JP3729449B2 - 細孔を有する構造体及びデバイス - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、細孔を有する構造体、及びデバイスに関する。本発明により得られる構造体は、電子デバイスやメモリー媒体、メモリー素子などの機能材料や、構造材料などの広い範囲で利用が可能である。特に前記構造体は、垂直磁気記録媒体、固体磁気メモリー、磁気センサー、フォトニックデバイスなどへ利用できる。
【0002】
【従来の技術】
本発明は、細孔を有する構造体に関するものであるが、その細孔の孔径に依存することなく適用できる。
近年、細孔を有する構造体の中でも、ナノサイズの構造体(概ね1nmから200nmのサイズを有する構造体である。以下、「ナノ構造体」と称する。)に関心が高まっているので、ナノ構造体を中心に技術的な背景を述べる。
【0003】
なお、ナノ構造体が注目を浴びているのは、その小ささゆえ種々の効果(たとえば、記録媒体等の高密度化)が期待できるからであることは勿論であるが、金属及び半導体の薄膜、細線、ドットなどは、ある特徴的な長さより小さいサイズにおいて、電子の動きが閉じ込められることにより、特異な電気的、光学的、化学的性質を示すことがあるからである。
【0004】
ナノ構造体の作製方法としては、たとえば、フォトリソグラフィーをはじめ、電子線露光、X線露光などの微細パターン描画技術をはじめとする半導体加工技術を用いた作製方法が挙げられる。半導体加工技術によるナノ構造体の作製方法では、歩留まりの悪さや装置のコストが高いなどの問題が指摘されており、簡易な手法で再現性よく作製できる手法が望まれている。
【0005】
上記簡易な手法として、自然に形成される規則的な構造、すなわち、自己組織的に形成される構造をベースに、新規なナノ構造体を実現しようとする試みがある。
これは、ベースとして用いる微細構造によっては、従来の方法を上まわる微細で特殊な構造を作製できる可能性があるため、多くの研究が行われ始めている。
【0006】
自己組織的に形成される特異な構造の例としては、陽極酸化アルミナ被膜が挙げられる(たとえばR.C.Furneaux,W.R.Rigby&A.P.Davidson“NATURE”Vol.337、P147(1989)等参照)。
【0007】
以下、前記陽極酸化アルミナ被膜に関して具体的に図を用いて説明する。
図8および図9は、アルミニウム板(あるいは膜)上に、陽極酸化アルミナナノホールを作製した場合の模式的断面図である。アルミニウム板を酸性電解液中で陽極酸化すると、多孔質酸化膜が形成される。図8Aにおいて、114はナノホール、115は陽極酸化膜、122はバリア層である。なお、バリア層とは、陽極酸化膜115の空孔部の底面に存在するアルミナからなる絶縁領域のことである。
【0008】
図8Bは、基板上のAl膜を途中まで陽極酸化した場合の断面図である。同図において123は基板、124はアルミニウム膜である。
この多孔質酸化被膜の特徴は、図8Aに示すように、直径(2r)が数nm〜数100nmの極めて微細な円柱状ナノホール(細孔)114が、数10nm〜数100nmの間隔(2R)で平行に配列するという特異的な幾何学的構造を有することにある。
そして、この陽極酸化アルミナナノホールの特異的な幾何学構造に着目した、さまざまな応用が試みられている。
【0009】
たとえば、陽極酸化膜の耐摩耗性、耐絶縁性を利用した被膜としての応用や、被膜を剥離してフィルターへの応用がある。さらには、ナノホール内に金属や半導体、あるいは磁性体等を充填する技術や、ナノホールのレプリカ技術を用いることより、着色、磁気記録媒体、EL発光素子、エレクトロクロミック素子、光学素子、太陽電池、ガスセンサをはじめとする様々な応用が試みられている。また、量子細線、MIM素子などの量子効果デバイス、ナノホールを化学反応場として用いる分子センサーなど多方面への応用が期待されている。なお、ナノホールに関しては、益田“固体物理”31,493(1996)に詳しい記載がある。
【0010】
しかし、従来の陽極酸化アルミナナノホール層に接する支持部材としては、一般に図8(A)や図8(B)に示すように、アルミニウム板121(あるいはアルミニウム膜124)に限られていたため、上記ナノホール層を利用したデバイスの開発には様々な制限があった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、アルミナを含み構成される細孔層の支持部材に特徴を有し、当該細孔層には下地導電層に到達する深さにまで孔が形成されている新規な構造体を提供することを目的とする。より具体的には本発明は、前記支持部材にアルミニウム以外の材料を用いた構造体を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る細孔を有する構造体は、細孔を有する構造体であって、アルミナを含み構成される第1の層、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta、Mo、Wの少なくとも一つを含有する第2の層、及びCu、あるいは貴金属、あるいはCuを含む合金、あるいは貴金属を含む合金、あるいは半導体材料を含み構成され、且つ導電性を有する第3の層をこの順に有し、且つ該第1及び第2の層を貫通し、該第3の層を貫通していない細孔を有しており、かつ該細孔内に、該第1、第2及び第3のいずれの層にも接触する内包物を有していることを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係るデバイスは、上記の細孔を有する構造体を備えたデバイスであって、前記内包物が磁性材料であることを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態:細孔を有する構造体の構成)
