JP3776281B2 - インダクティブ素子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、薄膜インダクタ、薄膜トランスなどのインダクティブ素子に係り、特に磁性層を複数の磁性膜を積層して形成し、最もコイル層に近い磁性膜への前記コイル層からの磁束の集中を回避し、より好ましくは、各磁性膜に、均一な磁束分布が形成されるようにして、高周波特性を良好にすることが可能なインダクティブ素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば薄膜インダクタは、基板上に第1の磁性層が形成され、前記第1の磁性層の上に絶縁層を介してコイル層が形成され、さらに前記コイル層の上に絶縁層を介して第2の磁性層が形成されて構成されている。
【0003】
上記薄膜インダクタは、例えばマイクロDC−DCコンバータに使用されるが、前記薄膜インダクタを構成する磁性層が膜厚の厚い単層で形成されていると、高周波帯域では、渦電流損失が増大し、良好な高周波特性が得られないといった問題があった。
【0004】
そこで従来では、図10に示すように、薄膜インダクタ1を構成する磁性層3,5を、多層化した構造のものが考えられ、これによりインダクタンスをある一定以上に確保できるとともに、渦電流損失の低減を可能にし、高周波特性を改善できるとしている。
【0005】
図10に示すように、コイル層4は、第1の磁性層5と第2の磁性層3との間に介在し、各磁性層5,3は、それぞれ複数の磁性膜5aないし5c,3aないし3cが積層されて形成されている。
【0006】
また図10に示すように、磁性層5,3を構成する各磁性膜は、全て同じ幅寸法t1、同じ膜厚h1、及び同じ透磁率μ1で形成されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、図10に示すように磁性層5,3を構成する各磁性膜が、全て同じ幅寸法t1、同じ膜厚h1、及び同じ透磁率μ1で形成されていると、コイル層4に近い磁性膜ほど、前記コイル層4からの磁束が集中し、各磁性膜に均一な磁束分布が形成されず、全ての磁性膜を同等に機能させることができなかった。
【0008】
磁性層4を構成する各磁性膜は、同じ膜厚h1で形成されているために、コイル層4に最も近い磁性膜5a,3aは、前記コイル層4から発生する磁束による磁性膜内の磁束密度が高くなり、磁化飽和状態に達し易い。前記磁性膜5a,3aがほぼ磁化飽和状態に達すると、前記磁性膜5a,3aは実質的に磁性膜として機能せず、空心と同様の状態となる。
【0009】
すなわち従来は、磁性膜を積層して磁性層を構成することで、渦電流損失の低減を図っていたが、前記各磁性膜をすべて同じ膜厚h1、及び同じ透磁率μ1で形成すると、コイル層4に近い磁性膜ほど、コイル層4からの磁束が集中し、励振電流の振幅、或いは重畳される直流電流の増加にともない磁性膜が飽和状態に近づくため、インダクタンスの低下などの問題が生じる。
【0010】
ところで、コイル層4に近い磁性膜ほどコイル層4からの磁束が集中し、各磁性膜において、均一な磁束分布が得られていないことは、以下で説明する各磁性膜の損失等価抵抗からも実証される。
【0011】
図11は、周波数と、各磁性膜の損失等価抵抗との関係を示すグラフである。図11に示すように、全ての周波数帯域において、最もコイル層4に近い磁性膜5a,3aが、最も損失等価抵抗が大きく、続いて磁性膜5b,3bの損失等価抵抗が大きく、最もコイル層4から遠い磁性膜5c,3cが、最も損失等価抵抗は小さくなることがわかる。
【0012】
このように各磁性膜において損失等価抵抗が異なるのは、コイル層4から各磁性層に誘導される磁束量が異なるためである。コイル層4に近い磁性膜ほどコイル層4から発生する磁束が多く誘導されるので、コイル層4に近い磁性膜ほど損失等価抵抗は大きくなる。
【0013】
また、前述のように、前記コイル層4に最も近い磁性膜5a,3aが、磁化飽和状態に達すると、磁性膜5,3として機能する部分は、磁性膜5b,3bと磁性膜5c,3cだけになり、磁性膜5,3の膜厚が実質的に減少することとなる。このため、インダクタンスは低下し、直流重畳特性の低下を招く。
【0014】
また磁性膜5a,3aが磁化飽和状態に達すると、前記コイル層4から発生する磁束は、前記磁性膜5a,3aに次いでにコイル層4に近い磁性膜5b,3bに集中し、前記磁性膜5a,3aと同様に前記磁性膜5b,3bが磁化飽和に達しやすくなるため更なる直流重畳特性の低下を招く原因となる。
【0015】
本発明は上記従来の問題を解決するためのものであり、特にコイル層に最も近い磁性膜への前記コイル層からの磁束の集中を回避し、好ましくは、各磁性膜にほぼ均一な磁束分布が得られるようにして、インダクタンスをある一定以上に確保でき、直流重畳特性の向上が可能なインダクティブ素子を提供することを目的としている。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、コイル層および、絶縁層を介して前記コイル層を覆う磁性層が設けられたインダクティブ素子において、前記磁性層は、少なくとも2層の磁性膜が重ねられて形成されており、各磁性膜の膜厚が相違することによって、各磁性膜の透磁率と膜厚との積の値が相違し、前記磁性層を形成する任意の2つの磁性膜を比較したときに、前記コイル層に近い磁性膜の透磁率と膜厚との積の値が、前記コイル層から遠い磁性膜の前記透磁率と膜厚との積の値よりも小さくなる磁性膜の組み合わせを含むことを特徴とするものである。
この構成では、前記各磁性膜の透磁率が同じであっても、前記各磁性膜の膜厚を相違させることで、前記透磁率と膜厚との積の値を相違させることができる。
【0017】
従来、磁性層を多層化する場合には、複数の磁性膜を、同じ透磁率、及び同じ膜厚で形成していたので、コイル層に近い磁性膜ほどコイル層からの磁束が集中し、各磁性膜に均一な磁束分布が形成されず、各磁性膜が同等に機能していなかった。特に磁束の集中するコイル層に近い磁性膜は、磁化飽和状態に達して実質的に磁性膜としての機能せず、直流重畳特性やインダクタンスの低下などを招き、磁性層を多層化する効果が十分に発揮されない現状がある。
【0018】
