JP3735005B2 - 打抜加工性に優れた銅合金およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、打抜加工を含む工程により所望の形状に加工されるリードフレーム材、端子・コネクター材、スイッチ材などに適した銅合金とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、半導体のリードフレーム材や端子材には、鉄系材料の他、電気・熱伝導性に優れた銅系材料が多く用いられている。銅系材料は、高集積化や小型化が進み放熱性が重視されるようになった半導体機器部材にも用いられている。そして、前記銅系材料がリードフレームに使用される場合は、電気・熱伝導性の他に、貴金属(Ag、Pdなど)や半田のメッキ性および表面平滑性に優れることが要求される。
【0003】
このような要求に応えるため様々なリードフレーム用銅合金が開発されたが、その多くは淘汰され現在では数種類が用いられているだけである。その中でCu−Cr−Sn系合金は高導電性と高強度を兼備する合金として認知され、最も多く使用されている合金の一つである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、リードフレームの成形加工には、通常、打抜加工法またはエッチング加工法が適用されるが、生産性の面から打抜加工法が多用されている。しかし、前記従来のCu−Cr−Sn系合金は打抜加工の際に、バリや加工粉が発生してリード間が短絡したり、リードフレームの寸法精度が低下したりする。またバリが発生すると金型のメンテナンスサイクルが短くなり製造コストが高くなる。これらの弊害は特に多ピンリードフレームにおいて大きい。
【0005】
リードフレームを製造する側としては、大幅な成長を続ける半導体需要に対応するため、より安価なリ−ドフレ−ムをより早く提供する必要があり、そのために如何に打抜加工設備の稼働率を上げるか、如何に打抜不良を減らして製造歩留まりを高めるかが重要な課題になっている。特に需要の多いCu−Cr−Sn系合金では打抜加工性の大幅な改善が強く望まれている。本発明の目的は、打抜加工性に優れた銅合金およびその製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、Crを0.2〜0.35wt%、Snを0.1〜0.5wt%、Znを0.1〜0.5wt%、Siを0.005〜0.1wt%含み、残部がCuおよび不可避的不純物からなる銅合金において、Cuマトリックス中に、各々の最大径が0.1〜10μmのCrまたはCr化合物の析出相Aが1×103〜3×105個/mm2の個数密度で存在し、且つ各々の最大径が0.001〜0.030μmのCrまたはCr化合物の析出相Bが析出相Aの個数密度の10倍以上の個数密度で存在することを特徴とする打抜加工性に優れた銅合金である。
【0007】
請求項2記載の発明は、Crを0.2〜0.35wt%、Snを0.1〜0.5wt%、Znを0.1〜0.5wt%、Siを0.005〜0.1wt%含み、さらにPb0.001〜0.06wt%、Bi0.001〜0.06wt%、Ca0.005〜0.1wt%、Sr0.005〜0.1wt%、Te0.005〜0.1wt%、Se0.005〜0.1wt%、希土類元素0.005〜0.1wt%のうちの1種または2種以上を総量で0.001〜0.1wt%含み、残部がCuおよび不可避的不純物からなる銅合金において、Cuマトリックス中に、各々の最大径が0.1〜10μmのCrまたはCr化合物の析出相Aが1×103〜3×105個/mm2の個数密度で存在し、且つ各々の最大径が0.001〜0.030μmのCrまたはCr化合物の析出相Bが析出相Aの個数密度の10倍以上の個数密度で存在することを特徴とする打抜加工性に優れた銅合金である。
【0008】
請求項3記載の発明は、少なくとも熱間加工および冷間加工を施す、打抜加工性に優れた銅合金の製造方法であって、前記熱間加工前に880℃以上980℃未満の温度で熱処理を施し、前記冷間加工前または後に360〜470℃の温度で時効処理を施すことを特徴とする請求項1または2記載の打抜加工性に優れた銅合金の製造方法である。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明は、特にリードフレーム材に好適な銅合金であるが、打抜加工を含む工程で製造される部材全般、例えば自動車に使用される端子材、民生機器に使用されるコネクター材などにも適用可能である。
