JP3733499B2 - 建築構造物の耐震構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、隣接して構築された建築構造物の耐震構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
連層耐震壁や連層ブレース構造といった技術は、地震の揺れに耐えるいわゆる耐力構造のひとつであり、隣接して構築された建築構造物に対する耐震補強手段である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の連層耐震壁や連層ブレース構造においては、大規模な地震に対しては壁の一部がエネルギー吸収材として構成されたものがある。これは地震によって作用する振動エネルギーを壁自体を破壊させることで吸収するものであるが、建築構造物の一部として一体に構築された壁体を元の状態に修復するには多大な補修費が必要になるといった問題があった。
また、隣接して構築された建築構造物の対向する側面に耐震壁を設け、この耐震壁間に鉄筋コンクリート製の梁を設けて建築構造物どうしを連結し、梁の塑性変形により地震時のエネルギー吸収を行う方式(Coupled Shear Type)もあるが、鉄筋コンクリート製の梁では地震時の損傷がひどく、地震後に補修する必要が生じるといった問題があった。
【0004】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、地震によって建築構造物に作用する振動エネルギーを効果的に吸収するとともに、大規模な地震による被害の補修に要するコストを安価に抑えることができる建築構造物の耐震構造を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するための手段として、隣接して構築された建築構造物の上層部において対向する側面にそれぞれ設置された耐震壁の間に、内蔵されたブレースが接着されずに長さ方向に移動可能に設けられたブレース非接着型のプレキャスト壁体を介装し、このプレキャスト壁体のブレースの両端を、耐震壁に半ば埋設されたガセットプレートを介して、対向する耐震壁にそれぞれ固定し、ガセットプレートの上下にあたる部分に、ブレースの変位を許容するための空間をそれぞれ設けることで建築構造物どうしを連結する。そして、地震時には双方の建築構造物の相対変位の差からブレースに長さ方向の変形を生じさせて地震のエネルギーを吸収する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明に係る建築構造物の耐震構造の実施形態を図1および図2に示して説明する。
図1には隣接して構築された2つの建築構造物の対向する側面に沿ってそれぞれ設置された耐震壁10間に、ブレース11、12がプレキャスト版13に接着されない方式が採用された壁体、すなわちアンボンドブレースプレキャスト壁体(以下、単にプレキャスト壁体とする)14が介装された状態が示されている。
【0009】
このプレキャスト壁体14は、内蔵されたブレース11、12がプレキャスト版13に接着されずその内部で長さ方向に移動可能に構成されたもので、耐震壁10間に交叉して架設されたブレース11、12の両端が対向する耐震壁10、10にそれぞれ固定されることで建築構造物どうしを連結している。
【0010】
ブレース11、12はプレキャスト版13の両側縁間に貫通して設けられた空間13a、13bに挿通された状態に配設され、その両端は両側の耐震壁10にそれぞれボルト・ナットや溶接等により固定されている。耐震壁10にはブレース11、12の端部を固定するためのガセットプレート15が半ば埋設され内部のアンカー筋に接着されており、このガセットプレート15の上下にあたる部分には、ブレース11、12の変位を許容するための空間16がそれぞれ設けられている。
【0011】
このプレキャスト壁体14は、隣接する建築構造物に揺れが生じた場合、双方の建築構造物の相対変位が最も大きくなる箇所、すなわち建築構造物の上層部に設置されている。
【0012】
上記のような地震対策が講じられた建築構造物に地震等によって揺れが生じると、それに伴ってプレキャスト壁体14には鉛直方向のせん断力が作用して変形が生じる。このときプレキャスト壁体14は、図2に示すようにプレキャスト版13には変形を生じず交叉したブレース11、12はその一方11が圧縮力を受けて縮み、他方12が引張力を受けて伸びる。
【0013】