本発明に係る細孔を有する構造体を図面に基づいて説明する。
図1A及びBは、本発明に係る構造体の一例を示す概略図である。
【0015】
図1Aは平面図であり、図1Bは、図1A中のXX’での切断面図である。同図において、11は基板、15はアルミナを含み構成される第1の層、14は細孔、13はTi、Zr、Hf、Nb、Ta、Mo、Wの少なくとも一つを含有する第2の層、12は導電性を有する第3の層である。
【0016】
本発明に係る構造体の特徴は、第1及び第2の層が共に細孔を有しており、且つそれらの細孔が繋がっていることである。本発明により、アルミナを含み構成される第1の層を支持する部材(前記第2の層や第3の層)として、アルミニウム以外の材料を用いた部材の提供が可能となる。ここで、アルミニウム以外の材料とは、アルミニウムを主成分として含まない材料である。主成分とは、上記材料の主たる構成要素を意味し、例えばICPなどを用いて分析した場合に、前記材料に対する原子量比が20パーセント以上を有する構成要素のことである。
【0017】
また、本発明においては、細孔は前記第1及び第2の層を貫通し、導電性を有する第3の層が細孔底部に露出しているので、細孔内に電着により所定の材料を埋め込むことができる。
【0018】
本発明における細孔を有する構造体の孔径は特に限定されるものではないが、5nm以上500nm以下、好ましくは10nm以上200nm以下である。以下、「細孔を有する構造体」との表現に代え「ナノホール」という場合もある。また、細孔の長さは特に限定されるものではないが、例えば数nmから数十μmの範囲に適宜設定することができる。
【0019】
以下、前記第1、第2、及び第3の層について詳述する。
ここで前記第1の層とは、例えばアルミニウムを構成元素に含む部材を陽極酸化処理して得られる層のことである。前記部材がアルミニウム自体の場合は、前記第1の層はアルミナ層(あるいは、アルミナナノホール層)となる。勿論、前記部材は、主成分としてアルミニウムを構成元素に有していればよく他の構成要素を含んでいてもよい。主成分とは、部材の主たる構成要素を意味し、例えばICPなどを用いて分析した場合に、前記部材に対する原子量比が20パーセント以上を有する構成要素のことである。前記第1の層の厚さは、特に限定されるものではないが、例えば数nmから数十μmの範囲に適宜設定することができる。
【0020】
前記第2の層とは、例えばTi、Zr、Hf、Nb、Ta、Mo、Wの少なくとも一つを含有する材料を前記第1の層と同様に陽極酸化処理して得られる層である。前記材料は金属、半導体あるいは合金であってもよい。そして、当該材料が陽極酸化処理された結果、酸化物、例えばタングステン(W)の酸化物となっていることも好ましいものである。発明者らの検討によると、前記第2の層は、前記第1の層との前記第3の層との接合強度を高めるという働きがあることを見出した。詳細は不明であるが、前記第2の層が前記第1の層と同様に陽極酸化処理されていることに起因しているものと思われる。斯かる点から、前記第2の層を接合層と表現する場合もある。
【0021】
前記第2の層の厚さは、特に限定されるものではないが1nm以上100nm以下、好ましくは1nm以上50nm以下であるのがよい。
また、前記第2の層の厚さは、前記第1の層の厚さよりも薄いものであることが好ましい。より好適には、前記第2の層の厚さは、前記第1の層の厚さの2分の1よりも薄いものであるのがよい。また、前記第2の層の厚さは、前記第1及び第3の層の厚さよりも薄いものであってもよい。また、前記第2の層の厚さは、細孔の間隔(図1Bの2R)よりも薄い方がよい。
【0022】
本発明においては、前記第1の層と第2の層は共に陽極酸化処理により細孔が形成されており、それぞれ第1の細孔、第2の細孔とした場合には、両者は互いに異なる孔径を有することも好ましいものである。例えば、図2Aや図2Bに示すが如くである。また、前記第2の層の厚さは、細孔の間隔(図1BのR)よりも薄い方がよい。
【0023】
前記第3の層は、Cu、貴金属、Cuを含む合金、貴金属を含む合金、あるいは半導体材料で構成することができる。ここで貴金属は、例えばAg、Au、Pt、Pd、Ir、Rh、Os、あるいはRuから選ばれる。前記半導体材料とは、例えばグラファイト、Si、InP、GaAs、GaN、SiGeあるいはGeである。前記第3の層を構成する材料として金属を用いた場合には、第3の層のことを導電性金属下地層と表現する場合もある。前記第3の層は薄膜でもよいし、基板そのものでも構わない。即ち、図1Bにおいて、第3の層12を用いないで、基板11自体に導電性を有する材料を選んでもよい。ここで、細孔に電着などで内包物を埋め込む場合などは導電性金属下地層にはCuやPtが含有されていることが好ましい。
【0024】
図1Bにおける基板11としては、例えば石英基板、ガラス基板、金属基板、半導体基板などが適用できる。勿論、基板としてプラスチックやポリエチレンテレフタラート(PET)やポリイミドなどのフレキシブルなフィルムを用いることもできる。
なお、上記説明した構造体をマスクやモールドとして利用することも可能である。
【0025】
