JP3774101B2 - 銅張積層板 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、フレキシブルプリント配線基板などの配線基板を製造する素材である銅張積層板に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電気機器や電気通信機器の産業分野においては、機器の小型軽量化および低コスト化が進められ、プリント配線基板にも高密度実装に対応するという課題を担うことが求められ、その結果、配線基板材料にも、高耐熱性、難燃性、寸法安定性などの向上がより高い基準に要求されるようになった。
【0003】
また、資源再利用の機運の高まりに応じて、前述のような機器構成材料は、再利用(リサイクル)可能な材料であることが好ましく、そのような絶縁材料としてポリエステル樹脂や熱可塑性ポリイミド樹脂などのFPC材料が利用されている。
【0004】
しかし、ポリエステル樹脂材料は、耐熱性が充分ではないので、配線基板の用途を充分に広げられない。また、熱可塑性ポリイミド樹脂は、これを銅箔の下地層に使用する際に、280℃を越える高温に加熱して接着する必要があって製造効率または製品の品質安定性を高めることが容易ではなく、また熱可塑性ポリイミド樹脂は、強塩基に対して弱く耐薬品性に難点があり、また吸水率が高いので寸法安定性が悪いという欠点もある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、配線基板における絶縁層は、銅箔などの金属箔を直接に重ねて設けられるものであり、配線板の製造工程において金属箔の積層時には高温に加熱されると同時に加圧され、また腐食性のエッチング用液剤にも接触するので、耐熱性および耐薬品性に優れた特性を有すると共に寸法安定性が良好な特性を有する必要があり、これが充分になければ、配線基板に「反り」が発生する。
【0006】
このような「反り」が発生する主な原因を図面を参照しながら説明すると、図1に示すように、回路を形成するエッチング工程で絶縁層(絶縁フィルム)1の表裏両面において回路部分等として残る金属箔2の面積が各所で異なるようになり、金属箔2に接する絶縁層1と金属箔2に接しない絶縁層1との間で熱膨張(収縮)率差による界面をずらす方向の力が生じ、次いで図2に示すように、部品を表面に実装する工程において、ハンダがコーティングされた実装部品の端子や電極を金属箔に密着させた状態で加熱炉に入れハンダを再溶融させた際、そのような再溶融工程(リフローソルダリング:Reflow soldering、または単に、リフロー工程とも称される。)および冷却工程(図3)において、前記した配線基板内部に絶縁フィルム1と金属箔2との熱膨張差および熱収縮差による応力が発現し、反りを助長しているものと考えられる。
【0007】
そこで、この発明の課題は上記した問題点を解決し、配線板に加工される素材である銅張積層板が、配線板製造工程における2度以上の被加熱時に「反り」を発生させないものとし、特にハンダ溶接温度にまで再加熱されても、その後に「反り」を発生させない銅張積層板とすることである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本願の銅張積層板に係る発明においては、ガラス転移温度以上でゴム状弾性を示す温度領域を有する熱可塑性樹脂からなる絶縁フィルムにプリント配線用銅箔を重ねて一体化してなる銅張積層板において、前記銅箔は、180〜240℃で20×10-6以上の平均線膨張係数を示す高温高膨張性の電解銅箔であり、前記絶縁フィルムは、そのガラス転移温度(Tg)以上で融点(Tm)未満の所定温度(Ts)に加熱された際、温度範囲(Ts−Tg)での平均線膨張係数が同温度範囲での前記電解銅箔の平均線膨張係数とほぼ等しくなるよう調製された熱可塑性樹脂からなる絶縁フィルムである銅張積層板としたのである。
