JP3724320B2 - 地下構造物の構築工法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は既存の地下構造物が建つ敷地内に、既存の地下構造物を解体しながら、主要構造体が鉄骨鉄筋コンクリート構造(以下、「SRC構造」という)または鉄骨構造(以下、「S構造」という)からなる地下構造物を新たに構築する地下構造物の構築工法に関する。
【0002】
【従来の技術】
既存の地下構造物を解体し、その後に主要構造体がSRC構造またはS構造の地下構造物を新たに構築する方法として、これまで地下構造物の外周に予め山留め壁を構築し、切梁やアースアンカーで山留め壁を支持しながら先に既存の地下構造物を解体し、所定深さまで地盤を掘り下げた後、基礎を構築し、この基礎の上に地下構造物の鉄骨を新たに組み立て、基礎から上方に順次躯体を新たに構築していく方法が一般に行なわれている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし上記の方法で、例えば山留め壁を切梁で支持するとすると、切梁は多段にわたって架け渡され、しかも切梁を支持する棚杭が林立するため、きわめて障害の多い中で既存構造物の解体と掘削作業を強いられ、非常に作業効率が悪いものであった。
【0004】
山留め壁を支持する他の方法として、アースアンカー工法も知られているが、近年の市街地での建設工事においては、隣地近接により敷地外にアースアンカーを用いることができず、採用できない場合が多い。
また、切梁やアースアンカーを使用せず、本設の床を山留め壁の支持材と作業床として利用し、上階から地下に向かって構築しながら地下を掘り進む逆打ち(さかうち)工法も知られているが、この工法では特に本設床を支持する構真柱をあらかじめ設置する必要があり、この構真柱は既存構造物の躯体を貫通して設置する必要があることから、多大な工期と工事費がかかってしまう等の課題があった。
【0005】
この発明は、以上の課題を解決するためになされたもので、既存の地下構造物が建つ敷地内に、主要構造体がSRC構造またはS構造からなる新規の地下構造物を新たに構築する際、既存の地下構造物の解体から新規の地下構造物の構築までを切梁などの山留め支保工を使用しないできわめて効率的かつ経済的に行えるようにした地下構造物の構築工法を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の地下構造物の構築工法は、既設地下構造物を解体した敷地内に、当該既設地下構造物と同じ規模の新設地下構造物を構築する地下構造物の構築工法であって、既設地下構造物の外周に山留め壁を構築した後、前記既設地下構造物の外周部分および中央部分の地下一階分を全体にわたって解体し、次に前記既設地下構造物の外周部分に支持地盤まで到達する構真柱を施工し、かつ当該構真柱および前記山留め壁に支持させて新設地下構造物の地上一階の周囲床を構築し、前記既設地下構造物の中央部分は最下階まで解体し、その後に新設地下構造物の中央部分の鉄骨軸組を最下階から最上階まで順に構築し、かつ当該新設地下構造物の中央部分の最上階と地上一階の前記周囲床との間に鉄骨梁を架け渡し、次に前記既設構造物の外周部分を地下二階部分から最下階まで順次解体しつつ、その後に新設地下構造物の外周部分の各階の床を地下二階から最下階まで順次構築し、かつ各階の周囲床と中央部分の各階間に鉄骨梁をそれぞれ架け渡すことを特徴とするものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1〜図5は、この発明に係る地下構造物の構築工法の一例を示し、以下、施工方法を順を追って説明する。
【0009】
▲1▼ 最初に、既存の地下構造物(以下、「既設地下構造物」という)1の周囲に山留め壁2を構築する(図1(1)参照)。山留め壁2は既設地下構造物1解体し、さらにその後に後述する新規の地下構造物(以下、「新設地下構造物」という)を構築するまでの間、周囲の土圧を支持するために構築するもので、例えば連続山留め工法などで構築する。
【0010】
▲2▼ 次に、既設地下構造物1の地下一階部分B1Fを、中央部分Aと外周部分Bの全体にわたって解体する(図1(2),(3)参照)。なお、この解体工事は、これまで一般に使用されている重機で行うものとする。
【0011】
▲3▼ 次に、既設地下構造物1の中央部分Aについては、引き続き地下二階部分B2F、地下三階部分B3Fとさらに解体作業を継続し、最下階まで解体する(図1(4),図2(1)参照)。一方、既設地下構造物1の外周部分Bにおいては、地下一階部分B1Fの床の上で構真柱3を施工する(図1(4)参照)。
【0012】
構真柱3は既存の地下構造物1解体し、さらにその後に後述する新設地下構造物を構築するまでの間、仮設柱として働き、さらに施工方法によっては新設地下構造物の柱にもなるものである。
【0013】
したがって、構真柱3は、地上一階の床部分まで立ち上げ、かつ既設地下構造物1の地下一階部分B1Fの床およびこれより下方の全階の床を貫通し、支持地盤まで確実に到達するように施工するものとし、例えば全旋回オールケーシング工法などで施工する。
【0014】
なお、既設地下構造物1の中央部分Aを解体するまでの間、特に外周部分Bを残すこととしたのは、山留め壁2を支持する支持体として外周部分Bを利用するためである。
【0015】
したがって、中央部分Aを解体する間、残置する外周部分Bの幅は、既設地下構造物1の深さと既設地下構造物1が建設される敷地の地盤条件などによって決められる。図では、既設地下構造物1の1スパン分が山留め壁2の支持体として残されている。
【0016】
