JP3715523B2 - 認識ベルト - Google Patents

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HOKUYU MEDICS CO., LTD.
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂フィルムから製造される、認識ベルトに関する。より詳細には、適切な装着感を得るための種々の性質を有するポリウレタン樹脂フィルムから製造される、認識ベルトに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、医療機関において、手術、投薬、採血、輸血などの際における患者の取り違えの問題が深刻化している。このような取り違えによる事故を防止するために、患者認識ベルト(以下、認識ベルトをIDベルトという)が考案されている。アメリカでは1950年代からIDベルトの患者への装着が始められ、現在では全患者に導入されている。一方、日本では、主に新生児と母親とを認識するために用いられていたが、一般患者への導入は、コストがかかるため行われていなかった。しかし、最近の医療事故報道による厳しい社会的批判を受けて、医療事故防止策の1つとしてIDベルトの導入を検討する医療機関が増えつつある。
【0003】
IDベルトには、患者に関する情報(例えば、氏名、血液型など)を記載する必要があるため、当初は紙製のベルトが用いられていた。しかし、紙は破れやすく、特に水に濡れると使用不能になるため、入院期間中装着し続けるべきIDベルトとしては好ましくない。そこで、耐水性、強度、およびコストの点で好ましい、軟質塩化ビニル樹脂製のベルトが開発され、現在、主としてこの製品が用いられている。塩化ビニル樹脂は上記のような利点を有するが、廃棄の際に環境問題を引き起こす(例えば、燃焼によってダイオキシンが発生する)。また、入浴による温度変化によって、ベルトが硬化することがあり、使用感が悪い。さらに硬化したベルトの端で皮膚に傷がつき、患者に苦痛を与えるとともに望ましくない感染を引き起こす可能性もある。
【0004】
また、最近、テーマパーク、遊園地、イベント会場などの施設においてIDベルトの利用が増加している。例えば、入場券、乗車券などのかわりに、客の手首にベルトを装着させることによって、券の紛失を防止するとともに、よりスムーズに券の種別を確認することもできる。このような場所で使用されているベルトも、上記のように病院で使用されているものと同様に、耐水性、強度、およびコストの点で塩化ビニル樹脂製が採用されている。しかし、装着感が悪く、評判はあまり芳しくない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、耐水性、撥水性、強度、および柔軟性があり、皮膚にやさしく、装着感がよく、かつ環境問題を引き起こさないIDベルトの開発が望まれている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、JIS K 7311の試験方法において、60〜120JIS Aの硬さ、6〜12MPaの100%引力応力、および500〜700%の伸びを有する樹脂フィルムを用いて製造される、認識ベルト(IDベルト)を提供する。
【0007】
好ましい実施態様では、上記樹脂フィルムは、さらに、100〜150KN/mの引裂強さを有する。
【0008】
好ましい実施態様では、上記樹脂フィルムは、さらに、25〜30MPaの引張強さを有する。
【0009】
好ましい実施態様では、上記樹脂フィルムは、熱可塑性ポリウレタン樹脂フィルムである。
【0010】
このような性質を有する熱可塑性ポリウレタン樹脂フィルムを用いて製造されるIDベルトは、耐水性、撥水性、強度、および柔軟性があり、入浴などを行っても硬くならないなど、皮膚にやさしく、装着感がよく、かつ環境問題を引き起こさないという、優れた性質を有する。
【0011】
【発明の実施の形態】
認識ベルト(IDベルト)とは、個体の腕、足など、個体の身体に直接的に装着するためのベルトである。特に、病院においては、個体(患者)の取り違え防止のために使用され得る。IDベルトは、一般に、個体の身体の一部に巻きつけて装着される。装着される部位は、IDベルトが簡単に抜け落ちない部位であれば特に限定されないが、腕および足が好ましく、手首および足首が特に好ましい。
【0012】
本発明のIDベルトは、ポリウレタン樹脂フィルムを材料として用いて製造される。IDベルトの厚さは、樹脂フィルムの厚さに依存し、好ましくは約0.2mm〜約0.8mm、より好ましくは約0.4mm〜約0.6mmである。樹脂フィルムが厚いと、重くなるため違和感が増し、逆に薄いと、強度の点で不利になる。樹脂フィルムは1枚でもよいし、複数枚重ね合わせたものでもよい。好ましくは、2枚重ねであり、より好ましくは約0.2mmの樹脂フィルムを2枚重ねて用いる。
