JP3733403B2 - 電極捲回型電池 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シート状の正極および負極を捲回させて構成する電極捲回型電池、さらに詳しくは、集電処理が簡便でかつ出力密度、エネルギ密度の高い電極捲回型電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
リチウムイオン二次電池等の円筒型電池は、帯状の金属箔集電体の表面に活物質を含む電極合材を塗工してシート状の電極を形成させ、この電極を薄膜のセパレータを介して渦巻状に捲回することにより、電極体を構成させ、この電極体を電解液とともに円筒型のケースに収納するという方式を採るのが一般的である。このような電極捲回型電池において、電極体から外部に通じる端子への集電方法は、通常、集電体に設けた複数の短冊状の集電用リードによって行われている。
【0003】
環境問題、資源問題から電気自動車の開発が急がれ、リチウムイオン二次電池等を電気自動車に採用する動向にもある。これら電極捲回型電池の大型化は、電極全体からの均一な集電を要求されることから、集電処理の方法をより複雑化することにつながり、効率的な集電処理の方法が開発が望まれていた。
従来、大型の電極捲回型電池の集電方法として、特開平9−92335号公報、特開平9−92338号公報等に示すものがあった。これらに示す集電処理の方法は、以下のようなものである。まず、帯状の集電体の表面に幅方向の一端部に未塗工部を残すようにして電極合材を塗工し、この未塗工部を切り欠くことにより集電用リードを形成させたシート状の電極を作成する(図14参照)。次に、これらの電極を、互いの集電用リードが背向するように位置させ、セパレータを挟装させて、これらを捲回し、電極体を形成させる(図15、図16参照)。そして、電極体の巻回端面に突出した集電用リードを、電極体の巻回端面に配置させた集電端子のフランジ部の外周に集め、これをリングを用いて押さえつけてレーザ溶接する(図17参照)、あるいは、集めた集電用リードをフランジ外周に押さえつけるように数箇所の超音波接合を行う(図18参照)という方法である。
【0004】
なお、集電用リードの形成については、上記の切り欠きによるものの他、未塗工部に短冊状の金属箔を超音波接合、抵抗溶接等の手段を用いて接合することにより形成する方法でも行われていた(図19参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の方法は、以下の欠点があった。
(1)電極合材塗工後、未塗工部を短冊状にカットして、あるいは未塗工部に短冊状の金属箔を接合することにより、集電用リードを複数形成させなければならず、この工程に多くの工数を必要とし、電池の製造コストが上昇する。
【0006】
(2)リングを用いてレーザ溶接する場合は、リングにより押さえつける工程を必要とし、またレーザ溶接を行うためにリングおよびフランジ部からはみ出た集電用リードを切りそろえる工程をも必要とし、やはり製造コストの増加につながる。さらにレーザ溶接はスパッタが発生し、このスパッタが電極体に入り込婿とによって電極間の短絡の原因となる可能性がある。
【0007】
(3)超音波接合する場合は、リング等の押え金具を用いないため、複数のバラバラに集まってくる集電用リードがスプリングバックにより元に戻ろうとするため、これをうまく捌いて超音波接合を行うのは非常に作業性が悪く、やはり多くの工数を必要とし製造コストが増加してしまう。
(4)レーザ溶接、超音波接合のいずれの方法であっても、大きなフランジ部を有する円盤状の集電端子を必要とするため、集電端子の重量が大きく、電池自体の重量も増加し、電池の重要な特性である出力密度、エネルギ密度が減少してしまうことになる。
【0008】
本発明は、電極捲回型電池の従来の集電処理方法が抱える上記実情に鑑みてなされたものであり、集電処理に多くの工数を必要とせず、また大きな重量の端子部品を必要としない集電処理方法を開発することを課題とし、集電処理のためのコストが安く、かつ出力密度、エネルギ密度の高い電極捲回型電池を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決すべく、請求項1の電極捲回型電池は、それぞれの帯状金属箔集電体とその表面に塗工されたそれぞれの電極合材とをもつ正極シートおよび負極シートと、該正極シートと負極シートとの間に挟装されたセパレータとを、巻芯の周囲に渦巻状に捲回して形成された電極体を有する電極捲回型電池であって、前記正極シートと負極シートとの少なくとも一方は、幅方向において連続して一体に形成され、幅方向の一端部に所定幅をH(mm)とする全長にわたる電極合材未塗工部を有し、かつ該電極合材未塗工部をセパレータおよび前記正極シートと負極シートとの他方から突出させるように捲回されており、
