JP3764320B2 - リチウム二次電池 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リチウム二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
非水電解液を用いたリチウム二次電池は電池電圧が高く高エネルギー密度であるため、開発が盛んであり、コンピュータや携帯電話等の情報機器用として既に実用化が進んでいる。
【0003】
しかし、高入力、高出力、大容量の産業用電池では、大量の活物質を必要とするため情報機器に用いられているCo系やNi系材料ではコスト面、資源量の両面から実用化は不可能とされている。このため、これらの問題点を解決するものとしてスピネル型Mn系材料が期待されている。しかし、スピネル型Mn系材料では産業用電池の最重要課題である高温でのサイクル寿命や、出力特性、入力特性が悪いと云った問題があった。
【0004】
電気自動車やパラレルハイブリッド電気自動車、電力貯蔵システムや、エレベータ、電動工具等の電源にリチウム二次電池を応用するためには、50℃以上の高温で1000サイクル以上(容量維持率70%以上)の寿命、および500W/kg以上の出力が必要とされているが、従来のMn系材料ではこのような長寿命化、高出力密度化は不可能であった。
【0005】
特開平6−187993号公報によると、LiとMnの組成比であるLi/Mn比を大きくすることで長寿命化を試みている。しかし、室温でも10サイクルの充放電を経ることで、数%程度の容量低下が起こっている。リチウム二次電池のサイクル寿命は周囲の温度に大きく左右され、特に50℃以上の高温では室温よりも寿命が著しく短かくなってしまう。従って、Li/Mn比を大きくするだけでは、50℃以上の高温で1000サイクル以上のサイクル寿命を得ることは困難である。
【0006】
また、特公平8−24043号公報でも同様にLi/Mn比を大きくし、これを430〜510℃で焼成して格子定数が8.22Å以下の材料でこれを試みている。しかし、室温でも200サイクル程度、50℃以上では1000サイクル以上のサイクル寿命が得られる見通しはない。また、特開平7−282798号公報では、やはりLi/Mn比の大きい材料であるLi(Mn2-xLix)O4(0.020≦x≦0.081)を用いて長寿命化を図っているが、x=0.081(Li/Mn=0.58)とした場合でも室温で100サイクル程度経過すると5%の容量低下が生じ、50℃以上の高温では1000サイクル以上のサイクル寿命を得ることはできない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
こうした寿命の短い原因としては、いずれも複数回の充放電のくり返しにより正極活物質も膨張収縮を繰り返し、その結果、結晶が崩壊してリチウムの可逆的な吸蔵放出ができなくなるためである。そして、高温下ではMnイオンが電解液中に溶け出し、室温よりもさらに正極活物質の結晶が崩壊し易くなるためである。また、溶け出したMnイオンが負極に析出して負極の充放電反応を阻害し、負極の寿命を短くする。
【0008】
また、リチウム二次電池の出力特性、入力特性が低い原因は、電解液としてイオン伝導度が水溶液系に比べて低い有機溶媒を用いているので、リチウムイオンの挿入・放出に係わる拡散速度が低いためである。特に、負極表面では反応しきれなくなって遊離したリチウムイオンが有機溶媒と反応して皮膜を形成し、該皮膜の抵抗によりさらにリチウムイオンの拡散速度が低下して、出力特性、入力特性が悪くなる。また、電解液である有機溶媒は低温でのイオン伝導度が著しく低下するため、低温時の出力特性、入力特性がさらに悪くなる。
【0009】
本発明の第1の目的は、これらの問題点を解決し高温下で長寿命な材料を用いることによる長寿命と、電源あるいは負荷の変動に対応して速やかに電力を受電、あるいは、供給できるリチウム二次電池を提供することにある。
【0010】
本発明の第2の目的は、電気自動車、パラレルハイブリッド電気自動車、電力貯蔵システム、エレベータ、電動工具等の電源用として特性の優れたリチウム二次電池を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明のリチウム二次電池は負極として非晶質炭素を含む材料を用い、正極として、スピネル型結晶構造を有し、かつ、LiとMnを含む複合酸化物からなることを特徴とする。
【0012】
