JP3766038B2 - 車両スピンドル荷重負荷装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両のサスペンションの強度や特性の評価などの車両試験の際に、車両スピンドルに荷重負荷を加える車両スピンドル荷重負荷装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両スピンドルに加える負荷には、次のX、MX、Y、MY、ZおよびMZの計6軸の負荷が考えられる。
X:車両の長手方向(スピンドルの軸線に対して垂直でかつ水平な方向)の力(すなわち前後方向の力)
MX:X回りのモーメント(いわゆるキャンバーモーメント)
Y:横方向(スピンドルの軸方向)の力
MY:Y回りのモーメント(いわゆる制動モーメント)
Z:上下方向(いわゆる垂直方向)の力
MZ:Z回りのモーメント(いわゆるステアリングモーメント)
なお、この明細書では、車両の長手方向を略前後方向、スピンドルの軸線方向を略横方向としており、上下方向、前後方向および横方向の3方向は互いに直交している。
そして、従来の車両スピンドル荷重負荷装置は上下方向の力(Z)、長手方向の力(X)、横方向の力(Y)および制動モーメント(MY)を車両のスピンドルに加えることができるが、6軸の負荷の全てを加えることができるものは少ない。
【0003】
ところで、自動車メーカでは、近年、コンピュータを使った仮想評価で問題点の前出しを行う傾向がある。これを行うには、テストコースでの実走試験、試験機による試験および仮想試験の間で、評価の整合性を保つ必要がある。そのために、スピンドルに取り付けた6分力計の計測値を基準として、評価を行いたいという提案がある。6自由度の力を制御するには、6自由度の力すなわち6軸の負荷を加えることが可能な車両スピンドル荷重負荷装置が必要となる。
【0004】
この様な車両スピンドル荷重負荷装置の従来例としては、米国特許第6,257,055号に示されたものがある。この米国特許第6,257,055号の車両スピンドル荷重負荷装置を、図6を用いて説明する。図6は従来の車両スピンドル荷重負荷装置の斜視図である。
【0005】
車両01のスピンドル02は、車両スピンドル荷重負荷装置03のスピンドル取付体04に取り付けられる。(1)スピンドル取付体04は、前後一対の垂直ストラット06により上下動しており、この上下動により、上下方向の力Zがスピンドル02に負荷される。(2)各垂直ストラット06の中間部分に横方向ロッド07が取り付けられ、この前後一対の第1および第2横方向ロッド07の差動により、Z回りのモーメントMZがスピンドル02に負荷される。(3)前側垂直ストラット06の中間部分に前後方向ロッド08が取り付けられ、この前後方向ロッド08により、前後方向の力Xがスピンドル02に負荷される。(4)スピンドル取付体04の下端部に第3横方向ロッド09が取り付けられ、この第3横方向ロッド09により、X回りのモーメントMXがスピンドル02に負荷される。(5)前後一対の第1および第2横方向ロッド07の同期運動により、横方向の力Yがスピンドル02に負荷される。(6)前後一対の垂直ストラット06の差動により、Y回りのモーメントMYがスピンドル02に負荷される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、一対の垂直ストラット06の下端部同士は、揺動体011で連結されており、スピンドル02がステアリングされていない中立(ニュートラル)の状態では、スピンドル取付体04、垂直ストラット06および揺動体011は平行リンクを構成している。また、垂直ストラット06には、車両01の大きな荷重が加わっている。そして、スピンドル02にZ回りのモーメントMZを負荷する場合には、第1および第2横方向ロッド07を差動して、スピンドル取付体04を垂直軸回りに回動している。この際に、垂直ストラット06は互いに異なる方向に傾動して平行ではなくなるとともに、スピンドル取付体04は揺動体011に対して捩じれ、平行リンクではなくなる。スピンドル取付体04が揺動体011に対して捩じれている状態で、垂直ストラット06に車両01の重量が加わると、スピンドル取付体04をさらに捩じる方向の力が生じる。そして、この捩じり力はステアリング角度が増大するとともに、増大するため、あまり大きなステアリング角度をとることは強度上できない。