該巻芯の端部が集電端子となり、かつ、該電極合材未塗工部は、該巻芯の端部に重ね合わさるように接合された接合部と該巻芯の端部に接合されていない非接合部とを形成するように接合されており、さらに、該電極体の正極シート、負極シートおよびセパレータとが捲回されて層状をなす部分の最内周と最外周とによって決定される半径方向の厚さをT(mm)とした場合に、HとTが次式で表される関係を有することを特徴とする。
T≧5 かつ H≦45
かつ T<H≦1.5T+15
また、請求項2の電極捲回型電池は、集電端子以外は請求項1の電極捲回型電池と同じ構成であるが、集電端子は、該巻芯の端部に結合した或いは該巻芯とは物理的に隔離した別体の部品であって、かつ、該電極合材未塗工部は、該集電端子に重ね合わさるように接合された接合部と該集電端子に接合されていない非接合部とを形成するように接合されていることを特徴とする。
【0010】
つまり本発明の電極捲回型電池は、電極合材が塗工されていない未塗工部に切込みを設けるとか、また未塗工部を切り欠く若しくは未塗工部に短冊状のものを接合することによって集電用リードを形成させるといった特別な手段を施すことなく、この未塗工部を集電端子に重ね合わせるように接合することにより、集電処理に必要となる工数を大幅に削減することを可能にするものである。さらに本発明の電極捲回型電池では、従来のようなフランジ部を設けるなどした比較的重量のある集電端子部品を必要とせず、電池重量の軽減を図ることができ、さらに、電極合材未塗工部の幅H(mm)と電極の捲回厚さT(mm)の値について、実験結果から望ましい範囲を設けているので、その値にもとづいて電池の出力密度、エネルギ密度を確実に増大させることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の電極捲回型電池およびその製造方法の一実施形態であって、電極体の巻芯を集電端子とした実施形態について、リチウムイオン二次電池を例にとって、図面をも参照しつつ詳細に説明する。なお本発明の電極捲回型電池は、リチウムイオン二次電池に限定されるものではなく、電極合材を集電体表面に塗工して形成した電極を捲回して構成したすべての電池に適用できるものである。
【0012】
〈正極シートおよび負極シートと電極合材未塗工部の形成〉
図1に、本発明の電極捲回型電池を構成する正極シートおよび負極シートの平面図を表す。正極シート10は、帯状金属箔製の正極集電体11とその表面に塗工された正極合材12とからなり、負極シート20は帯状金属箔製の負極集電体21とその表面に塗工された負極合材22とからなる。正極シート10および負極シート20の長さおよび幅については、作成しようとする電池の容量等に応じて任意のものとすることができる。
【0013】
正極シート10、負極シート20とも、幅方向において連続して一体に形成されており、幅方向の一端部に所定幅で全長にわたって正極合材未塗工部13および負極合材未塗工部23がそれぞれ設けられている。この未塗工部13、23の幅は、後に詳しく説明するためここでの説明は省略する。なお電極合材12、22は、集電体11、21の片面に塗工するものでもよく、また集電体11、21の両面に塗工するものであってもよい。ただし、電池のエネルギ密度等を考慮すれば両面に塗工するのが望ましく、その場合は両面に未塗工部13、23を設け、両面の未塗工部13、23が幅方向の同じ一端部に位置するようにしなければならない。
【0014】
リチウムイオン二次電池の場合、正極集電体11には、アルミニウム等の金属箔でその厚みは10〜20μm程度のものを使用するのが望ましい。この正極集電体11に塗工される正極合材12は、リチウム複合酸化物粉末等からなる活物質に黒鉛等の導電材、ポリフッ化ビニリデン等の結着剤を混合し、n−メチルピロリドン等の溶剤を適量加えたもので、塗工前はペースト状となっているものを用いるのがよい。負極集電体21には、銅等の金属箔でその厚みは5〜20μm程度のものを使用するのが望ましい。この負極集電体21に塗工される負極合材22は、黒鉛等の炭素材料粉末からなる活物質に、ポリフッ化ビニリデン等の結着剤を混合し、n−メチルピロリドン等の溶剤を適量加えたもので、正極合材12同様、塗工前はペースト状となっているものを用いるのがよい。
