JP3731018B2 - 孔版印刷装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、穿孔製版されたマスタを版胴の外周面に巻装して、上記印刷用紙に印刷を行う孔版印刷装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
孔版印刷用のマスタは、薄い熱可塑性樹脂フィルム(厚さ1〜2μm程度)に和紙繊維や合成繊維、あるいは和紙繊維と合成繊維とを混抄したものからなる多孔性支持体を貼り合わせたラミネート構造となっている。このマスタの熱可塑性樹脂フィルム面を加熱穿孔し、多孔性の支持円筒体に樹脂繊維あるいは金属繊維から構成されたメッシュスクリーン等からなるインキ保持層を有する回転自在な版胴に、製版されたマスタを巻装して、版胴内部に設けられたインキ供給手段によりインキを供給し、プレスローラ等の押圧手段で印刷用紙を連続的に押圧して、版胴開孔部及びマスタ穿孔部からインキを滲出させて印刷を行う感熱デジタル孔版印刷装置が良く知られている。
【0003】
インキはマスタに大量に付着しているので、排版マスタ(使用済みマスタ)を版胴から剥離したときに、インキは版胴から大量に剥ぎ取られる。また、装置を長期間放置するとインキ保持層や版胴からインキが蒸発する。よって、新しく製版されたマスタを版胴に巻着して印刷を行う場合には、多孔性支持体にインキを充填する必要がある。そこで、印刷された印刷用紙をカウントする用紙カウンタを不作動状態として、印刷用紙を低速で搬送しつつ押圧手段で版胴に押圧して、インキを多孔性支持体に充填するとともに、マスタを版胴に密着させる版付動作が行われている。
【0004】
しかしながら、版胴にインキが充填されても、マスタには、多孔性支持体の繊維が複雑に絡み合って塊となっている部分や、太い繊維が穿孔部分を横切っている部分も多く、インキが通過しやすい部分と通過し難い部分があるために、多孔性支持体へのインキ充填ムラが発生しやすく、画像のベタ部が抜けたり、細線や文字がかすれてしまい画像品質が悪化する問題点があった。このため、版付動作後の印刷時に印刷用紙が無駄になってしまい、ヤレ紙が大量に発生するという問題点も発生した。また、通常の印刷動作が開始されるまでには、版付動作と印刷が落ち着くまでの工程とがあるので、印刷スタートボタンが押されて、画像品質の良い印刷用紙が排出されるまでのファーストプリントタイムを含めた印刷時間が長くなるという問題点もあった。
【0005】
そこで、上述の問題点を解決するものとして、未製版のマスタを版胴に巻着した後に、押圧手段を版胴に所定回数押圧させて、インキを充填する孔版印刷装置が特開平3−175081号公報に開示されている。また、版胴と押圧手段との間に挿入された挿入位置と印刷用紙搬送経路外に待避した待避位置とに変位可能なシート部材を版胴と押圧手段との間に挿入し、押圧手段でシート部材を版胴に押圧し、版胴を所定回数回転させて、インキを充填する孔版印刷装置が特開平4−129787号公報に開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、近年では、熱可塑性樹脂フィルムと多孔性支持体とからなるマスタに加えて、熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタも使用されるようになった。熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタを使用することによって、版付動作を省略できるようになり、製版されたマスタを版胴に巻着した後、直ちに印刷を行うことができるようになった。
【0007】
そこで、前述の孔版印刷装置に熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタを用いた場合には、版付動作が必要ないのに版付動作を行ってしまい、1枚目の印刷用紙が排出されるまでの印刷時間(ファーストプリントタイム)が長くなるという問題点が発生する。
【0008】