【0013】
また、本発明のIDベルトは、手首、足首などを動かした際に違和感を生じないように、適度の伸縮性を有するものが好ましい。例えば、上記のような厚さを有するフィルムを2枚重ねたIDベルトの場合、打抜きによって型を抜き取ると同時に、切断部で2枚が貼り合わされる。貼り合わされた部分は、フィルム1枚のみの場合に比べて伸びが小さくなるので、製造されたベルト全体としての伸びも小さくなる。したがって、使用されるフィルムは、製造されたベルトとして、適切な伸びを示すフィルムが選択される。
【0014】
本発明のIDベルトに使用される樹脂フィルムとしては、JIS K 7311の試験方法において、60〜120JIS Aの硬さ、6〜12MPaの100%引力応力、および500〜700%の伸びを有するものであれば、特に限定されない。好ましくは、さらに、100〜150KN/mの引裂強さ、および/または25〜30MPaの引張強さを有するものが好ましい。
【0015】
硬さについては、JIS K 7311の試験方法において、60〜120JIS A、好ましくは80〜100JIS A、より好ましくは85〜95JIS Aである。硬すぎると、装着後に手足を動かすのに邪魔になり、また柔らかすぎると、ベルトとしての形状を保持しにくくなり、好ましくない。
【0016】
100%引力応力については、JIS K 7311の試験方法において、6〜12MPaである。この範囲を外れると、装着時に十分なフィット感が得られず、締めつけ感がある、はずれやすくなるなどの問題が生じる虞がある。好ましくは8〜10MPa、より好ましくは8.5〜9.5MPaである。
【0017】
伸びについては、500〜700%、好ましくは550〜680%、より好ましくは600〜650%である。大きすぎると装着部位から伸ばしてはずすことが可能なので、例えば、患者認識ベルトとして使用する場合に好ましくない。逆に伸びが小さすぎると、身体を動かした際に違和感を生じる原因となり、好ましくない。
【0018】
さらに、引裂強さおよび引張強さについては、小さすぎると耐久性が弱くなり好ましくない。
【0019】
また、本発明のIDベルトに使用される樹脂フィルムの種類としては、好ましくは、熱可塑性のポリウレタン樹脂フィルムである。これらのフィルムは、市販のものを用いることができる。
【0020】
本発明のIDベルトは、例えば、図1に示すような形状であり得る。IDベルトの大きさは、個体の体格および装着部位に合わせて、小児用、成人用など、その長さおよび幅が異なっていてもよい。好ましくは、IDベルトを巻いて固定した際に、IDベルトが簡単に抜け落ちない程度の長さである。その長さを、個体に応じて調節するための手段が施されていることが好ましい。また、本発明のIDベルトの幅は、好ましくは、個体についての情報を記録し得、そして手、腕などを動かして邪魔にならない程度の幅である。
【0021】
IDベルトには、種々の色彩が付されている方が見分けやすさの点で便利である。例えば、血液型別に色分けすると、輸血時などに血液型を誤認することを予防できる。また、血液型が未決定の場合は、別の色を付すことができる。
【0022】
IDベルトは、IDベルトを装着部位に固定するための手段が備えられていることが好ましい。さらに、IDベルトは、個体の装着部位に応じて、適切な長さに調節可能であることが望ましい。例えば、図1に示すIDベルト1は、IDベルト本体11およびベルト固定手段から構成される。IDベルト1において、ベルト固定手段は、長さ調節用穴110、ベルト固定用折り返し部12、および留め具2である。ここで、留め具2は、両端を噛み合わせることによって固定できる形状(ホック状)のものである。具体的には、IDベルト本体11の一方の端部に、留め具2およびベルト固定用折り返し部12があり、他方の端には、長さ調節用穴110が複数個あけられている。この穴110のうちの適切な1つの穴および折り返し部12の固定用穴120に、留め具2を通して固定する。これによって、個体の装着部位に合わせてベルトの長さを調節しかつ固定できる。このような固定手段および調節手段は、装着する個体の使用感(例えば、皮膚への刺激、違和感など)に影響を及ぼさなければ、どのような手段、形状、および材質であってもよく、特に限定されない。例えば、IDベルトの一方の端部にあけられた穴に、他方の端部を通して折り返し、その折り返した端部を留め具で固定してもよい。
【0023】