(第2の実施形態:細孔を有する構造体の製造方法)
以下、図3及び図4を用いて、細孔を有する構造体の製造方法について説明する。
なお、図3は本発明に係る細孔を有する構造体の製造工程の一例を示す概略図、図4は本発明に用いる陽極酸化装置の一例を示す概略図である。
【0026】
図3Aは、陽極酸化工程前の膜構成の断面図である。アルミニウムを含有する第1の層52、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta、Mo、Wの少なくとも一つを含有する第2の層51、及び導電性を有する第3の層12をこの順に有する部材55を用意する(工程1)。なお、図3Aにおいては部材55が基板11上に形成されているが、基板は必須なものではなく必要に応じて設ければよい。
【0027】
次に、図3Bに示すように、前記第1の層及び第2の層を陽極酸化し、細孔を形成する(工程2)。同図において、15は、前述のアルミニウムを含有する第1の層52が陽極酸化されて形成される陽極酸化膜である。また、53は、前記第2の層51を陽極酸化処理した際に形成される酸化被膜である。なお、陽極酸化の条件や用いる材料にもよるが、酸化被膜53が残留する場合と、残留しない場合がある。図3Bにおいては、残留している場合を示している。前記酸化被膜53が残留している場合には、エッチング処理などによる酸化被膜53の除去工程(工程3)を行うことが望ましい。なお、工程3は必要に応じて行えばよく、必須の工程ではない。
【0028】
上記酸化被膜53が残留しない場合や、前記エッチング処理により除去した場合には、図3Cに示すような構造体が得られる。前記エッチング処理は、酸性溶液によるウェットエッチング、あるいはアルカリ性溶液によるウェットエッチングである。
【0029】
なお、エッチング処理の前あるいは後にアニール処理を行うことも有効である。アニールは、例えば100℃以上1200℃以下の範囲で行うことが可能である。100℃以上のアニールで膜に残存する水分を除去できることや、更に高い温度のアニールで陽極酸化処理された酸化アルミ膜の結晶性を高めることができる。上記のアニール処理は、真空中や水素および不活性ガスなどの還元性雰囲気中で行うことができる。勿論、導電性を有する前記第3の層12が破壊されない場合は、空気や酸素中でのアニールも可能である。
【0030】
また、細孔構造体を作製した後、表面を研磨、研削、あるいはCMP(Chemical Mechanical Polishing)を行うこともできる。
本実施形態においては、前記第1の層52に形成される第1の細孔56と、前記第2の層51に形成される第2の細孔57は繋がっている。前記第1及び第2の細孔の径は、同一でも、互いに異なっていてもよい。
【0031】
ここで前記第2の層51は、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta、Mo、Wの少なくとも一種を含有する半導体、金属、合金である。
前記第3の層12は、Cu、貴金属、Cuを含む合金、貴金属を含む合金、あるいは半導体材料である。貴金属あるいは半導体材料は上記実施形態1で説明したものと同様の材料が適用できる。
【0032】
前記第2の層の厚さは、前記第3の層の厚さよりも薄いことが望ましい。ここで、前記第2の層の厚さが、1nm以上50nm以下であることがよい。
【0033】
たとえば、Alの融点は660℃であるが、その表面に作製されたナノホールに対しても、上記温度以上の熱処理を施すことができなかったことが挙げられる。その意味で、ナノホールを機能材料として多様な方向で使用するためには、高融点の基板上に陽極酸化アルミナナノホールを形成する技術が望まれる。
【0034】
さらには、陽極酸化アルミナナノホールを電子デバイスなどとして応用することを考えると、ナノホール内に材料を埋め込み、該内包物に下地から電気的に接続可能な陽極酸化アルミナナノホールを形成する技術が望まれる。金属などの良導電性材料の下地に陽極酸化アルミナナノホールを均一、且つ安定に作製することができれば、制御された電着により陽極酸化アルミナナノホールに内包物の作製を可能にし、さらに応用範囲を広げることが期待できる。
なお、本実施形態においては、細孔を有する層をアルミニウム以外の支持部材上に形成できる。
【0035】
本実施形態における、陽極酸化アルミナナノホールは、Alを主成分とする膜を陽極酸化し、当該膜の表面から前記第3の層表面までの全膜厚にわたり酸化し、適切な時間で陽極酸化を終了し、その後必要に応じてエッチング工程を行うことにより作製される。
【0036】
このため、ナノホール底部は導電性金属下地層表面まで貫通しており、そのナノホールは底部まで直線性が良好であるという特徴を有している。また本発明者等は、ナノホール底の貫通部分では陽極酸化アルミナナノホール層と導電性金属下地層との界面に適切な接合層を設けることにより、陽極酸化アルミナナノホール層と導電性金属下地層の接合強度、密着性が増加することを見出した。
【0037】
アルミニウム以外の支持部材上に陽極酸化アルミナナノホールを構成した例としては、特開平7−272651号公報が挙げられる。同公報には、Si基板上にAl膜を形成し、該Al膜を陽極酸化膜に変換した後、ナノホール底部のバリア層を除去し、ナノホール内に露出したSi基板上に金属層(Au、Pt、Pd、Ni、Ag、Cu)を形成し、VLS(Vaper Liquid Solid)法によりSi針状結晶を成長する技術が開示されている。
【0038】
