JP3719329B2 - シリコン単結晶用引上げ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シリコン単結晶を引上げて育成する装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、シリコン単結晶用引上げ装置として、図11に示すように、チャンバ3内にシリコン融液2が貯留された石英るつぼ4が収容され、シリコン単結晶棒1の外周面と石英るつぼ4の内周面との間にシリコン単結晶棒1を包囲するように熱遮蔽部材7が挿入された引上げ装置(特公昭57−40119号)が開示されている。この装置では、熱遮蔽部材7が下方に向うに従って直径が小さくなるコーン部7aと、外周縁がコーン部7aの下端に接続され水平に延びて内周縁がシリコン単結晶棒1の外周面近傍に達するリング部7bと、内周縁がコーン部7aの上端に接続され水平に延びて外周縁が保温筒8の上面に達するフランジ部7cとを有する。熱遮蔽部材7はフランジ部7cを保温筒8の上面に載置することにより固定される。
【0003】
このように構成された引上げ装置では、シリコン単結晶棒1をシリコン融液2から引上げると、シリコン融液2の液面が次第に低下して石英るつぼ4の内周壁が露出し、この露出した石英るつぼ4の内周壁からの輻射熱がシリコン単結晶棒1の外周面に向うが、この輻射熱は熱遮蔽部材7により遮られてシリコン単結晶棒1の外周面に達しない。この結果、引上げ中のシリコン単結晶棒1の凝固が遅延することはなく、シリコン単結晶棒1は速やかに冷却されるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の特公昭57−40119号公報に示された引上げ装置では、シリコン単結晶棒の肩部をシリコン融液から引上げるときにその直径が急激に大きくなり、この肩部上面から多くの熱が放射されるため、この肩部の結晶内の温度はシリコン融液から離れるに従って急激に低下し、肩部の結晶は半径方向のみならず引上げ方向にも不均一になる。一方、シリコン単結晶棒の肩部から離れた直胴部をシリコン融液から引上げるときには、その直径は略一定であるため、肩部のように結晶内の引上げ方向の温度分布が急激に低下することはない。
【0005】
このためシリコン単結晶棒の引上げが肩部から直胴部に移行するときに結晶内の引上げ方向の温度分布が急激に変化し、図12に示すようにシリコン単結晶棒1の肩部1aから直胴部1bにかけて比較的長い部分で半径方向のみならず引上げ方向にも変化するOSFリング1cが発生する(図12の▲2▼の範囲)。この結果、▲2▼の範囲の直胴部1bはウェーハとして使用できず、製品の歩留まりが低下する不具合があった。ここで、OSFリングとは、酸化誘起積層欠陥(Oxidation-induced Stacking Fault)のことであり、石英るつぼの成分であるSiO2がシリコン融液に溶け込み、このシリコン融液から引上げられるシリコン単結晶棒中に酸素が混入することに起因する欠陥をいう。
【0006】
また、上記従来の引上げ装置では、石英るつぼに投入される原料(シリコン多結晶体)を融解するのに比較的多くの時間を要する問題点があった。
本発明の目的は、シリコン単結晶棒の結晶内の引上げ方向の温度勾配を略一定にすることができ、石英るつぼに投入される原料の融解時間を短縮できるシリコン単結晶用引上げ装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、図1に示すように、チャンバ13内に設けられシリコン融液12が貯留された石英るつぼ14と、シリコン融液12に浸される種結晶26とこの種結晶26を引上げる種結晶用ワイヤケーブル24とを有しシリコン単結晶棒11を引上げる単結晶棒引上げ手段23とを備えたシリコン単結晶用引上げ装置の改良である。
