JP3767523B2 - A/d変換システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
低い分解能でアナログ/ディジタル変換(以下、単にA/D変換という)を行うA/D変換装置を用いて、高い分解能でA/D変換を行うA/D変換システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
A/D変換システムは従来より各種のシステムが存在している。このうちマイクロコンピュータに一体に内蔵されたA/D変換装置を利用するシステムも存在する。
【0003】
このようなA/D変換システムについて図を参照しつつ説明する。図3および図4は、従来技術のA/D変換システムの説明図である。
通常図3で示すように、マイクロコンピュータ100は、内蔵A/D変換装置200、データ処理手段300を備えている。
【0004】
内蔵A/D変換装置200は、マイクロコンピュータ100が内蔵するA/D変換装置であり、10ビットの分解能を有している。このような内蔵形のA/D変換装置の分解能は、一般的には8ビット〜10ビット程度であり、現在では低分解能ということができる。内蔵A/D変換装置200の分解能を低くする理由は、内蔵A/D変換装置200の製作が容易になり、マイクロコンピュータ100全体の製造コストを抑制することができるためである。
【0005】
続いて、このような図3で示したA/D変換システムの使用について説明する。例えば、図示しない温度センサ・ポテンショメータ等の各種センサから出力されたアナログ信号が内蔵A/D変換装置200に入力される。内蔵A/D変換装置200はアナログ信号を標本化・量子化してA/D変換し、分解能が10ビットのディジタルデータをデータ処理手段300へ出力する。データ処理手段300は、詳しくはマイクロコンピュータ100が行うプログラムによる手段であり、このディジタルデータを用いて計測・制御等に関する各種の信号処理を行う。
【0006】
このようなマイクロコンピュータ100を用いる場合であって内蔵A/D変換装置200の分解能を超えるような高い分解能のディジタルデータを必要とするとき、従来では高分解能のA/D変換装置を外付けすることで対処していた。図4に示すように、高分解能(図4では16ビットの分解能)である外付A/D変換装置400が、データバス等を介してマイクロコンピュータ100のディジタルデータ入力インターフェース500に接続される。この場合、内蔵A/D変換装置200は使用されない。
従来技術における、マイクロコンピュータに一体に内蔵されたA/D変換装置を利用する場合のA/D変換システムはこのようなものであった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
高分解能の外付A/D変換装置400は現状でも高価であり、外付A/D変換装置400を用いるA/D変換システムは価格が高くなるという問題があった。
このような事情に鑑み、本発明の目的は、A/D変換システムの構築にあたり、高価な外付けA/D変換装置を使用するのではなく、マイクロコンピュータが内蔵する低分解能のA/D変換装置を使用し、しかも高い分解能を得ることができるようなA/D変換システムを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明のA/D変換システムによれば、
入力されるアナログ信号とアナログ帰還信号との差分信号を出力する減算手段と、
減算手段から出力された差分信号をアナログ/ディジタル変換してマルチビットの差分データを出力するA/D変換手段と、
A/D変換手段から出力されたマルチビットの差分データを積算してマルチビットの積算データを出力する積算手段と、
積算手段から出力されたマルチビットの積算データをキャリアに重畳して生成したパルスデータを出力するパルスデータ生成手段と、
パルスデータ生成手段から出力されたパルスデータからキャリア成分をフィルタリングしてアナログ帰還信号を抽出して出力するアナログローパスフィルタと、
を備えることを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に係る発明のA/D変換システムによれば、
請求項1に記載のA/D変換システムにおいて、
前記A/D変換手段、積算手段、および、パルスデータ生成手段はマイクロコンピュータが内蔵する手段であって、
