JP3768208B2 - 地下水位低下工法の縮小模型 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、真空排水を利用した地下水位低下工法の排水能力等を実験的に検証するための、縮小模型に関する。
【0002】
【従来の技術】
土木、建築の基礎工の際に地下水位を低下させる工法として、真空排水を利用した地下水位低下工法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
真空排水を利用した地下水位低下工法として、スーパーウェルポイント工法が実施されている。スーパーウェルポイント工法で用いるポンプは、例えば図9に示すように、ストレーナ部81を有し、土壌中に挿入されるケーシング管80と、ケーシング管80内に設けられ、下部に通水口を有し内部の空気が吸引される内筒管90と、内筒管90内に設けられる水中ポンプ91とからなる特殊な吸引部を有する。
【0003】
スーパーウェルポイント工法による揚水方法ついて、簡単に説明する。まず、図示しない真空ポンプを動かして内筒管90内の空気を抜く。するとケーシング管80外の土壌の水がストレーナ部81を通ってケーシング管80内に入り、内筒管90下部の通水口から内筒管90内に吸引される。この状態で水中ポンプ91を稼動すると、内筒管90内の水が汲み上げられる。
【0004】
スーパーウェルポイント工法は、従来のディープウェル工法などと比べ、揚水効果が数倍に上がることが数多くの現場計測で確認されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0005】
本工法は数多くの現場実績があるものの、その揚水メカニズムの解明や理論的な裏付けがなされていないことから、合理的な設計手法が確立されていないのが実情である。そこで、スーパーウェルポイント工法に関して、真空による揚水メカニズム、地盤条件と揚水量の関係及び周辺地盤に及ぼす影響について、実応力レベルでの検証実験が必要である。
【0006】
検証実験の手法としては、スーパーウェルポイント工法の施工される地盤をそのまま縮小した縮小模型を用いた実験が行われてきた。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−27170号公報
【非特許文献1】
荒井紀之、後藤裕明、山口徹、高橋茂吉、南嶋義幸「スーパーウェルポイント工法の開発」最新の施工技術・14、土木学会、2001年、p.17−24
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし我々が生活する1Gの重力場室内で縮小模型を用いて行われる実験では、間隙水圧が現場よりも小さいため、実際の施工と同等の真空度で吸引した場合には、現場の地盤内の応力状態や、現場で生じる実際の現象を再現することができず、影響評価を正確にすることが困難であった。
【0009】
本発明の課題は、スーパーウェルポイント工法の施工される現場の地盤内の地下水の変化や応力状態等、現場で生じる実際の現象を、縮小模型でより正確に再現することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、遠心機に搭載される地下水位低下工法の縮小模型であって、地盤材料が充填される土槽と、前記土槽の幅方向の一端に設けられた鉛直な透水壁により前記土槽と仕切られ、前記土槽に水を供給する給水槽と、前記土槽の幅方向の他端に設けられ、下部に前記地盤材料よりも透水性の高い透水板で塞がれた集水口を有する鉛直な遮水壁により前記土槽と仕切られ、前記集水口から間隙水が流入する集水槽と、前記集水槽内の水を排水する排水ポンプとを備えることを特徴とする。
