JP3740247B2 - 工具ホルダ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、切削工具を工作機械のスピンドルに装着するための工具ホルダに係り、特に、工作機側から供給される潤滑用又は冷却用の液体を主軸内を通して切削工具の切削部に供給する構造を備えた工具ホルダに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より知られているオイルホール付きの回転切削工具は、オイルホールに供給される切削油を刃先部より抽出しつつ切削を行わせることにより、刃先部の冷却と潤滑を図り、切削工具の耐用寿命を延ばすと共に仕上げ面を良好にし得る特徴がある。
【0003】
こうしたオイルホール付き回転切削工具用の工具ホルダとしては、従来、工作機械のスピンドルに取り付けられる主軸と、この主軸内を通してオイルホール付き回転切削工具の先端に対する給油を行うための主軸内油路と、主軸を回転可能に支持するケースと、工作機械に設けられた給油台と接続されて工作機械から油を受け取る受油機構と、この受油機構内の油をケースの内側へ送り込むための油道と、ケースと主軸との間に介装されるシール機構とを備えるものが知られている。
【0004】
さらに、この種の工具ホルダにおけるシール機構の取り替えを容易にするために、軸受けとしてのケースの先端側において、スリーブを主軸側に着脱自在に固定し、このスリーブの外側にケースに対して着脱自在に油密リングを固定し、さらに、この油密リングに対して受油機構からの油道を着脱自在に固定することによって、軸受け部分を分解しなくてもシール機構を取り替えることができるようにしたものが知られている(特開平7−1280号公報参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この公報記載の工具ホルダにおいては、最初に油道を取り外さないと油密リングを取り外すことができない。このため、シール機構の取り替え工数の削減は未だ十分ではないという問題があった。
【0006】
また、軸受け部とシール機構とを分離させたことから、油密リングは軸受け部側で一端だけを支持された筒体としての挙動を示すこととなり、受油機構に作用する油圧やスプリング圧によって、主軸に対して傾かされる力が作用し、これによって油密リング内面とスリーブ外面とが受油機構側でだけ強く接触することになっていた。
【0007】
このため、上記公報記載の工具ホルダでは、それ以前に比べてシール機構の取り替えが容易になった反面、シール機構で偏摩耗が発生し、取り替え頻度がかえって増してしまい、ある期間内でのトータルの取り替え工数という観点でみたときは、工数削減が不十分かあるいは逆に工数が増加する可能性もあるという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、シール機構を着脱し易くすると共に、それによってシール機構の偏摩耗が生じない様にすることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の工具ホルダは、工作機械のスピンドルに取り付けられる主軸と、
該主軸内を通して、該主軸に装着される工具の切削部に対する潤滑用及び/又は冷却用の液体の供給を行うための主軸内流路と、
前記主軸を回転可能に支持するケースと、
前記工作機械に設けられた液体供給機構と接続されることにより、該液体供給機構から前記液体を受け取る液体受け取り機構と、
該液体受け取り機構と前記ケースとの間に装着され、該液体受け取り機構内の前記液体を、前記ケースに設けた液体侵入孔を介して該ケースの内側へ送り込むための液体通路と、
前記ケースと、前記主軸の周囲に対して固定されて主軸と一体的に回動するスリーブとの間に介装され、前記液体侵入孔を介して前記ケース内に供給される前記液体のシールを行うシール機構とを備える工具ホルダにおいて、
前記ケースが、前記主軸を回転可能に支持するための軸受け部と、該軸受け部に対して工具装着側に設けられ、その内側に、前記主軸との間に全体がほぼ収まる様に前記シール機構を前記工具装着側から軸方向に挿入可能な開放空間を備えると共に、その外側に前記液体通路を固定されるシール収納部とを備え、
前記シール機構が、上記主軸の周囲に対して固定されて主軸と一体的に回動するスリーブの外周面に接触するシールと、該シールを保持すると共に前記ケース側に着脱自在に取り付けられるシールケースとによって構成され、
