JP3697656B2 - 透明塩化ビニル樹脂積層板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、透明性、耐熱性、耐蝕性、加工性等が良好な透明塩化ビニル樹脂積層板に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、洗浄槽やメッキ槽のような化学薬液槽の材料板として、良好な透明性を有し、耐熱性があって、温水白化が生じず、しかも、耐蝕性(耐薬品性)の良いプラスチック板の開発が望まれている。
【0003】
その一つとして、塩素化率を高めた透明な塩素化塩化ビニル樹脂板が存在するが、この塩素化塩化ビニル樹脂板は耐熱性が良く、温水白化が生じない反面、耐蝕性(耐薬品性)に劣るという問題があった。
【0004】
また、この耐蝕性を向上させるために、塩素化率を高めた透明な塩素化塩化ビニル樹脂板の表層に、通常の透明な塩化ビニル樹脂板を積層した板があるが、耐蝕性は改善される反面、表層のこの通常の透明な塩化ビニル樹脂板の耐熱性が低いことに起因して、高温下の洗浄槽等への使用では、この塩化ビニル樹脂板に温水等の浸透・吸水が生じて白濁化するといういわゆる温水白化の結果、透明性、透視性が低下する問題があった。
【0005】
一方、塩素化率が62〜65%で塩素化前の重合度が500〜800である塩素化塩化ビニル樹脂からなる中層の両面に、塩素化率が58〜62%で塩素化前の重合度が800〜1000である塩素化塩化ビニル樹脂からなる表層を積層した塩素化塩化ビニル樹脂複合板も提案されている(実開平7−28634号)。
【0006】
この塩素化塩化ビニル樹脂複合板は、塩素化率の高い塩素化塩化ビニル樹脂の耐熱性を生かして中層を形成する一方、耐蝕性を改善するために塩素化率が低く重合度の高い塩素化塩化ビニル樹脂を用いて表層を形成したものであるが、次のような問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
即ち、上記の塩素化塩化ビニル樹脂複合板のように、表層も塩素化塩化ビニル樹脂で形成されていると、その塩素化率が58〜62%とあまり高くなくても、表層の全光線透過率が低くなり、ヘーズ値(曇り度)や黄変度(YI)が高くなるため、透明性や透視性が低下するという問題があった。
【0008】
また、表層が塩素化塩化ビニル樹脂で形成されると、塩素化率を58〜62%と中層より低くしても、耐蝕性(耐薬品性)が悪く、化学薬液槽等に用いられる場合、この塩素化塩化ビニル樹脂の表層に、歪みが内在していると薬液との接触により、クラック等が生じやすく、実質的には透明性の要求される用途には不適当であるとの問題があった。
【0009】
更に、表層の塩素化塩化ビニル樹脂の塩素化率は、複合板の用途に応じて最適の塩素化率となるように適宜変更することが望ましいのであるが、このように塩素化率を変更しようと思えば、その塩素化率の塩素化塩化ビニル樹脂を樹脂メーカーに特注しなければならないため、コストが高くなるという問題もあった。
【0010】
本発明は上記の問題に対処すべくなされたもので、その目的とするところは、実質的に塩素化塩化ビニル樹脂本来の耐熱性を有し、透明性や耐蝕性(耐薬品性)が良好で、しかも、表面層の塩素化率を簡単に調節、変更できるためコストアップを招かない透明塩化ビニル樹脂積層板を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に係る透明塩化ビニル樹脂積層板は、塩化ビニル樹脂と塩素化塩化ビニル樹脂との混合樹脂からなる表面層を、この混合樹脂の平均塩素化率よりも高い塩素化率を有する塩素化塩化ビニル樹脂からなる基板の片面又は両面に積層一体化したことを特徴とするものである。
【0012】
そして、請求項2に係る透明塩化ビニル樹脂積層板は、上記請求項1の積層板に於て、その表面層が、塩化ビニル樹脂と60〜66%の塩素化率を有する塩素化塩化ビニル樹脂とを混合した、58〜60%の平均塩素化率を有する混合樹脂からなることを特徴とするものであり、
請求項3に係る透明塩化ビニル樹脂積層板は、上記請求項2の積層板に於て、その基板を構成する塩素化塩化ビニル樹脂の塩素化率が60〜66%であることを特徴とするものである。