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、土槽の幅方向の一端に設けられた鉛直な透水壁を介して仕切られた給水槽から土槽に水を供給し、土槽の幅方向の他端に設けられ、下部に地盤材料よりも透水性の高い透水板で塞がれた集水口を有する鉛直な遮水壁により土槽と仕切られた集水槽に流入する間隙水を排水ポンプで排水する実験を遠心力の作用する場で行うことで、ディープウェル工法の施工時に現場で生じる現象を再現し、影響評価を正確にすることができる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の地下水位低下工法の縮小模型であって、前記土槽には、土槽中の水位を計測するマノメーターが前記透水壁と前記遮水壁との間に幅方向に所定間隔で配置されることを特徴とする。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、土槽中の水位を計測するマノメーターが透水壁と前記遮水壁との間に幅方向に所定間隔で配置されるので、集水槽からの幅方向の距離に応じた土槽中の水位を計測することができる。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の地下水位低下工法の縮小模型であって、前記土槽には、土槽の地盤面の変化を測定する沈下計が前記透水壁と前記遮水壁との間に幅方向に所定間隔で配置されることを特徴とする。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、土槽の地盤面の変化を測定する沈下計が前記透水壁と前記遮水壁との間に幅方向に所定間隔で配置されるので、集水槽からの幅方向の距離に応じた土槽の地盤面の変化を測定することができる。
【0016】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の地下水位低下工法の縮小模型であって、前記土槽には、土槽の間隙水圧を測定する間隙水圧計が前記透水壁と前記遮水壁との間に幅方向及び深さ方向に所定間隔で配置されることを特徴とする。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、土槽の間隙水圧を測定する間隙水圧計が前記透水壁と前記遮水壁との間に幅方向及び深さ方向に所定間隔で配置されるので、集水槽からの幅方向の距離及び深さに応じた土槽内の間隙水圧を測定することができる。
【0018】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の地下水位低下工法の縮小模型であって、前記集水槽内の空気を排気する真空ポンプを備えることを特徴とする。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、給水槽から土槽に水を供給し、土槽の下部から間隙水が流入する集水槽の空気を真空ポンプで排気しながら集水槽の水を排水ポンプで排水する実験を遠心力の作用する場で行うことで、スーパーウェルポイント工法の施工時に現場で生じる現象を再現し、影響評価を正確にすることができる。
【0020】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の地下水位低下工法の縮小模型であって、前記集水槽の前記排水ポンプに通じる排水口と、前記集水槽の前記土槽から間隙水が流入する集水口との間に、仕切り板を設けることを特徴とする。
【0021】
請求項6に記載の発明によれば、排水口と集水口との間に、仕切り板を設けることで、集水口から集水槽に入った気泡が仕切り板の手前で浮上するので、気泡が排水口に入ることを防ぐことができ、排水ポンプの排水効率が下がることがない。
【0022】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の地下水位低下工法の縮小模型であって、前記集水槽の前記土槽から間隙水が流入する集水口の前記集水槽側に、上側に折り曲げられた折り曲げ管を設けることを特徴とする。
【0023】
請求項7に記載の発明によれば、集水口の集水槽側に、上側に折り曲げられた折り曲げ管を設けることで、集水口から集水槽に入った気泡が折り曲げ管を通って浮上するので、気泡が排水口に入ることを防ぐことができ、排水ポンプの排水効率が下がることがない。
【0024】
請求項8に記載の発明は、請求項2〜7のいずれか一項に記載の地下水位低下工法の縮小模型1において、前記排水ポンプ61で排水した水を前記給水槽20に供給する給水ポンプ71を備えることを特徴とする。