前記ケースの前記シール収納部には、外側からシールケース脱着用工具を挿入することによって前記シールケースを前記ケースに対して脱着するためのシールケース脱着操作孔が形成され、
一方、ケースの内側に挿入された上記シールケースの外周面においては、上記シールケース脱着操作孔と軸線を一致させることができる位置にネジ孔を備えさせ、そのネジ孔には止めボルトを螺合させ、かつその止めボルトの頭部は、上記シールケース脱着操作孔内に引っかかり、
上記シールケースが前記ケースに対して 前記工具装着側に向けて軸方向に移動しないように構成してある。
【0010】
この発明の工具ホルダによれば、シールあるいはスリーブを取り替える際には、まず、ケースの操作孔から脱着用工具を挿入してシールケースをケースから切り離し、これを抜き取る。そして、同じく操作孔から脱着用工具を挿入してスリーブを主軸から切り離し、これを抜き取る。こうして抜き取ったシールケース及びスリーブの内、取り替えの必要な部品を取り替え、再び、スリーブ、シールケースの順番でケースのシール収納部に対してシール機構を装着する。この際、液体受け取り機構とケースとを結ぶ液体通路は取り外さなくてもよい。従って、取り替え工数自体が従来より少なくなる。
【0011】
また、この工具ホルダによれば、シール機構をケースの内側に全体がほぼ収まる様に収納し、液体受け取り機構からの液体通路をケースに対して固定するようにしたので、液体受け取り機構に加わる液体圧等はケースが支えることになる。よって、シールケースはこうした液体圧等を直接受けることがなく、スリーブに対して偏った接触状態となり難い。従って、シールの偏摩耗も発生し難く、シールの寿命が延びる分だけ取り替えの回数が減ることになる。特に、前記シールケースを、前記ケースに対して半径方向に摺動可能な様に取り付けるようにすると、この作用がより一層確実となる。
【0012】
また、前記ケースと前記シールケースとの間には、前記ケースが前記液体受け取り機構に加わる力によって前記主軸に対して傾いても、該傾いたケースと前記シールケースとが接触しない程度の隙間が形成されているようにすると一層よい。このように構成することで、「傾いたケースがシールケースに偏当たりしたためにシールがスリーブに偏当たりし、偏摩耗してしまう。」といったおそれがなくなり、寿命向上に関して一層の信頼性が得られるからである。
【0013】
ところで、上述の様にシール機構をケースの内側に全体がほぼ収まる様に装着した場合、ケース、シール機構及び主軸の三者は、それぞれがOリング等のシール部材によって液密を保つことができるように組み立てられるのが常であるため、以下の問題が生じ得る。
【0014】
その一つは、こうした液密が保たれた状態に組み立てられているシール機構の内のシールケースを抜き出そうとすると、何も工夫していない場合にはその奥の空間が負圧となるため、シールケースを抜き出し難くなるという問題である。これとは逆に、シールケースを挿入するときは奥の空間の空気がうまく抜けず、シールケースをなかなか挿入できないといった問題も起こり得る。
【0015】
そこで、本発明においては、さらに、前記ケースのシール収納部に、内部に収納された前記シール機構と前記軸受け部との間の空間を大気に連通させる大気連通孔を形成しておくとよい。こうすることで、シールケースを抜き差しする際に、その奥の空間の空気は大気連通孔を通じて自由に流通することができ、抜き取り及び挿入の邪魔をすることがないからである。これによって、シール機構の部品交換が容易になり、さらに取り替え工数を削減することができるという、より有利な効果を奏する。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下本願の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、工作機における加工エンド付近の構造を示し、Aはマシニングセンタ等の工作機本体、Bは上記本体に工具を取付ける為の工具ホルダ、Cは工具である。
【0017】
工作機本体Aは周知のもので、2はフレーム、3はスピンドル、4は軸受、5はホルダ装着孔で、テーパ状に形成してある。6はフレーム2に取付けた給油台、7はその先端部に設けた凹穴、8はシール用のOリング、9は油道で、油を供給する為のポンプに周知の如く連結してある。尚上記油は例えば切削油あるいはクーラント等である。それらとしては油の他に水が利用される場合もあるが、本件明細書中においてはそれらをまとめて油と呼ぶ。
