JP3736112B2 - 目標捜索追尾装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、レーダ装置に代表されるような、装置自らが放射した電磁波の反射波により目標を捜索し追尾するアクティブな目標捜索追尾装置(以下、「ATST(Active Target Searching and Tracking)」という)と、電磁波を放射することなく目標を捜索し追尾するパッシブな目標捜索追尾装置(以下、「PTST(Passive Target Searching and Tracking)」という)を連携動作させることで、効果的に目標を探知、追尾することができるようにする目標捜索追尾装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、遠方にある目標を探知、追尾する装置としてレーダ装置や光波による捜索追尾装置が知られている。このレーダ装置とは、装置自ら電波を放射し、目標から反射して帰ってきた電波を受信することで、目標の方向、距離、速度を測定する装置である。また、光波による捜索追尾装置にはパッシブな方式とアクティブな方式の主として2つの方式があり、パッシブな方式とは目標が自発的に放射する赤外光、あるいは目標によって散乱、反射された太陽等からの光を検出して目標の方向を測定する方式であり、アクティブな方式とは例えばレーザ波などの光波を放射し、目標に反射して帰ってきた光波を受信することで目標の方向、距離、速度等の目標情報を測定する方式である。
【0003】
このような目標捜索追尾装置は航空機、車両、船等に搭載され運用されるが、特に戦闘機、戦闘車両、艦船にとっては、捜索、追尾する対象、すなわち敵側から自分自身を発見されにくくしたいという要求がある。この点で、レーダ装置に代表されるATSTは自らが放射する電磁波を敵側に探知されるという問題がある。
【0004】
このため、電磁波を放射することなく目標を捜索、追尾できる装置が望まれ、目標が自発的に放射する赤外線あるいは目標により反射される太陽等からの赤外線を検出して目標を探知するIRST(Infra−Red Search and Track:赤外線捜索追尾装置)のようなPTSTが開発されつつある。ところがPTSTの場合は、受信される信号にあらかじめ変調をかかっているようにするなどの方法で微弱な信号を選択することができず、探知限界距離性能を充分に得ることが難しい。そのため、狭い範囲について長時間露光することで探知限界距離を上げることになるが、このようにして捜索を行うと一定の領域の捜索に極めて多くの時間がかかってしまうため、追尾は可能でも捜索は事実上不可能ということになる。そのため、このような場合は依然としてレーダ装置による捜索が必要となる。
【0005】
図5に従来装置の構成を示す。以下ではATSTの例としてレーダ装置を、PTSTの例として光波による捜索追尾装置を例にあげて説明する。
1は光波捜索追尾装置(以下、光波目標捜索追尾装置ともいう)、2はレーダ装置、3は火器管制指示装置、4は火器および発射装置、5はオペレータである。オペレータ5は状況に応じてレーダ装置2を使うか、光波捜索追尾装置1を使うか、あるいはその両方を使うかを選択し、図には描かれていないが操作盤を操作することで火器管制指示装置3に指令を与える。火器管制指示装置3は、オペレータ5の指令に従って、光波捜索追尾装置1あるいはレーダ装置2に捜索、追尾等の指示を与え、目標が探知および追尾されると目標の方位、距離などの情報を受け取り、その情報を図には描かれていないがディスプレイ等の表示器を介してオペレータ5に伝える。また、火器管制指示装置3は火器および発射装置4から搭載されている火器の情報を受け、これもオペレータ5に伝える。オペレータ5は搭載火器と目標の情報を判断し、例えば搭載火器としてミサイルの使用を決断すれば、これを発射する指令を火器管制指示装置3に与える。これを受け、火器管制指示装置3は火器および発射装置4に目標情報をインプットし、次いで発射指示が送られ、ミサイルが発射される。なお、従来のレーダ装置2および光波捜索追尾装置1には、個別に操作盤を有するものもあるが、ここではオペレータによる操作は火器管制指示装置3を介して行われるものとした。
【0006】
更に、光波捜索追尾装置1およびレーダ装置2の細部構成について図6に示す。