前述の孔版印刷装置とは逆に熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタ専用の孔版印刷装置に、熱可塑性樹脂フィルムと多孔性支持体とからなるマスタを用いた場合には、版付動作が行われないので、多孔性支持体へのインキのインキ充填ムラが発生し、画像のベタ部が抜けたり、細線や文字がかすれてしまい画像品質が悪化する問題点が発生する。さらに、印刷を開始しても始めのうちは印刷用紙が無駄になってしまい、ヤレ紙が大量に発生するという問題点もある。これは、多孔性支持体に、繊維が複雑に絡み合って塊となっている部分や、太い繊維が穿孔部分を横切っている部分や、インキが通過しにくい部分があるためである。
【0009】
よって、本発明の目的は、前述の問題点を解決し、熱可塑性樹脂フィルムと多孔性支持体とからなるマスタと、熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタとのどちらにも対応できる孔版印刷装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、穿孔製版されたマスタを版胴に巻装し、印刷用紙を押圧部材で上記マスタに押圧して上記印刷用紙に印刷を行う孔版印刷装置において、上記マスタの種類に応じて版付動作を行う版付けモードと版付動作を行わない版付けレスモードとのうち何れか一方を選択する選択手段と、上記マスタの厚さを検出する厚さ検出手段とを有し、上記選択手段が上記厚さ検出手段により検出される上記マスタの厚さに応じて上記両モードのうち何れか一方を選択する構成である。
【0011】
請求項2記載の発明は、穿孔製版されたマスタを版胴に巻装し、印刷用紙を押圧部材で上記マスタに押圧して上記印刷用紙に印刷を行う孔版印刷装置において、上記印刷用紙を上記押圧部材で上記マスタに押圧して上記版胴を低速で回転させ、上記マスタを上記版胴に密着させるとともに、印刷された印刷用紙をカウントする用紙カウンタを不作動状態にする版付動作を行う版付けモードと、上記版付動作を行わない版付けレスモードとを有する孔版印刷装置であって、上記マスタの種類に応じて上記両モードのうち何れか一方を選択する選択手段と、上記マスタの厚さを検出する厚さ検出手段とを有し、上記選択手段が上記厚さ検出手段により検出される上記マスタの厚さに応じて上記両モードのうち何れか一方を選択する構成である。
【0013】
【実施例】
図1は、本発明の参考例に用いられる孔版印刷装置の要部を示している。同図において、回転自在に支持され、図示しない版胴駆動手段で回転駆動される版胴1は、インキパイプ2、インキローラ3、ドクターローラ4、インキ溜まり5からなるインキ供給手段20をその内部に有している。版胴駆動手段は、後述する制御手段37によってその作動を制御される。
【0014】
版胴1は、図2に示すように、開孔部1aを有する多孔性円筒支持体1bと、多孔性円筒支持体1bの外表面に巻装されたスクリーン層15とから構成されている。スクリーン層15は、樹脂編体や金属編体等からそれぞれなるスクリーン上15a及びスクリーン下15bを多孔性円筒支持体1bの外表面に積層して構成されている。版胴1の外周面には、熱可塑性樹脂フィルム8aとこの熱可塑性樹脂フィルム8aに貼り合わせた多孔性支持体8bとからなるラミネートタイプのマスタ8Aが巻装される。また、図3に示すように、版胴1の外周面に、熱可塑性樹脂フィルム8aのみからなるマスタ8を巻装しても良い。
【0015】
スクリーン層15に代えて、極細の金属繊維や樹脂繊維を漉いて形成したシートあるいは樹脂を発泡させて形成したシートを用いても良い。これらのシートを用いることによって、スクリーン層15の開孔部分を微細にすることができ、インキの蒸発が抑制され、放置してもインキの減少を抑制することができる。
【0016】
版胴1の支持軸を兼ねたインキパイプ2は、図示しない筐体側板に固着されており、その表面には、版胴1の内部にインキを供給するための複数の小さな孔が穿設されている。インキパイプ2は、図示しないポンプによって版胴1の外部に配設された図示しないインキパックから汲上げられたインキを版胴1の内部に供給する。インキパイプ2、インキパック及びポンプによって、インキ補給手段が構成されている。インキとしては、油中水型エマルジョンインキが使用されており、水分の蒸発を抑制する点から、油相比率が高い方が好ましい。
【0017】
