JP3710183B2 - O/w型乳化物含有飲料 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、風味と色調の劣化が防止されたO/W型乳化物含有飲料に関する。更に詳しくは、高温又は室温で長期間保存されても、風味(味、香り)や、色調(白濁性)に劣化の生じないO/W型乳化物含有飲料に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、風味劣化防止を目的とした飲料の製造法として次のような方法が知られている。
(1)コーヒー抽出液を充填した容器に、炭酸ガス又はドライアイスを加え、二酸化炭素の雰囲気とし、10℃前後の温度で冷蔵し、コーヒー抽出液を風味を劣化させずに長期間保存する方法(特開昭51−85881号公報)。
(2)ヘッドスペース及び飲料中の酸素の少なくとも一部を窒素ガスで置換して、密封後、40℃で真空度が10cmHg以上である打検適正を有する窒素ガス封入負圧缶入り飲料を製造する方法(特開昭61−124361号公報)。
(3)コーヒー抽出液に、L−アスコルビン酸アルカリ金属塩を含有せしめて、風味及び保存性の優れたコーヒー抽出液を得る方法(特開昭62−44137号公報)。
(4)60〜100℃の殺菌温度で、缶に内容物を充填し、次いでヘッドスペースに窒素ガスと炭酸ガスの混合ガスを供給し、密閉して所望の真空度を得る缶詰の充填方法(特開昭63−84466号公報)。
(5)コーヒーの抽出液を約20℃以下に急冷後、エルソルビン酸、アスコルビン酸及びそれらの水溶性塩を添加し、缶容器に充填、次いで容器内の空気をスチーム、二酸化炭素ガス、窒素ガスの少なくとも2種からなる混合ガスで置換するコーヒー缶飲料の製造方法(特公平7−12281号公報)。
(6)蛋白質、ペプチド及びアミノ酸から選ばれた少なくとも1種とビタミンEを併用添加してなるコーヒー飲料並びにその製造方法(特開平7−87891号公報)。
【0003】
しかしながら、これらの方法では冬場に50〜60℃の温度で加温保存されるミルクコーヒー、カフェオーレ、ミルクティー等のO/W型乳化物含有飲料の風味劣化、色調の退色(褐変)を長期的(1〜2ヶ月)に防止することは困難であった。詳しく述べるならば、従来の方法ではO/W型乳化物を含有しないコーヒー、紅茶の抽出液単体の風味劣化を短期的に防止することは可能であるが、O/W型乳化物含有飲料におけるO/W型乳化物由来の脂肪、蛋白質、糖質、灰分、その他微量成分に起因する風味の劣化(異味、異臭の発生)、色調の退色(褐変)を長期的に防止するには必ずしも十分とは言えない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、高温又は室温で長期間保存されても、風味(味、香り)や、色調(白濁性)に劣化の生じないO/W型乳化物含有飲料を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、O/W型乳化物含有飲料の風味劣化、色調の退色(褐変)を長期的に防止するにはO/W型乳化物含有飲料に含まれる各種成分に起因する酸化反応を抑えることが必要であるという結論に達した。しかしながら、これまでの劣化防止法ではO/W型乳化物含有飲料に含まれる各種成分の酸化等の劣化現象を全て抑えることは難しく、長期の加温保存により酸化反応が起こり酸化生成物質が発生する。この酸化生成物質は極少量でも他の成分の酸化を促進する働きがあり、その結果、酸化反応はO/W型乳化物含有飲料の系全体で加速度的に進行する。
【0006】
そこで、本発明者らは、O/W型乳化物含有飲料に含まれる脂肪、蛋白質、糖質、灰分、その他微量成分等に由来する全ての酸化反応を防止すべく検討を重ねた結果、コーヒー、紅茶等の抽出液に添加する前のO/W型乳化物の段階で、その水相に親水性酸化防止剤を添加し、油相には親油性酸化防止剤を添加してなるO/W型乳化物を使用することにより、O/W型乳化物含有飲料の酸化反応がほぼ完全に防止されることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、水相に少なくとも一種類の親水性酸化防止剤を添加し、油相に少なくとも一種類の親油性酸化防止剤を添加してなるO/W型乳化物が、飲料原料に混合されていることを特徴とするO/W型乳化物含有飲料に関するものである。