これに対し本発明では、前記磁性層を形成する任意の2つの磁性膜を比較したときに、前記コイル層に近い磁性膜の透磁率と膜厚との積の値を、前記コイル層から遠い磁性膜の前記透磁率と膜厚との積の値よりも小さくすることで、コイル層に近い磁性膜に磁束が集中するのを回避できる。
【0019】
また、前記磁性層が3層以上重ねられた磁性膜を有するときには、コイル層に近い磁性膜へのコイル層からの磁束の集中を回避し、コイル層から遠ざかる磁性膜に磁束が誘導されやすくするために、前記コイル層に最も近い磁性膜の透磁率と膜厚との積の値が、それ以外の磁性膜の透磁率と膜厚との積の値よりも小さいことが好ましく、前記コイル層から最も遠い磁性膜の透磁率と膜厚との積の値が、それ以外の磁性膜の透磁率と膜厚との積の値よりも大きいとより好ましく、最も好ましくは、前記磁性膜の透磁率と膜厚との積の値が、前記コイル層から遠ざかるにしたがって順に大きくなることである。
【0020】
すなわち本発明では、コイル層から最も近い磁性膜へのコイル層からの磁束の集中を回避でき、またコイル層から遠ざかる磁性膜に誘導される磁束量を多くすることができ、各磁性膜に見合った磁束量をコイル層から誘導することが可能になる。これにより各磁性膜の磁束密度分布を均一な状態に近づけることができ、全ての磁性膜を、ほぼ同等に機能させることが可能になる。本発明によれば、各磁性膜の透磁率と膜厚との積の値を適正に調整することで、各磁性膜の損失等価抵抗の総和を低減し、従来と比較して直流重畳特性を向上でき、また、インダクタンスの低下を防ぐことができる。また、鉄損の低減を図ることもできる。特に、高周波領域における鉄損の低下を図ることが可能である。
【0021】
また、本発明は、各磁性膜の膜厚の調整及び磁性材料の選択を適切に行うことで、各磁性膜に対し、より均一な磁束分布が得られ、全ての磁性膜をほぼ同等に機能させることが可能である。
【0022】
また、本発明は、コイル層および、絶縁層を介して前記コイル層を覆う磁性層が設けられたインダクティブ素子において、前記磁性層は、少なくとも2層の磁性膜が重ねられて形成されており、前記磁性層を形成する任意の2つの磁性膜を比較したときに、前記コイル層に近い磁性膜の膜厚が、前記コイル層から遠い磁性膜の膜厚よりも小さくなる磁性膜の組みあわせを含むことを特徴とするものである。
【0023】
前記磁性層が3層以上重ねられた磁性膜を有する場合には、前記コイル層に最も近い磁性膜の膜厚が、それ以外の磁性膜の膜厚よりも小さいことが好ましく、また、前記コイル層から最も遠い磁性膜の膜厚が、それ以外の磁性膜の膜厚よりも大きいことが好ましい。より好ましくは、前記磁性膜の膜厚が、前記コイル層から遠ざかるにしたがって順に大きくなることである。
【0026】
さらに本発明では、前記磁性層を形成する各磁性膜のうち、コイル層に最も近い磁性膜は、その両側端部がそれ以外の少なくとも1つの磁性膜の両側端部よりも中心側に位置するように形成されていることが好ましく、コイル層から最も遠い磁性膜は、その両側端部がそれ以外の少なくとも1つの磁性膜の両側端部よりも側方へ延出するように形成されているとより好ましい。また、前記磁性層を形成するいずれか2つの磁性膜を比較したときに、前記コイル層から遠い磁性膜の両側端部が、前記コイル層に近い磁性膜の両側端部よりも側方へ延出するように、コイル層から遠ざかる磁性膜ほど幅寸法が大きく形成されていることが最も好ましい。
【0027】
これにより、コイル層に最も近い磁性膜へのコイル層からの磁束の集中を、より適切に回避することができ、しかも、さらにコイル層から遠ざかる磁性膜ほど、コイル層からの磁束が誘導されやすくなるので、各磁性膜の磁束分布がより均一になり、従って全ての磁性層を適切に機能させることが可能である。
【0028】
また、前記磁性層を形成する各磁性膜のうち、前記コイル層から最も遠い磁性膜を除いた少なくとも一つの磁性膜に、スリット或いは切り欠き部が形成されていることが好ましい。
【0029】
前記コイル層から最も遠い磁性膜を除いた少なくとも一つの磁性膜に、スリット或いは切り欠き部が形成されていることにより、コイル層に近い磁性膜への磁束の集中を防ぎ、各磁性膜において均一な磁束密度分布を得ることができ、損失等価抵抗が減少する。従って、本発明のインダクタンス素子は、各磁性膜の損失等価抵抗の総和を低減させることができ、直流重畳特性を向上でき、従来と同等以上のインダクタンスを確保できる。また、前記コイル層から最も遠い磁性膜には、スリット或いは切り欠き部が形成されず、磁気シールドとして機能する。
【0030】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明における薄膜インダクタ(インダクティブ素子)の構造を示す部分斜視図、図2は図1の切断線2−2をa方向から切断した際の部分断面図である。
【0031】
図2に示すように、本発明における薄膜インダクタ10は、基板上に第1の磁性層11と、前記第1の磁性層11の上に、例えばSiO2等の絶縁材料で形成された絶縁層(図示しない)を介して形成されたコイル層12と、このコイル層12の上に絶縁層(図示しない)を介して形成された第2の磁性層13とを有して構成されている。なお図1では、コイル層12の上に絶縁層を介して形成される第2の磁性層13は図面上省略されている。
【0032】
図1及び図2に示すように、第1の磁性層11は、複数の磁性膜11aないし11cが絶縁膜(図示しない)を介して積層されて形成されている。
【0033】
また図1に示すように、前記第1の磁性層11上に形成されるコイル層12は平面的に螺旋状に形成されており、前記コイル層12は例えば銅などの電気抵抗の低い導電性材料でパターン形成される。このように、本発明は平面型のコイルを用いた平面型磁気素子に適用することができる。
【0034】
図1に示すように前記コイル層12の巻き中心12aは、例えば第1の磁性層11の中央に開けられたスルーホール(図示しない)を通って、外部に通じる取り出し電極(図示しない)に電気的に接続されている。また図1に示すコイル層12の巻き外端12bも、他の取り出し電極に電気的に接続された状態になっている。
【0035】
また前記コイル層12の上に絶縁層を介して形成される第2の磁性層13は、図2に示すように、複数の磁性膜13aないし13cが絶縁膜(図示しない)を介して積層されて形成されている。
