JP3726005B2 - 多段遠心圧縮機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、多段遠心圧縮機に関し、特にそのケーシングが水平分割型溶接構造である多段遠心圧縮機に関する。
【0002】
【従来の技術】
ケーシングが水平分割型溶接構造である流体圧縮機については、例えば特開昭59−54800号、特開昭63−170591号、特開平6−249199号、あるいは特開昭63−93406号などの各公報に開示の例が知られている。また外側のケーシングは水平分割型でないものの内部のケーシングが水平分割型である流体圧縮機について、例えば特開平9−88864号公報に開示の例が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記各公報で知られるような従来の流体圧縮機における水平分割型溶接構造ケーシングは、半筒状の半割ケーシングを通常は上下で水平接合、つまり接合面が水平面となるように接合された構造を有する。その半割ケーシングは、図5にその一般的構造を簡略化して示すように、半円筒状の胴板1、この胴板1の各長手方向側縁部に溶接された水平接合用のフランジ2、および胴板1の左右各開放部を塞ぐように溶接された側板3からなる構造とされている。そしてこのようなフランジ2が溶接された溶接構造の半割ケーシングを上下で水平接合した水平分割型溶接構造ケーシングの内部には、例えばガス圧縮用の多段遠心圧縮機であれば、図6にその例を示すように、流体の流路4が形成され、また作動ガス圧縮用の羽根車5を複数有する回転軸6が組み込まれており、図中に示す矢印Aのように流れる作動ガスが複数の羽根車5で順次加圧された後にスクロール7を通して吐出されるようになっている。その流路4は、一体型である、つまり水平分割されていないハウジング部材8やハウジング部材9それにダイアフラム部材10などの内部部材により形成されている。またそのハウジング部材8は、ケーシングの側板3に組み付けられており、流路4の側端部の閉鎖に機能するとともに、そこに組み付けられた軸受11a、11b、11cを介して回転軸6の支持に機能している。
【0004】
本願発明者等は上記のような構造を有する従来の流体圧縮機について、より一層気密性を高めるとともに、低コスト化を図れるようにするために、さまざまな角度から検討を加えた。その結果、従来の構造においてはフランジ2がL字形となっていることが気密性に限界をもたらし、またコストアップの要因ともなっていることを見出した。従来の構造においてフランジ2をL字形としているのは、ケーシングに側板3を設け、流路4の側端部閉鎖用であるハウジング部材8をこの側板3に組み付けるようにしていることと関係している。すなわちハウジング部材8を側板3に組み付けていることに伴ってハウジング部材8と側板3の接触面にシール用のO−リング12を設けることになるが、このO−リング12に十分な締付け力を加えることができるようにするために、フランジ2の端部を側板3に沿って延設してL字形としているのである。つまりフランジ2の端部をL字形とすることにより、フランジ2におけるボルト締め用のボルト孔13をO−リング12に近接させることができ、このことでO−リング12に対する締付け力を大きくしてできるだけ気密性を高めるているのである。
【0005】
しかし図6に見られるように、従来の構造にあってはフランジ2をL字形にしてもボルト孔13をO−リング12に近接させることのできる程度にはハウジング部材8などとの干渉の関係から自ずと限界がある。このため、流体圧縮機における作動流体の圧力がある程度以上に高い場合にはこれに耐えるだけのシール性を得るのが難しい。すなわちボルト孔13とO−リング12の間が多少離れていてもボルトの締付け力を大きくすることで必要なシール性を得ることは原理的には不可能でないものの、実際的にはボルトに可能な強度限界があり、それを行なうことは困難である。
【0006】
このように従来構造にあっては、フランジ2をL字形とすることでそれなりに気密性を高めることができるているものの、L字形の延設部分におけるボルト孔13とO−リング12の間に避けられない距離を生じ、このために得られるシール性のレベルに限界がある。またフランジ2がL字形であると、これを切り出す材料の歩留りが悪くなり、このことがコストアップ要因となる。またフランジ2がL字形であると、これを胴板1に溶接する際に溶接線もL字形となることから、その溶接を溶接ロボットだけで行なおうとすると溶接ロボットの構造が非常に複雑になってしまう。そのため、実際的には溶接ロボットによる溶接に加えて、人手による溶接も補助的に行なわざるを得ないことになり、このことでもコストアップを招くことになる。
【0007】