【0007】
また、ステアリング時には、垂直ストラット06の端部の結合部に、こじる様な力が生じる。そして、この垂直ストラット06には車両01の大きな荷重が加わっており、あまり大きくこじると、垂直ストラット06の端部の結合部が磨耗などで損傷するおそれがある。そのため、大きなステアリング角度をとることができない。
【0008】
さらに、横方向ロッド07や前後方向ロッド08は、垂直ストラット06の中間部を押すため、垂直ストラット06に曲げモーメントが発生する。この垂直ストラット06には車両01の大きな荷重が加わっており、中間部が押されると座屈するおそれがある。そのため、垂直ストラット06の強度を大きくする必要があり、重量が増大する。
【0009】
そして、Y回りのモーメントMY(いわゆる制動モーメント)は、一対の垂直ストラット06の差動により負荷しているが、前述のようにこの垂直ストラット06には車両01の大きな荷重が加わっているため、Y回りのモーメントMYの微妙な制御が難しくなるとともに、垂直ストラット06の端部の結合部に大きな力が加わり、磨耗などで結合部が損傷するおそれがある。
【0010】
また、第3横方向ロッド09でX回りのモーメント(いわゆるキャンバーモーメント)MXを負荷すると、同時に横方向の力Yが発生する。また、横方向ロッド07で横方向の力Yを負荷すると、同時にX回りのモーメントMXが発生する。そのため、X回りのモーメントMXの微妙な制御が難しくなる。
【0011】
本発明は、以上のような課題を解決するためのもので、ステアリング角度を大きくとることができる車両スピンドル荷重負荷装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の車両スピンドル荷重負荷装置は、車両スピンドルに荷重負荷を加える車両スピンドル荷重負荷装置において、下側傾動体(13)と、この下側傾動体に略平行に配置される上側傾動体(31)と、上端が前記上側傾動体に揺動可能に取り付けられ、かつ、下端が前記下側傾動体に揺動可能に取り付けられて、前記下側傾動体および上側傾動体とともに平行リンクを構成する3本の垂直ストラット(32〜34)と、前記スピンドルの軸線に略垂直で、かつ、略水平な方向に前記上側傾動体を駆動する前後方向駆動装置(66)と、前記上側傾動体に略垂直な軸を中心として回動可能に取り付けられるとともに、前記車両スピンドルを支持するスピンドル支持装置(S)と、このスピンドル支持装置を前記スピンドルの軸線に略平行な方向に駆動する一対の横方向駆動装置(48)と、前記下側傾動体を上下動させる上下動駆動装置(8)と、前記下側傾動体を前後方向の軸を中心として傾動させる傾動駆動装置(21)とを備え、前記一対の横方向駆動装置の差動により、前記スピンドル支持装置が回動する。
【0013】
そして、本発明の別の車両スピンドル荷重負荷装置は、下側傾動体と、この下側傾動体に略平行に配置される上側傾動体と、上端が前記上側傾動体に揺動可能に取り付けられ、かつ、下端が前記下側傾動体に揺動可能に取り付けられて、前記下側傾動体および上側傾動体とともに平行リンクを構成する3本の垂直ストラットと、前記スピンドルの軸線に略垂直で、かつ、略水平な方向に前記上側傾動体を駆動する前後方向駆動装置と、前記上側傾動体に略垂直な軸を中心として回動可能に取り付けられるとともに、前記車両スピンドルを支持するスピンドル支持装置と、このスピンドル支持装置を回動させる回動駆動装置と、前記下側傾動体を上下動させる上下動駆動装置と、前記下側傾動体を前後方向の軸を中心として傾動させる傾動駆動装置とを備えている。
【0014】
また、スピンドル支持装置が、前記上側傾動体に回動可能に取り付けられる回動体(36)と、この回動体に取り付けられているとともに前記スピンドルの軸線に略平行な軸を中心として回転可能なスピンドル取付体(41)とを具備していることがある。
【0015】
さらに、スピンドル取付体にトルクを負荷するブレーキ負荷装置(76,81,82,84)を備えていることがある。
【0016】
