JP3774535B2 - 二重発色インキ組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に紙、布などの溶剤浸透性筆記面に筆記又は描画(以下、単に筆記と略記する。)するに当たり、組成物の一成分であるアルミニウム等の金属粉顔料は、筆記面に捕捉されたその筆記部分において金属光沢に発色し、その筆記部分の周囲に染料が筆記面へ溶剤とともに浸透拡散して輪郭線を生じ、二重発色効果を発揮する筆記具用二重発色インキ組成物に関するものである。さらに詳しくはアルコール系及び又はグリコールエーテル系溶剤を用いることにより低毒性で安全な二重発色インキ組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、いわゆる二重発色インキ等に関する出願が多くなされている。例えば特開昭57−111364号には金属粉顔料、染料及び/又は平均粒子径1μm以下の微粒子顔料、及びアルコール系溶剤、炭化水素系溶剤、グリコール系溶剤等の溶剤からなる二重発色インキ組成物が例示されている。また、特開昭60−181179号には金属粉顔料、油溶性染料、水溶性染料、水と相溶性のないトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系有機溶剤及び水からなる三重発色性インキ組成物が例示されている。また、特開昭59−172565号にはノンリーフィング型金属粉顔料、顔料又は染料及び各種有機溶剤からなる二重発色インキ組成物が例示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
一方、近年、安全性の点から油性インキ組成物の有機溶剤としては有害である芳香族系炭化水素やケトン、エステル類の使用が規制される方向にあり、かわりにアルコール系やグリコールエーテル系溶剤等の低毒性のものが望まれている。
【0004】
しかし、アルコール系及び又はグリコールエーテル系溶剤をこの種のインキ組成物に用いた場合、上記溶剤は極性を有するため、アルミニウム粉等の金属粉顔料及び染料と混合すると経時により、染料自身の変色や消色が起こる等の問題を有していた。
【0005】
したがって従来は、この変色、消色の問題を解消すべく、特にアルミニウム粉を用いる二重発色性インキ組成物等の有機溶剤には芳香族系炭化水素やケトン、エステル類の溶剤が用いられてきたのが実状である。
【0006】
本発明の課題は低毒性のアルコール系及び又はグリコールエーテル系溶剤のような極性有機溶剤を用いても変色や消色が起こらない二重発色インキ組成物を得るところにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、かかる染料の変色や消色を防止すべく、鋭意検討した結果、アルコール系及び又はグリコールエーテル系溶剤が極性基であるヒドロキシル基を有し、さらに、水と可溶であることから溶剤のヒドロキシル基及び溶剤に微量に溶け込んでいる水とアルミニウム粉などの金属粉顔料が反応して水素が発生し、その水素の強力な還元作用により染料が還元されて変色や消色が起こることを見いだした。したがってかかる変色、消色の原因が還元にあるという上記メカニズムに基づき、アルコール系及び又はグリコールエーテル系で使用される染料の種類を還元に対して強いもの(以下、耐還元化染料と略記する。)を用いることによってこの問題を解消することができる知見を得た。請求項1の発明は、アルコール系及び又はグリコールエーテル系溶剤に可溶な耐還元化染料、アルコール系及び又はグリコールエーテル系溶剤、上記溶剤に可溶な油溶性樹脂、及び金属粉顔料を少なくとも含む二重発色インキ組成物である。
【0008】
また、本発明者は、耐還元化染料について多種にわたる染料とアルコール系溶剤等の組み合わせを鋭意検討した結果、耐還元化染料のうちアゾ系金属錯体染料、金属錯体染料、フタロシアニン系染料、キサンテン系染料を用いることによって特に変色や消色の問題を解消できることを見いだした。請求項2の発明は、耐還元化染料がアゾ系金属錯体染料、金属錯体染料、フタロシアニン系染料、キサンテン系染料のいずれかである請求項1記載の二重発色インキ組成物である。