インキパイプ2の下方には、インキローラ3とドクターローラ4とが配設されている。
版胴1内の図示しない側板に回転自在に支持されたインキローラ3は、その外周面が版胴1の内周面と近接するように配置されており、インキパイプ2より供給されたインキを版胴1に供給する。インキローラ3は、金属または比較的高硬度のゴムローラで構成され、図示しないギヤあるいはベルト等の駆動力伝達手段によって版胴駆動手段からの回転力を伝達されて、版胴1と同期して図1において時計回り方向に回転駆動される。
【0018】
インキローラ3の近傍には、回転自在なドクターローラ4が配設されている。ドクターローラ4は、その外周面とインキローラ3の外周面との間に僅かな間隙が生じるように配設されており、インキローラ3の外周面との近接部において楔状のインキ溜まり5を形成している。インキパイプ2よりインキ溜まり5へと供給されたインキは、インキローラ3とドクターローラ4との間隙を通過することにより、均一な層状となりつつインキローラ3の表面に供給される。
【0019】
版胴1の非開孔部表面には、軸方向に延在するステージ部6が配設されている。磁性体で形成されたステージ部6上には、ステージ部6に対して接離自在に支持されたマグネットを有するクランパ7が配設されており、クランパ7は図示しない開閉手段によって回動される。
【0020】
版胴1の図中、左上方には、マスタ8Aをロール状に巻成してなるマスタロール9と、サーマルヘッド10及びプラテンローラ11と、第1のマスタ搬送ローラ対12a,12bと、切断手段13と、第2のマスタ搬送ローラ対19a,19bと、マスタガイド板14とが配設されている。
【0021】
マスタロール9は、その芯部9aを図示しないホルダー手段に回転可能に支持されている。サーマルヘッド10とプラテンローラ11とは、筐体側板に取り付けられている。多数の発熱素子を有するサーマルヘッド10は、図示しない付勢手段によってプラテンローラ11に付勢されている。プラテンローラ11は回転自在に設けられており、図示しないステッピングモータによって、図1において時計回り方向に回転駆動される。マスタ8Aは、サーマルヘッド10に押圧されて熱溶融穿孔製版されつつ、プラテンローラ11の回転によってマスタロール9より繰り出される。サーマルヘッド10とプラテンローラ11とで製版手段が構成されている。
【0022】
サーマルヘッド10とプラテンローラ11とが配設された位置よりもマスタ搬送方向下流側には、第1のマスタ搬送ローラ対12a,12bが配設されている。孔版印刷装置の側板に回転自在に支持された第1のマスタ搬送ローラ対12a,12bは、図示しない駆動手段によってプラテンローラ11の周速度よりも僅かに速い周速度で回転駆動される。また、第1のマスタ搬送ローラ対12a,12bには図示しないトルクリミッタが取り付けられており、プラテンローラ11と第1のマスタ搬送ローラ対12a,12bとの間で搬送されるマスタ8Aに対して、予め設定された張力が一定に作用するように構成されている。第1のマスタ搬送ローラ12bは、クロロプレンゴムやシリコンゴム等の導電性を有する弾性体のローラが金属性の芯金に固着されて構成されている。
【0023】
第1のマスタ搬送ローラ対12a,12bの配設位置よりもマスタ搬送方向下流側には、可動刃13aと固定刃13bとからなる切断手段13、第2のマスタ搬送ローラ対19a,19b及びマスタガイド板14が配設されている。切断手段13は、可動刃13aが固定刃13bに対して回転移動または上下動してマスタ8を切断する周知の構造である。第2のマスタ搬送ローラ対19a,19bは、マスタ8Aの搬送速度よりも僅かに早い速度で回転するようになっており、搬送されるマスタ8Aに対して、予め設定された張力が一定に作用するように構成されている。第2のマスタ搬送ローラ19bも、第1のマスタ搬送ローラ12bと同様に、クロロプレンゴムやシリコンゴム等の導電性を有する弾性体で形成されている。マスタガイド板14は、孔版印刷装置の側板に固着されており、搬送されるマスタ8Aをガイドする。
【0024】