すなわちこのプレキャスト壁体14においては、ブレース11、12が鋼材ダンパーの役割を果たして振動エネルギーを吸収する。これにより、隣接して構築された建築構造物の地震応答を低減させることができる。鋼材ダンパーは、その利点として、1)力学的に機構が単純である、2)減衰性能が大きい、3)比較的安価に調達可能である、4)復元力特性の設定が容易に行える、等が挙げられ、これらのことから耐震構造を構成する上で、性能的にもコスト的にも非常に有効な機構であることが解る。
【0014】
また、耐震機構をなすプレキャスト壁体14を隣接する建築構造物の上層部に設置したことにより、建築構造物各階の変形がなめらかなままでエネルギー吸収が可能であり、変形が特定の階層に集中することを防止することができる。
【0015】
さらに、地震の規模が大きくブレース11、12の鋼材ダンパーとしての機能だけでは建築構造物に作用する振動エネルギーを吸収できない場合には、プレキャスト壁体14そのものが破壊されて振動エネルギーを吸収するが、破壊されたプレキャスト壁体14を交換することにより耐震構造の復元が可能であり、プレキャスト壁体14の構成が単純で安価に製作でき容易に調達可能なので、復旧にかかる工期の短縮とコストの削減を図ることができる。
【0016】
次に、本発明に係る建築構造物の耐震構造の参考例を図3および図4に示して説明する。なお、前記実施形態にて既に説明した構成要素には同一符号を付して説明を省略する。
図3には隣接する建築構造物の耐震壁20間に介装された耐震機構を示している。この耐震機構は、建築構造物を側方視したとき断面矩形の開口をなす鋼製筒状の枠体21が、その対向する2側面21a、21bを両側の耐震壁20にそれぞれ固定され、さらに枠体21の内側にほぼ垂直に配置された鋼板22が枠体を塞ぐ膜のように周囲を溶接して接合されたものである。
【0017】
枠体21には、その対向する2側面21a、21bに鋼板22と同一面内に存在するような舌片23がそれぞれ設けられており、これら舌片23が両側の耐震壁20からそれぞれ突設されて片持ち梁を構成する連結部材24にボルト・ナットや溶接等により接合されている。連結部材24は、耐震壁20に半ば埋設されて内部のアンカー筋(図示せず)に接着されている。
【0018】
上記のような地震対策が講じられた建築構造物に地震等によって揺れが生じると、それに伴って耐震機構に鉛直方向にせん断力が作用して変形が生じる。このとき耐震機構を構成する鋼板22はせん断方向に変形し、図4に示すように一方の対角線方向(図中矢印Aの方向)に引張力を受けて伸び、他方の対角線方向(図中矢印Bの方向)に圧縮力を受けて縮む。
【0019】
すなわちこの耐震機構では、鋼板が鋼材ダンパーの役割を果たして振動エネルギーを吸収することにより、隣接して構築された建築構造物の地震応答を低減させることができる。
【0020】
地震の規模が大きく鋼板の鋼材ダンパーとしての機能だけでは建築構造物に作用する振動エネルギーを吸収できない場合には、耐震機構そのものが破壊されて振動エネルギーが吸収されるが、破壊された耐震機構を交換することにより復元が可能であり、しかも耐震機構の構成が単純で容易に調達可能なので、復旧にかかる工期の短縮とコストの削減を図ることができる。
【0021】
次に、本発明に係る建築構造物の耐震構造の他の参考例を図5および図6に示して説明する。なお、前記実施形態にて既に説明した構成要素には同一符号を付して説明を省略する。
図5には隣接する建築構造物の耐震壁30間に介装された耐震機構を示している。この耐震機構は、複数の鋼板31がそれぞれ平行に離間して略水平に配置され、これら鋼板31の両端には側面鋼板32が配されてすべての鋼板31が一体に溶接されており、さらにこれら側面鋼板32が両耐震壁30にそれぞれ固定されたものである。
【0022】
側面鋼板32には、各鋼板31および側面鋼板32自体に対してそれぞれ90゜の角度をなして舌片33が溶接されており、これら舌片33が両側の耐震壁30からそれぞれ突設されて片持ち梁を構成する連結部材34にボルト・ナットや溶接等により接合されている。連結部材34は、耐震壁30に半ば埋設されて内部のアンカー筋(図示せず)に接着されている。
【0023】
上記のような地震対策が講じられた建築構造物に地震等によって揺れが生じると、それに伴って耐震機構に鉛直方向にせん断力が作用して変形が生じる。このとき耐震機構を構成する各鋼板31は一様に変形し、図6に示すように、両側の側面鋼板を相対的に上下に変位させて側方視S字型に湾曲する。
【0024】
すなわちこの耐震機構では、各鋼板31が鋼材ダンパーの役割を果たして振動エネルギーを吸収することにより、隣接して構築された建築構造物の地震応答を低減させることができる。
【0025】
