JP3719112B2 - 運転負荷判定装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、運転負荷判定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、心拍信号から算出される心拍変動RRV(R-R Variance)の変化の傾向や、心拍間隔RRI(R-R Interval)を周波数解析して得る2つのピーク成分の変化の傾向から運転者の精神的負荷状態を判定する装置や、これら装置の判定結果に応じて警報の提示や車両制御に制限を与える装置が開発されている。
【0003】
例えば、特開平8−131424号公報に記載の疲労蓄積判定方法及びシステム及び輸送機器は、運転者の心拍状態を検出し、時系列的に離れた2時点の拍動間隔の変動または分散または標準偏差を比較することによって、運転者の疲労蓄積を判定する方法であり、また運転者の疲労蓄積が大と判定された場合には、車両の速度を低下したり、進行方向を制限したりする装置、及び輸送機器である。
【0004】
また、特開平8−280637号公報に記載の精神活動判定装置は、運転者の心拍間隔を検出し、検出した心拍間隔に対して周波数解析を行った上で、抽出した2つの周波数成分を2次元平面状に展開して、その座標上の変化パターンから精神活動の状態を判定する精神活動判定装置である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した前者の運転者の負荷判定装置では、車両運転中の運転者の精神的負荷の判定を心拍信号の揺らぎRRVのみによって行なっている。しかし、車室内に装備されたモータなど、電気的なノイズを発生する機器が起動した際には、心拍信号に、これら電気的なノイズが混入する可能性があり、一元的な情報源による精神的負荷の判定と、更にはその判定に基づく車両の制御や情報提供は、必ずしも正確に行われる保証はない。
【0006】
また、上述した後者の運転者の負荷判定装置では、拍動間隔RRIを周波数解析して得る2つのピーク成分、つまり血圧変動性成分と呼吸変動性成分との描く軌跡より精神的負荷の判定を行っている。しかし、この方法は、前記のように呼吸変動性成分を含んでいる為、高速道路の走行時など、運転者に対する負荷が一定状態に保たれて、ほぼ一定周期の呼吸が実施できる場合にのみ有効な判定手法である。例えば、街中の走行やカーブが連続し、アクセル、ブレーキ、ステアリングの操作が連続するような、いわゆる身体的な負荷が課せられている場合には、通常、運転者は呼吸を一定のリズムで行うことが困難であるため、この方法による精神的負荷の判定結果には、身体的負荷の影響がノイズとして混入している可能性がある。
【0007】
本発明は、運転者の負荷判定をより正確に行うことのできる運転負荷判定装置の提供を課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、運転者の生体信号傾向と運転者の負荷状態とを関連づけて負荷判定法則として保持した判定法則記憶装置と、運転者の複数種類の生体信号を計測し、それぞれの生体信号及び前記判定法則記憶装置に保持されたそれぞれの前記負荷判定法則に基づいて複数の運転者負荷データを出力する運転者状態検出装置と、前記運転者状態検出装置が出力した複数の運転者負荷データに基づいて運転者の負荷状態を判定する総合運転負荷判定手段と、前記複数の運転者負荷データに基づき、運転者の運転負荷状態を精神的負荷と身体的負荷とに区分する総合運転負荷判定法則を保持した総合運転負荷判定法則記憶装置とを有し、前記総合運転負荷判定手段は、前記複数の運転負荷データ及び前記総合運転負荷判定法則に基づいて、運転負荷状態の判定を精神的負荷と身体的負荷とに区分して行う負荷分別手段を有することを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1記載の運転負荷判定装置であって、前記運転者状態検出装置は、運転者の拍動間隔を検出する拍動間隔検出手段と、前記拍動間隔検出手段によって検出された拍動間隔とに基づいて所定時間ごとの拍動間隔の分散値を算出する拍動間隔分散値算出手段を有し、前記判定法則記憶装置に保持された負荷判定法則は、運転者の拍動間隔分散値に基づき、運転者の運転負荷状態をその度合いに応じて区分する拍動間隔分散値負荷判定法則であり、前記拍動間隔分散値算出手段によって算出された拍動間隔の分散値及び前記拍動間隔分散値負荷判定法則に基づいて、運転者の負荷状態を判定する拍動間隔分散値負荷判定手段を有することを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1又は2記載の運転負荷判定装置であって、前記運転者状態検出装置は、運転者の拍動間隔を検出する拍動間隔検出手段と、前記拍動間隔検出手段によって検出された拍動間隔に基づいて所定時間ごとの拍動間隔を周波数解析する拍動周波数解析手段と、前記拍動周波数解析手段による周波数解析の結果から所定周波数を上回る高周波成分と所定周波数を下回る低周波成分との比を算出する拍動周波数比算出手段とを有し、前記判定法則記憶装置に保持された負荷判定法則は、運転者の拍動周波数比に基づき、運転者の運転負荷状態をその度合いに応じて区分する拍動周波数比負荷判定法則であり、前記拍動周波数比算出手段によって算出された拍動周波数比及び前記拍動周波数比負荷判定法則に基づいて、運転者の負荷状態を判定する拍動周波数負荷判定手段を有することを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3記載の運転負荷判定装置であって、前記運転者状態検出装置は、運転者の呼吸周波数を検出する呼吸周波数検出手段を有し、前記判定法則記憶装置に保持された負荷判定法則は、運転者の呼吸周波数に基づき運転者の運転負荷状態をその度合いに応じて区分するための呼吸周波数負荷判定法則であり、前記呼吸周波数検出手段によって検出した呼吸周波数及び前記呼吸周波数負荷判定法則に基づいて、運転者の負荷状態を判定する呼吸周波数平均値負荷判定手段を有することを特徴とする。
【0013】