この技術においては、ナノホールをSi基板の表面まで貫通させるために、Al膜を陽極酸化後、ナノホール底のバリア層を除去する工程を行っている。このバリア層を除去する手法としては、クロム酸系のエッチング液を用いる手法、陽極酸化終了後にSi基板と対向電極を外部導線で接続して液中で放置する手法が挙げられている。図9Aは、バリア層122を残して陽極酸化を終了した断面図、図9Bはそのバリア層122をドライエッチングなどの方法で除去した場合の断面図である。114はナノホール、115は陽極酸化膜、125はバリア層除去部を示す。123は基板である。
【0039】
しかし、本発明者らが鋭意検討したところ、陽極酸化工程後に、バリア層の除去工程を行うと、図9Bに示すように、バリア層除去部のナノホール径がその部分で直線性を乱し、不連続になったり、あるいは、ナノホールで形状が不均一になるなどの問題を呈した。本実施形態においては、アルミナ層を貫通したナノホールが形成できるので当該バリア層を除去する必要はない。また、本実施形態においては、第1の層(例えばアルミニウム膜)の膜厚に対応する深さまで陽極化成処理して細孔を形成するので、直線性と径の均一性に優れた細孔の形成ができる。
【0040】
以下、上記工程に関して具体的に説明する。
【0041】
(a)前記工程1:成膜工程(図3A)
基板11上に、導電性を有する前記第3の層12、前記第2の層51、前記第1の層52を順に形成し試料を作製する。これらの層の成膜は、抵抗加熱蒸着、EB蒸着、スパッタ、CVDをはじめとする任意の成膜方法が適用可能である。
【0042】
なお、前記基板11、及び第3の層12とは、上述した実施形態1で示した材料を用いることができる。前記第1の層52とは、例えばアルミニウムを構成元素に含む層である。勿論、前記部材は、主成分としてアルミニウムを構成元素に有していればよく他の構成要素を含んでいてもよい。主成分とは、部材の主たる構成要素を意味し、例えばICPなどを用いて分析した場合に、前記部材に対する原子量比が20パーセント以上を有する構成要素のことである。
【0043】
また、前記第2の層51とは、、例えばTi、Zr、Hf、Nb、Ta、Mo、Wの少なくとも一つを含有する層のことである。前記材料は金属、半導体あるいは合金であってもよい。
【0044】
前記第2の層51の厚さは、特に限定されるものではないが1nm以上100nm以下、好ましくは1nm以上50nm以下であるのがよい。また、前記第2の層の厚さは、前記第3の層の厚さよりも薄いものであることが好ましい。より好適には、前記第2の層の厚さは、前記第3の層の厚さの2分の1よりも薄いものであるのがよい。また、前記第2の層の厚さは、前記第1及び第3の層の厚さよりも薄いものであってもよい。
【0045】
(b)前記工程2:陽極酸化工程
上記試料に陽極酸化処理を行うことで、本発明に係る構造体が作製される。図4は本工程に用いる陽極酸化装置の一例を示す概略図である。
【0046】
図4中、60は恒温槽であり、61は反応容器、62はPt板などの対向電極、63は電解液、64は試料、65は陽極酸化電圧を印加する電源、66は陽極酸化電流を測定する電流計、67は試料ホルダーである。図示していないが、このほか電圧、電流を自動制御、測定するコンピュータなどを組み込んでおくことも好ましいものである。
【0047】
試料64および対向電極62は、恒温水槽により温度を一定に保たれた電解液中に配置され、電源より試料、対向電極間に電圧を印加することで陽極酸化処理が行われる。ここで67は不必要な部分に電圧が印加されない様にする為の試料ホルダーである。
【0048】
陽極酸化に用いる電解液は、たとえば、シュウ酸、りん酸、硫酸、クロム酸溶液などが挙げられる。特に好ましい溶液は低電圧(〜30V程度)の場合は硫酸、高電圧(60V〜)の場合はりん酸、その間の電圧の場合はシュウ酸の溶液が好ましい。
【0049】
またアルコール、例えばエタノールやイソプロピルアルコールを3%以上電解液に混合すると、Al層にピンホールがあって導電性金属下地層に電解液が触れて水の電気分解が発生し、それに伴い酸素などの泡が発生しても、アルコールが泡切れを良くするので、陽極酸化が安定化する傾向がある。
【0050】
ここで陽極酸化処理について詳述する。
図5には各種の下地層(即ち、図3Aにおける第3の層12)を用いた場合の陽極酸化時の電流プロファイルを示す。
【0051】
ここで石英などの基板の上に前記下地層を成膜し、その後Al膜52を成膜して、前記第3の層12から電極をとり、シュウ酸などの電解液中で定電圧陽極酸化をすると、最初Alの表面が酸化されて急激に電流値が下がるが(図5の71のポイント)、ナノホールが形成され始めると電流が徐々に増大して一定になる(図5の72のポイント)。ここで正確な酸化電流を測定するには、前記下地層が電解液に接触しないようにする必要がある。
【0052】
そして陽極酸化が前記第3の層12まで到達すると(図5の73のポイント)、前記下地層の組成にも依存するが、Alの酸化や電解液中へのAlイオンの拡散が抑制されて電流値が減少する(図5の74のポイント)。しかし、このまま陽極酸化を継続すると前記第3の層12が水溶液に接し、場合によっては水の電気分解などが起こり電流値が増大する(図5の75のポイント)。この電気分解が起こるとナノホールは徐々に破壊されてしまう。よって、前記第3の層12に到達したときに、特に72ポイントの電流値に対して5%以上の電流低下が見られたときに陽極酸化を終了するとナノホールの底を貫通させることができる。ここで前記第3の層の材料に酸化物が安定に存在する場合(Cuなど)は電流減少が十分起こるが(図5の(a))、Ptなどでは電流減少が少ない(図5の(b))。