【0036】
このように本発明では、上述のように、第1の磁性層11及び第2の磁性層13は、複数の磁性膜11aないし11c,13aないし13cが積層されて構成されており、前記磁性層が単一の層で形成される場合に比べ、渦電流損を低減させることが可能である。
【0037】
ところで本発明では、図1及び図2に示すように、コイル層12から遠ざかる磁性膜の膜厚ほど、厚く形成されている。図1及び2に示すように、第1の磁性層11のうち、コイル層12に最も近い位置に形成される磁性膜11aは、その膜厚がh4で形成され、コイル層12から最も離れた位置に形成される磁性膜11cは、その膜厚がh6で形成され、前記磁性膜11aと11cとの間に形成される磁性膜11bの膜厚は、h5で形成されており、前記膜厚h4,h5及びh6は、コイル層12から遠ざかるに従って大きく形成されている。
【0038】
また第2の磁性層13においても、図2に示すように、磁性膜13aないし13cの膜厚h7ないしh9は、膜厚h7、h8及びh9の順に大きくなっており、コイル層12から離れる磁性膜ほど膜厚が大きく形成されることがわかる。
【0039】
このように本発明では、コイル層12から遠ざかる磁性膜ほど膜厚が大きく形成され、この構造によりコイル層12から発生する磁束が、コイル層12から遠ざかる磁性膜に導かれ易くなり、従来のようにコイル層12に最も近い磁性膜11a,13aにのみ集中していた磁束を各磁性膜に、適切に分散させることが可能である。
【0040】
また、コイル層12から遠ざかる磁性膜ほど透磁率と膜厚との積の値も大きくなっている。
【0041】
本発明ではこのように、コイル層12から遠ざかる磁性膜ほど膜厚が厚く形成され、この構造によりコイル層12から発生する磁束がコイル層12から遠い磁性膜に多く誘導されるため、従来であればコイル層12に最も近い磁性膜11a,13aにのみ集中していた磁束を各磁性膜に適切に分散させることが可能である。
【0042】
本発明ではこのように、コイル層12から遠ざかる磁性膜ほど膜厚を厚く形成すること、すなわち、コイル層12から遠い磁性膜ほど磁気回路における磁気抵抗を小さくすることで、大きな磁束量が誘導されることとなる。このため、各磁性膜の磁束密度が均等な状態に近づき、コイル層12に近い磁性膜11a,13aのみが飽和することを回避することが可能である。
【0043】
すなわち本発明では、各磁性膜が、その膜厚に見合った磁束量を、コイル層12から有効に誘導することができ、これにより各磁性膜にほぼ均一な磁束分布が形成される。なお、1つの磁性膜の厚みは、0.5〜15μmであることが好ましい。1つの磁性膜の厚みが15μm以上であると、インダクタンスの増加を見込み難くなる。
【0044】
また図1及び図2に示す実施例においては、コイル層12から遠ざかる磁性膜ほど幅寸法が大きく形成されていることがわかる。
【0045】
本発明では、図1及び図2に示すように、第1の磁性層11を構成する各磁性膜のうち、コイル層12に最も近い磁性膜11aの幅寸法t2が最も短く形成され、コイル層12に最も遠い磁性膜11cの幅寸法t4が最も長く形成され、前記磁性膜11aと11cとの間に位置する磁性膜11bの幅寸法t3が、磁性膜11aの幅寸法t2よりも長く形成され、且つ磁性膜11cの幅寸法t4よりも短く形成されている。
【0046】
同様に第2の磁性層13を構成する各磁性膜のうち、コイル層12に最も近い磁性膜13aの幅寸法t5が最も短く形成され、コイル層12に最も遠い磁性膜13cの幅寸法t7が最も長く形成され、前記磁性膜13aと13cとの間に位置する磁性膜13bの幅寸法t6が、磁性膜13aの幅寸法t5よりも長く形成され、且つ磁性膜13cの幅寸法t7よりも短く形成されている。
【0047】
このようにコイル層12から遠ざかる磁性膜ほど幅寸法が長く形成されることにより、中間に位置する磁性膜11b,13bの両側端部は、コイル層12に最も近い位置に形成された磁性膜11a,13aの両側端部よりも側方へ延出して形成され、さらにコイル層12から最も遠い位置に形成された磁性膜11c,13cの両側端部は、中間に位置する磁性膜11b,13bの両側端部よりも側方へ延出して形成されている。
【0048】
このようにコイル層12から遠ざかる磁性膜の両側端部ほど、外側に延出して形成されることにより、コイル層12から遠ざかる磁性膜ほど、コイル層12から発生する磁束が誘導されやすくなり、各磁性膜の磁束密度を効果的に均一化することが可能である。
【0049】
なお各磁性膜の両側端部が、コイル層12に近い側に形成された磁性膜の両側端部より側方へ延出して形成される幅寸法を、オーバーハング量と呼ぶが、本発明ではこのオーバーハング量を適切に調整することで、各磁性膜における磁束分布の均一化を促進させることができる。
【0050】
さらに本発明では、磁性層11,13を構成する各磁性膜が同じ材質で形成されていてもよいし、あるいは異なった材質で形成されていてもよいが、高周波特性の向上という観点からすると、磁性材料に求められる1つの特性として高比抵抗が挙げられ、各磁性膜は、高比抵抗を有する磁性材料で形成されていることが好ましい。
【0051】
前記磁性層11,13を構成する各磁性膜11aないし11c、及び13aないし13cは、高周波特性に優れた軟磁性膜であり、例えば、特開平6−316748号公報に記載されているFe−M−O系軟磁性材料(但し、Mは、Zr,Hf,V,Nb,Ta,Mo,W,Al,Si,Cr,P,C,B,Ga,Geと希土類元素から選ばれる1種あるいは2種以上の元素)あるいは特開平10−25530号公報に記載されているCo−Fe−E−O系軟磁性材料(但し、元素Eは、Ti,Zr,Hf,Nb,Ta,Mo,W,Al,Si,Cr,P,C,B,Ga,Geと希土類元素から選ばれる1種または2種以上の元素)や、Co−Ta−Hf、Co−Ta−Hf−Pd、Co−Zr−Nb、Co−Zr−Ta、あるいはCo−Hf−Nb等により形成される。
【0052】
さらに本発明では、各磁性膜の磁束分布の均一化をより効果的に図るために、コイル層12から遠ざかる磁性膜ほど、高い透磁率を有する磁性材料で形成されることが好ましい。このように各磁性膜の透磁率を変えるには、元々透磁率の異なる組成の異なった磁性材料を適正に選択して、磁性膜に使用する場合のみならず、全ての磁性膜を同じ組成の磁性材料で形成する場合でも、前記磁性材料の構成元素の組成比等を変えることによって、透磁率を変えることもできる。
