JP3731384B2 - チタン含有珪素酸化物触媒、該触媒の製造方法及びプロピレンオキサイドの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、チタン含有珪素酸化物触媒、該触媒の製造方法及びプロピレンオキサイドの製造方法に関するものである。更に詳しくは、本発明は、高収率及び高選択率下に、プロピレンとエチルベンゼンハイドロパーオキサイド以外のハイドロパーオキサイドからプロピレンオキサイドを製造することができるチタン含有珪素酸化物触媒、該触媒の製造方法及びプロピレンオキサイドの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
第4級アンモニウムイオンをテンプレートとして合成されるチタン含有珪素酸化物は公知である。平均細孔径が10Å以上の細孔を有するものとしてはUS5783167号公報において開示されるTi−MCM41、特開平7―300312号公報に開示されるTi−MCM48等が知られている。これらのチタン含有珪素酸化物はいずれも20Å以上の大きな細孔を有することから、従来の細孔径の小さなゼオライトでは活性の低かった芳香族化合物のような大きなサイズの分子を反応物質とするエポキシ化反応においても高い活性を示す。また高い表面積を有することから、US4367342号公報に示されるようなチタン担持型シリカ触媒よりも、同反応において高い活性を示すことが知られている。このように第4級アンモニウムイオンをテンプレートとして用いて合成され、平均細孔径が10Å以上の細孔を有するチタン含有珪素酸化物で公知なものは、いずれも規則的な細孔構造を有しており、X線回折において規則的な面間隔の存在を示すピークが存在することを特徴としている。
しかしながら、第4級アンモニウムイオンをテンプレートとして用いて合成され、平均細孔径が10Å以上で、かつ規則的な細孔をもたないチタン含有珪素酸化物がエポキシ化反応において非常に有効な触媒であることは報告されていない。また、このようにして第4級アンモニウムイオンをテンプレートとして用いて合成され、平均細孔径が10Å以上で、かつ規則的な細孔をもたないチタン含有珪素酸化物で公知なものはいずれもテンプレートを焼成により除去している。
【0003】
一方、テンプレートを溶媒により抽出除去することは、焼成中の触媒の温度上昇を避ける事が出来、触媒上のチタンや水酸基の状態は焼成触媒とは異なるものと思われる。このような第4級アンモニウムイオンをテンプレートとして合成され、平均細孔径が10Å以上で、かつテンプレートを溶媒抽出操作により除去して得られるチタン含有珪素酸化物が、エポキシ化反応において非常に有効な触媒であることもこれまでに報告されていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
かかる現状において本発明が解決しようとする課題は、高収率及び高選択率下に、プロピレンとエチルベンゼンハイドロパーオキサイド以外のハイドロパーオキサイドからプロピレンオキサイドを製造することができるチタン含有珪素酸化物触媒、該触媒の製造方法及びプロピレンオキサイドの製造方法を提供する点に存するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明のうち第一の発明は、下記(1)〜(5)の全ての条件を充足するチタン含有珪素酸化物触媒であって、プロピレンとエチルベンゼンハイドロパーオキサイド以外のハイドロパーオキサイドからプロピレンオキサイドを製造するための触媒に係るものである。
(1):平均細孔径が10Å以上であること
(2):全細孔容量の90%以上が5〜200Åの細孔径を有すること
(3):比細孔容量が0.2cm3/g以上であること
(4):下記の一般式(I)で表される第4級アンモニウムイオンを型剤(テンプレート)として用い、その後該型剤を溶媒抽出操作により除去して得られるものであること
[NR1R2R3R4]+ (I)
(式中、R1は炭素数2〜36の直鎖状又は分岐状の炭化水素基を表し、R2〜R4は炭素数1〜6のアルキル基を表す。)
