JP3718580B2 - 粉末成形装置及びその装置を用いたはす歯歯車の成形方法 - Google Patents

粉末成形装置及びその装置を用いたはす歯歯車の成形方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、粉末圧縮によって、はす歯歯車を成形する粉末成形装置と、その装置を用いたはす歯歯車の成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
上、下パンチ、ダイ及びコアロッドを有する粉末成形装置を用いてはす歯歯車を成形する場合、ダイの中で粉末原料を圧縮する圧粉行程、圧粉後の成形体をダイから押し出す型抜き行程において、はす歯の成形にかかわる上、下パンチとこれにはす歯で噛み合って軸方向に相対移動するダイ又はコアロッドを、はす歯のリードに応じて相対回転させなければならない。
【0003】
その相対回転のための手法として、下記の方法が知られている。
(1) 成形用のはす歯(型面となるはす歯)を有するダイ又はコアロッドを固定し、上、下パンチを回転させる。
(2) 成形用のはす歯を有するダイ又はコアロッドと上パンチを回転させ、下パンチを固定する。
【0004】
図1に、(1) の方法を採用した粉末成形装置の概要を、図2、図3に(2) の方法を採用した粉末成形装置の概要をそれぞれ示す。図1、図2は内歯はす歯歯車用の成形装置であり、コアロッド9の外周に成形用のはす歯G1 が形成され、さらに、上パンチ1、下パンチ7の内周部にはす歯G1 と噛み合うはす歯G2 、G3 が各々形成されている。
【0005】
また、図3は外歯はす歯歯車用の成形装置であり、ダイ5の内周部に成形用のはす歯G1 が形成され、上パンチ1と下パンチ7の外周部にはす歯G1 と噛み合うはす歯G2 、G3 が各々形成されている。
【0006】
なお、図1ではコアロッド9がヨークプレート10に固定され、ベースプレート8上の下パンチ7がベアリング14を介して回転可能に支持されている。また、図2では、下パンチ7がベースプレート8上に固定され、ヨークプレート10上のコアロッド9がベアリング14を介して回転可能に支持されている。図2の15は、はす歯G1 部の歯溝に係合したガイドピンであり、このガイドピン15に案内されてコアロッド9が昇降時にはす歯G1 のリードに応じた回転を生じる。
【0007】
図3では、下パンチ7が固定され、ダイ5が回転可能に支持されている。ダイ5は、下パンチ7に設けたガイド溝16(これははす歯G1 と同一リード)にガイドピン15を係合させて下パンチ基準でリードの位相を調整するようにしており、そのダイ5が昇降時にガイド溝16に案内されて回転する。
【0008】
上パンチ1は、各装置とも、はす歯G2 をはす歯G1 に正しく噛み合わせるために回転可能に支持している。この上パンチ1にも、はす歯G1 と同一リードのガイド溝18を設けてあり、そのガイド溝18に係合したガイドピン17に案内されて上パンチ1が降下中に定められた位置、即ち、途中まではアッパープレート2と共に降下するガイドプレート4がガイドストッパ13によって移動規制を受ける位置から回転し始め、はす歯G1 と噛み合ってダイ5の内に押し込まれる。
【0009】
その押し込みにより、上パンチ1、ダイ5、下パンチ7、コアロッド9の4者間に形成されるキャビティ内の粉末原料Mが圧縮されて成形体Aが出来る。そして、その成形体Aが、ダイ5とコアロッド9の圧縮完了点からの強制引き下げ(ダイ5とコアロッド9の強制引き下げを行う前の降下は自然に起こる)により、ダイ5から押し出される。
【0010】
なお、前述の(2) の方法を採用した装置の中には、上、下パンチの圧縮中の弾性歪みに対応したもの(特開平7−150204号)もある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
前述の(1) の方法を採用した装置(例えば図1)は、成形体Aを回転させながらダイ5から押し出すので、成形体Aに欠け、割れが生じる。
【0012】