【0053】
上記のようにコイル層12から遠ざかる磁性膜ほど、高い透磁率を有する磁性材料で形成することにより、コイル層12から遠ざかる磁性膜ほど、コイル層12からの磁束が誘導されやすくなり、各磁性膜の磁束分布の均一化を促進させることができる。
【0054】
以上のように本発明では、コイル層12から遠ざかる磁性膜ほど膜厚を厚く形成することにより、コイル層12から遠ざかる磁性膜ほど、コイル層12からの磁束が誘導されやすくなる。従って、各磁性膜は、各磁性膜の膜厚に見合った磁束量をコイル層から取り入れることができ、各磁性膜の磁束分布の均一化を効果的に図ることが可能である。またコイル層12から遠ざかる磁性膜ほど幅寸法を大きくしたり、あるいはコイル層12から遠ざかる磁性膜ほど透磁率の高い磁性材料で形成することにより、さらに効果的に各磁性膜の磁束分布の均一化を促進させることができる。
【0055】
各磁性膜の磁束分布がほぼ均一な状態であると、各磁性膜の損失等価抵抗をほぼ同じ値にすることができ、各磁性膜の損失等価抵抗の総和を低減させることができ、直流重畳特性を向上でき、従来と同程度、あるいはそれ以上のインダクタンスを確保できる。また、特に高周波帯域において、鉄損を低減させることができる。
【0056】
なお図1及び図2に示す実施例においては、コイル層12から遠ざかる磁性膜ほど幅寸法を大きくしているが、各磁性膜の幅寸法は同じ寸法で形成されていてもかまわない。さらに図1及び図2に示す実施例においては、コイル層12から遠ざかる磁性膜ほど、高い透磁率を有する磁性材料によって形成しているが、全ての磁性膜が、ほぼ同程度の透磁率を有する磁性材料によって形成されていてもかなわない。
【0057】
図3は、参考例の薄膜インダクタ(インダクティブ素子)の構造を示す部分断面図である。
【0058】
図3に示すように薄膜インダクタ15は、基板上に第1の磁性層16が形成され、また前記第1の磁性層16の上に絶縁層(図示しない)を介してコイル層17が螺旋状にパターン形成されており、さらに前記コイル層17の上に、絶縁層(図示しない)を介して第2の磁性層18が形成されている。
【0059】
この参考例においても第1の磁性層16及び第2の磁性層18は、複数の磁性膜16aないし16c、及び18aないし18cが、絶縁膜(図示しない)を介して積層されて構成されており、磁性層16,18の多層化により渦電流損失の低減を図ることができる。
【0060】
図3に示すように各磁性膜は、ほぼ同じ膜厚h10で形成されている。そして、この参考例においては、コイル層17から遠ざかる磁性膜ほど、高い透磁率を有する磁性材料で形成されることにより、コイル層17から遠ざかる磁性膜ほど透磁率と膜厚との積の値が大きくなっている。
【0061】
前述したように、各磁性膜16aないし16c、及び18aないし18cは、例えば、特開平6−316748号公報に記載されているFe−M−O系軟磁性材料(但し、Mは、Zr,Hf,V,Nb,Ta,Mo,W,Al,Si,Cr,P,C,B,Ga,Geと希土類元素から選ばれる1種あるいは2種以上の元素)あるいは特開平10−25530号公報に記載されているCo−Fe−E−O系軟磁性材料(但し、元素Eは、Ti,Zr,Hf,Nb,Ta,Mo,W,Al,Si,Cr,P,C,B,Ga,Geと希土類元素から選ばれる1種または2種以上の元素)等により形成される。
【0062】
各磁性膜の透磁率を変えるには、元々透磁率の異なる組成の異なった磁性材料を適正に選択して、磁性膜に使用する場合のみならず、全ての磁性膜を同じ組成の磁性材料で形成する場合でも、前記磁性材料の構成元素の組成比等を変えることによって、透磁率を変えることもできる。
【0063】
このようにコイル層17から遠ざかる磁性膜ほど、透磁率の高い磁性材料で形成することで、コイル層17から遠ざかる磁性膜ほど、コイル層17からの磁束が誘導されやすくすることができる。
【0064】
従来では、図3に示す参考例と同様に、各磁性膜をほぼ同じ膜厚で形成していたが、各磁性膜を全て同じ磁性材料で形成していたので、各磁性膜における透磁率はほぼ同じ値であり、従ってコイル層からの磁束は、コイル層に近い磁性膜に集中し、各磁性膜に均一な磁束分布を形成できなかった。
【0065】
これに対し図3に示す参考例では、各磁性膜の透磁率を、コイル層17から遠ざかる磁性膜ほど高くすることで、コイル層17から発生する磁束は、前記コイル層17に最も近い磁性膜16a,18aのみならず、コイル層17から距離の離れる磁性膜16b,18b及び16c,18cにも適切に導かれ、各磁性膜全てにほぼ同程度の磁束量を吸収させることができる。よって参考例によれば、各磁性膜の磁束分布の均一化を図ることが可能であり、これにより各磁性膜の損失等価抵抗をほぼ同じ値にすることができ、各磁性膜の損失等価抵抗の総和を低減させることができ、直流重畳特性を向上でき、従来と同程度、あるいはそれ以上のインダクタンスを確保できる。また、特に高周波帯域において、鉄損を低減させることができる。
【0066】
なお図3に示す参考例では、図1及び図2に示す実施例の場合と同様に、コイル層17から遠ざかる磁性膜ほど、幅寸法が大きく形成されている。第1の磁性層16では、磁性膜16aの幅寸法t8、磁性膜16bの幅寸法t9、及び磁性膜16cの幅寸法t10の順で大きくなっており、同様に、第2の磁性層18では、磁性膜18aの幅寸法t11、磁性膜18bの幅寸法t12、及び磁性膜18cの幅寸法t13の順で大きくなっている。
【0067】
このように、コイル層17から遠ざかる磁性膜ほど、幅寸法を大きく形成することで、コイル層17から遠ざかる磁性膜の両側端部ほど、外側に延出して形成され、これによりコイル層17から遠ざかる磁性膜ほど、コイル層17から発生する磁束が誘導されやすくなり、各磁性膜の磁束密度をより均一化することが可能である。
【0068】
ただし本発明では、磁性層16,18を構成する各磁性膜の幅寸法が、ほぼ同一の幅寸法で形成されていてもかまわない。
【0069】
図4は、本発明の他の実施例における薄膜インダクタ(インダクティブ素子)の構造を示す部分平面図である。なお図4に示す薄膜インダクタには、第2の磁性層は図面上省略されている。