【0009】
アルコール系溶剤及び又はグリコールエーテル系溶剤については安全であれば特に種類は問わない。但し、筆跡の乾燥性及びキャップオフ性を考慮すると、C1〜C4の脂肪族アルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルが筆記性及び上記染料との組み合わせにおいて好適であり、変色性、消色性の問題を解消できることを見いだした。請求項3の発明は、アルコール系及び又はグリコールエーテル溶剤がC1〜C4の脂肪族アルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルのいずれかである請求項1又は2記載の二重発色インキ組成物である。
【0010】
油溶性樹脂については、安全であり上記溶剤に可溶であれば特に種類や分子量は問わないが、特にケトン系樹脂、フェノール系樹脂、ロジン系樹脂、キシレン系樹脂、ブチラール系樹脂、ポリアミド系樹脂が筆記性及び上記染料などとの組み合わせにおいて変色性や消色性を解消できることを見いだした。請求項4の発明は、油溶性樹脂がケトン系樹脂、フェノール系樹脂、ロジン系樹脂、キシレン系樹脂、ブチラール系樹脂、ポリアミド系樹脂のいずれかである請求項1乃至3のいずれかに記載の二重発色インキ組成物である。
【0011】
金属粉顔料については、安全であり、脂肪酸又は脂肪酸塩で処理したものであることが好ましい。未処理のものは金属粉顔料の表面が酸化されやすく、アルコールなどと反応を起こしやすいため、変色、消色を起こす可能性が強くなり、本発明に用いるものとしては好ましくない。また、後述のように金属粉顔料の材質は特に限定されるものではないが、アルミニウム、銅合金、銅、亜鉛の金属粉顔料が好適に使用することができる。請求項5の発明は、金属粉顔料が脂肪酸又は脂肪酸塩で表面処理したアルミニウム、銅合金、銅、亜鉛から選ばれる金属粉顔料である請求項1乃至4のいずれかに記載の二重発色インキ組成物である。
【0012】
本発明のインキ組成物は筆記具に充填し筆記具として用いるのに好適であるが、その性能を活かすためには各成分の配合量を検討することが好ましい。本発明者は、かかる観点から配合量について検討した結果、筆記具として用いるのに最適な各成分の配合量を見いだした。請求項6の発明は、インキ全量に対して耐還元化染料の配合量が1.0〜15.0重量%である請求項1乃至5のいずれかに記載の二重発色インキ組成物である。請求項7の発明は、インキ全量に対して、金属粉顔料の配合量が5.0〜30.0重量%である請求項1乃至6のいずれかに記載の二重発色インキ組成物である。請求項8の発明は、インキ全量に対して、油溶性樹脂の配合量が3.0〜25.0重量%である請求項1乃至7のいずれかに記載の二重発色インキ組成物である。請求項9発明は、インキ全量に対して、アルコール系及び又はグリコールエーテル溶剤の配合量が60.0〜96.0重量%である請求項1乃至8のいずれかに記載の二重発色インキ組成物である。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明は、アルコール系及び又はグリコールエーテル系溶剤に可溶な耐還元化染料、アルコール系及び又はグリコールエーテル系溶剤、上記溶剤に可溶な油溶性樹脂、及び金属粉顔料を少なくとも含む二重発色インキ組成物である。
【0014】