本発明の正極として複合酸化物はLiとMnを必須元素とするが、Mnを除く他の遷移金属,IIa族またはIIIb族の元素を含んでもよい。こうしたものとしては、例えば、Ti,V,Cr,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Be,Mg,Ca,Sr,Ba,Ra,B,Al,Ga,In,Tl等である。
【0013】
【発明の実施の形態】
まず始めに、正極と負極の構成を説明する。
【0014】
本発明の正極活物質としては、複合酸化物のLi/Mn原子比が0.55よりも大きく0.80よりも小さいものを用いる。Li/Mn原子比が0.55以下では50℃以上で充放電サイクルを繰り返すとMnイオンが電解液中に溶解して結晶構造が崩壊し、サイクル寿命が短かくなる。また、Li/Mn原子比が0.80以上では放電容量が小さくなる。
【0015】
本発明の複合酸化物のスピネル型結晶における格子定数は、8.230Åより小さく8.031Åよりも大きことを特徴とする。格子定数が8.230Å以上では50℃以上で充放電サイクルを繰り返すとMnイオンが電解液中に溶解して結晶構造が崩壊し、サイクル寿命が短い。また、格子定数が8.031Å以下では放電容量が小さなる。
【0016】
さらに、本発明の複合酸化物は、X線回折パターンの(400)ピークの2θ角の半値幅が0.20゜より小さいことを特徴とする。X線回折の測定には線源としてCu−kα線を用い、スリットとしてDS=SS=0.5、RS=0.15のスリット幅のものを使用した。半値幅が0.20゜以上では50℃以上で充放電サイクルを繰り返すとMnイオンが電解液中に溶解して結晶構造が崩壊し、サイクル寿命が短くなる。
【0017】
また、本発明の複合酸化物の2次粒子の比表面積は1.5m2/gより小さく0.10m2/gよりも大きいことを特徴とする。比表面積が1.5m2/g以上では50℃以上で充放電サイクルを繰り返すとMnイオンが電解液中に溶解して結晶構造が崩壊し、サイクル寿命が短い。また、比表面積が0.10m2/g以下では急速充放電において、電極活物質自身の反応場が小さいために電力効率が低くなる。
【0018】
さらに本発明の複合酸化物の1次粒子の平均粒径が1μmよりも大きく、20μmよりも小さいことを特徴とする。平均粒径が1μm以下では50℃以上で充放電サイクルを繰り返すとMnイオンが電解液中に溶解して結晶構造が崩壊し、サイクル寿命が短い。また、平均粒径が20μm以上では急速充電や急速放電において、電極活物質自身の反応場が小さいために電力効率が低くなる。
【0019】
本発明の正極は、非晶質炭素を含む負極と組合せることによって初めて、高温での寿命が長く、目的とするリチウム二次電池が得られる。さらに、本発明のリチウム二次電池の負極活物質には、非晶質炭素を含み、かつ、負極密度が0.95g/cm3より大きく1.5g/cm3よりも小さいことを特徴とする。
【0020】
50℃以上で充放電サイクルを繰り返すと正極活物質からMnイオンが電解液中に溶解してMnイオンの析出開始電位、即ち、2V以下の電位となる部分に析出する。負極やセパレータ、集電箔、電池缶などが析出部位となる。負極密度が0.95g/cm3以下では負極の空隙が多く、電極としての比表面積も大きいため、Mnイオンが負極表面および内部に多量に析出する。析出したMnは負極の容量を大きく低下させるため、サイクル寿命が短い。負極密度が1.5g/cm3以上では負極の空隙部分が少ないため電解液が電極内部に浸透せず、負極容量が低くなる。
【0021】
さらに、本発明のリチウム二次電池の負極活物質には、非晶質炭素を含み、その真密度が1.2〜1.8g/cm3であることを特徴とする。50℃以上で充放電サイクルを繰り返すと正極活物質からMnイオンが電解液中に溶解してMnイオンの析出開始電位、即ち、2V以下の電位となる部分、例えば、負極やセパレータ、集電箔、電池缶などが析出部位となる。
【0022】
炭素の真密度が1.2g/cm3より小さいと炭素内部の空隙が多く、比表面積も大きいため、Mnイオンが炭素表面および内部に多量に析出する。析出したMnは負極の容量を大きく低下させるため、サイクル寿命が短かくなる。また、炭素の真密度が1.8g/cm3より大きいと、負極の空隙部分が少ないため電解液が電極内部に浸透せず、負極容量が低くなり、目的とするリチウム二次電池が得にくくなる。
【0023】