【0070】
図4に示すように、第1の磁性層20は、複数の磁性膜20aないし20cが、絶縁層(図示しない)を介して積層されて構成されており、前記第1の磁性層20の上に絶縁層(図示しない)を介してコイル層21が螺旋状にパターン形成されている。そして前記コイル層21の上には、絶縁層(図示しない)を介して図示しない第2の磁性層が形成されている。この第2の磁性層も第1の磁性層20と同様に複数の磁性膜が積層されて構成されている。
【0071】
この実施例においては、コイル層21から遠ざかる磁性膜ほど膜厚が大きくなって形成されている。図4に示すように、磁性層20の中央には、磁性膜20aから磁性膜20cにまで貫通する穴部20dが形成されている。そしてコイル層21の巻き中心部21aは、前記穴部20d内を通って、外部に通じる取り出し電極(図示しない)に電気的に接続されている。
【0072】
またこの実施例では、図4に示すように、コイル層21から遠ざかる磁性膜ほど幅寸法が大きく形成されている。コイル層21に最も近い位置に形成された磁性膜20aは、幅寸法がt14で形成され、前記磁性膜20aの次にコイル層21に近い位置に形成された磁性膜20bは、幅寸法がt15で形成され、コイル層21から最も遠い位置に形成された磁性膜20cは幅寸法がt16で形成されている。そして前記幅寸法は、磁性膜20aの幅寸法t14、磁性膜20bの幅寸法t15、及び磁性膜20cの幅寸法t16の順で大きく形成されていることがわかる。
【0073】
このようにコイル層21から遠ざかる磁性膜ほど幅寸法が大きく形成されることで、コイル層21から遠ざかる磁性膜の両側端部ほど、コイル層21の内径及び外径から延出して形成される。
【0074】
すなわちこの実施例においては、磁性層20に形成された穴部20d内においても、コイル層21から遠ざかる磁性膜の側端部ほど、前記穴部20dの中心方向に延出して形成された状態になるので、この穴部20d内においても、コイル層21から遠ざかる磁性膜は、コイル層21からの磁束を引き込み易くなる。
【0075】
よってこの実施例においては、より効果的に、コイル層21から遠ざかる磁性膜ほど、コイル層21からの磁束が誘導されやすくなり、従って、コイル層21からの磁束を各磁性膜へ適正に分散させることができ、各磁性膜の磁束分布の均一化を図ることが可能である。
【0076】
なおコイル層21から遠ざかる磁性膜ほど高い透磁率を有する磁性材料で形成されることが好ましいが、全ての磁性膜がほぼ均一な透磁率を有する磁性材料で形成されていてもかまわない。
【0077】
図5は本発明における他の実施例を示す薄膜インダクタ(インダクティブ素子)の部分平面図である。なお図5に示す薄膜インダクタには、第2の磁性層は図面上省略されている。
【0078】
図5に示すように、第1の磁性層22は、複数の磁性膜22aないし22cが、絶縁層(図示しない)を介して積層されて構成されており、前記第1の磁性層22の上に絶縁層(図示しない)を介してコイル層23が螺旋状にパターン形成されている。そして前記コイル層23の上には、絶縁層(図示しない)を介して図示しない第2の磁性層が形成されている。この第2の磁性層も第1の磁性層22と同様に複数の磁性膜が積層されて構成されている。
【0079】
この実施例においては、図5に示すように、磁性層22の中央に、磁性膜22aから磁性膜22cにまで貫通する穴部22dが形成されている。
【0080】
またこの実施例においても、コイル層23から遠ざかる磁性膜ほど膜厚が大きく形成されていることが磁束分布の均一化を促進させる上で好ましい。
【0081】
さらに図5に示すように、コイル層23から遠ざかる磁性膜ほど、幅寸法が大きく形成されている。図5に示すように、コイル層23に最も近い位置に形成された磁性膜22aは幅寸法がt17で形成され、前記磁性膜22aの次にコイル層23に近い磁性膜22bの幅寸法がt18で形成され、さらにコイル層23から最も遠い位置に形成された磁性膜22cの幅寸法がt19で形成されている。
【0082】
このようにコイル層23から遠ざかる磁性膜ほど幅寸法が大きく形成されることで、コイル層23から遠ざかる磁性膜の両側端部ほど、コイル層23の内径及び外径から延出して形成される。
【0083】
またこの実施例においては、図5に示すように、磁性膜22cの上に形成される磁性膜22bと磁性膜22aには、矢印b方向と、矢印c方向にスリット24,25が入れられており、これにより磁性膜22aと磁性膜22bは、それぞれ2つに分断された状態になっている。
【0084】
なお前記スリット24,25の方向(b方向、c方向)は、磁化困難軸方向(図示X方向)であることが好ましい。ところで、コイル層23からの磁束は、各磁性膜内にて透磁率の高くなっている磁化困難軸方向(図示X方向)において誘導される磁束量が大きい。このため、各磁性膜の磁束密度分布を可視化すると、図示X方向に延びて形成された部分の磁性膜の磁束密度分布の方が、図示Y方向に延びて形成された部分の磁性膜に比べ、高い磁束密度領域を有するものとなる。
【0085】
上記のように、磁性膜22a及び磁性膜22bに形成されたスリット24,25が、磁化困難軸方向と同じ方向に形成されると、前記スリット24,25の形成により、前記磁性膜22a及び22bが磁化困難軸方向(図示X方向)と平行に分断されることになる。すなわちスリット24,25の形成された部分は、磁性膜にとって、コイル層23から誘導される磁束量が大きくなる部分であり、コイル層23から遠い磁性膜においても十分な磁束量が誘導されやすくなる。
【0086】
さらに図5に示すように、コイル層23に最も近い位置に形成された磁性膜22aのスリット24,25の幅寸法はt20で、前記磁性膜22aの次にコイル層23に近い位置に形成される磁性膜22bのスリット24,25の幅寸法はt21であり、コイル層23に近い側の磁性膜22aのスリット24,25の幅寸法の方が大きく形成されている。
【0087】
このため、前記コイル層23から発生する磁束は、スリット24,25の幅寸法がt20で形成された磁性膜22a、前記幅寸法t20よりも小さい幅寸法t21で形成されたスリット24,25を有する磁性膜22b、及び全くスリットの形成されていないコイル層23から最も遠い位置に形成された磁性膜22cの順に導かれ易くなるので、より効果的に各磁性膜の磁束分布をほぼ均一な状態にすることができる。