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4記載の運転負荷判定装置であって、前記運転者状態検出装置は、運転者の呼吸周波数を検出する呼吸周波数検出手段と、前記呼吸周波数検出手段によって検出した呼吸周波数に基づいて所定時間ごとの呼吸周波数の分散値を算出する呼吸周波数分散値算出手段とを有し、前記判定法則記憶装置に保持された負荷判定法則は、運転者の呼吸周波数分散値に基づいた運転者の運転負荷状態を区分するための呼吸周波数分散値負荷判定法則であり、前記呼吸周波数分散値算出手段によって算出した呼吸周波数分散値及び前記呼吸周波数分散値負荷判定法則に基づいて、運転者の負荷状態を判定する呼吸周波数分散値負荷判定手段を有することを特徴とする。
【0014】
請求項6の発明は、請求項1乃至請求項5記載の運転負荷判定装置であって、前記総合運転負荷判定法則記憶装置は、予め複数の運転者にそれぞれ精神的負荷、身体的負荷及び通常状態からなる運転負荷状態を加えた場合の複数種類の運転者負荷データをそれぞれ、精神的負荷データの典型値、身体的負荷データの典型値及び通常負荷データの典型値として記憶し、前記負荷分別手段は、運転者状態検出装置が出力した複数種類の運転者負荷データを入力値として、該入力値から、前記精神的負荷データの典型値、身体的負荷データの典型値及び通常負荷データの典型値までのそれぞれの距離を算出し、これらの距離のうち最も短い典型値に対応する前記精神的負荷、前記身体的負荷及び前記通常状態の何れかを運転者がおかれている負荷状態と判定することを特徴とする。
【0015】
請求項7の発明は、請求項1乃至請求項6記載の運転負荷判定装置であって、車両運転に必要な行動の全部もしくは一部を行う運転支援装置と、精神的又は身体的な運転負荷状態に応じた運転支援法則を保持する運転支援法則記憶装置と、前記総合運転負荷判定手段の判定及び前記運転支援法則記憶装置に保持された運転支援法則に基づいて前記運転支援装置の起動と停止及び動作状態を決定する運転支援装置制御手段とを有することを特徴とする。
【0016】
請求項8の発明は、請求項7記載の運転負荷判定装置であって、前記運転支援装置は、前記運転支援装置制御手段に基づいて車両運転に必要な動作の全部もしくは一部を自動的に行う車両の自動走行制御手段と、前記運転支援装置制御手段に基づいて舵角比の変更が可能である舵角比可変操舵手段と、前記運転支援装置制御手段に基づいてアクセル操作量に対するスロットルゲインの変更が可能である駆動力特性可変駆動制御手段と、前記運転支援装置制御手段に基づいてブレーキ操作量に対する制動力が変更可能である制動特性可変制動制御手段と、前記運転支援装置制御手段に基づいて警報情報を提供する情報提供手段との少なくとも1つ以上を有することを特徴とする。
【0017】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、運転者状態検出装置によって、運転者の複数種類の生体信号を計測させ、計測した生体信号の傾向と運転者の負荷状態とを関連づけた負荷判定法則を参照することで、運転者の負荷状態を示す運転負荷データを得ることが可能になる。更に、複数の運転者負荷データに基づいて運転者の負荷状態の判定を行う総合運転負荷判定手段を設けることによって、複数の運転者状態検出装置が出力した複数の運転者負荷データに基づく運転者の負荷状態、すなわち複数の生体信号に基づく運転者の負荷状態の判定が可能になる。
また、複数の運転者負荷データを運転者の精神的負荷と身体的負荷とに関連付けた総合運転負荷判定法則を総合運転負荷判定法則記憶装置の内部に保持させることによって、総合運転負荷判定手段においては、複数の運転負荷データの入力に対して、精神的負荷と身体的負荷とに区分した運転負荷の判定を行うことが可能になる。
【0019】
請求項2記載の発明によれば、請求項1の発明の効果に加え、運転者の拍動間隔を拍動間隔検出手段によって検出させ、拍動間隔分散値算出手段では、所定時間分の拍動間隔を収集させることで、拍動間隔の分散値を算出することが可能になる。更に、判定法則記憶装置に、拍動間隔の分散値と運転負荷の関係を区分して示す拍動間隔分散値負荷判定法則とを保持させることによって、拍動間隔分散値負荷判定手段では、適宜、判定法則規則装置を参照することで、運転者の拍動信号の入力に対する運転負荷の判定が可能になる。
【0020】
請求項3記載の発明によれば、請求項1又は2の発明の効果に加え、運転者の拍動間隔を拍動間隔検出手段によって検出させ、拍動周波数解析手段では、所定時間分の拍動間隔を収集することで拍動間隔の周波数解析を行うことが可能になる。周波数解析によって抽出される低周波成分と高周波成分との比は、拍動周波数比算出手段を設けることによって算出することが可能になる。更に、判定法則記憶装置に、拍動周波数比と運転負荷の関係とを区分して示す拍動周波数比負荷判定法則を保持させることによって、拍動周波数比負荷判定手段では、適宜、判定法則記憶装置を参照することで、運転者の拍動信号の入力に対する運転負荷の判定が可能になる。
【0021】
請求項4記載の発明によれば、請求項1乃至3の発明の効果に加え、運転者の呼吸周波数を呼吸周波数検出手段によって検出させ、判定法則記憶装置に、呼吸周波数と運転負荷との関係を区分して示す呼吸周波数負荷判定法則を保持させることによって、呼吸周波数負荷判定手段では、適宜、判定法則記憶装置を参照することで、運転者の呼吸信号の入力に対する運転負荷の判定が可能になる。
【0022】
請求項5記載の発明によれば、請求項1乃至4の発明の効果に加え、運転者の呼吸周波数を呼吸周波数検出手段によって検出させ、呼吸周波数分散値算出手段では、所定時間分の呼吸周波数を収集させることで呼吸周波数の分散値を算出することが可能になる。更に、判定法則記憶装置に、呼吸周波数の分散値と運転負荷との関係を区分して示す呼吸周波数分散値負荷判定法則を保持させることによって、呼吸周波数分散値負荷判定手段では、適宜、判定法則記憶装置を参照することで、運転者の呼吸信号の入力に対する運転負荷の判定が可能になる。
【0023】
また、請求項6記載の発明によれば、請求項1乃至5の発明の効果に加え、負荷分別手段において、運転者負荷データから、精神的負荷データ等の典型値までの距離を算出することによって、運転負荷の精神的負荷と身体的負荷との区分を実現することが可能になる。
【0024】