まずレーダ装置2の細部構成として、12はレーダ捜索追尾処理器、13はアンテナ方向指示器、14はアンテナ駆動装置、15はアンテナ、16は送信機、17は受信機、18はレーダ目標検出処理器である。まず、レーダ捜索追尾処理器12はアンテナ15の指向方向をアンテナ方向指示器13に指令し、アンテナ方向指示器13がアンテナ駆動装置14を駆動することで、アンテナ15の指向方向が捜索パターンに沿って指向する。このようにアンテナ15を動かしながら、送信機16が生成する高電力の信号を電波としてアンテナ15から放射し、同じく受信した電波を受信機17にて解析し、受信した電波と送信した電波の相関をとることで、電波を反射する物体までの距離、速度等が計算される。レーダ目標検出処理器18では、この距離、速度情報とアンテナ方向指示器13から得られるアンテナ方向情報を処理することで、雲や地上などのさまざまな物体の中から目標を選別する。そして目標の情報は火器管制指示装置3およびレーダ捜索追尾処理器12に渡され、目標を追尾する場合には、レーダ捜索追尾処理器12は目標の方向へアンテナ15を向け続けるように、アンテナ方向指示器13に指令を与える。
【0007】
なお、レーダ装置2は別の構成をとる場合もある。図7にこれを示す。28はビーム形成処理器、29はアンテナアレイであり、図6に示すレーダ装置2が固定単一の指向性を持ったアンテナを持つのに対し、図7に示すレーダ装置は複数のアンテナ素子を並べ(以後、「アンテナアレイ」という)、それぞれのアンテナ素子から放射される電波の位相を制御し、全体の放射電波に指向性を持たせるいわゆる「アクティブフェースドアレイレーダ装置(以下、「APAR」と呼ぶ)」である。APARは電子的にアンテナ指向性を制御できるため、アンテナの高利得方向(以下、「アンテナビーム」という)を高速に動かしたり、複数のアンテナビームを同時に形成することができるという特徴がある。
【0008】
次に光波捜索追尾装置1の細部構成として、図6において19は光波捜索追尾処理器、20はカメラ方向指示器、21はカメラ駆動装置、22はカメラ、23は画像処理装置、24は光波目標検出処理器である。まず、光波捜索追尾処理器19はカメラ22の指向方向をカメラ方向指示器20に指令し、カメラ方向指示器20がカメラ駆動装置21を駆動することで、カメラ22の指向方向が捜索パターンに沿って指向する。カメラ22が撮影した画像信号は画像処理装置23によって解析され、目標が検出されるとその画面上での目標の位置および画像的特徴などの情報が光波目標検出処理器24に渡され、この情報とカメラの指向方向から目標方向が精密に計算される。そして目標の情報は火器管制指示装置3および光波捜索追尾処理器19に渡され、目標を追尾する場合には、光波捜索追尾処理器19は目標の方向ヘカメラ22を向け続けるように、カメラ方向指示器20に指令を与える。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
このようにATSTとPTSTを共に備えることで、捜索追尾はできるだけPTSTを使って行い、火器管制はATSTを使用するといった運用が可能となり、被探知性をある程度低く抑えられるようになるが、依然として以下のような問題があった。
【0010】
一つは、PTSTによる火器管制の場合である。
ミサイルのような火器には、発射の際に目標の現在位置および速度がわからないと発射できないものがあるが、PTSTは原理上、目標までの距離および速度を精度良く求めるのに時間がかかり、目標を捉えていても火器が発射できるようになるまでに時間がかかってしまう。また、従来型のある種のミサイルはレーダ装置による誘導が必要であり、PTSTだけでは管制できないため、火器管制時にはあらためてレーダ装置を使用して目標を捜索追尾する必要があり、PTSTによる目標の探知から火器の使用までに時間がかかっていた。さらに、PTSTによる目標追尾ができていても、その目標がレーダ装置によって探知および追尾可能かどうかはわからないため、オペレータにとってレーダ装置が使えるかどうかの判断がつかないという問題もあった。
【0011】
また、PTSTの目標検出手段が光の場合、特に赤外線などは空気密度の低い上空では比較的大気減衰が少ないものの、低空では大気減衰が顕著であるといった問題がある。また、低空では陸上上空に比べ、海上上空の方が湿度が高く、また同じ海上でも赤道に近づくにつれ多湿となり、大気減衰が大きくなる。このような環境要因により、PTSTでは探知限界距離が思いがけず著しく低下する場合があり、このような場合に目標の捜索をPTSTのみによって行い続けると、目標が至短距離に接近するまで目標に気付かず危険であるという問題があった。
