JP3701352B2 - 断熱パネル及びこれを用いた断熱構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、木造住宅をはじめ、鉄筋コンクリート構造,鉄骨構造などの各種建築物において、その屋根,天井,壁,床等に使用される断熱パネル、及びこの断熱パネルを用いた断熱構造に関する。
【0002】
【技術背景】
従来、例えば木造住宅の壁の断熱構造として、間柱間の壁体内にグラスウールを充填するものが知られている。この断熱構造は、グラスウールが安価であるため施工コストが安い、施工が簡便である等の利点が有する反面、以下のような欠点がある。
【0003】
即ち、建物内外の温度差によりグラスウールが結露水を内包するようになり、この結露水の重みにより、グラスウールが下方に圧縮され、壁体の上部に空間が生成される場合がある。極端な場合、施工当初に壁体内全体に充填されていたグラスウールが、長期間が経過するうちに壁体内の下半分近くまでズレ落ちてしまい、壁体内の上半分にグラスウールの存在しない空洞部が生じてしまう。
こうした場合、当然、壁体の断熱性能が著しく低下し、壁体内の内部結露水の発生が助長されると言った問題が生じる。通常は、壁面を剥がさない限り、グラスウールが自重で潰れ壁体の上部に空間が生成された状況を目視することはできない。
【0004】
更に、内部に結露水が残存すると、木造躯体が腐り易くなり、またグラスウールに蓄積された水分が室内側の壁面に滲み出したり、あるいは壁面にカビが発生すると言った問題がある。
【0005】
壁体に限らず屋根,天井,床等にグラスウールを充填したときも事情は同じであり、結露水の発生によりグラスウールの厚みが減少し、断熱性能が低下する。また、グラスウールに蓄積された水分が室内側の天井面や床面に滲出したり、カビが発生する等の問題がある。
【0006】
こうしたグラスウールを充填する断熱構造の欠点を解消するものとして、近年、合成樹脂フォームを本体とする断熱パネルが普及しつつあり、パネル本体の両面に板紙などの面材を積層した断熱パネルも開発されている。
従来のこの種の断熱パネルを用いた場合、該パネルを壁体の軸部材間に挿着する際に取付けできなかったり、柱や間柱との間に隙間ができ易い。これは軸部材の寸法精度のバラツキによるもので、断熱パネルを軸部材間隔(隣接する軸部材の対向面間距離)に合わせてカットしても、軸部材との間に3〜4mm程度の隙間が開くことは往々にしてある。この隙間は断熱性能低下の原因となるので、現在のところウレタンフォームの現場発泡やコーキング材の充填処理により塞いでいる。このため、その施工には多大な手間が掛かり、施工費用のアップは避けられない。
【0007】
そこで、図9に示すように、断熱パネル23の両側を斜めにカットすることで、端部をテーパー状に形成し(この切り口面を24で、該端部を25で示す)、端部25,25を押し潰し、その弾力によって軸部材26間に隙間なく挿着できるようにした断熱構造も知られている。しかし、この断熱構造では、断熱パネル23の両側の切り口面24,24には面材が形成されておらず、かつ該切り口面24と軸部材26との間には開放空間27ができる。このため、端部25,25付近では断熱性能が低下し、充分な断熱性能が期待できないという問題がある。
【0008】
【発明の目的】
本発明は、軸部材間に簡単に挿着できるものでありながら、充分な断熱性能を発揮することができる断熱パネル及び断熱構造を提供することを目的とする。
【0009】
【発明の概要】
上記目的を達成するために、本発明の断熱パネルは、パネル本体が合成樹脂フォームからなり、その両面に可撓性を有する面材が積層されてなる断熱パネルにおいて、該パネル本体の少なくとも一側の縁部から、該パネル本体を断面コ字状に切欠くことにより形成した面材と該フォームとからなる面材突出部を突出させ、軸部材間に挿し込まれる際に、該面材突出部が湾曲または折れ曲がる状態で該軸部材の内面に密着することを特徴とする。
さらにパネル本体の少なくとも一側の縁部に、面材突出部が略直角に折れ曲がるための嵌合溝を形成してもよい。
【0010】
