JP3760139B2 - 飲食品組成物の製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はアントシアニン(ポリフェノールともいう)とγ−アミノ酪酸(以下、ギャバと称することがある)を豊富に含む飲食品組成物の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
豊富な食材に囲まれた豊かな食生活の中では、穀類およびその他多くの食品素材は口当たりのよい、食べやすい部分だけを食品として利用し、各種の有用な成分を含むかなりの部分を食用とせずに廃棄している。これら種々の廃棄物が地球環境を破壊しており、地球生物の生存を脅かす結果を引き起こし、廃棄物の減少が現在の人類に与えられた大きな問題となっている。また、一方では飽食による肥満をはじめとする高脂血症、高血圧、糖尿病など種々の健康障害が起き、生活習慣病として社会問題となっている。
【0003】
このような現状に鑑み、有用な成分を含む食品廃棄物を有効に利用することは単に個人の健康のみならず、人類に与えられた重要な課題である。
これまで、米糠などの穀類の外皮は食味の点から食用としての利用はなく、油脂を多く含む米糠などでは油を回収した後は家畜の飼料などに利用されているにすぎない。最近では、海外からの輸入飼料の増加に伴い、国内に出回る米糠などは、米糠油の需要減少のために米糠の脱脂が進まず、脱脂糠の量および価格の点から飼料としての需要が減少している。
【0004】
本発明者はこのような状況に鑑み、米糠を食品として利用するために、米糠を特定温度で保持することにより、米糠に含まれる酵素の働きによりギャバを含む可食性米糠を製造する技術を開発した(特開平11−56276号)。しかし、穀類外皮部分には多くの微生物が存在しており、水を加えギャバを生成させる工程において、酵素の活性化の条件と微生物の繁殖の条件とは類似しており、それら各種多数の微生物も同時に増殖を始め腐敗を引き起こすことが分かった。そのために、酵素作用を継続しつつ微生物の繁殖を抑制するためには微妙な条件が必要であり、多くの困難があることが認められた。
【0005】
一方、米の原種である色素米は、食用としてのその後の品種改良により通常の栽培品種から外れた存在となってきており、東南アジア地域で生産されているが、わが国では栽培されなくなってきていた。しかし、中国では紫黒米は薬膳料理に使用されている。その後、健康問題が喧伝されるようになって以来わが国でも民間で、中国から種子を導入した紫黒米が少量作付け、生産されるようになったが、それは趣味的なものでしかなく、さらにその品種はわが国の気候・風土に適したものではなかった。
【0006】
農林水産省においては、米の多角的利用の面から新品種の開発研究が進められ、バリ島在来種の色素米とタツミ糯の交配種を作りそれに中部糯57号をかけ合わせた品種を作りわが国の温暖な地域での栽培を容易にした。東北農業試験場ではさらにそれに奥羽331号(ふくひびき)を掛けて冷涼な地域に適した品種として作出したのが奥羽糯349号(朝紫)であるために、盛夏の時期の高温により色素の退色がおきるなど暑さに比較的弱く冷涼な地域において栽培が可能な品種である。現在、東北地域の各地で栽培されているが、色素が糠部分にのみ存在し胚乳部分にはないために、玄米の形で赤飯類似飯、餅、菓子など町興し的な利用に止まっており、この色素の特長を生かした商品の開発はなされていない。
【0007】
奥羽349号(朝紫)の色素はアントシアニンであり、主体はシアニジン-3-グルコースである。アントシアニンの強い抗酸化活性その他の機能についてはワインのフレンチパラドックスやブルーベリーでよく知られるようになってきている。朝紫の米糠にはアントシアニン以外に植物ステロール、オリザノール、オクタコサノールなどの他多量の水溶性および不溶性食物繊維などの有用な生理活性物質を多く含んでいる。最近の研究において、植物ステロールは血中コレステロール低減活性が知られるようになり、オリザノールやオクタコサノールは疲労回復などの生体賦活効果である生体の負荷耐性向上効果があることがよく知られている。食物繊維の便性改善、血糖値およびコレステロール正常化や肥満予防などの効果についてはすでによく知られたところである。
【0008】