本発明において使用する耐還元化染料は紙や布などの滲透性面へ筆記した場合、滲み出して筆跡の金属顔料の周囲に輪郭線を形成するために配合するものであり、安全であり、アルコール系やグリコールエーテル系溶剤に可溶であって還元に対して強いものであれば特に限定されるものではない。中でもアゾ系金属錯体染料、金属錯体染料、フタロシアニン系染料、キサンテン系染料がこれらの条件を満たし、好適に使用することができる。具体的にはアゾ系金属錯体染料としてはバリファストブラック3810(オリエント化学社製)、バリファストエロー4121(オリエント化学社製)、オラゾールレッド3GL(チバガイギー社製)、ネオザボンレッド335(BASF社製)、ネオザボンレッド365(BASF社製)、ネオスーパーエローC−117(中央合成化学社製)が、金属錯体染料としてはスピロンエローGRLH special(保土谷化学社製)が、銅フタロシアニン系染料としてはネオザボンブルー807(BASF社製)、オラゾールブルーGN(チバガイギー社製)が、キサンテン系染料としては、スピロンレッドCGH(保土谷化学社製)が好適に使用できるものとして例示できる。これらの染料は、単独で使用してもよいし、色調を拡大するなどの理由により2以上を併用しても特に問題はない。
【0015】
耐還元化染料の配合量は1.0〜15.0重量%(以下、単に%と略記する。)が好ましい範囲である。同配合量が1.0%未満の場合は筆跡の濃度不足を生じる点で好ましくなく、15.0%を越える場合は濃度上昇による筆記性不良を生じる点で好ましくない。中でも2.0〜10.0%の範囲が最適である。
【0016】
本発明において使用する溶剤は樹脂の溶解、金属粉顔料の分散のために配合されるものであり、安全であることが好ましい。したがってアルコール系またはグリコールエーテル系の溶剤であることが必要であり、これらの溶剤であれば特に限定されるものではない。例えば、脂肪族アルコール、グリコール、グリコールエーテル等の溶剤が使用可能である。中でも筆跡の速乾性及びキャップオフ性を考慮すると、C1〜C4の脂肪族アルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルが好適に使用できる。脂肪族アルコールとしてはエタノール、イソプロピルアルコールが、プロピレングリコールモノメチルエーテルとしてはダウアノールPM(ダウケミカル社製)が、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルとしてはダウアノールDPM(ダウケミカル社製)が好適なものとして例示できる。これらの溶剤は単独で使用してもよいし、2以上を併用しても特に問題はない。
【0017】
溶剤の配合量は60.0〜96.0%が好ましい範囲である。配合量がこの範囲より少ない場合は粘度上昇による筆記性不良、染料樹脂などの溶解性不良、顔料の分散不良を生じる点で好ましくない。一方、これらの範囲より過剰に添加した場合は筆跡の濃度不足を生じる点で好ましくない。この範囲の中でも特に65.0〜90.0%の配合量が最適な範囲である。
【0018】
本発明において使用する金属粉顔料は、筆跡通りに着色される色彩表現を与えるために添加されるものであり、安全であって、脂肪酸または脂肪酸塩で表面処理されている金属アルミニウム顔料であることが好ましい。例えば、リーフィングタイプ及びノンリーフィングタイプの微細アルミニウム粉や銅合金粉が使用可能である。また、粉末の粒径は特に筆記性能については問題とはならないが、大きい粒子を用いた場合は、筆記の際の目詰まりの原因となることがある。好適に用いることができるものの具体例としてはリーフィングタイプのものが、HYDROLAC BGH(ECKART WERKE社製)、CHROMAL X(ECKART WERKE社製)、SUPER3000(ECKART WERKE社製)、ノンリーフィングタイプのものがアルペースト 1230M(東洋アルミ社製)が挙げられる。これらの金属粉顔料は単独で使用してもよいし、2以上を併用しても特に問題はない。
【0019】
金属粉顔料の配合量は5.0〜30.0%が好ましい範囲である。配合量がこの範囲より少ない場合は、筆跡の濃度不足を生じ、一方、この範囲より過剰な場合は粘度上昇による筆記性不良及び顔料の分散不良を生じる点で好ましくない。この範囲の中でも特に7.0〜20.0%が最適な範囲である。
【0020】