また、本発明の断熱構造は、全体が方形をなし、前記両面材突出部がパネル本体の両側の縁部から突出してなる上記の断熱パネルが、一対の軸部材間に挿着されて構成され、前記パネル本体の幅が軸部材間隔以下、前記面材突出部の幅が軸部材間隔以上であることを特徴とする。
【0011】
本発明の断熱パネルは、木造住宅をはじめ、鉄筋コンクリート構造,鉄骨構造などの各種建築物の屋根,天井,壁面,床等を断熱するために、その軸部材(柱,間柱,根太,大引,梁等)間に挿着され、これにより、本発明の断熱構造が作られる。
【0012】
通常、2つの軸部材の間隔(即ち、両軸部材の対向面間距離)には多少の寸法のバラツキがある。本発明の断熱パネルは、面材突出部がパネル本体の両側の各端面から突出している。この突出部は、断熱パネルが軸部材間に挿し込む際に折れ曲がる。これにより、軸部材間の寸法のバラツキを吸収し、軸部材の内面と押接して該軸部材間内に安定した状態で、隙間なく挿着される。断熱パネルの挿着により、各一対の面材突出部の間に閉塞された断熱空間がそれぞれ形成され、パネル本体(合成樹脂フォーム)の端面が露出することはないので、高い断熱性能が保証される。
【0013】
なお、面材の前記突出部と突出部以外の部分とは異なる素材により構成する(例えば、突出部に弾性の高いものを使用する)こともできるが、製造の便宜から面材はパネル本体の両面に積層し、該面材の前記突出部と突出部以外の部分とは連続した同一素材とすることが好ましい。
【0014】
【実施例】
以下、本発明の実施例を添付の図面を参照して具体的に説明する。
図1に全体を示す断熱パネル1は、図2(図1における矢印f方向から見たときの図)にも示すように、合成樹脂フォームからなるパネル本体2の両面に面材3,4が貼着された略長方形のもので、左右両側には、その端面5,6の両縁部から外方に所定量だけ突出して両側に沿って長手方向に延びる各一対の可撓性の面材突出部7,8が形成されている。
【0015】
パネル本体2は、硬質ウレタンフォーム、ポリスチレンフォーム、ポリエチレンフォーム、フェノールフォーム、塩化ビニルフォームなどの適宜のフォーム材から形成することができるが、本実施例では、一般的な素材として硬質ウレタンフォームを採用している。
【0016】
また、面材3,4として、本実施例では、クラフト紙、中芯紙等を母材としてこれにアルミニウム箔等の金属箔を積層したもの又は金属蒸着したものを使用しているが、ポリエチレンフィルム、ポリエステルフィルム等のプラスチックフィルムを積層したものでもよく、あるいはこれらのプラスチックフィルム単独のもの、プラスチックフィルムの複数を組合わせて積層したものでもよい。
【0017】
なお、断熱パネル1は、種々の方法により製造できる。
本実施例では、硬質ウレタンフォームの両面に、該フォームと同一の大きさの面材が積層されたパネルを用い、該フォームの左右両側の端面を断面コ字状に切欠くことで面材突出部7,8を形成し、断熱パネル1を製造している。
【0018】
次に、以上の断熱パネル1を用いた、本発明の断熱構造の実施例(木造住宅の床断熱構造を施工する場合)を説明する。
床断熱構造は、図3に示すように大引き9上の根太10,10の軸部材間に断熱パネル1を挿着することで施工される。この場合、根太10には往々にして反りなどがあることから、断熱パネル1が挿着される根太10,10の対向面間距離には、反りや施工の誤差に起因してバラツキが生じる。
【0019】
例えば、根太10,10の対向面間が、303mm又は405mmで設定された場合、上記バラツキは一般に3〜4mmにもなると言われている。
具体的には、所定間隔の根太の対向面間距離につき、70箇所で実測したところ、平均値263.3mm、最大値266.0mm、最小値261.0mm、標準偏差1.05mmであった。また、標準偏差の3倍値をとると、根太の対向面間距離のバラツキは99.7%の確率で±3.15mm以内であることがわかった。
【0020】
この実測結果を参考として、根太10,10の対向面間距離をA、断熱パネル1のパネル本体2における端面5,6間の寸法をB、面材突出部7,8の突出長をC、面材突出部7,8の厚みをDとしたとき、下記の2つの式を満足するように、断熱パネル1におけるパネル本体2の端面5,6間の寸法B、面材突出部7,8の突出長C、面材突出部7,8の厚みDをそれぞれ設定する。