【0012】
もう一つは、レーダ装置を代表例とするATSTによる火器管制の場合である。
ミサイルの火器管制にはレーダ装置による正確な距離および速度の計測と、時にはレーダ装置による誘導が必要なのであるが、目標が戦闘機などの場合はレーダ警戒装置や欺瞞装置を有しているのが普通であり、これらによってレーダ電波が探知され、妨害されることがある。但し、レーダ警戒装置がレーダ電波を探知するにはある程度の時間がかかり、また欺瞞装置が効果的な欺瞞をかけるにはレーダ電波の解析が必要であるため、やはり解析にある程度の時間を要する。そのため、レーダ装置が常時レーダ電波を放射しているとこのレーダ電波を探知、解析され、効果的な欺瞞をかけられる可能性が増大する。そこで、既に発見した目標に対してPTSTによる追尾が可能であれば、レーダ装置を停止させ、PTSTにて追尾すればよいのだが、レーダ装置を停止し捜索を中断すると他の目標の接近に気づかず危険であり、それを恐れてレーダ装置による捜索を続行すると、PTSTで追尾している目標からレーダ電波を探知されるという問題があった。
【0013】
追尾においては特開平08−211146により、パッシブセンサを用いてレーダ電波の照射を調整して被探知性を低下させる方法が示されている。
しかし、当該発明における被探知性の低下は追尾に限定され、捜索時の被探知性を低下させることができなかった。
【0014】
この発明は、PTSTを効果的に用いることで、ATSTの問題点である捜索時の放射電磁波が探知される危険性を極力減らすことを目標とし、以下の2つを目的とする。
【0015】
一つめは、ATSTを必要とする従来タイプの火器を管制する必要がある場合に、捜索追尾において効果的にPTSTを用いることで電磁波放射を極力減らすことを目的とする。
【0016】
二つめは、ATSTによる捜索が必要な場合において、ATSTが一つの目標(以下、「甲」という)を発見した後に継続して他の目標の捜索を行うために放射する電磁波を甲に探知、利用され、甲からの対レーダミサイルの攻撃などの危険にさらされたり、あるいは放射する電磁波を甲に解析され、甲からの効果的な欺瞞攻撃により、火器管制時などATSTが真に必要な場合にこれが使用できなくなることを防止しつつ、継続して他の目標の捜索を行えるようにすることを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
この発明の目標捜索追尾装置においては、高度・緯度経度センサと、季節を得るための時計と、大気透過率を計算するためのデータベースと、を持ち、基本的な捜索追尾はPTSTによって行いつつも、PTSTの探知限界距離の推定値を常時計算し、この推定値が小さい場合には捜索追尾をATSTに切り換えることで、期せずして探知限界距離が短い場合にPTSTのみによって捜索追尾を継続することによって発生する危険を回避できるようにする。
【0019】
また、この発明の目標捜索追尾装置においては、ATSTとPTSTの両方の捜索追尾装置と、PTSTが追尾する目標の方向とATSTのアンテナ指向方向の差が一定の値に収まっているかどうかを検出しATSTの電磁波放射をON/OFF制御するアンテナ方向比較器と、を持つことで、ATST探知した目標の追尾をPTSTが引き継ぎ、PTSTの追尾方向へATSTの電波が放射されないようにし、ATSTの捜索を継続しつつ、目標からの被探知性を低減できるようにする。
【0020】
また、この発明の目標捜索追尾装置においては、前記の発明のATSTがAPARの場合でも同様の効果を得るために、APARの電波放射方向を実形成する前段階において電波放射方向がPTSTが追尾する目標の方向と同じかどうかを検出するビーム方向比較器と、を持ち、前記の発明と同様に目標からの被探知性を低減できるようにする。
【0021】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1を説明するものである。以降では戦闘機に搭載される目標捜索追尾装置を例にとり、PTSTとして光波捜索追尾装置を、ATSTとしてはレーダ装置を例に挙げて説明する。
1から5は図5に示す従来の装置と同じである。6はレーダ使用可否判定装置、7はレーダ使用可否判定装置6にレーダの性能諸元を与えるレーダ装置性能データベース、8はセンサ選択装置である。