本発明において使用する樹脂は顔料を分散させ、筆跡の筆記面に対する密着性を向上させるために添加されるものであり、安全であって、上記溶剤に可溶であることが必要である。具体的には上記アルコール系及び又はグリコールエーテル系溶剤に可溶である油溶性樹脂、特にケトン系樹脂、フェノール系樹脂、ロジン系樹脂、キシレン系樹脂、ブチラール系樹脂、ポリアミド系樹脂が好ましい。分子量は、特に限定されるものではない。具体的には、ケトン系樹脂としては、ハロン80(本州化学社製)、ハイラック110H(日立化成)が、キシレン系樹脂としてはニカノールHP−100(三菱瓦斯社製)が、フェノール系樹脂としてはタマノール510(荒川化学工業)好適に使用可能なものとして例示できる。
【0021】
樹脂の配合量は3.0〜25.0%が好ましい範囲である。配合量がこの範囲より少ない場合は筆跡の紙面に対する密着性不良及び、顔料の分散不良を生じる点で好ましくない。一方、この範囲より過剰な場合は粘度上昇による筆記性不良を生じる点で好ましくない。この範囲の中でも特に、5.0〜20.0%が最適な範囲である。
【0022】
本発明にかかる二重発色インキ組成物には上記成分のほか、粘度調整剤、構造粘性付与剤、染料可溶化剤、乾燥性付与剤などの各種添加剤を配合してもよい。粘度調整剤としてはエトセル10(ダウケミカル社製)が、構造粘性付与剤としてはAnti−Terra−P(ビッグケミー社製)が、染料可溶化剤としてはオレイン酸D−100(水晶油化社製)が好適に使用できるものとして例示できる。
【0023】
本発明にかかる二重発色インキ組成物を製造するには例えば次の方法が例示できる。すなわち、溶剤と樹脂を50℃1時間加熱攪拌混合し、続けて染料を投入しさらに50℃で1時間攪拌混合する。完全に攪拌された後加熱をやめ30℃まで冷却する。30℃以下にまで冷却した後金属粉顔料を添加し1時間攪拌混合し完成する。なお、製造方法は上記方法に限定されるものではない。
【0024】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づいて説明する。なお、本発明は実施例のみに限定されるものではない。
【0025】
下記表1乃至表3に記載された実施例及び比較例の各配合で二重発色インキ組成物を製造した。製造方法は既述の通り、溶剤と樹脂を50℃1時間加熱攪拌混合し、続けて染料を投入しさらに50℃で1時間攪拌混合後、加熱をやめ30℃以下にまで冷却した後、金属粉顔料を添加し1時間攪拌混合することにより製造した。
【0026】
【表1】
【0027】
【表2】
【0028】
【表3】
【0029】
なお、表中用いた原材料名は次の通りである。
1) アルコール可溶性染料(アゾ系金属錯体染料):商品名「バリファストブラック3810」,オリエント化学社製
2) アルコール可溶性染料(アゾ系金属錯体染料):商品名「バリファストイエロー4121」,オリエント化学社製
3) アルコール可溶性染料(ローダミンBG+タートラジン):商品名「バリファストレッド1308」,オリエント化学社製
4) アルコール可溶性染料(ローダミンB+モノアゾ染料):商品名「バリファストレッド1306」,オリエント化学社製
5) アルコール可溶性染料(銅フタロシアニン系染料):商品名「ネオザボンブルー807」,BASF社製
6) アルコール可溶性染料(アゾ系金属錯体染料):商品名「ネオザボンレッド335」,BASF社製
7) アルコール可溶性染料(アゾ系金属錯体染料):商品名「ネオザボンレッド365」,BASF社製
8) アルコール可溶性染料(銅フタロシアニン系染料):商品名「オラゾールブルーGN」,チバガイギー社製
9) アルコール可溶性染料(アゾ系金属錯体染料):商品名「オラゾールレッド3GL」,チバガイギー社製
10) アルコール可溶性染料(キサンテン系染料):商品名「スピロンレッドCGH」,保土谷化学社製
11) アルコール可溶性染料(金属錯体染料):商品名「スピロンイエローGRLH special」,保土谷化学社製
12) アルコール可溶性染料(トリフェニルメタン系染料):商品名「スピロンブルーCRH」,保土谷化学社製