【0013】
請求項1の透明塩化ビニル樹脂積層板は、表面層の混合樹脂の平均塩素化率よりも高い塩素化率を有する塩素化塩化ビニル樹脂で基板を形成しているため、実質的に、積層板全体としては、塩素化塩化ビニル樹脂本来の耐熱性を有するものであり、耐熱性が良好である。特に、請求項3の積層板のように、基板を構成する塩素化塩化ビニル樹脂の塩素化率が60〜66%であると、塩素化率が56.8%(計算値)の通常の塩化ビニル樹脂で基板を形成する場合に比べて、耐熱性の指標となる耐熱温度(荷重たわみ温度)が少なくとも10℃以上高くなる。しかも、この耐熱温度の上昇にあっても曲げ加工性を損なうこともない。更に、上記請求項1の透明塩化ビニル樹脂積層板は、表面層が、上述の従来の技術に見られるような、通常の塩化ビニル樹脂単独で形成された板を積層した表層とは異なり、塩化ビニル樹脂と塩素化塩化ビニル樹脂の混合樹脂からなるため、表面層においても、上述の従来の技術の表層に比べ、耐熱温度が高いものであり、高温下の洗浄槽等に用いられる場合も、表面層が、温水等の浸透・吸水により温水白化して、透明性、透視性を低下させることがない。
【0014】
また、請求項1の透明塩化ビニル樹脂積層板のように、塩化ビニル樹脂と塩素化塩化ビニル樹脂との混合樹脂で表面層を形成すると、後述の実験データに示されるように、この混合樹脂の平均塩素化率に等しい塩素化率を有する塩素化塩化ビニル樹脂単独で表面層を形成する場合に比べて、表面層の全光線透過率の低下が少なくなり、ヘーズ値や黄変度が減少するため、透明性や透視性が向上する。また、塩素化塩化ビニル樹脂単独の表面層を形成する場合に比べて、耐薬品性も向上する。その結果、化学薬液槽等に用いられた場合でも、クラック等を生じにくく、透明性、透視性を低下させることもない。
【0015】
その理由については、おそらく塩化ビニル樹脂と塩素化塩化ビニル樹脂が充分に相溶し、相乗効果的に両者の有する性質の長所が充分に発揮されて、全光線透過率が高く、かつ、ヘーズ値や黄変度が低く、かつ、耐蝕性に優れた塩化ビニル樹脂が、透明性や耐蝕性の向上に大きく寄与するためと推測される。
【0016】
特に、請求項2の積層板のように、通常の塩化ビニル樹脂と60〜66%の塩素化率を有する塩素化塩化ビニル樹脂とを混合した平均塩素化率が58〜60%の混合樹脂で表面層を形成すると、表面層の全光線透過率やヘーズ値が、透明性の良い通常の塩化ビニル樹脂単独で形成された表面層のそれらと殆ど変わらなくなり、また、黄変度も塩素化率が58〜60%の塩素化塩化ビニル樹脂単独で形成された表面層に比べてかなり減少するため、透明性や透視性の良好な積層板が得られる。そして、表面層の耐蝕性(耐薬品性)も、塩素化率が58〜60%の塩素化塩化ビニル樹脂単独で形成された表面層のそれに比べるとかなり向上する。
【0017】
また、請求項1〜3の積層板では、塩化ビニル樹脂と塩素化塩化ビニル樹脂との混合割合を変更するだけで、表面層を構成する混合樹脂の平均塩素化率を種々変更、調整することができるので、用途に応じて表面層を最適の平均塩素化率に調整した積層板を容易に得ることができ、従来のように特定の塩素化率の塩素化塩化ビニル樹脂を特注する必要がないので、コストアップを招くこともない。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の具体的な実施形態を詳述する。
【0019】
図1は本発明の一実施形態に係る透明塩化ビニル樹脂積層板の断面図である。
【0020】
この実施形態の透明塩化ビニル樹脂積層板は、基板1の両面に表面層2,2を積層一体化した三層構造の積層板に構成されている。但し、表面層2は必ずしも基板1の両面に積層する必要がなく、基板1の少なくとも片面に表面層2を積層一体化して二層構造の透明塩化ビニル樹脂積層板としてもよい。
【0021】
この透明塩化ビニル樹脂積層板の基板1は、表面層2,2を構成する混合樹脂よりも塩素化率の高い塩素化塩化ビニル樹脂からなるものであり、具体的には、塩素化率が60〜66%で塩素化前の重合度が500〜1000程度の塩素化塩化ビニル樹脂を用いて形成されている。