【0025】
請求項8に記載の発明によれば、排水ポンプ61で排水した水を給水槽20に供給する給水ポンプ71を備えるので、給水槽20、土槽30、集水槽40、排水ポンプ61、給水ポンプ71の順序で水を循環させることができ、縮小模型1の外部から水を供給せずに長時間連続して実験を行うことができる。
【0026】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の地下水位低下工法の縮小模型1において、前記給水槽20の所定水位以上の水を流出させる水位維持管22と、前記水位維持管22から水が流入するとともに、前記給水ポンプ71に水を供給する貯水槽72とを備えることを特徴とする。
【0027】
請求項9に記載の発明によれば、給水槽20の所定水位以上の水を水位維持管22により貯水槽72へ流出させることで、給水槽20の水位を所定水位に保つことができる。また給水槽20で水が不足したら、貯水槽72から給水ポンプ71を介して水を補給することができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明で使用する実験装置は、縮小模型1と、図示しない遠心機及び制御装置とからなる。
縮小模型1は、図1に示すように、実験槽10と、排水ポンプ61と、給水ポンプ71と、貯水槽72と、真空ポンプ53と、補助タンク55とからなる。
【0029】
実験槽10は、直方体形状であり、その前面の側壁11にはアクリル板等の透明材が用いられ、内部を観察可能にされている。また左右の側壁11a、11bと平行に、側壁11a、11bからそれぞれ間隔を空けて透水壁21または遮水壁41が設けられている。側壁11aと透水壁21との間が給水槽20となり、透水壁21と遮水壁41との間が土槽30となり、遮水壁41と側壁11bとの間が集水槽40となる。なお給水槽20と集水槽40との配置は左右反対でもよい。
【0030】
給水槽20は、透水壁21を介して土槽30に水を供給する。なお、本実施の形態では間隙液体として水を使用するが、グリセリン溶液等の粘性流体を使用してもよい。給水槽20には、給水ポンプ71から通じる配管が設けられ、給水ポンプ71から給水される。また、給水槽20内には、水位維持管22が設けられている。
【0031】
水位維持管22は、上端に流出口23を有しており、下端で貯水槽72に通じている。給水槽20の水位が流出口23の高さに達すると、給水槽20の水は貯水槽72に流出するため、給水槽20の水位は流出口23の高さよりも上昇しない。水位維持管22の流出口23の高さを変化させることで、給水槽20の水位を任意に設定することができる。
【0032】
貯水槽72は、水位維持管22から流出された水を貯めると共に、水を給水ポンプ71に供給する。なお貯水槽72の水位は流出口23よりも低いため、水が給水槽20へ逆流することはない。
【0033】
土槽30と給水槽20とを仕切る透水壁21は、水は通すが、土槽30に充填される地盤材料は通さない構造をしている。透水壁21は、例えば多数の穴が空けられた金属板と、金属板の土槽30側に設けられた不織布とからなる。
【0034】
土槽30には、地盤材料が充填される。地盤材料としては、例えば砂やシルト砂、粘土等が挙げられる。
地盤材料が充填された土槽30には、土槽30中の水位を測定するマノメーター31や、土槽30の地盤面の変化を測定する沈下計32が、透水壁21と遮水壁41との間に幅方向に所定間隔で配置される。また、土槽30中には透水壁21と遮水壁41との間に幅方向及び深さ方向に所定間隔で間隙水圧を測定する間隙水圧計33が配置される。
【0035】
土槽30と集水槽40とを仕切る遮水壁41の下部には集水口42が設けられており、その集水口42部分のみが水を通す。遮水壁41の土槽30側には、その集水口42部分を塞ぐように、透水板43が設けられている。透水板43には、水は通すが、砂や粘土等の地盤材料は通さず、かつ地盤材料よりも透水性の高い材料が用いられる。透水板43としては、例えばポーラスストーンが用いられる。
【0036】