【0022】
まず、オペレータ5はセンサ選択装置8に対して想定目標種類を設定する。想定目標種類とは、「戦闘機」、「輸送機」、「大型民間航空機」などに分類される目標種類のうちの一つであり、特に設定されない場合は通常値として「戦闘機」が設定される。
【0023】
捜索はオペレータ5が火器管制指示装置3へ捜索を指示することで開始され、火器管制指示装置3からセンサ選択装置8へ捜索範囲の指示とともに捜索開始の指示が出され、センサ選択装置8は光波目標捜索追尾装置1へ捜索範囲の指令および捜索開始の指示を出す。
【0024】
光波目標捜索追尾装置1の捜索で目標が探知され、方向、距離が計算されると、その情報は目標レーダ使用可否判定装置6へ送られる。この際、目標までの距離については得られない場合があるため、その場合は目標方向情報のみが送られる。レーダ使用可否判定装置6は目標方向の情報をレーダ装置2に送り、レーダ装置2は目標の方向ヘアンテナを指向させてスタンバイする。次いでレーダ使用可否判定装置6は、想定目標種類に対するレーダ装置の追尾限界距離をレーダ装置性能データベース7から読み出す。レーダ装置性能データベース7は想定目標種類と典型的な追尾可能な限界距離の組からなり、レーダ装置2の実測性能に応じて作成されたものである。通常、レーダ装置の追尾限界距離は目標航空機の大きさと関係があるため、追尾限界距離は「戦闘機」<「輸送機」<「大型民間航空機」の順に大きくなる。この想定目標種類に対する追尾限界距離と光波目標捜索追尾装置1によって計算された目標までの距離を比較し、追尾限界距離が目標までの距離より大きいと、オペレータ5に対しレーダ装置の使用が可能になったことを通知し、同時にセンサ選択装置8に対してもレーダ使用可能の信号を送る。
【0025】
これにより、センサ選択装置8は火器管制指示装置3からレーダ装置による追尾やイルミネート指示等の、レーダ装置を必要とする火器管制用の指示が出された場合にレーダ装置2に対して必要な指示を伝達できるようになり、従来装置と同様に火器管制指示装置3およびレーダ装置2によって目標の追尾およびイルミネート等の火器管制用の動作が行われ、火器および発射装置4に発射指示が出されて火器が使用されることになる。図1では、現実の構成とは若干異なるもののセンサ選択装置8の動作をわかりやすく示すために、火器管制指示装置3からセンサ選択装置8へ渡される信号がスイッチにより光波目標捜索追尾装置1、レーダ装置2あるいはその両方に接続できるようなイメージで描いてある。
【0026】
なお、光波目標捜索追尾装置1からレーダ使用可否判定装置6に目標までの距離情報が与えられなかった場合は、レーダ使用可否判定装置6は距離情報が来るまで判定を留保する。判定が留保され、センサ選択装置8に対してレーダ使用可能の信号が与えられない状態でセンサ選択装置8に火器管制指示装置3からレーダ装置2を必要とする火器管制用の指示が出された場合、すなわちオペレータ5が敢えて火器の使用を火器管制指示装置3へ指示した場合は、センサ選択装置8からレーダ使用可否判定装置6にレーダ使用可否の問い合わせが行われ、レーダ使用可否判定装置6はレーダ装置2に対して目標方向に対して電波を放射するよう指示を与える。この際、レーダ装置2に与えられる目標方向情報は光波目標捜索追尾装置1からレーダ使用可否判定装置6に与えられた目標方向情報を時間経過分だけ補正してから出力される。
【0027】
これによりレーダ装置2は短時間の電波放射を行い、目標が追尾可能かを判定し、追尾可否判定をレーダ使用可否判定装置6に返す。この際、追尾可否の判断の代わりに測距値をレーダ使用可否判定装置6に返し、この値をもって追尾可否判断をレーダ使用可否判定装置6にて行ってもよい。もちろん、目標を検出できなかった際には検出不能を意味する測距情報を返すことになる。これ以降は光波目標捜索追尾装置1により距離が得られた場合と同様である。
【0028】