版胴1の下方には、ニトリルゴムやクロロプレンゴム等の弾性体からなる押圧手段としてのプレスローラ16が配設されている。プレスローラ16は、筐体側板に回転自在に支持されたアーム軸16aにローラアーム16bを介して回転自在に支持されている。プレスローラ16は、付勢手段によって時計回りに付勢されており、アーム軸16aの端部に固設されたカムフォロアと、このカムフォロアに当接するカムとによって、版胴1の外周面より離間する位置と版胴1の外周面と当接する位置とに選択的に揺動される。また、プレスローラ16は、図示しない係止手段によって、通常は版胴1から離間した位置で保持されており、版胴1の外周面に当接する際には、版胴1の開孔部1aの前縁よりも僅かに前方位置から当接する。
【0025】
プレスローラ16の図中、右方には、レジストローラ対17が配設されている。レジストローラ対17は、図示しない給紙手段より給送される印刷用紙18の先端をくわえ込み、プレスローラ16が版胴1と当接するタイミングと同期して、印刷用紙18を版胴1とプレスローラ16との間に向けて給送する。なお、押圧手段として、プレスローラ16に代えて版胴1と略同径の圧胴を設けてもよい。プレスローラ16の図中、左方には、印刷された印刷用紙を版胴1の外周面から剥離させる剥離爪50が配設されており、その下方には、排紙された用紙を積載する排紙トレイ51が配設されている。
【0026】
図4は、この孔版印刷装置の操作パネルを示している。筐体の上部前面に配設された操作パネル21は、その上面に製版スタートキー22、印刷スタートキー23、試し刷りキー24、ストップキー25、テンキー26、クリアキー27、モード切換スイッチ30等を有している。
【0027】
モード切換スイッチ30は、版付けモードスイッチ30aと版付けレスモードスイッチ30bとからなる。オペレータは、印刷に使用されるマスタが熱可塑性樹脂フィルムと多孔性支持体とからなるマスタ8Aである場合に、版付けモードスイッチ30aを押し、印刷に使用されるマスタが熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタ8である場合に、版付けレスモードスイッチ30bを押す。版付けモードとは、印刷された印刷用紙をカウントする後述の用紙カウンタを不作動状態にするとともに、印刷用紙18をプレスローラ16でマスタ8Aに押圧して版胴1を低速で回転させ、マスタ8Aを版胴1に密着させる版付動作を行うモードである。版付けレスモードとは、版付動作を行わないモードである。
【0028】
なお、本実施例では、操作パネル21にモード切換スイッチ30を設けているが、従来からある他のキーの組み合わせ等により、版付けモードと版付けレスモードとを選択させることも可能である。
【0029】
図5は、制御手段37のブロック図を示している。制御手段37は、CPU38、ROM39を有する周知のマイクロコンピューターから構成されている。CPU38には、操作パネル21からの各信号(動作信号及び置数信号等)と、モード切換スイッチ30からの切換信号が入力される。入力された各信号は、ROM39に記憶された動作プログラムに基づいて演算処理される。CPU38は、用紙カウンタを有しており、モード切換スイッチ30からの切換信号、すなわち、版付けモードスイッチ30aまたは版付けレスモードスイッチ30bからの信号入力によって、版付動作を行うか、版付動作を行わないかを選択する。版胴駆動手段とインキ補給手段とにそれぞれ動作信号として出力される。ROM39には、版胴駆動手段とインキ補給手段を動作させる動作プログラムが記憶されている。モード切換スイッチ30及び制御手段37によって、選択手段が構成されている。
【0030】
上記構成に基づき、以下に動作を説明する。
印刷に使用されるマスタが熱可塑性樹脂フィルム8aと多孔性支持体8bとからなるマスタ8Aである場合には版付動作が必要なので、オペレータは操作パネル21の版付けモードスイッチ30aを押す。この信号がCPU38に入力されて、CPU38は版付動作の実行を決定する。
【0031】
図示しない原稿読取部に原稿がセットされ、オペレータがテンキー26によって印刷枚数をCPU38内の用紙カウンタに置数した後、製版スタートキー22を押すと版胴1が回転し、図示しない排版装置によって版胴1の外周面上に巻装されている使用済みマスタが剥離・廃棄され、版胴1はクランパ7が略真上に位置する給版待機位置で停止する。版胴1の回転が停止すると、開閉手段が作動してクランパ7が開放され、版胴1は図1に示す給版待機状態となる。