集水槽40には、遮水壁41下部の集水口42から透水板43を透過した水が入る。その初期水位は土槽30及び給水槽20の水位に等しい。また、集水槽40内には、水位低下レベルを測定する水位計44が設けられている。
集水槽40側の側壁11bの下部には、排水ポンプ61に通じる排水管62の排水口63が設けられている。排水ポンプ61を稼動すると、集水槽40内の水が排水される。排水ポンプ61には、給水ポンプ71に通じる管路が設けられており、排水された水は、給水ポンプ71から再び給水槽20へ給水される。排水ポンプ61及び給水ポンプ71は、制御装置により制御される。
また、排水管62には排水管62の流量を計測する流量計64が設けられている。なお、流量計64は予め遠心力場で流量検定を行い、計測精度を確認する。排水管62の流量は、排水ポンプ61及び給水ポンプ71により調整される。
【0037】
なお、集水槽40内には、集水口42から集水槽40内に入る気泡が排水口63に入ることを防ぐために、図2に示すように、遮水壁41下部の集水口42と排水口63との間に、集水口42から間隔を空けて仕切り板45を設けてもよい。
仕切り板45としては、アルミ板などを使用することができる。仕切り板45は、例えば図3に示すように、水平断面コ字形に成形された仕切り部45aと、仕切り部45aの左右両端に設けられ、遮水壁41の集水槽40側の、集水口42の左右部分に接合される接合部45b、45bとからなる。仕切り部45aの上下端には、遮水壁41との間に隙間ができる。集水口42から集水槽40に入った気泡はその上側の隙間から浮上する。
あるいは図4に示すように、集水口42の集水槽40側に、上側に折り曲げられた折り曲げ管46を設け、集水口42から集水槽40内に入る気泡が折り曲げ管46を通って浮上するようにしてもよい。
【0038】
集水槽40上部には、排気管52が設けられている。排気管52は真空ポンプ53に通じている。真空ポンプ53は、排気管52を介して集水槽40内の空気を排気する。
排気管52には電磁弁54が設けられている。電磁弁54を開放することで、集水槽40内を大気圧に戻すことができる。また排気管52には電磁弁54と真空ポンプ53との間に補助タンク55が設けられている。補助タンク55は、電磁弁54を開閉する際に真空ポンプ53にかかる負荷変化を緩和する。真空ポンプ53及び電磁弁54は、制御装置により制御される。
また集水槽40上部には集水槽40内の気圧の外気圧との差を測定する負圧計51が設けられている。集水槽40内の気圧は、真空ポンプ53及び電磁弁54により調整される。
【0039】
上述した縮小模型1が図示しない遠心機に搭載され、縮小模型1及び遠心機は制御装置により制御される。縮小模型1の制御は、遠心機の回転軸に設けられる接触式スリップリングを介して行う。ここで縮小模型1の制御とは、排水ポンプ61及び給水ポンプ71の流量制御、真空ポンプ53の真空圧の調整、電磁弁54の開閉や、マノメーター31、沈下計32、間隙水圧計33、水位計44、流量計64等の計測・管理等である。
【0040】
次に、本実験装置を用いた実験方法について説明する。まず縮小模型1を搭載した遠心機を稼動し、縮小模型1に遠心力を作用させる。遠心力の強さは、縮小模型1の縮尺に応じて適宜調整する。この状態で縮小模型1の排水ポンプ61、給水ポンプ71、を稼動し、流量計64で排水管62の流量を計測することで、ディープウェル(DW)工法の模型実験を行うことができる。一方、電磁弁54を閉じ、真空ポンプ53を稼動することで、スーパーウェルポイント(SWP)工法の模型実験を行うことができる。
【0041】
また、土槽30に充填される地盤材料として、砂やシルト砂のほかに、粘土等他の地盤材料を使用することで、透水性の高い地盤から難透水性の地盤、圧密性の高い地盤など任意の地盤条件、水理条件について実験的に検討することができる。よって、一連の実験を行うことで、合理的な設計法を確立するための基本データの収集が可能である。
【0042】
また、実験槽10の深さ、幅、奥行きや、形状については、目的や条件に応じて適宜変更可能であり、例えば、実際の掘削現場を想定し、広い実験槽10を用いて、給水槽20を実験槽10の外周に、集水槽40を実験槽10の中心に設けてもよい。また実験槽10を円形にしてもよい。また井戸が浅い場合を想定して、集水口42の高さを適宜変更してもよい。