【0022】
これに対し、表面層2,2は通常の塩化ビニル樹脂と塩素化塩化ビニル樹脂との混合樹脂からなるものであり、具体的には、塩素化率が56.8%(計算値)で重合度が700〜1300程度の通常の塩化ビニル樹脂と、塩素化率が60〜66%で塩素化前の重合度が500〜1000程度の塩素化塩化ビニル樹脂とを混合した、平均塩素化率が58〜60%の混合樹脂を用いて形成されている。
【0023】
基板1の厚さや表面層2,2の厚さは特に限定されないが、実用性、強度、耐蝕性等を考慮すると、基板1の厚さを1〜20mm程度、好ましくは2〜11mm程度とし、表面層2,2の厚さを0.1〜2mm程度、好ましくは0.5〜1mm程度とするのが良い。なお、本発明の透明塩化ビニル樹脂積層板は、必要に応じて各種添加剤(安定剤、滑剤等)を配合してもよいことは勿論である。
【0024】
このような透明塩化ビニル樹脂積層板は、例えば、▲1▼多層(三層)共押出成形法により塩素化塩化ビニル樹脂を板状に押出して基板1を成形すると同時に、その両面又は片面に塩化ビニル樹脂と塩素化塩化ビニル樹脂との混合樹脂を層状に押出して表面層2を形成するか、▲2▼塩素化塩化ビニル樹脂で押出成形した基板1の両面又は片面に、混合樹脂で造ったフィルム又はシートをラミネートして表面層2を形成するか、▲3▼塩素化塩化ビニル樹脂で押出成形した基板1の両面又は片面に混合樹脂の塗液を塗装(ロールコーティング、ディッピング、吹付け等)して表面層2を形成するか、▲4▼塩素化塩化ビニル樹脂で成形された基板1の両面又は片面に、混合樹脂で造ったフィルム又はシートを重ね合わせて、加圧プレスによって表面層2を形成する、などの方法によって容易に製造される。勿論、これらの方法以外にも、本発明に適用可能な方法であれば採用してもよい。
【0025】
上記の透明塩化ビニル樹脂積層板は、表面層2,2を構成する混合樹脂の平均塩素化率よりも高い60〜66%の塩素化率を有する塩素化塩化ビニル樹脂によって基板1を形成しているため、耐熱性が良好であり、後述の実験結果から分かるように、通常の塩化ビニル樹脂で基板を形成する場合に比べると、耐熱温度(荷重たわみ温度)が少なくとも10℃以上高くなる。しかも、この耐熱温度の上昇にあっても曲げ加工性を損なうこともない。更に、上記の透明塩化ビニル樹脂積層板は、塩化ビニル樹脂と塩素化塩化ビニル樹脂を混合した平均塩素化率が58〜60%の混合樹脂で表面層2,2を形成しているため、後述の実験結果から分かるように、表面層2,2も、通常の塩化ビニル樹脂単独からなる表面層のものに比べて、耐熱温度が高く、従って、洗浄槽等に用いられた場合でも、この表面層2,2が高温下の温水等で白濁化することがないので、透明性、透視性を低下するというようなこともない。なお、基板1を構成する塩素化塩化ビニル樹脂の塩素化率は、60%を下回ると剛性や耐熱性が低下し、逆に、66%を上回ると曲げ加工性や成形加工性が低下するので、いずれも好ましくない。
【0026】
また、上述の如く、上記の透明塩化ビニル樹脂積層板は、塩化ビニル樹脂と塩素化塩化ビニル樹脂を混合した平均塩素化率が58〜60%の混合樹脂で表面層2,2を形成しているため、後述の実験結果から分かるように、同じ58〜60%の塩素化率を有する塩素化塩化ビニル樹脂単独で表面層を形成する場合に比べて、表面層2,2の全光線透過率が高くなると共に、ヘーズ値や黄変度(YI)が減少して透明性や透視性が向上し、特に、全光線透過率やヘーズ値は、透明性の良い通常の塩化ビニル樹脂で表面層2,2を形成する場合と殆ど変わらなくなる。そして、同じ58〜60%の塩素化率を有する塩素化塩化ビニル樹脂単独で表面層を形成する場合に比べて、耐蝕性(耐薬品性)も向上する。その結果、表面層2,2に歪みが内在している状態であっても、化学薬液槽等のような薬液と接触する用途として用いても、薬液との接触により、簡単にクラック等が生じにくく、透明性が要求される用途の使用に、充分満足できるものである。
【0027】
表面層2,2を構成する混合樹脂の平均塩素化率が58%を下回ると、透明性(透視性)や耐蝕性(耐薬品性)は更に向上するけれども、表面層2,2の耐熱性が低下して温水白化が生じ易くなり、逆に、60%を上回ると、透明性や耐蝕性が低下するので、いずれも好ましくない。