【0032】
排版動作が完了すると、これに続いて製版動作が行われる。読み取られた原稿画像は、原稿読取部のCCD等で電気信号に変換され、A/D変換器を経由して製版制御装置に画像データとして送られる。製版制御装置は、送られた画像データに基づいてサーマルヘッド10の発熱素子に対してパルス状の通電を行い、サーマルヘッド10はマスタ8Aに対して熱溶融穿孔製版を行う。サーマルヘッド10の作動に先立って、プラテンローラ11がステッピングモータによって回転駆動され、マスタロール9よりマスタ8Aが引き出される。
【0033】
製版画像を形成されたマスタ8Aは、マスタガイド板14にガイドされつつ第1のマスタ搬送ローラ対12a,12b及び第2のマスタ搬送ローラ対19a,19bによってクランパ7へと搬送される。プラテンローラ11を回転駆動するステッピングモータのステップ数より、マスタ8Aの先端がクランパ7とステージ部6との間の所定位置まで達したと判断されると、開閉手段が作動してクランパ7を反時計回り方向に回動させ、ステージ部6とクランパ7とでマスタ8Aの先端を挟持した後、版胴1がマスタ搬送速度と略同周速度で時計回り方向に回転を開始し、マスタ8Aの版胴1への巻装が開始される。
【0034】
そして、プラテンローラ11を回転駆動するステッピングモータのステップ数より、1版分の製版が完了したと判断されると、プラテンローラ11、第1のマスタ搬送ローラ対12a,12b及び第2のマスタ搬送ローラ対19a,19bの回転動作がそれぞれ停止され、切断手段13によってマスタ8Aが切断される。切断されたマスタ8Aは、版胴1の回転によって引き出され、巻装動作が完了する。
【0035】
巻装動作に引き続き、版付動作が行われる。
給紙手段により給送された印刷用紙18は、レジストローラ対17にくわえ込まれる。レジストローラ対17は、低速(10〜20rpm)で回転している版胴1に巻装されたマスタ8Aの画像領域がプレスローラ16と対応する位置に達するタイミングで、印刷用紙18を版胴1とプレスローラ16との間に向けて給送する。図示しない用紙検出センサにより印刷用紙の搬送が検出されると、プレスローラ16の係止手段が解除され、プレスローラ16が版胴1の開孔部1aの前端部から印刷用紙18を連続的に押圧する。この押圧動作により、プレスローラ16と印刷用紙18とマスタ8Aと版胴1の外周面とが圧接し、インキローラ3によって版胴1の内周面に供給されたインキが、開孔部1aとスクリーン層15より滲出し、マスタ8Aの多孔性支持体8bに充填される。多孔性支持体8bにインキが充填されることにより、マスタ8Aが版胴1に密着される。インキを転移された印刷用紙18は、剥離爪50により版胴1から剥離され、排紙トレイ51に排出積載される。このとき、用紙カウンタは不作動状態となっており、この版付動作時に使用された印刷用紙18のカウントは行わない。なお、用紙カウンタには、予め置数された印刷枚数から印刷された枚数を減算する減算式カウンタが用いられている。
【0036】
版付動作完了後、印刷スタートキー23が押されると、インキ溜まり5のインキ量が規定量以上ない場合は、制御手段37の指令によってインキ補給手段のポンプを所定回数作動させ、インキパックからインキ溜まり5へインキを供給する。この動作後、給紙手段により印刷用紙18が連続的に給送され、版胴1が高速で回転駆動されて印刷動作が行われ、用紙カウンタが、印刷された印刷用紙の枚数をカウントするとともに、予め置数された印刷枚数から印刷された枚数を減算する。予め置数された印刷枚数の印刷が終了すると、印刷動作が完了する。
【0037】
次に、印刷に使用されるマスタが熱可塑性樹脂フィルム8aのみからなるマスタ8である場合には、オペレータは操作パネル21の版付けレスモードスイッチ30bを押す。この信号がCPU38に入力されて、CPU38は版付動作の省略を決定する。なお、マスタ8に代えて、版付動作が省略可能なマスタ、すなわち、熱可塑性樹脂フィルムと厚さが薄い多孔性支持体とからなるマスタを用いた場合も、版付けレスモードスイッチ30bを押す。これは、多孔性支持体が薄いので、版付動作を行わなくても、製版時にインキが多孔性支持体に充填されるためである。