請求項7記載の発明によれば、請求項1乃至6の発明の効果に加え、運転支援法則記憶装置に精神的又は身体的な運転負荷状態に適した運転支援を示す運転支援法則を保持させることによって、運転支援装置制御装置では、適宜、総合運転負荷判定手段の判定に基づいて、車両運転に必要な行動の全部もしくは一部を行う運転支援装置の起動と停止及び動作状態を決定することが可能になる。
【0025】
請求項8記載の発明によれば、請求項7の発明の効果に加え、運転支援装置に、自動走行制御手段と、舵角比可変操舵手段と、駆動力特性可変駆動制御手段と、制動特性可変制動制御手段と、情報提供手段との少なくとも1つ以上の手段を保持させ、これらを運転者の精神的・身体的な負荷状況とその程度に応じて駆動することによって運転者の運転負荷を軽減することが可能になる。
【0026】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の構成を示すブロック図である。この図1のように、本発明の運転負荷判定装置は、運転者状態検出装置20A、20B、20C、20Dの何れかを備えている。又、判定法則記憶装置10、総合運転負荷判定手段30、総合運転負荷判定法則記憶装置80、運転支援装置制御手段50、運転支援法則記憶装置60、運転支援装置70を備えている。
【0027】
前記判定法則記憶装置10は、運転者の生体信号傾向と、運転者の負荷状態に関連付けて負荷判定法則すなわち拍動間隔分散値負荷判定法則11又は拍動周波数比負荷判定法則12又は呼吸周波数負荷判定法則13又は呼吸周波数分散値負荷判定法則14を保持したものである。
【0028】
前記運転者状態検出装置20A、20B、20C、20Dは、運転者の2種類の生体信号を記憶し、該生体信号及び前記判定法則記憶装置10に保持された負荷判定法則11,12,13,14に基づいて運転者負荷データを出力するものである。
【0029】
又、前記運転者状態検出装置20Aは、拍動間隔検出手段211、拍動間隔分散値算出手段212、拍動間隔分散値負荷判定手段213を備えている。前記拍動間隔検出手段211は、運転者の拍動間隔を検出するものである。前記拍動間隔分散値算出手段212は、拍動間隔検出手段211によって検出された拍動間隔に基づいて所定時間毎の拍動間隔の分散値を算出するものである。前記拍動間隔分散値負荷判定手段213は、前記拍動間隔分散値算出手段212によって算出された拍動間隔の分散値及び前記判定法則記憶装置10に保持された負荷判定法則としての拍動間隔分散値負荷判定法則11に基づいて運転者の負荷状態を判定するものである。
【0030】
前記運転者状態検出装置20Bは、拍動間隔検出手段221、拍動周波数解析手段222、拍動周波数比算出手段223、拍動周波数比負荷判定手段224を備えている。前記拍動間隔検出手段211は、運転者の拍動間隔を検出するものである。前記拍動周波数解析手段222は、拍動間隔検出手段221によって検出された拍動間隔に基づいて所定時間毎の拍動間隔を周波数解析するものである。前記拍動周波数比算出手段223は、前記拍動周波数解析手段222による周波数解析の結果から所定周波数を上回る高周波成分と所定周波数を下回る低周波成分との比を算出するものである。前記拍動周波数比負荷判定手段224は、前記拍動周波数比算出手段223によって算出された拍動周波数比及び前記判定法則記憶装置に保持された判定負荷法則としての拍動周波数比負荷判定法則12に基づいて運転者の負荷状態を判定するものである。
【0031】
前記運転者状態検出装置20Cは、呼吸周波数検出手段231、呼吸周波数平均値負荷判定手段232を備えている。前記呼吸周波数検出手段231は、運転者の呼吸周波数を検出するものである。前記呼吸周波数平均値負荷判定手段232は、前記呼吸周波数検出手段231によって検出した呼吸周波数及び前記判定法則記憶装置10に保持された負荷判定法則としての呼吸周波数負荷判定法則13に基づいて運転者の負荷状態を判定するものである。
【0032】
前記運転者状態検出装置20Dは、呼吸周波数検出手段241、呼吸周波数分散値算出手段242、呼吸周波数分散値負荷判定手段243を備えている。前記呼吸周波数検出手段241は、運転者の呼吸周波数を検出するものである。前記呼吸周波数分散値算出手段242は、前記呼吸周波数検出手段241によって検出した呼吸周波数に基づいて所定時間毎の呼吸周波数の分散値を算出するものである。前記呼吸周波数分散値負荷判定手段243は、前記呼吸周波数分散値算出手段242によって算出した呼吸周波数分散値及び前記判定法則記憶装置10に保持された負荷判定法則としての呼吸周波数分散値負荷判定法則14に基づいて運転者の負荷状態を判定するものである。
【0033】
前記総合運転負荷判定手段30は、負荷分別手段40を備えている。負荷分別手段40は、前記呼吸周波数平均値負荷判定手段232と、呼吸周波数分散値負荷判定手段243とによる運転負荷判定の結果に基づき、運転負荷が高いと判定された場合には運転者の運転負荷状態を身体的負荷に区分し、運転負荷が低いと判定された場合には運転者の運転負荷状態を精神的負荷に区分するものである。
【0034】
前記総合運転負荷判定法則記憶装置80は、総合運転負荷判定法則81を備えている。前記総合運転負荷判定法則81は、複数の運転者負荷データに基づき運転者の運転負荷状態を精神的負荷と身体的負荷とに区分する法則を記述したものである。前記運転支援装置70は、車両運転に必要な行動の全部もしくは一部を行うものである。前記運転支援法則記憶装置60は精神的又は身体的な運転負荷状態に応じた運転支援法則61を保持している。
【0035】
前記運転支援装置制御手段50は、総合運転負荷判定手段30及び運転支援法則記憶装置60に保持された運転支援法則61に基づいて、前記運転支援装置70の起動と停止及び動作状態を決定するものである。
【0036】
前記運転支援装置70は、自動走行制御手段71、舵角比可変操舵手段72、駆動力特性可変駆動制御手段73、制動特性可変制動制御手段74、情報提供手段75を備えている。前記自動走行制御手段71は、運転支援装置制御手段50に基づいて車両運転に必要な動作の全部もしくは一部を自動的に行うものである。前記舵角比可変操舵手段72は、運転支援装置制御手段50に基づいて舵角比の変更を行うものである。前記駆動力特性可変駆動制御手段73は、前記運転支援装置制御手段50に基づいてアクセル操作量に対するスロットルゲインの変更を行うものである。前記制動特性可変制動制御手段74は、前記運転支援装置制御手段50に基づいてブレーキ操作量に対する制動力を変更するものである。前記情報提供手段75は、前記運転支援装置制御手段に基づいて警報情報を提供するものである。