その特徴ある構成は、引上げられるシリコン単結晶棒11の上方にこのシリコン単結晶棒11と同一の外径を有する円柱状のダミーボディ32がシリコン単結晶棒11と同軸に設けられ、ダミーボディ32がシリコン単結晶棒11の上面から所定の間隔をあけてダミー引上げ手段33により引上げられるように構成され、ダミーボディ32に種結晶用ワイヤケーブル24を遊挿可能なケーブル挿通孔32aと種結晶26を収容可能な種結晶収容孔32bとが形成されたところにある。
【0008】
この請求項1に記載されたシリコン単結晶用引上げ装置では、シリコン単結晶棒11の引上げ方向の温度勾配に関して、ダミーボディ32がシリコン単結晶棒11の一部となって肩部11aの結晶内の引上げ方向の温度勾配を略一定にできる。この結果、シリコン単結晶棒11の肩部11aから直胴部11bにわたって結晶内の引上げ方向の温度分布は略一定になるため、OSFリング11cの半径方向かつ引上げ方向に変化する部分は肩部11aの極めて短い部分のみで済み、この部分より下方ではOSFリング11cは所定の直径のリング状に発生する。従って、上記部分より下方の直胴部11bをウェーハとして使用でき、製品の歩留まりを向上できる。
また石英るつぼ14の上端近傍まで種結晶26及びダミーボディ32を下ろし、この状態で原料(シリコン多結晶体)を加熱して融解すれば、石英るつぼ14の上面の大部分がダミーボディ32により塞がれるので、石英るつぼ14内から上方への放熱が抑制され、原料を比較的短時間で融解できる。
【0009】
更に種結晶26をシリコン融液12に浸した状態からダミーボディ32の種結晶収容孔32bに収容するまでは、ダミーボディ32をシリコン融液12表面から所定の間隔をあけて停止した状態で種結晶26を引上げる。この種結晶26が種結晶収容孔32bの所定の位置に達したときに、ダミーボディ32を種結晶26と同一速度で引上げる。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、シリコン単結晶棒11は引上げ装置10によりシリコン融液12から引上げられる。この引上げ装置12のチャンバ13内には、シリコン融液12を貯留する石英るつぼ14が設けられ、この石英るつぼ14の外面は黒鉛サセプタ16により被覆される。石英るつぼ14の下面は上記黒鉛サセプタ16を介して支軸17の上端に固定され、この支軸17の下部はるつぼ駆動手段18に接続される(図1)。るつぼ駆動手段18は図示しないが石英るつぼ14を回転させるるつぼ回転用モータと、石英るつぼ14を昇降させるるつぼ昇降用モータとを有し、これらのモータにより石英るつぼ14が所定の方向に回転し得るとともに、上下方向に移動可能となっている。石英るつぼ14の外周面は石英るつぼ14から所定の間隔をあけてカーボンヒータ19により包囲され、このカーボンヒータ19は保温筒21により包囲される。カーボンヒータ19は石英るつぼ14に投入された高純度のシリコン多結晶体を加熱・融解してシリコン融液12にする。
【0011】
またチャンバ13の上端には円筒状のケーシング22が接続される(図1)。このケーシング22には単結晶棒引上げ手段23が設けられる。この引上げ手段23はケーシング22の上端部に水平状態で旋回可能に設けられた引上げヘッド(図示せず)と、このヘッドを回転させるヘッド回転用モータ(図示せず)と、ヘッドから石英るつぼ14の回転中心に向って垂下された種結晶用ワイヤケーブル24と、上記ヘッド内に設けられ種結晶用ワイヤケーブル24を巻取り又は繰出す単結晶棒引上げ用モータ(図示せず)と、種結晶用ワイヤケーブル24の下端に吊下げられた種結晶26とを有する。種結晶26はシリコン融液12に浸されて種結晶用ワイヤケーブル24にて引上げることにより、シリコン単結晶棒11が引上げられるように構成される。
【0012】