【0021】
【数1】
B+2D≦A≦B+2C ・・・(1)
C−D≧3mm ・・・(2)
【0022】
こうして各寸法B,C,Dが設定された断熱パネル1を大引き9上の根太10,10の軸部材間に挿着すると、根太10,10の対向面間距離Aが(B+2D)より大きく、(B+2C)より小さい部分では、図4のような挿着状態となる。即ち、断熱パネル1の両側に形成された各一対の面材突出部7,8は、その可撓性によりそれぞれ湾曲して弾性的に根太10,10の内面に密着するのであり、こうして断熱パネル1は根太10,10の軸部材間に隙間なく挿着される。そしてこの装着状態では、各一対の面材突出部7,8の間にそれぞれ断熱空間11が形成される。
【0023】
また、根太10,10の対向面間距離Aが広くて(B+2C)と略等しい部分では、図5に示すように、各一対の面材突出部7,8は略直線状に延びた状態で先端部が根太10,10間に弾性的に密着する。この場合にも断熱パネル1は根太10,10の軸部材間に隙間なく挿着され、各一対の面材突出部7,8の間にそれぞれ断熱空間11が形成される。
【0024】
さらに、根太10,10の対向面間距離Aが狭くて(B+2D)と略等しい部分では、図6に示すように、各一対の面材突出部7,8は略直角に折れ曲がった状態で側面が根太10,10間に弾性的に密着する。この場合にも断熱パネル1は根太10,10の軸部材間に隙間なく挿着され、各一対の面材突出部7,8の間にそれぞれ小さな断熱空間11が形成される。
【0025】
なお、図7(A)に示すように、断熱パネル1の左右両側の端面5,6に、各一対の面材突出部7,8の片側のものが略直角に折れ曲がって嵌入する嵌合溝12を形成しておけば、断熱パネル1の面材突出部7,8は、図7(B)に示すように、根太10の内面に密着して端面5,6と同一面をなして略直角に折れ曲がることができる。この場合には、根太10,10の対向面間距離Aがさらに狭いパネル本体2の端面5,6間の寸法Bと略等しい部分にも対応することができる。なお、図8に示すように、断熱パネル1の左右両側の端面5,6をテーパー状にすることもできる。
【0026】
ここで、前述のように施工された床断熱構造の熱伝導率について検討してみると、木材からなる根太10の熱伝導率は0.1kcal/mh℃、硬質ウレタンフォームからなる断熱パネル1のパネル本体2の熱伝導率は0.018〜0.021kcal/mh℃、断熱パネル1の各面材突出部7,8間の断熱空間11の熱伝導率は0.021kcal/mh℃であるから、本実施例の断熱パネル1は、断熱欠損を生じることなく充分な断熱性能を発揮することがわかる。
【0027】
断熱パネル1は、床に限らず屋根や天井、壁の断熱構造にも適用できるものであり、屋根部や天井部、壁面部の各軸部材間に隙間なく挿着され、優れた断熱性能を発揮する。
【0028】
なお、以上説明した断熱パネル1では、各一対の面材突出部7,8の厚みDを同一としたが、面材3側の面材突出部の厚みDを、面材4側の面材突出部の厚みDより大きくする等、その厚みDに差を設けてもよい。また面材3側の面材突出部の突出長Cより面材4側の面材突出部の突出長Cを大きくする等、その突出長Cに差を設けてもよい。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、軸部材間に挿着される断熱パネルに、面材突出部を設けたので、断熱パネルが挿着される軸部材間の対向面間距離に多少のバラツキがあっても、各一対の面材突出部がそのバラツキを吸収して軸部材間に密着する。従って、断熱パネルを軸部材間に隙間なく簡単に挿着することができる。
また、軸部材間への挿着状態では、各一対の面材突出部の間に閉塞された断熱空間がそれぞれ形成されるので、断熱欠損を生じることなく充分な断熱性能を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による断熱パネルの斜視図である。
【図2】図1において矢印f方向から断熱パネルを見た図である。
【図3】本発明の断熱構造の施工準備状態を示す説明断面図である。
【図4】根太の対向面間距離がやや狭い部分での、本発明の断熱構造の施工完了状態を示す図である。