【0009】
上記したように構成される銅張積層板における絶縁フィルムは、その温度範囲(Ts−Tg)での絶縁フィルムの平均線膨張係数が同温度範囲での銅箔の平均線膨張係数とほぼ等しくなるよう調製されているので、温度(Ts)に加熱されたとき、およびその後に冷却されたときに、絶縁フィルムおよび銅箔が所定の割合で熱膨張および熱収縮し、絶縁フィルム内の内部応力が小さくなって配線基板が反らない。
【0010】
また、上記の絶縁フィルムにおいて、温度範囲(Ts−Tg)における絶縁フィルムの平均線膨張係数(α1 )が、同温度範囲での銅箔の平均線膨張係数(α2 )に対して、α2 −9×10-6≦α1 ≦α2 +16×10-6の関係を満たすように調製されている銅張積層板に係る発明では、所定温度範囲における絶縁フィルムの平均線膨張係数(α1 )が、同温度範囲での銅箔の平均線膨張係数と確実にほぼ等しいため、温度(Ts)に加熱され、そのあとに冷却された際に、絶縁フィルムの内部応力を小さくするように絶縁フィルムおよび銅箔が熱膨張および熱収縮し、配線基板はより確実に反らないものになる。
【0011】
この発明で用いる銅箔は、180〜240℃で20×10-6以上、好ましくは20×10-6〜25×10-6の平均線膨張係数を示す高温高膨張性の電解銅箔であり、17×10-6の平均線膨張係数を示す通常の電解銅箔に比べて高い平均線膨張係数を示すものである。そのため、熱可塑性樹脂からなる絶縁フィルムの平均線膨張係数の調整が容易に行える。特に、熱可塑性樹脂に対して充填剤を添加することにより平均線膨張係数を低下させる場合には、充填剤の添加割合を通常の電解銅箔を使用した場合に比べて2〜5%以上低下させることができる。
【0012】
このように本願の銅張積層板に係る発明では、温度範囲(Ts−Tg)での絶縁フィルムの平均線膨張係数が同温度範囲での銅箔の平均線膨張係数とほぼ等しくなるよう調製されている。そのため、ハンダ溶接温度(Ts)に加熱され、そのあとに冷却された際に絶縁フィルムおよび銅箔が同じ割合で熱膨張および熱収縮するものになり、部品実装工程でハンダ溶接後に反りが起こらない銅張積層板になる。
【0013】
【発明の実施の形態】
この発明に用いる熱可塑性樹脂は、ガラス転移温度以上でゴム状弾性を示す温度領域を有し、銅箔に対して熱接着可能な熱可塑性樹脂であり、このような熱可塑性樹脂としては結晶性熱可塑性樹脂または非晶性熱可塑性樹脂のいずれであってもよく、またこのような一種以上の樹脂を混合した熱可塑性樹脂組成物であってもよい。なお、所要のゴム状弾性は、銅箔との熱接着性を良好にするために弾性率107 〜1010dyn/cm2 の範囲が好ましい。
【0014】
また、この発明に用いる熱可塑性樹脂は、例えば75μm程度の厚さのフィルム化された状態で配線板の製造時に耐える耐熱性を有するものであり、少なくともフロー工程またはリフロー工程におけるハンダ溶接時に回路形成された銅箔に圧接する状態で230〜240℃に加熱され、そのまま60〜180秒程度耐えた場合に溶融せず、ゴム状弾性を有するという耐熱性があるものである。
【0015】
結晶性の熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)などが挙げられる。
【0016】
また、非晶性の熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリアリルサルフォン(PArS)、変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)などが挙げられる。
【0017】
この発明において用いられる銅箔は、高温高膨張性の電解銅箔であり、180〜240℃で20×10-6以上、好ましくは20×10-6〜25×10-6の平均線膨張係数を示す電解銅箔である。
【0018】