このため、成形体Aを回転させずに押し出すことのできる(2) の方法の装置(図2、図3)がよく利用されているが、この装置は、下パンチ7が長かったり、細かったりすると圧縮時の負荷によりその下パンチ7が弾性変形して大きく撓み、はす歯G1 とG3 のリードの位相がずれて両はす歯G1 、G3 の噛み合い部やガイドピン15、17の係合部に無理な力が作用し、金型が破損することがある。
【0013】
そこで、特開平7−150204号は、上、下パンチの弾性歪みをセンサで検知し、圧縮中にガイドプレートの高さを調整して上パンチの回転補正を行うようにしている。この装置は、上パンチの回転補正により、上、下パンチのはす歯のリードの位相ずれが修正されてダイのはす歯との噛み合いずれが防止されるので金型破損の問題は解決されるが、歪みセンサ、ガイドプレートの高さ調整機構及び歪みセンサの出力に基づいて高さ調整機構の駆動源を制御する装置を付加する必要があり、成形装置の大型化、複雑化と価格上昇を招く。
【0014】
また、圧縮によって撓んだ下パンチは、圧縮後の圧力解放時に復元し、その撓み復元により成形体がダイの中で突き上げられて回転するため、成形体の欠け、割れを完全には無くし得ない。この不具合は、図2、図3の装置にも見られる。
【0015】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、下パンチの撓みによるはす歯のリード位相のずれを簡単でしかもコスト増の少ない方法で吸収して金型の保護効果を高めること及び、下パンチの撓み復元による成形体の回転を無くして成形体の欠け、割れを併せて防止することを課題としている。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の課題を解決するため、下記のI、IIの装置を提供する。
【0017】
I:内周部に成形用のはす歯を形成したダイと、このダイのはす歯と噛み合うはす歯を外周部に形成した上パンチ及び下パンチと、コアロッドと、ダイを案内する固定ガイド機構とを有し、
前記ダイ、上パンチ及び下パンチがそれぞれ回転可能に支持され、前記固定ガイド機構は、前記はす歯と同一リードのガイド部とこのガイド部の給粉用カム面及び給粉用カム面とは逆向きの圧縮、押し出し用カム面に摺動自在に係合するカムフォロワとをダイと固定部材に対応して設けて成り、
前記上パンチがダイにはす歯で噛み合い、回転しながらダイの中に押し込まれてダイ、上、下パンチ及びコアロッドの4者間に形成されたキャビティ内の粉末原料が圧縮され、さらに、圧縮後の成形体が上、下パンチに対するダイ及びコアロッドの軸方向相対移動によってダイから押し出されるようになっている外歯はす歯歯車成形用の粉末成形装置。
【0018】
II:外周部に成形用のはす歯を形成したコアロッドと、ダイと、前記コアロッドのはす歯と噛み合うはす歯を内周部に形成した上パンチ及び下パンチと、コアロッドを案内する固定ガイド機構とを有し、
前記コアロッド、上パンチ及び下パンチがそれぞれ回転可能に支持され、前記固定ガイド機構は、前記はす歯と同一リードのガイド部とこのガイド部の給粉用カム面及び給粉用カム面とは逆向きの圧縮、押し出し用カム面に摺動自在に係合するカムフォロワとをコアロッドと固定部材に対応して設けて成り、
前記上パンチがコアロッドにはす歯で噛み合い、回転しながらダイの中に押し込まれてダイ、上、下パンチ及びコアロッドの4者間に形成されたキャビティ内の粉末原料が圧縮され、さらに、圧縮後の成形体が上、下パンチに対するダイ及びコアロッドの軸方向相対移動によってダイから押し出されるようになっている内歯はす歯歯車成形用の粉末成形装置。
【0019】
なお、これ等の装置は、固定ガイド機構のカムフォロワをガイド部のカム面に対して局部当りするピンで形成し、さらに、前記ガイド部の給粉用カム面に、そのカム面と前記ピンとの間に少なくとも圧縮中の下パンチ撓み量相当分の軸方向隙間を生じさせる逃げ部を形成すると、下パンチの撓み復元時に、成形体をダイ及びコアロッドと共に無回転で追従させることが可能になり、下パンチの撓み復元による成形体の回転の問題も同時に解決できる。
【0020】
【作用】
上記Iの外歯はす歯歯車用成形装置の特徴部は、図3の従来装置において固定されていた下パンチ7を回転可能に支持した点、及び、図3においてダイ5と下パンチ7との間に設けていたダイ案内用の固定ガイド機構(図のそれはガイドピン15とガイド溝16から成る)を、ダイと新たに付加した固定部材(図4の22)との間に設けた点にある。
