアルツハイマー型の痴呆、妄想を伴う早期発現するアルツハイマー型の痴呆、抑うつ型気分を伴う早期発現するアルツハイマー型の痴呆、合併症のない遅発性発現するアルツハイマー型の痴呆、妄想を伴う遅発性発現するアルツハイマー型の痴呆及び抑うつ型気分を伴う遅発性発現するアルツハイマー型の痴呆から成る群から選択される上記方法に関する。
【0023】
式I化合物は、以下のスキーム1に例示される固相ペプチド合成方法を用いて合成することができる。
【0024】
【化3】
Figure 0003696558
【0025】
【化4】
Figure 0003696558
【0026】
スキーム1に関して、FMOC−フェニルアラニン Wang樹脂(FMOC=9−フルオレニルメトキシカルボニル)は、収量及び時間の効率に関して最適化された固相ペプチド合成プロトコールを用いるトリペプチド段階のために考案されたものである。実施例1〜3に詳述する、これらのサイクルは2FMOC脱保護、洗浄、2−(1−H−ベンゾトリアゾール−1−イル)1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)活性化アミノ酸の単一カップリング、追加の洗浄、キャッピング及び最初はNMPによる、次に1:1トリフルオロエタノール/ジクロロメタンによる最終的洗浄を組み入れる。これらの洗浄は樹脂二次構造を緩めるために役立ち、完全な脱保護と、次のサイクル中の次に入るアミノ酸の効果的なカップリングとを可能にする。式IVのイソプロパノールシクロヘキシルホモスタチン誘導体の組み込み後に、これが窒素ではなく未保護酸素をアセチル化して、チェーン・アンビギュイティ(chain ambiguity)を生じるために、キャッピングは停止される。式IV化合物は以下のスキーム2に例示される方法を用いて合成することができる。この方法はさらに実施例1〜3に詳述する。
【0027】
【化5】
Figure 0003696558
【0028】
シクロヘキシルヒドロキシエチレンイソプロパノールジペプチド・アイソスターIVは式VIIのラクトンから、リチウムアニオンとアセトンとのアルドール縮合によって合成される。FMOC保護アミノ酸への加工は、中間段階生成物の単離なしに、同時工程で行なわれた。tert−ブチルジメチルシリル基による遷移状態アルコールの保護と、その後のエステル化生成物の加水分解とが、ペプチド合成に適したジペプチド・アイソスターIVを生じる。
【0029】
式I化合物の製薬的に受容される酸付加塩は、慣用的な方法で、遊離塩基(I)の溶液又は懸濁液を約1化学当量の製薬的に受容される酸によって処理することによって製造される。これらの塩の単離には、慣用的な濃縮及び再結晶方法が用いられる。適当な酸の具体例は、酢酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、スルホン酸、硫酸、イソニコチン酸、乳酸、サリチル酸、クエン酸、酒石酸、パントテン酸、バイタルトリック酸(bitartaric acid)、アスコルビン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルカロン酸(glucaronic acid)、サッカリン酸(saccharate)、ギ酸(formate)、安息香酸(benzoate)、グルタミン酸(glutamate)、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸及びグルコン酸である。
【0030】
式I化合物は、β−セクレターゼに結合するように設計されたペプチドに基づく分子である。ペプチドは製薬的に受容される塩として製造されることができるか、又はこれはそのネイティブな電荷状態で(in native charge state)存在しうる。これはネイティブAPPの配列に基づくが;これはヒドロキシエチレン結合アイソスターを含有するため、酵素によって加水分解されることができず、それによってβAPへのAPPの切断を阻害する。これは、in−vitro ELISAアッセイによって測定すると、49x10−9Mに等しいIC50 で酵素に結合する。当該技術分野において周知である、このようなアッセイは、阻害剤の不存在下での対照実験に比べて、β−セクレターゼとAPPの存在下で製造されたβAPの濃度を測定する(βAPのアミノ末端に対する抗体の検出によって)。
【0031】
式I化合物とその製薬的に受容される塩(以下では、一括して、“本発明の活性化合物”と呼ぶ)は、製薬的に実施において、単独で又は好ましくは、製薬的に受容されるキャリヤー若しくは希釈剤と組み合わせてヒト対象に投与されることができる。このような化合物は経口的又は非経口的に投与されることができる。非経口的投与は特に静脈内投与と筋肉内投与を包含する。さらに、本発明の活性化合物を含む薬剤組成物では、有効成分の、キャリヤーに対する重量比率は通常1:6から2:1まで、好ましくは1:4から1:1までの範囲内である。しかし、如何なる特定の場合においても、選択される比率は例えば有効成分の溶解性、意図される投与量及び正確な投与経路のような要因に依存する。