以上のような構成をとることにより、目標の捜索において電磁波を放射しない、あるいは使用したとしても極めて短い時間しか使用しないようにできるため、自らを一方的に発見される危険を減少させつつ、火器管制時にはスレーブさせているレーダ装置をすばやく起動させることでレーダ装置を必要とする従来型の火器を遅滞なく使用することができる。同時に、電磁波を放射するATSTの消費電力の多くは目標捜索に使われるため、この捜索を電磁波を放射する必要のないPTSTに行わせることにより消費電力を大幅に削減することができ、他の電子装備を搭載するための電力余裕を作ることができる。加えて本形態では、PTSTとATSTの協調動作をさせる上で、両装置に本質的な変更をする必要がなく、両装置はそれぞれ単体としても使用することができ、従来の装置に軽微な改修を施すことで本構成の構成品として使用することができる。
【0029】
なお、本実施例におけるレーダ装置性能データベース7は、レーダ装置2に内蔵される形態でもよいし、レーダ使用可否判定装置6およびセンサ選択装置8は火器管制指示装置3へ内蔵し、一部をソフトウェアで実現する形態にもできる。
【0030】
実施の形態2.
図2はこの発明の実施の形態2を説明するものである。図2は基本的に図1と同じであり、同番号で示した構成品は同じように機能する。図2の特徴的な部分は、センサ選択装置8に接続された高度・緯度経度センサ9、時計10、および大気透過率データベース11である。
【0031】
まず、光の大気透過率について簡単に説明する。光は大気中の様々な粒子に当たって散乱され、減衰する。大気中の粒子の量と減衰量の計算モデルを明らかにすることで、大気減衰率を計算することができる。大気中の粒子とは、酸素、窒素などの分子、水蒸気、黄砂のような細かい砂粒、海水塩分の微小な結晶など様々であり、これらは大気全体で均一ではなく、上空か低空か、海の上なのか陸の空なのか、熱帯地方か寒帯地方か、季節が夏か冬かによって変化する。特に大きな影響を及ぼすのが、高度、緯度経度、季節であり、様々な高度、緯度経度、季節での粒子密度を測定し、標準的な値をあらかじめ測定し、データベース化しておけば、高度、緯度経度、季節から大気透過率を計算することができる。このようなデータベースは市販もされている。
【0032】
センサ選択装置8は、高度・緯度経度センサ9にて測定された自機の高度、および緯度経度情報と、時計10から送られる日付すなわち季節と、火器管制指示装置3から送られる捜索方向範囲情報を用いて、その範囲内の各方向について、光波目標捜索追尾装置1の大気透過率と距離の関係を大気透過率データベース11のデータを用いて計算する。想定目標が放射する標準的な赤外線量は、レーダ装置性能データベース7中の各想定目標種類に対応して記録されており、センサ選択装置8は目標から放射される赤外線が大気透過率により減衰され、光波目標捜索追尾装置1が目標を検出できなくなる限界の距離、すなわち探知限界距離の推定値を計算する。次いでセンサ選択装置8は、探知限界距離の推定値が後述の必要探知限界距離以上である領域に対して、実施の形態1に示したようにその方向に対する捜索に光波目標捜索追尾装置1を優先して用い、それ以外の領域は捜索にレーダ装置2を使用する。必要探知限界距離とは、捜索方向に地表あるいは海面がある場合はそこまでの距離で、そうでなければ捜索方向に延ばした直線が設定高度と交差するまでの距離であり、両距離とも一定値を超える場合はその一定値とした距離である。この一定値とは捜索時に最低限必要な探知限界距離のことであり、設定高度とは通常の航空機が飛翔可能な最大高度であり、これらはあらかじめ設定された値である。このようにするのは、PTSTが航空機に搭載されている場合、捜索方向が下方である場合は地表以遠の探知距離はあり得ず、探索方向が上方の場合も通常は航空機の上昇限界高度を超えることはないため、捜索方向が上方あるいは下方であれば、たとえPTSTにとって探知限界距離が低下した環境条件であっても、その方向にとっては目標の捜索に支障がないからである。
【0033】
以上のような構成をとることにより、捜索において優先的に使用されるPTSTの探知限界距離が周囲の環境要因により所望の性能を発揮できない場合に、自動的に従来の目標捜索追尾装置であるATSTによる捜索に切り替わるため、探知限界距離を一定値以上に保つことができ、探知限界距離が極めて短くなっていることに気付かず運用し続けるといった危険を回避できるようになる。また、捜索範囲をPTSTとATSTとで分割できる場合は捜索時間が短縮され、捜索範囲に対する走査の繰り返し周期が短くなるため、走査の直後に探知可能となった目標が次の走査まで未発見の状態となってしまう、いわゆる目標の取りこぼし時間が短縮され、あるいは同じ走査周期であれば捜索範囲を広くとることができるようになる。
【0034】
実施の形態3.
