JP3720189B2 - アクチュエータ制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は航空機の舵面アクチュエータを制御するシステムに設けられる故障検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
航空機の舵面アクチュエータをモータドライバ、モータ及び減速機等からなる機構によって制御するシステムは、高度な安全性と信頼性が要求される。アクチュエータに故障が発生した場合に、これを早期に検出し、迅速かつ的確な処理を施すことは重要な課題である。
【0003】
従来技術にあっては、制御特性が明白な実機アクチュエータと略同等の伝達関数を有するアクチュエータモデルを想定している。そして、このアクチュエータモデルは、実際のアクチュエータ(実機)の制御特性に基づいて、指令値入力信号を演算することにより、モデルとしてのアクチュエータの位置の近似値を求めるものであり、従来技術では制御系の伝達関数から1次近似、2次近似又は3次近似と示されることがあり、いずれの近似計算にせよ指令値に対応してアクチュエータモデルから出力される推計位置信号(S1 )と、実際の舵面アクチュエータの実作動信号(S2 )との偏差(e)が所定の検出スレショルド(閾値)以上の絶対値を示すとき、タイムディレイ回路を介して故障信号を出力するものである。
【0004】
したがって、この故障信号が故障として判定され得る所定の信号レベル(即ち、故障信号レベル)に達するまでに、ある程度の時間を要するので、故障の判定が遅れることがある。しかも、偏差(e)が検出スレショルドを超えている時間が極めて短時間であると、故障と判定されない場合も起こり得る。
従来技術の典型的な例を図4に示す。この図4は、アクチュエータの故障が発生したとき、この故障を早期に確実に検出するため、アクチュエータ及びモータ(例えばステッピングモータ)と同様な伝達関数を有するモデル回路に、実際の指令値信号と同等の信号を入力し、その出力とアクチュエータ実機の作動位置とを比較することにより、故障による異常な作動状態を検出するものである。
【0005】
図4の制御システムは、指令値Cが加算器41及びモータドライバ42を介してモータ43に与えられ、加算器41がフィードバック信号と目標位置を示す指令値Cとを加算して両信号の偏差信号をモータドライバに入力すると、モータ43によって減速機44を駆動させてアクチュエータの位置が制御される。そして、アクチュエータの位置はフィードバックセンサ45によって検出され、その検出情報が復調器46を介して加算器41にフィードバックされる。前記加算器41、モータドライバ42、モータ43等は指令値Cに基づいてアクチュエータを作動させる前向き回路47を構成しており、またフィードバックセンサ45及び復調器46はアクチュエータの作動位置を指令入力側にフィードバックする帰還回路48を構成している。
【0006】
従来技術では、指令値Cは前向き回路と略等しい2次又は3次程度の伝達関数を有するアクチュエータモデル49に対して加算器41と並列に入力され、そのアクチュエータモデルの出力(S1 )と復調器46からのフィードバック信号(S2 )との偏差信号(e)が加算器50から絶対値計算回路51に入力され、その絶対値出力が比較回路52に入力される。比較回路52は所定の検出スレショルドレベルまでの不滅域を有し、加算器50からの偏差信号が検出スレショルド以上の場合、即ちアクチュエータの実作動位置がモデル49の示す規範位置に対し所定の誤差範囲から外れたときに、偏差信号比較回路52から所定の遅延特性を有するタイムディレイ回路53を介して故障信号が出力される。
【0007】
従来技術にあっては、アクチュエータへの過負荷が起きてもアクチュエータの出力が定格値よりも過大とならないように出力トルクを制限するように電流リミッタ54が作用する。この結果、アクチュエータが指令に追従できず、アクチュエータ位置が強制的に変化してしまう。したがって、アクチュエータ位置の検出感度を抑えて故障信号が発生するような誤動作を回避する必要がある。
【0008】
実際に短時間で故障であるか否かを判定することは、この制御システムでは困難であり、高度な信頼性を要求されるプライマリ舵面の制御には適用できなかった。
ところで、従来技術にあっては、機上搭載されるアクチュエータモデル回路は小型であることが要求され、高度なモデル回路は実現困難であるから、モデル回路による計算結果と実作動位置とに僅かな誤差が生じていても止むを得ないものと扱ってきた。更に、正常な飛行においても、舵面に大きな負荷(例えば、気流の乱れや突風等による)が作用すると、アクチュエータが短時間だけ指令入力に追従できない状態が生じ、指令入力に基づき計算されたアクチュエータモデル回路の出力位置信号(S1 )と、実作動位置を示すフィードバック信号(S2 )との間に比較的大きな差が生じるので、これを故障と判断しないようにする必要ガアル。また、機体側への衝撃を抑えるためにもアクチュエータをあまり高剛性にすることはできず、上記信号S1 、S2 の誤差が短時間だけ大きくなるのは止むを得ないものであるとして扱っている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、従来は、タイムディレイ回路により故障検出信号の立ち上がりを遅れさせ、故障判定時間を長くして、故障の有無を判定していたため、次のような問題があった。