【0038】
オペレータが原稿を原稿読取部にセットし、テンキー26によって印刷枚数を用紙カウンタに置数した後、製版スタートキー22を押す。製版スタートキー22が押されると、マスタ8Aの場合と同様に、製版動作と巻装動作が行われる。
【0039】
熱可塑性樹脂フィルム8aのみからなるマスタ8を用いた場合には、マスタ8が多孔性支持体8bを有していないので、多孔性支持体8bにインキを充填することが必要無く、版付動作を省略することができる。よって、巻装動作が完了すると、版付動作を省略して印刷待機状態になり、直ちに印刷動作を行うことができる。
【0040】
印刷スタートキー23が押されると、給紙手段により印刷用紙が連続的に給送される。給紙手段より給送された印刷用紙18は、レジストローラ対17によって、所定の印刷速度で回転している版胴1に巻装されたマスタ8の画像領域がプレスローラ16と対応する位置に達するタイミングで、版胴1とプレスローラ16との間に向けて給送される。給送された印刷用紙18は、プレスローラ16によって版胴1に巻装されたマスタ8に押圧される。この押圧動作により、プレスローラ16と印刷用紙18とマスタ8と版胴1の外周面とが圧接して、版胴1の内周面のインキが、開孔部1a、スクリーン層15及びマスタ8の穿孔部を通過して印刷用紙18に転移される。インキを転移された印刷用紙18は、剥離爪50によって版胴1の外周面より剥離され、排紙トレイ51に排出積載される。
【0041】
一方、用紙カウンタは、印刷された印刷用紙の枚数をカウントするとともに、予め置数された印刷枚数から印刷された枚数を減算する。予め置数された印刷枚数の印刷が終了すると、印刷動作が完了する。
【0042】
次に、本発明の一実施例を図6に示す。同図において、図1に示す部材と同様の部材は、図1で用いた符号と同一符号を付すにとどめてその説明を省略し、相違する点について説明する。なお、図6には製版部のみを示し、その他の図示を省略する。本実施例では、印刷に使用されるマスタの厚さを検出して、マスタの厚さに応じて版付動作のモードを「版付けモード」または「版付けレスモード」の何れかに自動的に切換える。また、本実施例では印刷に使用されるマスタの種類が自動的に選択されるので、操作パネル21の版付けモード切換スイッチ30は省略されている。
【0043】
図6において、符号80は、印刷に用いるマスタ、すなわち、マスタロール9に巻成されているマスタを示す。サーマルヘッド10及びプラテンローラ11と、第1のマスタ搬送ローラ対12a,12bとの間のマスタ搬送経路には、マスタ80の厚さを検出する厚さ検出手段90としての光量検出センサ60が配設されている。光量検出センサ60は、CPU38に接続されており、マスタ80に向けて発光する発光部60aと、マスタ80を透過する光を受光する受光部60bとから構成されている。光量検出センサ60は、マスタ80を透過する光量を電圧値に変換してCPU38に出力する。例えば、マスタ80を透過する光量が少ない場合には低い電圧値を、マスタ80を透過する光量が多い場合には高い電圧値をCPU38に出力する。
【0044】
図7は、本実施例のブロック図を示している。同図において、ROM39には、マスタ80がマスタ8またはマスタ8Aのうちのどちらであるかを判断するためのしきい値が記憶されている。光量検出センサ60からはマスタ80の暑さが電圧値に変換されて出力されるので、しきい値も電圧値となる。本実施例では、選択手段は制御手段37のみで構成されている。
【0045】
光量検出センサ60によるマスタの種類の自動判別について説明する。
マスタ80の先端をマスタロール9から第1のマスタ搬送ローラ対12a,12bまで引き出したとき、あるいは、マスタの80の製版時に、光量検出センサ60はマスタの厚さを検出する。
【0046】