【0037】
(第1実施形態)
図2は、本発明の第1実施形態に係るブロック図を示している。この図2のように、第1実施形態の運転負荷判定装置は、心拍信号検出装置100、拍動間隔分散値算出回路101、拍動間隔分散値負荷判定回路102、拍動周波数解析回路103、拍動周波数比負荷判定回路104を備えている。又、呼吸信号検出装置105、呼吸周波数平均値算出回路106、呼吸周波数平均値負荷判定回路107、呼吸周波数分散値算出回路108、呼吸周波数分散値負荷判定回路109を備えている。更に、総合運転負荷判定回路110、運転支援装置制御回路111、自動走行制御装置112、情報提供装置113、負荷判定法則記憶装置114、運転支援法則記憶装置115を備えている。
【0038】
前記心拍信号検出装置100は、前記拍動間隔検出手段211を構成し、運転者の心拍信号を検出するものである。前記拍動間隔分散値算出回路101は、前記拍動間隔分散値算出手段212を構成するもので、検出した心拍信号から拍動間隔を求めて分散値を算出するものである。前記拍動間隔分散値負荷判定回路102は、前記拍動間隔分散値負荷判定手段213を構成するもので、算出した拍動間隔分散値を負荷判定法則記憶装置114に記憶された判定法則に照らし合わすことで運転者の運転負荷を判定するものである。前記拍動周波数解析回路103は、前記拍動周波数解析手段222を構成するもので、検出した心拍信号から拍動間隔を求めて、これを一定サンプリング周波数のデータに補正した後に周波数解析を行うものである。
【0039】
前記拍動周波数比負荷判定回路104は、前記拍動周波数比算出手段223及び拍動周波数比負荷判定手段224を構成するもので、周波数解析の結果として得た高周波成分と低周波成分との比を求め、算出した比を負荷判定法則記憶装置114に記憶された判定法則に照らし合わすことで運転者の運転負荷を判定するものである。
【0040】
前記呼吸信号検出装置105は、前記呼吸周波数検出手段231を構成するもので、運転者の呼吸信号を検出するものである。前記呼吸周波数平均値算出回路106は、前記呼吸周波数検出手段231を構成するもので、検出した呼吸信号から呼吸周波数を求めてその平均値を算出するものである。
【0041】
前記呼吸周波数平均値負荷判定回路107は、前記呼吸周波数平均値負荷判定手段232を構成するもので、算出した呼吸周波数平均値を負荷判定法則記憶装置114に記憶された判定法則に照らし合わすことで運転者の運転負荷を判定するものである。
【0042】
前記呼吸周波数分散値算出回路108は、前記呼吸周波数分散値算出手段242を構成するもので、検出した呼吸信号から呼吸周波数を求めてその分散値を算出するものである。前記呼吸周波数分散値負荷判定回路109は、前記呼吸周波数分散値負荷判定手段243を構成するもので、算出した呼吸周波数分散値を負荷判定法則記憶装置114に記憶された判定法則に照らし合わすことで運転者の運転負荷を判定するものである。
【0043】
前記総合運転負荷判定回路110は、前記総合運転負荷判定手段30を構成するもので、各判定回路102,104,107,109の判定結果を負荷判定法則記憶装置114に記憶された判定法則に照らし合わすことで運転者の運転負荷の種類と程度とを判定するものである。
【0044】
前記運転支援装置制御回路111は、前記運転支援装置制御手段50を構成するもので、判定された運転負荷の種類と程度とを運転支援法則記憶装置115に記憶された支援法則に照らし合わすことで運転者の運転支援の必要性判断、支援方法を決定するものである。
【0045】
前記自動走行制御装置112は、前記自動走行制御手段71を構成するもので、操舵制御、アクセル制御、ブレーキ制御のそれぞれを自動的に行うものである。前記情報提供装置113は、前記情報提供手段75を構成するもので、警報情報を音声、画像で運転者に提示するものである。
【0046】
前記心拍信号検出装置100は、超音波センサによって心臓の拍動を検出するものであり、検出する心拍信号は心電の正確な波形診断が目的ではないため、図3に示すように、本超音波センサ91をシート92に内蔵することで心拍信号の検出が可能である。また、前記呼吸信号検出装置105は、胸部に配置した歪みゲージの伸縮で呼吸運動を波形として検出するものであり、図3に示すように、呼吸センサ93をシートベルト90に内蔵することで呼吸信号の検出が可能である。
【0047】
前記拍動間隔分散値算出回路101で行われる処理には実時間で行われるRRV算出手法を用いることができるが、算出方法の一例を図4に示すフローチャートを用いて説明する。ステップS11で、心拍信号検出装置100によって検出された心拍信号が入力される。ステップS12では、あらかじめ与えられた閾値によって心拍信号のR波を検出する。ステップS13では、R波検知の時間間隔RRI(R-R Interval)を算出する。ステップS14では、ステップS13で算出したRRIデータを新たに加えた例えば過去30秒分のRRIデータを回路内のデータ蓄積手段に蓄積する。ステップS15では、蓄積された30秒分のRRIデータについて、正規化分散RRVを算出する。この方法によれば、計測開始から30秒間については正確なRRVを算出できないが、30秒経過以降はR波が検出されるタイミングで30秒分の心拍信号を基にしたRRVが算出されることになる。ステップS16では、求めたRRVを出力する。
【0048】
前記拍動間隔分散値負荷判定回路102で行われる処理の流れを図5に示すフローチャートを用いて説明する。ステップS17で拍動間隔分散値算出回路101によって算出された拍動間隔分散値rrvが入力される。ステップS18では、負荷判定法則記憶装置114を参照して、運転負荷の程度を算出する。負荷判定法則記憶装置114には、拍動間隔分散値と運転負荷の関係を示す、図6に示すテーブルが記憶されており、例えば、ステップS17で入力された拍動間隔分散値がrrv=2×10-4であった場合、運転負荷段階WLrrv=4を得る。なお、本テーブルに示される拍動間隔分散値と運転負荷の関係は、実験的に複数の被験者(運転者)に対して負荷を与えたときに示される拍動間隔分散値と、その負荷の程度を被験者の主観で、例えば5段階で評価した結果を統計的に解析したものを用いることが可能である。ステップS19では、求めた運転負荷を運転者負荷データWLrrvとして出力する。