また、本発明は、その好ましい態様として、水相にアスコルビン酸、エリソルビン酸、クエン酸又はそれらのアルカリ金属塩よりなる群から選ばれる少なくとも一種類の親水性酸化防止剤を添加し、油相にビタミンE、ルチン、ローズマリーエキスよりなる群から選ばれる少なくとも一種類の親油性酸化防止剤を添加してなるO/W型乳化物が、コーヒー、紅茶の抽出液に混合されていることを特徴とするO/W型乳化物含有飲料に関するものである。
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明におけるO/W型乳化物とは、乳化剤、乳化安定剤を用いて水中に油脂を分散させたものであり、次のようにして調製される。
水に、乳化剤、乳化安定剤と、少なくとも一種類の親水性酸化防止剤を添加する。親水性酸化防止剤としては、アスコルビン酸、エリソルビン酸、クエン酸又はそれらのアルカリ金属塩等が好ましいものとして例示される。乳化剤、乳化安定剤は特に限定されるものではないが、乳化剤としては、蔗糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、レシチン、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、有機酸モノグセリン脂肪酸エステル等を単独又は複数組み合わせて使用するのが望ましく、乳化安定剤としては、ペクチン、カラギーナン、キサンタンガム、アラビアガム、グアーガム、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース等の多糖類や、カゼイン、WPC、TMP等の乳蛋白、リン酸塩等を単独又は複数組み合わせて使用するのが好ましい。
【0009】
親水性酸化防止剤の添加量は特に限定されるものではないが、該O/W型乳化物を使用したO/W型乳化物含有飲料中で0.005〜0.1重量%、望ましくは0.01〜0.05重量%となるように添加するのが好ましい。
これらの乳化剤、乳化安定剤、親水性酸化防止剤は攪拌により水中に分散させた後、加温溶解する。溶解に要する温度は使用する乳化剤、乳化安定剤により異なるが、40〜100℃、望ましくは60〜80℃にて完全に溶解する。
【0010】
また、風味を良くする目的で水相に脱脂粉乳、加糖練乳、無糖練乳、濃縮乳等の乳製品を添加しても良い。
他方、油脂を溶解し、乳化剤と、少なくとも一種類の親油性酸化防止剤を添加する。親油性酸化防止剤としては、ビタミンE、ルチン、ローズマリーエキス等が好ましいものとして例示される。使用する油脂、乳化剤は特に限定されるものではないが、油脂としてはバター、バターオイル、クリーム等の乳脂肪や、大豆油、菜種油、椰子油、綿実油、パーム油、コーン油、紅花油、米油等の植物性油脂、ラード、牛脂、鯨油、いわし油等の魚油、動物性油脂等を単独又は複数組み合わせて使用するのが望ましく、乳化剤としては蔗糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、レシチン、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、有機酸モノグセリン脂肪酸エステル等を単独又は複数組み合わせて使用するのが望ましい。
【0011】
親油性酸化防止剤の添加量は特に限定されるものではないが、該O/W型乳化物中の脂肪分に対して0.01〜0.5重量%、望ましくは0.01〜0.2重量%添加するのが好ましい。
これらの乳化剤、親油性酸化防止剤は攪拌により油中に分散させた後、加温溶解する。溶解に要する温度は使用する油脂、乳化剤により異なるが、40〜100℃、望ましくは60〜80℃にて完全に溶解する。
また、風味を良くする目的で、油相に香料を添加しても良い。
O/W型乳化物を得るためには、逐次の工程として乳化を行う。乳化の方法としては水相に油相を流加し攪拌や圧力により機械的に乳化する方法や、膜の微細な空隙から水相中に油相を押し出し乳化する膜乳化法等があるが、どちらの方法でも十分な性能を持つO/W型乳化物を得ることができる。