前記積算手段および前記パルスデータ生成手段は、プログラム処理により積算および生成を行う手段であることを特徴とする。
【0010】
また、請求項3に係る発明のA/D変換システムによれば、
請求項1または請求項2に記載のA/D変換システムにおいて、
前記パルスデータ生成手段は、キャリアデータ生成手段と比較手段とを備え、
キャリアデータ生成手段から出力されたマルチビットのキャリアデータと、積算手段から出力されたマルチビットの積算データが比較手段に入力され、比較手段でキャリアデータと積算データの大小を比較し、積算データの大きさに比例するパルス幅を有するように重畳したパルスデータを生成して出力することを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のA/D変換システムの実施形態について図を参照しつつ説明する。
図1は本発明の実施形態のA/D変換システムの構成図、図2は本発明の基本原理を示しており、シグマデルタ変調(以下、ΣΔ変調という)によるA/D変換方式を説明する説明図である。
【0012】
図1で示すように、A/D変換システムは、減算手段10、マイクロコンピュータ20、アナログローパスフィルタ30を備えている。
さらに、マイクロコンピュータ20は、内蔵A/D変換装置21(本発明のA/D変換手段の一具体例である)、積算手段22およびパルスデータ生成手段23を備えている。
さらに、パルスデータ生成手段23は、比較手段23a、キャリアデータ生成手段23bを備えている。このA/D変換システムは、ΣΔ変調のA/D変換方式でA/D変換を行う。
【0013】
ここで、発明の理解を助けるため、ΣΔ変調のA/D変換について図2を参照しつつ簡略に説明する。ΣΔ変調には、1ビットΣΔ変調およびnビットΣΔ変調があるが、まず、1ビットΣΔ変調について説明する。1ビットΣΔ変調方式のA/D変換装置は、図2(a)で示すように、減算手段50、積分手段51、1ビットA/D変換装置52、1ビットD/A変換装置53、ディジタルフィルタ54を備える。
【0014】
この1ビットΣΔ変調方式によるA/D変換については、例えばトランジスタ技術(1996,2月号、p256)等により、広く知られた技術であるため構成の詳細な説明は省略し、1ビットΣΔ変調方式のA/D変換装置の動作の概略を説明する。
【0015】
例えば、図2で示した1ビットA/D変換装置52は、−0.5〜0.5のアナログ値を0と判定し、0.5〜1.5のアナログ値を1と判定するようなA/D変換装置であるとする。この場合にアナログ信号として“0.3”という値のアナログ値が入力されるとすると、ディジタルの出力値は1ビットでは“0”と表現される。
【0016】
一方、図2(a)で示すような1ビットΣΔ変調方式のA/D変換装置を構成し、減算手段50に、アナログ信号として“0.3”という値のアナログ値が入力されるとする。この場合の積分手段51、1ビットA/D変換装置52、1ビットD/A変換装置53の出力は表1で示す値のように推移する。なお、1ビットA/D変換装置52と1ビットD/A変換装置53との出力値は0または1で実質上同じである。このため、1ビットΣΔ変調方式のA/D変換システムでは1ビットA/D変換装置53を省略して考えても良い。
【0017】
【表1】
【0018】
デジタルフィルタ54は、その機能上、1ビットA/D変換装置52からの出力を平均して出力する機能を有している。
8回のサンプリングにおける1ビットA/D変換装置52からの出力の平均を求めると、2/8=0.25である。この場合、量子化誤差は0.3−0.25=0.05となり、3ビット相当の分解能が得られていることがわかる。
【0019】
そしてこのようなΣΔ変調方式のA/D変換装置は1ビット構成以外にも、マルチビット(nビット:ここにnは2以上の自然数)構成とすることができる。このようなマルチビットΣΔ方式のA/D変換装置は、図2(b)に示すような構成を有している。
マルチビットΣΔ方式のA/D変換装置は、図2(b)で示すように、減算手段60、積分手段61、nビットA/D変換装置62、nビットD/A変換装置63、ディジタルフィルタ64を備える構成を有している。
【0020】
マルチビットΣΔ変調方式のA/D変換装置の構成・動作は、1ビットΣΔ変調方式のA/D変換装置の構成と類似している。
そして、本発明のA/D変換システムは、図2(b)で示すようなマルチビットΣΔ変調方式のA/D変換装置に類似する構成を採用する。
【0021】