【0049】
前記拍動周波数解析回路103で行われる処理の流れを図7に示すフローチャートを用いて説明する。ステップS21で、心拍信号検出装置100によって検出された心拍信号が入力される。ステップS22では、あらかじめ与えられた閾値によって心拍信号のR波を検出する。ステップS23では、R波検知の時間間隔RRI(R-R Interval)を算出する。ステップS24では、算出したRRIを新たに加えた、例えば32秒分のRRIデータを蓄積する。ステップS25では、蓄積された32秒分のRRIデータについて、例えば4Hzで補間する。これはRRIデータが時系列的に不規則なサンプリングになるためである。ステップS26では、補完されたデータに基づき高速周波数解析FFTを行う。この方法に依れば、初めの32秒間については正確な周波数解析を行えないが、32秒経過以降はR波が検知されるタイミングで128点のFFTを実施することができる。ステップS27では、周波数解析の結果を出力する。
【0050】
前記拍動周波数比判定回路104で行われる処理の流れを図8に示すフローチャートを用いて説明する。ステップS28で拍動周波数解析回路103によって算出された周波数解析結果が入力される。ステップS29では、解析結果の低周波成分LFと高周波成分HFとを求める。低周波成分LFは血圧変動性の成分であり、0.1Hz前後に現れることがわかっているので、0.1Hz前後のピーク点をLFとすればよい。高周波成分HFは呼吸変動性の成分であり、車両の運転中であれば、0.2Hz以降に現れることがわかっている。したがって、0.2Hz以降のピーク点をHFとすればよい。ステップS30では、検出した低周波成分LFと高周波成分HFの比LH=LF/HFを算出する。ステップS31では、負荷判定法則記憶装置114を参照して運転負荷の程度を算出する。負荷判定法則記憶装置114には、周波数成分比LHと運転負荷の関係を示す図9に示すテーブルが記憶されており、例えば、算出されたLHがlh=2.9であった場合、運転負荷段階WLlh=3を得る。なお、本テーブルに示される周波数成分比LHと運転負荷の関係は、実験的に複数の被験者(運転者)に対して負荷を与えたときに示される周波数成分比LHと、その負荷の程度を被験者の主観で、例えば5段階で評価した結果を統計的に解析したものを用いることが可能である。ステップS32では、求めた運転負荷を運転者負荷データWLlhとして出力する。
【0051】
前記呼吸周波数平均値算出回路106で行われる処理の流れを図10に示すフローチャートを用いて説明する。ステップS41で、呼吸信号検出装置105によって検出された呼吸信号が入力される。ステップS42では、例えば32秒分の呼吸信号を蓄積する。ステップS43では、ステップS42で蓄積した32秒分の呼吸信号を新たに加えた、320秒分の呼吸信号を蓄積する。ステップS43で蓄積された呼吸信号に基づき高速周波数解析FFTを行う。この方法によれば、初めの320秒間については正確な周波数解析を行えないが、320秒経過以降はステップS42で設定した時間間隔、本例では32秒間隔で周波数解析を実施することができる。本周波数解析の結果、呼吸周波数が抽出される。ステップS45では、求めた呼吸周波数を出力する。
【0052】
前記呼吸周波数平均値負荷判定回路107で行われる処理の流れを図11に示すフローチャートを用いて説明する。ステップS46で呼吸周波数算回路105によって算出された呼吸周波数が入力される。ステップS47では、負荷判定法則記憶装置114を参照して、運転負荷の程度を算出する。負荷判定法則記憶装置114には、呼吸周波数と運転負荷の関係を示す。図12に示すテーブルが記憶されており、例えば、ステップS46で入力された呼吸周波数がr=0.33[Hz]であった場合、運転負荷段階WLr=3を得る。なお、本テーブルに示される呼吸周波数と運転負荷の関係は、実験的に複数の被験者(運転者)に対して負荷を与えたときに示される呼吸周波数と、その負荷の程度を被験者の主観で、例えば5段階で評価した結果を統計的に解析したものを用いることが可能である。ステップS48では、求めた運転負荷を運転者負荷データWLrとして出力する。
【0053】
前記呼吸周波数分散値算出回路108で行われる処理の流れを図13に示すフローチャートを用いて説明する。ステップS51で、呼吸信号検出装置105によって検出された呼吸信号が入力される。ステップS52では、例えば32秒分の呼吸信号を蓄積する。ステップS53では、蓄積された呼吸信号に基づき高速周波数解析FFTを行う。本周波数解析の結果、呼吸周波数が抽出される。ステップS54では、算出した呼吸周波数を新たに加えた、320秒分の呼吸周波数を蓄積する。ステップS55では、蓄積した呼吸周波数の分散値を求める。この方法によれば、初めの320秒間については正確な呼吸周波数の分散値を求めることはできないが、320秒経過以降はステップS26で設定した時間間隔、32秒間隔で呼吸周波数の分散値を求めることが可能である。ステップS56では、求めた呼吸周波数分散値を出力する。
【0054】
前記呼吸周波数分散値負荷判定回路109で行われる処理の流れを図14に示すフローチャートを用いて説明する。ステップS57で呼吸周波数分散値算出回路108によって算出された呼吸周波数分散値が入力される。ステップS58では、負荷判定法則記憶装置114を参照して、運転負荷の程度を算出する。負荷判定法則記憶装置114には、呼吸周波数分散値と運転負荷との関係を示す図15のテーブルが記憶されており、例えば、ステップS57で入力された呼吸周波数分散値がrv=0.012であった場合、運転負荷段階WLrv=2を得る。
なお、本テーブルに示される呼吸周波数分散値と運転負荷の関係は、実験的に複数の被験者(運転者)に対して負荷を与えたときに示される呼吸周波数分散値と、その負荷の程度を被験者の主観で、例えば5段階で評価した結果を統計的に解析したものを用いることが可能である。ステップS59では、求めた運転負荷段階を運転者負荷データWLrvとして出力する。
【0055】