また例えば、山留壁をモデル化した矢板モデルを予め土槽30に設置しておくことで、山留壁の根入れ長、離隔距離等の影響を調べることができる。また、現場データから、山留壁で囲まれた外部での地表面の沈下が抑制されていることがわかっているが、このような現象を実験的に再現を試みることが可能である。
【0043】
また、汚染土壌の浄化方法として、現地盤に洗浄水、あるいは化学薬品やガスなどを加えた洗浄水を注入し、汚染された土壌から汚染物質を溶出させて回収する、ソイルブラッシング法があるが、このような方法の検証実験を行うことも可能である。
【0044】
<実施例>
実験槽10の寸法上の制約から、実地盤深さ15m、集水半径25mを想定して実験を行った。
実験槽10として、前面を観察用アクリル板とし、内寸法で幅600mm、奥行200mm、深さ500mmのものを使用した。給水槽20、井戸(集水槽40)の幅は50mmとした。透水壁21として、不織布を貼り付けたパンチングメタル(穴を無数にあけた鋼板)を使用した。遮水壁41下部の集水口42は、奥行200mmで、高さを75mm(開口率100%)または37.5mm(開口率50%)とした。また透水板43として厚さ10mm、高さ120mm、奥行200mmのポーラスストーン(透水係数k=7.0×10-2 cm/s)を使用した。
【0045】
土槽30の幅は500mmとし、鳥取県境港市竹内工業団地より採取したシルト(D50=0.06mm、emax=1.586、emin=0.858、k=2.0×10-3 cm/s)を用いて、水中落下法により深さ300mm、相対密度65%となるように充填した。
井戸の負圧は、−10、−35、−50、−85kPaのいずれかに設定した。水位低下レベルは、本実験では排水ポンプ61の能力の制約から−50mm(実換算−2.5m)または−100mm(実換算−5m)とした。将来的にはポンプ能力を改善し、−150m(実換算−7.5m)、−200m(実換算−10m)、まで行う予定である。
遠心加速度50G場にて土槽30内の水位や初期応力状態の安定を確認後、ディープウェル実験の再現性の確認も含め、以下に述べる手順で行った。
【0046】
1)ディープウェル(DW)実験
▲1▼ 電磁弁54の解放状態を確認後、排水ポンプ61を稼動し、水位低下を開始する。
▲2▼ 井戸の水位を−50mm(実換算−2.5m)または−100mm(実換算−5m)まで下げるため、排水ポンプ61の排水量を調整する。また給水槽20の水位を維持するため、給水ポンプ71の給水量を流量調整する。
【0047】
2)スーパーウェルポイント(SWP)実験
DW実験と同じ手順で集水槽40の水位を低下させた後に、
▲3▼ 電磁弁54を遠隔操作により閉塞し、真空ポンプ53を稼動する(井戸の水位上昇を確認)。
▲4▼ 井戸の水位を−50mm(実換算−2.5m)または−100mm(実換算−5m)まで下げて、定常状態を維持するため、排水ポンプ61の排水量を増大させる。
【0048】
<結果>
図5〜6は、井戸からの距離と土槽30内の地下水位との関係を実換算値で示したグラフである。図5は、開口率100%、井戸の水位を2.5m(実換算値)低下させた場合、図6は、開口率100%、井戸の水位を5.0m(実換算値)低下させた場合、図7は、開口率50%、井戸の水位を5.0m(実換算値)低下させた場合である。
【0049】
図5〜6のいずれの場合でも、負圧が大きいほど土槽30内の水位低下が大きかった。また図5、図6を比較すると、井戸の水位を低下させるほど地下水位の勾配が大きくなっていた。
DW実験の地下水位勾配は、開口率50%のもの(図7)が開口率100%のもの(図6)に比べ約2倍になっていた。一方、SWP実験の地下水位勾配には、顕著な差は見られなかった。
【0050】