(5):X線回折において、面間隔dを示すピークが存在しないこと
また、本発明のうち第二の発明は、下記の工程を含む第一の発明の触媒の製造方法に係るものである。
第一工程:シリカ源、チタン源及び型剤としての第4級アンモニウムイオンを溶媒中で混合・攪拌することにより触媒成分及び型剤を含有する固体を得る工程
第二工程:第一工程で得た固体を焼成操作に付すことにより、型剤を除去することにより触媒を得る工程
また、本発明のうち第三の発明は、第一の発明の触媒の存在下、プロピレンとエチルベンゼンハイドロパーオキサイド以外のハイドロパーオキサイドを反応させるプロピレンオキサイドの製造方法に係るものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の触媒は、下記(1)〜(5)の全ての条件を充足するチタン含有珪素酸化物からなる触媒である。かかる触媒を用いることにより、はじめて、高収率及び高選択率下に、プロピレンとエチルベンゼンハイドロパーオキサイド以外のハイドロパーオキサイドからプロピレンオキサイドを製造するという課題が高水準に達成され得る。
【0007】
条件の(1)は平均細孔径が10Å以上であることである。
【0008】
条件の(2)は、全細孔容量の90%以上が5〜200Åの細孔径を有することである。
【0009】
条件の(3)は、比細孔容量が0.2cm3/g以上であることである。ここで、比細孔容量とは触媒1g当りの細孔容量を意味している。
【0010】
上記の条件(1)〜(3)についての測定は、窒素、アルゴン等の気体の物理吸着法を用い、通常の方法により測定することができる。
【0011】
条件の(4)は、下記の一般式(I)で表される第4級アンモニウムイオンを型剤として用い、その後該型剤を溶媒抽出操作により除去して得られるものであることである。
[NR1R2R3R4]+ (I)
(式中、R1は炭素数2〜36の直鎖状又は分岐状の炭化水素基を表し、R2〜R4は炭素数1〜6のアルキル基を表す。)
条件の(4)については、触媒の製造方法の部分で詳細に説明する。
【0012】
条件の(5)は、X線回折(XRD)において、面間隔dを示すピークが存在しないことである。ここでいう面間隔dを示すピークとは、固体が有する結晶性や規則性に由来するピークのことであり、アモルファスな部分に由来するブロードなピークは存在していてもかまわない。
本発明の触媒は、赤外線吸収スペクトルにおいて960±5cm-1の領域に吸収ピークを有するものであることが好ましい。このピークはシリカ骨格内に導入されたチタンに対応するものであると考えられる。
【0013】
本発明の触媒は、下記の工程を有する製造方法により最適に製造され得る。
第一工程:シリカ源、チタン源及び型剤としての第4級アンモニウムイオンを液状で混合・攪拌することにより触媒成分及び型剤を含有する固体を得る工程
第二工程:第一工程で得た固体を焼成操作に付すことにより、型剤を除去することにより触媒を得る工程
【0014】
第一工程は、シリカ源、チタン源及び型剤としての第4級アンモニウムイオンを液状で混合・攪拌することにより触媒成分及び型剤を含有する固体を得る工程である。用いる試薬は固体状の場合は溶媒に溶解または分散した溶液として用いるとよい。
【0015】
シリカ源としてはアモルファスシリカやアルコキシシラン、たとえばテトラメチルオルトシリケート、テトラエチルオルトシリケート、テトラプロピルオルトシリケート等があげられる。
【0016】
チタン源としては、チタンアルコキサイド、たとえばチタン酸テトラメチル、チタン酸テトラエチル、チタン酸テトラプロピル、チタン酸テトライソプロピル、チタン酸テトラブチル、チタン酸テトライソブチル、チタン酸テトラ−2−エチルヘキシル、チタン酸テトラオクタデシルやチタニウム(IV)オキシアセチルアセトナート、チタニウム(IV)ジイシプロポキシビスアセチルアセトナート等が、又はハロゲン化チタン、たとえば四塩化チタン、四臭化チタン、四沃化チタン等があげられる。
【0017】
型剤としては下記の一般式(I)で表される第4級アンモニウムイオンが用いられる。
[NR1R2R3R4]+ (I)