前記総合負荷判定回路110で行われる処理の流れを図16に示すフローチャートを用いて説明する。ステップS61で拍動間隔分散値負荷判定回路102、拍動周波数比負荷判定回路104、呼吸周波数平均値負荷判定回路107、呼吸周波数分散値負荷判定回路109の各々で判定された運転者負荷データ(WLrrv,WLlh,WLr,WLrv)が入力される。ステップS62では、入力された各運転者負荷データを負荷判定法則記憶装置114を参照して、「精神的負荷」、「身体的負荷」、「通常」の3種のどの運転負荷種別に属するものであるかを判定する。負荷判定法則記憶装置114には、拍動間隔分散値と拍動周波数比と呼吸周波数と呼吸周波数分散値との各運転者負荷データが「精神的負荷」、「身体的負荷」、「通常」のそれぞれが与えられた時に示す典型的な値を図17に示すテーブルのように記憶されている。そして、運転者負荷データから精神的負荷データの典型値までの距離WLmは
【数1】
で決定する。同様に運転者負荷データから身体的負荷データまでの距離WLbは
【数2】
で決定し、運転者負荷データから通常負荷データの典型値までの距離WLnは
【数3】
で決定する。例えば、ステップS61で入力された運転負荷データが(WLrrv,WLlh,WLr,WLrv)=(4,3,3,2)であり、テーブルが図18で与えられた場合、
【数4】
を得る。本手法によれば、算出された各負荷値で最も小さい値を示すものが運転者がおかれている負荷の状態(運転負荷種別)に近い。すなわち、本例の場合、運転負荷種別WLkは「精神的負荷」と判定される。なお、本テーブルは、複数の被験者(運転者)に対して実験的に「精神的負荷」、「身体的負荷」、「通常」の3種の負荷を与え、この時に示される各運転者負荷データを平均することによって作成できる。ステップS63では、ステップS62の判定結果に基づき運転負荷レベルWLlを算出する。判定結果が「精神的負荷」であれば、その傾向を実験的に最も反映すると認められている拍動周波数比負荷判定による運転負荷データWLlhの値を運転負荷レベルWLlとする。一方、判定結果が「身体的負荷」であれば、その傾向を実験的に最も反映すると認められている呼吸周波数分散値判定による運転負荷データWLrrvの値を運転負荷レベルWLlとする。
判定結果が「通常」であれば、運転負荷レベルの項目は空白でよい。ステップS64では、運転負荷種別WLkと運転負荷レベルWLlとの組合わせを総合運転負荷値(WLk,WLl)として出力する。
【0056】
前記自動走行制御手段112は、車両運転に係わる動作に全部または一部を自動的に行うものであり、例えば、車間距離センサ、速度センサ、アクセル、ブレーキを駆動するアクチュエータを搭載し、自動的に先行車両との車間距離を維持したり、車速を維持して走行することを可能とする所謂オートマチッククルーズコントロール(ACC)や、カメラ、操舵アクチュエータに搭載して、カメラで検出した走行車線を維持すべく操舵アクチュエータによって自動的に操舵輪を転蛇して走行するレーン追従制御装置などもこれに相当する。なお、本実施形態では、オートマチッククルーズコントロールとレーン追従制御装置を搭載している。
【0057】
前記情報提供装置113は、本実施形態では、図19に示すように、特定周波数の音を指定した時間で提示する車室内の任意の位置に設置されたブザー95と任意の画像の提示が可能であるモニタ96となっている。
【0058】
前記運転支援制御装置制御回路111で行われる処理の流れを図20に示すフローチャートを用いて説明する。ステップS71では、前記総合負荷判定回路110から出力された運転負荷種別と運転負荷値レベルの組合わせである総合運転負荷値が入力される。ステップS72では、運転支援法則記憶装置115を参照して、駆動する運転支援装置の種類と、駆動方法を決定する。運転支援法則記憶装置115には、運転負荷種別、運転負荷レベルに対応させて駆動する運転支援装置の関係を示す図21のテーブルが記憶されており、本テーブルによれば、例えば、ステップS71で入力された運転負荷種別が「精神的負荷」であり、運転負荷レベルWLl=3であった場合、自動走行制御装置112のオートマチッククルーズコントロールに対して駆動命令を出すことを示している。この時、情報提供装置のモニタにオートマチッククルーズコントロールが起動することを伝える情報を表示することと、情報提示装置のブザーを0.5秒間鳴らすことを示している。また、運転負荷レベルWLl≧4であった場合には、オートマチッククルーズコントロールに加えてレーン追従制御装置を駆動し、レーン追従装置が起動したことを伝える情報を情報提供装置のモニタに表示すること、情報提供装置のブザーを1秒間鳴らすことを示している。また、運転負荷種別が「身体的負荷」と「通常」である場合には、運転支援装置を駆動しないことを示している。本テーブルに示される運転負荷種別と運転負荷レベルと駆動する運転支援装置の関係は、実験的に複数の被験者(運転者)に対して精神的負荷および身体的負荷を与えたときの被験者の主観で起動したい支援手段をアンケート調査することによって求められ、さらに運転支援装置を駆動した時の運転負荷種別と運転負荷レベルを計測し、運転支援装置を駆動する前の負荷レベルと比較することによって、その効果を確認することができる。ステップS73ではステップS72で決定された運転支援の方策を実施する。
【0059】
以上説明したように本実施形態によれば、心拍信号から得る心拍間隔の分散値による負荷判断と、拍動間隔の周波数解析による負荷判断と、呼吸信号から得る呼吸周波数による負荷判断と、呼吸周波数の分散値による負荷判断の、計4種の多元的な負荷判断を行ない、各判断値の出現パターンを記憶装置に記憶されたパターンと比較することによって、多元的な生体信号からの運転負荷の判定ができ、更に、この運転負荷を精神的負荷と身体的負荷に分離することができる。従って、正確な負荷判定を行い、運転支援装置の的確な制御等を行うことができる。
【0060】
(第2実施形態)
図22は、運転者の運転負荷を判定する運転負荷判定装置へ適用した本発明の第2実施形態の構成図である。この実施形態は運転支援を行う上で制御する装置として、舵角比可変操舵装置116と駆動特性可変駆動制御装置117と制動特性可変制動制御装置118を増やした例であり、これにともなって、運転支援装置制御回路111’が参照する運転支援法則記憶装置115’に記憶されている運転支援法則の内容を変更した例であり、他の構成及び各構成要素における処理の流れは第1実施形態と同じである。