【0053】
本実施形態においては、導電性を有する第3の層から電極をとり、陽極酸化処理し、陽極酸化処理の終了を陽極酸化の電流変化をモニターしながら陽極酸化処理の条件を制御することにより、前記第3の層表面まで到達する細孔を形成できる。
【0054】
Al膜と前記第3の層12の間に接合層(即ち、図3Aの第2の層51)としてTi、Zr、Hf、Nb、Ta、Mo、W、Siの元素を含む半導体、金属あるいは合金などを挟みこんで陽極酸化すると図5の(a)に示すようなAlの陽極酸化終了後の電流低下領域がより安定に得られる様になる。これは、前記接合層の陽極酸化および溶解が自身が徐々に進行する為と思われる。この接合層の膜厚は特に限定はないが、好ましくは1nm〜50nm程度が良い。
【0055】
この接合層が陽極酸化されるとナノホール底部に接合層用金属層の酸化物が残留する場合がある。これを除去して前記下地層表面を露出させるにはエッチング処理を行なうことが好ましい。このエッチングには、りん酸や硫酸などの酸性溶液、あるいはKOHやNaOHなどのアルカリ性溶液を用いることが好ましい。
【0056】
接合層の組成や厚みにも依存するがエッチング処理によって図1Bに示すように陽極酸化膜(第1の層)15の表面から下地層(第3の層)12まで直線的なナノホールになる場合の他、図2Aに示す様に接合層部分のホール径がナノホール径より若干大きい構造、あるいは図2Bに示す様に接合層部分のホール径がナノホール径より若干小さい構造が作製可能である。
【0057】
但し、上記の電流変化はAl膜52の陽極酸化を均一に進行させなければ正確な検出はできない。即ち、Al膜のピンホールなど欠陥部があると、電流は陽極酸化終了時に増大してしまうことがある。陽極酸化を均一に行う為には、陽極酸化面積を陽極酸化を行う容器やホルダーと比べて小さくすることが有効である。また、試料を立てて陽極酸化するよりは、試料を水平に設置することが有効である。また、対向電極を陽極酸化面積に比べて十分大きくすることが有効である。陽極酸化が酸化されにくい金属層(例えばPtなど)に到達した場合には、電解液中の水の電気分解が始まり、その際の泡の発生で陽極酸化膜が破壊されてしまう場合があるので、かかる場合には当該金属層まで陽極酸化が進行する直前に陽極酸化処理を止めるのがよい。
【0058】
本発明の陽極酸化工程においては、前記第1の層52を全膜厚にわたり酸化することになる。陽極酸化がAl表面から進行し、導電性を有する第3の層12まで達した際には、陽極酸化電流に変化が見られるため、これを検知し陽極酸化終了を判断することができる。
【0059】
たとえば、陽極酸化電流の減少により陽極酸化電圧の印加を終了する判断をすることができる。この手法により、過度な陽極酸化を防止できる。但しこの電流変化を検知するにはAlの陽極酸化が均一に進行する必要がある。
【0060】
なお、陽極酸化を行うに先だって、前記第1の層(例えばアルミニウム膜)の表面に凹凸を形成するための凹凸形成処理を行うことも好ましいものである。斯かる場合は、凹部に電圧が集中しやすいので、凹部を起点に細孔が形成されていく。凹凸の形成は、例えばアルミニウム膜に凹凸を有する部材を直接押しつけることで達成される。あるいは凹凸を有する部材上にアルミニウム膜を形成することによっても達成できる。例えば、図6に示すように、第2の層(接合層)を予めパターニングして凹凸を形成しておき、その上に前記第1の層(例えばアルミニウム膜)を形成してもよい。図中、52はアルミニウム膜、133は凹凸形成のためにパターニングされた前記第2の層である。斯かる場合には、前記第2の層は陽極化成処理する必要がなくなる。パターニングには電子線露光や干渉露光、あるいは集束イオンビームスパッタ等を用いることができる。また、細孔の起点形成のために、アルミニウム膜表面に粒子線(例えば荷電粒子ビーム、集束イオンビーム、電子ビーム等である。)を照射した後、陽極化成処理を行うことも好ましいものである。
【0061】
(c)前記工程3:エッチング処理
既述の通り、前記第2の層を陽極酸化処理した場合に、酸化被膜53が残存する場合があるが、斯かる場合はエッチング処理を行うことになる。上記細孔構造体をエッチング処理することにより、ナノホール底の酸化被膜53からなる非貫通部分をエッチング除去することが可能である。この処理には、前記構造体を酸性溶液(たとえばリン酸溶液)中に浸す工程やアルカリ性溶液(KOH溶液など)に浸す工程があげられる。特にWを前記第2の層51に用いた場合にはアルカリ溶液処理が好ましい。また、このエッチング処理では同時にナノホール径を広げることができる。酸濃度、処理時間、温度、により所望のナノホール径を有するナノ構造体とすることができる。なお、本工程3は酸化被膜53が残存しない場合は省略することができる。図3Cはエッチング処理により酸化被膜53を溶解し、且つナノホール径を広げた状態の断面図である。
【0062】
アルミナナノホールとは、Alと酸素を主成分とし、図1Aに示すように、多数の円柱状のナノホールを有する。そのナノホール(細孔)14は、導電性を有する第3の層の表面にほぼ垂直に形成される。そして、それぞれのナノホールは互いに平行かつほぼ等間隔に配置している。また、各ナノホールは、図1Aに示すように三角格子状に配列する傾向がある。ナノホールの直径2rは、5nm以上500nm以下の範囲で設定することができる。例えば、ナノホールの直径2rを数nm〜数100nmに設定し、その間隔2Rは数10nm〜数100nm程度にすることができる。ナノホールの間隔、直径は、陽極酸化に用いる電解液の濃度と温度、及び、陽極酸化電圧印加方法、電圧値、時間、さらには、その後のポアワイド処理条件などのプロセス諸条件でかなり制御することができる。