地震の規模が大きく鋼板31の鋼材ダンパーとしての機能だけでは建築構造物に作用する振動エネルギーを吸収できない場合には、耐震機構そのものが破壊されて振動エネルギーが吸収されるが、破壊された耐震機構を交換することにより復元が可能であり、しかも耐震機構の構成が単純で容易に調達可能なので、復旧にかかる工期の短縮とコストの削減を図ることができる。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る建築構造物の耐震構造によれば、隣接する建築構造物間に架設されたアンボンドブレースプレキャスト壁体が鋼材ダンパーの役割を果たして振動エネルギーを吸収する。これにより、隣接して構築された建築構造物の地震応答を低減させることができる。
【0027】
また、プレキャスト壁体を隣接する建築構造物の上層部に設置したことにより、建築構造物各階の変形がなめらかなままでエネルギー吸収が可能であり、変形が特定の階層に集中することを防止することができる。
【0028】
地震の規模が大きく鋼材ダンパーとしての機能だけでは建築構造物に作用する振動エネルギーを吸収できない場合には、プレキャスト壁体そのものが破壊されて振動エネルギーが吸収されるが、破壊された部位を交換することにより耐震構造の復元が可能であり、しかもプレキャスト壁体は構成が単純で安価に製作でき容易に調達可能なので、復旧にかかる工期の短縮とコストの削減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかる建築構造物の耐震構造の実施形態を示す側面図である。
【図2】 図1に示した耐震構造の作動状態を示す概略説明図である。
【図3】 本発明にかかる建築構造物の耐震構造の参考例を示す斜視図である。
【図4】 図3に示した耐震構造の作動状態を示す概略説明図である。
【図5】 本発明にかかる建築構造物の耐震構造の他の参考例を示す斜視図である。
【図6】 図5に示した耐震構造の作動状態を示す概略説明図である。
【符号の説明】
10 耐震壁
11、12 ブレース
13 プレキャスト版
14 プレキャスト壁体
Claims (1)
- 隣接して構築された建築構造物の上層部において対向する側面にそれぞれ設置された耐震壁の間に、内蔵されたブレースが接着されずに長さ方向に移動可能に設けられたブレース非接着型のプレキャスト壁体が介装され、ブレースの両端が、耐震壁に半ば埋設されたガセットプレートを介して、対向する耐震壁にそれぞれ固定され、ガセットプレートの上下にあたる部分に、ブレースの変位を許容するための空間がそれぞれ設けられていることを特徴とする建築構造物の耐震構造。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP13727197A JP3733499B2 (ja) | 1997-05-27 | 1997-05-27 | 建築構造物の耐震構造 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP13727197A JP3733499B2 (ja) | 1997-05-27 | 1997-05-27 | 建築構造物の耐震構造 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH10325264A JPH10325264A (ja) | 1998-12-08 |
| JP3733499B2 true JP3733499B2 (ja) | 2006-01-11 |
Family
ID=15194782
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP13727197A Expired - Fee Related JP3733499B2 (ja) | 1997-05-27 | 1997-05-27 | 建築構造物の耐震構造 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3733499B2 (ja) |
-
1997
- 1997-05-27 JP JP13727197A patent/JP3733499B2/ja not_active Expired - Fee Related
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| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH10325264A (ja) | 1998-12-08 |
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