【0015】
正極シート10、負極シート20に電極合材未塗工部13、23を形成させる工程、つまり、電極合材未塗工部13、23を設けるように、集電体11、21の表面に電極合材12、22を塗工する工程は、種々の方法によって行うことができるが、連続的に塗布、乾燥が行えるコータと呼ばれる塗工機を用いて行うのが好ましい。図2に、コータの塗布装置の一例を概念的に表した図を掲げる。
【0016】
この図が示す塗布装置70は、リバースロール方式のもので、バックアップロール71、塗布ロール72、コンマロール73の3本のロールにより構成されており、堰74の中に貯えられた電極合材が、コンマロール73により計量されて塗布ロール72に供給され、塗布ロール72上の電極合材12、22が、バックアップロール71と塗布ロール72の間を集電体11、21が通過する際に、この集電体11、21に転写されるという方式のものである。電極合材の粘度の影響が少なく、均一な塗布厚が得られるという利点がある。
【0017】
堰74の幅によって電極合材の塗布される幅が決定でき、集電体11、21の幅および集電体11、12を通過させる位置によって、電極合材未塗工部13、23の位置および幅を調整することができる。本実施形態の場合電極シート10、20の一端部のみに電極合材未塗工部13、23を設けているが、塗布時の電極合材のタレ等を考慮して、幅方向の他端部に若干の幅の未塗工部を設けるものであっても構わない。また電極合材12、22の塗布厚は、50〜250μm程度とするのが好ましい。なおリチウムイオン二次電池の場合は、デンドライトの析出等を考慮して負極合材22を正極合材12よりも若干量幅広く塗工するのが望ましい。
【0018】
このように電極合材12、22が塗布された集電体11、21は、塗布装置70に連続している乾燥炉に移動させられ、乾燥によって電極合材12,22に含まれる溶剤分が蒸散させられる。乾燥炉には連続炉が用いられ、電極合材12、22が塗布された集電体が炉内を移動する間に乾燥が行われる。乾燥法式は熱風方式、赤外線方式等様々な方式を採用することができる。
【0019】
この様な工程を経ることによって、正極シート10および負極シート20が形成される。なお乾燥完了後、必要に応じ、電極合材12、22の密度を高めるために、ロールプレス等を行ってもよい。また集電体11、21の両面に電極合材12、22を塗工する場合には上述した工程を2回繰り返せばよい。
〈電極体の形成〉
電極合材の塗工が完了して形成された正極シートおよび負極シートは、その間にセパレータを挟装されて、巻芯を中心にロール状に捲回され電極体が形成される。セパレータは、正極シートおよび負極シートを物理的に隔離し、電解液を保持する役割を果たすもので、厚さ20〜40μm程度のポリエチレン等の微多孔質膜を用いるのがよい。なお、セパレータの幅は、絶縁を担保するため、正極合材および負極合材の塗工幅より若干広くするのが望ましい。
【0020】
巻芯は、樹脂、金属等の材質のものを用いることができるが、本実施形態の場合両端が集電端子を兼ねることから、巻芯の両端は正極集電体および負極集電体と同じ材質のものから形成されることが望ましい。本実施形態に使用する巻芯を図3に示す。図3に示すように正極側部材41にはアルミニウム等の金属を、負極側部材42には銅等の金属を用いており、正極側部材41と負極側部材42の間には、両者を絶縁するため、樹脂等でできた絶縁部材43を介在させ、正極側部材41、負極側部材42、絶縁部材43が結合されて一体として形成されている。
【0021】
本実施形態の場合の巻芯40は、正極側部材41、負極側部材42、絶縁部材43とも中空に形成されている。これは、巻芯40自体の重量を軽減させるためであり、また電池の充放電に伴って発生する電極体内部の熱を外部に放散させることを目的とするものである。従ってこの様な配慮を必要としない場合は、敢えて中空とする必要はなく、丸棒状のものであっても構わない。
【0022】
巻芯40の長さは、両端に正極シートおよび負極シートの電極合材未塗工部がそれぞれ接合されるため、少なくともセパレータの幅方向の端部よりも両端が突出するだけの長さが必要となる。なお本実施形態の巻芯40の場合は、入出力端子の役割をも兼用させるため、正極側部材41および負極側部材42の両端に雄ネジ44が形成されているが、入出力のための接続方式に応じ、正極側部材41および負極側部材42の端部は種々の形状に形成することができる。