(式中、R1は炭素数2〜36の直鎖状又は分岐状の炭化水素基を表し、R2〜R4は炭素数1〜6のアルキル基を表す。)
R1は炭素数2〜36の直鎖状又は分岐状の炭化水素基であり、好ましくは炭素数10〜18のものである。R2〜R4は炭素数1〜6のアルキル基であり、R2〜R4の全てがメチル基であることが好ましい。
一般式(I)で表される第4級アンモニウムイオンの具体例としては、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、ジメチルジドデシルアンモニウム、ヘキサデシルピリジニウム等のカチオンをあげることができる。
【0018】
溶媒の例としては、水やアルコール、たとえばメタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、ビニルアルコール、アリルアルコール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等やジオール、またそれらの混合物などをあげることができる。
【0019】
シリカ源に対するチタン源の使用量はモル比で10-5〜1であり、好ましくは0.00008〜0.4である。また、これらのシリカ源及びチタン源の合計量に対する第4級アンモニウムイオンの使用量はモル比で10-2〜2とすることが好ましい。
【0020】
また、シリカ源とチタン源の反応を促進するために、混合溶液にアルカリ性又は酸性を付与させることが好ましい。アルカリ源としては第4級アンモニウムヒドロキシドが好ましく、例としてはテトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド等があげられる。また酸の例としては塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸及び蟻酸、酢酸、プロピオン酸等の有機酸があげられる。
【0021】
XRDにおいて面間隔dを示すピークが存在しない触媒を調製する方法として、シリカ源、チタン源及び型剤(テンプレート)としての第4級アンモニウムイオンを混合させる際に、過剰の溶媒で希釈させる方法を用いることができる。
【0022】
用いられるシリカ源の種類によって最適な溶媒とその混合比率は変化するが、例えばアルコキシシランを用いた場合ではその配位子アルコキサイドと同じか又はそれに近い物性を有するアルコールを用いてシリカのモル数と同等以上の割合で希釈することにより好適にXRDにおいて面間隔dを示すピークが存在しない触媒を得ることができる。
【0023】
混合・攪拌の温度は通常−30〜100℃である。混合・攪拌により固体が生成するが、更に固体を成長させるためにこれを熟成してもよい。熟成時間は通常180時間以下であり、熟成温度は通常0〜200℃である。熟成時に加熱を要する場合は、溶媒の気化を避けるために耐圧容器に移して密閉して行うのが好ましい。
【0024】
次に、第二工程は、第一工程で得た固体を溶媒による溶媒抽出操作に付すことにより、型剤を除去することにより触媒を得る工程である。
溶媒による型剤を抽出する技術は、Whitehurstらによって報告されている(米国特許5143879号公報参照。)。抽出に用いる溶媒は、型剤に用いた化合物を溶解し得るものであればよく、一般に炭素数1から約12の常温で液状のオキサ及び/又はオキソ置換炭化水素を用いることができる。この種類の好適な溶媒としては、アルコール類、ケトン類、エーテル類(非環式及び環式のもの)及びエステル類を用いることができ、たとえば、メタノール、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、イソプロパノール、n−ブタノール及びオクタノールのようなヒドロキシ置換炭化水素;アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトンのようなオキソ置換炭化水素;ジイソブチルエーテルやテトラヒドロフランのような炭化水素エーテル;及び酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル及びプロピオン酸ブチルのような炭化水素エステル等があげられる。