【0010】
本発明の銅合金は、Cuマトリックス中に、打抜加工性を改善するための各々の最大径が0.1〜10μmの粗大なCrまたはCr化合物の析出相Aと、強度を確保するための各々の最大径が0.001〜0.030μm(1nm〜30nm)の微細なCrまたはCr化合物の析出相Bを共存させることを骨子として構成されている。
【0011】
ここで、最大径とは、析出相が球状の場合はその径、楕円状の場合は長径、棒状の場合は最大長さである。本発明者らはこのCrを含む銅合金系について研究を行い、成分の子細な限定と製造条件の最適化により理想的なCrまたはCr化合物の析出状態を達成できることを知見し、実用性に優れた銅合金を得たものである。本発明の銅合金は、粗大なCrまたはCr化合物を析出させるために熱間加工前に880℃以上980℃未満で熱処理を施し、さらに微細なCrまたはCr化合物を析出させるために360〜470℃での時効処理を施すことにより最適に製造される。
【0012】
以下に本発明銅合金の合金成分の限定理由について説明する。従来、Cu中にCrを添加する場合は、Crの析出硬化のみを期待しており、Cuマトリックス中に分散するCrまたはCr化合物の析出相の各々の大きさは最大径が0.001〜0.030μmであり、最大径が0.1〜10μmの粗大な析出相は殆ど存在していなかった。本発明は、添加したCrは析出硬化のみならず、打抜加工性の改善効果も有するため、その成分範囲を子細に限定する必要があることを見出してなされたものである。
【0013】
本発明において、Cr量が0.2wt%未満では、熱間加工前の熱処理を980℃近辺の高温で行っても、粗大な析出相Aは殆ど析出せず打抜加工性は改善されない。逆にCr量が0.35wt%を超えると鋳造の凝固時にCrが晶出物として生成する。この晶出Crも打抜加工の際に破壊の起点になり得るため、打抜加工に有効と言えなくもないが、晶出物故に疎に分散し、その大きさも粗大に(10μmより大きく)なりがちである。即ち、0.35wt%を超えてCrを添加しても、添加量に見合った効果が得られないばかりでなく、10μmを超える大きさのCr晶出物は、工具の磨耗を早め金型の寿命を短くする点でも不適当である。以上の観点からCrの含有量は0.2〜0.35wt%とした。
【0014】
本発明は、前述のように、CrまたはCr化合物の粗大な析出相Aと微細な析出相Bを共存させることを骨子としている。前記粗大な析出相Aは破壊の起点となって打抜加工性を改善するが、その最大径が0.1μmに満たない析出相は破壊の起点になり得ないため、本発明の目的とする打抜加工性を改善することができない。逆に最大径が10μmを超える析出相は、打抜用金型の寿命を縮めるため好ましくない。従って各々の最大径が0.1〜10μmの析出相Aが適量分散している状態が理想的である。
【0015】
前記粗大な析出相Aの個数密度が1×103個/mm2未満では、前記打抜加工性が改善されず、3×105個/mm2を超えると析出相Aが増加した分、析出相Bが減少して強度特性が低下する。従って、析出相Aの個数密度は1×103〜3×105個/mm2に規定する。一方、ナノメートルレベルで析出する微細な析出相Bは強度特性を改善する。その個数密度は、析出相Aの個数密度の少なくとも10倍以上でないと必要な強度特性が得られない。逆に、微細な析出相Bが多くなると、打抜加工性を改善する粗大な析出相Aの個数密度が低下し、充分な打抜加工性が得られなくなる。本発明は、Crの含有量のみならず、CrまたはCr化合物の析出相Aと析出相Bのそれぞれの大きさと個数密度を限定することにより、打抜加工性を改善した銅合金である。
【0016】
Snは材料の強度特性を高める効果を有する。その含有量が0.1wt%未満ではその効果が充分に得られず、0.5wt%を超えると導電率が大幅に低下する。従ってSnの含有量は0.1〜0.5wt%とする。
【0017】
ZnはSnメッキやハンダメッキの耐熱剥離性、耐マイグレーション性を改善する効果を有する。特にリードフレームや端子として使用する場合は、実装後の半田付部の経時劣化が重視されるため、Znの添加は不可欠である。その含有量が0.1wt%未満では充分な効果が得られず、0.5wt%を超えて含有させてもその量に見合った効果が得られないばかりか、導電率が低下する。従ってZnの含有量は0.1〜0.5wt%とする。