そして、ブレーキ負荷装置が、ブレーキ負荷リンクを具備しており、このブレーキ負荷リンクは、その中央部が前記上側傾動体に回動可能に取り付けられているとともに、一端がスピンドル取付体に連結され、他端がブレーキロッドを介してブレーキ用駆動装置により駆動されており、かつ、前記前後方向駆動装置が前記上側傾動体を駆動した際に、上側傾動体とともに前記ブレーキロッドを同期して同時に駆動する同期リンク機構(72〜74)が設けられていることがある。
【0017】
また、スピンドル支持装置が、前記上側傾動体に回動可能に取り付けられる回動体(92)と、この回動体の上側に設けられた載置面(91)とを具備しており、この載置面に前記スピンドルに取り付けられたタイヤ(96)が載置されることがある。
【0018】
【発明の実施の形態】
次に、本発明における車両スピンドル荷重負荷装置の実施の一形態を説明する。図1は本発明の実施の形態の車両スピンドル荷重負荷装置の斜視図である。図2は車両スピンドル荷重負荷装置の要部の正面図である。図3は車両スピンドル荷重負荷装置の要部の側面図である。図4は制動モーメントおよび前後方向の力の負荷を説明するための説明図である。図5は車両スピンドル荷重負荷装置の変形例の説明図である。
【0019】
図1において、車両スピンドル荷重負荷装置のベース1には、一対の支持ブラケット2および2台の支持台3,4が立設している。一対の支持ブラケット2に掛け渡された回動軸2aは前後方向に延在しており、この回動軸2aにベルクランク6が回動可能に取り付けられている。図2において、このベルクランク6の一端には、上下動駆動装置としての伸縮駆動装置である油圧シリンダ装置8のピストンロッド9が取り付けられている。また、油圧シリンダ装置8のシリンダ11は支持台3に取り付けられており、油圧シリンダ装置8が伸縮すると、ベルクランク6が回動軸2aを中心として回動する。
【0020】
ベルクランク6の他端には、下側傾動体である下側傾動板13が、前後方向に延在する傾動軸14を中心として傾動可能に取り付けられており、ベルクランク6が回動すると、下側傾動板13が上下動する。
【0021】
下側傾動板13の下部は下方に突出し突出部13aが形成されている。また、回動軸2aから下方にリンク16が回動可能に垂れ下がっている。そして、リンク16の下端部と突出部13aの下端部とがリンク17で連結されて、ベルクランク6、下側傾動板13の突出部13aおよびリンク16,17で平行リンクが構成されている。そして、リンク16とリンク17との連結部に、傾動駆動装置としての伸縮駆動装置である油圧シリンダ装置21のピストンロッド22が取り付けられている。また、油圧シリンダ装置21のシリンダ23は支持台3に取り付けられており、油圧シリンダ装置21が伸縮すると、リンク17を介して、下側傾動板13が傾動軸14を中心として回動する。なお、この下側傾動板13の水平面に対する傾動角度は、油圧シリンダ装置8が作動しても、ベルクランク6、下側傾動板13の突出部13aおよびリンク16,17で平行リンクを構成しているため、維持される。
【0022】
下側傾動板13の上方には、上側傾動体として上側傾動板31が下側傾動板13に略平行に配置されている。そして、下側傾動板13と上側傾動板31との間には、3本の垂直ストラット32,33,34が揺動可能に取り付けられている。この垂直ストラット32,33,34は略同じ長さであり、下側傾動板13、上側傾動板31および垂直ストラット32,33,34で、平行リンクを構成している。したがって、下側傾動板13が上下動すると、同期して上側傾動板31が上下動し、また、下側傾動板13が傾動すると、同期して上側傾動板31が傾動する。なお、垂直ストラット32,33,34は、3本の内2本が同一平面にあり、他の1本がこの平面の外にある。
【0023】
上側傾動板31の上側には、回動体36がクロスベアリング37(図4参照)を介して回動可能に設けられており、回動体36は、上側傾動板31に対して略垂直な軸を中心として回動することができる。この回動体36の上部には、リング状の外側リング38が一体に設けられており、この外側リング38の内側に、ベアリング39(図4参照)を介して、内側リング41が回転可能に設けられている。この内側リング41に、6分力計を介して試験体すなわち車両のスピンドルが取り付けられており、内側リング41はスピンドル取付体として機能し、スピンドルの軸線を略中心として回動する。そして、前述の回動体36、ベアリング37、外側リング38、ベアリング39および内側リング41が、スピンドル支持装置Sを構成する。