【0023】
次に巻芯を中心にして、正極シート、負極シート、セパレータを捲回する様子を図4に示す。また、正極シート、負極シート、セパレータを重ね合わせた様子を示す断面図を図5に示す。これらの図が示すように、セパレータ30、負極シート20、セパレータ30、正極シート10の4枚を層状に重ねて捲回する。この際、正極シート10の正極合材未塗工部13と負極シート20の負極合材未塗工部23が、幅方向で互いに背向し、正極合材未塗工部13がセパレータ30および負極シート20より突出し、負極合材未塗工部23がセパレータ30および正極シート10より突出するように重ね合わせる。
【0024】
捲回は捲回機を用い、正極シート10、負極シート20、2枚のセパレータ30のそれぞれに対して、長手方向にテンションをかけ、それぞれが弛まないように行う。捲き始めは、セパレータ30、負極シート20、セパレータ30、正極シート10、セパレータ30・・・・の順となるようにし、捲き終わりは、・・・・セパレータ30、正極シート10、セパレータ30、負極シート20、セパレータ30の順となるようにする。
【0025】
このように捲回されたものは、ロール状(渦巻状)の電極体となる。形成された電極体を図6に示す。この図が示すように、電極体50は、正極合材未塗工部13および負極合材未塗工部23が、正極合材および負極合材が重ね合わされて捲回されている部分より捲回軸方向の両側に突出した格好になっている。そして、正極合材未塗工部13が巻芯40の正極側部材41の周囲に、負極合材未塗工部23が巻芯40の負極側部材42の周囲にそれぞれ位置するものとなっている。
【0026】
〈集電処理〉
電極シートから集電端子への集電処理は、正極シートおよび負極シートの電極合材未塗工部を集電端子へ重ね合わせるように接合することによって行う。本実施形態の場合は、巻芯の端部が集電端子を兼ねる構造となっていることから、正極シートの正極合材未塗工部を上述した巻芯の正極側部材に、負極シートの負極合材未塗工部を負極側部材にそれぞれ接合することによって行う。
【0027】
接合の方法は、超音波接合、抵抗溶接、レーザ溶接、カシメ等様々な手段によって行うことができる。電極合材への熱影響、スパッタ、接合部における通電抵抗、作業性等を総合的に考慮すれば、超音波接合によって行うのが望ましい。接合方法の一例として、図7に、超音波接合によって電極合材未塗工部を巻芯に接合する様子を示す。
【0028】
図7に示すように、超音波接合機60は、受け台となるアンビル62と、超音波振動を接合部に伝達させるホーン61とからなる。本実施形態の場合、巻芯40が中空に形成されているため、巻芯40の中空部に挿入できるようなアンビル62を用いている。そしてアンビル62を巻芯40の中空部に挿入して電極体50をセットし、電極合材未塗工部13、23の最外周にホーン61を当接させ、巻芯40に向かって付勢して巻芯40とホーン61との間で電極合材未塗工部13,23を重ね合わせるように挟持し、ホーン61から超音波振動を伝達させて接合を行う。
【0029】
正極側、負極側それぞれ2箇所の接合を行った後の電極体を、図8に示す。接合は、巻芯40のまわりにおいて、1箇所または複数箇所行うことができる。この際、巻芯40の端部(正極側部材41あるいは負極側部材42)に接合された接合部63と巻芯40の端部に接合されていない非接合部64とを形成するように接合するのが望ましい。巻芯40の全周にわたって接合するのと異なり、非接合部64を存在させることで、後に行う組付け時の電解液の含浸工程において、電解液を電極合材の隅々にまで注入できるという利点を有することとなる。また、電池に異常が生じて電解液がガス化したような場合においても、非接合部64は電極体50の内部のガスの通路となることから、非接合部64を設けることは、安全上有利な構造の電池を構成することにもなる。
【0030】
なお、多くの接合箇所を設けることにより電流経路が拡大し、電池の内部抵抗を低減でき、電池の出力密度の向上を図ることができる。これと反対に、接合箇所を少なくすることにより集電処理のための作業時間を削減することができる。したがって、接合箇所の数は、これらおよび上記非接合部の割合等を総合的に勘案して決定すればよい。
【0031】