【0021】
また、IIの内歯はす歯歯車用成形装置の特徴部は、上、下パンチを回転可能とする場合に従来固定されていたコアロッドを回転可能に支持した点と、コアロッドと固定部材との間にコアロッドの固定ガイド機構を設けた点にある。
【0022】
両装置とも、僅かな部品を追加するだけであるので、大型化、構造の複雑化、コストアップを回避できる。
【0023】
以下に、上述した特徴部の作用について述べる。
【0024】
上パンチがダイに押し込まれて粉末原料の圧縮が始まると、上、下パンチが撓み出す。この撓みにより、上、下パンチのはす歯のリード位相がずれるとダイ又はコアロッドとの噛み合いにずれが出て噛み合い部に無理な力が加わるが、本発明では、ダイ又はコアロッドに形成されている成形用のはす歯と下パンチのはす歯の噛み合い面に押付け圧が加わると下パンチが回転して上、下パンチのはす歯のリード位相のずれが自然に修正される。従って、はす歯の噛み合い部に無理な力が加わることがなく、また、そのために固定ガイド機構のカムフォロワ係合部にも無理な力が加わらない。
【0025】
また、成形体の押し出し時には、成形体に対してはす歯で噛み合っているダイ又はコアロッドが固定ガイド機構に案内されて回転しながら下降するため、成形体は回転せずにダイから押し出される。
【0026】
次に、固定ガイド機構の給粉用カム面に設ける逃げ部の作用を説明する。
粉末原料の圧縮が完了し、成形体の押し出しが開始されるまでの行程でパンチ圧力が解放される。その時、圧縮行程で撓んだパンチが瞬間的に弾性復元する。その一瞬の撓み復元によりダイ又はコアロッドに対してはす歯で噛み合っている成形体が下パンチに突き上げられて回転する。
【0027】
この回転を防止するために、給粉用カム面に前述の逃げ部を設けて給粉用カム面とそれに係合させるカムフォロワとの間に軸方向隙間を生じさせる。こうすると、上記の隙間がゼロになるまでの範囲でダイ、コアロッドと共に成形体を下パンチの伸びに対して無回転で追従させることができる。こうして、ダイ、コアロッドと成形体の軸方向相対移動を止めると成形体は回転せず、欠け、割れの防止が確実なものになる。
【0028】
【発明の実施の形態】
図4に、この発明の粉末成形装置の実施形態を示す。これは、外歯はす歯歯車用の成形装置であって、ダイ5の内周部に成形用のはす歯G1 が形成され、さらに、上パンチ1と下パンチ7の外周部にダイのはす歯G1 と噛み合うはす歯G2 、G3 がそれぞれ形成されている。
【0029】
上パンチ1は、アッパープレート2にベアリング14を介する等して回転可能に取付けられている。また、この上パンチ1には、はす歯G1 と同一リードのガイド溝18が設けられ、そのガイド溝18にガイドピン17が摺動自在に係合している。ガイドピン17は、ガイドプレート4に支持されている。また、ガイドプレート4は、シリンダ19等を介してアッパープレート2に吊り下げられている。
【0030】
ダイ5は、ダイプレート6にベアリング14を用いて回転可能に取付けられている。このダイ5は円筒状の垂下部5aを有し、その垂下部5aにカムフォロワ21を内側に突出させて取付けてある。
【0031】
ダイプレート6は、ベースプレート8に摺動自在に挿通した連結用支柱12を介してヨークプレート10に接続されている。
【0032】
また、下パンチ7は、固定支持されるベースプレート8上にベアリング14を用いて回転可能に取付けられている。ベースプレート8上には、更に、筒状の固定部材22を取付けてあり、この固定部材22の外周に設けられているはす歯G1 と同一リードのガイド部20に前記カムフォロワ21を摺動自在に係合させてダイ案内用の固定ガイド機構を構成している。
【0033】
下パンチ7の中心に通してダイ5の内部に入り込ませるコアロッド9は、ヨークプレート10上に固定されている。
【0034】
このように構成した図4の粉末成形装置は、上ラム3が上死点にあるとき、アッパープレート2とそれに取付けた上パンチ1、ガイドプレート4等は図の左半分の位置よりも更に上方にあり、その状態下でキャビティに対する粉末原料Mの投入がなされる。
【0035】