【0024】
外側リング38の下部の前後(図3においては左右)両側には、下方に突出する突出部43が設けられ、この突出部43に各々横方向ロッド44が揺動可能に取り付けられている。この横方向ロッド44の他端は、ベルクランク46の一端に揺動可能に連結されている。このベルクランク46は、支持台3の上端に回動軸47を中心として回動可能に取り付けられている。この回動軸47は前後方向に延在している。また、ベルクランク46の他端には、横方向駆動装置としての伸縮駆動装置である油圧シリンダ装置48のピストンロッド49が取り付けられている。また、油圧シリンダ装置48のシリンダ51はベース1に取り付けられており、油圧シリンダ装置48が伸縮すると、ベルクランク46が回動軸47を中心として回動し、横方向ロッド44を横方向に移動させる。この一対の横方向ロッド44が同時に同じ方向に移動すると、スピンドル支持装置Sおよび上側傾動板31が、横方向(図2において左右方向)に移動する。一方、一対の横方向ロッド44が同時に異なる方向に移動し差動すると、スピンドル支持装置Sは上側傾動板31に対して回動し、ステアリングを行う。このステアリングの角度は、従来例よりも大きく、たとえば、約±30°である。
【0025】
上側傾動板31の前側または後側の一方(図3においては左側で、支持台4の配置側)には、前後方向ロッド61が揺動可能に取り付けられている。この前後方向ロッド61は二股形状をしており、上側傾動板31の垂直軸回りの回動を阻止すべく拘束している。また、前後方向ロッド61の他端は、ベルクランク62の一端に揺動可能に連結されている。このベルクランク62は、支持台4の上端に回動軸63を中心として回動可能に取り付けられている。この回動軸63は横方向(スピンドルの軸線に略平行な方向)に延在している。また、ベルクランク62の他端には、前後方向駆動装置としての伸縮駆動装置である油圧シリンダ装置66のピストンロッド67が取り付けられている。また、油圧シリンダ装置66のシリンダ68はベース1に取り付けられており、油圧シリンダ装置66が伸縮すると、ベルクランク62が回動軸63を中心として回動し、前後方向ロッド61を前後方向に移動させる。すると、上側傾動板31が、前後方向(図3において左右方向)に移動する。
【0026】
図4において、上記ベルクランク62と前後方向ロッド61との連結軸71には、ブレーキ用ベルクランク72が回動可能に取り付けられている。また、ベルクランク62の回動軸63にはリンク73が回動可能に取り付けられ、ブレーキ用ベルクランク72の一端がこのリンク73の他端とリンク74で連結されている。そして、ベルクランク62、ブレーキ用ベルクランク72およびリンク73,74で平行リンクが構成されている。また、リンク73の他端には、ブレーキ用駆動装置としての伸縮駆動装置である油圧シリンダ装置76のピストンロッド77が取り付けられている。また、油圧シリンダ装置76のシリンダ78はベース1に取り付けられており、油圧シリンダ装置76が伸縮すると、リンク73,74を介して、ブレーキ用ベルクランク72が連結軸71を中心として回動する。このブレーキ用ベルクランク72の他端には、ブレーキロッド81が取り付けられており、このブレーキロッド81は前後方向に延在し、他端がブレーキ負荷リンク82に揺動可能に取り付けられている。ブレーキ負荷リンク82は、中央部が上側傾動板31に取付軸83を中心として回動可能に取り付けられているとともに、他端が第2リンク84を介して内側リング41に連結している。なお取付軸83は横方向に延在している。そして、ブレーキ用ベルクランク72が回動すると、ブレーキロッド81が前後動し、ブレーキ負荷リンク82が取付軸83を中心として回動し、第2リンク84を介して、内側リング41をスピンドルの軸線回りに回転させる。内側リング41の回転角度は、比較的小角度(90°以下)で、たとえば、約±15°である。
【0027】
上記油圧シリンダ装置8,21,48,66,76は図示しない制御装置で制御される。また、内側リング41には6分力計を介してスピンドルが取り付けられ、この6分力計の計測値は上記制御装置に入力される。
【0028】