このような電解銅箔は、不溶性金属からなる陽極と、表面を鏡面研磨された金属製陰極との間に電解液を流通させ、両極間に直流電流を流して陰極表面に銅箔を電着させ、陰極に形成される銅箔を連続的に剥離することによって連続的に製造される。上記の高温高膨張性の電解銅箔を製造するには、所定成分の銅電解液を使用するのであるが、このような高温高膨張性の電解銅箔は、いわゆる「高々温伸び箔」と称される周知の電解銅箔を使用することができる。
【0019】
なお、通常銅箔に比べて高い降伏強度と180℃雰囲気という熱間で高い伸び率を示す銅箔が、特許第2754157号公報に記載されており、このような銅箔をこの発明の銅箔として使用することもできる。因みに、同公報に記載の銅箔を製造する際に用いる電解液は、鉛イオン濃度3ppm以下、スズイオン濃度6ppm以下、塩素イオン濃度2ppm以下、ケイ素イオン濃度15ppm以下、カルシウムイオン濃度30ppm以下およびヒ素イオン濃度7ppm以下に制御した銅電解液である。
【0020】
上述したような「高々温伸び箔」と称される電解銅箔は、通常の電解銅箔のデンドライト(樹枝状)結晶とは異なり、実質的に配向のない微細な結晶粒からなるものであり、例えば180〜240℃程度で再結晶化するまでの昇温状態で結晶粒が徐々に大きく成長するものであって、再結晶化するまでに高い線膨張係数を示すものである。
【0021】
図4に、市販の「高々温伸び箔」と称される電解銅箔A、Bまたは、通常の電解銅箔Cの昇温工程の線膨張係数と温度の関係を示し、図5には、同様に再結晶後(図4に示す加熱工程後)の銅箔A、B、Cの降温工程での線膨張係数と温度の関係を示した。
【0022】
図4および図5の結果からも明らかなように、市販の「高々温伸び箔」と称される電解銅箔A、Bは、昇温工程で180〜240℃で20×10-6以上、好ましくは20×10-6〜25×10-6の平均線膨張係数を示す電解銅箔であった。
【0023】
この発明において所定温度範囲の絶縁フィルムの平均線膨張係数を同温度範囲の銅箔の平均線膨張係数とほぼ等しくなるよう調整するには、前述の熱可塑性樹脂を分子構造的に改善するか、もしくは適当な共重合成分を導入した共重合体に調製するか、または充填材を配合する方法が挙げられる。
【0024】
このうち、フィルムに配向を起こさせることなく平均線膨張係数を低下させることのできる充填材としては、粒径1〜15μm程度の板状(フレーク状)または球状の無機質充填材がある。そのうち、板状のマイカ、アルミナ、タルク、または球状のシリカ、アルミナ、またはチタン酸カリウムウィスカなどのウィスカなどは好ましい充填材である。
【0025】
この発明に用いる充填材の粒径、厚さ、アスペクト比は、特に限定する必要はないが、例えばマイカ、アルミナ、タルクでは平均粒径5〜9μm、厚さ0.5〜20μm、アスペクト比10〜50のものを使用し、シリカ、アルミナでは、平均粒径0.5〜1μm程度のものを使用して好ましい結果を得ている。
【0026】
なお、これら充填材の配合割合は、充填材の種類に応じて変わるので、一定した範囲を特定することは困難であるが、敢えて例示すれば、マイカなどの板状充填材では10〜30重量%、種類を特定しない場合の充填材の配合割合は、20〜50重量%程度であり、これらは実際には後述する実施例や比較例のように実験的手法により各充填材毎に適当な割合を設定する。
【0027】
【実施例および比較例】
〔実施例1〜29、比較例1〜43〕
表1または表2に示す配合割合で熱可塑性樹脂および充填材を混合し、得られた熱可塑性樹脂組成物の弾性率と温度の関係を測定値をプロットして調べ、これによってガラス転移温度(Tg)を決定した。
【0028】
そして、各実施例または比較例の絶縁フィルムについて、リフロー工程でのTsまたはT1 を想定して230℃から上記のTgまでの温度範囲における平均線膨張係数(平均線膨張率に同じ。)=α1 を調べると共に、絶縁フィルムの片面に銅箔を重ねて加熱加圧により接着し、得られた片面銅張積層板を230℃の加熱炉に120秒間で通過させ、片面銅張板のカール量からフィルムの収縮率を調べ、これらの結果を表1または表2に「リフロー収縮率」として示した。