【0012】
このようにして得られたO/W型乳化物は、そのままO/W型乳化物含有飲料に使用しても良いが、O/W型乳化物の状態で長期間保存する必要がある場合は殺菌を行っても良い。殺菌に要する温度、保持時間等の条件は特に限定されるものではないが、O/W型乳化物のpHが中性の場合には120〜140℃、4〜30秒のUHT殺菌を行うことが望ましい。殺菌されたO/W型乳化物は無菌容器に無菌的に充填し、0〜5℃の冷蔵状態で保存される。
【0013】
本発明のO/W型乳化物含有飲料を調製するためには、飲料原料にO/W型乳化物を混合することにより行われる。飲料原料としては、コーヒー、紅茶等の抽出液が好ましいものとして例示される。
本発明のO/W型乳化物含有飲料とは、飲料原料にO/W型乳化物が混合されているものを指し、特に、コーヒー、紅茶の抽出液にO/W型乳化物が混合されることによって、まろやかな風味と白濁性の付与されたミルクコーヒーやカフェオーレ、ミルクティー等が得られる。
【0014】
飲料原料への、O/W型乳化物の混合量は特に限定されるものではないが、O/W型乳化物含有飲料中に、0.1〜80重量%、望ましくは0.5〜50重量%含有されているのが好ましい。0.1重量%未満では風味劣化を十分に防止することは難しく、また、80重量%を超えると風味やコストの点で現実的ではない。
このようにして得られたO/W型乳化物含有飲料は、pH調整剤として重炭酸ナトリウムを適量添加し、pHを6.0〜7.0に調整し、さらに、抗菌剤として蔗糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル等の乳化剤と、必要に応じて甘味成分として蔗糖、グラニュー糖、還元糖、液糖等を添加した後、缶、瓶、パウチ等の加熱殺菌可能な容器に充填、密封した後、120〜126℃、15〜60分のレトルト殺菌を行うことができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に、本発明を実施例および比較例により更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中における%は、いずれも重量基準を意味する。
【0016】
【実施例1】
初めに、表1の配合に従いO/W型乳化物を調製した。まず、水相部を混合し60℃に加温し溶解する。他方、別容器に油相部を混合し60℃にて溶解する。60℃に保温された水相部に同じく60℃に保温された油相部を攪拌しながら流加し予備乳化を行う。得られた予備乳化液を180Kg/cm2の圧力にてホモジナイズして乳化液を得た後、120℃、20秒のUHT殺菌を行い無菌容器に充填することで、水相にアスコルビン酸ナトリウム、油相にビタミンEを含有するO/W型乳化物1Kgを得た。次いで、得られたO/W型乳化物を使用したO/W型乳化物含有飲料を表3の配合に従い調製した。まず、焙煎コーヒー豆50gをミルにて粉砕し、98℃の熱水にて抽出した。得られたコーヒー抽出液に砂糖60g、重炭酸ナトリウム1g、蔗糖脂肪酸エステルを0.5g加え溶解した後、O/W型乳化物12gを添加、水を加えて1000mlのO/W型乳化物含有コーヒー抽出液を得た。このO/W型乳化物含有コーヒー抽出液を80℃に加熱後、缶容器(190ml)に充填し、直ちに巻締めし、124℃、20分のレトルト殺菌を行い、冷却してO/W型乳化物含有コーヒー缶飲料(発明品1)を得た。
【0017】
【比較例1】
表1の配合に従い、実施例1と同様の方法にて酸化防止剤を一切含まないO/W型乳化物を調製し、表3の配合に従い、O/W型乳化物含有コーヒー缶飲料(対照品1)を調製した。
【0018】
【比較例2】
表1の配合に従い、実施例1と同様の方法にて水相にアスコルビン酸ナトリウムを含有し、油相には酸化防止剤を含まないO/W型乳化物を調製し、表3の配合に従い、O/W型乳化物含有コーヒー缶飲料(対照品2)を調製した。
【0019】
【比較例3】
表1の配合に従い、実施例1と同様の方法にて水相には酸化防止剤を含まず、油相にはビタミンEを含有したO/W型乳化物を調製し、表3の配合に従い、O/W型乳化物含有コーヒー缶飲料(対照品3)を調製した。
【0020】
【比較例4】