この様に構成されている実施の形態の車両スピンドル荷重負荷装置で、下記の6軸の負荷を加える際の作動を説明する。
(1)前後方向の力Xを加える場合。
油圧シリンダ装置66を稼働し、ピストンロッド67を伸縮させる。すると、ベルクランク62が回動し、前後方向ロッド61を前後方向に移動させ、それに伴って、上側傾動板31およびスピンドル支持装置Sが前後方向に移動する。これにより、スピンドルに前後方向の力Xが加わる。この際、ブレーキ用ベルクランク72、リンク73,74およびベルクランク62が、同期リンク機構としての平行リンクを構成しており、ブレーキロッド81を前後方向ロッド61に同期させて同時に移動させており、Y回りのモーメントMYの発生を極力防止している。
【0029】
(2)X回りのモーメント(いわゆるキャンバーモーメント)MXを加える場合。
油圧シリンダ装置21を稼働し、ピストンロッド22を伸縮させる。すると、リンク17を介して下側傾動板13が傾動し、この傾動に伴って、垂直ストラット32,33,34を介して上側傾動板31が傾動する。そして、スピンドル支持装置Sが前後方向の回りに傾斜運動をする。これにより、スピンドルにX回りのモーメントMXが加わる。
【0030】
(3)横方向(スピンドルの軸方向)の力Yを加える場合。
一対の油圧シリンダ装置48を稼働し、一対のピストンロッド49を同じ方向に伸縮させる。すると、ベルクランク46が回動し、横方向ロッド44を横方向に移動させ、それに伴って、上側傾動板31およびスピンドル支持装置Sが横方向に移動する。これにより、スピンドルに横方向の力Yが加わる。
【0031】
(4)Y回りのモーメント(いわゆる制動モーメント)MYを加える場合。
油圧シリンダ装置76を稼働し、ピストンロッド77を伸縮させる。すると、リンク74を介してブレーキ用ベルクランク72が回動し、この回動に伴って、ブレーキロッド81が前後方向に移動する。そして、このブレーキロッド81の前後方向の移動により、ブレーキ負荷リンク82が取付軸83を中心として回動し、第2リンク84を介して内側リング41を回転させる。これにより、スピンドルにY回りのモーメントMYが加わる。
【0032】
(5)上下方向(いわゆる垂直方向)の力Zを加える場合。
油圧シリンダ装置8を稼働し、ピストンロッド9を伸縮させる。すると、ベルクランク6が回動し、下側傾動板13を上下方向に移動させ、それに伴って、上側傾動板31およびスピンドル支持装置Sが上下方向に移動する。これにより、スピンドルに上下方向の力Zが加わる。この際、ベルクランク6、下側傾動板13の突出部13aおよびリンク16,17が平行リンクを構成しており、下側傾動板13が傾動することを極力防止している。そのため、上下方向の力Zを加えた際に、X回りのモーメント(いわゆるキャンバーモーメント)MXに影響を与えることを極力防止することができる。
【0033】
(6)Z回りのモーメント(いわゆるステアリングモーメント)MZを加える場合。
一対の油圧シリンダ装置48を稼働し、一対のピストンロッド49を互いに異なる方向に伸縮させて差動させる。すると、ベルクランク46が回動し、横方向ロッド44を横方向に、かつ互いに異なる向きに移動させる。それに伴って、回動体36すなわちスピンドル支持装置Sが、上下方向の回りに回動する。これにより、スピンドルにZ回りのモーメントMZが加わる。したがって、一対の油圧シリンダ装置48は、スピンドル支持装置Sを回動させる回動駆動装置として機能している。また、車両スピンドル荷重負荷装置の中立状態では、ブレーキ負荷リンク82と第2リンク84との連結部が、内側リング41の下方でかつ一対の横方向ロッド44の略真ん中に位置しているため、ブレーキを切った状態(ブレーキ負荷リンク82を回動した状態)で、ステアリング(横方向ロッド44の差動)を行っても、ブレーキ力に影響を与えることを極力防止している。
【0034】
前述のように、この実施の形態では、スピンドル支持装置Sに取り付けられたスピンドルに6自由度の力を加えることが可能である。
また、Z回りのモーメントMZを加える際に、上側傾動板31は移動しないため、上側傾動板31、垂直ストラット32,33,34および下側傾動板13で構成されている平行リンクが潰れることはない。したがって、大きなステアリング角度をとることができる。