【0063】
アルミナナノホール層の厚さは、前記第1の層(Alを主成分とする膜)の厚さで制御することができる。その厚さとはたとえば10nm〜100μmの間である。従来、ナノホールの深さは、陽極酸化の時間により制御するのが一般的であったが、本実施形態においては、Alを主成分とする膜の厚さで規定できるため、ナノホールの深さが均一なアルミナナノホールを構成することができる。
【0064】
(第3の実施形態:細孔内に内包物)
本実施形態においては、上記第1あるいは第2の実施形態により得られる細孔を有する構造体の孔内に材料を充填する場合について説明する。
【0065】
具体的には細孔を有する構造体の細孔内に電着により金属、半導体を充填するのである。本発明においては、細孔の底部には導電性を有する第3の層12があるので、電着の制御性が良くなる。充填用の材料として、CoやCu、Niなどを用いる場合は、これらの元素が電着溶液中において陽イオンなので、前記第3の層12には負の電圧印加が必要になる。
【0066】
本実施形態では、電気泳動などによる内包物の形成も電着と呼ぶことにする。例えばDNAは水溶液中で負に帯電しているので、上記と同様に第3の層に正の電圧を印加することで細孔内にDNAを埋め込むことが可能である。
【0067】
もちろん電着ではなくても、細孔上部からの浸透や、CVD法など成膜法を用いることもできる。また電着においても金属だけではなく、半導体や酸化物などの材料を充填することが可能である。
【0068】
細孔内に材料を充填した構造としては、図7Aに示す様に、内包物41を細孔表面まで均一に埋め込む構造や、図7Bに示す様に、積層膜42を埋め込む構造、もしくは図7Cに示す様に、材料43を細孔の途中まで埋め込む構造がある。また、図示していないが細孔の外部まで伸びた構造の内包物を埋め込む構造などが挙げられる。
【0069】
内包物が磁性体の場合には垂直磁化膜として有用な磁気媒体として利用したり、磁性体の細線として見れば、量子効果デバイスとしても有効である。またナノホール内にCoとCuを図7Bに示すように積層電着すれば、磁場に応答するGMR素子も作製可能である。
【0070】
内包物を図7Cに示すように細孔の途中まで埋め込む構造にすれば、電子放出素子、さらにはそれを用いたディスプレイの作製も可能である。
また、内包物が発光体や蛍光体の場合には発光デバイスはもちろん、波長変換層としても利用可能である。また内包物にアルミナとは異なる誘電体を埋め込んだ場合にもフォトニックデバイスが作製できる。このように細孔を有する構造体に様々な材料を埋め込むことで種々のデバイスを作製することができる。
【0071】
本発明において、内包物とは陽極酸化ナノホール内部のみではなく、内部からホール外への伸びているものでも構わない。
図7Dは、上記第2の実施形態で説明した図3Cの構造体の細孔に金属や半導体などの内包物41で充填した場合の断面図である。
【0072】
上記細孔内に金属を電着する場合は、電着金属がイオンになっている溶液中に細孔を有する基板を浸して、導電性を有する前記第3の層に負の電圧を印加すればよい。この溶液には例えば硫酸コバルトの水溶液などが利用される。また、電着の際に核発生を十分起こさせるために交流の電圧を印加することも有効である。
【0073】
このように細孔を有する構造体に、金属、半導体、酸化物等を埋め込むことにより、新たな電子デバイスへと応用できる。デバイスとしては、量子細線、MIM素子、電気化学センサー、着色、磁気記録媒体、EL発光素子、エレクトロクロミック素子、光学素子、耐摩耗性、耐絶縁性被膜、フィルターである。勿論、コンピュータに接続される外部(あるいは内部)記録装置としてのハードディスクにも本発明を適用できる。
また細孔内に電着を十分したあと、細孔の表面を平坦にするために表面研磨することもできる。
【0074】
また、エッチング処理の前や後にアニール処理を行うことも有効である。アニールは1200℃まで可能であり、100℃以上のアニールで膜に残存する水分を除去できることや、更に高い温度のアニールで陽極酸化された酸化アルミ膜の結晶性を高めることができる。また、内包物を充填した後にアニールを行えば、内包物の特性や構造を制御したり密着性を高める効果もある。上記のアニール処理は、真空中や水素および不活性ガスなどの還元性雰囲気内で可能であるばかりでなく、導電性金属下地層が破壊されない場合は空気や酸素中でのアニールも可能である。
【0075】
【実施例】
以下に実施例をあげて、本発明を説明する。
【0076】
実施例1
本実施例は、各種接合層用金属層を用いて陽極酸化アルミナナノホールを作製した場合の結果を説明する。
a)導電性金属下地層、接合層用金属層、Al膜の形成
8種類の接合層用金属層が異なる試料を用意した。すなわち、石英基板上にRFスパッタ法によりまずTiを厚さ5nmに成膜した後、導電性金属下地層としてCuを厚さ20nmに成膜した。そして接合層用金属層としてのTi、Zr、Hf、Nb、Ta、Mo、Wを厚さ5nmに成膜した後、厚さ500nmのAl膜を成膜した。
【0077】
b)陽極酸化
図4に示す陽極酸化装置を用いて陽極酸化処理を施した。