図3はこの発明の実施の形態3を説明するものである。1、2および12から24は図6に示す従来の装置と同じである。25は情報伝達装置、26はアンテナ方向比較器であり、この2つは本形態において特徴的な装置である。目標の捜索から追尾に至るまでは従来のレーダ装置と同じである。追尾に入ると、レーダ捜索追尾処理器12から目標方向、距離、速度等の目標情報が情報伝達装置25に出力される。情報伝達装置25はレーダ装置2から周期的に与えられる目標情報を用い、次の目標情報が与えられるまでの間の目標情報を計算によって補間し、これを光波捜索追尾処理器19へ出力する。光波捜索追尾処理器19は与えられた目標情報に従ってカメラ22を目標方向に指向させ、目標が探知できるまで目標方向を凝視しつづけ、目標が探知されればこれを追尾する。光波捜索追尾処理器19は、目標追尾状態に入ると、追尾目標の方向と距離をアンテナ方向比較器26へ出力する。アンテナ方向比較器26へは同じくレーダ装置2のアンテナ方向指示器13からアンテナの方向を受け、これを光波捜索追尾処理器19の追尾目標方向と比較し、追尾目標にレーダ電波が照射されるような方向関係であれば送信機16に対してレーダ電波の停波信号を送る。このレーダ電波が送信されない空間領域をブラインド領域と呼ぶことにする。これにより、受信機17においては目標からの反射電波を受信できないわけで、自動的にレーダ装置2は目標を見失った状態となり、捜索を再開(レーダ装置2による目標追尾が「追尾をしながら同時に捜索するモード」にあったならば、追尾を中止し、捜索は単に継続)するが、光波目標捜索追尾装置1が追尾している目標の方向はブラインド領域となるため、同じ目標に対して再び追尾状態に入ることはない。以後、目標は光波目標捜索追尾装置1により追尾が継続されるが、仮に光波目標捜索追尾装置1が目標を見失うとレーダ装置2の捜索範囲からブラインド領域が消えるため、目標がレーダ装置2の探知可能な場所にいれば自動的に再びレーダ装置2により再探知される。また、光波目標捜索追尾装置1が単独で捜索して目標を探知し、追尾に入った場合も自動的にブラインド領域が形成され、不要なレーダ電波の放射を防止する。火器の使用にあたってレーダ装置2の使用が必要となると、火器管制指示装置3からアンテナ方向比較器26へ比較動作のキャンセル信号が出力され、レーダ電波の放射が可能になり、従来装置と同様のレーダ装置2による目標追尾、イルミネート等が可能となる。
【0035】
以上のような構成をとることにより、目標の発見後に続けて他の目標の捜索を行う際に、既に発見された目標に対しては極力電磁波を放射しないことで、目標によって自らを発見される可能性を低減し、仮に目標が自らを発見することがあっても、自らの放射電磁波の特徴を調べる時間的余裕を与えないことで効果的な欺瞞をかけられる可能性を低減し、また電磁波放射源を目標に攻撃してくる対レーダミサイルのような脅威に襲われる危険を回避することができるようになる。また、図3のアンテナ方向比較器26はレーダ装置の外に置くことができるため、第1の発明と同様、PTSTとATSTの協調動作をさせる上で両装置に本質的な変更をする必要がなく、両装置はそれぞれ単体としても使用することができ、従来の装置の軽微な改修で本構成の構成品として使用することができる。
【0036】
本構成において、情報伝達装置25はレーダ装置2と光波目標捜索追尾装置1をつなぐ情報伝送経路と、レーダ装置2あるいは光波目標捜索追尾装置1に組み込まれたソフトウェアによって実現することもできる。また、アンテナ方向比較器26も送信機16にソフトウェアの形で組み込むことができ、あるいはレーダ装置2の外部に独立した装置として構成することもできる。
【0037】
実施の形態4.