▲4▼ 次に、外周部分Bに地上一階の床4Aを構築する(図2(4)参照)。この床4Aはその後の作業を行うための作業床として利用されるものであり、周囲の山留め壁2と構真柱3に支持させて構築する。また、床4Aは施工方法によっては後から構築される新設地下構造物の地上一階部分の床にもなる。
【0017】
▲5▼ 次に、中央部分Aの解体が最下階まで進んだら、さらにその下側地盤を所定の深さまで掘り下げて根切り地盤面5とする(図3(3)参照)。なお、この根切り工事では、地山の崩落事故などの発生を未然に防止し、作業の安全を図るべく、周囲に法面6を設けるものとする。
【0018】
▲6▼ 次に、根切り地盤面5の上に新設地下構造物の基礎7を構築し(図3(3)参照)、その上に新設地下構造物の鉄骨軸組8を最下階から最上階まで順次組み立てる(図3(3)参照)。そして、最上階の鉄骨梁8aと周囲の床4との間に鉄骨梁9Aを架け渡す。
【0019】
なお、鉄骨梁9Aは既設地下構造物1の外周部分Bを解体するまでの間、山留め壁2を支持する切梁の働きをなすものであり、施工方法によっては、鉄骨軸組8の最上階の鉄骨梁として残置されるものである。
【0020】
▲7▼ 次に、既設地下構造物1の外周部分Bを地下二階部分B2F、地下三階部分B3Fと、上の階から順に最下階まで解体する(図3(1),(2),(3)参照)。その際特に、各階ごとに解体した後に床4Aと同様の働きをする床4B、4C、4Dを構築する。また、この各階の床4B、4C、4Dと鉄骨軸組8の各階間に鉄骨梁9Aと同じ働きをする鉄骨梁9B、9C、9Dをそれぞれ架け渡す(図3(1),(2),(3)参照)。
【0021】
なお、鉄骨梁9A、9B、9C、9Dを切梁として作用させると、各鉄骨梁の断面が大きくなってきわめて不経済になる場合もあることから、鉄骨梁9A、9B、9C、9Dに代えてコンクリート床10A、10B、10C、10Dを施工し、このコンクリート床10A、10B、10C、10Dを切梁として作用させる方法でもよい。
【0022】
▲8▼ こうして、既設地下構造物1の外周部分Bの解体が最下階まですべて完了したら、さらにその下側地盤を中央部分の根切り地盤面5まで掘り下げ(図4(1)参照)、その後に新設地下構造物の基礎7を中央部分Aの基礎7と一体に構築する(図4(2)参照)。なお、外周部分Bの根切り工事に際しても、地山の崩落事故などの発生を未然に防止し、作業の安全を図るべく、周囲に法面6を設けるものとする。
【0023】
以上の工程により、既設地下構造物1の解体から新設地下構造物(鉄骨軸組8)の構築までを、切梁などの山留め支保工を特に必要としないできわめて効率的かつ経済的に連続して行うことができる。
【0024】
【発明の効果】
この発明は以上説明した通りであり、既設地下構造物の外周部分を残し、これを既設地下構造物の外周部分を解体するまでの間、山止め壁の支持体として利用することにより、これまで山留め壁を支持するために必ず必要とされた切梁やアースアンカーなどの山留め支保工を省略することができる。
【0025】
したがって、既設地下構造体の主要部分の解体とその下部の掘削工事が効率的におこなうことができ、工期の短縮と工事費の低減が達成される。
【0026】
また、留め壁の支持体として残しておいて後から解体する範囲については、逆打ち工法により一階レベルに作業床を早期に構築することで、大規模な作業台を設ける必要がない。また、中央部分の上部躯体工事を地下工事と同時に進めることができ、工期の短縮化が図れる。
【0027】
このように、既設地下構造物を解体しながら新設地下構造物を構築するにあたり、本来工事の障害となる既設地下構造物を仮設山留め材の代わりに有効利用することで、解体工事、掘削工事、地下躯体工事が効率的に行うことができ、工期の短縮と仮設工事費の低減が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (1)〜(4)は、山留め壁の施工から構真柱の施工までを示す工程図である。
【図2】 (1)〜(4)は、中央部分の解体から基礎の施工までを示す工程図である。
【図3】 (1)〜(3)は、新設構造物の鉄骨軸組の組み立てから外周部分の解体までを示す工程図である。
【図4】 (1)、(2)は外周部分の根切りから基礎の施工までを示す工程図である。
【図5】山留め壁と構真柱の配置例を示す平面図である。
【符号の説明】
1 既設地下構造物(既存の地下構造物)
2 山留め壁
3 構真柱
4A 床
4B 床
4C 床
4D 床
5 根切り地盤面
6 法面
7 基礎
8 鉄骨軸組
8a 鉄骨梁
9A 鉄骨梁
9B 鉄骨梁
9C 鉄骨梁
9D 鉄骨梁
10A コンクリート床
10B コンクリート床
10C コンクリート床
10D コンクリート床

Claims (1)

  1. 既設地下構造物を解体した敷地内に、当該既設地下構造物と同じ規模の新設地下構造物を構築する地下構造物の構築工法であって、既設地下構造物の外周に山留め壁を構築した後、前記既設地下構造物の外周部分および中央部分の地下一階分を全体にわたって解体し、次に前記既設地下構造物の外周部分に支持地盤まで到達する構真柱を施工し、かつ当該構真柱および前記山留め壁に支持させて新設地下構造物の地上一階の周囲床を構築し、前記既設地下構造物の中央部分は最下階まで解体し、その後に新設地下構造物の中央部分の鉄骨軸組を最下階から最上階まで順に構築し、かつ当該新設地下構造物の中央部分の最上階と地上一階の前記周囲床との間に鉄骨梁を架け渡し、次に前記既設構造物の外周部分を地下二階部分から最下階まで順次解体しつつ、その後に新設地下構造物の外周部分の各階の床を地下二階から最下階まで順次構築し、かつ各階の周囲床と中央部分の各階間に鉄骨梁をそれぞれ架け渡すことを特徴とする地下構造物の構築工法。
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