【0018】
Pb、Bi、Ca、Sr、Te、Se、希土類元素も打抜加工性を改善する添加元素である。これら元素は、Cuマトリックス中への固溶量が小さく、Cuマトリックス中に分散し、CrまたはCr化合物と同じように破壊の起点になって打抜加工性を改善する。しかしながら、これら元素は鋳造性や熱間加工性などの製造性を損なう元素であり、その添加量は厳密に管理する必要がある。Pb、BiはCuマトリックス中に殆ど固溶せず、従って打ち抜き加工性の改善効果は大きい。Pb、Biはそれぞれ0.001wt%以上の添加量から打ち抜き加工性の改善効果が認められるが、反面、製造性への悪影響も大きく、0.06wt%を超えて添加すると、正常に製造することができなくなる。Ca、Sr、Te、Se、希土類元素は、それぞれ0.005wt%以上の添加量から打ち抜き加工性の改善効果が現れ、0.1wt%を超えて添加すると、鋳造加工性や熱間加工性が損なわれる。依って、これら元素を各々1種添加する場合の添加量は上述の通りとし、2種以上添加する場合の総量は0.001〜0.1wt%とした。
【0019】
次に銅合金に含まれるSiについて説明する。Siは、その微量添加によりCr−Si化合物を形成してCrを析出し易くする。その結果析出相Aの個数密度が増加し、打抜加工性が大幅に改善される。その含有量が0.005wt%未満ではCr−Si化合物が殆ど形成されず、0.1wt%を超えると析出相Aが増加しすぎ、その分、析出相Bが減少して強度特性が低下する。またSiの固溶量が増えて導電率が低下する。Siは、Cr3 Siとして存在するように、原子比でCr:Si=3:1になるように添加するのが好ましい。
【0020】
次に、数有る元素の中から、特にSiを選定した理由について述べる。先ず、本願発明の目的からして、Crと化合物を作ることが必要条件であり、Crと化合物を作る元素としては、Siの他に、P、S、O、Ge、Pt が挙げられる。このうちP、S、Oは非金属元素のためCrとの結合力が非常に強く、溶解鋳造中に化合物が生成してしまうため、その分散状態は実質上制御不可能である。またGeおよびPt は溶解し難いうえ、高価なため実用的でない。このようなことから、あらゆる面で最も効果的なSiを選定した。
【0021】
上述した本発明の構成において、所要の特性を好適に発現するためには、その製造方法が重要である。本発明では、打抜加工性を改善する粗大な析出相Aの個数密度は、熱間加工前の熱処理温度を880℃以上980℃未満に限定することにより、1×103〜3×105個/mm2に制御している。従来、Cu−Cr系合金の場合の前記熱間加工前の熱処理温度は980℃を超える高温であった。これはCrを完全に固溶させることを目的としたためであり、Crが析出する980℃未満の温度で熱処理することはなかった。
【0022】
前記熱処理温度が980℃以上では、最大径0.1〜10μmの粗大なCrまたはCr化合物の析出相Aの個数密度が低くなり打抜加工性が改善されない。逆に前記熱処理温度が880℃未満では、析出相Aの個数密度が高くなりすき、その後の工程で析出する0.001〜0.030μmの析出相Bの個数密度が低くなり所要の強度特性が得られなくなる。このような観点から、熱間加工前の熱処理温度は880℃以上980℃未満とする。特には910〜940℃が好ましい。
【0023】
本発明において、強度特性の改善に寄与する微細な析出相Bの個数密度は、時効処理温度を360〜470℃に限定することにより、析出相Aの個数密度の10倍以上に制御する。前記時効処理温度が360℃未満では析出相Bが充分に析出せず、470℃を超えると析出相Bが粗大化して、いずれの場合も所要の強度特性が得られない。
【0024】
この時効処理は、熱間加工し、次いで冷間加工したのち施すが、冷間加工中に施しても構わない。この場合は冷間加工後に比較的低温での焼鈍を施して加工歪みを減じておくことが推奨される。前記低温焼鈍をバッチ式焼鈍により施す場合は200〜400℃の温度で0.5〜5hr、走間焼鈍で施す場合は600〜800℃の温度で5〜60秒施すことが好ましい。必要に応じて最終熱処理(時効処理または低温焼鈍)の前または後にテンションレベラーやローラーレベラーなどで矯正加工を行っても差し支えない。