本発明は、上記のような知見に基づいてなされたものであり、従来の流体圧縮機において気密性の低下やコストアップの要因となっていた構造の改善を目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
筒状のケーシングの内部に内部部材により流体の流路が形成されており且つ、前記ケーシングは、それぞれ水平接合用のフランジが溶接された半筒状の上側半割ケーシングと下側半割ケーシングとを前記フランジを介したボルト締めにより接合して形成された水平分割型溶接構造ケーシングである多段遠心圧縮機において、前記内部部材の内で前記流路の左右各側端部の閉鎖に用いられる端部閉鎖用内部部材をその側面で前記ケーシングの内周面に液体パッキンを介して接触させ、この端部閉鎖用内部部材の側面とケーシングの内周面との接触面に前記側端部のシール用のO−リングを介在させるとともに、前記O−リングの設置位置に近接させて前記フランジに、前記液体パッキンを逃がすための液逃げ凹部を形成したことを特徴としている。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について説明する。図1に第1の実施形態による水平分割型溶接構造のケーシングを有する多段遠心圧縮機の内部構造を部分的に示し、図2にそのケーシングの全体外観を示す。本実施形態は上で説明した従来のそれと同様なガス圧縮用の多段遠心圧縮機の例である。そのため以下の説明では上で説明した従来の多段遠心圧縮機と共通する構造部分には図中に同一の符号を付し、重複する説明は適宜省略している。
【0010】
図1に示すように、本発明では図6に示した従来の流体圧縮機におけるハウジング部材8に対応するハウジング部材20の半径を半割ケーシングの胴板21の内周半径と同じにし、このハウジング部材20の側面を胴板21の内周面に接触させるようにしている。したがってハウジング部材20は、従来の流体圧縮機の半割ケーシングに設けられていた図5や図6における側板3の機能も兼ねつつ流路4の側端部の閉鎖に機能することになっている。またハウジング部材20にこのような構造を与えることに伴って、図2にも見られるように、半割ケーシングにおける水平接合用のフランジ22を直線状に形成している。そしてハウジング部材20の側面と胴板21の内周面との接触面にO−リング23を介在させ、このO−リング23により流路4の側端部のシール(気密化)を行なっている。
【0011】
このように、半割ケーシングの胴板21の内周面にハウジング部材20の側面を直接接触させるようにし、そこにO−リング23を設けるようにしたことにより、半割ケーシングのフランジ22にボルト締め用として設けてあるボルト孔24をO−リング23に対し制約なく近づけることができる。この結果、半割ケーシング同士の水平接合におけるボルト締めの締付け力をO−リング23に効率よく加えてその密着力を高めることができ、それだけ高いシール性を実現することができる。またこれに伴って半割ケーシングのフランジ22を直線状にすることができ、この結果、フランジ22を切り出す材料鋼板の歩留りを改善することができ、このことでコストダウンが可能となる。またフランジ22が直線状であることにより、これの胴板21への溶接が直線溶接だけで済むようになり、したがってその溶接を溶接ロボットだけで行なうことができるようになり、このことでもコストダウンが可能となる。
【0012】
本発明では上記のような構造に加え、O−リング23の設置位置に近接させて液逃げ凹部25をフランジ22に設けるようにしている。この液逃げ凹部25を設けている理由は以下の通りである。本発明の対象となる流体圧縮機に関してはAPI規格と呼ばれる規格がある。この規格では、水平分割型溶接構造のケーシングにおけるフランジ接合面のシールには固体パッキン(ガスケット.O−リング)を用いてはいけないことが定められている。そのため半割ケーシングをそのフランジ22におけるボルト締めで水平接合する際のシールには液体パッキンを用いることになる。この場合に、上記のようにケーシングの胴板21の内周面にハウジング部材20の側面を直接に接触させ、この接触面にO−リング23を介在させるようにしいることにより、フランジ22の接合面に用いた液体パッキンがフランジ22のボルト締め圧により押し出されてO−リング23の周囲を覆うようになる可能性がある。そして液体パッキンがO−リング23の周囲を覆うような状態になると、O−リング23によるシール性を損なうおそれがある。そこでO−リング23に近接させて液逃げ凹部25をフランジ22に設け、たとえ液体パッキンがボルト締め圧によりフランジ22の接合面から滲み出ても、これが液逃げ凹部25で逃げることによりO−リング23にまで至らないようにしているものである。すなわち液逃げ凹部25を設けることにより、上記のようにボルト締めの締付け力をO−リング23に効率よく伝えることで可能としている高いシール性を液体パッキンにより損なうことなく発揮させることができるようにしているものである。なお図の例では液逃げ凹部25をO−リング23の左右両側に設けてあるが、実用的には何れか一方でも足りる。