【0061】
前記舵角比可変操舵制御装置116は、運転者の操舵に対する操舵輪の操舵量を決定するステアリングギヤ比を変更可能である操舵制御装置である。
【0062】
前記駆動特性可変駆動制御装置117は、運転者のアクセル操作量に対するスロットルバルブの開度のゲイン、すなわちスロットルゲインを変更可能である駆動制御装置である。
【0063】
前記制動特性可変制動制御装置118は、運転者のブレーキ踏力もしくはブレーキ踏込み量に対して発生させる制動力の変更が可能である制動制御装置であり、いわゆるブレーキアシスト装置である。
【0064】
前記運転支援制御装置制御回路111’で行われる処理の流れを図23に示すフローチャートを用いて説明する。ステップS81では、総合負荷判定回路110から出力された運転負荷種別と運転負荷値レベルの組合わせである総合運転負荷値が入力される。ステップS82では、運転支援法則記憶装置115’を参照して、駆動する運転支援装置の種類と、駆動方法を決定する。運転支援法則記憶装置115’には、運転負荷種別、運転負荷レベルに対応させて駆動する運転支援装置の関係を示す、図24に示すテーブルが記憶されており、本テーブルによれば、例えば、ステップS71で入力された運転負荷種別が「精神的負荷」であり、運転負荷レベルWLl=4であった場合、自動走行制御装置112のオートマチッククルーズコントロールに対して駆動命令を出すことを示している。この時、情報提供装置のモニタにオートマチッククルーズコントロールが起動することを伝える情報を表示することと、情報提供装置のブザーを0.5秒間鳴らすことを示している。また、ステアリングギア比を通常時の0.9倍、スロットルゲインを通常時の0.95倍、ブレーキアシスト量を通常の1.05倍に設定している。なお、本設定は、精神的な負荷が課せられている時の運転者の心理状態として、急激な挙動の車両特性は煩わしく感じること、通常時と比較して制動動作に遅れが生じることに起因している。
【0065】
また、例えば、ステップS71で入力された運転負荷種別が「身体的負荷」であり、運転負荷レベルWLl=5であった場合、ステアリングギア比を通常時の1.5倍、スロットルゲインを通常時の1.1倍、ブレーキアシスト量を通常の1.15倍に設定している。なお、本設定は、身体的な負荷が課せられている時の運転者の審理状態として、通常時と比較して各種操作を急いで行いたいこと、操作量を減少させたいことに起因している。更に、通常時である場合には、運転支援装置を駆動しないことを示している。
【0066】
本テーブルに示される運転負荷種別と運転負荷レベルと駆動する運転支援装置の関係は、実験的に複数の被験者(運転者)に対して精神的負荷および身体的負荷を与えたときの被験者の主観で起動したい支援手段をアンケート調査することによって求められ、さらに運転支援装置を駆動した時の運転負荷種別と運転負荷レベルを計測し、運転支援装置を駆動する前の負荷レベルと比較することによって、その効果を確認することができる。ステップS83ではステップS82で決定された運転支援の方策を実施する。
【0067】
以上説明したように本実施形態によれば、心拍信号から得る拍動間隔の分散値による負荷判断と、拍動間隔の周波数解析による負荷判断と、呼吸信号から得る呼吸周波数の分散値による負荷判断の計4種の負荷判断に基づき総合的に判断した結果、運転負荷を精神的負荷と身体的負荷に区別がなされ、更にそれぞれの負荷レベルを算出することで、運転者の負荷状態に適した運転支援手段を選択し、実施することができる。
【0068】
なお、上記実施形態では、心拍、呼吸の双方により判定したが、心拍、呼吸、いずれか一方のみを用いて判定することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1実施形態の構成を示すブロック図である。
【図3】第1実施形態に係り、超音波センサと呼吸センサの取付例を示す説明図である。
【図4】第1実施形態に係り、拍動間隔分散値算出回路における演算処理手順を示すフローチャートである。
【図5】第1実施形態に係り、拍動間隔分散値負荷判定回路における演算処理手順を示すフローチャートである。
【図6】第1実施形態に係り、負荷判定法則記憶装置に収められた情報の説明図である。
【図7】第1実施形態に係り、拍動周波数解析回路における演算処理手順を示すフローチャートである。
【図8】第1実施形態に係り、拍動間周波数比負荷判定回路における演算処理手順を示すフローチャートである。
【図9】第1実施形態に係り、負荷判定法則記憶装置に収められた情報の説明図である。
【図10】第1実施形態に係り、呼吸周波数算出回路における演算処理手順を示すフローチャートである。
【図11】第1実施形態に係り、呼吸周波数比負荷判定回路における演算処理手順を示すフローチャートである。
【図12】第1実施形態に係り、負荷判定法則記憶装置に収められた情報の説明図である。
【図13】第1実施形態に係り、呼吸周波数分散値算出回路における演算処理手順を示すフローチャートである。
【図14】第1実施形態に係り、呼吸周波数分散値負荷判定回路における演算処理手順を示すフローチャートである。
【図15】第1実施形態に係り、負荷判定法則記憶装置に収められた情報の説明図である。
【図16】第1実施形態に係り、総合負荷判定回路における演算処理手順を示すフローチャートである。
【図17】第1実施形態に係り、負荷判定法則記憶装置に収められた情報の説明図である。
【図18】第1実施形態に係り、負荷判定法則記憶装置に収められた情報の説明図である。
【図19】第1実施形態に係り、情報提供装置の設置例を示す図である。
【図20】第1実施形態に係り、運転支援制御装置制御回路における演算処理手順を示すフローチャートである。
【図21】第1実施形態に係り、運転支援法則記憶装置に収められた情報の説明図である。
【図22】本発明の第2実施形態の構成を示すブロック図である。
【図23】第2実施形態に係り、運転支援制御装置制御回路における演算処理手順を示すフローチャートである。
【図24】第2実施形態に係り、運転支援法則記憶装置に収められた情報の説明図である。
【符号の説明】