シリコン単結晶棒11の外周面と石英るつぼ14の内周面との間にはシリコン単結晶棒11を包囲する熱遮蔽部材27が設けられる(図1〜図5)。この熱遮蔽部材27は石英るつぼ14より上方に設けられかつ引上げられるシリコン単結晶棒11の外周面を包囲するアッパ部材28と、このアッパ部材28より下方に設けられかつ引上げられるシリコン単結晶棒11の外周面を包囲するロア部材29と、ロア部材29をアッパ部材28に所定の間隔をあけて連結する複数本の連結部材31とを備える。アッパ部材28は直筒部28aと、下端が直筒部28aの下端に連設され上方に向うに従って直径が小さくなって直筒部28aに収容されるアッパコーン部28bとを有する。直筒部28aの上端には外方に略水平方向に張り出すフランジ部28cが連設され、このフランジ部28cを保温筒21上に載置することにより熱遮蔽部材27が固定される。またロア部材29は下方に向うに従って直径が小さくなるコーン状に形成され、ロア部材29の下端はシリコン融液12表面から間隔をあけて上方に位置する。アッパコーン部28b及びロア部材29の傾斜角度は水平面に対して30〜60度の範囲、好ましくは45度に設定される。
【0013】
また連結部材31はこの実施の形態では3本であり(図3)、各連結部材31は上端がアッパコーン部28bの上端にボルト31c及びナット31d(図2)を介して接続されたアッパ連結具31aと、下端がロア部材29の下端にボルト31e及びナット31f(図3)を介して接続されたロア連結具31bとを有する(図1〜図4)。アッパ連結具31aの上端及びロア連結具31bの下端は略V字状に折曲げられ、アッパ連結具31aの下端及びロア連結具31bの上端にはこれらの連結具31a,31bの長手方向に所定の間隔をあけて複数の第1及び第2通孔31g,31h(図2)がそれぞれ形成される。これらの通孔31g,31hに選択的にボルト31iを挿通してナット31j(図2)を螺合することにより、アッパ連結具31aの下端及びロア連結具31bの上端が接続される。このように連結部材31の全長を変更可能に形成することにより、アッパ部材28とロア部材29の間隔が調整可能に構成される。上記アッパ部材28、ロア部材29及び連結部材31はMo,W,C等により形成されることが好ましい。
【0014】
本実施の形態の特徴ある構成は、引上げられるシリコン単結晶棒11の上方にこのシリコン単結晶棒11と同一の外径を有する円柱状のダミーボディ32がシリコン単結晶棒11と同軸に設けられ(図1及び図4〜図6)、ダミーボディ32がシリコン単結晶棒11の上面から所定の間隔をあけてダミー引上げ手段33(図1)により引上げられるように構成されたところにある。ダミーボディ32はカーボン、シリコン、不透明石英、モリブデン等により形成され、種結晶用ワイヤケーブル24を遊挿可能なケーブル挿通孔32aと、種結晶26を収容可能な種結晶収容孔32bとを有する。またダミー引上げ手段33は図1に詳しく示すように、ケーシング22の上部外周面に回転可能に取付けられたドラム33aと、このドラム33aに巻回され定滑車33bを介して配索されかつ下端がダミーボディ32の上端に取付けられたダミー用ワイヤケーブル33cと、ドラム33aを駆動するドラム回転用モータ(図示せず)とを有する。このモータを正転又は逆転することによりダミーボディ32を上下動させてダミーボディ32の下面とシリコン単結晶棒11の肩部11a上面との間隔を調整するように構成される。
【0015】
一方、チャンバ13にはこのチャンバ13のシリコン単結晶棒11側に不活性ガスを供給しかつ上記不活性ガスをチャンバ13のるつぼ内周面側から排出するガス給排手段34が接続される(図1)。ガス給排手段34は一端がケーシング22の周壁に接続され他端が上記不活性ガスを貯留するタンク(図示せず)に接続された供給パイプ34aと、一端がチャンバ13の下壁に接続され他端が真空ポンプ(図示せず)に接続された排出パイプ34bとを有する。供給パイプ34a及び排出パイプ34bにはこれらのパイプ34a,34bを流れる不活性ガスの流量を調整する第1及び第2流量調整弁34c,34dがそれぞれ設けられる。
【0016】