舵面制御用のアクチュエータをモータ駆動する場合、モータの性能を低下させないように、モータドライバに電流リミッタを設けてモータにリミット値を超える過大な電流が流れるのを防止することが考えられる。このような場合、電流リミッタの作動によりアクチュエータが指令入力に追従できない状態がやや長い時間に及ぶことがある得る。つまり、偏差(e)が所定の検出スレショルド以上の絶対値をもち、しかも電流リミッタの作動時間が長くなると、故障信号が所定レベルに達してしまい、誤って故障と判定される事態が発生し得る。したがって、これを回避するために、検出スレショルドを高目に設定する必要があり、故障検出の感度が鈍くなると共に、検出に要する時間も長くなることから、高感度な故障検出はできない。
【0010】
このような状況から現在では、アクチュエータの指令値は実際位置とに大きな差異が一定時間以上継続することがないと仮定したり、或いは過大な外部負荷(前述の気流の乱れや突風の発生)が一定時間以上加わらないと仮定して、モデルを設定し、故障判定スレショルド(e)検出時間を大きな値に設定している。これを要するに検出感度を抑えて制御システムを運転せざるを得ない現状である。したがって、比較的重要度が高くないシステムには便宜的であるものの、確実性が要求され、極めて迅速な故障検出が要請される高度な制御システムに適用するには難があると言わざるを得ない。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、従来技術と較べて故障の検出感度が高く、また誤った信号の発生のない故障検出装置の改良を施したものである。
即ち、本発明は電気方式の舵面アクチュエータにおいて、従来からの制御特性の計算方法に基づいて、例えば2次又は3次の近似された伝達関数を有するアクチュエータモデルからアクチュエータ位置を計算し、実際のアクチュエータ(実機)の作動位置とを比較することにより故障検出をする制御装置である。そして、本発明の改良は、故障検出をする際にモータドライバの電流リミッタ値が非作動領域にある場合に限り、故障信号が発生せられるようにした点にある。
【0012】
具体的には、アクチュエータのモデルにより計算される位置とフィードバックセンサにより計測される実機のアクチュエータ作動位置とを比較して、その偏差の絶対値が所定のスレショルドを超え、しかもモータドライバに内蔵された電流リミッタの電流値が該電流リミッタの非作動領域、つまり通常の電流値範囲を超えていれば、一定のタイムディレイの後に故障信号を出力する故障検出の可能な制御装置である。
【0013】
本発明によれば、誤って故障信号を発することがないうえに、正常か故障かの判定も迅速であるからプライマリ、舵面の制御に使用可能となる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の好ましい実施の形態について図面を参照しながら説明する。
本発明は電気方式の舵面アクチュエータの制御装置であり、このシステムの概要を図1及び図2に示す。
アクチュエータ(実機)は、モータドライバ22、モータ23及び減速機24からなる前向き回路27と、フィードバックセンサ25及び復調器26からなる帰還回路28からなる回路によって作動位置が変化し、その位置が指令値となるように加算器21の偏差信号によって基本的には制御されている。
【0015】
ところが、外部からの負荷が大きいと、アクチュエータが直ちに指令通りに追従できず、故障が生じたと誤認される場合が起こり得る。本発明では、故障か正常(所定時間内にアクチュエータ位置が指令値に復元可能である状態)かを簡便に判定し、要すれば故障信号を出力する制御装置であって、誤動作(誤って故障信号を発すること)を回避する機能を備えた制御システムである。
【0016】
本発明では、アクチュエータ実機と同様な制御特性を有する伝達関数を有するアクチュエータモデル11を想定し、このモデルのアクチュエータ位置信号12と、実機アクチュエータのフィードバックセンサ25によって伝達される信号13とを比較することにより故障を判定し、要すれば故障信号を発するものである。
【0017】
モデルのアクチュエータ信号12と実機のアクチュエータの位置信号13とを加算器30で比較し、その差の絶対値16が所定のスレショルド17を超え、しかも電流リミッタ34の電流信号15の絶対値19が電流リミッタの非作動領域18であれば、一定のタイムディレイ33を施した後に故障信号10として出力する。
【0018】