次に、上ラム3が駆動されてアッパープレート2とそれに支持された上パンチ1が降下し出す。このとき、ガイドプレート4も一緒に降下するが、このガイドプレート4はベースプレート8上のガイドストッパ13に当った位置(図の左半分がその状態)で止まる。この位置からガイドピン17に案内されて上パンチ1が回転し始め、シリンダ19のロッドが押し込まれて上パンチ1のみが降下する。
【0036】
この上パンチ1は、回転を開始する位置、即ち、ガイドプレート4がガイドストッパ13に当った位置ではす歯G1 の歯溝の延長上にはす歯G2 があるように位置決めされており、従って、上パンチ1がダイ5に進入するとき、はす歯G1 、G2 は正確に噛み合う。
【0037】
この後、上パンチ1の更なる降下で粉末原料Mが圧縮される。この行程で上、下パンチ1、7が撓み、それによる両パンチのはす歯のリード位相のずれが下パンチ7の回転によって補正される。
【0038】
なお、上パンチ1はガイドピン17に、また、ダイ5はガイド部20に各々係合しているが、上パンチ1の撓みによってはす歯G2 とG1 の位相がずれるとそのずれが修正されるところまでダイ5が回転するのではす歯G1 とG2 の噛み合い部は勿論、ガイドピン17とガイド溝18の係合部、ガイド部20とカムフォロワ21の係合部にも無理な力は加わらない。下パンチ7は、回転補正されたダイ5のはす歯G1 に無理なく噛み合う位置に回転する。
【0039】
圧縮が完了すると(図の右半分がその状態)、下ラム11が駆動されてダイ5とコアロッド9が圧縮完了点から引き下げられ、成形体Aがダイ5から押し出される。このとき、ダイ5は、はす歯G1 と同一リードのガイド部20に案内されて回転しながら下降し、従って、成形体Aは回転せずに押し出される。
【0040】
その押し出しが完了すると、上パンチ1が復帰し、成形体Aの取出し後、ダイ5、コアロッド9も原位置に戻される。そして再給粉がなされ、以上の動作が繰り返される。
【0041】
図5は、内歯はす歯歯車用成形装置の実施形態である。この装置は、ヨークプレート10上のコアロッド9が回転可能に支持され、ダイ5はダイプレート6に固定されている。成形用のはす歯G1 はコアロッド9の外周部に形成されており、そのはす歯G1 と噛み合うはす歯G2 、G3 は回転可能に支持した上、下パンチ1、7の内周部に形成されている。
【0042】
また、コアロッド9に、はす歯G1 と同一リードのガイド部20が形成され、固定部材22に取付けたカムフォロワ21がガイド部20に摺動自在に係合してコアロッド9を案内する固定ガイド機構が構成されている。
【0043】
その他の構成は、図4の装置と同じであるので、同一要素に同一符号を付して説明を省く。
【0044】
この装置は、成形体Aの押し出し時に、ガイド部20による案内作用でコアロッド9が回転して成形体Aの回転が防止される。また、粉末原料圧縮時の金型の保護は、上、下パンチ1、7の撓みによるはす歯G1 、G2 のリードの位相ずれが修正されるところまでコアロッド9が回転し、次に、このコアロッド9のはす歯G1 とはす歯G3 の位相ずれが修正されるところまで下パンチ7が回転して行われる。その他の動作や作用は図4の装置と同じであるので説明を省く。
【0045】
図6は、図5の装置に設けるコアロッド案内用固定ガイド機構の詳細を示している。コアロッド9に設けるガイド部20と図5の固定部材22に設けるカムフォロワ21は、図6(a)に示すはす歯同士の組合せ、図6(b)に示すガイド溝とピンの組合せ、図6(c)に示すはす歯(突条)とピンの組合せのいずれであってもよい。要は、ガイド部20が成形用のはす歯(図5のG1 )と同一リードの給粉用カム面20aとこれとは逆向きの圧縮、押し出し用カム面20bを備え、カムフォロワ21がその2つのカム面20a、20bに係合するものであればよい。また、ガイド部20とカムフォロワ21は、コアロッド9と固定部材22に対応して設けてあればよく、図の事例とは逆にガイド部20を固定部材22に、カムフォロワ21をコアロッド9に各々設けることもできる。
【0046】
そのガイド部20とカムフォロワ21は、強度面で問題が無ければ1組でも用が足りるが、ガイド部に加わる負荷の軽減や成形体押し出し時のコアロッド9の回転バランスなどを考えると複数組を周方向に定ピッチで設けるのが好ましい。