さらに、本発明のリチウム二次電池の負極活物質には、非晶質炭素を含み、その結晶厚みLcが5〜150Åであることを特徴とする。炭素の結晶厚みLcは炭素の結晶性を表す指標の一つであり、Lcが小さいと非晶質化が強く、Lcが大きいと黒鉛化が強いことを示している。
【0024】
また、Lcは六員環網目面に対して垂直な方向の積層数を表す指標でもある。Lcが小さいと積層数が少なく、さらに六員環末端部、即ち、リチウムの挿入・放出サイトが少ないことを意味し、Lcが大きいと積層数が多く、六員環末端部、即ち、リチウムの挿入・放出サイトが多いことを意味する。
【0025】
炭素の結晶厚みLcが5Åより小さいとリチウムの挿入・放出サイトが確保されないために挿入・放出反応が円滑に進まず、リチウムイオンが炭素内に強くトラップされた状態になって、出力特性、入力特性が大幅に低下する。また、炭素の結晶厚みLcが150Åよりも大きいと非晶質的な性質よりも黒鉛的な性質が強まるため、六員環網目面が平行に積み重なり、六員環末端部が一方向に集中してしまう。そのため、リチウムの挿入・放出サイトに方向性を生じてリチウムの挿入・放出が一方向でしか進まなくなり、出力特性、入力特性が大幅に低下する。
【0026】
本発明のリチウム二次電池は、単電池で300〜1800W/kgの入力密度を得ることが可能である。また、単電池で500〜3500W/kgの出力密度が得ることが可能であり、この範囲で使用することが望ましい。
【0027】
さらに、本発明のリチウム二次電池は、組電池とすることができ、200〜1300W/kgの入力密度が得られる。該組電池で360〜2520W/kgの出力密度を得ることができ、この範囲で使用することが望ましい。
【0028】
本発明のリチウム二次電池は、使用温度が−10℃〜50℃において、単電池では300〜1800W/kg、組電池では200〜1300W/kgの入力密度が得られる。
【0029】
さらに、本発明のリチウム二次電池は、使用温度が−10℃〜50℃において単電池で500〜3500W/kg、組電池で360〜2520W/kgの入力密度を得ることができる。
【0030】
本発明の正極活物質を作製する方法として、二酸化マンガンと炭酸リチウムを所定の割合で混合した後に、空気中で500〜650℃の温度で予備焼成を行い、その後、空気中で800〜875℃で20時間以上焼成し、2℃/分よりも遅い速度で冷却するのがよい。このようにして作製した正極活物質は、結晶性が高く粒成長も顕著であり、高温下でも良好な長寿命サイクル特性を示す。
【0031】
特に、50℃以上の高温でも1000サイクル以上のサイクル寿命が得られ、−10℃〜50℃の温度範囲において高い入力特性や出力特性を有する。従って、パワーアシストが必要な電源などに適用可能である。
【0032】
高温での充放電サイクル寿命を延長するためには、正極活物質の結晶の安定性を高めて、充放電反応に伴う結晶構造の崩壊を抑制することが重要である。
【0033】
充放電反応に伴う結晶構造の崩壊には2つの因子があり、一つは充放電時の格子の膨張収縮によって引き起こされる機械的破壊であり、もう一つは充電時に生じる4価のMnが電解液中の有機溶媒と有機錯体を形成して、結晶系外へ溶出することによって引き起こされる化学的崩壊である。
【0034】
本発明の正極活物質は、Li/Mn比の大きい材料を用いているので、Mn3+イオンに比べてイオン半径の小さなMn4+イオンの割合が相対的に増加し、Mn3+イオンのJahn−Teller不安定性を抑えることで格子歪みを低減でき、機械的崩壊も化学的崩壊も抑制できる。
【0035】
例えば、Li/Mn=0.50のときには、LiMn24の化学組成式に従うならば、電荷の中性から考えるとMnイオンの平均原子価は3.5価、つまりMn3+とMn4+が同数あることになる。Li/Mn=0.58のときは、Li1+xMn2-x4の組成式から計算すると、Mnイオンの平均原子価は+3.63となり4価のMn4+イオンの割合が相対的に増加することになる。
【0036】
このとき、格子定数は前者の場合に比べて小さく、そのため充放電の際の膨張収縮量が減少するので機械的崩壊を抑制できる。また、Mnの価数が4価に近づくとその分、放出できないリチウムが結晶系内に残存するので、結晶構造を支える支柱となって働き、機械的崩壊も化学的崩壊も抑制できる。
【0037】
また、本発明の正極活物質は結晶性が高く粒成長も著しいことから、結晶の安定性が顕著であり、機械的崩壊も化学的崩壊も抑制できる。
【0038】