図2(b)で示す減算手段60には、図1の減算手段10が対応する。
図2(b)で示すnビットA/D変換装置62は、図1の内蔵A/D変換装置21が対応する。
図2(b)で示す積分手段61は、図1の積算手段22が対応する。
図2(b)で示すnビットD/A変換装置63は、図1のパルスデータ生成手段23とアナログローパスフィルタ30とが対応する。
【0022】
nビットD/A変換装置に代えてパルスデータ生成手段23とアナログローパスフィルタ30とを採用した理由について説明する。
例えば、図2(a)で示した1ビットD/A変換装置53は、先に説明したように実際上の回路では省略も可能であり、出力を単にフィードバックするだけでよいが、図2(b)で示したようにnビットのD/A変換装置63は省略が不可能であり、ビット数が増えるに連れてD/A変換処理が複雑になるという欠点がある。
【0023】
そこで、本発明ではnビットD/A変換装置63に代えてパルスデータ生成手段23とアナログローパスフィルタ30を採用し、システムを複雑にすることなく、きわめて簡単にnビットのD/A変換を行うようにした。なお、動作については後に一括して説明する。
【0024】
以上説明したマルチビットΣΔ変調方式のA/D変換装置の構成を踏まえつつ、本発明のA/D変換システムによる信号処理について説明する。
減算手段10には、A/D変換の対象であるアナログ信号と、アナログ帰還信号がそれぞれ入力される。減算手段10は、アナログ信号からアナログ帰還信号を引いて差分信号を出力する。
【0025】
そして、差分信号はマイクロコンピュータ20が内蔵する内蔵A/D変換装置21へ入力される。内蔵A/D変換装置21は、差分信号をA/D変換してマルチビット(10ビット)の差分データを出力する。
差分データは積算手段22へ出力される。積算手段22は、マルチビット(16ビット)の積算データを出力する。
【0026】
積算手段22により、10ビットの差分データを64回(=26)積算することで、サンプリング時間×64の時間内で平均的に16ビット相当の分解能を得ることができる。
1ビットA/D変換装置により16ビットの分解能を得るにはサンプル時間は216回必要とするが、本発明では10ビットの内蔵A/D変換装置21を接続することで、64(=26)のサンプルで変換することができる。
【0027】
積算データは、パルスデータ生成手段23へ出力され、また、アナログ信号のA/D変換の結果のディジタルデータとして後段の図示しない演算手段や外部に出力される。このディジタルデータは16ビットであり、マイクロコンピュータ20の演算手段のプログラム処理で用いられることとなる。
なお、図示しないが、このディジタルデータが、サンプリング時間×64のサンプリングを行うサンプルホールド回路に入力されるようにしてもよい。
【0028】
一方パルスデータ生成手段23に入力された積算データは、比較手段23aに入力される。この比較手段23aには、キャリアデータ生成手段23bからキャリアデータが入力されている。
キャリアデータ生成手段23bは、マイクロコンピュータが内蔵するタイマ等を用いて所定周波数f1で出力するキャリア(変調波)であるキャリアデータを生成する。このキャリアデータは、例えば三角波、または、のこぎり波のディジタルデータである。
【0029】
なお、キャリア周波数f1は、内蔵A/D変換装置21のサンプリング周波数f0よりも十分大きい必要がある。しかしながら、仮に内蔵A/D変換装置21のサンプリング周波数f0が数kHzであるとしても、マイクロコンピュータ20のクロック周波数は数10MHzあり、サンプリング周波数f0よりも十分に大きいキャリア周波数f1を有するキャリアデータをプログラムにより作ることができる。
【0030】
比較手段23aは、積算データの大きさとキャリアデータの大きさとを比較し、キャリアデータよりも積算データが大きい場合に所定データ(出力の大きさがa)を、また、キャリアデータよりも積算データが小さい場合に所定データ(出力の大きさが−a)を出力する。この場合、比較手段23aからの出力は、積算データの大きさに比例するパルス幅を有するように重畳したPWM(Pulse Width Modulation)のパルスデータとなる。
【0031】
このパルスデータは、アナログローパスフィルタ30に出力される。アナログローパスフィルタ30は、キャリア周波数f1以下のカットオフ周波数fcを有するように設計されている。
