JP3765458B2 - 軸受装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、たとえば、X線管に用いられる軸受装置のように、高温かつ真空中で使用される軸受装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の軸受装置は、高温かつ真空中での使用に耐えるために、潤滑剤としてガリウムもしくはガリウム合金が用いられているが、腐食性が強いので、耐食性のある軸受材料(例えば、モリブデンやタンタル)を用いている。
【0003】
しかし、例えば300℃程度の高温で長時間使用すると、軸受材料がしばしば腐食し、回転性能が劣化するという問題がある。また、特に、軸受材料を、モリブデンやタンタルにした場合には、加工性が悪い上に、大巾なコストアップになるという問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、この発明の目的は、高温かつ真空中での使用に耐えることができ、かつ、腐食の問題を解決できる軸受装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の発明の軸受装置は、潤滑剤として、インジウム、または、インジウム合金を用いるX線管用軸受装置であって、
陽極ターゲットと一体に回転すると共に軸方向に所定間隔を隔てて形成された1対の軌道溝が形成された一つの回転中心軸と、
内輪を有さない1対の転がり軸受とを備え、
上記転がり軸受は、
上記軌道溝の外側に配置された外輪と、
上記軌道溝と上記外輪との間に周方向に配列された複数の玉とを有することを特徴としている。
【0006】
この請求項1の発明によれば、潤滑剤として、インジウムまたはインジウム合金を用いたから、ガリウムやガリウム合金と異なり、軸受材料を腐食させることがなくなる。また、このインジウムまたはインジウム合金からなる潤滑剤は、高温かつ真空中で蒸発することなく、軸受の潤滑剤としての使用できる。
【0007】
また、この請求項の発明によれば、潤滑剤としてインジウムまたはインジウム合金を用いたので、軸受材料をモリブデンやタングステンにしなくても軸受材料を腐食させることがなく、高温かつ真空中での使用に耐えることができる転がり軸受を備えたX線管用軸受装置を実現できる。
【0008】
また、請求項の発明は、潤滑剤として、インジウム、または、インジウム合金を用いるX線管用軸受装置であって、
回転陽極と一体に回転する回転中筒と、
上記回転中筒の内側に上記回転中筒に対して相対回転可能に配置されると共にフランジ部とこのフランジ部の中央から下方に延びている中心管部とを含む一つの内筒とを備え、
上記フランジ部の上面中央部に形成されると共に上記回転中筒の内側天面に所定の動圧発生隙間を隔てて対向する動圧溝を有する第1の動圧軸受と、
上記フランジ部の下面円周部に形成されると共に上記回転中筒の内側段面に所定の動圧発生隙間を隔てて対向する動圧溝を有する第2の動圧軸受と、
上記中心管部の周面に形成されると共に上記回転中筒の筒部の内周面に所定の動圧発生隙間を隔てて対向する動圧溝を有する第3の動圧軸受とを有し、
上記フランジ部は、上記上面中央部よりも径方向外方に位置すると共に上記上面中央部よりも軸方向下方に位置する上面外方部を有し、
上記上面外方部と上記回転中筒の内側天面との間の距離が、上記上面中央部と上記回転中筒の内側天面との間の距離よりも大きいことを特徴としている。
【0009】
この請求項の発明によれば、潤滑剤としてインジウムまたはインジウム合金を用いたので、軸受材料をモリブデンやタングステンにしなくても軸受材料を腐食させることがなく、高温かつ真空中での使用に耐えることができる動圧軸受を備えたX線管用軸受装置を実現できる。
【0010】
また、請求項の発明は、請求項1または2に記載の軸受装置において、
上記軸受装置は、インジウムの融点、または、インジウム合金の融点まで昇温されてから、使用されることを特徴としている。
【0011】
この請求項の発明によれば、インジウムの融点またはインジウム合金の融点まで昇温されてから使用されるので、インジウムまたはインジウム合金を確実に液体にした状態で、潤滑流体として使用できる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0013】
〔第1の実施の形態〕