【0028】
また、上記の透明塩化ビニル樹脂積層板のように混合樹脂で表面層2,2を形成すると、塩化ビニル樹脂と塩素化塩化ビニル樹脂の混合割合を変更するだけで、表面層2,2を構成する混合樹脂の平均塩素化率を変更、調整して最適の平均塩素化率にすることができるので、従来のように特定の塩素化率の塩素化塩化ビニル樹脂を特注する必要がなくなり、コストアップを防止することができる。
【0029】
次に、本発明の透明塩化ビニル樹脂積層板の効果を裏付けるために行った実験について説明する。
【0030】
[実験1]
塩素化率が56.8%の通常の塩化ビニル樹脂(重合度1000)と、塩素化率が略65%の塩素化塩化ビニル樹脂(塩素化前の重合度800)を下記の表1に示す混合割合で均一に混合し、この混合樹脂を厚さ2mmの板状にプレス成形したのち切断して、平均塩素化率が略58%の試料A(50×50×2mm)と、平均塩素化率が略60%の試料B(50×50×2mm)を作製した。そして、これらの試料A,Bについて、全光線透過率、ヘーズ値、黄変度をそれぞれ測定した。その結果を下記の表1に示す。
【0031】
比較のために、上記の塩化ビニル樹脂単独で作製した試料C(50×50×2mm)、塩素化率が略58%の塩素化塩化ビニル樹脂単独で作製した試料D(50×50×2mm)、塩素化率が略62%の塩素化塩化ビニル樹脂単独で作製した試料E(50×50×2mm)、塩素化率が略65%の塩素化塩化ビニル樹脂単独で作製した試料F(50×50×2mm)についても、同様に全光線透過率、ヘーズ値、黄変度を測定し、その結果を下記の表1に示した。
【0032】
【表1】
【0033】
この表1を見ると、混合樹脂よりなる試料A,Bは、全光線透過率がそれぞれ90.4%,89.5%であり、塩化ビニル樹脂単独の試料Cの全光線透過率91.0%と余り変わらない値である。そして、試料A,Bのヘーズ値はそれぞれ2.35%と2.73%であり、塩化ビニル樹脂単独の試料Cのヘーズ値2.75%よりも僅かに小さい値である。
【0034】
これに対し、塩素化塩化ビニル樹脂単独の試料Dは、その塩素化率が試料Bより低く試料Aと同一であるにも拘らず、全光線透過率が87.7%で試料A,Bより低い値であり、ヘーズ値も3.46%で試料A,Bより大きい値である。また、塩素化塩化ビニル樹脂単独の試料E,Fの全光線透過率は、それぞれ86.0%、84.4%で、より低くなる傾向にあり、試料E,Fのヘーズ値も、それぞれ3.85%、4.3%で、より大きくなる傾向にある。
【0035】
また、試料A,Bの黄変度はそれぞれ19.01と21.28であり、塩化ビニル樹脂単独の試料Cの黄変度5.8に比べるとかなり高い値であるが、塩素化塩化ビニル樹脂単独の試料Fの黄変度の37に比べては、勿論のこと、塩素化塩化ビニル樹脂単独の試料D,Eの黄変度のそれぞれ25.13、28.5に比べても低い値である。
【0036】
以上のことから、平均塩素化率が58〜60%の範囲内の混合樹脂よりなる試料A,Bは、同じ程度の塩素化率を有する塩素化塩化ビニル樹脂単独の試料Dと比べても透明性や透視性が良好で、通常の塩化ビニル樹脂単独の試料Cと余り変わらない程度であり、従って、このような混合樹脂よりなる表面層を形成した本発明の透明塩化ビニル樹脂積層板は、試料A,Bより高い塩素化率を有する塩素化塩化ビニル樹脂単独の表面層を形成した従来の複合板はもとより、試料A,Bと同じ程度の塩素化率を有する塩素化塩化ビニル樹脂単独の表面層を形成した従来の複合板に比べて、透明性や透視性が向上することが分かる。
【0037】
[実験2]
実験1で作製した混合樹脂の試料A,Bと、塩化ビニル樹脂単独の試料Cについて、JIS K 6745に準じた寸法により、それぞれの試料の荷重たわみ温度を、荷重たわみ温度測定方法JIS K 6745に基づいて測定した。
【0038】