このアナログローパスフィルタ30にパルスデータを入力すると、キャリア成分はフィルタリングされ、パルス幅に比例するように重畳された積算データ成分がアナログ信号に復調されて出力される。この積算データ成分であるアナログ信号は、アナログ帰還信号となる。
【0032】
以上、本実施形態について説明した。本発明のA/D変換システムは上記したようにnビットΣΔ方式のA/D変換システムとなるため内蔵A/D変換装置21が低分解能であっても、A/D変換システムとしては高分解能のディジタルデータを得ることができる。
【0033】
なお、パルスデータ生成手段23の具体例として、積算データに比例したパルスデータを得るためにPWMパルスを生成する手段について説明したが、PDM(Pulse Density Modulation:パルス密度変調)を用いてもよい。
また、比較手段23aやキャリアデータ生成手段23bは、プログラムによる処理手段であるものとして説明したが、パルスデータ生成手段23は、マイクロコンピュータ20の外部に接続される電子回路による手段としても良い。しかしながら、構成の省力化のため、プログラムによる手段とすることが好ましい。
【0034】
また、本実施形態では内蔵A/D変換装置のビット数を10ビットであるものとして説明した。しかしながら、10ビットに限定する趣旨でないのはいうまでもなく、適宜ビット数を変更できる。例えば、内蔵A/D変換装置のビット数が16ビットとなったような場合でも対応可能である。
【0035】
【発明の効果】
本発明によれば、高分解能であるが高価なA/D変換装置をマイクロコンピュータに外付けする代わりに、マイクロコンピュータが内蔵する低分解能のA/D変換装置と安価な外付け部品を使用することで、高分解能で安価なA/D変換システムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態のA/D変換システムの構成図である。
【図2】ΣΔ変調によるA/D変換方式を説明する説明図である。
【図3】従来技術のA/D変換システムの説明図である。
【図4】従来技術のA/D変換システムの説明図である。
【符号の説明】
10 減算手段
20 マイクロコンピュータ
21 内蔵A/D変換装置
22 積算手段
23 パルスデータ生成手段
23a 比較手段
23b キャリアデータ生成手段
30 アナログローパスフィルタ
50 減算手段
51 積分手段
52 1ビットA/D変換装置
53 1ビットD/A変換装置
54 ディジタルフィルタ
60 減算手段
61 積分手段
62 nビットA/D変換装置
63 nビットD/A変換装置
64 ディジタルフィルタ
100 マイクロコンピュータ
200 内蔵A/D変換装置
300 データ処理手段
400 外付A/D変換装置
500 ディジタルデータ入力インターフェース
Claims (3)
- 入力されるアナログ信号とアナログ帰還信号との差分信号を出力する減算手段と、
減算手段から出力された差分信号をアナログ/ディジタル変換してマルチビットの差分データを出力するA/D変換手段と、
A/D変換手段から出力されたマルチビットの差分データを積算してマルチビットの積算データを出力する積算手段と、
積算手段から出力されたマルチビットの積算データをキャリアに重畳して生成したパルスデータを出力するパルスデータ生成手段と、
パルスデータ生成手段から出力されたパルスデータからキャリア成分をフィルタリングしてアナログ帰還信号を抽出して出力するアナログローパスフィルタと、
を備えることを特徴とするA/D変換システム。 - 請求項1に記載のA/D変換システムにおいて、
前記A/D変換手段、積算手段、および、パルスデータ生成手段はマイクロコンピュータが内蔵する手段であって、
前記積算手段および前記パルスデータ生成手段は、プログラム処理により積算および生成を行う手段であることを特徴とするA/D変換システム。 - 請求項1または請求項2に記載のA/D変換システムにおいて、
前記パルスデータ生成手段は、キャリアデータ生成手段と比較手段とを備え、
キャリアデータ生成手段から出力されたマルチビットのキャリアデータと、積算手段から出力されたマルチビットの積算データが比較手段に入力され、比較手段でキャリアデータと積算データの大小を比較し、積算データの大きさに比例するパルス幅を有するように重畳したパルスデータを生成して出力することを特徴とするA/D変換システム。
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