比較例1で得られた酸化防止剤を一切含まないO/W型乳化物を使用して、表3の配合に従い、O/W型乳化物含有コーヒー抽出液に直接アスコルビン酸ナトリウムと乳化ビタミンE製剤を、実施例1で得られた乳化物含有コーヒー缶飲料の最終的なアスコルビン酸ナトリウムとビタミンEの含量と同じになるように添加したO/W型乳化物含有コーヒー缶飲料(対照品4)を調製した。
【0021】
【実施例2】
表2の配合に従い、実施例1と同様の方法にて水相にエリソルビン酸ナトリウムを含有し、油相にはルチンを含有したO/W型乳化物を調製し、表3の配合に従い、O/W型乳化物含有コーヒー缶飲料(発明品2)を調製した。
【0022】
【実施例3】
表2の配合に従い、実施例1と同様の方法にて水相にクエン酸ナトリウムを含有し、油相にはローズマリーエキスを含有したO/W型乳化物を調製し、表3の配合に従い、O/W型乳化物含有コーヒー缶飲料(発明品3)を調製した。
【0023】
【実施例4】
実施例1で得られた水相にアスコルビン酸Na、油相にビタミンEを添加したO/W型乳化物を使用して、表3の配合に従い紅茶飲料を調製した。まず、紅茶葉10gに75℃の熱水を加え1分間抽出した。得られた紅茶抽出液に砂糖80g、重炭酸ナトリウム0.8g、蔗糖脂肪酸エステルを0.5g加え溶解した後、O/W型乳化物20gを添加、水を加えて1000mlのO/W型乳化物含有紅茶抽出液を得た。このO/W型乳化物含有紅茶抽出液を80℃に加熱後、缶容器(190ml)に充填し、直ちに巻締めし、124℃、20分のレトルト殺菌を行い、冷却してO/W型乳化物含有紅茶缶飲料(発明品4)を得た。
(評価結果)
以上の各例によって得られた飲料を、次のような評価法により評価した。
調製されたO/W型乳化物含有飲料は60℃にて保存試験を実施し、経過に伴う風味、色調の変化を測定した。
風味は、被験者10名による官能検査を行い、「良い」=+2点、「やや良い」=+1点、「普通(良否不明)」=0点、「やや悪い」=−1点、「悪い」=−2点の5段階に評価し、合計点数を示した。
【0024】
色調は、色差計(日本電色工業(株)製 Σ80 Color Measuring System)により白色度を比較することで加温保存中の退色(褐変)を測定した。
官能検査の結果は表4に示す通りである。水相に親水性酸化防止剤を添加し、油相に親油性酸化防止剤を添加して調製したO/W型乳化物を使用したO/W型乳化物含有飲料は、対照品に比べ明らかに風味の劣化が防止されている。
また、色調変化の結果は表5に示す通りである。水相に親水性酸化防止剤を添加し、油相に親油性酸化防止剤を添加して調製したO/W型乳化物を使用したO/W型乳化物含有飲料は、対照品に比べ明らかに白色度の低下が少なく、加温保存中の退色(褐変)は防止されている。
【0025】
【表1】
Figure 0003710183
【0026】
【表2】
Figure 0003710183
【0027】
【表3】
Figure 0003710183
【0028】
【表4】
Figure 0003710183
【0029】
【表5】
Figure 0003710183
【0030】
【発明の効果】
本発明により、室温ないしそれ以上の高温で長期間保存を行っても、風味(味、香り)や、色調の劣化(退色、褐変など)が生じない、商品価値の高い、優れたO/W型乳化物含有飲料が提供される。

Claims (4)

  1. 水相に少なくとも一種類の親水性酸化防止剤を添加し、油相に少なくとも一種類の親油性酸化防止剤を添加してなるO/W型乳化物が、飲料原料に混合されていることを特徴とするO/W型乳化物含有飲料。
  2. 親水性酸化防止剤が、アスコルビン酸、エリソルビン酸、クエン酸、又はそれらのアルカリ金属塩であることを特徴とする請求項1記載のO/W型乳化物含有飲料。
  3. 親油性酸化防止剤が、ビタミンE、ルチン、ローズマリーエキスであることを特徴とする請求項1又は2記載のO/W型乳化物含有飲料。
  4. 飲料原料が、コーヒー、紅茶であることを特徴とする請求項1又は2又は3記載のO/W型乳化物含有飲料。
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