本実施例においては、電解液として0.3mol/lのシュウ酸水溶液を使用し、恒温水槽により電解液を17℃に保持した。ここで陽極酸化電圧はDC40Vであり、電極は均一に陽極酸化が進行するように導電性金属下地層側からとった。陽極酸化工程途中、陽極酸化がAl表面から進行し導電性金属下地層まで到達したことを示す電流を検知するため、陽極酸化電流をモニターした。陽極酸化の終了は図5で示した一定電流値の50%以上の電流低下が見られてから行った。
陽極酸化処理後、純水、およびイソプロピルアルコールによる洗浄を行った。
【0078】
c)エッチング処理
陽極酸化処理後、試料を5wt%リン酸溶液中に20〜45分間浸す本処理により、適宜、エッチング処理を行った。
【0079】
取り出した試料の表面、断面をFE−SEM(Field Emission−Scanning Electron Microscope:電界放出走査型電子顕微鏡)にて観察した。その結果ナノホールは図1Bに示すように導電性金属下地層まで貫通しており、接合層用金属層は酸化された状態でナノホール間の底部の陽極酸化層と導電性金属下地層の一部に残存していた。
比較例としてSi上にAl膜を成膜した試料を陽極酸化して比較試料を作製した。
【0080】
そして、本実施例と比較例の試料を同じ研磨装置で陽極酸化層の約半分をダイヤモンドスラリーで研磨したところ、本実施例の試料には破損が見られなかったが、比較例では一部に陽極酸化層が剥離する破損が見られた。このように接合層を設けることにより、下地電極層と陽極酸化アルミナナノホール層の接合性が強くなることがわかった。本実施例によればナノホール層と接合層との密着性の高い構造体が得られるので、ナノホール作製後に研磨工程がある場合や使用時に応力などの力がかかる場合などは有用である。こうして、下地電極と陽極酸化アルミナナノホール層の接合性が強くなり、ナノホールが底部まで直線性と径の一様性に優れ、ナノホールへの内包物の電着を均一に施すことが出来る。
【0081】
実施例2
実施例1と同様にして試料を用意した。ただし、接合層用金属層にはWを用いて、Wの厚みを1〜100nmまで変化させた。また、エッチングには0.01mol/lのKOH溶液を用いて、1〜10分エッチング処理を施した。
【0082】
作製した試料をFE−SEM観察で観察したところ、接合層が50nm以下では図1Bに示したような導電性金属下地層まで貫通したナノホールが得られていたが、50nmより厚い試料では一部のナノホールが貫通しないで残っていた。このことから、接合層は1〜50nmが好ましい。
【0083】
また、接合層が5nmの試料では、実施例1と比べてKOHエッチングの方がナノホールの直進性が優れていた。これは、Wの酸化物がアルカリに溶解しやすいためと考えられる。
【0084】
実施例3
本実施例においては、実施例1と同様に陽極酸化アルミナナノホールを作製した後、内包物を電着した。ただし、導電性金属下地層としては厚み20nmのAg、Pt、Cu、Crを用い、接合層としてはTiを2.5nmの膜厚で作製し、エッチングは実施例1と同様りん酸で行った。
【0085】
エッチング処理の後、Co電着を施すことで、ナノホール内にCoのピラー(円柱)を電着した。メッキ浴は5%CoSO4 ・7H2 O、2%H3 BO3 を用い、DC電圧−2V、電着時間20秒とした。
【0086】
そしてFE−SEMで電着した試料の断面を観察したところ、図7Aに示す形態を有した。直径が約60nmの円柱状ナノホールにCoが充填されており、約100nmの間隔で互いに平行かつほぼ等間隔に配列形成していた。また、ナノホールの底までピラー直径はほぼ均一であった。但し電着量のナノホール間の均一性はPt、Cuが比較的優れていた。
【0087】
実施例4
本実施例においては、図7Bに示す様な積層磁性体をナノホールに充填した例について説明する。
【0088】
実施例3と同様に貫通したナノホールをCu下地層上に形成後、試料を、硫酸コバルト0.5mol/l、硫酸銅0.001mol/lからなるめっき浴中で、白金の対向電極と共に浸してAg/AgClの参照電極に対して−0.56V、−0.12Vの電圧を各々15秒、0.1秒交互に印加させてナノホール底にCu/Coの積層膜を成長させて、図7Bに示すナノ構造体を作製した。
【0089】
ここで−0.56Vの電圧印加時は電着電位が小さいイオンであるCuのみ電着され、−1.2V印加時には濃度の濃いCoが主に電着され、結果として積層膜となった。
【0090】
そして、上記試料を表面研磨の後に上部に電極を付け、充填材上部と導電性金属下地層間の抵抗の磁場依存性を調べたところ、負の磁気抵抗を示した。これは充填された積層膜がGMR効果を示したためと考えられる。
以上のことから本発明が磁気センサーに利用可能なことが分かる。
【0091】
実施例5
実施例3と同様に陽極酸化アルミナナノホールを作製した。このとき接合層用金属層にはWの2.5nm厚を用い、エッチングにはKOHの0.01mol/lの溶液を用いた。Co電着後に、真空中400℃で1時間アニール処理を行った。そしてダイヤモンドスラリーで表面研磨を行ったところ、アニール処理前と比較して研磨レートが低下して研磨後の表面の平均凹凸が少なくなった。これはアニール処理により陽極酸化アルミナ層が硬くなった為と考えられる。また、同様のアニール処理をエッチング処理前に施したところ、アルミナナノホール部分のエッチングレートの低下が見られた。これはアニール処理によりアルミナナノホール部分の化学的耐性が増した為と考えられる。
【0092】