このように、電極体を構成する巻芯の端部に集電端子としての機能を兼ね備えさせ、この巻芯の端部に未塗工部を接合させて集電処理を行う場合には、別途集電処理のための部品を必要とすることなく、電池自体の重量の増加を抑制することを可能にしている。
〈電池の完成〉
集電処理が完了した電極体は、電池ケースに挿設されて組付けに供される。組付け時には、電極合材およびセパレータに非水電解液を含浸させる。リチウムイオン二次電池の場合、非水電解液は、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート等の有機溶媒にLiBF4、LiPF6等の電解質を溶解させたものを使用する。含浸終了後、電池ケースに蓋を被せ、この蓋にカシメ等を施して電池ケースを密封し、電池を完成させる。なお本実施形態の電極捲回型電池の場合は、巻芯の端部が入出力端子をも兼ねているため、巻芯の端部を電池ケースより突出させるようにする。
【0032】
〈電極合材未塗工部の幅について〉
集電処理の作業性、集電処理のためのスペース等を考慮すれば、電極合材未塗工部の幅には望ましい範囲が存在する。本発明の電極捲回型電池がその効果を充分に発揮するのは、放電容量が1Ahを超える大型電池である。したがって大型電池における電極合材未塗工部の望ましい幅について以下に説明する。
【0033】
上記電極体の説明で示した図6を参照すれば、電極体の外径をDとし、巻芯の外径をdとした場合に、電極体50の正極シート10、負極シート20およびセパレータ30とが捲回されて層状をなす部分の最内周と最外周とによって決定される半径方向の厚さ(以下「捲回厚さ」という)Tは、一般に、T=(D−d)/2で表される。大型電池の場合は、捲回厚さTが、5≦T≦20の範囲にあるのが通常である。
【0034】
電極合材未塗工部13、23の幅、つまり集電処理のため集電端子との接合により押し潰される部分の幅を、Hとすれば、様々な実験を重ねた結果、本発明の電極捲回型電池の集電処理では、H>Tの範囲で接合可能であることが判った。一方、H>45mmの範囲では電池性能に寄与しない部分が正極側と負極側とを合わせて90mmを超え、体積実装効率(電池全長に対する電極合材塗工部幅の比)が極めて小さくなる。また、T≦20mm程度の比較的小さい電池では、H>1.5T+15mmの領域では体積実装効率がやはり小さくなる。
【0035】
上記のことを総合して判断すれば、捲回厚さT(mm)、未塗工部幅H(mm)とすれば、未塗工部幅Hは、 T≧5 かつ H≦45 かつ T<H≦1.5T+15 の範囲にあるのが望ましいといえる。巻芯を集電端子とした場合の、この望ましい未塗工部幅の範囲については、図9に示す。
なお、上述した実施形態は、正極側および負極側の両方とも巻芯を集電端子として集電処理を行っているが、これに代え、正極側または負極側のいずれか一方を板端子を用いる方法で集電処理を行うものであってもよい。また、正極側または負極側のいずれか一方について上記のいずれかの集電処理を行い、他方については、従来から実施されている公知の方法によって集電処理を行うものであってもよい。
【0036】
〈本発明の電極捲回型電池の他の実施形態〉
上記の実施形態は、巻芯の端部を集電端子とした実施形態である。これと異なり、板状の集電端子を巻芯とは別に設け、この板状の端子に集電処理を行う実施形態を採用することもできる。板状端子への集電処理を行った実施形態を図10に示す。集電端子を別部品とすることによって、軸芯を軽量な樹脂によって形成することができ、電池の軽量化が図れ、電池のエネルギ密度、出力密度を高めることができる。
【0037】
また、図10に示すように、板状集電端子90を電極体50の正極シート10、負極シート20およびセパレータ30とが捲回されて層状をなす部分の最内周と最外周とのちょうど中間(T/2の位置)に位置させて、端子90の両側から電極合材未塗工部13、23を接合させれば、未塗工部幅HがH>T/2の範囲で接合させることが可能となる。このことは、未塗工部幅の減少がはかれることとなり、体積実装率の向上につながる。
【0038】
ちなみに拡大した未塗工幅の望ましい範囲は、 T≧5 かつ H≦45 かつ T/2<H≦1.5T+15 となる。板状集電端子を捲回厚さの中心に位置させた場合の、この望ましい未塗工幅の範囲については、図11に示す。