【図5】根太の対向面間距離が広い部分での、本発明の断熱構造の施工完了状態を示す図である。
【図6】根太の対向面間距離が図4の場合より狭い部分での、本発明の断熱構造の施工完了状態を示す図である。
【図7】(A)は本発明の他の実施例による断熱パネルの要部拡大断面図、(B)は(A)の断熱パネルを用いた本発明の断熱構造の施工完了状態を示し、根太の対向面間距離がさらに狭い部分での要部拡大断面図である。
【図8】図7(A)と同様に用いられる他の断熱パネルの要部拡大断面図である。
【図9】従来例による断熱パネルの断熱施工完了状態を示す説明断面図である。
【符号の説明】
1 断熱パネル
2 パネル本体
3,4 面材
5,6 端面
7,8 面材突出部
9 大引き
10 根太
11 断熱空間
12 嵌合溝
Claims (3)
- パネル本体が合成樹脂フォームからなり、その両面に可撓性を有する面材が積層されてなる断熱パネルにおいて、
前記パネル本体の少なくとも一側の縁部から、該パネル本体を断面コ字状に切欠くことにより形成した面材と該フォームとからなる面材突出部を突出させ、軸部材間に挿し込まれる際に、該面材突出部が湾曲または折れ曲がる状態で該軸部材の内面に密着することを特徴とする断熱パネル。 - パネル本体の少なくとも一側の縁部に、面材突出部が略直角に折れ曲がるための嵌合溝を有することを特徴とする請求項1に記載の断熱パネル。
- 全体が方形をなし、前記両面材突出部がパネル本体の両側の縁部から突出してなる請求項1または2に記載の断熱パネルが、一対の軸部材間に挿着されて構成され、
前記パネル本体の幅が軸部材間隔以下、前記面材突出部の幅が軸部材間隔以上であることを特徴とする断熱構造。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP26952995A JP3701352B2 (ja) | 1995-09-22 | 1995-09-22 | 断熱パネル及びこれを用いた断熱構造 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP26952995A JP3701352B2 (ja) | 1995-09-22 | 1995-09-22 | 断熱パネル及びこれを用いた断熱構造 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH0988203A JPH0988203A (ja) | 1997-03-31 |
| JP3701352B2 true JP3701352B2 (ja) | 2005-09-28 |
Family
ID=17473665
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP26952995A Expired - Lifetime JP3701352B2 (ja) | 1995-09-22 | 1995-09-22 | 断熱パネル及びこれを用いた断熱構造 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3701352B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2000204689A (ja) * | 1999-01-08 | 2000-07-25 | Daicel Chem Ind Ltd | 複合断熱材 |
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-
1995
- 1995-09-22 JP JP26952995A patent/JP3701352B2/ja not_active Expired - Lifetime
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| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH0988203A (ja) | 1997-03-31 |
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