【0032】
本発明の活性化合物は哺乳動物に、経口、経皮、肺(pulmonary)、粘膜経路を介して、又は製薬的に受容されるビヒクルに溶解される場合には、非経口経路を介して投与されることができる。このビヒクルは投与経路に依存し、ターゲット分子の安定性、バイオアベイラビリティ又は吸収のために必要なアジュバントを含有することができる。治療投与濃度と、投与頻度とは処方医師によって判断される適応結果(indicated outcome)に応じて決定される。
【0033】
一般に、これらの化合物は最も望ましくは、単回投与又は分割投与(即ち、1〜4回投与/日)で約0.1〜約100mg/kg/日の範囲の投与量で投与されるが、治療される対象の種、重量及び状態並びに選択された特定の投与経路に依存して、変動は必然的に生ずる。しかし、約1mg〜約10mg/体重kg/日の範囲内である投与量レベルが最も望ましく用いられる。それにも拘わらず、治療される動物の種と、前記薬剤に対するその個々の反応に応じて、並びに選択された製薬的製剤の種類と、このような投与が行なわれる時間及び時間間隔とに応じて変動が起こりうる。場合によっては、上記範囲の下限未満の投与量レベルが充分すぎるほどであり、他の場合には、さらに大きい投与量が、このような大きい投与量レベルが最初に1日を通しての投与のために数回の小投与量に分割される限り、何ら有害な副作用を惹起することなく用いられることができる。
【0034】
本発明の活性化合物は単独で又は製薬的に受容されるキャリヤー若しくは希釈剤と組み合わせて、既述された経路のいずれかによって投与されることができ、このような投与は1回投与量で又は複数回投与量で行うことができる。さらに詳しくは、本発明の新規な治療剤は非常に多様な異なる投与形で投与されることができる、即ち、これらを種々な製薬的に受容される不活性キャリヤーと、錠剤、カプセル、菱形剤(lozenges)、トローチ、硬質キャンディ、粉末、スプレイ、クリーム、膏薬、座薬、ゼリー、ゲル、ペースト、ローション、軟膏、水性懸濁液、注射可能な溶液、エリキシル剤、シロップ等として組み合わせることができる。このようなキャリヤーは固体希釈剤若しくは充填剤、無菌水性媒質及び種々な非毒性有機溶媒等を包含する。さらに、経口薬剤組成物は適当に甘味及び/又はフレーバーをつけることができる。一般に、本発明の治療に有効な化合物はこのような投与形中に約5.0重量%〜約70重量%の範囲の濃度レベルで存在する。
【0035】
上述した種々な障害及び状態の治療に経口的に用いるためには、本発明の活性化合物は例えば錠剤若しくはカプセルとして、又は水溶液若しくは水性懸濁液として投与されることができる。例えば微結晶セルロース、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウム、リン酸二カルシウム及びグリシンのような、種々な賦形剤を含有する錠剤は、ポリビニルピロリドン、スクロース、ゼラチン及びアラビアゴムのような造粒結合剤と共に、例えば、澱粉(好ましくは、トウモロコシ澱粉、ジャガイモ澱粉若しくはタピオカ澱粉)、アルギン酸及びある一定の複合シリケート(complex silicates)のような種々な崩壊剤を一緒に含めて、用いることができる。さらに、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム及びタルクのような滑沢剤が、錠剤形成のためにしばしば非常に有用である。同様な種類の固体組成物をゼラチンカプセル中の充填剤として用いることもでき;これに関連して好ましい物質はラクトース又は乳糖並びに高分子量ポリエチレングリコールをも包含する。経口投与のために水性懸濁液及び/又はエリキシル剤が望ましい場合には、本発明の活性化合物を種々な甘味剤又はフレーバー剤、着色剤(coloring matter)又は染料と組み合わせることができ、必要な場合には、乳化剤及び/又は懸濁化剤も、例えば水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリン及びこれらの種々な同様な組み合わせのような希釈剤と共に組み合わせることができる。
【0036】
非経口投与のためには、胡麻油若しくは落花生油中又は水性プロピレングリコール中の本発明の活性化合物の溶液を用いることができる。この水溶液は必要な場合には適当に緩衝化するべきであり(好ましくは、8より大きいpH)、液体希釈剤は最初に等張性にするべきである。これらの水溶液は静脈内注射のために適する。油性溶液は関節内、筋肉内及び皮下注射のために適する。無菌条件下での総てのこれらの溶液の製造は当業者に周知の標準製薬技術によって容易に達成される。
【0037】
筋肉内、非経口的及び静脈内使用のためには、有効成分の無菌溶液を製造することができ、これらの溶液のpHは適当に調節して、緩衝化すべきである。静脈内使用のためには、製剤を等張性にするように、溶質の総濃度を調節すべきである。
下記実施例は式I化合物の合成を例示する。
【0038】
【実施例】
実施例1
式VIII化合物の合成