図8は、負圧レベルと所定の井戸の水位低下(−2.5m、5.0m)における実測流量(定常状態)との関係を示したグラフである。井戸の水位低下が大きいほどDW実験での排水量は大きく、SWP実験では排水量は負圧に比例して増大していることがわかる。なお開口率50%でのDW実験の平均流量は開口率100%に比べ約2倍大きいが、SWP実験での流量は開口率による相違が認められなかった。したがって、DW工法では集水口42の有効面積の影響を大きく受けるが(図6、図7参照)、SWP工法では開口率よりも、むしろ負圧の影響が大きいといえる。
【0051】
井戸の水位低下が同じ場合、50kPaの負圧での排水量は、DW実験での排水量の約3倍であった。砂質土地盤では、通常SWP工法で使用する真空度(約50kPa程度)での排水効率は、経験的にDW工法の2〜5倍である。本発明の実験装置を用いた実験の結果は、土質条件の類似する現場での経験値とほぼ一致することがわかった。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載の発明によれば、給水槽から鉛直な透水壁を介して土槽に水を供給し、土槽の給水槽と反対側に設けられ、下部に地盤材料よりも透水性の高い透水板で塞がれた集水口を有する鉛直な遮水壁により土槽と仕切られた集水槽に流入する間隙水を排水ポンプで排水する実験を遠心力の作用する場で行うことで、ディープウェル工法の施工時に現場で生じる現象を再現し、影響評価を正確にすることができる。
【0053】
請求項2に記載の発明によれば、土槽中の水位を計測するマノメーターが透水壁と前記遮水壁との間に幅方向に所定間隔で配置されるので、集水槽からの幅方向の距離に応じた土槽中の水位を計測することができる。
【0054】
請求項3に記載の発明によれば、土槽の地盤面の変化を測定する沈下計が前記透水壁と前記遮水壁との間に幅方向に所定間隔で配置されるので、集水槽からの幅方向の距離に応じた土槽の地盤面の変化を測定することができる。
【0055】
請求項4に記載の発明によれば、土槽の間隙水圧を測定する間隙水圧計が前記透水壁と前記遮水壁との間に幅方向及び深さ方向に所定間隔で配置されるので、集水槽からの幅方向の距離及び深さに応じた土槽内の間隙水圧を測定することができる。
【0056】
請求項5に記載の発明によれば、給水槽から土槽に水を供給し、土槽の下部から間隙水が流入する集水槽の空気を真空ポンプで排気しながら集水槽の水を排水ポンプで排水する実験を遠心力の作用する場で行うことで、スーパーウェルポイント工法の施工時に現場で生じる現象を再現し、影響評価を正確にすることができる。
【0057】
請求項6に記載の発明によれば、排水口と集水口との間に、仕切り板を設けることで、集水口から集水槽に入った気泡が仕切り板の手前で浮上するので、気泡が排水口に入ることを防ぐことができ、排水ポンプの排水効率が下がることがない。
【0058】
請求項7に記載の発明によれば、集水口の集水槽側に、上側に折り曲げられた折り曲げ管を設けることで、集水口から集水槽に入った気泡が折り曲げ管を通って浮上するので、気泡が排水口に入ることを防ぐことができ、排水ポンプの排水効率が下がることがない。
【0059】
請求項8に記載の発明によれば、請求項2〜7のいずれか一項に記載の発明と同様の効果が得られるとともに、排水ポンプで排水した水を給水槽に供給する給水ポンプを備えるので、給水槽、土槽、集水槽、排水ポンプ、給水ポンプの順序で水を循環させることができ、縮小模型1の外部から水を供給せずに長時間連続して実験を行うことができる。
【0060】
請求項9に記載の発明によれば、請求項8に記載の発明と同様の効果が得られるとともに、給水槽の所定水位以上の水を水位維持管により貯水槽へ流出させることで、給水槽の水位を所定水位に保つことができる。また給水槽で水が不足したら、貯水槽から給水ポンプを介して水を補給することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の縮小模型の形態例を示す鉛直断面図である。
【図2】本発明の縮小模型の形態例を示す要部の鉛直断面図である。
【図3】(a)は本発明の縮小模型に用いる仕切り板を示す斜視図であり、(b)はその取り付け状態を示す平面図である。
【図4】本発明の縮小模型の形態例を示す要部の鉛直断面図である。