また単結晶棒引上げ用モータの出力軸(図示せず)には第1ロータリエンコーダ(図示せず)が設けられ、ドラム回転用モータの出力軸(図示せず)には第2ロータリエンコーダ(図示せず)が設けられる。るつぼ駆動手段18には石英るつぼ14内のシリコン融液12の重量を検出する重量センサ(図示せず)と、支軸17の昇降位置を検出するリニヤエンコーダ(図示せず)とが設けられる。第1及び第2ロータリエンコーダと重量センサとリニヤエンコーダの各検出出力はコントローラ(図示せず)の制御入力に接続され、コントローラの制御出力はるつぼ引上げ用モータ、ドラム回転用モータ及びるつぼ昇降用モータにそれぞれ接続される。またコントローラにはメモリ(図示せず)が設けられ、このメモリには第1及び第2ロータリエンコーダの各検出出力に対する種結晶用ワイヤケーブル24及びダミー用ワイヤケーブル33cの巻取り長さ、即ちシリコン単結晶棒11及びダミーボディ32の引上げ長が第1マップとしてそれぞれ記憶され、重量センサの検出出力に対する石英るつぼ14内のシリコン融液12の液面レベルが第2マップとして記憶される。コントローラは重量センサの検出出力に基づいて石英るつぼ14内のシリコン融液12の液面を常に一定のレベルに保つように、るつぼ昇降用モータを制御するように構成される。
【0017】
このように構成されたシリコン単結晶用引上げ装置の動作を説明する。
先ず種結晶用ワイヤケーブル23をダミーボディ32のケーブル挿通孔32a及び種結晶収容孔32bに挿通し、このワイヤケーブル23の下端に種結晶26を吊下げる。この状態で石英るつぼ14の上端近傍まで種結晶26及びダミーボディ32を下ろす(図5(a))。次いでヒータ19をオンして石英るつぼ14に原料(シリコン多結晶体)を投入し、ヒータ19により原料を加熱して融解する。このとき石英るつぼ14の上面の大部分がダミーボディ32及び熱遮蔽部材27のロア部材29により塞がれるので、石英るつぼ14内から上方への放熱が抑制され、原料を比較的短時間で融解できる。
【0018】
原料が融解して石英るつぼ14にシリコン融液12が貯留されると、種結晶26をこの融液12に浸して所定の速度で引上げる。このときダミーボディ32はその底面をシリコン融液12表面から所定の高さにして停止しておく(図5(b))。種結晶26を引上げてこの種結晶26がダミーボディ32の種結晶収容孔32bに収容され所定の位置に達したときに、ダミーボディ32を種結晶26と同一速度で引上げ始める。種結晶26をダミーボディ32とともに引上げると、先ずシリコン融液12からシリコン単結晶棒11の肩部11aが引上げられる。この肩部11aは直径が急激に大きくなり、この肩部11a上面から多くの熱が放射されようとするけれども、肩部11a上面は所定の間隔をあけてダミーボディ32により覆われるため(図5(c))、肩部11a上面からの放熱が抑制される。この結果、シリコン単結晶棒11の引上げ方向の温度勾配に関しては、ダミーボディ32がシリコン単結晶棒11の一部となって肩部11aの結晶内の引上げ方向の温度勾配を略一定にできる。
【0019】
種結晶26をダミーボディ32とともに更に引上げると、シリコン融液11から直径がダミーボディ32と略同一の直胴部11bが引上げられる。このとき直胴部11bの結晶内の引上げ方向の温度分布は略一定になる。この結果、シリコン単結晶棒11の肩部11aから直胴部11bにわたって結晶内の引上げ方向の温度分布は略一定になるため、OSFリング11cの半径方向かつ引上げ方向に変化する部分は肩部11aの極めて短い部分のみで済み(図6の▲1▼の範囲)、それより下方ではOSFリング11cは所定の直径のリング状に発生する。従って、▲1▼の範囲より下方の直胴部11bをウェーハとして使用でき、製品の歩留まりを向上できる。
【0020】
なお、シリコン単結晶棒11のロア部材29により包囲された部分では、ヒータ19からの輻射熱がロア部材29の外面により遮られて急冷されるので、結晶の成長速度を速くでき、この部分で発生する点欠陥の坂道拡散等を促進できる。またシリコン単結晶棒11のロア部材29及びアッパ部材28間の開放された部分では、ヒータ19からの輻射熱が照射されて保温されるので、点欠陥の反応時間を長くでき、その結晶品質が高められる。更にシリコン単結晶棒11のアッパ部材28により包囲された部分では、ヒータ19からの輻射熱がアッパ部材28の外面により遮られて急冷されるので、この部分で発生するOSF等の結晶欠陥を低減できる。このようにシリコン融液12から引上げられるシリコン単結晶棒11の温度を制御することにより、シリコン単結晶棒11中の点欠陥の濃度等を最適に制御できる。またアッパ部材28とロア部材29の間隔を調整することにより、ヒータ19からの輻射熱がシリコン単結晶棒11の中間部に照射される時間及び長さを調整でき、更に結晶品質を高めることができる。