さらに、車両の大きな荷重がかかる垂直ストラット32,33,34の中間部には、横から力が加わらないので、垂直ストラット32,33,34に曲げモーメントが発生することを極力防止することができる。
そして、Y回りのモーメントMYを加えるブレーキロッド81やブレーキ負荷リンク82には、車両の荷重が加わっていないため、制動モーメントの高精度の制御を行うことができる。
また、横方向ロッド44と外側リング38との連結部である突出部43は、外側リング38の下側に配置されているので、横方向ロッド44と外側リング38とが互いに干渉することを極力防止することができる。
【0035】
次に変形例を説明する。車両スピンドル荷重負荷装置の内側リング41とブレーキ負荷リンク82との連結を解除して、内側リング41を回転自在とすることも可能である。この場合には、内側リング41に取り付けられているスピンドルも回転自在となる。そして、ダイナモなどの回転負荷装置を取り付けて、低速回転負荷をスピンドルに加えることも可能である。
【0036】
また、図5に図示するように、図4の回動体36に代えて、載置面91を具備する回動体92とすることも可能である。この回動体92がスピンドル支持装置Sを構成するとともに、図1に図示する回動体36と同様に横方向ロッド44が連結されており、Z回りのモーメントMZおよび横方向の力Yを受けることができる。そして、回動体92の載置面91上に、スピンドルに取り付けられたタイヤ96が載る。この場合には、車両スピンドル荷重負荷装置は、タイヤ96に5自由度の力を加えることができる。
【0037】
なお、前後方向駆動装置、横方向駆動装置、上下動駆動装置および傾動駆動装置などは油圧シリンダ装置である必要は必ずしもない。スピンドル支持装置Sの構造は適宜変更可能である。垂直ストラットの本数は少なくとも3本あれば良く、4本以上でも可能である。
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、車両スピンドルを支持するスピンドル支持装置は、上側傾動体に回動可能に取り付けられており、この上側傾動体は3本の垂直ストラットおよび下側傾動体とともに平行リンクを構成し、下側傾動体が上下および傾動されるので、スピンドル支持装置を回動することによりステアリングモーメントを車両スピンドルに加えることができる。その際に、上側傾動体を下側傾動体に対して捩じるような力は発生しておらず、垂直ストラットなどに無理な力が加わらないため、ステアリング角度を大きくとることができる。
また、下側傾動体の傾動により、キャンバーモーメントを負荷しており、キャンバーモーメントを負荷する際に、スピンドルに加わる横方向の力に殆ど影響を与えない。したがって、キャンバーモーメントおよび横方向の力の制御を精度よく行うことができる。
さらに、前後方向の力は上側傾動体に加わっており、垂直ストラットに曲げモーメントが加わることを極力防止することができる。したがって、垂直ストラットに座屈などの損傷が発生することを極力防止することができる。
【0039】
そして、スピンドル取付体を回転することにより、スピンドルに制動モーメントを負荷することができるので、垂直ストラットを差動させて制動モーメントを負荷させる場合に比して、高精度の制御を行うことができる。
【0040】
また、同期リンク機構が、前後方向駆動装置の駆動時に、上側傾動体とともにブレーキロッドを同期して同時に駆動しているので、上側傾動体を前後方向に駆動した際に、垂直ストラットに加わる制動モーメントに影響を与えることを極力防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の実施の形態の車両スピンドル荷重負荷装置の斜視図である。
【図2】図2は車両スピンドル荷重負荷装置の要部の正面図である。
【図3】図3は車両スピンドル荷重負荷装置の要部の側面図である。
【図4】図4は制動モーメントおよび前後方向の力の負荷を説明するための説明図である。
【図5】図5は車両スピンドル荷重負荷装置の変形例の説明図である。
【図6】図6は従来の車両スピンドル荷重負荷装置の斜視図である。
【符号の説明】
S スピンドル支持装置
8 油圧シリンダ装置(上下動駆動装置)
13 下側傾動板(下側傾動体)