この化合物をNishi,T.等,Chemistry Letters,1993−1996頁(1989)の方法と同様に、以下のように合成した。
火炎乾燥したフラスコに受動的乾燥窒素雰囲気下で(under passive dry nitrogen atmosphere)、700μl(5mmol)のジイソプロピルアミンを25ml THF中に希釈し、この溶液を−35℃の内部温度に冷却した。2ml(5mmol)のヘキサン中n−ブチルリチウムを−35℃未満の内部温度を維持する速度で滴加した。これを−78℃に10分間維持した後に、15mlのTHF中に溶解した650mg(2mmol)のカルバミン酸,[2−シクロヘキシル−1−(テトラヒドロ−5−オキソ−2−フラニル)エチル]−,1,1−ジメチルエチルエステル,[S−(R★,R★)]−,(9Cl)(式VII化合物)の溶液を、−55℃未満の内部温度を維持しながら、注射器から滴加した。反応を−78℃において平衡させて、175μl(アセトン量のみ)のアセトンを、内部温度を−70℃未満に維持するような速度で加えた。1時間後に、反応を200mlの水の添加によってクエンチし、室温に温度上昇させることによって、仕上げ処理した。これを2x150mlの酢酸エチル(EtOAc)によって抽出した。一緒にしたEtOAc層を2x200mlのH2O、1x100mlの飽和(sat.)塩化ナトリウム(NaCl)によって洗浄し、硫酸マグネシウム(MgSO4)上で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮して、粗化合物VIIIを得た。5カラム量の20%EtOAc/ヘキサンによって、続いて10カラム量の25%EtOAc/ヘキサンによって、最後に5カラム量の33%EtOAc/ヘキサンによって溶出させる段階的勾配式のEtOAc/ヘキサンによって溶出させる、80gの二酸化ケイ素(SiO2)上でのフラッシュ・カラムクロマトグラフィーによる精製は、2種類の密接して溶出する物質の分離を生じた。より低い極性で、より主要な異性体に対応するフラクション(薄層クロマトグラフィー(TLC)によって判定して)をプールして、467mg(63%)の式VIII化合物を得た。
【0039】
【数1】
Figure 0003696558
【0040】
実施例2
式IV化合物の合成
76mg(0.205mmol)の実施例1標題化合物を3mlのトリフルオロ酢酸(TFA)中に溶解した。5分間後に、トリフルオロ酢酸を真空下で除去した。得られた固体を2mlのアセトニトリル(CH3CN)、800μlの水(H2O)及び200μl(1mmol)の5N水酸化ナトリウム(NaOH)中に溶解した。これは、30分間の反応時間後のエレクトロスプレイ質量分析検出と組み合わせた高速液体クロマトグラフィー(LC−ESMS)(m/z計算値=288.4、実測値288.0)によって判定して、所望のアミノ酸中間体であると実測された。1N塩酸(HCl)の添加によってpHを11に調節して、200mgの炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)の添加によって緩衝化した。75mg(0.222mmol)の9−フルオレニルメチルオキシカルボニル−N−ヒドロキシスクシンイミド(FMOC−OSu)を加えた。90分間後に、75mlのEtOAcと75mlのH2Oによって希釈することによって、生成物を単離した。EtOAc層を50mlの1N NaOHによって再抽出した。一緒にした水層を1x50mlの追加のEtOAcによって洗浄した。一緒にした水層を1N HClの添加によってpH1に調節して、2x50mlのEtOAcによって再抽出した。これらの一緒にした有機層を1x50mlのH2O、1x50mlの飽和塩化ナトリウム(NaCl)によって洗浄して、硫酸マグネシウム(MgSO4)上で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮して、油状物を得た。この粗物質をさらに精製せずに用いた。
【0041】
この油状固体に、1mlのDMF、続いて450mg(3mmol)のtert−ブチルジメチルシリルクロリドと100mg(1.5mmol)のイミダゾールとを加えた。この反応を周囲温度において一晩撹拌した。生成物を10%クエン酸の添加によって単離し、2x50mlのEtOAcによって抽出した。一緒にしたEtOAc層を1x50mlのH2O、1x50mlの飽和(sat.)NaClによって洗浄して、MgSO4上で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮して、油状物を得た。LC−ESMSは、この物質がモノシリルエーテル/シリルエステル中間体であることを実証した(M/Z計算値=738.18、実測値=738.02)。このエステルを2mlの3:1:1酢酸(HOAc)/H2O/テトラヒドロフラン(THF)中に溶解することによって、このエステルを加水分解した。90分間撹拌した後に、反応を真空下で濃縮した。33%EtOAc/ヘキサンによって溶出させる25g SiO2上のフラッシュ・カラムクロマトグラフィーによって精製し、最も主要な物質(the most prevalent material)(TLCによって判定して)に相当するフラクションを一緒にして、41mg(32%)の式IV化合物を得た。
