JP3725773B2 - 発光ダイオード - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、表示板などに使用される赤色発光ダイオードおよび距離測定センサ用の赤外発光ダイオードに関する。
【0002】
【従来の技術】
表示板および距離測定センサなどに使用される発光ダイオードは、通常、N型GaAlAs(N型クラッド層)/P型GaAlAs(P型活性層)/P型GaAlAs(P型クラッド層)の3層から成るダブルヘテロ構造であり、クラッド層のAl混晶比は活性層よりも高くなっている。この構造によって、活性層に注入されたキャリアが層厚の薄い活性層に閉じ込められ、かつ光の取出し効率が上がり高い発光出力が得られる。また、所望する発光波長により活性層のAl混晶比は決まり、Al混晶比が0の場合は、GaAsの発光波長である赤外光(波長λ=870nm)になる。Al混晶比を増加させて約0.3とすると赤色発光になる。
【0003】
電流密度が低い場合に、活性層の不純物濃度を増加させると、発光効率は単調に減少するか、またはある値でピークとなる。そのピークの値は、活性層における電流密度によって変化し、電流密度が充分高くなると一定となる(約200A/cm2以上)。
【0004】
活性層の不純物濃度が発光効率のピークとなる不純物濃度よりも低い場合には、活性層に注入された電子は接合部の空乏層内での再結合により減少し、発光効率が低くなる。ピークとなる不純物濃度よりも高い場合は、活性層内で発光した光が活性層内で再吸収することにより、発光効率が低くなる。このため、従来、活性層の不純物濃度は、発光効率がピークとなる濃度としている。
【0005】
また発光ダイオードは、長時間の電流駆動(たとえば50mAの電流)によりGaAs基板およびクラッド層の結晶欠陥が増殖し、その結晶欠陥が活性層に達すると、活性層に注入されたキャリアの再結合が増加し、発光効率が低下する。シャープ技報第22号(昭和57年3月)69〜77ページによれば、結晶欠陥の増殖は、駆動電流(電流密度)、周囲温度、活性層の不純物濃度などに依存していると考えられる。従来、50mAの電流を300μm角の素子全体に流すような電流密度があまり高くない場合は、活性層の不純物濃度を高くした方が信頼性が良いという結果が得られている。このときの活性層の不純物濃度と初期発光効率との関係を図3(A)の曲線で示す。すなわち、高い信頼性を得るために初期不純物濃度を高くすると、初期発光効率がきわめて低くなってしまう。しかし電流密度が高くない場合は、実用上発光効率を優先して、初期発光効率がピークとなる不純物濃度を用いている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
近年、距離測定センサなどに用いられる発光ダイオードは、光の到達距離を伸ばすために高い出力が要求され、電流をチップの一部に流す電流狭窄型の発光ダイオードが用いられるようになってきた。このような高出力発光ダイオードでは、発光点を小さくし、ダイオードチップの一部分にのみ集中して電流を流すので電流密度が高くなり、信頼性が特に問題になる。従来のように、活性層の不純物濃度を初期発光効率が一番高い濃度に設定した場合には、初期発光効率は高いが電流通電により結晶欠陥が増殖し、発光効率が低下してしまう。
【0007】
本発明の目的は、発光効率を落とすことなく高い信頼性を確保した発光ダイオードを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、活性層の発光効率の不純物濃度依存性におけるピークが、電流密度によって変わらない大電流密度で使用されるダブルヘテロ構造の電流狭窄型発光ダイオードであって、
P型GaAs半導体基板、N型GaAlAsクラッド層、P型GaAlAs活性層、P型GaAlAsクラッド層を有し、
電流密度を200A/cm2以上で使用する場合に、前記P型GaAlAs活性層の不純物濃度であるマグネシウム濃度を、発光効率がピークとなるマグネシウム濃度よりも高い濃度である3×1017/cm3以上7.5×1017/cm3以下としたことを特徴とする発光ダイオードである。
【0009】
本発明に従えば、P型GaAs半導体基板、N型GaAlAsクラッド層、P型GaAlAs活性層、P型GaAlAsクラッド層を有し、P型GaAlAs活性層の不純物濃度であるマグネシウム濃度を、発光効率がピークとなるマグネシウム濃度よりも高い濃度である3×1017/cm3以上7.5×1017/cm3以下としているので、発光効率を落とすことなく、結晶欠陥の増殖を抑制して高い信頼性を確保することができる。
【0010】
特に、200A/cm2以上の大電流密度で使用するような場合は、結晶欠陥の増殖がより顕著なものとなるが、本発明では、結晶欠陥の増殖を抑制して高い信頼性を確保することができる。
【0011】
さらに、電流狭窄型発光ダイオードであるので、高出力であっても発光効率を落とすことなく高い信頼性を確保することができ、P型半導体基板を有することで、より高い発光効率が得られる。
【0012】
また本発明は、カソード電極と前記N型GaAlAsクラッド層との間にウインドウ層を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明に従えば、カソード電極とN型GaAlAsクラッド層との間にウインドウ層を備えることで、より高い発光効率が得られる。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の一形態である発光ダイオード10の断面図である。発光ダイオード10は、N型GaAlAsウインドウ層1、N型GaAlAsクラッド層2、P型GaAlAs活性層3、P型GaAlAsクラッド層4、N型GaAsブロック層5、P型GaAs基板6、カソード電極7およびアノード電極8から構成される。
【0017】