図1に、この発明の軸受装置の第1実施形態としての転がり軸受を備えたX線管装置の断面を示す。このX線管装置は、熱陰極部1から回転する陽極ターゲット2に電子線を照射して、X線を発生させる。この陽極ターゲット2は、回転外筒3に接続されており、この回転外筒3に回転中心軸5が接続されている。この回転中心軸5は、軸方向に所定間隔を隔てて、1対の軌道溝6,7が形成されている。この1対の軌道溝6,7の外側には、それぞれ、外輪8,10が配置され、この外輪8と軌道溝6との間に、複数の玉11が周方向に配列されている。また、外輪10と軌道溝7との間に、複数の玉12が周方向に配列されている。そして、この2つの外輪8と10は、筒状スペーサ13を挟んだ状態で固定中筒15の内周面に嵌合されて固定されている。この固定中筒15は、底16が閉じており、天井が蓋17で塞がれている。
【0014】
この実施形態では、上記外輪8,玉11,軌道溝6が第1転がり軸受21を構成し、外輪10,玉12,軌道溝7が第2転がり軸受22を構成している。そして、この第1,第2転がり軸受21,22は、それぞれ、インジウムからなる潤滑剤で潤滑されている。
【0015】
このX線管装置は、陽極ターゲット2と一体に回転外筒3および回転中心軸5が回転し、この回転中心軸5を上記第1,第2転がり軸受21,22が、固定中筒15に対して軸支する。
【0016】
この実施の形態によれば、潤滑剤として、インジウム(In)を用いたから、潤滑剤をガリウムやガリウム合金とした従来例と異なり、外輪8,10や玉11,12および回転中心軸5を構成する軸受材料をモリブデン(Mo)やタンタル(Ta)で作製しなくても、軸受材料を腐食させることがなくなる。また、このインジウムからなる潤滑剤は、高温かつ真空中で蒸発することなく、転がり軸受21,22の潤滑剤として使用できる。
【0017】
また、この実施形態の転がり軸受21,22は、上記陽極ターゲット2に電子線を照射して、回転外筒3,回転中心軸5,玉11,12および外輪8,10を、インジウムの融点(156.6℃)まで昇温してから使用されるようになっている。したがって、インジウムからなる潤滑剤を確実に液体にした状態で、潤滑流体として使用できる。
【0018】
〔第2の実施の形態〕
次に、図2に、この発明の軸受装置の第2実施形態としての動圧軸受を備えたX線管装置の回転陽極近傍部分の断面を示す。このX線管装置は、回転陽極31に連なる回転外筒32と、この回転外筒32の内側に嵌合されて固定された回転中筒33と、この回転中筒33の内側に相対回転可能に配置された内筒35を備えている。この内筒35は、フランジ部36とこのフランジ部36の中央から下方に延びている中心管部37を有している。そして、この中心管部37の内側には管状の内嵌部材38が嵌合されて固定されていて、この内嵌部材38の中心孔にシャフト40が挿入されて固定されている。
【0019】
上記内筒35のフランジ部36の上面中央部には、動圧溝41が形成されており、フランジ部36の下面円周部には、動圧溝42が形成されている。上記動圧溝41は、回転中筒33の内側天面43に所定の動圧発生隙間を隔てて対向し、動圧溝42は、回転中筒33の内側段面45に所定の動圧発生隙間を隔てて対向している。また、上記内筒35の中心管部37の周面には、動圧溝46が形成されており、この動圧溝46は、回転中筒33の筒部の内周面33Aに所定の動圧発生隙間を隔てて対向している。上記内筒35の動圧溝41,42と中筒33の天面43,段面45がスラスト動圧軸受51,52を構成している。また、上記内筒35の動圧溝46と中筒33の内周面33Aがラジアル動圧軸受53を構成している。
【0020】
このX線管装置は、回転陽極31と一体に回転外筒32と回転中筒33が回転し、この回転中筒33を上記スラスト動圧軸受51,52とラジアル動圧軸受53が、内筒35に対して軸方向と径方向に支持する。
【0021】
この実施の形態によれば、潤滑剤としてインジウム(In)を用いたから、潤滑剤としてガリウムやガリウム合金を用いていた従来例と異なり、回転中筒33,内筒35を構成する軸受材料をモリブデン(Mo)やタンタル(Ta)で作製しなくても、回転中筒33,内筒35を腐食させることがなくなる。また、このインジウムからなる潤滑剤は、高温かつ真空中で蒸発することなく、スラスト動圧軸受51,52およびラジアル動圧軸受53の潤滑流体として使用できる。
【0022】
また、この実施形態のスラスト動圧軸受51,52およびラジアル動圧軸受53は、上記回転陽極31に電子線を照射して、回転外筒32,回転中筒33および内筒35を、インジウムの融点(156.6℃)まで昇温してから、使用されるようになっている。したがって、インジウムからなる潤滑剤を確実に液体にした状態で潤滑流体として使用できる。