図4はこの発明の実施の形態4を説明するものである。本形態は、基本的には形態2と同様の効果を狙ったものであり、図3と同番号の構成品については同じ動作をする。図3との違いとして、27はビーム方向比較器、28はビーム形成処理器、29はアンテナアレイである。本形態と実施の形態2との違いは、レーダ装置が、固定単一の指向性を持ったアンテナではなく、複数のアンテナ素子を並べ(以後、「アンテナアレイ」という)それぞれからの放射電波の位相を制御し、全体の放射電波に指向性を持たせるいわゆる「アクティブフェースドアレイレーダ装置(以下、「APAR」と呼ぶ)」である点である。このため、図4では図3にあるアンテナ駆動装置14は必要ない。APARは電子的にアンテナ指向性を制御できるため、アンテナの高利得方向(以下、「アンテナビーム」という)を高速に動かしたり、複数のアンテナビームを同時に形成することができるという特徴がある。このため、アンテナビームが目標方向に向いたときに電波を停波するような構成にすると、同時に形成されている他方向のアンテナビームについても停波してしまう問題がある。また、アンテナビームが1本であっても、目標方向へアンテナビームが指向した際にわざわざ電波を停波することなく、アンテナビームをスキップさせれば走査時間のロスを無くすことができるという利点もある。本形態では、ビーム方向比較器27により、レーダ捜索追尾処理器12から出力されるアンテナビーム方向指令と光波捜索追尾処理器19からの目標方向の差がアンテナビーム拡がり角の半分以下の場合、その方向に対するアンテナビーム方向指令をキャンセルする。キャンセルされたアンテナビーム方向以外に指令されたアンテナビーム方向があれば、それらはそのままビーム形成処理器28に出力し、ビーム形成処理器28ではそれらの方向へアンテナビームが形成されるようアンテナアレイの位相を制御し、アンテナビームを形成する。キャンセルされたアンテナビームについては、そのビームがキャンセルであることをレーダ捜索追尾処理器12へ伝え、レーダ捜索追尾処理器12はアンテナビーム方向をアンテナビーム幅分だけ先行させ、改めてアンテナビーム形成を指令する。このため、レーダ作動中においては、アンテナアレイへ種信号を与える送信機は基本的に停止しない。
【0038】
以上のような構成をとることにより、第3の発明と同様の効果を、APARに対して得ることができるようになる。
【0039】
【発明の効果】
第1の発明では、目標の捜索において電磁波を放射しない、あるいは使用したとしても極めて短い時間しか使用しないため、自らを一方的に発見される危険を減少させつつ、火器管制時にはスレーブさせておいたレーダ装置をすばやく起動させることでレーダ装置を必要とする従来型の火器を遅滞なく使用することができるようになる。
【0040】
第2の発明では、捜索において優先的に使用されるPTSTの探知限界距離が周囲の環境要因により所望の性能を発揮できない場合に、従来の目標捜索追尾装置であるATSTによる捜索が行われるため、探知限界距離を一定値以上に保つことができるようになる。
【0041】
第3の発明では、目標の発見後に続けて他の目標の捜索を行う際に、既に発見された目標に対しては極力電磁波を放射しないことで、目標によって自らを発見される可能性を低減することができるようになる。
【0042】
第4の発明では、第3の発明と同様の効果を、APARに対して得ることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1の概略構成図である。
【図2】 この発明の実施の形態2の概略構成図である。
【図3】 この発明の実施の形態3の概略構成図である。
【図4】 この発明の実施の形態4の概略構成図である。
【図5】 図1および図2に対応する従来装置の構成図である。
【図6】 図3に対応する従来装置の構成図である。
【図7】 図4に対応する従来装置の構成図である。
【符号の説明】