13) アルコール可溶性染料(トリフェニルメタン系染料):商品名「スピロンバイオレッドCRH,」保土谷化学社製
14) アルコール可溶性染料(ジフェニルメタン系染料):商品名「スピロンエローC−GNH」,保土谷化学社製
15) アルコール可溶性染料(アントラキノン系染料):商品名「オイルブルーBA」,中央合成化学社製
16) アルコール可溶性染料(アゾ系金属錯体染料):商品名「ネオスーパーエローC−117」,中央合成化学社製
17) ステアリン酸表面処理、平均粒度9μm、リーフィングタイプ微細アルミニウム粉:商品名「CHROMAL X」,ECKART WERKE社製
18) ステアリン酸表面処理、平均粒度4μm、リーフィングタイプ微細銅合金粉:商品名「SUPER3000」,ECKART WERKE社製
19) パルチミン酸表面処理、平均粒度10μm、ノンリーフィングタイプ微細アルミニウム粉:商品名「アルペースト1230M」,東洋アルミ社製
20) 油溶性ケトン系樹脂:商品名「ハロン80」,本州化学社製
21) 油溶性キシレン樹脂:商品名「ニカノールHP−100」,三菱瓦斯社製
22) 油溶性ケトン系樹脂:商品名「ハイラック110H」,日立化成社製
23) 油溶性フェノール系樹脂:商品名「タマノール510」,荒川化学工業社製
24) C2の脂肪族アルコール/試薬:エタノール
25) C3の脂肪族アルコール/試薬:イソプロピルアルコール
26) プロピレングリコールモノメチルエーテル(グリコールエーテル系溶剤):商品名「ダウアノールPM」,ダウケミカル社製
27) ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(グリコールエーテル系溶剤):商品名「ダウアノールDPM」,ダウケミカル社製
【0030】
上記実施例1〜21及び比較例1〜16で得られた二重発色インキ組成物をサクラクレパス社製「サクラふちどりマーカーメタリック細字」に充填し、二重発色インキ組成物のマーカーを得た。
【0031】
各二重発色インキ組成物は、変色性評価及びマーカーとしての性能で評価を行った。評価方法は次の通りである。
【0032】
(変色性評価試験)
上記マーカーを用いて、上質紙上に筆記した時の初期の筆記面と50℃の条件下に放置し1ヶ月経過した筆記面を比較し、輪郭部分の変色等の有無を目視で判定した。全く変化がなかったものを○、少しでも変色、消色したとみられるものを×として変色性を評価した。その評価結果を上記表1乃至表3に示した。
【0033】
(マーカーとしての性能)
10名のモニターが各実施例及び比較例のインキ組成物を充填したマーカーを用いて上質紙上に文字を筆記し、筆記性不良、筆跡の濃度不足、筆跡の密着性を要素として判断した。筆記性不良は上記マーカーを用いて上質紙上に筆記したときのかすれ具合を目視にて判定し、7人以上が筆跡かすれがないと判断したときを○、6人以下のときを×として判断した。筆跡の濃度不足は上記マーカーを用いて上質紙上に筆記したときの筆跡の中心部(金属粉顔料部)とその周囲の輪郭線部(染料部)の濃度を目視にて判定し、筆記性濃度がよいと判断したものが7人以上のときを○、6人以下のときを×と判断した。筆跡の密着性は上記マーカーを用いて硬質塩化ビニル板上に筆記して24時間乾燥させた後、乾いた綿ブロードを指先に巻き付けて1kgの荷重をかけて1回擦ったときの筆跡の状態で判断し、筆跡に変化がないものを○、筆跡が剥がれるものを×として判断した。その結果、すべての要素で○がついたものをマーカーとしての性能が○とし、どれか一つでもが合格ラインに満たなかったものをマーカーとしての性能が×として、結果を上記表1乃至表3に示した。
【0034】
表より、従来用いられていたローダミン6G+タートラジン系染料、アントラキノン系染料、ローダミンB+モノアゾ染料、トリフェニルメタン系染料、ジフェニルメタン系染料を用いた比較例1〜8は溶剤にアルコール系のもの等を用いた場合は、変色又は消色するのに対し、アゾ系金属錯体染料、銅フタロシアニン系染料、金属錯体染料及びキサンテン系染料を用いた実施例に関しては溶剤にアルコール系などの極性溶剤を用いた場合でも変色することがないことが判明した。また、実施例12,13と比較例7,8を較べることにより、金属粉顔料に銅合金粉を用いた場合でも変色しないことが明らかであり、本発明は金属粉顔料の種類を問わず適用できることが判明した。