【0018】
次に工具ホルダBについて説明する。
工具ホルダBは、スピンドル3によって回転される主軸20と、主軸20を介して工具Cに油を供給するための受油機構30と、ベアリング41を介して主軸20を回転可能に支持するケース40と、受油機構30とケース40とを連結する受油台60と、ケース40と主軸20との間に設けられ、受油機構30から供給される油に対するシール機構70とを備えている。
【0019】
主軸20には、工作機本体Aのホルダ装着孔5に嵌合されるテーパ形状の突子21、図示しないマニュピレータの爪が嵌合する溝22aを有するホルダ把持部材22、油を工具Cに供給するための油孔23,24、及び、工具Cの受具25aを備えた工具装着孔25が設けられている。
【0020】
受油機構30は、給油台6の凹穴7に嵌合される受油筒31と、この受油筒31を軸方向摺動自在に保持すると共に受油台60に嵌合固定される蓋体32とから構成されている。これらの内、受油筒31の内部には、スリーブ33が嵌合されている。そして、スリーブ33の図示右側には蓋体32から受油筒31を押し離す方向の付勢力を発揮するスプリング34が装着されると共に、左側には弁体35を弁座35aに押し付ける方向の付勢力を発揮する弁体押しバネ36が装着されている。また、受油筒31の外側には、係止片37が螺着されている。この係止片37は、主軸20にネジ止めされる係止リング26の嵌合凹部26aに嵌合することにより、マガジン装着時に主軸20が回転しないようにしておくためのものである。
【0021】
蓋体32には、蓋体32及び受油筒31によって形成される油室38から外部へ油を排出するための油孔38aが形成されている。また、この油孔38aの開口位置を含み、蓋体32の外周の一部を細径とすることによってリング状の窪み32aが形成されている。これにより、油室38内に充填された油は、油孔38a及び窪み32aを経て受油台60へと排出されるのである。
【0022】
ケース40は、図2に示す様に、図示左側部分にベアリング41,41を内嵌されると共に、中央より右側部分をシール機構70を抜き差し可能な開放スペース42とされている。そして、図3に拡大して示す様に、各ベアリング41の内レース41aは、主軸20に嵌合されるベアリング押さえリング43a,43b及び主軸20に螺着されるベアリング固定リング44aによって、主軸20側に固定されている。反対に、各ベアリング41の外レース41bは、ケース40側に形成された段部40aとケース40に内嵌されるベアリング押さえリング43cとの間に挟まれると共に、ケース40に螺着されるベアリング固定リング44bによってケース40側に固定されている。なお、各ベアリング固定リング44a,44bは、止めネジ45,45によって緩みを防止されている。
【0023】
ケース40の開放スペース42側の壁には、シールケース71の止めボルト71aを締め付けたり緩めたりするための操作孔46が貫通されている。また、受油台60の油道61を嵌合し、この油道61から油を導入するための段付き孔47も貫通されている。さらに、開放スペース42の内壁には、前述の操作孔46及び段付き孔47を挟む様に、Oリング48,48が嵌合される2本のリング溝49,49が設けられている。そして、このリング溝49,49の間の部分には、内壁面を周回するリング状の窪み50が形成されている。また、ケース40には、開放スペース42の左端空間51を大気と連通させるための大気連通孔52が形成されている。
【0024】
次に、受油台60について説明する。受油台60は、図1〜3に示す様に、ケース40の段付き孔47に一端を嵌合される油道61と、この油道61の他端が嵌合されると共に受油機構30の蓋体32に外嵌する保持部62と、保持部62をケース40に対して固定する固定部63とから構成されている。保持部62には、ケース40の段付き孔47と同様の段付き孔64が形成されており、ここに油道61が嵌合されている。油道61は、この段付き孔64、蓋体32の細径部32a及び油孔38aを介して、受油機構30の油室38と連通している。また、油道61は、各段付き孔47,63に対して、Oリング65,65にてシールされている。
【0025】
