JP3772811B2 - 箔シールランプ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、金属箔を利用した箔シールランプに関し、特にシール部に使用される封着剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車のフォグランプなど補助灯にはいわゆる一端封止型のハロゲンランプが使用されている。係るハロゲンランプは、例えば図2(a)に示すように、石英ガラスからなる発光管10の一端部11にシール部12が形成され、このシール部12に金属箔20を介してタングステンフィラメント21と外部リード23とが一体に形成されて埋設されている。このような金属箔20を使用したシール部12は、例えば、発光管用石英ガラス管の内部において所定位置に上記金属箔12を配置して石英ガラス管における金属箔近傍を高温に加熱して圧潰する、いわゆるピンチシール方式によるものである。
【0003】
係るピンチシール方式により形成されたシール部においては、図2(b)の拡大図に示すように、シール部12を構成する石英ガラスと、外部リード23との界面に、ピンチシール後の冷却過程で、当該外部リード23と石英ガラスが収縮したことにより微小な間隙Sが不可避に形成されている。上述のハロゲンランプの点灯、消灯が繰り返されると、前記微小間隙を通じて金属箔20が酸化、腐食して、該金属箔20が早期に破断してしまうという問題がある。
このため、前記微小間隙Sの内部には、所要の封着剤30が充填されている。
【0004】
上記封着剤としては、例えば特公平6−54657号公報に記載のものが知られている。
上記公報に記載の技術は酸化鉛或いは酸化鉛を主成分とした封着剤に関するものであり、調製液の流動性が良好であるため、該封着剤の膜を、微小間隙の金属箔の表面上に過不足なく形成することが可能で、酸素の浸入を効果的に防止でき、金属箔の破断を回避することができるようになる。
【0005】
従来技術に係る酸化鉛或いは酸化鉛を主成分とした封着剤を用いた箔シールランプについて一例を述べると、封着剤の調製液は、硝酸鉛0.5mol/L、硝酸カリウム0.01mol/L、及び、ホウ酸0.03mol/Lを混合することにより得られ、この調製液を箔シールランプにおけるシール部の外部リード周囲に滴下し、温度550℃の炉中に15分間おいて加熱分解すると、封着剤不使用の箔シールランプに比較して、使用寿命が2.4倍以上という長い使用寿命を実現できる箔シールランプを提供できる。なお、ランプの使用寿命とは、金属箔の酸化等に起因して電気供給経路の断絶が生じたり発光管の黒化等に由来して照度低下が生じたりした結果、ランプが使用不可となるまでのランプの点灯時間を平均したものである。
【0006】
【特許文献1】
特公平6−54657号公報
【特許文献2】
特開平3−254061号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年では、環境問題に鑑み各産業界で鉛を使用しない仕様の製品が求められている。これは上述した自動車用のハロゲンランプ、その他の用途に係る箔シールランプにおいても同様であり、有鉛の封着剤が使用された従来の箔シールランプと同等以上に機能し、かつ、その構成材料に鉛を使用していないものが要求されている。
【0008】
上述した自動車用のハロゲンランプにおいては、当該ランプの点灯時において振動や衝撃が与えられた条件下で十分な耐酸化性を備えたものである必要があり、そのためにも上記微小間隙に露出する金属箔の表面全域が封着剤で被覆されるのが望ましく、更には、自動車用のランプでは点灯と消灯が頻繁に繰り返されるため、点灯、消灯の都度で、空気中の酸素が間隙内に進入する畏れのないものであるのが望ましい。
本願発明は、上記事情に鑑み、封着剤が、外部リードと石英ガラスの界面に形成された微小間隙内に露出する金属箔の表面を十分に被覆することができて、該金属箔の酸化を防止でき、かつ、その成分に鉛を含んでいない、箔シールランプを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の箔シールランプは、ガラスからなるバルブのシール部に金属箔が埋設されてこの金属箔に前記シール部の外方に伸びるリード棒が接続され、該シール部を構成するガラスと前記リード棒の間に形成された微小な空隙内に封着剤が充填されてなる箔シールランプにおいて、前記封着剤は非晶質状シリカとアルミナ(酸化アルミニウム;Al)とよりなり、前記アルミナは4.5〜50質量%の割合で混合されてなることを特徴とする。
更に好ましくは、上記アルミナの濃度が5〜10質量%であるのが良い。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、実施例に基づいて本願発明の実施形態を詳細に説明する。なお、本願発明に係る箔シールランプは、従来技術とは封着剤の成分が異なるのみでその他の形状についてはほとんど同様であるため、先に用いた図2を参照して説明する。石英ガラス製の発光管10の一端部11に、シール部12が形成されており、該シール部12には、一対のモリブデン等の金属箔20と、タングステンからなるフィラメント21の両端を延長して形成した内部リード22と、外部リード23とが一体的に埋設されている。発光管10の他端部11’には、当該発光管10内部を排気し、始動補助ガスとしてのアルゴンガス及び沃化水素等のハロゲンガスを導入するため使用したチップ管の残部が形成されている。