【0021】
図7は本発明の第2の実施の形態を示す。図7において図1と同一符号は同一部品を示す。
この実施の形態では、熱遮蔽部材57が筒部58と、この筒部58の下端に連設された傾斜部59とを有し、傾斜部59が下方に向うに従って直径が小さくなるコーン状に形成される。また筒部58の上縁には半径方向外向きに水平に延びかつ保温筒21の上面に載置されるフランジ部61が連設される。上記以外は第1の実施の形態と同一に構成される。
このように構成されたシリコン単結晶用引上げ装置50では、シリコン融液12から引上げられるシリコン単結晶棒51が引上げ途中で保温されないことを除いて、動作は第1の実施の形態と略同様であるので、繰返しの説明を省略する。
【0022】
【実施例】
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
<実施例1>
図7に示すようなシリコン単結晶用引上げ装置50の熱遮蔽部材57及びダミーボディ32の各寸法は以下の通りであった。筒部58の直径は350mmであり、傾斜部59の上端及び下端の直径は350mm及び210mmであった。また傾斜部59の高さは70mmであった。即ち傾斜部59の傾斜角度は水平面に対して45度であった。更にダミーボディ32の直径及び長さは150mm及び400mmであり、ケーブル挿通孔32a及び種結晶収容孔32bの直径は20mm及び40mmであった。なお、上記熱遮蔽部材57はMoにより形成し、ダミーボディ32はカーボンにより形成した。
【0023】
<比較例1>
上記実施例1と同一の熱遮蔽部材を用い、かつダミーボディを用いない引上げ装置を比較例1とした。
【0024】
<比較試験及び評価>
実施例1及び比較例1の各引上げ装置にて直径150mmのシリコン単結晶棒を600mm引上げたときのシリコン単結晶棒中の温度分布を熱伝導解析プログラムにてシミュレーション計算し、比較を行った。即ち、シリコン単結晶棒をシリコン融液から0.9mm/分の速度で引上げたときに、シリコン融液表面から高さ30mmにおけるシリコン単結晶棒の中心の引上げ方向の温度勾配を順次求めた。その結果を図8、図9及び図10に示す。
【0025】
図8から明らかなように、比較例1では、シリコン融液からシリコン単結晶棒の肩部を引上げられるときに結晶内の引上げ方向の温度勾配が最も高く、更に引上げるに従って次第に低くなり、肩部から約200mm程度のところから略一定になった。これに対し実施例1では、引上げられるシリコン単結晶棒の全長にわたって結晶内の引上げ方向の温度勾配が略一定となることが判った。
図9及び図10から明らかなように、比較例1では肩部9aの外端から80mmも下方で初めてOSFリング9cが発生したのに対し(図10)、実施例1では肩部51aの外端から30mm下方と比較的肩部51aに近い箇所からOSFリング51cが発生した(図9)。
【0026】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、シリコン融液に浸される種結晶とこの種結晶を引上げる種結晶用ワイヤケーブルとを有する単結晶棒引上げ手段がシリコン単結晶棒を引上げ、このシリコン単結晶棒の上方にこのシリコン単結晶棒と同一の外径を有する円柱状のダミーボディをシリコン単結晶棒と同軸に設け、更にダミーボディをシリコン単結晶棒の上面から所定の間隔をあけてダミー引上げ手段により引上げるように構成したので、シリコン単結晶棒の引上げ方向の温度勾配に関しては、ダミーボディがシリコン単結晶棒の一部となって肩部の結晶内の引上げ方向の温度勾配を略一定にできる。この結果、シリコン単結晶棒の肩部から直胴部にわたって結晶内の引上げ方向の温度分布は略一定になるため、OSFリングの半径方向かつ引上げ方向に変化する部分は肩部の極めて短い部分のみで済み、この部分より下方ではOSFリングは所定の直径のリング状に発生する。従って、上記部分より下方の直胴部をウェーハとして使用でき、製品の歩留まりを向上できる。