集電端子を巻芯とは別体の部品とした他の実施形態を、図12に示す。この場合、集電端子部品46は中実丸棒状のものであってもよいが、この図に示す様な有底のカップ状のもの、あるいはパイプ状のもの等を採用すれば、図7を用いて説明した方法と同様の方法で超音波接合ができ、また、軽量化を達成することができる。さらに、巻芯は捲回工程で必要となるが、さらなる軽量化を目的とし、捲回後に巻芯を抜き取って無くすという実施形態を採用することもできる。巻芯が無い状態であっても、集電端子と電極合材未塗工部とを接合する際に問題となることはない。
【0039】
【実施例】
上記実施形態に基づいて、電極捲回型リチウムイオン二次電池を実施例として作製し、また、従来技術に基づく電池を比較例として作製した。そしてこの実施例、比較例の電極捲回型電池に対して、それぞれの構成および集電処理のための工数、エネルギ密度等について比較評価を行った。以下にこの結果を示す。
【0040】
〈実施例〉
上記実施形態に基づく電極捲回型電池であって、巻芯の端部を集電端子とする集電処理を行った電池を作製した。正極シートは、厚さ15μm、幅180mmのアルミニウム箔集電体の両面に、片面あたり120μmの厚さで正極合材を塗工した。正極合材の塗工幅は160mmで、正極シートの幅方向の一端部に幅20mmの正極合材未塗工部を設けた。同様に、負極シートは、厚さ10μm、幅184mmの銅箔集電体の両面に、片面あたり60μmの厚さで負極合材を塗工した。負極合材の塗工幅は、164mmで、負極シートの幅方向の一端部に幅20mmの負極合材未塗工部を設けた(図1参照)。正極シート、負極シートは、その長さをそれぞれ2150mm、2250mmに裁断して使用した。 これらの正極シート、負極シートを、捲回して電極体を作製した。巻芯は、正極側部材にアルミニウムを、負極側部材に銅を使用し、ポリフェニレンサルファイドの絶縁部材を挟んで、外径10mmφの中空のパイプ状に一体として形成されたものを使用した(図3参照)。巻芯全長は約224mmで、電極体形成後、電極合材の幅方向の端部より、正極側および負極側にそれぞれ30mmずつ突出するような長さとなっている。また両端の先端部には約10mmの長さで雄ネジか形成され、この部分を除く20mmの部分が集電端子としての機能を果たす部分となっている。
【0041】
正極シートおよび負極シートに挟装させるセパレータは、厚さ25μmのポリエチレンシートで、幅166mmのものを使用した。正極シートおよび負極シートを、それぞれの電極合材未塗工部が幅方向で背向しかつ他極シートの電極合材部およびセパレータより突出するように位置させ(図5参照)、捲回機を用いて捲回させた(図4参照)。捲回して形成された電極体(図6参照)の外径は30mmφとなった。
【0042】
電極合材未塗工部の接合は、超音波接合によって行った(図7参照)。接合箇所が、それぞれの極で2箇所となるように接合された電極体(図8参照)と、1箇所となるように接合された電極体との、2種類の電極体を作製した。それぞれの電極体を電解液とともに電池ケースに密封し電池を完成させた。接合箇所が各極あたり2箇所のものを実施例1の電極捲回型電池と、1箇所のものを実施例2の電極捲回型電池とした。
【0043】
〈比較例〉
従来技術の集電処理方法を採用した電極捲回型電池である。正極シートおよび負極シートは、実施例のものと同様の集電体、電極合材を使用している。ただし、正極シートおよび負極シートの幅をそれぞれ170mm、174mmとし、電極合材の塗工幅は実施例のものと同じであるが、電極合材未塗工部の幅をそれぞれ10mmにしているところが実施例のものと異なるところである。そしてこの未塗工部に、厚さ40μm、幅10mmの短冊状(タブ状)の集電用リードを超音波接合し、この集電用リードを利用して集電処理を行うようにした。集電用リードは、正極シート、負極シートとも、50mmピッチで約45本接合した(図19参照)。なおこの集電用リードの接合は、下記で説明する捲回工程の最中に、正極シートおよび負極シートの捲回の進行に合わせて1本ずつ順次行った。
【0044】
それぞれの集電用リードが反対側の巻回端面にくるように、正極シート、負極シートをセパレータを挟装させて捲回し、電極体を形成した(図15参照)。使用したセパレータは、実施例のものと同様のものであり、形成した電極体の外径も実施例のものと同様である。ただし巻芯は、ポリフェニレンサルファイド製の中空状のもので、電極体から突出しない長さのものを使用した。
【0045】
集電端子には、正極側にはアルミニウム製の、負極側には銅製の、円盤状のフランジ部を有する部品を使用し、この集電端子のフランジ部の外周に、集電用リードを1本ずつ折り曲げることによって集め、その後に1つの端子あたり8箇所の超音波接合を行った(図18参照)。なお集電処理に要するスペースは実施例の場合と同様20mmとした。この電極体を電解液とともに電池ケースに密封して、比較例の電極捲回型電池を完成させた。
