JP3763566B2 - Lpガス用着臭剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、LPガスに臭いを付けるLPガス用着臭剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、LPガス(液化石油ガス)は生活に欠かせないものとなっており、その用途も多方面に拡がりつつある。ところで、このLPガスは、可燃性、爆発性を有するものの、臭気がきわめて少ないので、そのままでは漏洩しても気づかない場合があり、漏洩による引火、爆発等の災害を未然に防止する十分な対策が必要となる。
【0003】
そこで、従来この対策の最も簡便な方法として、LPガスに、特有な臭気を有する化合物を着臭剤として添加することにより、もしLPガスが漏洩した場合に、人間の嗅覚で容易に感知し得るようにすることが行われてきた。これらの着臭剤としては、メルカプタン類やサルファイド類が使用されてきた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来用いられている一般的な着臭剤であるメルカプタン類やサルファイド類は、硫黄分を含んでいるため、そのガスの燃焼により硫黄酸化物が生成され、その硫黄酸化物はそのまま大気中に排出されて環境汚染の一因となっていた。
【0005】
また、上記のメルカプタン類やサルファイド類は、物性面から、液化石油ガス(LPガス)とは異なる性状を備え、このためLPガスが使用されても、そのガス容器に残留する度合いが高くなっている。したがって、ガス容器中のLPガスが残り少なくなってくると、そのLPガス中に占める着臭剤の濃度が極めて高くなり、例えば99%のLPガス消費時の着臭剤濃度は初期濃度に対して77倍も高くなる。このように、ガス容器中の着臭剤濃度が高くなると、そのガスが外部に漏れたとき異常に強い臭気となるといった問題が発生していた。
【0006】
この発明は上記に鑑み提案されたもので、燃焼しても硫黄酸化物を発生しないため環境を汚染することがなく、またガス容器中の残留濃度が高くならず、異常臭気問題も発生しないLPガス用着臭剤を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、LPガスに臭いを付けるLPガス用着臭剤において、上記着臭剤をトランス−2−ブテンおよびシス−2−ブテンの少なくとも何れか一方で構成した、ことを特徴としている。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、上記した請求項1に記載の発明の構成に加えて、上記着臭剤に、メルカプタン類およびサルファイド類の少なくとも何れか一方を含める、ことを特徴としている。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下にこの発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0010】
この発明の実施形態では、LPガスに臭いを付けるLPガス用着臭剤として、トランス−2−ブテンおよびシス−2−ブテンの少なくとも何れか一方を用いる。トランス−2−ブテンの一般式は
【化1】
Figure 0003763566
であり、シス−2−ブテンの一般式は
【化2】
Figure 0003763566
である。
【0011】
トランス−2−ブテンおよびシス−2−ブテンのうち、何れか一方のみで着臭剤を構成してもよいし、任意の割合で組合せて構成してもよい。着臭剤としては、LPガスに1〜3重量%添加するのがその感知濃度の点から好ましい。
【0012】
また、上記の着臭剤には、さらにメルカプタン類およびサルファイド類の少なくとも何れか一方を含めるのが、感知濃度の強化、臭質の改善といった点で好ましい。このメルカプタン類およびサルファイド類の添加量は、着臭剤の1重量%以下とするのが好ましい。この程度で、感知濃度を強化でき、また臭質を改善できる一方、メルカプタン類やサルファイド類に含まれる硫黄化合物による影響はほとんど無視することができる。
【0013】
ここでいう、メルカプタン類化合物とは、具体的には、t−ブチルメルカプタン、イソプロピルメルカプタン、エチルメルカプタン、n−プロピルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン、イソ−ブチルメルカプタン等であり、これらの化合物から1種または2種以上を選んで含めるようにする。また、サルファイド類化合物としては、ジメチルサルファイド、メチルエチルサルファイド等が拳げられ、これらの化合物から1種または2種以上を選んで含めるようにする。
【0014】
図1は本発明のLPガス用着臭剤の各種構成例並びにその安定性および添加量の測定結果を示す図である。この各種構成例では、LPガス用着臭剤をトランス−2−ブテンとシス−2−ブテンの少なくとも何れか一方を用いて構成しており、試料▲1▼はシス−2−ブテンのみで形成した。また、試料▲2▼はトランス−2−ブテンを10重量%、シス−2−ブテンを90重量%とし、試料▲3▼はトランス−2−ブテンを30重量%、シス−2−ブテンを70重量%とし、試料▲4▼はトランス−2−ブテンを50重量%、シス−2−ブテンを50重量%とし、試料▲5▼はトランス−2−ブテンを70重量%、シス−2−ブテンを30重量%とし、試料▲6▼はトランス−2−ブテンを90重量%、シス−2−ブテンを10重量%として、それぞれ形成した。そして、試料▲7▼はトランス−2−ブテンのみで形成した。