【0011】
また、外部リード23とシール部12を構成する石英ガラスとの界面には微小な間隙Sが形成されており、係る微小間隙S内に露出している金属箔20の表面全域が封着剤30によって被覆されている。
前記封着剤は、非晶質状シリカとアルミナ(酸化アルミニウム;Al)とよりなり、前記アルミナは4.5〜50質量%の割合で混合されている。
アルミナが混合された非晶質シリカからなる封着剤によれば、箔シールランプのシール部に埋設された金属箔が微小間隙に露出した表面を気密に被覆することができ、しかも、低融点ガラスとは異なり当該ランプの点灯時に溶融することがないので、自動車用のハロゲンランプのように点灯、消灯が繰り返されて使用されるものであっても、微小間隙への空気の浸入を完全に遮断できて、使用寿命時間内において金属箔が破断することがない、長寿命の箔シールランプとすることができる。
以下、封着剤の形成方法について詳述する。
【0012】
シリカ粉末及びアルミナ粉末との混合粉末が適宜の酸と共に純水に加えられて、シリカ及びアルミナが分散されたコロイド溶液が調製される。なおここで、混合される酸としては、例えば濃度が約0.01質量%の塩酸コロイド溶液であり、その水素イオン濃度(pH)は約4〜6とされる。
上記シリカ粉末とアルミナ粉末の割合は、コロイド溶液を蒸発させて最終形状としたときに、アルミナ粉末の質量が4.5〜50質量%となるように調製されて混合されている。それよりアルミナの量に過不足が生じた場合は、金属箔の酸化防止機能が低下し、フィラメントの使用寿命以前に金属箔が酸化してランプが不点灯になる可能性が高くなる。
【0013】
以上のように調製したコロイド溶液からなる充填液を、注入器によりランプのリード棒の周囲に滴下する。充填液は毛細管現象によって間隙の開口から深部に進入して、当該間隙内部において露出している金属箔表面を被覆する。係る充填液は、例えば低融点ガラス等に見られるような粘性の高いペースト状の溶液とは異なり、非常に流動性が高い溶液であるために、例えば外部リードの周りに1〜2滴程度滴下すれば、微小間隙内に露出した金属部材表面上にムラなく封着剤を被覆できる。
【0014】
十分に充填液を導入したのち、充填液に含まれる水分を飛ばすと、シリカの粉末が非晶質に析出して皮膜が形成され、ランプの封止部において形成された間隙の内部で露出している金属箔の表面が、非晶質状シリカとアルミナ(Al)を含有しており特に、成分中含まれるアルミナの割合が4.5〜50質量%の範囲とされる封着剤で被覆される。
なお、シリカ粉末及びアルミナ粉末平均粒径は好ましくは200nm以下であり、更には100nm以下とするのが望ましい。これは、充填液が封止部隙間に浸透し易くなると共に、最終形状としたときには金属箔表面上に緻密な組織が形成されるからであり、目的とする金属箔の耐酸化効果を一層優れたものとすることができるようになるからである。
【0015】
以下、本願発明の実施例について説明する。
上記実施形態で述べた方法により、最終計形状のランプとしたとき、封着剤に含まれるアルミナの質量が様々になるよう、シリカの粉末とアルミナの粉末の割合を種々変化させて、封着剤用の充填液を調製した。なおアルミナ粉末は繊維状構造の微粒子であり、シリカ粉末は平均粒度分布20nmの微粒子であった。
【0016】
図2と同様の自動車用(具体的にはフォグ用)の一端封止型ハロゲンランプを多数製作した。なお、箔シールランプは、定格消費電力が85W、定格消費電圧が13.2Vのハロゲンランプとした。
【0017】
後段に示す表は、最終的な封着剤としたとき、つまり、水分を含まない状態としたときのアルミナおよび/またはシリカの含有割合である。なお、アルミナが0質量%のものは、充填液調製時にシリカ粉末のみを混合しアルミナ粉末を混合しなかったものであり、一方、アルミナが100質量%のものは充填液調製時に、アルミナ粉末のみを混合しシリカ粉末を混合しなかったものである。
充填液1〜充填液7を、上記試料用箔シールランプにおけるシール部の外部リード周囲に、充填液を注射器により滴下し、その浸透性を評価した。ここで、供給された充填液が円滑に空隙内に進入してその全領域に該充填液が注入されたことが認められたものについて「良好」であるとし、液の付着にむらが生じている場合は、「むら有」とした。
この結果を下記表1にまとめて示す。
【0018】
【表1】
Figure 0003772811
【0019】
上記充填液で微小間隙内部を封着した試料用の箔シールランプを製作した。各充填液に対し箔シールランプを10本用意し、微小間隙内に充填液を注入して、充填液に含まれる水分を完全に蒸発して、合計70本の箔シールランプを製作した。
【0020】
<使用寿命評価>
上記箔シールランプを用いて点灯試験を行った。
試験方法は次の通りである。
点灯条件:直流13.2V、灯具内にて点滅点灯
点滅条件:10分点灯、20分消灯
試験時のシール部温度:550℃
周囲温度:30℃
【0021】
また、上記箔シールランプと全く同様の仕様であって、微小間隙の内部に封着剤が充填されていない箔シールランプを作製して、上記点灯試験と同様の点灯方法で点灯した。
【0022】
以上のランプに関し、点灯テストの結果を図1に示す。