【0046】
〈電池の構成、集電処理工数、エネルギ密度等の比較評価〉
実施例1、実施例2、比較例の電極捲回型電池の集電処理の状態を比較して模式的に表した図を、図13に掲載する。また、正極シートおよび負極シートを中心とした電池の構成を比較した表を下記表1に、電池の集電処理に要する時間、電池のエネルギ密度等を比較した表を下記表2にそれぞれ掲載する。
【0047】
【表1】
Figure 0003733403
【0048】
【表2】
Figure 0003733403
図13および表1、表2から判るように、集電処理方法が異なっても、集電処理に要するスペースは同じであり、電池自体の体積は同じになっている。しかし電池の重量は、比較例の電池が、別部品の集電端子を採用していることから、実施例の電池より30gも重いものとなっている。なお、表2から判るように放電容量および体積実装効率についてはどの電池も同じ値を示している。
【0049】
集電処理に要する時間は、集電用リードを接合する時間つまり正極シートおよび負極シートを捲回して電極体を形成するのに要する時間と、集電用リードを折り曲げて集電端子に集める作業に要する時間と、超音波接合に要する時間とを合計した時間を合計して比較することによって評価することができる。比較例の電池の場合は、正極側および負極側を合わせて、集電処理に要する時間は電池1個あたり、12分+7分×2+3分×2=32分を要した。これに対して実施例1の電池の場合は、20秒+30秒×2=1分20秒を要し、実施例2の電池の場合は、20秒+15秒×2=50秒を要した。このことから、本発明の電極捲回型電池は、集電処理のために必要な作業工数を著しく少なくできることが確認できた。
【0050】
接合面積と電流経路の違いから、実施例1、実施例2および比較例の電池は内部抵抗の異なるものとなることが予想された。実際に接合面積の最も大きい比較例の電池が、内部抵抗が小さく、出力特性に優れることが確認されたが、上述したように集電端子をフランジ部を設けた別部品としたことから電池重量が増加し、出力密度では劣ることが確認できた。また同様に、エネルギ密度においても実施例の電池が優るものとなっていることが確認できた。
【0051】
【発明の効果】
本発明の電極捲回型電池は、正極シート、負極シートに電極合材未塗工部を設け、この未塗工部に集電用リードを設けることなく、直接この未塗工部を集電端子に接合させるという構成を採っている。この様な構成にしたことにより、本発明の電極捲回型電池を製造する場合は、集電用リードを設ける工程および集電用リードを折り曲げて集める工程を必要とせず、電極捲回型電池の生産性の向上および製造コストの低減を図ることが可能となる。
【0052】
また本発明の電極捲回型電池では、集電端子として重量の大きな部品を必要とすることがなく、電池自体の重量の軽減を図ることが可能となる。この結果、本発明の電極捲回型電池は、出力密度およびエネルギ密度の高い優秀な電池となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態の電極捲回型電池を構成する正極シートおよび負極シートを示す平面図
【図2】 本発明の実施形態の電極捲回型電池において、集電体表面に電極合材を塗布する塗布装置を示す斜視図
【図3】 本発明の実施形態の電極捲回型電池を構成する巻芯を示す斜視図
【図4】 本発明の実施形態の電極捲回型電池において、正極シート、負極シートおよびセパレータを捲回する様子を示す斜視図
【図5】 本発明の実施形態の電極捲回型電池において、正極シート、負極シートおよびセパレータを重ね合わせた様子を示す断面図
【図6】 本発明の実施形態の電極捲回型電池において、正極シート、負極シートおよびセパレータを捲回して形成された電極体を示す斜視図
【図7】 本発明の実施形態の電極捲回型電池において、超音波接合によって電極合材未塗工部を巻芯に接合する様子を示す図
【図8】 本発明の実施形態の電極捲回型電池において、正極側、負極側それぞれ2箇所の超音波接合を行った後の電極体を示す斜視図
【図9】 本発明の実施形態の電極捲回型電池において、望ましい電極合材未塗工部幅の範囲を示す図
【図10】 本発明のもう一つの実施形態の電極捲回型電池であって、板状の集電端子に接合して集電処理を行った電極捲回型電池の電極体を示す斜視図