しかし、本発明の正極活物質を使用しても充放電の温度条件によっては化学的崩壊までには至らなくとも、ある程度のMnの溶出は避けられない。Mnが溶出する場合に問題となるのは、溶出したMnがどこに析出するかであり、溶出Mnが優先的に負極に析出すると、負極容量が低下してサイクル寿命が短くなってしまう。これを抑制するには負極の密度、あるいは、炭素の真密度を高くすることによって、負極への析出部位を低減でき、容量低下を抑制できる。
【0039】
また、長寿命の産業用電池を得るために、負極として必ず非晶質炭素を含有するものを用いる。非晶質炭素を含有しない負極を用いた場合には、サイクル寿命が短いため、50℃以上の高温でも1000サイクル以上のサイクル寿命を必要とする産業用電池としては好ましくない。
【0040】
従来の非晶質炭素以外の炭素負極を使用した場合には、電解液として使用している有機溶媒が50℃以上では分解し易く、炭酸ガスや炭化水素、あるいは、リチウムアルコキシドなどを形成し易い。非晶質炭素は他の炭素材料に比べ、こうした電解液の分解が比較的少ないために高温での長寿命化を図ることができる。
【0041】
また、電池を形成する炭素材料には、出力特性や入力特性を向上させるため、必ず結晶厚みLcの最適範囲にある炭素材料を使用するのがよい。Lcが大き過ぎても、小さ過ぎてもリチウムの挿入・放出サイト数が減少したり、方向性が生じて挿入・放出速度が低下するなど、出力特性や入力特性に影響を及ぼす。
【0042】
本発明の正極および負極を組合わせることによって初めて高い入力特性と出力特性を有するリチウム二次電池が得られる。さらに、本発明の電池は組電池にした場合でも、高い入力特性と出力特性が得られる。
【0043】
以上により、電気自動車、パラレルハイブリッド電気自動車、電力貯蔵システム、エレベータ、電動工具等の50℃以上の高温でも1000サイクル以上のサイクル寿命と、−10℃〜50℃の温度範囲でも高い入力特性、出力特性が必要な産業用電池として適用できるチウム二次電池を得ることができる。
【0044】
〔実施例 1〕
正極には正極活物質を90重量%、結着剤としてポリフッ化ビニリデンを4重量%,導電剤として黒鉛を6重量%を混合した合剤を、らいかい機で30分混煉後、厚さ20μmのアルミニウム箔の両面に塗布した。
【0045】
負極には非晶質炭素粉末を使用し、これを87重量%、導電剤としてアセチレンブラックを6重量%、結着剤としてポリフッ化ビニリデンを7重量%を混合した合剤を、らいかい機で30分混煉後、厚さ10μmの銅箔の両面に塗布した。
【0046】
上記の正負両極はプレス機で圧延成型し、端子をスポット溶接した後、150℃で5時間真空乾燥した。
【0047】
微多孔性ポリプロピレン製セパレータを介して正極と負極を積層し、これを渦巻状に捲回し、SUS製の電池缶に挿入した。負極端子は電池缶に、正極端子は電池蓋にそれぞれ溶接した。電解液には1molのLiPF6を1リットルのエチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの混合溶液に溶解したものを電池缶内に注液し、電池蓋をかしめて800mAh容量の円筒型電池を作製した。電池は周囲温度50℃で800mAで4.2V、7時間の定電流定電圧充電後、800mAで2.8Vまで放電するサイクルを繰り返した。
【0048】
図1に正極活物質のLi/Mn比に対するサイクル寿命,放電容量を示す。なお、その他の条件については本発明が特定する最適範囲内となるようにした。Li/Mn比は0.55よりも大きく0.8よりも小さい範囲でサイクル寿命も放電容量も良好な特性を示した。
【0049】
さらに、単電池において、温度が−10℃〜50℃の範囲、放電深度が30〜80%の範囲で、入力密度は300〜1800W/kgの範囲にあり、出力密度は500〜3500W/kgの範囲にあった。
【0050】
また、この電池を96本を直列に接続した組電池の場合、温度が−10℃〜50℃の範囲、放電深度が30〜80%の範囲で、入力密度は200〜1300W/kgの範囲にあり、出力密度は360〜2520W/kgの範囲にあった。
【0051】
〔実施例 2〕
実施例1と同様にして電池を作製した。正極活物質粉末をX線回折で測定し、最小二乗法を用いてスピネル型立方晶の格子定数を求めた。その他の条件については本発明が特定する最適範囲内とした。図2に正極活物質の格子定数に対するサイクル寿命,放電容量の関係を示す。図より格子定数は8.031Åよりも大きく8.230Åよりも小さい範囲でサイクル寿命も放電容量も良好な特性を示した。
