JP3768064B2 - リニアコンプレッサの駆動装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明はリニアコンプレッサの駆動装置に関し、特に、リニアモータによってピストンを往復運動させ、圧縮ガスを生成するリニアコンプレッサの駆動装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
冷蔵庫のような冷却装置において、膨張した冷媒ガスを圧縮する駆動機構としてリニアコンプレッサを応用する開発が進められている。
【0003】
図1は、公知のリニアコンプレッサ(10)の構成を示す断面図である。リニアコンプレッサ(10)は、シリンダ(11)内にピストン(12)を往復移動自在に嵌挿し、該ピストン(12)をリニアモータ(40)によって往復動させて、シリンダ(11)の一端に形成された圧縮室(13)内のガスを圧縮するものである。
【0004】
リニアモータ(40)は、ケーシング(14)に形成された二重円筒状の継鉄部(15)(15a)に夫々電磁コイル(30)(30)を巻回してなる固定子(22)と、ピストン(12)の一端に形成された円筒状の永久磁石(32)を有する可動体(20)とを具える。永久磁石(32)は、継鉄部(15)(15a)の間に往復移動自在に挿入されている。また、可動体(20)は、ピストンバネ(16)を介して、固定子(22)に連結されており、可動体(20)には、更に、ケーシング(14)との間に防音、防振のためのマウントバネ(17)が取り付けられている。
なお、可動体(20)に電磁コイル(30)を巻回し、固定子(22)に永久磁石(32)を配備してリニアモータ(40)を構成することもできる。
【0005】
電磁コイル(30)に交流電圧Vを印加して電流Iを流すと、その電流Iの方向に応じた向きの電磁力が、可動体(20)である永久磁石(32)に作用して、ピストン(12)がシリンダ(11)内を往復移動する。
リニアコンプレッサ(10)のエネルギー効率(入力エネルギーに対する出力エネルギーの比率)を高めるには、可動体(20)を共振周波数付近で振動させることが望まれる。
リニアコンプレッサ(10)の共振周波数Fcは、ピストン(12)を含む可動体(20)の重量、圧縮室(13)内のガスの圧力変動に伴って生ずる所謂ガスバネのバネ定数、ピストンバネ(16)のバネ定数などによって決定される。
【0006】
リニアコンプレッサ(10)は、一般に商用電力によって駆動されるから、リニアコンプレッサ(10)の共振周波数Fcは、商用電力の交流電圧Vの周波数(50/60Hz)と一致するように設定されている。
【0007】
運転開始直後や定常運転中の負荷の変化によって、ガスバネのバネ定数が変化すると、可動体(20)の振動は、共振周波数Fcからズレた周波数での振動となり、その周波数が電源電圧Vの周波数とずれて、エネルギー効率が低下してしまう問題があった。
【0008】
電源の交流電圧Vは、電磁コイル(30)によるインダクタンスLが小さい場合には、図7(a)に示すように、縦軸を実軸、横軸を虚軸とすると、磁気コイル(30)に生ずる逆起電力Eと、リニアモータ(40)の電流Iと巻線抵抗Rによって生ずる電圧降下RIとの合成ベクトルとして示すことができる。なお、逆起電力Eは、電磁コイル(30)が、永久磁石(32)に対して相対的に移動するときに、電磁コイル(30)に生ずる相対移動速度に比例した起電力のことである。
そこで、出願人は、特開平9−112438号公報にて、リニアモータ(40)に供給される電源電圧Vと、リニアモータ(40)の電流Iとの位相差θ’を検出して、図7(b)に示すように、その位相差θ’=0となるように交流電源の周波数を調整し、負荷変動に伴って変動した共振周波数Fcを、交流電源の周波数Fに一致させることにより、エネルギー効率の高い運転を行なうリニアモータの駆動装置を提案している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
電磁コイル(30)のインダクタンスLが小さい場合には、上述のとおり、電源電圧Vとリニアモータ(40)に流れる電流Iとの位相差θ’をゼロとするように交流電源の周波数Fを調節すれば、リニアモータ(40)を共振状態で運転できる。
しかしながら、電磁コイル(30)のインダクタンスLが大きいときは、図3(a)に示すように、インダクタンスLにより生ずる電圧ωLIを無視できないから、位相差θ分だけ電源周波数Fの位相をずらすだけでは、共振状態に戻すことはできなかった。
【0010】