【0015】
また、試料▲8▼および▲9▼では、さらにメルカブタン類を加え感知濃度を高めるようにした。すなわち、試料▲8▼ではトランス−2−ブテンを90重量%、シス−2−ブテンを9重量%とし、これにt−ブチルメルカブタンを1重量%添加して形成し、試料▲9▼ではトランス−2−ブテンを90重量%、シス−2−ブテンを9.5重量%とし、これにt−ブチルメルカブタンを0.5重量%添加して形成した。
【0016】
先ず、これらの試料(着臭剤)▲1▼〜▲9▼の化学的安定性を評価した。すなわち、オートクレーブに試料▲1▼〜▲9▼を50ml採取し、温度35℃で2週間加熱し、その試料▲1▼〜▲9▼の加熱前後の組成変化をガスクロマトグラフィーで測定した。その結果、図1に示すように、すべての試料▲1▼〜▲9▼に組成変化は見られず、化学的に安定していることが確認された。この着臭剤は、ガス中に混合され薄められた状態で使用されるので、その化学的安定性はより一層確保されることとなる。
【0017】
これらの試料(着臭剤)▲1▼〜▲9▼をLPガスに添加して臭いを付け、どの程度の量を添加すればその臭いが何のにおいであるかが感知できる程度となるかを求めた。すなわち、LPガスを無臭室に一定量注入して1000倍に希釈し、均一な濃度となるように攪拌し、この希釈されたLPガスの臭気を、選定された6名のパネラーが評価し、6段階臭気強度表示法による臭気強度が6段階のうちの「2」(何の臭いであるかわかる弱い臭い)となるときの、着臭剤のLPガスへの添加量を求めた。その結果、図1に示すように、臭気強度が「2」となるときの着臭剤の添加量は、試料▲1▼では3.5重量%、試料▲2▼では2.5重量%、試料▲3▼、▲4▼では2.0重量%、試料▲5▼では1.0重量%、試料▲6▼では0.9重量%、試料▲7▼では0.8重量%となり、トランス−2−ブテンの混合割合を増すほど添加量は少なくできることがわかった。
【0018】
また、試料▲8▼、▲9▼では添加量はそれぞれ0.1重量%、0.5重量%となり、t−ブチルメルカブタンを微量添加するだけで、着臭効果が向上し、LPガスへの添加量を大幅に低減できることがわかった。
【0019】
上記のように、この発明の実施形態では、LPガス用着臭剤として、トランス−2−ブテンおよびシス−2−ブテンの少なくとも何れか一方を用いるようにしたので、LPガス用着臭剤を硫黄分を含まない構成とすることができ、したがって、LPガスを燃焼させても硫黄酸化物は発生せず、環境の汚染を確実に防止することができる。
【0020】
また、このLPガス用着臭剤に、さらにメルカプタン類およびサルファイド類の少なくとも何れか一方を含めた場合、感知濃度を適度に高めることができる。ただし、これらは必要に応じて添加すればよく、しかも微量(例えば着臭剤の1重量%)加えるだけでその効果を発揮するので、それらに含まれる硫黄分による硫黄酸化物は極わずかであって無視できる程度に抑えることができる。
【0021】
また、このLPガス用着臭剤は、物性面でLPガスに類似した性状を備え、例えば気化したLPガス中の着臭剤濃度と、液状のままのLPガス中の着臭剤濃度との差を小さくすることができる。このため、ガス容器中のLPガスが残り少なくなっても、着臭剤の残留濃度はそれほど高くならず、例えば99%のLPガス消費時の着臭剤濃度は初期濃度に対して15倍程度と、従来の77倍に比して大幅に低くなる。したがって、従来発生していた異常臭気問題も発生ことはない。
【0022】
【発明の効果】
以上述べたように、この発明では、LPガス用着臭剤として、トランス−2−ブテンおよびシス−2−ブテンの少なくとも何れか一方を用いるようにしたので、LPガス用着臭剤を硫黄分を含まない構成とすることができ、したがって、LPガスを燃焼させても硫黄酸化物は発生せず、環境の汚染を確実に防止することができる。
【0023】
またこのLPガス用着臭剤に、さらにメルカプタン類およびサルファイド類の少なくとも何れか一方を含めた場合、感知濃度を適度に高めることができる。
【0024】
また、このLPガス用着臭剤は、物性面でLPガスに類似した性状を備え、例えば気化したLPガス中の着臭剤濃度と、液状のままのLPガス中の着臭剤濃度との差を小さくすることができる。このため、ガス容器中のLPガスが残り少なくなっても、着臭剤の残留濃度はそれほど高くならず、例えば99%のLPガス消費時の着臭剤濃度は初期濃度に対して15倍程度と、従来の77倍に比して大幅に低くなる。したがって従来発生していた異常臭気問題も発生ことはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のLPガス用着臭剤の各種構成例並びにその安定性および添加量の測定結果を示す図である。

Claims (2)

  1. LPガスに臭いを付けるLPガス用着臭剤において、
    上記着臭剤をトランス−2−ブテンおよびシス−2−ブテンの少なくとも何れか一方で構成した、ことを特徴とするLPガス用着臭剤。
  2. 上記着臭剤に、メルカプタン類およびサルファイド類の少なくとも何れか一方を含める、請求項1に記載のLPガス用着臭剤。
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