10 判定法則記憶装置
20A,20B,20C,20D 運転者状態検出装置
30 総合運転負荷判定手段
40 負荷分別手段
50 運転支援装置制御手段
60 運転支援法則記憶装置
61 運転支援法則
70 運転支援装置
71 自動走行制御手段
72 舵角比可変操舵手段
73 駆動力特性可変駆動制御手段
74 制動特性可変制動制御手段
75 情報提供手段
80 総合運転負荷判定法則記憶装置
81 総合運転負荷判定法則
Claims (8)
- 運転者の生体信号傾向と運転者の負荷状態とを関連づけて負荷判定法則として保持した判定法則記憶装置と、
運転者の複数種類の生体信号を計測し、それぞれの生体信号及び前記判定法則記憶装置に保持されたそれぞれの前記負荷判定法則に基づいて複数の運転者負荷データを出力する運転者状態検出装置と、
前記運転者状態検出装置が出力した複数の運転者負荷データに基づいて運転者の負荷状態を判定する総合運転負荷判定手段と、
前記複数の運転者負荷データに基づき、運転者の運転負荷状態を精神的負荷と身体的負荷とに区分する総合運転負荷判定法則を保持した総合運転負荷判定法則記憶装置とを有し、
前記総合運転負荷判定手段は、前記複数の運転負荷データ及び前記総合運転負荷判定法則に基づいて、運転負荷状態の判定を精神的負荷と身体的負荷とに区分して行う負荷分別手段を有することを特徴とする運転負荷判定装置。 - 請求項1記載の運転負荷判定装置であって、
前記運転者状態検出装置は、運転者の拍動間隔を検出する拍動間隔検出手段と、
前記拍動間隔検出手段によって検出された拍動間隔に基づいて所定時間ごとの拍動間隔の分散値を算出する拍動間隔分散値算出手段とを有し、
前記判定法則記憶装置に保持された負荷判定法則は、運転者の拍動間隔分散値に基づき、運転者の運転負荷状態をその度合いに応じて区分する拍動間隔分散値負荷判定法則であり、
前記拍動間隔分散値算出手段によって算出された拍動間隔の分散値及び前記拍動間隔分散値負荷判定法則に基づいて、運転者の負荷状態を判定する拍動間隔分散値負荷判定手段を有することを特徴とする運転負荷判定装置。 - 請求項1又は2記載の運転負荷判定装置であって、
前記運転者状態検出装置は、運転者の拍動間隔を検出する拍動間隔検出手段と、前記拍動間隔検出手段によって検出された拍動間隔に基づいて所定時間ごとの拍動間隔を周波数解析する拍動周波数解析手段と、前記拍動周波数解析手段による周波数解析の結果から所定周波数を上回る高周波成分と所定周波数を下回る低周波成分の比を算出する拍動周波数比算出手段とを有し、
前記判定法則記憶装置に保持された負荷判定法則は、運転者の拍動周波数比に基づき、運転者の運転負荷状態をその度合いに応じて区分する拍動周波数比負荷判定法則であり、
前記拍動周波数比算出手段によって算出された拍動周波数比及び前記拍動周波数比負荷判定法則に基づいて、運転者の負荷状態を判定する拍動周波数比負荷判定手段を有することを特徴とする運転負荷判定装置。 - 請求項1乃至請求項3記載の運転負荷判定装置であって、
前記運転者状態検出装置は、運転者の呼吸周波数を検出する呼吸周波数検出手段を有し、
前記判定法則記憶装置に保持された負荷判定法則は、運転者の呼吸周波数に基づき運転者の運転負荷状態をその度合いに応じて区分するための呼吸周波数負荷判定法則であり、
前記呼吸周波数検出手段によって検出した呼吸周波数及び前記呼吸周波数負荷判定法則に基づいて、運転者の負荷状態を判定する呼吸周波数平均値負荷判定手段を有することを特徴とする運転負荷判定装置。 - 請求項1乃至請求項4記載の運転負荷判定装置であって、
前記運転者状態検出装置は、運転者の呼吸周波数を検出する呼吸周波数検出手段と、前記呼吸周波数検出手段によって検出した呼吸周波数に基づいて所定時間ごとの呼吸周波数の分散値を算出する呼吸周波数分散値算出手段とを有し、
前記判定法則記憶装置に保持された負荷判定法則は、運転者の呼吸周波数分散値に基づいた運転者の運転負荷状態を区分するための呼吸周波数分散値負荷判定法則であり、
前記呼吸周波数分散値算出手段によって算出した呼吸周波数分散値及び前記呼吸周波数分散値負荷判定法則に基づいて、運転者の負荷状態を判定する呼吸周波数分散値負荷判定手段を有することを特徴とする運転負荷判定装置。 - 請求項1乃至請求項5記載の運転負荷判定装置であって、
前記総合運転負荷判定法則記憶装置は、予め複数の運転者にそれぞれ精神的負荷、身体的負荷及び通常状態からなる運転負荷状態を加えた場合の複数種類の運転者負荷データをそれぞれ、精神的負荷データの典型値、身体的負荷データの典型値及び通常負荷データの典型値として記憶し、
前記負荷分別手段は、運転者状態検出装置が出力した複数種類の運転者負荷データを入力値として、該入力値から、前記精神的負荷データの典型値、身体的負荷データの典型値及び通常負荷データの典型値までのそれぞれの距離を算出し、これらの距離のうち最も短い典型値に対応する前記精神的負荷、前記身体的負荷及び前記通常状態の何れかを運転者がおかれている負荷の状態と判定することを特徴とする運転負荷判定装置。 - 請求項1乃至請求項6記載の運転負荷判定装置であって、
車両運転に必要な行動の全部もしくは一部を行う運転支援装置と、
精神的又は身体的な運転負荷状態に応じた運転支援法則を保持する運転支援法則記憶装置と、
前記総合運転負荷判定手段の判定及び前記運転支援法則記憶装置に保持された運転支援法則に基づいて前記運転支援装置の起動と停止及び動作状態を決定する運転支援装置制御手段とを有することを特徴とする運転負荷判定装置。 - 請求項7記載の運転負荷判定装置であって、
前記運転支援装置は、前記運転支援装置制御手段に基づいて車両運転に必要な動作の全部もしくは一部を自動的に行う車両の自動走行制御手段と、前記運転支援装置制御手段に基づいて舵角比の変更が可能である舵角比可変操舵手段と、前記運転支援装置制御手段に基づいてアクセル操作量に対するスロットルゲインの変更が可能である駆動力特性可変駆動制御手段と、前記運転支援装置制御手段に基づいてブレーキ操作量に対する制動力が変更可能である制動特性可変制動制御手段と、前記運転支援装置制御手段に基づいて警報情報を提供する情報提供手段との少なくとも1つ以上を有することを特徴とする運転負荷判定装置。
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