これらの溶媒の触媒に対する重量比は、通常1〜1000であり、好ましくは10〜300である。また、抽出効果を向上させるために、これらの溶媒に酸又はそれらの塩を添加してもよい。用いる酸の例としては、塩酸、硫酸、硝酸、臭酸等の無機酸や有機酸であるぎ酸、酢酸、プロピオン酸などがあげられる。また、それらの塩の例としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩等があげられる。添加する酸又はそれらの塩の溶媒中の濃度は10mol/l以下が好ましく、1mol/l以下が更に好ましい。添加する酸又はそれらの塩の溶媒中の濃度が過大であると触媒中に存在するチタンが溶出し、触媒活性が低下する場合がある。
【0025】
XRDにおいて面間隔dを示すピークが存在しない触媒を調製する方法の一つとして、溶媒による型剤(テンプレート)抽出工程において水を含有する溶媒を用いることが出来る。抽出温度、含まれる酸の量によっても変化するが、一般に触媒重量に対する溶媒中の水の重量の比率が0.8以上を用いた場合、好適にXRDにおいて面間隔dを示すピークが存在しない触媒を得ることができる。
【0026】
溶媒と触媒を十分に混合した後、液相部をろ過あるいはデカンテーションなどの方法により分離する。この操作を必要回数繰り返す。また触媒層に洗浄溶媒を流通させる方法により抽出することも可能である。洗浄の終了はたとえば液相部の分析により知ることができる。抽出温度は0〜200℃が好ましく20〜100℃が更に好ましい。
【0027】
上記の有機抽出溶媒を用いる代わりに、超臨界流体を用いて抽出を行うことも可能である。超臨界流体としては二酸化炭素が好ましい。二酸化炭素の臨界温度はおよそ31℃以上であり、抽出温度は31〜100℃が好ましく、35〜60℃が更に好ましい。臨界圧力はおよそ7.4MPaであり、10〜30MPaが好ましい。触媒1リットルに対して1分間当り50〜500gの超臨界二酸化炭素を抽出に使用し、抽出時間は4〜20時間行うのが好ましい。
【0028】
抽出処理後に得られた固体には乾燥処理を施してもよい。すなわち、非還元性気体、たとえば窒素、アルゴン又は二酸化炭素もしくは酸素含有気体、たとえば空気の雰囲気下で、10〜800℃で加熱されるのが好ましい。50〜300℃が更に好ましい。
【0029】
触媒の製造にあたっては、上記の第一工程及び第二工程に続いて下記の第三工程を用いることが好ましい。
第三工程:第二工程で得た触媒にシリル化処理を付すことにより、シリル化処理をした触媒を得る工程
シリル化処理は、第二工程で得た触媒をシリル化剤と接触させ、触媒の表面に存在する水酸基をシリル基に変換することにより行われる。
シリル化剤の例には、有機シラン、有機シリルアミン、有機シリルアミドとその誘導体、及び有機シラザン及びその他のシリル化剤があげられる。
【0030】
有機シランの例としては、クロロトリメチルシラン、ジクロロジメチルシラン、クロロブロモジメチルシラン、ニトロトリメチルシラン、クロロトリエチルシラン、ヨードジメチルブチルシラン、クロロジメチルフェニルシラン、クロロジメチルシラン、ジメチルn-プロピルクロロシラン、ジメチルイソプロピルクロロシラン、t-ブチルジメチルクロロシラン、トリプロピルクロロシラン、ジメチルオクチルクロロシラン、トリブチルクロロシラン、トリヘキシルクロロシラン、ジメチルエチルクロロシラン、ジメチルオクタデシルクロロシラン、n-ブチルジメチルクロロシラン、ブロモメチルジメチルクロロシラン、クロロメチルジメチルクロロシラン、3-クロロプロピルジメチルクロロシラン、ジメトキシメチルクロロシラン、メチルフェニルクロロシラン、トリエトキシクロロシラン、ジメチルフェニルクロロシラン、メチルフェニルビニルクロロシラン、ベンジルジメチルクロロシラン、ジフェニルクロロシラン、ジフェニルメチルクロロシラン、ジフェニルビニルクロロシラン、トリベンジルクロロシラン、3-シアノプロピルジメチルクロロシランがあげられる。
【0031】