【0088】
なおこの実施例においても、コイル層23から遠ざかる磁性膜ほど高い透磁率を有する磁性材料で形成されることが好ましいが、全ての磁性膜がほぼ均一な透磁率を有する磁性材料で形成されていてもかまわない。
【0089】
前記各磁束密度分布がほぼ均一な状態になると、各磁性膜の損失等価抵抗をほぼ同じ値にすることができ、各磁性膜の損失等価抵抗の総和を低減させることができ、直流重畳特性を向上でき、従来と同程度、あるいはそれ以上のインダクタンスを確保できる。また、特に高周波帯域において、鉄損を低減させることができる。
【0090】
なお図5に示す実施例では、スリット24,25が二つ形成されているが、さらに多くのスリットが形成されていてもかまわない。またスリットにより磁性膜を分断するのではなく、磁性膜の途中にまで切り欠きが形成されたものであってもよい。さらに図5では、磁性膜22a,22bにスリット24,25が形成されているが、磁性膜22cにスリットが形成されていてもかまわない。この場合、前記磁性膜22cに形成されるスリットの幅寸法が、磁性膜22a及び磁性膜22bに形成されるスリットに形成される幅寸法に比べて小さいことが好ましい。さらに前記スリット24,25は、コイル層23に最も近い位置に形成された磁性膜22aにのみ形成されていてもかまわない。
【0091】
以上詳述したように本発明では、磁性層を構成する複数の磁性膜の膜厚、幅寸法、あるいは材質等を改良することで、コイル層から遠ざかる磁性膜ほどコイル層からの磁束が誘導されやすくなり、各磁性膜にほぼ均一な磁束分布を形成することが可能になる。
【0092】
前記各磁束分布がほぼ均一な状態になると、各磁性膜の損失等価抵抗をほぼ同じ値にすることができ、各磁性膜の損失等価抵抗の総和を低減させることができ、直流重畳特性を向上でき、従来と同程度、あるいはそれ以上のインダクタンスを確保できる。また、特に高周波帯域において、鉄損を低減させることができる。
【0093】
また上記で説明した実施例では、コイル層の上下に絶縁層を介して、第1の磁性層と第2の磁性層が設けられているが、本発明では、前記コイル層に絶縁層を介して少なくとも1つの磁性層が形成された形態のインダクティブ素子にも適応可能なものである。
【0094】
また上記で説明した実施例では、第1の磁性層及び第2の磁性層がいずれも複数の磁性膜を積層した構造で形成されていたが、本発明では、第1の磁性層または第2の磁性層のどちらか一方の磁性層が、複数の磁性膜を積層した構造のものであってもかまわない。また上記で説明した実施例では、図面上、いずれも磁性層は3層の磁性膜の積層構造であったが、前記磁性膜は2層でもよいし、あるいは3層より多くてもよい。磁性膜の層数は、例えば、2層から12層である。
【0095】
また、磁性層を構成する各磁性膜の膜厚を1層ごとに変えるのでなく、2層を一組として、2層ごとに各磁性層の膜厚を変えてもよい。
【0096】
なお上記した実施例は、いずれも最も好ましい形状を表したものであり、本発明では、上記以外の形状で形成されていてもかまわない。
【0097】
本発明では、磁性層を形成するいずれか2つの磁性膜を比較したときに、前記コイル層に近い磁性膜の透磁率と膜厚との積の値が、前記コイル層から遠い磁性膜の前記透磁率と膜厚との積の値よりも小さければよい。
【0098】
また、図1ないし図5に示されたように、磁性層が3層重ねられた磁性膜を有しているときは、コイル層に最も近い磁性膜の透磁率と膜厚との積の値が、それ以外の磁性膜の透磁率と膜厚との積の値よりも小さいことが好ましく、コイル層から最も遠い磁性膜の透磁率と膜厚との積の値が、それ以外の磁性膜の透磁率と膜厚との積の値よりも大きいことがより好ましい。
【0099】
具体的には、図1及び図2に示された1つの磁性層11又は13を構成するいずれか2つの磁性膜を比較したときに、コイル層12に近い方の磁性膜の透磁率と膜厚との積の値が、コイル層12から遠い方の磁性膜の透磁率と膜厚との積の値よりも小さければよい。
【0100】
好ましくは、上記構成に加え、コイル層12に最も近い磁性膜11a,13aの透磁率と膜厚との積の値が、それ以外の磁性膜の透磁率と膜厚との積の値に比べて、最も小さく形成されていることであり、より好ましくは、上記構成に加え、コイル層12に最も遠い磁性膜11c,13cの透磁率と膜厚との積の値が、それ以外の磁性膜の透磁率と膜厚との積の値に比べ、最も大きく形成されていることである。
【0101】
さらに本発明では、各実施例における好ましい構造として、磁性膜の両側端部が、前記磁性膜よりもコイル層に近い側に形成された磁性膜の両側端部より側方へ延出するように、コイル層から遠ざかる磁性膜ほど幅寸法が大きく形成されているが、本発明では、1つの磁性層を形成する各磁性膜のうち、コイル層に最も近い磁性膜の両側端部が、それ以外の少なくとも1つの磁性膜の両側端部よりも中心側に位置するように形成されているか、もしくは、1つの磁性層を形成する各磁性膜のうち、コイル層から最も遠い磁性膜の両側端部がそれ以外の少なくとも1つの磁性膜の両側端部よりも側方へ延出するように形成されていればよい。
【0102】
上記構成によっても、本発明では、少なくともコイル層に最も近い磁性膜へのコイル層からの磁束の集中を回避することができ、また好ましくは、各磁性膜に、均一な磁束分布を形成でき、高周波損失を抑制することが可能になる。
【0103】
また本発明では、平面型磁気素子である薄膜インダクタについて説明したが、同じ平面型磁気素子である1次平面コイルと2次平面コイルを有する薄膜トランスなどの他のインダクティブ素子についても本発明を適用することができる。また、多層化された磁性層を有するインダクティブ素子について本発明を適用することができる。
【0104】
なお、薄膜インダクタや薄膜トランスは薄膜形成プロセスを有する工程で製造される薄膜磁気素子である。
【0105】
【実施例】
本発明では、図4に示す薄膜インダクタのように、磁性層の中央に穴部を形成し、前記磁性層を構成する各磁性膜の膜厚や幅寸法を変えた場合における各磁性膜の磁束分布を三次元有限要素法(FEM)で測定した。まず実験の諸条件について以下に説明する。
【0106】
薄膜インダクタを構成するコイル層の導体幅を60μm、導体間隔を25μm、さらに巻き数を6ターンで形成した。