【0042】
【数2】
Figure 0003696558
【0043】
実施例3
式I化合物の合成
製造者(Applied Biosystems)から提供されたFMOC(9−フルオレニルメトキシカルボニル)に基づく合成サイクルの改変を用いる固相ペプチド合成によって、ペプチド構築を完成した。本出願人の改変サイクルは20%ピペリジン/NMPによる2x5分間の処理によってアミノ末端を脱保護し;脱保護溶液の小アリコートをUV吸光度デテクターに通すことによる301nmにおけるUV吸光度によって、その効率をモニターする。別のカートリッジにおいて、入ってくるアミノ酸を、ジメチルホルムアミド(DMF)中に溶解した各0.9当量の2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)/1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)によって活性化する。2当量のジイソプロピルエチルアミン(DIEA)を加える。同時に、樹脂をN−メチルピロリドン(NMP)によって洗浄して、脱保護副生成物を除去する。洗浄溶液を樹脂からドレンして、活性化アミノ酸エステルを樹脂に移して、撹拌して、アミノ末端に20分間カップリングさせる。残留するカップリング溶液をドレンして、樹脂を再びNMPによって洗浄する。ペプチド均質性を保証するために、NMP中の0.4M無水酢酸/0.04M(HOBt)の溶液と12mmol DIEAとを樹脂に加えて、可能な未反応部位をアセチル化する。最後に、樹脂をNMPによって洗浄し、ドレンし、次に1:1ジクロロメタン/2,2,2−トリフルオロエタノールの混合物によって洗浄し、ドレンする。これはペプチド合成の1サイクルの典型である。
【0044】
Applied Biosystemsペプチド合成装置モデル433での合成に適した反応器に、417mgのFMOC−フェニルアラニン−Wang樹脂(0.25mmol)を入れた。この樹脂をジクロロメタンによって、次にNMPによってそれぞれ2回洗浄した。上記サイクルを用いて、1mmolのFMOC−Glu(OtBu)を脱保護フェニルアラニンにカップリングさせ、次に1mmolのFMOC−Alaをカップリングさせた。トリペプチド段階において、樹脂を上記の同じプロトコールを用いて再び脱保護し、NMP洗浄後に、追加のアミノ酸を導入せずに、合成は終了した。樹脂の75%は取り出され、今後の使用のために貯蔵された。栓のしてある乾燥エーレンマイヤーフラスコ中で、41mg(65.7μmol)の実施例2標題化合物を500μlのDMF中に溶解した。これに、22.5mg(59.1μmol)のN−[(ジメチルアミノ)−1H−1,2,3−トリアゾロ[4,5−b]ピリジノ−1−イルメチレン]−N−メチル−メタンアミニウムヘキサフルオロホスフェートN−オキシド(HATU)を加え、続いて、59μlの2M DIEA/NMPを加えた。これに、25%のトリペプチド樹脂(62.5μmol)を移し、反応を周囲温度において60分間渦流させた。樹脂を濾過し、NMPによって洗浄してから、ペプチド合成装置に戻して、ペプチド構築を続けた。これらの追加のサイクルは、可能な不安定性のために、無水酢酸キャッピングの不存在下で行った。完成したペプチド樹脂をNMPによって、次にジクロロメタン(DCM)によって洗浄して、真空下で乾燥させた。側鎖基の同時切断と脱保護とは2mlの試薬Kによる処理によって行なった(King,D.,Int.J.Peptide Protein Res.,36,255−266(1990))。生成物を濾過によって樹脂から単離して;濾液を50mlのエチルエーテル(Et2O)に加えた。生じた白色沈殿を遠心分離によって回収し、50mlの追加のEt2Oによって洗浄し、遠心分離し、デカントし、真空下で乾燥させて、25mg(41%)の粗化合物Iを得た。半分取逆相HPLC(カラム=Phenomenex LUNA 5μm c5,250x10mm,流量=3ml/分,勾配=30分間にわたって0%B〜80%B(A=5%CH3CN/0.1%TFA/94.9%H2O;B=100%CH3CN))による2等分しての精製と、低極性ピークに相当するフラクションの回収とによって、8.7mg(14%)の精製式I化合物を得た。逆相LC−ESMSによる再分析は均質な生成物を示す(m/z計算値=977.13、実測値=977.02)。
【0045】
【化6】
Figure 0003696558

【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の化合物のNMRスペクトルを示す。

Claims (1)

  1. 式:
    Figure 0003696558
    で示される化合物又はその製薬的に受容される塩。
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