【0052】
さらに、単電池において、温度が−10℃〜50℃の範囲、放電深度が30〜80%の範囲で、入力密度は300〜1800W/kgの範囲にあり、出力密度は500〜3500W/kgの範囲にあった。
【0053】
また、この電池を96本を直列に接続した組電池の場合、温度が−10℃〜50℃の範囲、放電深度が30〜80%の範囲で、入力密度は200〜1300W/kgの範囲にあり、出力密度は360〜2520W/kgの範囲にあった。
【0054】
〔実施例 3〕
実施例1と同様にして電池を作製した。(400)ピークの半値幅はX線回折により正極活物質粉末をCuKα線源を用いてスリット幅をDS=SS=0.5、RS=0.15として求めた。その他の条件については本発明が特定する最適範囲内とした。図3に正極活物質の(400)ピークの半値幅とサイクル寿命との関係を示す。図より(400)ピークの半値幅は0.2(deg.)よりも小さい範囲でサイクル寿命が良好であった。
【0055】
さらに、単電池において、温度が−10℃〜50℃の範囲、放電深度が30〜80%の範囲で、入力密度は300〜1800W/kgの範囲にあり、出力密度は500〜3500W/kgの範囲にあった。
【0056】
また、この電池の96本を直列に接続した組電池の場合、温度が−10℃〜50℃の範囲、放電深度が30〜80%の範囲で、入力密度は200〜1300W/kgの範囲にあり、出力密度は360〜2520W/kgの範囲にあった。
【0057】
〔実施例 4〕
実施例1と同様にして電池を作製した。その他の条件については本発明が特定する最適範囲内とした。また、急速放電効率に関しては周囲温度20℃で800mAで4.2V、7時間の定電流定電圧充電後、1600mAで2.8Vまで放電したときの充電容量に対する放電容量の比率とした。
【0058】
図4に正極活物質の二次粒子の比表面積に対するサイクル寿命,急速放電効率との関係を示す。図より比表面積は0.1m2/gよりも大きく1.5m2/gよりも小さい範囲でサイクル寿命も急速放電効率も良好な特性を示した。
【0059】
さらに、単電池において、温度が−10℃〜50℃の範囲、放電深度が30〜80%の範囲で、入力密度は300〜1800W/kgの範囲にあり、出力密度は500〜3500W/kgの範囲にあった。
【0060】
また、この電池の96本を直列に接続した組電池の場合、温度が−10℃〜50℃の範囲、放電深度が30〜80%の範囲で、入力密度は200〜1300W/kgの範囲にあり、出力密度は360〜2520W/kgの範囲にあった。
【0061】
〔実施例 5〕
実施例1,4と同様にして電池を作製した。その他の条件については本発明が特定する最適範囲内とした。
【0062】
図5に正極活物質の平均一次粒子径に対するサイクル寿命,急速放電効率との関係を示す。図より平均一次粒子径は1μmよりも大きく20μmよりも小さい範囲でサイクル寿命も急速放電効率も良好な特性を示した。
【0063】
さらに、単電池において、温度が−10℃〜50℃の範囲、放電深度が30〜80%の範囲で、入力密度は300〜1800W/kgの範囲にあり、出力密度は500〜3500W/kgの範囲にあった。
【0064】
また、この電池の96本を直列に接続した組電池の場合、温度が−10℃〜50℃の範囲、放電深度が30〜80%の範囲で、入力密度は200〜1300W/kgの範囲にあり、出力密度は360〜2520W/kgの範囲にあった。
【0065】
〔実施例 6〕
実施例1と同様にして電池を作製した。その他の条件については本発明が特定する最適範囲内とした。負極放電容量に関してはLi金属を対極として負極単極の容量を評価した。
【0066】
図6に負極密度に対するサイクル寿命,負極放電容量との関係を示す。図より負極密度は0.95g/cm3よりも大きく1.5g/cm3よりも小さい範囲でサイクル寿命も負極放電容量も良好な特性を示した。
【0067】
さらに、単電池において、温度が−10℃〜50℃の範囲、放電深度が30〜80%の範囲で、入力密度は300〜1800W/kgの範囲にあり、出力密度は500〜3500W/kgの範囲にあった。
【0068】
また、この電池の96本を直列に接続した組電池の場合、温度が−10℃〜50℃の範囲、放電深度が30〜80%の範囲で、入力密度は200〜1300W/kgの範囲にあり、出力密度は360〜2520W/kgの範囲にあった。
【0069】
〔実施例 7〕