【0027】
また種結晶をダミーボディとともに引上げると、先ずシリコン融液からシリコン単結晶棒の肩部が引上げられる。この肩部は直径が急激に大きくなり、この肩部上面から多くの熱が放射されようとするけれども、肩部上面は所定の間隔をあけてダミーボディにより覆われるため、肩部上面からの放熱が抑制される。この結果、石英るつぼ内の原料(シリコン多結晶体)を比較的短時間で融解できる。
【0028】
またダミーボディに種結晶用ワイヤケーブルを遊挿可能なケーブル挿通孔と種結晶を収容可能な種結晶収容孔とを形成すれば、種結晶をシリコン融液に浸した状態からダミーボディの種結晶収容孔に収容するまでは、ダミーボディをシリコン融液表面から所定の間隔をあけて上方に停止した状態で種結晶を引上げる。この種結晶が種結晶収容孔の所定の位置に達したときに、ダミーボディを種結晶と同一速度で引上げる。この結果、ダミーボディの下面をシリコン単結晶棒の上面から所定の間隔をあけた状態で種結晶を引上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明第1実施形態のシリコン単結晶用引上げ装置の断面構成図。
【図2】図1のA部拡大断面図。
【図3】図2のB−B線断面図。
【図4】リフレクタを含む引上げ装置の要部斜視図。
【図5】シリコン単結晶棒の引上げ工程を示す図。
【図6】そのシリコン単結晶棒中のOSFリングを示す要部断面図。
【図7】本発明の第2実施形態及び実施例1のシリコン単結晶用引上げ装置を示す図1に対応する断面構成図。
【図8】実施例1及び比較例1のシリコン単結晶棒の肩部からの距離の変化に対するシリコン単結晶棒の結晶内の引上げ方向の温度勾配の変化を示す図。
【図9】実施例1の引上げ装置により引上げられたシリコン単結晶棒のOSFリングを示す要部断面図。
【図10】比較例1の引上げ装置により引上げられたシリコン単結晶棒のOSFリングを示す要部断面図。
【図11】従来例のシリコン単結晶用引上げ装置を示す図1に対応する断面構成図。
【図12】そのシリコン単結晶棒中のOSFリングを示す要部断面図。
【符号の説明】
10,50 引上げ装置
11,51 シリコン単結晶棒
12 シリコン融液
13 チャンバ
14 石英るつぼ
23 単結晶引上げ手段
24 種結晶用ワイヤケーブル
26 種結晶
32 ダミーボディ
32a ケーブル挿通孔
32b 種結晶収容孔
33 ダミー引上げ手段
Claims (1)
- チャンバ(13)内に設けられシリコン融液(12)が貯留された石英るつぼ(14)と、前記シリコン融液(12)に浸される種結晶(26)とこの種結晶(26)を引上げる種結晶用ワイヤケーブル(24)とを有しシリコン単結晶棒(11,51)を引上げる単結晶棒引上げ手段(23)とを備えたシリコン単結晶用引上げ装置において、
前記引上げられるシリコン単結晶棒(11,51)の上方にこのシリコン単結晶棒(11,51)と同一の外径を有する円柱状のダミーボディ(32)が前記シリコン単結晶棒(11,51)と同軸に設けられ、
前記ダミーボディ(32)が前記シリコン単結晶棒(11,51)の上面から所定の間隔をあけてダミー引上げ手段(33)により引上げられるように構成され、
前記ダミーボディ (32) に前記種結晶用ワイヤケーブル (24) を遊挿可能なケーブル挿通孔 (32a) と前記種結晶 (26) を収容可能な種結晶収容孔 (32b) とが形成された
ことを特徴とするシリコン単結晶用引上げ装置。
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1998
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