【0035】
比較例9〜16は染料としてアゾ系金属錯体染料、銅フタロシアニン系染料、金属錯体染料及びキサンテン系染料を用いているため、変色性試験は良好なものとなっている。但し、各成分の配合量が不適当であるため、マーカーとしての性能の評価を満足するものではない。例えば染料の配合量が適当ではないものとして、比較例9,10と実施例1を比較すると、比較例9では染料の配合量が多いため、インキの粘度が上昇し筆記性不良を生じるのに対し、比較例10では筆跡の濃度不足を生じた。また、金属粉顔料の配合量が適当でないものとして比較例11,12と実施例3,4を比較すると、顔料の配合量が多い比較例11ではインキ組成物の粘度上昇による筆記性不良を生じるのに対し、比較例12では筆跡の濃度不足を生じた。さらに、樹脂の配合量が適当でないものとして比較例13,14と実施例5,6を比較すると、樹脂の配合量の多い比較例13は粘度上昇による筆記性不良を生じているのに対し、比較例14では筆跡が綿ブロードに移り、密着性が発揮されなかった。さらに、溶媒の配合量が適当でないものとして比較例15,16と実施例20,21を比較すると、溶媒の配合量の多い比較例15は筆記綿の濃度不足を生じ、比較例16では溶媒の不足による粘度上昇によって筆記性不良を生じるという結果を得た。
【0036】
このように本発明は染料として一定のものを用いることにより、筆跡の変色性を改善できるものの、マーカーとしての性能を満たすためにはそのインキを構成する各成分の配合量を検討することが好ましい。
【0037】
【発明の効果】
本発明は少なくとも、アルコール系及び又はグリコールエーテル系溶剤に可溶なアゾ系金属錯体染料、金属錯体染料、フタロシアニン系染料、キサンテン系染料のいずれかの染料、及びアルコール系及び又はグリコールエーテル系溶剤、及び上記溶剤に可溶な油溶性樹脂、及び脂肪酸又は脂肪酸塩で表面処理した微細金属粉顔料を含む二重発色インキ組成物である。したがって、本発明の第1の効果は、アルコールのヒドロキシル基と金属粉の反応により生じる水素により染料が還元されにくく、長期間放置していても筆跡周辺の滲透した筆跡が変色又は消色することがない。
【0038】
また、本発明の第2の効果は溶剤にアルコール系又はグリコールエーテル系溶剤を用いているため、人体に与える害がほとんどなく、従来のものに較べて安全に使用することができる。さらにアルコール系溶剤は粘性が小さく、滲透性においても優れており、二重発色インキとしての用途にも優れたものである。
Claims (4)
- アルコール系及び又はグリコールエーテル系溶剤に可溶な耐還元化染料、アルコール系及び又はグリコールエーテル系溶剤、上記溶剤に可溶な油溶性樹脂、及び金属粉顔料を少なくとも含み、
前記金属粉顔料が脂肪酸又は脂肪酸塩で表面処理したアルミニウム、銅合金、銅、亜鉛から選ばれる金属粉顔料であり、
前記耐還元染料がアゾ系金属錯体染料、金属錯体染料、フタロシアニン系染料、キサンテン系染料のいずれから選ばれ、
前記アルコール系及び又はグリコールエーテル溶剤の配合量が60.0〜96.0重量%である、
マーキングペン用二重発色インキ組成物。 - 前記耐還元化染料が1.0〜15.0重量%である、請求項1記載のマーキングペン用二重発色インキ組成物。
- 前記金属粉顔料が5.0〜30.0重量%、
前記油溶性樹脂の配合量が3.0〜25.0重量%である、
マーキングペン用二重発色インキ組成物。 - 前記耐還元染料が、アゾ系金属錯体染料及び金属錯体染料のいずれかから選ばれる、請求項1記載のマーキングペン用二重発色インキ組成物。
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