本発明のIDベルトには、装着した際に外側になる面に、個体についての情報、例えば、病院で患者に装着させる場合は、患者の属性および患者の性別、氏名、血液型、ID番号などが記録される。記録面には、このようなデータが貼り付けられてもよい。情報は、水濡れなどを考慮すると、油性のペンまたはインキが好ましく用いられる。ペンで手書きしてもよいし、コンピュータと連動させてインキなどを使用して印刷してもよい。文字、記号、バーコードなど、情報の表現手段は特に限定されない。例えば、バーコ−ドで記載された患者情報は、バーコードリーダーで読み取られ、確認される。また、IDベルトに型押ししてもよい。あるいは、認識ベルトに、情報が記録された半導体チップが埋め込まれていてもよい。さらに、情報表現手段として、種々の色のIDベルトを使用してもよい。
【0024】
また、本発明のIDベルトを装着する個体が、アトピー性皮膚炎のようなアレルギー性皮膚炎を有する場合もある。そのため、本発明のIDベルトとして用いられる樹脂は、アレルギー症状をできる限り誘発しないような樹脂が選択されるべきである。
【0025】
本発明のIDベルトは、どのような方法で任意の形状に成形してもよいが、例えば、打抜き加工によって、上記の樹脂フィルムから製造される。例えば、加工時に、1本ずつばらばらにされてもよいし、シート状につながったままで製造され、使用直前に手で切り離すように加工されていてもよい。個人情報を入力し、印刷された後で、機械的に切断される構成でもよい。
【0026】
【実施例】
厚さ0.2mmのポリウレタン樹脂フィルムシートDUS433(日本ミラクトン(株)製)を用いて、装着時に外側になる方に着色シートを内側になる方に無着色シートをおき、2枚重ねたまま、図1に示すような型に打抜き加工した。ただし、この加工は、完全には打抜かれておらず、IDベルト本体と他の不要部分とがまだつながっており、手で切り離すことができるような加工であった。この加工を、縦方向に連続的に行って、ロール状にし、使用直前にロールから1本ずつ取り出した。株式会社サトウ製の印刷機を使用して、ベルトを装着する患者に関する情報をIDベルトに印刷した。その後、ナックス(株)製の留め具(図1における参照番号2)を、IDベルトシートの留め具用穴に取り付けて、本発明のIDベルトを作成した。
【0027】
ポリウレタン樹脂製および塩化ビニル樹脂製(従来品:プレシジョンダイナミックス社製)のIDベルトを、国立循環器病センター(大阪府吹田市)の入院患者各5名ずつの片方の手首に装着し、装着後10日目にその使用感について、以下の項目を聞き取り調査した。
【0028】
すなわち、皮膚への刺激、皮膚との接触感、重量感、違和感、および水濡れ後の感触について、5段階で、良好(+2)、やや良好(+1)、どちらともいえない(0)、やや不良(−1)、および不良(−2)の基準で評価してもらい、その合計値を求めた。結果を表1に示す。
【0029】
【表1】
Figure 0003715523
【0030】
表から、本発明のIDベルトは、従来品(塩化ビニル樹脂製)と比べて使用感に優れていることがわかった。
【0031】
【発明の効果】
本発明のIDベルトは、耐水性、撥水性、強度、および柔軟性があり、皮膚にやさしく、そして装着感がよいため、乳幼児から老人までのあらゆる層の個体に使用可能である。しかも、本発明のIDベルトは、廃棄の際にダイオキシンが発生しないため、環境問題を引き起こさない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のIDベルトの形状の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 認識ベルト
11 認識ベルト本体
110 長さ調節用穴
12 ベルト固定用折り返し部
120 ベルト固定用穴
2 留め具

Claims (4)

  1. 重ねあわせた2枚のフィルムを打抜き加工することにより得られる認識ベルトであって
    該2枚のフィルムが該打抜き加工による切断部で互いに貼り合わされており、そして
    該フィルムが、JIS K 7311の試験方法において、60〜120JIS Aの硬さ、6〜12MPaの100%引力応力、および500〜700%の伸びを有するポリウレタン樹脂フィルムである、認識ベルト。
  2. 前記フィルムの厚みが同一である、請求項1に記載の認識ベルト。
  3. 前記樹脂フィルムが、さらに、100〜150KN/mの引裂強さを有する、請求項1または2に記載の認識ベルト。
  4. 前記樹脂フィルムが、さらに、25〜30MPaの引張強さを有する、請求項1から3のいずれかの項に記載の認識ベルト。
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