このような状況に鑑み、本発明者は、先に色素米又は色素米米糠を澱粉分解酵素で処理することにより、可食性組成物を製造する技術を開発した(特開2000−152759)。この技術により得られる可食性組成物は例えば色素として有用であるが、それ自体を主成分として食するには、なお食味の点で不十分であった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、穀類の外皮部分を原料とし、ポリフェノール等の有用な生理活性物質を豊富に含み、且つ食味が優れ、それ自体を主成分として食するのに適した食品組成物を製造する方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、このようなポリフェノールを含む穀類の外皮部分にギャバを富化させる際に、有用微生物を共存させることで上記目的を達成できることを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明は、ポリフェノールを含む穀類の外皮部分と水の混合物又はポリフェノールを含む穀類の外皮部分の水抽出液を有用微生物の存在下に低温で保持することを特徴とするγ−アミノ酪酸を含む飲食品組成物の製造法である。有用微生物は麹に含まれる微生物、乳酸菌及び/又は酵母菌が挙げられる。
【0011】
【発明の実施の形態】
ポリフェノールを含む穀類としては、例えば朝紫等の色素米や大麦、小麦類等が挙げられる。外皮部分とは胚芽を含み、具体的には穀物の精製において生ずる糠やフスマである。本発明においては、外皮部分に水を加えてそのまま、または固体部分を除き抽出液として使用することができる。
外皮部分と水の配合割合は特に制限はなく、酵素反応が生起する程度の水の量があればよい。水は例えば米糠が湿る程度でもよく、米糠がスラリーとなる程度でもよい。更に多くてもよい。通常、米糠100重量部に対して水を30〜400重量部配合するが、更に水を多くてしも何等差し支えない。使用する水は特に制限はなく、飲用に適したものであればよい。
【0012】
米糠等の穀類の外皮部分に水を加えると、時間の経過とともに、外皮部分に含まれる脱炭酸酵素の作用によりギャバが生成してくる。しかし、このときに外皮中の微生物が増殖し、腐敗が起きるという問題点がある。有害微生物の増殖を防止しながら脱炭酸酵素の作用を引き出し、ギャバを生成させるためには、酵素の失活を引き起こさないようにしながら微生物を殺菌することが考えられるが、操作の複雑さや特殊な設備を必要とする。本発明においては、有用微生物の繁殖により、有害微生物の増殖を抑制することが特徴である。有用微生物は麹に含まれる微生物、乳酸菌及び酵母が例示できる。麹に含まれる微生物の場合は、具体的には麹や種麹を採取した後の菌床が利用できる。酵母としてはSaccharomyces属等が例示できる。
【0013】
なお、ギャバを生成中にアミノ酸および還元糖類が生成する。これらはその後の処理操作において相互に反応してアミノカルボニル反応などを引き起こし、ギャバを含む有用なアミノ酸その他を分解消失させ、有用な効果をなくすことになるばかりでなく、製品の食味を悪くする。これを防止するために、有用微生物として乳酸菌又は酵母を用いるのが好ましい。乳酸菌や酵母は還元糖を資化させることでアミノカルボニル反応を防ぐことができ、また穀類外皮の特有な風味の悪さを解消することができ、米糠特有の異味を防ぎ好ましい風味を付与することができる。さらに、乳酸菌の繁殖により処理液のpHの低下などが起き、有害微生物の生育が抑制される。さらに好ましくは、有用微生物として、麹に含まれる微生物と乳酸菌及び/又は酵母を併用するのがよい。
【0014】
さらに、本発明においては、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ペクチナーゼ、キシラナーゼ、プロテアーゼ等の酵素を配合してもよい。また、グルタミン酸(ナトリウム)を添加してもよく、これによりγ−アミノ酪酸の生成量を増加することができる。
【0015】
穀類の外皮部分と水の混合物又は外皮部分の水抽出液、有用微生物、必要に応じて酵素、グルタミン酸(ナトリウム)等を配合したものを、pHを好ましくは3.5〜8、さらに好ましくは5〜7に、温度を好ましくは5〜50℃、さらに好ましくは15〜60℃に、時間として好ましくは2〜6時間、更に好ましくは3〜4時間維持する。pHを上記の値に維持するためには必要に応じて公知の緩衝液を使用すればよい。好ましくは上記のグルタミン酸(ナトリウム)を添加するとよい。グルタミン酸(ナトリウム)を添加することで、pHの調整と同時にγ−アミノ酪酸の生成量を増加することができる。