【0023】
尚、上記第1,第2実施形態では、潤滑剤をインジウムとしたが、インジウム合金としてもよい
【0024】
【発明の効果】
以上より明らかなように、請求項1の発明の軸受装置は、潤滑剤として、インジウムまたはインジウム合金を用いたから、ガリウムやガリウム合金と異なり、軸受材料を腐食させることがなくなる。また、このインジウムまたはインジウム合金からなる潤滑剤は、高温かつ真空中で蒸発することなく、軸受の潤滑剤として使用できる。
【0025】
また、請求項の発明は、転がり軸受を備え、潤滑剤としてインジウムまたはインジウム合金を用いたので、軸受材料をモリブデンやタングステンにしなくても軸受材料を腐食させることがなく、高温かつ真空中での使用に耐えることができる転がり軸受を備えたX線管用軸受装置を実現できる。
【0026】
また、請求項の発明は、動圧軸受を備え、潤滑剤としてインジウムまたはインジウム合金を用いたので、軸受材料をモリブデンやタングステンにしなくても軸受材料を腐食させることがなく、高温かつ真空中での使用に耐えることができる動圧軸受を備えたX線管用軸受装置を実現できる。
【0027】
また、請求項の発明の軸受装置は、インジウムの融点またはインジウム合金の融点まで昇温されてから使用されるので、インジウムまたはインジウム合金を確実に液体にした状態で、潤滑流体として使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の軸受装置の第1実施形態としての転がり軸受を備えたX線管の断面図である。
【図2】 この発明の軸受装置の第2実施形態としての動圧軸受を備えたX線管の部分断面図である。
【符号の説明】
1…熱陰極部、2…陽極ターゲット、3…回転外筒、5…回転中心軸、
6,7…軌道溝、8,10…外輪、11,12…玉、13…筒状スペーサ、
15…固定中筒、16…底、21,22…第1,第2転がり軸受、
31…回転陽極、32…回転外筒、33…回転中筒、35…内筒、
36…フランジ部、37…中心管部、38…管状内嵌部材、
40…シャフト、41,42,46…動圧溝、43…内側天面、
45…内側段面、51,52…スラスト動圧軸受、53…ラジアル動圧軸受。

Claims (4)

  1. 潤滑剤として、インジウム、または、インジウム合金を用いるX線管用軸受装置であって、
    陽極ターゲットと一体に回転すると共に軸方向に所定間隔を隔てて形成された1対の軌道溝が形成された一つの回転中心軸と、
    内輪を有さない1対の転がり軸受とを備え、
    上記転がり軸受は、
    上記軌道溝の外側に配置された外輪と、
    上記軌道溝と上記外輪との間に周方向に配列された複数の玉とを有することを特徴とする軸受装置。
  2. 潤滑剤として、インジウム、または、インジウム合金を用いるX線管用軸受装置であって、
    回転陽極と一体に回転する回転中筒と、
    上記回転中筒の内側に上記回転中筒に対して相対回転可能に配置されると共にフランジ部とこのフランジ部の中央から下方に延びている中心管部とを含む一つの内筒とを備え、
    上記フランジ部の上面中央部に形成されると共に上記回転中筒の内側天面に所定の動圧発生隙間を隔てて対向する動圧溝を有する第1の動圧軸受と、
    上記フランジ部の下面円周部に形成されると共に上記回転中筒の内側段面に所定の動圧発生隙間を隔てて対向する動圧溝を有する第2の動圧軸受と、
    上記中心管部の周面に形成されると共に上記回転中筒の筒部の内周面に所定の動圧発生隙間を隔てて対向する動圧溝を有する第3の動圧軸受とを有し、
    上記フランジ部は、上記上面中央部よりも径方向外方に位置すると共に上記上面中央部よりも軸方向下方に位置する上面外方部を有し、
    上記上面外方部と上記回転中筒の内側天面との間の距離が、上記上面中央部と上記回転中筒の内側天面との間の距離よりも大きいことを特徴とする軸受装置。
  3. 請求項1または2に記載の軸受装置において、
    上記軸受装置は、インジウムの融点、または、インジウム合金の融点まで昇温されてから、使用されることを特徴とする軸受装置。
  4. 請求項3に記載の軸受装置において、
    上記昇温は、上記陽極ターゲットまたは回転陽極に電子線を照射することでなされることを特徴とする軸受装置。
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