次に、シール機構70について説明する。シール機構70は、図3,図4に示す様に、止めボルト71aによってケース40側に一体化されるシールケース71と、主軸20に対して止めボルト72aで固定されるスリーブ72と、シールケース71及びスリーブ72の間に装着されるシール73とを備えている。
【0026】
ここで、スリーブ72は、例えばスチール製で、その外周面においてシール73の内周縁が摺接する部分には、耐摩耗性を高める為の硬化処理、例えばセラミック等の硬質材の溶射或いは窒化チタンのコーティングやハードクロムメッキが施される。或いはスリーブ72自身が硬質材で形成される場合もある。スリーブ72には、図4(B)に示す様に、前述の止めボルト72aの頭部を通すことのできる大きさの円孔72bが4個設けられている。また、この円孔72bの形成される部分には、内外それぞれにおいてスリーブ72を周回するリング状の窪み72c,72dが形成されている。そして、スリーブ72は、主軸20に形成された段部27に左端が当接する様に図1において右側から主軸20に装着されると共に、止めボルト72aを主軸20に設けたネジ孔28にねじ込むことによって、油孔23と円孔72bとがほぼ一致する位置に固定されるようになっている。なお、スリーブ72と主軸20との間には、Oリング29,29が装着され、両者の間のシールが保たれる様になっている。また、ネジ孔28は、ケース40の操作孔46と軸線を一致させることができる位置に形成されている。
【0027】
一方のシール73は、例えば四フッ化エチレンのような耐摩耗性が高く滑りの良好な材料で形成されたものが用いられる。このシール73は、図3,図4(A)に示す様に、シールケース71側に固定されるようになっている。また、シール73は、内側シール片73aと外側シール片73bと止付片73cとから図示の様な断面形状のリングとして構成されている。そして、止付片73cをシールケース71の凸部74とシール保持リング75とで挟み、シール押さえリング76をシールケース71に螺合させて締め付けることによって、シール73をシールケース71に固定している。なお、シール押さえリング76には、緩み防止用の止めネジ76aが螺合されている。
【0028】
また、シールケース71には、前述の止めボルト71aが螺合されるネジ孔77と、油室38内においてシール73側へと油を流通させるための油孔78とが形成されている。受油機構30の油室38に満たされた油は、図3(B)に矢印で示す様に、油孔38a,窪み32a,段付き孔64,油道61,段付き孔47,窪み50,油孔78を経てシール73の装着された空間に導入され、さらに、スリーブ72の窪み72d,円孔72b及び窪み72cを経て主軸20の油孔23に侵入し、さらに軸方向に伸びる油孔24を通って工具受け具25aの油孔81へと侵入し、その先に装着される工具C内に形成された油路82を通過して工具Cの先端へと供給される様になっている。
【0029】
ここで、本実施の形態においては、図1,図3,図5に示す様に、ケース40とシールケース71との間には隙間91を意図的に形成してある。この隙間91は、シールケース71をケース40に対して浮遊状態に保ち、Oリング48,48とケース40及びシールケース71によって区画される所定の大きさの空間が確保できるようにするためのものである。また、止めボルト71aと操作孔46の間にも隙間92が設けられている。そして、止めボルト71aの頭部外周にはOリング71bが装着され、操作孔46からの油漏れを防止するようになっている。シールケース71は、この止めボルト71aの頭部が操作孔46内に引っかかった状態となることによって、ケース40側に半径方向へは移動自在に取り付けられた状態となる。
【0030】
次に上記構成のものの使用方法及び使用状態を説明する。
上記構成の工具ホルダBは、マガジン内に収納されている状態では係止片37が嵌合凹部26aに嵌合して主軸20の回転が阻止されている。上記工具ホルダBを工作機本体Aに装着する場合には、主軸20の突子21をスピンドル3の装着孔5に向けその軸線方向に挿入し周知の如く連結する。すると受油機構30の受油筒31は給油台6に当接して蓋体32の内部に向けて押し動かされ、その結果、係止片37が嵌合凹部26aからはずれ、主軸20の回転が自在の状態となる。
【0031】