本発明の目的は、電磁コイルのインダクタンスLが大きい場合でも、共振状態で運転でき、高いエネルギー効率を維持できるリニアコンプレッサの駆動装置を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1にリニアコンプレッサ(10)の駆動装置(60)は、可動体(20)又は固定子(22)の一方に永久磁石(32)が配備され、他方に電磁コイル(30)が配備されたリニアモータ(40)を具えるリニアコンプレッサの駆動装置であって、
電磁コイル(30)へ加える駆動電圧Vの周波数制御が可能な交流電源(50)と、
交流電源(50)の駆動電圧Vを検出する電圧検出手段(52)と、
電磁コイル(30)に流れる電流Iを検出する電流検出手段(53)と、
電圧検出手段(52)によって検出された駆動電圧Vと、電流検出手段(53)によって検出された電流Iとの位相差θを検出する位相検出手段(55)と、
位相検出手段(55)によって検出された位相差θと、電圧検出手段(52)によって検出された駆動電圧Vから、駆動電圧Vの虚軸成分Viを算出し、算出された虚軸成分Viと電磁コイル(30)に生ずる電圧ωLIとの差に応じた周波数補正量ΔFを算出して、周波数補正量ΔFに応じた値だけ、交流電源(50)の駆動電圧Vの周波数を補正することによって、駆動電圧Vの周波数を可動体(20)の共振周波数に一致させる補正手段(57)と、を具える。
【0012】
また、本発明の請求項2にリニアコンプレッサ(10)の駆動装置(60)は、可動体(20)又は固定子(22)の一方に永久磁石(32)が配備され、他方に電磁コイル(30)が配備されたリニアモータ(40)を具えるリニアコンプレッサの駆動装置であって、
電磁コイル(30)へ加える駆動電圧Vの周波数制御が可能な交流電源(50)と、
交流電源(50)の駆動電圧Vを検出する電圧検出手段(52)と、
電磁コイル(30)に流れる電流Iを検出する電流検出手段(53)と、
電圧検出手段(52)によって検出された駆動電圧Vと、電流検出手段(53)によって検出された電流Iとの位相差θを検出する位相検出手段(55)と、
位相検出手段(55)によって検出された位相差θと、電圧検出手段(52)によって検出された駆動電圧Vから、駆動電圧Vの虚軸成分Viを算出し、算出された虚軸成分Viと電磁コイル(30)に生ずる電圧ωLIとの差から、電磁コイル(30)に生ずる逆起電圧Eの虚軸成分Eiを算出し、逆起電圧Eと逆起電圧Eの虚軸成分Eiに基づいて逆起電圧Eと電流Iとの位相差ψを算出し、算出された位相差ψに応じた周波数補正量ΔFを算出して、周波数補正量ΔFに応じた値だけ、交流電源(50)の駆動電圧Vの周波数を補正することによって、駆動電圧Vの周波数を可動体(20)の共振周波数に一致させる補正手段(57)と、を具える。
【0013】
【作用及び効果】
本発明の請求項1に記載のリニアコンプレッサの駆動装置によれば、電磁コイル(30)へ供給される駆動電圧Vと、電磁コイル(30)を流れる電流Iとの位相差θに基づいて算出された駆動電圧Vの虚軸成分Viと、電磁コイルに生ずる電圧ωLIとの差に応じて、周波数補正量ΔFを算出し、その算出値ΔFに基づいて駆動電圧Vの周波数を補正し、駆動電圧Vの周波数を可動体(20)の共振周波数に一致させることができる。
電磁コイル(30)のインダクタンスをも考慮して、駆動電圧Vの周波数制御が行なわれるから、運転初期状態や負荷の変動によってもエネルギー効率が低下することはなく、また、低力率のリニアモータに対しても、効率の高い共振運転が可能となる。
【0014】
本発明の請求項2に記載のリニアコンプレッサの駆動装置によれば、電磁コイル(30)へ供給される駆動電圧Vと、電磁コイル(30)を流れる電流Iとの位相差θに基づいて算出された駆動電圧Vの虚軸成分Viと、電磁コイルに生ずる電圧ωLIとの差に応じて、電磁コイル(30)に生ずる逆起電圧Eの虚軸成分Eiを算出し、逆に基づいて、逆起電圧Eと電流Iとの位相差ψを算出する。算出された位相差ψに応じた周波数補正量ΔFを算出し、その算出値ΔFに基づいて駆動電圧Vの周波数を補正し、駆動電圧Vの周波数を可動体(20)の共振周波数に一致させることができる。
請求項2についても、電磁コイル(30)のインダクタンスをも考慮して、駆動電圧Vの周波数制御が行なわれるから、運転初期状態や負荷の変動によってもエネルギー効率が低下することはなく、また、低力率のリニアモータに対しても、効率の高い共振運転が可能となる。
【0015】