本発明の正極材料の合成方法について説明する。原料として電解二酸化マンガンと炭酸リチウムをLi/Mn比が0.62となるように配合した。これを615℃で15時間仮焼成し、再度混合した後に825℃で30時間の焼成を行なった。ここで仮焼成工程は材料の均一性と結晶性を高め、良好なサイクル寿命を得るために重要な工程である。また、冷却速度を1℃/分とし室温まで冷却した。
【0070】
このようにして得られた正極材料の粉末X線回折をCukα線源を用いて測定したところ異相のないスピネル型の結晶構造であることを確認した。この時の格子定数は8.211Åであり、(400)ピークの半値幅は0.09度であった。さらに平均一次粒径は3.1μmで、二次粒子の比表面積は0.32m2/gであることを確認した。
【0071】
また、負極には非晶質炭素を使用し、密度を1.05g/cm3とした。実施例1と同様にして電池を作製し、周囲温度が60℃の場合のサイクル特性を評価した。図7にサイクル数と放電容量との関係を示す。
【0072】
本実施例電池Aは1000サイクル以上のサイクル寿命が得られた。さらに、単電池において、温度が−10℃〜50℃の範囲、放電深度が30〜80%の範囲で、入力密度は300〜1800W/kgの範囲にあり、出力密度は500〜3500W/kgの範囲にあった。
【0073】
また、この電池の96本を直列に接続した組電池の場合、温度が−10℃〜50℃の範囲、放電深度が30〜80%の範囲で、入力密度は200〜1300W/kgの範囲にあり、出力密度は360〜2520W/kgの範囲にあった。
【0074】
〔比較例 1〕
原料として電解二酸化マンガンと炭酸リチウムをLi/Mn比が0.62となるように配合し750℃で5時間の焼成を行なった。また、冷却速度を5℃/分として室温まで冷却した。この時得られた活物質の格子定数は8.22Åであり、本発明の格子定数の範囲内にあることが分かった。しかし、(400)ピークの半値幅は0.4度であり、平均一次粒径は0.6μm、二次粒子の比表面積は2.2m2/gで、本発明が特定する範囲から外れていた。
【0075】
負極密度を本発明の特定範囲内の1.05g/cm3として、実施例1と同様にして電池を作製し周囲の温度を60℃としてサイクル特性を評価した。図7より本比較例電池Bは、100サイクル程度のサイクル寿命しか得られないことが分かった。
【0076】
さらに、単電池において、温度が−10℃〜50℃の範囲、放電深度が30〜80%の範囲で、入力密度は150〜1300W/kgの範囲であり、出力密度は400〜2800W/kgの範囲であり、入力特性も出力特性も劣るものであった。
【0077】
また、この電池の96本を直列に接続した組電池の場合、温度が−10℃〜50℃の範囲、放電深度が30〜80%の範囲で、入力密度は90〜780W/kgの範囲であり、出力密度は240〜1680W/kgの範囲であり、入力特性も出力特性も劣ることが分かった。
【0078】
〔比較例 2〕
原料として電解二酸化マンガンと炭酸リチウムをLi/Mn比が0.65となるように配合した。これを635℃で15時間仮焼成し、再度混合した後に855℃で30時間の焼成を行なった。また、冷却速度は1℃/分である。この時、活物質の格子定数は8.190Åであり、(400)ピークの半値幅は0.08度で、さらに平均一次粒径は15μm、二次粒子の比表面積は0.12m2/gであることから、本発明の正極活物質が得られていることが分かった。
【0079】
一方、負極に関しては、密度が0.92g/cm3と本発明の範囲よりも低い。実施例1と同様にして電池を作製し周囲温度が60℃の場合のサイクル特性を評価した。図7より本比較例電池Cは50サイクル程度のサイクル寿命しか得られない。
【0080】
さらに、単電池において、温度が−10℃〜50℃の範囲、放電深度が30〜80%の範囲で、入力密度は150〜1300W/kgの範囲であり、出力密度は400〜2800W/kgの範囲であり、入力特性も出力特性も劣る。
【0081】
また、この電池の96本を直列に接続した組電池の場合、温度が−10℃〜50℃の範囲、放電深度が30〜80%の範囲で、入力密度は90〜780W/kgの範囲であり、出力密度は240〜1680W/kgの範囲であり、入力特性も出力特性も劣る。
【0082】
〔比較例 3〕