有機シリルアミンの例としては、N−トリメチルシリルイミダゾール、N−t−ブチルジメチルシリルイミダゾール、N-ジメチルエチルシリルイミダゾール、N−ジメチルn−プロピルシリルイミダゾール、N−ジメチルイソプロピルシリルイミダゾール、N−トリメチルシリルジメチルアミン、N−トリメチルシリルジエチルアミン,N−トリメチルシリルピロール、N−トリメチルシリルピロリジン、N−トリメチルシリルピペリジン、1−シアノエチル(ジエチルアミノ)ジメチルシラン、ペンタフルオロフェニルジメチルシリルアミンがあげられる。
【0032】
有機シリルアミド及び誘導体の例としては、N,O−ビストリメチルシリルアセトアミド、N,O−ビストリメチルシリルトリフルオロアセトアミド、N−トリメチルシリルアセトアミド、N−メチル−N−トリメチルシリルアセトアミド、N−メチル−N−トリメチルシリルトリフルオロアセトアミド、N−メチル−N−トリメチルシリルヘプタフルオロブチルアミド、N-(t-ブチルジメチルシリル)−N−トリフルオロアセトアミド,N,O−ビス(ジエチルハイドロシリル)トリフルオロアセトアミドがあげられる。
【0033】
有機シラザンの例としては、ヘキサメチルジシラザン、ヘプタメチルジシラザン、1,1,3,3−テトラメチルジシラザン,1,3−ビス(クロロメチル)テトラメチルジシラザン、1,3-ジビニル-1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシラザンがあげられる。
【0034】
その他のシリル化剤としては、N−メトキシ−N,O−ビストリメチルシリルトリフルオロアセトアミド、N−メトキシ−N,O−ビストリメチルシリルカーバメート、N,O−ビストリメチルシリルスルファメート、トリメチルシリルトリフルオロメタンスルホナート、N,N'−ビストリメチルシリル尿素があげられる。好ましいシリル化剤はヘキサメチルジシラザンである。
【0035】
このように調製された触媒は、高い表面積と高度に分散したチタン活性点を有することから、選択的酸化反応、例えばオレフィンのエポキシ化反応の他、有機化合物の各種酸化反応に用いることが可能である。また所望により、アルミナ等の第三成分の添加で触媒の酸点をより強化することも可能であり、アルキル化反応や接触改質反応等にも使用することが可能である。
【0036】
本発明の触媒は特に、プロピレンとエチルベンゼンハイドロパーオキサイド以外のハイドロパーオキサイドを反応させるプロピレンオキサイドの製造方法に最適に使用され得る。エチルベンゼンハイドロパーオキサイド以外のハイドロパーオキサイドの例として、有機ハイドロパーオキサイドをあげることができる。有機ハイドロパーオキサイドは、一般式
R−O−O−H
(ここにRは1価の炭化水素基である。)
を有する化合物であって、これはオレフィン型化合物と反応して、オキシラン化合物及び化合物R−OHを生成する。好ましくは、基Rは炭素原子を3〜20個を有する基である。最も好ましくは、これは炭素原子3〜10個の炭化水素基、特に、第2又は第3アルキル基又はアラルキル基である。これらの基のうちで特に好ましい基は第3アルキル基、及び第2又は第3アラルキル基であって、その具体例には第3ブチル基、第3ペンチル基、シクロペンチル基、2−フェニルプロピル−2基があげられ、更にまた、テトラリン分子の脂肪族側鎖から水素原子を除去することによって生じる種々のテトラニリル基もあげられる。有機ハイドロパーオキサイドとしてクメンハイドロパーオキサイドを使用した場合には、その結果得られるヒドロキシル化合物は2−フェニル-2-プロパノールである。これは脱水反応によってα−メチルスチレンに変換できる。α−メチルスチレンは工業的に有用な物質である。有機ハイドロパーオキサイドとして第3ペンチルハイドロパーオキサイドを使用したときに得られる第3ペンチルアルコールの脱水反応によって生じる第3アミレンは、イソプレンの前駆体として有用な物質である。第3ペンチルアルコールはオクタン価向上剤であるメチル第3ペンチルエーテルの前駆体としても有用である。有機ハイドロパーオキサイドとしてt-ブチルハイドロパーオキサイドを使用したときに得られるt-ブチルアルコールはオクタン価向上剤であるメチル-t-ブチルエーテルの前駆体として有用な物質である。有機ハイドロパーオキサイド以外のハイドロパーオキサイドの例として過酸化水素をあげることができる。過酸化水素は化学式HOOHの化合物であって、通常水溶液の形で得ることができる。これはオレフィン型化合物と反応して、オキシラン化合物及び水を生成する。原料物質として使用される有機ハイドロパーオキサイド及び過酸化水素は、希薄又は濃厚な精製物又は非精製物であってよい。