【0107】
また磁性層を構成する各磁性膜を、比透磁率が磁化困難軸方向にμhard=1800、磁化容易軸方向にμeasy=300、比抵抗が、1000μΩ・cmである磁性材料を用いて形成した。また第1の磁性層と第2の磁性層との間の間隔(ギャップ長)を70μmで形成した。
【0108】
さらに駆動周波数を5MHzとし、コイル層に流す励磁電流を0.3A(peak to peak:表記は(p−p))とした。
【0109】
次に、比較例及び実施例での各磁性膜の膜厚、及び幅寸法について説明する。
まず比較例1となる薄膜インダクタの磁性層は、磁性膜を3層積層した構成であり、各磁性膜の膜厚をすべて2.0μmで形成し、さらに各磁性膜の幅寸法を全て同じ幅寸法で形成した。
【0110】
比較例2となる薄膜インダクタの磁性層は、磁性膜を3層積層した構成であり、各磁性膜の膜厚をすべて2.0μmで形成し、さらにオーバーハング量(磁性膜の側端部が、コイル層に近い側に形成された磁性膜の側端部から延出する幅寸法)が150μmとなるようにコイル層から遠ざかる磁性膜ほど幅寸法を大きく形成した。
【0111】
比較例3となる薄膜インダクタの磁性層は、磁性膜を3層積層した構成であり、コイル層に最も近い磁性膜の膜厚を3μm、次にコイル層に近い磁性膜の膜厚を2μm、コイル層から最も遠い磁性膜の膜厚を1μmで形成し、さらにオーバーハング量が150μmとなるようにコイル層から遠ざかる磁性膜ほど幅寸法を大きく形成した。
【0112】
実施例1となる薄膜インダクタの磁性層は、磁性膜を3層積層した構成であり、コイル層に最も近い磁性膜の膜厚を1μm、次にコイル層に近い磁性膜の膜厚を2μm、コイル層から最も遠い磁性膜の膜厚を3μmで形成し、さらにオーバーハング量が150μmとなるようにコイル層から遠ざかる磁性膜ほど幅寸法を大きく形成した。
【0113】
図6ないし図9は、比較例1ないし3、及び実施例1のある一部分の磁性層を、三次元有限要素法(FEM)で測定した結果得られた磁束分布を表す模式図である。
【0114】
各図のAは、コイル層から最も遠い位置に形成された磁性膜の磁束分布を示し、Bは、中間の位置に形成された磁性膜の磁束分布を示し、Cは、コイル層に最も近い位置に形成された磁性膜の磁束分布を示す。
【0115】
図6は比較例1の各磁性膜の磁束分布の模式図である。図6に示すように、コイル層に最も近い磁性膜(図6C)の0.4T(テスラ)の磁束密度領域は、コイル層から離れる磁性膜の順(図6B、図6Aの順)に徐々に小さくなっており、各磁性膜の磁束分布が不均一であることがわかる。
【0116】
図7は比較例2の各磁性膜の磁束分布の模式図である。この場合も図6と同様に、コイル層に最も近い磁性膜(図7C)の0.4Tの磁束密度領域は、コイル層から離れる磁性膜の順(図7B、図7Aの順)に徐々に小さくなっており、各磁性膜の磁束分布が不均一であることがわかる。
【0117】
このように、各磁性膜を同じ膜厚、同じ幅寸法で形成した場合(比較例1)及び各磁性膜を同じ膜厚で形成し、且つ各磁性膜をオーバーハングさせた場合(比較例2)では、いずれの場合も各磁性膜の磁束分布を均一に形成することができないとわかる。
【0118】
次に図8は比較例3の各磁性膜の磁束分布の模式図である。この場合、コイル層に最も近い磁性膜(図8C)の0.4Tの磁束密度領域は、図8B、及び図8Aの場合に比べて非常に大きくなっており、この比較例3では、上記した比較例1及び2の場合に比べても、各磁性膜における磁束分布がさらに不均一化されていることがわかる。
【0119】
比較例3の場合は、コイル層から遠ざかる磁性膜ほど膜厚を小さく形成しているが、このような構造では、比較例1及び2の場合に比べても、コイル層から発生する磁束は、コイル層に最も近い膜厚の厚い磁性膜にさらに集中し、コイル層から最も遠い膜厚の薄い磁性膜には、ほとんど導かれない状態になっている。
【0120】
よってコイル層から遠ざかる磁性膜ほど膜厚を小さく形成すると、最も磁束分布の不均一化が促進される結果となる。
【0121】
図9は実施例1の各磁性膜の磁束分布の模式図である。図9に示すように、各磁性膜全てが、ほぼ同様の磁束分布を有していることがわかる。図9に示す実施例1の場合は、コイル層から遠ざかる磁性膜ほど膜厚を厚く形成しているが、これによりコイル層から遠ざかる磁性膜ほどコイル層からの磁束が導かれ易くなり、適切にコイル層からの磁束が各磁性膜に分散されて、各磁性膜にてほぼ同等の磁束密度分布が形成されるのである。
【0122】
次に、前記磁性層を構成する各磁性膜の透磁率と膜厚との積の値を変えた場合における磁性層の損失等価抵抗を三次元有限要素法(FEM)で測定した。まず実験の諸条件について以下に説明する。
【0123】
薄膜インダクタを構成するコイル層の導体幅を60μm、導体間隔を25μm、さらに巻き数を6ターンで形成した。
【0124】
また磁性層を構成する各磁性膜を、比透磁率が磁化困難軸方向にμhard=1800、磁化容易軸方向にμeasy=300、比抵抗が、1000μΩ・cmである磁性材料を用いて形成した。また第1の磁性層と第2の磁性層との間の間隔(ギャップ長)を70μmで形成した。
【0125】
さらに駆動周波数を5MHzとし、コイル層に流す励磁電流を0.3A(peak to peak:表記は(p−p))とした。
【0126】
次に、比較例及び実施例での各磁性膜について説明する。
まず、比較例4となる薄膜インダクタの磁性層は、磁性膜を厚さ6μmの単層膜とした構成である。
【0127】
比較例5となる薄膜インダクタの磁性層は、磁性膜を3層積層した構成であり、各磁性膜の膜厚をすべて2.0μmで形成し、さらに各磁性膜の幅寸法を全て同じ幅寸法で形成した。従って、各磁性膜の磁化困難軸方向の透磁率(μ)と膜厚(t)との積の値は、すべて3600である。
【0128】
比較例6となる薄膜インダクタの磁性層は、磁性膜を3層積層した構成であり、コイル層に最も近い磁性膜の膜厚を3μm、次にコイル層に近い磁性膜の膜厚を2μm、コイル層から最も遠い磁性膜の膜厚を1μmで形成し、さらに各磁性膜の幅寸法を全て同じ幅寸法で形成した。従って、各磁性膜の磁化困難軸方向の透磁率(μ)と膜厚(t)との積の値は、コイル層に近いほうの磁性膜から順に5400、3600、1800である。