本発明のリニアコンプレッサの駆動装置によれば、交流電源(50)の駆動電圧Vを電磁コイル(30)のインダクタンスLを考慮して補正し、可動体(20)のストロークを一定に保持することができるので、高負荷時ほど大きな電力が供給され低負荷時ほど小さな電力が供給されることとなり、これを用いた冷凍機には適切な冷却特性が得られる。
【0016】
【発明の実施の形態】
リニアコンプレッサに搭載されるリニアモータ(40)は、交流電源(50)と電磁コイル(30)を接続して形成される。これを等価回路で示した場合、図2のとおり、交流電源(50)に、電磁コイル(30)のインダクタンスL、電磁コイル(30)の巻き線抵抗R及び電磁コイル(30)に発生する逆起電圧Eで表わすことができる。
電磁コイル(30)に発生する逆起電圧Eは、電磁コイル(30)と永久磁石(32)との相対移動速度に比例して生じる電圧である。
交流電源(50)の駆動電圧をV、等価回路中を流れる電流をIとすると、インダクタンスLの電圧降下はωLI、巻き線抵抗による電圧降下はRIで表わされる。
【0017】
駆動電圧Vは、縦軸を実軸、横軸を虚軸としたときに、図3(a)に示すように、インダクタンスLによる電圧降下ωLI、巻き線抵抗による電圧降下RI及び逆起電圧Eとの合成ベクトルで示すことができる。
【0018】
ところで、電流Iの周波数が、リニアモータ(40)の共振周波数Fcと一致していないとき、図3(a)を参照すると、逆起電圧Eは、電流Iに対して、位相がψだけ進んでいることがわかる(位相遅れの場合もある)。この場合、逆起電圧Eと電流Iとの間に位相差ψが生じており、これらが同期していないため、リニアモータ(40)が共振状態で駆動できない。
そこで、この逆起電圧Eと電流Iとの位相差ψを、図3(b)に示すように、ゼロにすることにより、逆起電圧Eと比例関係にある電磁コイル(30)の相対的な移動速度と、電流Iとを同期させて、リニアモータ(40)を共振状態で駆動させる。
【0019】
上記のように、リニアモータ(40)を共振状態で作動させるための具体的な駆動装置の構成を図4、その制御の流れをフローチャート図5に示している。
駆動装置(60)は、図4に示すように、交流電源(50)、リニアコンプレッサ(10)の動力源となる電磁コイル(30)、電圧検出手段(52)、電流検出手段(53)及びコンピュータ(58)を具えており、コンピュータ(58)は、位相検出手段(55)と、演算・制御を行なう補正手段(57)とを具えている。
【0020】
交流電源(50)は、コンピュータ(58)の補正手段(57)からの周波数制御信号に応じてた周波数fの駆動電圧Vを、電磁コイル(30)に印加する。電圧検出手段(52)は、交流電源(50)から電磁コイル(30)に印加される電圧Vを検出し、検出値をデジタル信号に変換して、コンピュータ(58)の位相検出手段(55)に送信する(ステップ1)。また、電流検出手段(53)は、交流電源(50)から電磁コイル(30)に流れる電流Iを検出し、検出値をデジタル信号に変換して、コンピュータ(58)の位相検出手段(55)に送信する(ステップ1)。
【0021】
コンピュータ(58)の位相検出手段(55)は、電圧検出手段(52)及び電流検出手段(53)から送信されたデジタル信号に基づいて、電圧Vと電流Iの波形の立ち上がりタイミングなどを算出し(ステップ2)、駆動電圧Vに対する電流Iの位相差θを算出する(ステップ3及び図3(a))。駆動電圧Vの大きさと、位相差θから、駆動電圧Vの虚軸成分Viを算出することができる(ステップ4)。この虚軸成分Viは、図3(a)に示すように、インダクタンスLによる電圧降下ωLIと、逆起電圧Eの虚軸成分Ei(=Esinψ)との和を表わしている。インダクタンスLによる電圧降下ωLIは、電流検出手段(53)により測定された電流Iに基づいて算出できるから、駆動電圧Vの虚軸成分ViとインダクタンスLによる電圧降下ωLIとの差(=Vi−ωLI)から、逆起電圧Eの虚軸成分Esinψを算出する。
補正手段(57)には、逆起電圧Eの虚軸成分Esinψと、位相差ψをゼロとするために必要な周波数補正量ΔFとの関係が、計算式又はデータテーブルとして格納されている。補正手段(57)は、位相検出手段(55)で検出された位相差ψに応じた周波数補正量ΔFを算出し(ステップ5)、算出結果に基づいた周波数制御量F(=F+ΔF)を周波数制御信号として、交流電源(50)に送信する(ステップ7)。
交流電源(50)が、駆動電圧Vを受信した周波数制御量Fに応じて補正すると、図3(b)に示すように、逆起電圧Eと電流Iの位相差がゼロとなり、電磁コイル(30)の相対移動速度と電流Iが一致して、リニアモータ(40)は共振し、制御は終了する(ステップ8)。