【図5】本発明の実験方法で計測された結果を示すグラフであり、開口率100%、井戸の水位を2.5m(実換算値)低下させた場合の井戸(集水槽)からの距離と土槽内の地下水位との関係を実換算値で示したグラフである。
【図6】本発明の実験方法で計測された結果を示すグラフであり、開口率100%、井戸の水位を5.0m(実換算値)低下させた場合の井戸(集水槽)からの距離と土槽内の地下水位との関係を実換算値で示したグラフである。
【図7】本発明の実験方法で計測された結果を示すグラフであり、開口率50%、井戸の水位を5.0m(実換算値)低下させた場合の井戸(集水槽)からの距離と土槽内の地下水位との関係を実換算値で示したグラフである。
【図8】本発明の実験方法で計測された結果を示すグラフであり、負圧レベルと所定の井戸の水位低下(−2.5m、5.0m)における実測流量(定常状態)との関係を示したグラフである。
【図9】スーパーウェルポイント工法を示す模式図である。
【符号の説明】
1 縮小模型
10 実験槽
11a、11b 側壁
20 給水槽
21 透水壁
22 水位維持管
23 流出口
30 土槽
31 マノメーター
32 沈下計
33 間隙水圧計
40 集水槽
41 遮水壁
42 集水口
43 透水板
44 水位計
45 仕切り板
46 折り曲げ管
51 負圧計
52 排気管
53 真空ポンプ
54 電磁弁
55 補助タンク
61 排水ポンプ
62 排水管
63 排水口
64 流量計
71 給水ポンプ
72 貯水槽
80 ケーシング管
81 ストレーナ部
90 内筒管
91 水中ポンプ
Claims (9)
- 遠心機に搭載される地下水位低下工法の縮小模型であって、
地盤材料が充填される土槽と、
前記土槽の幅方向の一端に設けられた鉛直な透水壁により前記土槽と仕切られ、前記土槽に水を供給する給水槽と、
前記土槽の幅方向の他端に設けられ、下部に前記地盤材料よりも透水性の高い透水板で塞がれた集水口を有する鉛直な遮水壁により前記土槽と仕切られ、前記集水口から間隙水が流入する集水槽と、
前記集水槽内の水を排水する排水ポンプとを備えることを特徴とする地下水位低下工法の縮小模型。 - 前記土槽には、土槽中の水位を計測するマノメーターが前記透水壁と前記遮水壁との間に幅方向に所定間隔で配置されることを特徴とする請求項1に記載の地下水位低下工法の縮小模型。
- 前記土槽には、土槽の地盤面の変化を測定する沈下計が前記透水壁と前記遮水壁との間に幅方向に所定間隔で配置されることを特徴とする請求項1または2に記載の地下水位低下工法の縮小模型。
- 前記土槽には、土槽の間隙水圧を測定する間隙水圧計が前記透水壁と前記遮水壁との間に幅方向及び深さ方向に所定間隔で配置されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の地下水位低下工法の縮小模型。
- 前記集水槽内の空気を排気する真空ポンプを備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の地下水位低下工法の縮小模型。
- 前記集水槽の前記排水ポンプに通じる排水口と、前記集水槽の前記土槽から間隙水が流入する集水口との間に、仕切り板を設けることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の地下水位低下工法の縮小模型。
- 前記集水槽の前記土槽から間隙水が流入する集水口の前記集水槽側に、上側に折り曲げられた折り曲げ管を設けることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の地下水位低下工法の縮小模型。
- 前記排水ポンプで排水した水を前記給水槽に供給する給水ポンプを備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の地下水位低下工法の縮小模型。
- 前記給水槽の所定水位以上の水を流出させる水位維持管と、前記水位維持管から水が流入するとともに、前記給水ポンプに水を供給する貯水槽とを備えることを特徴とする請求項8に記載の地下水位低下工法の縮小模型。
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