光量検出センサ60によって、マスタ80を透過する光量が検出され、この光量に応じた電圧値がCPU38に出力される。CPU38は、光量に応じた電圧値としきい値とを比較し、光量に応じた電圧値がしきい値未満である場合に、マスタ80の厚さが厚いと判断する。すなわち、印刷に使用されるマスタ80が熱可塑性樹脂フィルム8aと多孔性支持体8bとからなるマスタ8Aであると判断する。また、光量に応じた電圧値としきい値とを比較し、光量に応じた電圧値がしきい値以上である場合に、マスタ80の厚さが薄いと判断する。すなわち、印刷に使用されるマスタ80が熱可塑性樹脂フィルム8aのみからなるマスタ8であると判断する。CPU38は、マスタ80がマスタ8Aである場合には版付けモードを実行し、印刷に使用されるマスタ80がマスタ8である場合には版付けレスモードを実行する。各モードの動作は、参考例における動作と同様であるのでその説明を省略する。
なお、説明を簡単にするためにしきい値に対して未満と以上とで単純に判断する構成としたが、しきい値に不感帯を設け、この不感帯の範囲のマスタについてのみ、オペレータがマニュアルで各モードを設定する構成とすると、より確実な判別が可能となる。
【0047】
また、本実施例において、厚さ検出手段90としてポテンショメータを用いてもよい。ポテンショメータを用いる場合には、図8に示すように、厚さ検出手段90を、プラテンローラ11に自重で当接するコロ70と、このコロ70を回転自在に支持する一対のアーム71と、この一対のアーム71を揺動自在に支持するポテンショメータ72とから構成する。ポテンショメータ72は、マスタ80の厚さが変化したときのコロ70の移動量を検出し、この移動量を電圧値あるいは抵抗値に変換してCPU38に出力する。
【0048】
【発明の効果】
請求項1、請求項2記載の発明によれば、厚さ検出手段がマスタの厚さを検出し、この検出されるマスタの厚さに応じて、選択手段が版付けモードと版付けレスモードとのうち何れか一方を選択するので、印刷に使用されるマスタの種類が判断され、印刷に使用されるマスタの種類に適応した版付動作が自動的に選択される。したがって、装置の自動化を図ることができ、オペレータによる誤操作を防止でき、印刷に使用されるマスタの種類に適応した版付動作を行うことができる。また、オペレータの操作負担を軽減することができる。
【0049】
請求項2の発明によれば、印刷に使用されるマスタの種類に応じて、印刷用紙を押圧部材でマスタに押圧して、版胴を低速で回転させ、マスタを版胴に密着させるとともに、印刷された印刷用紙をカウントする用紙カウンタを不作動状態にする版付動作を行う版付けモードと、版付動作を行わない版付けレスモードとのうち何れか一方を選択する選択手段を有するので、印刷に使用されるマスタが版付動作を必要とする場合には、版付動作を行う版付けモードが、印刷に使用されるマスタが版付動作を必要としない場合には、版付動作を行わない版付けレスモードがそれぞれ選択され、印刷に使用されるマスタの種類に適応した版付動作が行われる。したがって、版付動作を必要としないマスタが印刷に使用されるときには、マスタを版胴に密着させるとともに、印刷された印刷用紙をカウントする用紙カウンタを不作動状態にする版付動作が省略されて、印刷時間(ファーストプリントタイム)を短縮することができる。また、版付動作を必要とするマスタが印刷に使用されるときには、マスタを版胴に密着させるとともに、印刷された印刷用紙をカウントする用紙カウンタを不作動状態にする版付動作が行われて、マスタが版胴に密着されてインキの充填が十分に行われるので、高品質な印刷画像を得ることができ、版付動作が不十分であるときに発生するヤレ紙の数を低減することができる。
【0050】
請求項3の発明によれば、厚さ検出手段がマスタの厚さを検出し、この検出されるマスタの厚さに応じて、選択手段が版付けモードと版付けレスモードとのうち何れか一方を選択するので、印刷に使用されるマスタの種類が判断され、印刷に使用されるマスタの種類に適応した版付動作が自動的に選択される。したがって、装置の自動化を図ることができ、オペレータによる誤操作を防止でき、印刷に使用されるマスタの種類に適応した版付動作を行うことができる。また、オペレータの操作負担を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例を適用可能な孔版印刷装置の概略正面図である。
【図2】 外周面に熱可塑性樹脂フィルムと多孔性支持体とからなるマスタが巻装された版胴の拡大断面図である。
【図3】 外周面に熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマスタが巻装された版胴の拡大断面図である。