1 光波捜索追尾装置、2 レーダ装置、3 火器管制指示装置、4 火器および発射装置、5 オペレータ、6 レーダ使用可否判定装置、7 レーダ装置性能データベース、8 センサ選択装置、9 高度・緯度経度センサ、10 時計、11 大気透過率データベース、12 レーダ捜索追尾処理器、13 アンテナ方向指示器、14 アンテナ駆動装置、15 アンテナ、16 送信機、17 受信機、18 レーダ目標検出処理器、19 光波捜索追尾処理器、20 カメラ方向指示器、21 カメラ駆動装置、22 カメラ、23 画像処理装置、24 光波目標検出処理器、25 情報伝達装置、26 アンテナ方向比較器、27 ビーム方向比較器、28 ビーム形成処理器、29 アンテナアレイ。
Claims (3)
- 電磁波を目標に対して放射し目標から反射してきた電磁波を受信することにより目標の方向、距離、速度等の目標情報を測定するアクティブな目標捜索追尾装置と、
電磁波を放射することなく目標が自発的に発する電磁波あるいは目標で反射される電磁波を捉えることにより目標の方向及び距離を測定するパッシブな目標捜索追尾装置と、
捜索追尾を行うための制御指令を上記アクティブな目標捜索追尾装置または上記パッシブな目標捜索追尾装置のいずれかに出力するセンサ選択装置と、
所定の目標種類に対する追尾限界距離と上記パッシブな目標捜索追尾装置によって検出された目標との距離を比較することにより、上記アクティブな目標捜索追尾装置によって当該目標の探知および追尾の可能性を判断し、上記センサ選択装置のセンサ選択を制御する判定装置と、
上記アクティブな目標捜索追尾装置または上記パッシブな目標捜索追尾装置の高度と緯度経度を測定するための高度・緯度経度センサと、
日付データまたは季節情報を得るための時計と、
大気透過率を計算するためのデータベースとを持ち、高度、緯度経度、季節によって選択される大気透過率データを用いて上記パッシブな目標捜索追尾装置の探知限界距離の推定値を計算し、この探知限界距離の推定値があらかじめ設定された所定のしきい値より小さい場合に目標の捜索に上記アクティブな目標捜索追尾装置
を使用することを特徴とする目標捜索追尾装置。 - 電磁波を目標に対して放射し目標から反射してきた電磁波を受信することにより目標の方向、距離、速度等の目標情報を測定するアクティブな目標捜索追尾装置と、電磁波を放射することなく目標が自発的に発する電磁波あるいは目標で反射される電磁波を捉えることにより目標の方向を測定するパッシブな目標捜索追尾装置と、上記パッシブな目標捜索追尾装置が追尾する目標の方向と上記アクティブな目標捜索追尾装置のアンテナ指向方向の差が所定値以内か否かを検出し上記アクティブな目標捜索追尾装置の電磁波放射をON/OFF制御するアンテナ方向比較器とを具備したことを特徴とする目標捜索追尾装置。
- 電磁波を目標に対して放射し目標から反射してきた電磁波を受信することにより目標の方向、距離、速度等の目標情報を測定するアクティブな目標捜索追尾装置として複数のアンテナ素子を並べこれら複数のアンテナ素子の位相を調整することによりアンテナの各方向に対する利得を設定できるようなアンテナを持つアクティブな目標捜索追尾装置と、電磁波を放射することなく目標が自発的に発する電磁波あるいは他の電磁波源が放射する電磁波を目標で反射され電磁波を捉えることにより目標の方向を測定するパッシブな目標捜索追尾装置と、上記アクティブな目標捜索追尾装置のアンテナの高利得方向を実形成する前段階においてこの高利得方向が上記パッシブな目標捜索追尾装置が追尾する目標の方向と一定の誤差の範囲で同方向を向いているかどうかを検出し、この検出結果に基づき、上記アクティブな目標捜索追尾装置による目標捜索時に、上記パッシブな目標捜索追尾装置が追尾している目標方向に上記アクティブな目標捜索追尾装置による電磁波放射を行わない様にしたビーム方向比較器とを具備したことを特徴とする目標捜索追尾装置。
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