本発明の特徴は、電流リミッタが正常に作動している電流値の範囲では、故障を検出することがない点である。そして、本発明ではモデルと実機のそれぞれのアクチュエータ位置の信号の比較のための回路と電流リミッタ回路29との両者の信号をアンド回路35で判定して誤作動を回避するものである。
図3は電流リミッタの電流値のスレショルドの関係を模式的に示したものである。
【0019】
電流リミッタの作動する範囲(上限値及び下限値)を設定し、この領域外のときに、アクチュエータモデルに基づいく故障検出が行われるものである。なお、ここで電流リミッタの作動する上限値とはモータドライバへの過電流により回路を構成するトランジスタが熱破損しない値を選択し、また、下限値とはモータの最大トルクに相当する電流値(ACTで要求される最大トルクに相当するもの)を選択することができる。
【0020】
図2は、本発明の別の態様である。図1に示した制御システムは充分機能するが、モータドライバの前段の入力やフィードバック信号系統がハードオーバ(出力の飽和)を来すと、本発明の制御システムでは電流リミッタの作動範囲であるので故障判定されないこととなる。そこで、モータドライバの前に加算器を設けハードオーバの検出をする判定回路を設け、故障検出をすることができる。また、フィードバック系においても加算器を設け故障の判定をすることができる。
【0021】
図2に示した制御システムはフィードバックセンサ25によりアクチュエータ実機の異常(故障)を検出でき、また電流リミッタの作動中に生じる危険性(故障)をチェックできる機能を備えている点で、図1の制御システムに較べ一層優れている。
【0022】
【発明の効果】
本発明の制御装置は舵面の指令がステップで入力されたり、アクチュエータが過負荷になってもその状態を配慮して、実機とモデルとの比較による故障検出を行うため、検出スレショルドや検出所要時間を従来モデルより狭い範囲(一層高感度)に設定できる利点がある。更に、本発明の制御装置は誤検出がなく、しかも故障を知らせる時間(故障検出時間)が検出されているので、信頼性や安全性が従来システムよりも向上している。
【0023】
このように改良された制御装置であることから、基本的には、航空機用の電気方式の舵面アクチュエータとして、アクチュエータ数が1舵面に1アクチュエータを要する構成であれば適用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の故障検出システムの実施態様を示す構成図である。
【図2】本発明に係る故障検出システムの別の実施態様を示す構成図である。
【図3】本発明の制御装置の一部品である電流リミッタの電流値スレショルドの説明図である。
【図4】従来の故障検出システムの一例を示す構成図である。
【符号の説明】
10 故障信号
11 アクチュエータモデル
12 モデルのアクチュエータ位置信号
13 実機のアクチュエータ位置信号
15 電流リミッタの電流信号
16 偏差信号
17 検出スレショルド
18 電流リミッタの非作動領域
21 加算器
22 モータドライバ
23 モータ
25 フィードバックセンサ
33 タイムディレイ
34 電流リミッタ

Claims (2)

  1. モータ及び減速機によって作動位置が変化するアクチュエータと、
    該アクチュエータの実作動位置を検出し、該実作動位置を示すフィードバック信号を出力するフィードバック回路と、
    該フィードバック信号と目標位置を示す指令値信号とを加算して両信号の差に対応する偏差信号を出力する加算器、及び該加算器からの偏差信号に応じて前記アクチュエータの作動位置を調整し得る前記モータを含む前向き回路と、
    前記モータを駆動するためのモータドライバ及び前記モータの電流を制御する電流リミッタと、
    を備えた航空機等の舵面アクチュエータの制御システムであって、
    前記アクチュエータ、前記前向き回路及び前記フィードバック回路による制御特性に基づいて前記指令値から近似計算してアクチュエータモデルにおける近似アクチュエータ位置を計算する演算回路と、
    前記アクチュエータのアクチュエータ実作動位置と、前記近似アクチュエータ計算位置と、を比較し、位置の差異が所定の閾値を超えたとき、
    もし前記モータドライバの前記電流リミッタの電流値が非作動領域であるか否かを判定する判定手段と、非作動領域であれば故障が発生したことを示す故障信号出力手段を作動せしめ、また、もし前記モータドライバの前記リミッタの電流値が作動領域であれば故障信号を出力しないように判定手段を作動せしめ得る前記判定手段及び前記故障検出手段を備えてなるアクチュエータ制御装置。
  2. 請求項1の記載の制御装置において、
    モータドライバの前に新たな加算器を含む故障検出回路及び/又はフィードバック系統の故障検出回路を設けてなるアクチュエータ制御装置。
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