【0047】
なお、ここで述べた固定ガイド機構の構成は、外歯はす歯歯車用成形装置に設けるダイ案内用固定ガイド機構に対しても適用できる。
【0048】
次に、図4の装置のダイ案内用固定ガイド機構に、下パンチ7の撓み復元による成形体Aの回転防止機能を付与した事例を図7に示す。図8は、図5の装置のコアロッド案内用固定ガイド機構に、同様の機能を付与した事例である。図4、図5では、はす歯G1 、G2 、G3 及びガイド部20を直線的に表わしたが、このはす歯G1 、G2 、G3 及びガイド部20は、実際には図7(a)、図8(a)に示すように同一方向に同一角度で傾いて螺旋を画いている。
【0049】
図7、図8は、ガイド部20を所定のリードを有する溝にしてその溝に丸ピンのカムフォロワ21を係合させている。なお、ガイド部20は、図7では下向きの溝面が給粉用カム面20a、上向きの溝面が圧縮、押し出し用カム面20bとなっており、図8では上向きの溝面が給粉用カム面20a、下向きの溝面が圧縮、押し出し用カム面20bとなっている。
【0050】
図7の構造では、給粉時に図7(b)の鎖線位置にあったカムフォロワ21が圧縮完了時に同図の実線位置に移る。また、図8の構造では給粉時に図8(b)の鎖線位置にあったガイド部20が、圧縮完了時に同図の実線位置に移る。
【0051】
この図7(b)、図8(b)の圧縮完了位置でカムフォロワ21と給粉用カム面20aとの間に軸方向隙間Sを生じさせる逃げ部23を給粉用カム面20aに設ける。Sの値は、下パンチ7の圧縮時撓み量をδとして、S≧δの関係が成立するように決定する。また、逃げ部23は、正規の給粉用カム面20aに滑らかに接続して給粉位置ではカム面20aとカムフォロワ21との間の軸方向隙間を無くす。さらに、ヨークプレート10(図7は図示せず)を下ラム(両図とも図示せず)との間に隙間を設けるなどして下パンチ7の伸びに追従できるようにしておく。
【0052】
このようにしておくと、圧縮時に撓んだ下パンチ7が弾性復元してδ伸びるとき、ダイ5、コアロッド9と共に成形体Aもδ持ち上がり、成形体とこれにはす歯で噛み合ったダイ5又はコアロッド9の相対変位が阻止されて成形体の回転が防止される。
【0053】
なお、上パンチ1の復元伸びによって上パンチ1にはす歯で噛み合ったダイ5又はコアロッド9が回転しようとするのを防止するために、上パンチ1を案内するガイド溝18(図4、図5参照)の給粉用カム面にも同様の逃げ部を設けてガイドピン17との間に少なくとも上パンチの撓み量相当の軸方向隙間を生じさせるようにしておくのが望ましい。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように、外歯はす歯歯車用の成形装置においては、上パンチ、ダイ及び下パンチの3者を、また、内歯はす歯歯車用の成形装置においては上パンチ、下パンチ及びコアロッドの3者を各々回転可能に支持したことにより、圧縮中に下パンチが撓んでも下パンチが回転して上、下パンチのはす歯のリード位相のずれが自然に修正されるので、はす歯の噛み合い部、ダイ又はコアロッドを案内する固定ガイド機構のカムフォロワ係合部に無理な力が働かず、金型の保護効果が高まる。
【0055】
また、圧縮完了後、成形用のはす歯を有するダイ又はコアロッドが固定部材との間に設けた固定ガイド機構に案内され、はす歯のリードに応じて回転しながら降下するので成形体は回転せずにダイから押し出され、成形体の欠け、割れの防止効果も高まる。
【0056】
さらに、ガイド部の給粉用カム面に逃げ部を設けたものは、圧縮時に撓んだ下パンチが復元するとき、ダイ、コアロッドと共に成形体が下パンチの復元伸びに無回転で追従し、下パンチの撓み復元による成形体の回転も無くなって、欠け、割れ防止の効果が万全なものになる。
【0057】
このほか、追加部品、及び改良箇所が少ないため、装置の大型化、構造の複雑化、コストアップも回避され、安価かつ高信頼性のはす歯歯車用粉末成形装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】上、下パンチ回転、コアロッド固定の内歯はす歯歯車用の従来装置を示す断面図