【図4】 本発明の参考例に用いられる操作パネルを示す図である。
【図5】 本発明の参考例に用いられる制御手段のブロック図である。
【図6】 本発明の一実施例を示す孔版印刷装置の製版部である。
【図7】 本発明の一実施例に用いられる制御手段のブロック図である。
【図8】 厚さ検出手段の変形例を示す孔版印刷装置の製版部である。
【符号の説明】
1 版胴
8,8A,80 マスタ
8a 熱可塑性樹脂フィルム
8b 多孔性支持体
16 押圧部材(プレスローラ)
18 印刷用紙
21 操作パネル
30 モード切換スイッチ
90 厚さ検出手段
Claims (2)
- 穿孔製版されたマスタを版胴に巻装し、印刷用紙を押圧部材で上記マスタに押圧して上記印刷用紙に印刷を行う孔版印刷装置において、
上記マスタの種類に応じて版付動作を行う版付けモードと版付動作を行わない版付けレスモードとのうち何れか一方を選択する選択手段と、上記マスタの厚さを検出する厚さ検出手段とを有し、上記選択手段が上記厚さ検出手段により検出される上記マスタの厚さに応じて上記両モードのうち何れか一方を選択することを特徴とする孔版印刷装置。 - 穿孔製版されたマスタを版胴に巻装し、印刷用紙を押圧部材で上記マスタに押圧して上記印刷用紙に印刷を行う孔版印刷装置において、
上記印刷用紙を上記押圧部材で上記マスタに押圧して上記版胴を低速で回転させ、上記マスタを上記版胴に密着させるとともに、印刷された印刷用紙をカウントする用紙カウンタを不作動状態にする版付動作を行う版付けモードと、上記版付動作を行わない版付けレスモードとを有する孔版印刷装置であって、
上記マスタの種類に応じて上記両モードのうち何れか一方を選択する選択手段と、上記マスタの厚さを検出する厚さ検出手段とを有し、上記選択手段が上記厚さ検出手段により検出される上記マスタの厚さに応じて上記両モードのうち何れか一方を選択することを特徴とする孔版印刷装置。
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| JP09549296A JP3731018B2 (ja) | 1996-04-17 | 1996-04-17 | 孔版印刷装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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|---|---|---|---|
| JP09549296A JP3731018B2 (ja) | 1996-04-17 | 1996-04-17 | 孔版印刷装置 |
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| JPH09277686A JPH09277686A (ja) | 1997-10-28 |
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Family Applications (1)
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|---|---|---|---|
| JP09549296A Expired - Fee Related JP3731018B2 (ja) | 1996-04-17 | 1996-04-17 | 孔版印刷装置 |
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| JP (1) | JP3731018B2 (ja) |
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1996
- 1996-04-17 JP JP09549296A patent/JP3731018B2/ja not_active Expired - Fee Related
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| JPH09277686A (ja) | 1997-10-28 |
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