【0025】
【実施例】
以下に本発明を実施例により詳細に説明する。
(実施例1)
表1に示す本発明規定値内組成の合金を高周波溶解炉にて溶解し、これを厚さ30mm、幅100mm、長さ150mmの鋳塊に鋳造し、この鋳塊を930℃で2時間熱処理後、厚さ11mmまで熱間圧延し、熱間圧延後、直ちに水中に浸漬して速やかに冷却した。次に両面を各1mmづつ面削したのち厚さ0.25mmに冷間圧延し、この冷間圧延材を不活性ガス雰囲気中で425℃で2hr時効処理した。次いで0.15mmまで仕上冷間圧延したのち、300℃で2hr低温焼鈍処理を施し銅合金板を製造した。
【0026】
(比較例1)
表1に示す本発明規定値外組成の合金を用いた他は、実施例1と同じ方法により銅合金板を製造した。
【0027】
実施例1および比較例1で製造した各々の銅合金板から試験片を切り出して、析出相A、Bの各個数密度、引張強さ、伸び、導電率、打抜加工性、半田めっき耐熱剥離性を調べた。結果を表2に示す。
【0028】
前記析出相Aの個数密度は、試験片を酸性水溶液(6体積%H2SO4+7体積%H2O2)中に30秒間浸漬してエッチングし、その表面を走査型電子顕微鏡(500倍)により写真撮影して測定した。析出相Bの個数密度は透過型電子顕微鏡を用いて測定した。加速電圧は300kVに設定した。透過型電子顕微鏡では、試料の厚さにより析出相Bの個数が異なって見えることがあるため、各試料毎に厚さの異なる3箇所で測定し、3箇所とも、析出相Bの個数密度が析出相Aの個数密度の10倍以上の場合のみを「析出相Bの個数密度が析出相Aの個数密度の10倍以上」とした。それ以外は10倍未満とした。
【0029】
引張強さ(TS)および伸び(El)はJISZ2241に準じて、また熱・電気の伝導性を示す導電率はJISH005に準じてそれぞれ測定した。打抜加工性は、金型で角孔(1mm×5mm)を多数打抜き、FAR(Fracture Area Ratio:脆性破断部厚さ比)、バリの高さ、金型磨耗量について調べた。前記金型のダイおよびパンチは超硬合金製で、両者のクリアランスは9μm(対板厚比6%)とした。前記FARは角孔加工面を観察して脆性破断部の厚さtを測定し、これを打抜加工前の試験片の厚さTで除した値(t/T)を各20箇所につき求め、その平均値(百分率)で評価した。FARは大きいほど打抜加工性に優れる。バリの高さは、角孔縁部のバリの高さを接触式形状測定器で各20箇所測定し、その平均値で示した。金型摩耗量は触針式輪郭形状測定器を使用してパンチの先端面の初期断面積Sと100万回打抜加工後の断面積sの差(S−s)を求め評価した。半田めっき耐熱剥離性は、試験片にロジン系フラックスを塗布し、230℃の共晶半田(Pb−63wt%Sn合金)浴中に5秒間浸漬して半田を付着させ、これを150℃で1000時間大気加熱したのち、180度に密着曲げし、次いで曲げ戻し、曲げ戻し部分の半田の剥離有無を目視観察して評価した。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
表2より明らかなように、本発明例のNo.1〜7はいずれも優れた打抜加工性を示し、また半田めっき耐熱剥離性も良好に維持された。これに対し、Cr量が少ない比較例のNo.8は析出相Aが少ないため打抜加工性が劣った。Sn量の多いNo.9は導電率が低く、Cr量の多いNo.10はパンチが著しく磨耗した。Si量の多いNo.11は析出相Aの個数密度が高くなり、その分、析出相Bの個数密度が低下して強度特性が劣り、導電率も低下した。Te、Pbの多いNo.12およびBiの多いNo.13はいずれも熱間圧延中に割れが生じ正常に製造できなかった。
【0033】
(実施例2)
表1に示した本発明規定値内組成のNo.2の合金を用い、熱間圧延前の熱処理および冷間圧延後の時効処理を請求項3記載の本発明規定値内の条件で種々に変化させた他は、実施例1と同じ方法により銅合金板を製造した。
【0034】
(比較例2)
熱間圧延前の熱処理または冷間圧延後の時効処理を請求項3記載の本発明規定値外の条件とした他は、実施例2と同じ方法により銅合金板を製造した。
【0035】
実施例2および比較例2で製造した各々の銅合金板から試験片を切り出し、実施例1と同じ方法により種々特性を調査した。製造条件を表3に、調査結果を表3、4に示す。