【0013】
図3に第2の実施形態による多段遠心圧縮機の内部構造を部分的に示す。本実施形態も同じくガス圧縮用の多段遠心圧縮機の例であり、基本的には第1の実施形態におけるそれと同様である。本実施形態が第1の実施形態と異なる点は、一体型であり水平分割されていないホルダー部材26をハウジング部材20の外周に沿って溶接などで接合し、このホルダー部材26によりハウジング部材20の側面、つまり胴板21への接触面を結果的に広くするようにしてあること、そして広くした側面に第2のO−リング27を設けていることである。このようにすることでさらに一層シール性を高めることができる。
【0014】
図4に第3の実施形態による多段遠心圧縮機の外観構造を示す。本実施形態も同じくガス圧縮用の多段遠心圧縮機の例である。本実施形態が上記各実施形態と異なる点は、胴板21の外周に沿って複数のボルト28による締め付けを行なうようにしていることである。すなわち上記各実施形態におけるボルト締めは半割ケーシングのフランジ22を介してのみ行なうようにしてあったのに対し、本実施形態では胴板21の外周でもボルト締めを行なうようにしている。胴板21を介したボルト締めは、ボルト28が図1や図3におけるハウジング部材20に螺合するようにし、且つその螺合位置がO−リング23に沿うようにしている。このようにすることで、より均一な締付け力をO−リング23の全周にわたって加えることができ、これによりO−リング23の密着力をさらに高めることができ、したがってシール性をさらに一層高めることができる。なお図4では、図1〜図3で図示を省略されていた要素として、先端にフランジ29を有する吸込みノズル30が示されている。この吸込みノズル29は、図外の配管に接続し、それを通して供給される作動ガスを機内に導くのに機能する。
【0015】
【発明の効果】
以上説明したように本発明では、流路側端部の閉鎖に機能するハウジング部材の側面をケーシングの内周面に液体パッキンを介して接触させ、この端部閉鎖用内部部材の側面とケーシングの内周面との接触面に側端部のシール用のO−リングを介在させるとともに、O−リングの設置位置に近接させてフランジに、液体パッキンを逃がすための液逃げ凹部を形成しもので、たとえ液体パッキンがボルトの締め圧によりフランジの接合面から滲み出ても、これを液逃げ凹部へ逃がすことができるため、O−リングにまで至らない。
これによってボルトの締付け力をO−リングに効率よく伝えることができるため、O−リングへの締付け力をより高めることができ、したがってシール性の向上を図ることができる。また半割ケーシングのフランジを直線状とすることができ、このことで材料歩留りを向上させることができるとともに、加工工程の簡略化も図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態による多段形遠心圧縮機の部分水平断面図である。
【図2】図1の多段形遠心圧縮機におけるケーシングを形成する上側半割ケーシングの簡略化した外観図である。
【図3】第2の実施形態による多段形遠心圧縮機の部分水平断面図である。
【図4】第3の実施形態による多段形遠心圧縮機の側面図である。
【図5】従来の多段形遠心圧縮機におけるケーシングを形成する上側半割ケーシングの簡略化した外観図である。
【図6】従来の多段形遠心圧縮機の部分水平断面図である。
【符号の説明】
4 流路
20 ハウジング部材(端部閉鎖用内部部材)
21 胴板
22 水平接合用のフランジ
23 O−リング
24 ボルト孔
25 液逃げ凹部
Claims (1)
- 筒状のケーシングの内部に内部部材により流体の流路が形成されており且つ、前記ケーシングは、それぞれ水平接合用のフランジが溶接された半筒状の上側半割ケーシングと下側半割ケーシングとを前記フランジを介したボルト締めにより接合して形成された水平分割型溶接構造ケーシングである多段遠心圧縮機において、前記内部部材の内で前記流路の左右各側端部の閉鎖に用いられる端部閉鎖用内部部材をその側面で前記ケーシングの内周面に液体パッキンを介して接触させ、この端部閉鎖用内部部材の側面とケーシングの内周面との接触面に前記側端部のシール用のO−リングを介在させるとともに、前記O−リングの設置位置に近接させて前記フランジに、前記液体パッキンを逃がすための液逃げ凹部を形成したことを特徴とする多段遠心圧縮機。
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