【図11】 板状端子に集電処理を行った本発明のもう一つの実施形態において、望ましい電極合材未塗工部幅の範囲を示す図
【図12】 本発明の実施形態の電極捲回型電池において、巻芯および巻芯とは別体の集電端子を示す斜視図
【図13】 実施例1、実施例2、比較例のそれぞれの電極捲回型電池の集電処理の状態を模式的に表した図
【図14】 従来の電極捲回型電池において、集電用リードが切り欠きによって形成された正極シートおよび負極シートを示す平面図
【図15】 従来の電極捲回型電池において、正極シート、負極シートおよびセパレータを捲回する様子を示す斜視図
【図16】 従来の電極捲回型電池において、正極シート、負極シートおよびセパレータを捲回して形成された電極体を示す斜視図
【図17】 従来の電極捲回型電池において、レーザー溶接によって集電処理された電極体を示す斜視図
【図18】 従来の電極捲回型電池において、超音波接合によって集電処理された電極体を示す斜視図
【図19】 従来の電極捲回型電池において、集電用リードが超音波接合によって形成された正極シートおよび負極シートを示す平面図
【符号の説明】
10:正極シート
11:正極集電体 12:正極合材
13:正極合材未塗工部
14:正極集電用リード 15:リード接合部
20:負極シート
21:負極集電体 22:負極合材
23:負極合材未塗工部
24:負極集電用リード 25:リード接合部
30:セパレータ
40:巻芯
41:正極側部材 42:負極側部材
43:絶縁部材 44:雄ネジ部
46:集電端子部品
50:電極体
60:超音波接合機
61:ホーン 62:アンビル 63:接合部
64:非接合部
70:塗布装置
71:バックアップロール 72:塗布ロール
73:コンマロール 74:堰
80
81:集電端子部品 82:リング
83:レーザ光線 84:溶接ビード
85:超音波接合部
90:板状集電端子

Claims (2)

  1. それぞれの帯状金属箔集電体とその表面に塗工されたそれぞれの電極合材とをもつ正極シートおよび負極シートと、該正極シートおよび負極シートとの間に挟装されたセパレータとを、巻芯の周囲に渦巻状に捲回して形成された電極体を有する電極捲回型電池であって、
    前記正極シートと負極シートとの少なくとも一方は、幅方向において連続して一体に形成され、幅方向の一端部に所定幅をH(mm)とする全長にわたる電極合材未塗工部を有し、かつ該電極合材未塗工部をセパレータおよび前記正極シートと負極シートとの他方から突出させるように捲回されており、
    該巻芯の端部が集電端子となり、かつ、該電極合材未塗工部は、該巻芯の端部に重ね合わさるように接合された接合部と該巻芯の端部に接合されていない非接合部とを形成するように接合されており、
    さらに、該電極体の正極シート、負極シートおよびセパレータとが捲回されて層状をなす部分の最内周と最外周とによって決定される半径方向の厚さをT(mm)とした場合に、HとTが次式で表される関係を有することを特徴とする電極捲回型電池。
    T≧5 かつ H≦45
    かつ T<H≦1.5T+15
  2. それぞれの帯状金属箔集電体とその表面に塗工されたそれぞれの電極合材とをもつ正極シートおよび負極シートと、該正極シートおよび負極シートとの間に挟装されたセパレータとを、巻芯の周囲に渦巻状に捲回して形成された電極体を有する電極捲回型電池であって、
    前記正極シートと負極シートとの少なくとも一方は、幅方向において連続して一体に形成され、幅方向の一端部に所定幅をH(mm)とする全長にわたる電極合材未塗工部を有し、かつ該電極合材未塗工部をセパレータおよび前記正極シートと負極シートとの他方から突出させるように捲回されており、
    集電端子は、巻芯の端部に結合した或いは巻芯とは物理的に隔離した別体の部品であって、かつ、電極合材未塗工部は、該集電端子に重ね合わさるように接合された接合部と該集電端子に接合されていない非接合部とを形成するように接合されており、
    さらに、該電極体の正極シート、負極シートおよびセパレータとが捲回されて層状をなす部分の最内周と最外周とによって決定される半径方向の厚さをT(mm)とした場合に、HとTが次式で表される関係を有することを特徴とする電極捲回型電池。
    T≧5 かつ H≦45
    かつ T<H≦1.5T+15
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