原料として電解二酸化マンガンと炭酸リチウムをLi/Mn比が0.51となるように混合し900℃で5時間の焼成を行なった。また、冷却速度は1℃/分である。この時の格子定数は8.237Åと本発明の範囲外であったが、(400)ピークの半値幅は0.08度、平均一次粒径は10μm、二次粒子の比表面積は0.15m2/gと本発明の範囲内であることが分かった。
【0083】
また、負極密度は1.05g/cm3とした。実施例1と同様にして電池を作製し周囲の温度が60℃の場合のサイクル特性を評価した。図7の本比較例電池Dは150サイクル程度のサイクル寿命しか得られていない。
【0084】
さらに、単電池において、温度が−10℃〜50℃の範囲、放電深度が30〜80%の範囲で、入力密度は150〜1300W/kgの範囲であり、出力密度は400〜2800W/kgの範囲であり、入力特性も出力特性も劣る。
【0085】
また、この電池の96本を直列に接続した組電池の場合、温度が−10℃〜50℃の範囲、放電深度が30〜80%の範囲で、入力密度は90〜780W/kgの範囲であり、出力密度は240〜1680W/kgの範囲であり、入力特性も出力特性も劣る。
【0086】
〔比較例 4〕
原料として電解二酸化マンガンと炭酸リチウムをLi/Mn比が0.62となるように配合し850℃で5時間の焼成を行なった。また、冷却速度は1℃/分である。この時の格子定数は8.22Åであり、(400)ピークの半値幅は0.1度であった。さらに平均一次粒径は2μmで本発明の範囲内にある。しかし、二次粒子の比表面積は1.8m2/gと大きい。
【0087】
負極密度は1.05g/cm3である。実施例1と同様にして電池を作製し周囲の温度が60℃の場合のサイクル特性を評価した。図7より本比較例電池Eは、500サイクル程度のサイクル寿命しか得られないことが分かった。
【0088】
さらに、単電池において、温度が−10℃〜50℃の範囲、放電深度が30〜80%の範囲で、入力密度は150〜1300W/kgの範囲であり、出力密度は400〜2800W/kgの範囲であり、入力特性も出力特性も劣る。
【0089】
また、この電池の96本を直列に接続した組電池の場合、温度が−10℃〜50℃の範囲、放電深度が30〜80%の範囲で、入力密度は90〜780W/kgの範囲であり、出力密度は240〜1680W/kgの範囲であり、入力特性も出力特性も劣る。
【0090】
〔実施例 8〕
正極に本発明の複合酸化物を使用したリチウム2次電池は、上述の効果の他に充放電効率がほぼ100%で、Liの挿入・放出の可逆性が良好な特徴を有する。
【0091】
図8に本発明のリチウム2次電池の部分断面模式図を示す。微多孔性ポリプロピレン性のセパレータ1を介して負極2と正極3を積層し、これを渦巻状に捲回し、SUS製の電池缶4に挿入した。
【0092】
負極2は負極リード線2aを介して電池缶4に接続している。正極3は正極リード線3aを介して金属部材の蓋4に接続している。蓋4と電池缶4と間に絶縁部5を介して電池缶4内を気密にしている。電池缶4内には電解液を注液した。また蓋4の突起部には正極端子6を、また、突起部と反対側の電池缶4の底部は負極端子7である。
【0093】
図9の模式説明図に示すように、負極2は集電体2Bにカーボン層2Cを設けている。正極3は集電体3Bに本発明のLiとMnを含む複合酸化物層3Cを設けている。両極間に電流を流すと、複合酸化物層3CからLiイオンがカーボン層2Cに何ら障害なく移動できる。
【0094】
この理由について図10に複合酸化物層の結晶組織を示す模式斜視図により説明する。複合酸化物層3Cは複数の規則正しい結晶格子3Dから構成されている。結晶格子3DからLiイオンが放出する時、図12、図13のように欠陥3Fや転移3Gなど、邪魔されるものが少ないから、後述する従来技術より速やかにカーボン層2Cに拡散する。
【0095】
一方、図11の従来の結晶格子3DではLiイオンが放出する時に結晶の規則性を欠いた変形部分3Eによって邪魔され、カーボン層2Cに移動できなくなり、放電効率が低下してしまう。反対にカーボン層2Cから複合酸化物層3CにLiイオンが挿入する時も同様である。
【0096】
このように本発明のLiとMnを含む複合酸化物層3Cを使用したリチウム2次電池は、Liの挿入・放出の可逆性が良く、充放電効率においてほぼ100%維持できる。
【0097】
〔実施例 9〕
実施例1と同様にして電池を作製した。その他の条件については本発明が特定する最適範囲内とした。負極放電容量に関してはLi金属を対極として負極単極の容量を評価した。図14に負極炭素の負極真密度に対するサイクル寿命,負極放電容量との関係を示す。図より負極真密度は1.2g/cm3よりも大きく1.8g/cm3よりも小さい範囲で、サイクル寿命も負極放電容量も良好な特性を示した。