【0022】
上記実施例の説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或は範囲を減縮する様に解すべきではない。又、本発明の各部構成は上記実施例に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。
【0023】
例えば、ステップ5において、上記では、駆動電圧Vの虚軸成分Esinψから周波数補正量ΔFを算出したが、図6に示すように、逆起電圧Eの虚軸成分Esinψと、電流Iと逆起電圧Eとの位相差ψを算出し、算出値に対応する周波数補正量ΔFを導くようにしてもよい(ステップ9〜ステップ11)。この場合、コンピュータ(58)の補正手段(57)には、逆起電圧Eと電流Iとの位相差ψと、位相差ψをゼロとするために必要な周波数補正量ΔFとの関係を、計算式又はデータテーブルとして格納しておけばよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】リニアコンプレッサの断面図である。
【図2】リニアモータの等価回路である。
【図3】 (a)は、電流と速度が同期していないときの電圧と電流との関係を示すベクトル図、(b)は、電流と速度が同期し、共振状態にある電圧と電流との関係を示すベクトル図である。
【図4】本発明のリニアコンプレッサの駆動装置を示すブロック図である。
【図5】本発明の制御の流れを示すフローチャート図である。
【図6】本発明の異なる実施例を示すフローチャート図である。
【図7】従来の制御方法を示すベクトル図であって、(a)は、電流と電圧が同期していない状態を示し、(b)は、電流と電圧が同期した状態を示している。
【符号の説明】
(10) リニアコンプレッサ
(30) 電磁コイル
(40) リニアモータ
(50) 交流電源
(52) 電圧検出手段
(53) 電流検出手段
(55) 位相検出手段
(57) 補正手段
Claims (2)
- 可動体(20)又は固定子(22)の一方に永久磁石(32)が配備され、他方に電磁コイル(30)が配備されたリニアモータ(40)を具えるリニアコンプレッサの駆動装置であって、
電磁コイル(30)へ加える駆動電圧Vの周波数制御が可能な交流電源(50)と、
交流電源(50)の駆動電圧Vを検出する電圧検出手段(52)と、
電磁コイル(30)に流れる電流Iを検出する電流検出手段(53)と、
電圧検出手段(52)によって検出された駆動電圧Vと、電流検出手段(53)によって検出された電流Iとの位相差θを検出する位相検出手段(55)と、
位相検出手段(55)によって検出された位相差θと、電圧検出手段(52)によって検出された駆動電圧Vから、駆動電圧Vの虚軸成分Viを算出し、算出された虚軸成分Viと電磁コイル(30)に生ずる電圧ωLIとの差に応じた周波数補正量ΔFを算出して、周波数補正量ΔFに応じた値だけ、交流電源(50)の駆動電圧Vの周波数を補正することによって、駆動電圧Vの周波数を可動体(20)の共振周波数に一致させる補正手段(57)と、
を具えることを特徴とするリニアコンプレッサの駆動装置。 - 可動体(20)又は固定子(22)の一方に永久磁石(32)が配備され、他方に電磁コイル(30)が配備されたリニアモータ(40)を具えるリニアコンプレッサの駆動装置であって、
電磁コイル(30)へ加える駆動電圧Vの周波数制御が可能な交流電源(50)と、
交流電源(50)の駆動電圧Vを検出する電圧検出手段(52)と、
電磁コイル(30)に流れる電流Iを検出する電流検出手段(53)と、
電圧検出手段(52)によって検出された駆動電圧Vと、電流検出手段(53)によって検出された電流Iとの位相差θを検出する位相検出手段(55)と、
位相検出手段(55)によって検出された位相差θと、電圧検出手段(52)によって検出された駆動電圧Vから、駆動電圧Vの虚軸成分Viを算出し、算出された虚軸成分Viと電磁コイル(30)に生ずる電圧ωLIとの差から、電磁コイル(30)に生ずる逆起電圧Eの虚軸成分Eiを算出し、逆起電圧Eと逆起電圧Eの虚軸成分Eiに基づいて逆起電圧Eと電流Iとの位相差ψを算出し、算出された位相差ψに応じた周波数補正量ΔFを算出して、周波数補正量ΔFに応じた値だけ、交流電源(50)の駆動電圧Vの周波数を補正することによって、駆動電圧Vの周波数を可動体(20)の共振周波数に一致させる補正手段(57)と、
を具えることを特徴とするリニアコンプレッサの駆動装置。
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