【図2】上パンチ、コアロッド回転、下パンチ固定の内歯はす歯歯車用の従来装置を示す断面図
【図3】上パンチ、ダイ回転、下パンチ固定の外歯はす歯歯車用の従来装置を示す断面図
【図4】本発明の実施形態(外歯はす歯歯車用粉末成形装置)を示す断面図
【図5】他の実施形態(内歯はす歯歯車用粉末成形装置)の断面図
【図6】(a)はす歯同士を組合わせた固定ガイド機構の斜視図
(b)ガイド溝とピンを組合わせた固定ガイド機構の斜視図
(c)はす歯(突条)とピンを組合わせた固定ガイド機構の斜視図
【図7】(a)図4の装置の給粉用カム面に逃げ部を設けた固定ガイド機構の断面図
(b)同上の逃げ部の展開拡大正面図
【図8】(a)図5の装置の給粉用カム面に逃げ部を設けた固定ガイド機構の断面図
(b)同上の逃げ部の展開拡大正面図
【符号の説明】
1 上パンチ
2 アッパープレート
3 上ラム
4 ガイドプレート
5 ダイ
5a 垂下部
6 ダイプレート
7 下パンチ
8 ベースプレート
9 コアロッド
10 ヨークプレート
11 下ラム
12 連結用支柱
13 ガイドストッパ
14 ベアリング
15、17 ガイドピン
16、18 ガイド溝
19 シリンダ
20 ガイド部
20a 給粉用カム面
20b 圧縮、押し出し用カム面
21 カムフォロワ
22 固定部材
23 逃げ部
1 成形用のはす歯
2 上パンチのはす歯
3 下パンチのはす歯
M 粉末原料
A 成形体

Claims (4)

  1. 内周部に成形用のはす歯を形成したダイと、このダイのはす歯と噛み合うはす歯を外周部に形成した上パンチ及び下パンチと、コアロッドと、ダイを案内する固定ガイド機構とを有し、
    前記ダイ、上パンチ及び下パンチがそれぞれ回転可能に支持され、前記固定ガイド機構は、前記はす歯と同一リードのガイド部とこのガイド部の給粉用カム面及び給粉用カム面とは逆向きの圧縮、押し出し用カム面に摺動自在に係合するカムフォロワとをダイと固定部材に対応して設けて成り、
    前記上パンチがダイにはす歯で噛み合い、回転しながらダイの中に押し込まれてダイ、上、下パンチ及びコアロッドの4者間に形成されたキャビティ内の粉末原料が圧縮され、さらに、圧縮後の成形体が上、下パンチに対するダイ及びコアロッドの軸方向相対移動によってダイから押し出されるようになっている外歯はす歯歯車成形用の粉末成形装置。
  2. 外周部に成形用のはす歯を形成したコアロッドと、ダイと、前記コアロッドのはす歯と噛み合うはす歯を内周部に形成した上パンチ及び下パンチと、コアロッドを案内する固定ガイド機構とを有し、
    前記コアロッド、上パンチ及び下パンチがそれぞれ回転可能に支持され、前記固定ガイド機構は、前記はす歯と同一リードのガイド部とこのガイド部の給粉用カム面及び給粉用カム面とは逆向きの圧縮、押し出し用カム面に摺動自在に係合するカムフォロワとをコアロッドと固定部材に対応して設けて成り、
    前記上パンチがコアロッドにはす歯で噛み合い、回転しながらダイの中に押し込まれてダイ、上、下パンチ及びコアロッドの4者間に形成されたキャビティ内の粉末原料が圧縮され、さらに、圧縮後の成形体が上、下パンチに対するダイ及びコアロッドの軸方向相対移動によってダイから押し出されるようになっている内歯はす歯歯車成形用の粉末成形装置。
  3. 前記カムフォロワをガイド部のカム面に対して局部当りするピンで形成し、さらに、前記ガイド部の給粉用カム面に、そのカム面と前記ピンとの間に少なくとも圧縮中の下パンチ撓み量相当分の軸方向隙間を生じさせる逃げ部を形成した請求項1又は2記載の粉末成形装置。
  4. 請求項1又は2記載の粉末成形装置を用い、前記固定ガイド機構で上、下パンチにはす歯で噛み合ったダイ又はコアロッドを案内して回転させながらキャビティ内に投入した粉末原料の圧縮とダイからの成形体の押し出しを行うはす歯歯車の成形方法において、前記固定ガイド機構の給粉用カム面とカムフォロワとの間に少なくとも圧縮中の下パンチ撓み量相当の軸方向隙間を生じさせて圧縮後の圧力解放による下パンチの撓み復元時に、ダイ又はコアロッドを無回転で追従させることを特徴とするはす歯歯車の成形方法。
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