上記装着状態においてスピンドル3が回転すると主軸20が一体に回転し、工具Cも一体に回転して周知の切削加工がなされる。主軸20の回転数は1分当たり例えば数百〜8000回転程度である。その過程において給油台6の油道9を通して送られてくる油は弁35を押し開いて受油筒31内に流入し、前述の通り、油室38、油道61等を通ってシールケース71の内側に至り、さらに、主軸20の内部に侵入して工具Cの先端に供給される。この油によって、切削作業中の潤滑乃至は冷却が行われる。
【0032】
上記給油の際に、シール73はスリーブ72とシールケース71との間での油漏れを防止する。この場合、シール73としては前述の如き形状のものが用いられている為、送り込まれる油の圧力が高ければ高い程内外のシール片73a,73bは夫々スリーブ72の外周面及びシールケース71の内壁に強く押し付けられ、油漏れを確実に防止する。ここで、スリーブ72とシール73とは擦れ合っているため、これらは次第に次第に摩耗していく。そこで、次に、スリーブ72及びシール73が摩耗した場合におけるそれらの取り替えについて説明する。
【0033】
スリーブ72やシール73の取り替えに当たっては、まず、主軸20の先端に設けられている口金93を取り外す。続いて、操作孔46から工具を挿入し、止めボルト71aを緩めて抜き取る。これにより、シールケース71がケース40に対してフリーとなり、図1において右方向へと引き抜くことができるようになる。
【0034】
こうしておいてシールケース71を引き抜いたら、次に、操作孔46から再び工具を挿入し、スリーブ72の抜き取りを阻止している止めボルト72aを緩めて抜き取る。これにより、今度はスリーブ72が主軸20に対してフリーとなるので、スリーブ72もまた図1において右方向へと抜き取ることができる。
【0035】
この様に、本実施の形態においては、ケース40においてベアリング41,41を収納する部位とシール機構70を収納する部位とを軸方向に分離させた構造を採用することによって、ベアリング41,41を分解しなくてもシール73及びスリーブ72の取り替えを行うことができる。また、シール機構70をケース40の内側にほぼ全体が収まる様に収納し、油道61はケース40に対して連結する様にしたので、シール機構70の取り替えを行う際に油道61を取り外さなくてもよい。従って、シール機構70の取り替えに要する工数を従来よりも一層削減することができる。しかも、シール機構70をケース40の内側にほぼ完全に収納しているにもかかわらず、開放空間42の左端空間51を大気連通孔52によって大気と連通させているので、シールケース71を抜き差しする際に開放スペース42に対する大気の給排がなされ、スムーズな抜き差しを可能にしている。即ち、大気連通孔52を設けることは、上記の様な取り替え工数の削減に対してさらに有利な効果を発揮しているといえる。
【0036】
ところで、この様な工具ホルダBにおいては、受油機構30においては、内部のスプリング34が蓋体32を軸方向に押す力が加わる上、油室38の内圧も加わる。このため、ケース40は、これらの力を油道61を介して受け、主軸20に対して傾いた状態となる。そのときのX−X断面を図5(B)に示す。同図(A)と比べると分かる様に、ケース40とシールケース71の間の隙間91が油道61側において狭くなっている。しかしながら、本実施の形態では、先に説明した様に、ケース40とシールケース71との間に、意図的に隙間91を設けてあるので、この様にケース40が傾いてもケース40とシールケース71とが接触しない。よって、シール73とスリーブ72の接触圧力が部位によって異なることがなく、シール73が偏摩耗するといったことがない。換言すれば、スプリング34の圧力や油圧によってケース40が傾いてもシールケース71とケース40とが接触しない程度の隙間91を設けることによって、シール73の偏摩耗を防止することができるのである。この様な観点から隙間91の寸法を決定すればよい。隙間91の具体的な寸法は、工具ホルダBの寸法、材質、構造的な特徴等によって決定すればよいが、例えば、0.05mm〜0.3mm程度にするとよい。もちろん、これよりも広い隙間としてもよい。但し、あまり広すぎるとOリングによるシール性能を十分に維持できなくなる場合があるので、この点に留意する必要がある。
【0037】
以上、本発明の一実施の形態について説明してきたが、本発明はこれに限られず、さらに種々なる態様で実施できることはもちろんである。
【0038】
【発明の効果】