また、塩素化率が略58%の塩素化塩化ビニル樹脂(塩素化前の重合度800)単独のJIS K 6745に準じる寸法の試料Dと、塩素化率が略62%の塩素化塩化ビニル樹脂(塩素化前の重合度800)単独のJIS K 6745に準じる寸法の試料Eと、塩素化率が略65%の塩素化塩化ビニル樹脂(塩素化前の重合度800)単独のJIS K 6745に準じる寸法の試料Fを作製して、上記と同様のJIS K 6745に基づく方法で荷重たわみ温度を測定した。その結果を上記の表1に示す。
【0039】
上記の表1を見ると、塩素化率が略62%と略65%の塩素化塩化ビニル樹脂からなる試料E,Fの荷重たわみ温度はそれぞれ85℃と94℃であり、通常の塩化ビニル樹脂からなる試料Cの荷重たわみ温度71℃に比べると14〜23℃も高く、また、平均塩素化率が58〜60%の範囲内にある混合樹脂の試料A,Bの荷重たわみ温度73℃,77℃に比べても8〜21℃高くなっており、更に塩素化率が略58%の塩素化塩化ビニル樹脂からなる試料Dの荷重たわみ温度76℃と比べても9〜18℃高くなっている。また、平均塩素化率が58〜60%の範囲内にある混合樹脂の試料A,Bの荷重たわみ温度は、通常の塩化ビニル樹脂からなる試料Cのそれと比べて、2〜6℃高くなっている。
【0040】
このことから、本発明の透明塩化ビニル樹脂積層板は、基板1が、通常の塩化ビニル樹脂や、塩素化度が60%未満の塩素化塩化ビニル樹脂や、上記の平均塩素化率が58〜60%の混合樹脂よりも優れた耐熱性を有する塩素化率が60〜66%の範囲内にある塩素化塩化ビニル樹脂からなり、また、この透明塩化ビニル樹脂積層板の表面層2,2が、通常の塩化ビニル樹脂単独よりも耐熱性の良い上記の平均塩素化率が58〜60%の範囲内にある混合樹脂で形成されているので、通常の塩化ビニル樹脂を表面層に形成した従来の複合板に比べて、耐熱性が充分向上しており、本発明において望まれている耐熱用途分野に適用できる、満足できる耐熱性を有していることが分かる。
【0041】
[実験3]
更に、実験1で作製した試料A,B,C,D,E,Fを、60℃の温水中に10日間浸漬し、これらの試料のヘーズ値の変化から吸水による耐温水白化性の程度を調べて、その結果を前記の表1に示した。なお、表1の[耐温水白化性]の項目において、○はヘーズ値が10%以下の場合を示し、また、×はヘーズ値が10%を越える場合を示す。
【0042】
試料A,B,D,E,Fの浸漬前のヘーズ値は、表1の[ヘーズ値]の項目のところに記載されているように、それぞれ2.35%、2.73%、3.46%、3.85%、4.3%であり、浸漬後においても、吸水による温水白化の影響は少なく、透明性、透視性を得るために望ましいと言える10%以下の値であった。しかし、通常の塩化ビニル樹脂単独からなる試料Cのみは、浸漬前のヘーズ値は2.75%であるが、浸漬後においては、温水白化の影響が見られる10%を越える値であった。
【0043】
従って、平均塩素化率が58〜60%の範囲内にある通常の塩化ビニル樹脂と塩素化塩化ビニル樹脂との混合樹脂を用いて形成した透明塩化ビニル樹脂積層板は、塩化ビニル樹脂単独を表面層に形成した透明塩化ビニル樹脂積層板よりも、耐温水白化性が優れていることが分かる。
【0044】
[実験4]
実験1で作製した試料A,B,C,D,E,Fのそれぞれに、200kgf/cm2 の応力(溶接加工時に発生する溶接歪み等を考慮した応力)を負荷させて、60℃の強アルカリ脱脂液(洗浄槽等を洗浄する場合等に用いられる液)に2週間浸漬し、試料の外観観察から耐薬品性の良、否を調べて、その結果を前記の表1に示した。なお、表1の[耐薬品性]の項目において、○は外観変化なし、○△は微細なヒビ割れ(クレーズ)発生、△はクラック発生、×は大きなクラック発生を示す。
【0045】
耐薬品性については、表1に示すように、通常の塩化ビニル樹脂単独よりなる試料Cと、平均塩素化率が58〜60%の範囲内にある通常の塩化ビニル樹脂と塩素化塩化ビニル樹脂との混合樹脂からなる試料A,Bが外観変化なく良好であり、塩素化率が略58%の塩素化塩化ビニル樹脂単独よりなる試料Dは、微細なヒビ割れ(クレーズ)が観察されており、また、塩素化率が60%以上の塩素化塩化ビニル樹脂単独の試料E,Fはいずれも、クラックもしくは大きなクラックが観察されて、不良の判定となった。
【0046】