N型GaAlAsウインドウ層1は、P型GaAlAs活性層3からの光を損失なく放射させるための窓層である。P型GaAlAs活性層3は、キャリアの注入によって発光する活性層である。N型GaAlAsクラッド層2およびP型GaAlAsクラッド層4は、P型GaAlAs活性層3内への注入キャリアを閉じ込めるためのクラッド層である。N型GaAsブロック層5は、活性層発光領域に電流を集中させるためのブロック層である。P型GaAs基板6は各層を保持するための基板であり、カソード電極7およびアノード電極8は、電流を通電するための電極である。
【0018】
図2は、発光ダイオード10の製造工程を示す図である。前記各半導体層は、エピタキシャル成長により形成される。エピタキシャル工程では、まずP型GaAs基板6の上にN型GaAsブロック層5を成長させる(a)。形成されたN型GaAsブロック層5をフォトエッチ技術により発光部に当たる部分にのみ(エッチングエリア)を選択的に部分エッチングする(b)。次に前記N型GaAsブロック層5の上にP型GaAlAsクラッド層4、P型GaAlAs活性層3、N型GaAlAsクラッド層2、N型GaAlAsウインドウ層1を順次エピタキシャル成長させる。このとき、活性層3の不純物であるマグネシウムの濃度を2×1017/cm3以上とする。表面にカソード電極7、裏面にアノード電極8をスパッタリングで形成し、フォトエッチングによりカソード電極7の発光部にあたる部分をエッチングする。
【0019】
上記のように製造した発光ダイオード10は、活性層3の発光部付近のみを電流が流れる電流狭窄型発光ダイオードであり、活性層の微小領域に電流が集中するため、電流密度が高く発光出力が大きくなる。
【0020】
また、GaAs基板およびエピタキシャル成長中の各層で結晶欠陥が発生し、通電時間の増加に伴い増殖する。電流密度が高い条件下での結晶欠陥の増殖はより顕著である。結晶欠陥の増殖は、活性層における非発光領域の増加を引き起こして発光ダイオードの発光効率を低下させる。活性層に不純物をドープすることによって結晶欠陥の増殖を抑制し、発光効率の低下を防ぐことができる。活性層にドーピングする不純物としては、マグネシウムを用いた場合、結晶欠陥の増殖を効果的に抑制し、最も信頼性の高い発光ダイオードが得られる。
【0021】
また、基板については、N型基板よりP型基板の方が高い発光効率が得られる。
【0022】
図3は、相対初期光出力(初期発光効率)の活性層不純物濃度依存性を示すグラフである。本発明の発光ダイオード10の相対初期光出力(初期発光効率)に対する活性層不純物濃度依存性を(B)の曲線に示す。このときの電流密度は、300mAの電流を直径150μmの発光領域に注入しているので、およそ1.7kA/cm2となる。従来の電流密度は、たとえば(A)の場合、およそ56A/cm2となる。グラフから分かるように本発明の発光ダイオード10の初期発光効率は、不純物濃度が1.5×1017/cm3のときにピークとなる。その濃度よりも低い場合、および高い場合に相対初期発光効率は低くなる。
【0023】
図4は、発光ダイオード1素子当たりの平均ダークエリア数の活性層不純物濃度依存性を示すグラフである。ダークエリアは、発光領域において、点欠陥および線欠陥により発生する非発光領域であり、点欠陥の場合をダークスポット、線欠陥の場合をダークラインという。グラフ縦軸のダークエリア数は、本発明の発光ダイオード10の長期信頼性試験におけるダークエリアの相対値、すなわち1素子の面積中に含まれるダークスポットおよびダークラインの個数を表している。本実施形態での1素子の面積は、300μm角であるので、30mm角のウエハに10000個のダークスポットおよびダークラインがある場合にダークエリア数は1となる。グラフからわかるように、活性層の不純物濃度が増加すると、ダークエリアの数は減少する。不純物濃度が3×1017/cm3の場合、ダークエリアの数はほとんど0となり、高い信頼性を有する発光ダイオードが得られる。
【0024】
初期発光効率およびダークエリア数の不純物濃度依存性から、P型GaAlAs活性層3の不純物濃度を、初期発光効率がピークとなる濃度より高い2×1017/cm3以上とする(3×1017/cm3以上であればより望ましい)ことで、結晶欠陥の増殖による発光効率の低下を防ぎ、大電流密度条件においても高い信頼性を確保することができる。
【0025】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、発光効率を落とすことなく、結晶欠陥の増殖を抑制して高い信頼性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態である発光ダイオード10の断面図である。
【図2】発光ダイオード10の製造工程を示す図である。
【図3】相対初期光出力(初期発光効率)の活性層不純物濃度依存性を示すグラフである。
【図4】発光ダイオード1素子当たりの平均ダークエリア数の活性層不純物濃度依存性を示すグラフである。
【符号の説明】
1 N型GaAlAsウインドウ層
2 N型GaAlAsクラッド層
3 P型GaAlAs活性層
4 P型GaAlAsクラッド層
5 N型GaAsブロック層
6 P型GaAs基板
7 カソード電極
8 アノード電極
Claims (2)
- 活性層の発光効率の不純物濃度依存性におけるピークが、電流密度によって変わらない大電流密度で使用されるダブルヘテロ構造の電流狭窄型発光ダイオードであって、
P型GaAs半導体基板、N型GaAlAsクラッド層、P型GaAlAs活性層、P型GaAlAsクラッド層を有し、
電流密度を200A/cm2以上で使用する場合に、前記P型GaAlAs活性層の不純物濃度であるマグネシウム濃度を、発光効率がピークとなるマグネシウム濃度よりも高い濃度である3×1017/cm3以上7.5×1017/cm3以下としたことを特徴とする発光ダイオード。 - カソード電極と前記N型GaAlAsクラッド層との間にウインドウ層を備えることを特徴とする請求項1記載の発光ダイオード。
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