【0029】
また、「高々温伸び箔」と称される電解銅箔A(市販品)のTsからTgまでの線膨張係数(α2)を調べ、これを表1または表2中に併記した。
【0030】
【表1】
Figure 0003774101
【0031】
【表2】
Figure 0003774101
【0032】
表1および表2の結果からも明らかなように、温度範囲(Ts −Tg)における絶縁フィルムの平均線膨張係数(α1 )が、同温度範囲での銅箔の平均線膨張係数(α2 )に対して、α2 −9×10-6≦α1 ≦α2 +16×10-6の関係を満たさない熱可塑性樹脂の絶縁フィルムからなる片面配線板(電解銅箔Aを使用)である比較例1〜43は、230℃の加熱炉を120秒通過させた後のフィルムの収縮率(%)が、0.11%以上に高く、片面配線板に反りが形成された。
【0033】
これに対して、α2 −9×10-6≦α1 ≦α2 +16×10-6の関係を満たす熱可塑性樹脂の絶縁フィルムからなる片面配線板である実施例1〜29は、230℃の加熱炉を120秒間で通過させた後のフィルムの収縮率(%)が、0.10%以下に低く、片面配線板に反りが形成されなかった。
【0034】
【発明の効果】
本願の銅張積層板に係る発明は、以上説明したように、所定の電解銅箔を採用すると共に絶縁フィルムの所定温度範囲(Ts −Tg)での平均線膨張係数が同温度範囲での前記銅箔の平均線膨張係数とほぼ等しくなるよう調製した銅張積層板としたので、配線板に加工される素材である銅張積層板が、配線板製造工程における2度以上の被加熱時に「反り」を発生させないものとなり、特にハンダ溶接温度にまで再加熱されても、その後に「反り」を発生させない銅張積層板になるという利点がある。
【0035】
また、上記の絶縁フィルムにおいて、α2 −9×10-6≦α1 ≦α2 +16×10-6の関係を満たすように調製されている銅張積層板に係る発明では、温度(Ts )に加熱され、その後に冷却された際に絶縁フィルムおよび銅箔が所定の割合で熱膨張および熱収縮するので、より確実に配線板を反らせない銅張積層板になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】配線板のエッチング工程の説明図
【図2】配線板のリフロー工程の説明図
【図3】配線板の冷却工程の説明図
【図4】銅箔の昇温工程における温度と線膨張率の関係を示す図表
【図5】銅箔の降温工程における温度と線膨張率の関係を示す図表
【符号の説明】
1 絶縁フィルム
2 銅箔

Claims (3)

  1. ガラス転移温度以上でゴム状弾性を示す温度領域を有する熱可塑性樹脂からなる絶縁フィルムにプリント配線用銅箔を重ねて一体化してなる銅張積層板において、
    前記銅箔は、180〜240℃で20×10-6以上の平均線膨張係数を示す高温高膨張性の電解銅箔であり、前記絶縁フィルムは、そのガラス転移温度(Tg)以上で融点(Tm)未満の所定温度(Ts)に加熱された際、温度範囲(Ts−Tg)での平均線膨張係数が同温度範囲での前記電解銅箔の平均線膨張係数とほぼ等しくなるよう調製された熱可塑性樹脂からなる絶縁フィルムである銅張積層板。
  2. 電解銅箔が、180〜240℃で20×10-6〜25×10-6の平均線膨張係数を示す電解銅箔である請求項1記載の銅張積層板。
  3. 温度範囲(Ts−Tg)における絶縁フィルムの平均線膨張係数(α1 )が、同温度範囲での銅箔の平均線膨張係数(α2 )に対して、α2 −9×10-6≦α1 ≦α2 +16×10-6の関係を満たすように調製されている請求項1または2に記載の銅張積層板。
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