【0036】
【表3】
【0037】
【表4】
【0038】
表3、4より明らかなように、本発明例のNo.21〜28はいずれも優れた打抜加工性を示し、また半田めっき耐熱剥離性も良好に維持された。これに対し、比較例のNo.29は熱間圧延前の熱処理温度が高いため析出相Aが殆ど存在せず、打抜加工性が劣った。比較例のNo.30は熱間圧延前の熱処理温度が低いため析出相Aの個数密度が高くなりすぎ、その分、析出相Bの個数密度が低くなり強度特性が低下した。粗大な析出相Aが多い割りには打抜加工性が劣った。これは打抜加工性の改善にはある程度の強度が必要なためである。比較例のNo.31は時効処理温度が低いため、固溶元素が多くなり導電率が低下した。比較例のNo.32は時効処理温度が630℃と高かったため析出相Bが殆ど確認されず、そのため強度が低く、打抜加工性にも劣った。また固溶元素が多いため導電率も低めであった。この試験片では微細な析出相Bに代わって、やや成長した最大径が0.04〜0.07μmの析出相が多数観察された。
【0039】
【発明の効果】
以上に述べたように、本発明の銅合金は、Cu−Cr系合金のCuマトリックス中に、各々の最大径が0.1〜10μmのCrまたはCr化合物の析出相Aを1×103〜3×105個/mm2の個数密度で存在させて打抜加工性を改善し、また各々の最大径が0.001〜0.030μmのCrまたはCr化合物の析出相Bを析出相Aの個数密度の10倍以上の個数密度で存在させて強度特性を改善したもので、微細に打抜加工される多ピン・狭ピッチのリードフレームを始め、プレスにより打抜加工される端子・コネクター、スイッチ、リレー材など導電材料全般に適用して生産性の向上が図れる。また本発明の銅合金は熱間加工前に880℃以上980℃未満の温度で熱処理し、冷間加工前または後に360〜470℃の温度で時効処理することにより容易に製造できる。依って、工業上顕著な効果を奏する。
Claims (3)
- Crを0.2〜0.35wt%、Snを0.1〜0.5wt%、Znを0.1〜0.5wt%、Siを0.005〜0.1wt%含み、残部がCuおよび不可避的不純物からなる銅合金において、Cuマトリックス中に、各々の最大径が0.1〜10μmのCrまたはCr化合物の析出相Aが1×103〜3×105個/mm2の個数密度で存在し、且つ各々の最大径が0.001〜0.030μmのCrまたはCr化合物の析出相Bが析出相Aの個数密度の10倍以上の個数密度で存在することを特徴とする打抜加工性に優れた銅合金。
- Crを0.2〜0.35wt%、Snを0.1〜0.5wt%、Znを0.1〜0.5wt%、Siを0.005〜0.1wt%含み、さらにPb0.001〜0.06wt%、Bi0.001〜0.06wt%、Ca0.005〜0.1wt%、Sr0.005〜0.1wt%、Te0.005〜0.1wt%、Se0.005〜0.1wt%、希土類元素0.005〜0.1wt%のうちの1種または2種以上を総量で0.001〜0.1wt%含み、残部がCuおよび不可避的不純物からなる銅合金において、Cuマトリックス中に、各々の最大径が0.1〜10μmのCrまたはCr化合物の析出相Aが1×103〜3×105個/mm2の個数密度で存在し、且つ各々の最大径が0.001〜0.030μmのCrまたはCr化合物の析出相Bが析出相Aの個数密度の10倍以上の個数密度で存在することを特徴とする打抜加工性に優れた銅合金。
- 少なくとも熱間加工および冷間加工を施す、打抜加工性に優れた銅合金の製造方法であって、前記熱間加工前に880℃以上980℃未満の温度で熱処理を施し、前記冷間加工前または後に360〜470℃の温度で時効処理を施すことを特徴とする請求項1または2記載の打抜加工性に優れた銅合金の製造方法。
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| WO2009041197A1 (ja) | 2007-09-28 | 2009-04-02 | Nippon Mining & Metals Co., Ltd. | 電子材料用Cu-Ni-Si-Co系銅合金及びその製造方法 |
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