【0037】
エポキシ化反応は、プロピレンとエチルベンゼンハイドロパーオキサイド以外のハイドロパーオキサイドを触媒に接触させることで行なえる。本反応は、溶媒及び/又は希釈剤を用いて液相中で実施できる。溶媒及び希釈剤は、反応時の温度及び圧力のもとで液体であり、かつ、反応体及び生成物に対して実質的に不活性なものでなければならない。溶媒は使用されるハイドロパーオキサイド溶液中に存在する物質からなるものであってよい。たとえばクメンハイドロパーオキサイドがクメンハイドロパーオキサイドとその原料であるクメンとからなる混合物であるばあいには、特に溶媒を添加することなく、これを溶媒の代用とすることも可能である。エポキシ化反応温度は一般に0〜200℃であるが、25〜200℃の温度が好ましい。圧力は、反応混合物の少なくとも一部をを液体の状態に保つのに充分な圧力でよい。一般に圧力は100〜10000kPaであることが有利である。エポキシ化反応の終了後に、所望の生成物を含有する液状混合物が触媒組成物から容易に分離できる。次いで液状混合物を適当な方法によって精製することにより、所望のプロピレンオキサイドを取得することができる。精製は分別蒸留、選択抽出、濾過、洗浄等を含む。溶媒、触媒、未反応プロピレン、未反応ハイドロパーオキサイドは再循環して再び使用することもできる。本発明方法は、スラリー又は固定床の形の触媒を使用して有利に実施できる。大規模な工業的操作の場合には、固定床を用いるのが好ましい。本発明の方法は、回分法、半連続法又は連続法によって実施できる。反応原料を含有する液を固定床に通した場合には、反応帯域から出た液状混合物には、触媒が全く含まれていないか又は実質的に含まれていない。
【0038】
プロピレンオキサイドは、重合反応又は共重合反応によって工業的に有用な重合体生成物に変換できる。
【0039】
【実施例】
以下に実施例により本発明を説明する。
実施例1
触媒の調製(本発明による)
水175gにセチルトリメチルアンモニウムブロミド27g、25%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液47gを混合し、これに室温でテトラエチルオルトシリケート105g、75%チタニウム(IV)ジイソプロポキシビスアセチルアセトナート4.8g、イソプロピルアルコール60gの混合溶液を添加した。1時間攪拌を続けた後、生じた沈殿をろ別し、水洗した。水洗は洗浄液が中性になるまで行った。得られた沈殿物触媒をフラスコに入れ、触媒10g当り500mlの硫酸・エタノール混合溶液(硫酸0.05モル/l)と攪拌混合した。攪拌しながらリフラックス温度で1時間過熱を続け、放冷して40℃以下とした後、ろ過により溶媒を除去した。同様の操作をもう一度繰り返し、最終的にろ別した白色固体を管状炉に移し替えて窒素気流下、150℃、6時間乾燥させた。
この物質(5g)、ヘキサメチルジシラザン(3.4g)、トルエン(50g)を混合し、攪拌下、1時間加熱還流した。混合物から濾過により液を留去した。トルエン(100g)で洗浄し、真空乾燥(120℃、10mmHg、3時間)することにより触媒を得た。かくして合成された触媒は、比表面積1015m2/g、平均細孔径31Å、細孔容量0.8cc/gを有し、細孔分布範囲が5から140Åであった。
プロピレンキサイドの合成
このようにして合成した触媒0.75g、41%クメンハイドロパーオキサイド(CHPO)を含有するクメン溶液17gおよびプロピレン13gを150ccのSUSオートクレーブに仕込み、反応温度80℃、反応時間90分のバッチ反応にてエポキシ化反応を行なった。 反応成績を表1に示す。
【0040】
比較例1
チタン担持型シリカ触媒の調製