【0016】
このようにして得られたものは、穀類の外皮部分と水の混合物を用いた場合は個体と液体の混合物であり、そのまま使用してよいが、通常は固液分離をし、固体の部分は乾燥・粉砕等して粉末として使用する。液体部分はそのまま使用するか乾燥して粉末とする。水の抽出液を用いた場合はそのままか乾燥し粉末として使用できる。
【0017】
本発明の食品組成物は、例えば、水や牛乳、豆乳などで溶かし、甘味料、フレーバーなどを入れることにより、血圧正常化機能のあるギャバおよび抗酸化性活性の強いアントシアニンを保有し健康機能を有する即席汁粉、ココア、コーヒー風味などの飲料とすることができる。また、飲料以外にも、赤色食品に健康機能を付与した着色料として使用できる。
【0018】
なお、色素米の精米部分には多少の色素部分が残っており、これをα−アミラーゼで処理し、本発明の食品組成物に配合してもよい。例えば、精米部分に2〜10倍量の水、0.03〜1%のα-アミラーゼを加えて、常温からゆっくりと120℃まで加熱を始める。このときに使用するアミラーゼは活性の強いα−アミラーゼならば何れのものでも良いが、特に失活温度の低いものなら昇温の際の最高温度を低くすることができるので好ましい。加熱が終了したならば、すぐに遠心分離や濾過など何れかの方法で不溶性物質と水溶性成分とを分け、不溶性画分は糠の不溶性画分と一緒にしてそれぞれ真空、凍結、噴霧、熱風、加熱などの乾燥法により乾燥、粉末化する。これを、本発明の食品組成物に配合することができる。
【0019】
【実施例】
以下に本発明を実施例で説明する。
実施例1
朝紫100gを精米し糠10gと白米9gを得た。米糠に対して、5倍量の水と、麹5重量%(以下、%は重量%)、乾燥酵母0.5%を加え15〜20℃で一夜放置し、ギャバを生成させた。これを遠心分離して固液分離し、固形物は加熱乾燥、粉砕し、食物繊維、ステロール類などを含んだ健康によい赤色色素の食品素材を得た。水溶液は噴霧乾燥して粉末化し、1.2%のギャバとアントシアニン色素および水溶性食物繊維などを含む食品素材を得た。
この水溶性区分の粉末にコーヒーフレーバーと砂糖を加え牛乳で溶かして、ギャバとポリフェノールを強化したコーヒー牛乳様飲料とすることができた。この飲料一杯中には約50mgのギャバを摂取することができる量を含有していた。
【0020】
実施例2
朝紫3kgを精米し、糠部分478g、精米2.52kgとに分け、糠に対して5倍量の水と同じく1%量のグルタミン酸ソーダ、0.5%量の乾燥酵母を加え室温に一夜放置した。遠心分離法により固液分離し、濾液1250mlを得た。固形物は80℃熱風乾燥機により乾燥した。
水溶液は噴霧乾燥機により乾燥し黒紫色粉末20.7gを得た。ギャバ含有量は5.1%であった。
水溶性粉末に、精米部分から調製した水溶性澱粉粉末を等量程度混ぜ、ココアフレーバーと砂糖を加えて牛乳または豆乳で溶解したものは、ギャバ約50mgとポリフェノールを含むココア風味の飲料とすることができた。
【0021】
実施例3
朝紫米糠100gに5倍量の水を加え、水可溶性成分を溶解した後、遠心分離および濾過などで不溶性物質と分けた。水溶液に1%グルタミン酸ソーダ、0.5%乾燥酵母を加え、40℃、4時間保持し、ギャバの生成を促した。4時間後けん濁物を除いて噴霧乾燥し、ギャバの含有量0.51gを含む粉末5.0gを得た。
不溶性物質も同様に噴霧乾燥し、赤色色素を含む乾燥物を粉砕機で微粉末として抗酸化活性を有するアントシアニン、食物繊維、植物ステロール、オリザノール、オクタコサノールなどの機能性成分を含む食品素材とした。
【0022】
【発明の効果】
本発明の飲食品組成物は、ポリフェノールとギャバを初めとする健康によい各種成分を豊富に含んでおり、美味しい風味を持った、健康によい食品素材とすることができ、血圧正常化、便性改善、血糖値およびコレステロール正常化や肥満予防等の効果がある。
Claims (1)
- ポリフェノールを含む穀類の外皮部分と水の混合物又はポリフェノールを含む穀類の外皮部分の水抽出液を乳酸菌及び/又は酵母菌の存在下に低温で保持することを特徴とするγ-アミノ酪酸を含む飲食品組成物の製造法。
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