以上の様に、本発明にあっては、工具ホルダにおけるシール機構の取り替えに当たって、軸受け部を分解する必要がないばかりか、液体受け取り機構とケースとを結ぶ液体通路もそのままにしておいてよく、きわめて少ない工数でシール機構を取り替えることができる。
【0039】
しかも、この様に軸受け部を分解しなくてもよい構造にした結果として従来発生していた偏摩耗の問題についても、ケースに対して液体通路を接続し、シールケース自体を直接押圧しないように構成したことによって改善が図られている。特に、請求項3,4記載のものにおいては、ケースが傾いてもシールケースまで傾かない様にすることができており、偏摩耗による寿命短縮に対して効果があり、一層の工数削減を可能にしている。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態における工具ホルダ及び工作機本体の関係を示す断面図。
【図2】 実施の形態における工具ホルダの断面図。
【図3】 実施の形態における工具ホルダの一部拡大断面図。
【図4】 実施の形態における工具ホルダのシール機構を構成する部品の拡大断面図。
【図5】 実施の形態における工具ホルダの作用を示し、図1におけるX−X部分の拡大断面図。
【符号の説明】
20 主軸
30 受油機構
38 油室
40 ケース
41 ベアリング
42 開放スペース
46 操作孔
52 大気連通孔
60 受油台
61 油道
70 シール機構
71 シールケース
71a 止めボルト
72 スリーブ
72a 止めボルト
73 シール
91 隙間
92 隙間
Claims (4)
- 工作機械のスピンドルに取り付けられる主軸と、
該主軸内を通して、該主軸に装着される工具の切削部に対する潤滑用及び/又は冷却用の液体の供給を行うための主軸内流路と、
前記主軸を回転可能に支持するケースと、
前記工作機械に設けられた液体供給機構と接続されることにより、該液体供給機構から前記液体を受け取る液体受け取り機構と、
該液体受け取り機構と前記ケースとの間に装着され、該液体受け取り機構内の前記液体を、前記ケースに設けた液体侵入孔を介して該ケースの内側へ送り込むための液体通路と、
前記ケースと、前記主軸の周囲に対して固定されて主軸と一体的に回動するスリーブとの間に介装され、前記液体侵入孔を介して前記ケース内に供給される前記液体のシールを行うシール機構とを備える工具ホルダにおいて、
前記ケースが、前記主軸を回転可能に支持するための軸受け部と、該軸受け部に対して工具装着側に設けられ、その内側に、前記主軸との間に全体がほぼ収まる様に前記シール機構を前記工具装着側から軸方向に挿入可能な開放空間を備えると共に、その外側に前記液体通路を固定されるシール収納部とを備え、
前記シール機構が、上記主軸の周囲に対して固定されて主軸と一体的に回動するスリーブの外周面に接触するシールと、該シールを保持すると共に前記ケース側に着脱自在に取り付けられるシールケースとによって構成され、
前記ケースの前記シール収納部には、外側からシールケース脱着用工具を挿入することによって前記シールケースを前記ケースに対して脱着するためのシールケース脱着操作孔が形成され、
一方、ケースの内側に挿入された上記シールケースの外周面においては、上記シールケース脱着操作孔と軸線を一致させることができる位置にネジ孔を備えさせ、そのネジ孔には止めボルトを螺合させ、かつその止めボルトの頭部は、上記シールケース脱着操作孔内に引っかかり、
上記シールケースが前記ケースに対して 前記工具装着側に向けて軸方向に移動しないように構成してあることを特徴とする工具ホルダ。 - 請求項1記載の工具ホルダにおいて、
上記主軸の周囲に対して固定されて主軸と一体的に回動するスリーブは、上記主軸に対して止めボルトで固定されており、
前記シールケース脱着操作孔は、前記スリーブ固定用止めボルトの脱着操作孔を兼ねることを特徴とする工具ホルダ。 - 請求項1又は2記載の工具ホルダにおいて、
前記シールケースは、前記ケースに対して半径方向に摺動可能な様に取り付けられていることを特徴とする工具ホルダ。 - 請求項3記載の工具ホルダにおいて、
前記ケースと前記シールケースとの間には、前記ケースが前記液体受け取り機構に加わる力によって前記主軸に対して傾いても、該傾いたケースと前記シールケースとが接触しない程度の隙間が形成されていることを特徴とする工具ホルダ。
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