窒素気流下、チタン酸テトライソプロピル(4.4g)のイソプロパノール(20ml)溶液に攪拌下アセチルアセトン(3.2g)をゆっくり滴下した後30分室温で攪拌した。市販シリカゲル(10〜20mesh、表面積326m2 /g、平均細孔直径100Å)(50g)とイソプロパノール(230ml)の混合物に、上記の液を滴下した後、1時間室温で攪拌後混合物を濾過した。固体部分を3回イソプロパノールで洗浄した(計250ml)。固体部を空気雰囲気下150℃で2時間乾燥した。更に空気雰囲気下600℃で4時間焼成した。この物質(10g)、ヘキサメチルジシラザン(4g)、トルエン(50g)を混合し、攪拌下、1時間加熱還流した。混合物から濾過により液を留去した。トルエン(100g)で洗浄し、真空乾燥(120℃、10mmHg、3時間)することにより触媒を得た。かくして合成された触媒は、比表面積244m2/g、平均細孔径148Å、細孔容量0.9cc/gを有し、細孔分布範囲が5から200であった。反応評価は実施例1と同様に行った。エポキシ化反応成績を表1に示す。
【0041】
【表1】
*1:細孔分布の最小値は窒素吸着法による測定限界値
【0042】
表1のクメンハイドロパーオキサイドを用いたエポキシ化反応において、本発明による触媒は活性、選択性ともに明らかに高い性能を示していることがわかる。
【0043】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明により、高収率及び高選択率下に、プロピレンとエチルベンゼンハイドロパーオキサイド以外のハイドロパーオキサイドからプロピレンオキサイドを製造することができるチタン含有珪素酸化物触媒、該触媒の製造方法及びプロピレンオキサイドの製造方法を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の触媒のX線回折チャートである。
Claims (8)
- 下記(1)〜(5)の全ての条件を充足するチタン含有珪素酸化物触媒であって、プロピレンとエチルベンゼンハイドロパーオキサイド以外のハイドロパーオキサイドからプロピレンオキサイドを製造するための触媒。
(1):平均細孔径が10Å以上であること
(2):全細孔容量の90%以上が5〜200Åの細孔径を有すること
(3):比細孔容量が0.2cm3/g以上であること
(4):下記の一般式(I)で表される第4級アンモニウムイオンを型剤(テンプレート)として用い、その後該型剤を溶媒抽出操作により除去して得られるものであること
[NR1R2R3R4]+ (I)
(式中、R1は炭素数2〜36の直鎖状又は分岐状の炭化水素基を表し、R2〜R4は炭素数1〜6のアルキル基を表す。)
(5):X線回折において、面間隔dを示すピークが存在しないこと - 赤外線吸収スペクトルにおいて960±5cm-1の領域に吸収ピークを有する請求項1記載の触媒。
- 下記の工程を有する請求項1記載の触媒の製造方法。
第一工程:シリカ源、チタン源及び型剤としての第4級アンモニウムイオンを液状で混合・攪拌することにより触媒成分及び型剤を含有する固体を得る工程
第二工程:第一工程で得た固体を溶媒抽出操作に付すことにより、型剤を除去することにより触媒を得る工程 - 請求項3記載の第一工程及び第二工程並びに下記の工程を有する請求項1記載の触媒の製造方法。
第三工程:第二工程で得た触媒にシリル化処理を付すことにより、シリル化処理をした触媒を得る工程 - 請求項1記載の触媒の存在下、プロピレンとエチルベンゼンハイドロパーオキサイド以外のハイドロパーオキサイドを反応させるプロピレンオキサイドの製造方法。
- エチルベンゼンハイドロパーオキサイド以外のハイドロパーオキサイドが有機ハイドロパーオキサイドである請求項5記載の製造方法。
- 有機ハイドロパーオキサイドが、クメンハイドロパーオキサイド又はt−ブチルハイドロパーオキサイドである請求項6記載の製造方法。
- エチルベンゼンハイドロパーオキサイド以外のハイドロパーオキサイドが過酸化水素である請求項5記載の製造方法。
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