このことより、平均塩素化率が58〜60%の範囲内の混合樹脂よりなる試料A,Bは、塩素化率58〜62%の範囲内の塩素化塩化ビニル樹脂単独よりなる試料D,Eに比べると耐薬品性が良好で、通常の塩化ビニル樹脂の試料Cと同等であり、従って、平均塩素化率58〜60%の混合樹脂を用いて表面層を形成した透明塩化ビニル樹脂積層板は、塩化ビニル樹脂単独の表面層を形成した従来の複合板と同等の耐薬品性を有しており、塩素化率58〜62%の塩素化塩化ビニル樹脂単独の表面層を形成した従来の複合板に比べて、耐薬品性が向上していることが分かる。
【0047】
また、更に、確認の意味で、厚さ3mmの塩素化率が60〜66%の範囲内にある略65%の塩素化塩化ビニル樹脂単独からなる基材1に、厚さを1mmに変えて作製したそれぞれの試料A,B,C,D,E(試料Fは省略)を表面層2,2として形成した複合板について、上記と同様な条件における耐薬品性の実験を行ったが、表1に示すように、上記の試料A,B,C,D,Eで観察された状態と同様な結果が得られた。
【0048】
[実験5]
次に、前記の厚さ2mmの試料A,B,C,D,E,Fについて、パイプヒーターにより加熱(約170℃)後、直角曲げ加工を行って、曲げ加工性の良、否を調べた。その結果は、表1の[曲げ加工性]の項目のところに○で示されるように、いずれの試料も「良」の判定であった。
【0049】
更に、厚さ3mmの塩素化率が60〜66%の範囲内にある略65%の塩素化塩化ビニル樹脂単独からなる基材に、上記同様に、厚さを1mmに変えて作製した試料A,B,C,D,E(試料Fは省略)をそれぞれ表面層2,2として形成した複合板について、同様の曲げ加工試験を行ったところ、上記同様、いずれも良好であった。
【0050】
上記の[実験3〜実験5]より、通常の塩化ビニル樹脂と塩素化塩化ビニル樹脂との平均塩素化率が58〜60%の範囲内の混合樹脂を用いて表面層を形成した本発明の透明塩化ビニル樹脂積層板は、良好な耐蝕性(耐薬品性)、耐温水白化性を有し、曲げ加工性においても満足できるものであることが分かる。
【0051】
【発明の効果】
以上の説明及び実験結果から明らかなように、本発明の透明塩化ビニル樹脂積層板は、良好な透明性を有すると共に、実質的に塩素化塩化ビニル樹脂本来の耐熱性を有し、温水白化を生じず、また、耐蝕性(耐薬品性)も良好であり、しかも、表面層の塩素化率を簡単に調節、変更できるためコストアップを防止できるなど、多くの顕著な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の一実施形態に係る透明塩化ビニル樹脂積層板の断面図である。
【符号の説明】
1 基板
2 表面層
Claims (3)
- 塩化ビニル樹脂と塩素化塩化ビニル樹脂との混合樹脂からなる表面層を、この混合樹脂の平均塩素化率よりも高い塩素化率を有する塩素化塩化ビニル樹脂からなる基板の片面又は両面に積層一体化したことを特徴とする透明塩化ビニル樹脂積層板。
- 表面層が、塩化ビニル樹脂と60〜66%の塩素化率を有する塩素化塩化ビニル樹脂とを混合した、58〜60%の平均塩素化率を有する混合樹脂からなることを特徴とする請求項1に記載の透明塩化ビニル樹脂積層板。
- 基板を構成する塩素化塩化ビニル樹脂の塩素化率が60〜66%であることを特徴とする請求項2に記載の透明塩化ビニル樹脂積層板。
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|---|---|---|---|
| JP34099699A JP3697656B2 (ja) | 1999-11-30 | 1999-11-30 | 透明塩化ビニル樹脂積層板 |
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|---|---|---|---|
| JP34099699A JP3697656B2 (ja) | 1999-11-30 | 1999-11-30 | 透明塩化ビニル樹脂積層板 |
Publications (2)
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