このことから、エッチング処理前後に適度なアニール処理を施すことにより、ナノホール底の形状を図1Bから図2Aや図2Bのように制御可能であることを意味している。
【0093】
上述の実施例には下記に示す様な特徴がある。
1)接合層を設けることにより、下地電極と陽極酸化アルミナナノホール層の接合性が強くなる。このため研磨やアニールなど応力がかかる工程や使用にも耐久性がり、陽極酸化アルミナナノホールの用途を格段に広げることができる。
2)Cuや白金などの下地電極上に底が貫通した陽極酸化アルミナナノホールを安定に形成できる。この陽極酸化アルミナナノホールのナノホールは、ナノホール底部まで直線性と径の一様性に優れ、欠陥が少ない特性を有する。
3)導電性金属下地層上に貫通したアルミナナノホール層が均一に得られるため、ナノホールへの内包物の電着を均一に施すことが出来るので、これを用いた磁気媒体や量子効果デバイス、光デバイス等を実現できる。
【0094】
これらは、陽極酸化アルミナナノホールをさまざまな形態で応用することを可能とするものであり、その応用範囲を著しく広げるものである。
また、本発明のナノ構造体は、それ自体機能材料として使用可能であるが、さらなる新規なナノ構造体の母材、モールドなどとして用いることもできる。
【0095】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、アルミナを含み構成される細孔層の支持部材に特徴を有し、当該細孔層には下地導電層に到達する深さにまで孔が形成されている新規な構造体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る細孔を有する構造体の概略図である。
【図2】本発明に係る細孔を有する構造体の概略図である。
【図3】発明に係る細孔を有する構造体の製造工程を示す概略図である。
【図4】本発明における陽極酸化装置を示す概略図である。
【図5】陽極酸化時の電流プロファイルを示す図である。
【図6】本発明に係る細孔を有する構造体の製造工程の一部を示す概略図である。
【図7】本発明に係る細孔を有する構造体の細孔内に材料を充填した場合の例を示す図である。
【図8】アルミナナノホールを示す概略図である。
【図9】アルミナナノホールを示す概略図である。
【符号の説明】
11 基板
12 第3の層
13 第2の層
14 細孔
15 第1の層(陽極酸化膜)
41 内包物
42 積層膜
43 材料
51 第2の層
52 第1の層
53 酸化皮膜
55 部材
56 第1の細孔
57 第2の細孔
60 恒温槽
61 反応容器
62 対向電極
63 電解液
64 試料
65 電源
66 電流計
67 試料ホルダー
114 ナノホール
115 陽極酸化膜
121 アルミ板
122 バリア層
123 基板
124 アルミ膜
125 バリア層除去部
133 第2の層

Claims (14)

  1. 細孔を有する構造体であって、アルミナを含み構成される第1の層、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta、Mo、Wの少なくとも一つを含有する第2の層、及びCu、あるいは貴金属、あるいはCuを含む合金、あるいは貴金属を含む合金、あるいは半導体材料を含み構成され、且つ導電性を有する第3の層をこの順に有し、且つ該第1及び第2の層を貫通し、該第3の層を貫通していない細孔を有しており、かつ該細孔内に、該第1、第2及び第3のいずれの層にも接触する内包物を有していることを特徴とする細孔を有する構造体。
  2. 前記第1の層は、アルミナナノホール層である請求項1記載の細孔を有する構造体。
  3. 前記第1の層及び第2の層が有する細孔は互いに異なる孔径を有する請求項1乃至のいずれか1項に記載の細孔を有する構造体。
  4. 前記第2の層は、Ti、Zr、Hf、Nb、Ta、Mo、Wの少なくとも一つを含有する合金である請求項1乃至のいずれか1項に記載の細孔を有する構造体。
  5. 前記第2の層は、前記Ti、Zr、Hf、Nb、Ta、Mo、Wの少なくとも一つを含有する金属層を陽極酸化して形成された細孔を有する層である請求項1乃至のいずれか1項に記載の細孔を有する構造体。
  6. 前記第2の層はWの酸化物を含む請求項1記載の細孔を有する構造体。
  7. 前記第2の層の厚さが1nm以上50nm以下である請求項1乃至のいずれか1項記載の細孔を有する構造体。
  8. 前記貴金属は、Ag、Au、Pt、Pd、Ir、Rh、Os、Ruである請求項1乃至のいずれか1項に記載の細孔を有する構造体。
  9. 前記半導体材料は、グラファイト、Si、InP、GaAs、GaN、SiGeあるいはGeである請求項1乃至のいずれか1項に記載の細孔を有する構造体。
  10. 前記第2の層の厚さは前記第3の層の厚さよりも薄い請求項1乃至のいずれか1項に記載の細孔を有する構造体。
  11. 前記第2の層の厚さは前記第3の層の厚さの2分の1よりも小さい請求項10記載の細孔を有する構造体。
  12. 前記第2の層の厚さは前記第1及び第3の層の厚さよりも薄い請求項1乃至11のいずれか1項に記載の細孔を有する構造体。
  13. 請求項1乃至12のいずれか1項に記載の細孔を有する構造体を備えたデバイスであって、前記内包物が磁性材料であることを特徴とするデバイス。
  14. 前記内包物が積層磁性体である請求項13記載のデバイス。
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