【0098】
さらに、単電池において、温度が−10℃〜50℃の範囲、放電深度が30〜80%の範囲で、入力密度は300〜1800W/kgの範囲にあり、出力密度は500〜3500W/kgの範囲にあった。
【0099】
また、この電池の96本を直列に接続した組電池の場合、温度が−10℃〜50℃の範囲、放電深度が30〜80%の範囲で、入力密度は200〜1300W/kgの範囲にあり、出力密度は360〜2520W/kgの範囲にあった。
【0100】
〔実施例 10〕
実施例1と同様にして電池を作製た。その他の条件については本発明が特定する最適範囲内とした。負極炭素の結晶厚みLcと入力密度と出力密度との関係を評価した。負極炭素の結晶厚みLcは5〜150Åの範囲において入力密度と出力密度は良好な特性を示し、単電池において、温度が−10℃〜50℃の範囲、放電深度が30〜80%の範囲で、入力密度は1000〜1800W/kgの範囲にあり、出力密度は2500〜3500W/kgの範囲にあった。
【0101】
また、この電池の96本を直列に接続した組電池の場合、温度が−10℃〜50℃の範囲、放電深度が30〜80%の範囲で、入力密度は800〜1300W/kgの範囲にあり、出力密度は2000〜2520W/kgの範囲にあった。
【0102】
【発明の効果】
本発明によれば、50℃の高温下で本発明の長寿命材料を用いることにより、長寿命のリチウム2次電池を得ることができた。また、本発明のLiとMnを含む複合酸化物を使用したリチウム2次電池は負荷の変動に対応して、速やかに電力を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のリチウム二次電池のLi/Mn比に対するサイクル寿命,放電容量との関係を示すグラフである。
【図2】本発明のリチウム二次電池の正極活物質の格子定数に対するサイクル寿命,放電容量との関係を示すグラフである。
【図3】本発明のリチウム二次電池の正極活物質の(400)ピークの半値幅とサイクル寿命との関係を示すグラフである。
【図4】本発明のリチウム二次電池の正極活物質の二次粒子の比表面積に対するサイクル寿命,急速放電効率との関係を示すグラフである。
【図5】本発明のリチウム二次電池の正極活物質の平均一次粒子径に対するサイクル寿命,急速放電効率との関係を示すグラフである。
【図6】本発明のリチウム二次電池の負極密度に対するサイクル寿命,負極放電容量との関係をを示すグラフである。
【図7】リチウム二次電池のサイクル数と放電容量との関係を示すグラフである。
【図8】本発明のリチウム二次電池の部分断面図である。
【図9】使用した正極と負極との関係を説明する模式説明図である。
【図10】使用した複合酸化物層の結晶組織を示す模式斜視図である。
【図11】従来の複合酸化物層の結晶組織を示す模式斜視図である。
【図12】複合酸化物層の結晶組織を示す模式斜視図である。
【図13】複合酸化物層の結晶組織を示す模式斜視図である。
【図14】本発明のリチウム二次電池の負極炭素の負極真密度に対するサイクル寿命,負極放電容量との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1…セパレータ、2…負荷、3…正極、3C…複合酸化物層、4…電池缶、5…絶縁部、6…正極端子、7…負極端子。

Claims (1)

  1. 負極、非水電解質、正極を有するリチウム二次電池において、前記負極の活物質が非晶質炭素を含み、その負極密度が0.95g/cmより大きく1.5g/cmよりも小さく、
    前記正極の活物質がX線回折パターンの(400)ピークの2θ角の半値幅が0.2°より小さく、
    スピネル型結晶構造をするLiとMnとを含む複合酸化物を含み、前記複合酸化物のLi/Mn原子比が0.55よりも大きく0.8よりも小さく、
    スピネル型結晶構造における格子定数が8.031Åよりも大きく8.230Åより小さく、
    前記複合酸化物の2次粒子の比表面積が0.1m/gよりも大きく1.5m/gより小さく、
    前記複合酸化物の1次粒子の平均粒径が1μmよりも大きく20μmよりも小さいことを特徴とするリチウム二次電池。
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