同図は、封着剤が充填されていない箔シールランプが、封止部に埋設された金属箔が酸化して破断したことにより不点灯となった時間を100とし、上述の各種箔シールランプが不点灯となった時間(平均値)を相対値で示した図であり、ランプ寿命のアルミナ含有割合依存性を示す図である。従来製品に係る箔シールランプの寿命時間の相対値は240であるため、同図においてランプ寿命相対値が240より下回ったものについては「×」、240以上となったものについて「○」で点を付した。なお、傍点の数値は、ランプ寿命のアルミナの割合との関係を容易に理解できるよう、アルミナの質量%を記載したものである。
【0023】
アルミナを含まない(すなわち、アルミナ0質量%である)非晶質状シリカのみで封着剤が構成された箔シールランプにおけるランプの寿命は、相対値で約170であり、ランプの寿命が従来製品よりも格段に短くなってしまった。これは、充填液に含まれるシリカ粉末が、粗大微小間隙中において粗大になり易いために、金属箔、或いは、外部リード棒が酸化されやすくなってしまったからと考えられる。
アルミナが4質量%の割合で混合された非晶質状シリカよりなる封着剤を用いた箔シールランプでは、上述したアルミナを0質量%としたものに比較して、金属箔が破断に至るまでの時間が長くなり、すなわち、ランプ寿命が長くなったと確認された。しかしながら、ランプ寿命の相対値は222であり、従来製品と同程度のランプ寿命を得ることは出来なかった。
非晶質状シリカを含まず、封着剤がアルミナのみで(すなわち、アルミナ100質量%である)封着剤が構成された箔シールランプにおけるランプの寿命は、相対値で211であり、従来製品以上のランプ寿命を得ることができなかった。これは、長時間の点灯においてはアルミナの層が気密を維持できなくなるから、と推察される。
【0024】
アルミナを4.5質量%の割合で混合された非晶質状シリカよりなる封着剤で充填された箔シールランプでは、ランプ寿命の相対値が240となり、従来製品と同等のランプ寿命を得ることができると確認された。
【0025】
更に、アルミナの混合割合を5質量%にした封着剤を用いた箔シールランプでは、ランプの点灯時間が更に伸び、相対値で259になり、極めて長いランプ寿命を達成することが可能であった。
また更に、アルミナの混合割合を10質量%にした箔シールランプでは、点灯時間が最長になり、従来製品に比較して極めて長いランプの寿命が得られる、と確認された。この箔シールランプのランプ寿命の相対値は、270であった。
アルミナを20質量%或いは50質量%含む封着剤で充填された箔シールランプにおいては、ランプ寿命の相対値はそれぞれ248、240であり、いずれのものもの従来製品以上の点灯時間となった。
【0026】
以上の結果から、アルミナ(Al)を4.5〜50質量%の割合で含有する非晶質状シリカよりなる封着剤で充填された箔シールランプによれば、従来製品以上にランプの点灯時間を長くすることができることが確認された。無論、係る封着剤においてはシリカおよびアルミナからなるので、鉛のように環境汚染を懸念することもなく、安全に使用することができる。
【0027】
なお、本願発明に係る封着剤は、上述の一端封止型ハロゲンランプに限定されることなく、その他形状の白熱ランプ、或いは、放電ランプの電気導入部を封着する封着剤としても使用可能であることはいうまでもない。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように、ガラスからなるバルブのシール部に金属箔が埋設されてこの金属箔に前記シール部の外方に伸びるリード棒が接続され、該シール部を構成するガラスと前記リード棒の間に形成された微小な空隙内に封着剤が充填されてなる箔シールランプにおいて、前記封着剤は、非晶質状シリカとアルミナ(酸化アルミニウム;Al)とよりなり、前記アルミナが4.5〜50質量%の割合で混合されてなるので、鉛などの環境汚染物質を一切使用せずに、従来以上のランプの使用寿命が得られる箔シールランプを提供できるようになる。
特に、上記アルミナの割合が5〜10質量%とされていると、その効果が絶大なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ランプ点灯実験の結果を示す図であり、アルミナ含有割合とランプ寿命との関係を示す図である。
【図2】箔シールランプの構成の説明図である。
【符号の説明】
10 発光管
11 一端部
11’ 他端部
12 シール部
20 金属箔
21 フィラメント
22 内部リード
23 外部リード
S 微小間隙
30 封着剤

Claims (2)

  1. ガラスからなるバルブのシール部に金属箔が埋設されてこの金属箔に前記シール部の外方に伸びるリード棒が接続され、該シール部を構成するガラスと前記リード棒の間に形成された微小な空隙内に封着剤が充填されてなる箔シールランプにおいて、
    前記封着剤は非晶質状シリカとアルミナ(酸化アルミニウム;Al)とよりなり、前記アルミナは4.5〜50質量%の割合で混合されてなることを特徴とする箔シールランプ。
  2. 前記アルミナの割合が、5〜10質量%であることを特徴とする請求項1記載の箔シールランプ。
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