21 油圧シリンダ装置(傾動駆動装置)
31 上側傾動板(上側傾動体)
32 垂直ストラット
33 垂直ストラット
34 垂直ストラット
36 回動体
41 内側リング(スピンドル取付体)
48 油圧シリンダ装置(横方向駆動装置、回動駆動装置)
62 ベルクランク(同期リンク機構)
66 油圧シリンダ装置(前後方向駆動装置)
72 ブレーキ用ベルクランク(同期リンク機構)
73 リンク(同期リンク機構)
74 リンク(同期リンク機構)
76 油圧シリンダ装置(ブレーキ用駆動装置、ブレーキ負荷装置)
81 ブレーキロッド(ブレーキ負荷装置)
82 ブレーキ負荷リンク(ブレーキ負荷装置)
84 第2リンク(ブレーキ負荷装置)
91 載置面
92 回動体
96 タイヤ

Claims (6)

  1. 車両スピンドルに荷重負荷を加える車両スピンドル荷重負荷装置において、
    下側傾動体と、
    この下側傾動体に略平行に配置される上側傾動体と、
    上端が前記上側傾動体に揺動可能に取り付けられ、かつ、下端が前記下側傾動体に揺動可能に取り付けられて、前記下側傾動体および上側傾動体とともに平行リンクを構成する3本の垂直ストラットと、
    前記スピンドルの軸線に略垂直で、かつ、略水平な方向に前記上側傾動体を駆動する前後方向駆動装置と、
    前記上側傾動体に略垂直な軸を中心として回動可能に取り付けられるとともに、前記車両スピンドルを支持するスピンドル支持装置と、
    このスピンドル支持装置を前記スピンドルの軸線に略平行な方向に駆動する一対の横方向駆動装置と、
    前記下側傾動体を上下動させる上下動駆動装置と、
    前記下側傾動体を前後方向の軸を中心として傾動させる傾動駆動装置とを備え、
    前記一対の横方向駆動装置の差動により、前記スピンドル支持装置が回動する車両スピンドル荷重負荷装置。
  2. 車両スピンドルに荷重負荷を加える車両スピンドル荷重負荷装置において、
    下側傾動体と、
    この下側傾動体に略平行に配置される上側傾動体と、
    上端が前記上側傾動体に揺動可能に取り付けられ、かつ、下端が前記下側傾動体に揺動可能に取り付けられて、前記下側傾動体および上側傾動体とともに平行リンクを構成する3本の垂直ストラットと、
    前記スピンドルの軸線に略垂直で、かつ、略水平な方向に前記上側傾動体を駆動する前後方向駆動装置と、
    前記上側傾動体に略垂直な軸を中心として回動可能に取り付けられるとともに、前記車両スピンドルを支持するスピンドル支持装置と、
    このスピンドル支持装置を回動させる回動駆動装置と、
    前記下側傾動体を上下動させる上下動駆動装置と、
    前記下側傾動体を前後方向の軸を中心として傾動させる傾動駆動装置とを備えていることを特徴とする車両スピンドル荷重負荷装置。
  3. 前記スピンドル支持装置が、前記上側傾動体に回動可能に取り付けられる回動体と、この回動体に取り付けられているとともに前記スピンドルの軸線に略平行な軸を中心として回転可能なスピンドル取付体とを具備していることを特徴とする請求項1または2記載の車両スピンドル荷重負荷装置。
  4. 前記スピンドル取付体にトルクを負荷するブレーキ負荷装置を備えていることを特徴とする請求項3記載の車両スピンドル荷重負荷装置。
  5. 前記ブレーキ負荷装置が、ブレーキ負荷リンクを具備しており、
    このブレーキ負荷リンクは、その中央部が前記上側傾動体に回動可能に取り付けられているとともに、一端がスピンドル取付体に連結され、他端がブレーキロッドを介してブレーキ用駆動装置により駆動されており、
    かつ、前記前後方向駆動装置が前記上側傾動体を駆動した際に、上側傾動体とともに前記ブレーキロッドを同期して同時に駆動する同期リンク機構が設けられていることを特徴とする請求項4記載の車両スピンドル荷重負荷装置。
  6. 前記スピンドル支持装置が、前記上側傾動体に回動可能に取り付けられる回動体と、この回動体の上側に設けられた載置面とを具備しており、この載置面に前記スピンドルに取り付けられたタイヤが載置されることを特徴とする請求項1または2記載の車両スピンドル荷重負荷装置。
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