【0129】
比較例7となる薄膜インダクタの磁性層は、磁性膜を3層積層した構成であり、各磁性膜の膜厚をすべて2.0μmで形成し、さらに各磁性膜の幅寸法を全て同じ幅寸法で形成した。また、もっともコイル層に近い磁性膜と中央の磁性膜には、図5に示された薄膜インダクタの磁性層と同様の磁化困難軸方向のスリットを設けた。各磁性膜の磁化困難軸方向の透磁率(μ)と膜厚(t)との積の値は、すべて3600である。
【0130】
比較例8となる薄膜インダクタの磁性層は、磁性膜を3層積層した構成であり、コイル層に最も近い磁性膜の膜厚を3μm、次にコイル層に近い磁性膜の膜厚を2μm、コイル層から最も遠い磁性膜の膜厚を1μmで形成し、さらに各磁性膜の幅寸法を全て同じ幅寸法で形成した。また、もっともコイル層に近い磁性膜と中央の磁性膜には、図5に示された薄膜インダクタの磁性層と同様の磁化困難軸方向のスリットを設けた。従って、各磁性膜の磁化困難軸方向の透磁率(μ)と膜厚(t)との積の値は、コイル層に近いほうの磁性膜から順に5400、3600、1800である。
【0131】
実施例2となる薄膜インダクタの磁性層は、磁性膜を3層積層した構成であり、コイル層に最も近い磁性膜の膜厚を1μm、次にコイル層に近い磁性膜の膜厚を2μm、コイル層から最も遠い磁性膜の膜厚を3μmで形成し、さらに各磁性膜の幅寸法を全て同じ幅寸法で形成した。各磁性膜の磁化困難軸方向の透磁率(μ)と膜厚(t)との積の値は、コイル層に近いほうの磁性膜から順に1800、3600、5400である。
【0132】
実施例3となる薄膜インダクタの磁性層は、磁性膜を3層積層した構成であり、コイル層に最も近い磁性膜の膜厚を1μm、次にコイル層に近い磁性膜の膜厚を2μm、コイル層から最も遠い磁性膜の膜厚を3μmで形成し、さらに各磁性膜の幅寸法を全て同じ幅寸法で形成した。また、もっともコイル層に近い磁性膜と中央の磁性膜には、図5に示された薄膜インダクタの磁性層と同様の磁化困難軸方向のスリットを設けた。各磁性膜の磁化困難軸方向の透磁率(μ)と膜厚(t)との積の値は、コイル層に近いほうの磁性膜から順に1800、3600、5400である。
【0133】
なお、比較例5から8並びに実施例2及び3の各磁性膜の間には、厚さ0.2μmのAl2O3層が形成されている。
【0134】
結果を表1に示す。なお、表1ではコイル層に最も近い磁性膜を磁性膜1、次にコイル層に近い磁性膜を磁性膜2、コイル層から最も遠い磁性膜を磁性膜3としている。
【0135】
【表1】
【0136】
表1において、比較例4、比較例5、比較例6、及び実施例2を比較すると、磁性層を単層の磁性膜で形成した比較例4よりも、磁性層をすべて同じ厚さの3層の磁性膜で形成した比較例5の方が各磁性膜の損失等価抵抗の総和が低くなっていることがわかる。
【0137】
また、磁性層をすべて同じ厚さの3層の磁性膜で形成した比較例5よりも、磁性膜の厚さをコイル層に遠くなるほど厚くなるように形成した実施例2のほうが、各磁性膜の損失等価抵抗の総和が低くなっていることがわかる。
【0138】
各磁性膜の透磁率は等しいので、膜厚をコイル層に遠くなるほど厚くなるように形成することによって、各磁性膜の磁化困難軸方向の透磁率(μ)と膜厚(t)との積の値もコイル層に遠くなるほど大きくなり、コイル層から遠ざかる磁性膜ほどコイル層からの磁束が誘導されやすくなり、各磁性膜にほぼ均一な磁束分布を形成することが可能になるためである。
【0139】
前記各磁束分布がほぼ均一な状態になると、各磁性膜の等価抵抗をほぼ同程度にすることができ、従来のように、各磁性膜の損失等価抵抗が異なっていた場合に比べ、従来と同程度、あるいはそれ以上のインダクタンスを確保でき、また直流重畳特性を向上できる。さらに、高周波帯域において、鉄損を低減させることができる。
【0140】
逆に、比較例6のように、膜厚をコイル層に遠くなるほど薄くなるように形成したものは、各磁性膜の磁化困難軸方向の透磁率(μ)と膜厚(t)との積の値もコイル層に遠くなるほど小さくなり、各磁性膜の磁束分布の不均一性を助長することになっていしまう。その結果、比較例6の各磁性膜の損失等価抵抗の総和は、磁性層を単層の磁性膜によって形成した比較例4よりも大きくなってしまっている。
【0141】
また、磁性膜に磁化困難軸方向のスリットを形成した比較例7、比較例8、及び実施例3においても同様に、各磁性膜の磁化困難軸方向の透磁率(μ)と膜厚(t)との積の値がコイル層から遠くなるほど大きくなる実施例3で、各磁性膜の損失等価抵抗の総和が最も低くなっている。しかも、実施例3の各磁性膜の損失等価抵抗の総和は、実施例2の各磁性膜の損失等価抵抗の総和よりも低くなっており、磁性膜に磁化困難軸方向のスリットを形成した効果が現れていることがわかる。
【0142】
なお、各磁性膜の損失等価抵抗の総和とは、コイル層の上下にある2つの磁性層を形成する合計6層の磁性膜の損失等価抵抗の総和のことである。
【0143】
なお、本実施例では、3つの磁性薄膜からなる1つの磁性層全体の厚さが6μmとなるように各比較例及び各実施例を形成したが、磁性層全体の厚さは任意に変更することが可能である。
【0144】
例えば、磁性層全体の厚さを9μmとして、磁性層を3層の磁性膜で形成するときに、各磁性膜の厚さをコイル層に近い磁性膜から順に、1.5μm、3.0μm、4.5μmと形成することや、磁性層全体の厚さを12μmとして、磁性層を3層の磁性膜で形成するときに、各磁性膜の厚さをコイル層に近い磁性膜から順に、2.0μm、4.0μm、6.0μmと形成することができる。このとき、各磁性膜の透磁率を等しくすることにより、各磁性膜の透磁率と膜厚との積の値をコイル層から遠くなるほど大きくして、コイル層から遠ざかる磁性膜ほどコイル層からの磁束が誘導されやすくでき、各磁性膜を均一の膜厚で形成したときよりも各磁性膜にほぼ均一な磁束分布を形成することが可能になることも分かっている。
【0145】
磁性層全体の厚さを厚くするとインダクティブ素子のインダクタンスを大きくすることができる。
【0146】
また、磁性層を構成する各磁性膜の透磁率と膜厚との積の値の範囲は、例えば、1800〜10800である。
【0147】
【発明の効果】
以上詳述した本発明によれば、前記磁性層を形成するいずれか2つの磁性膜を比較したときに、前記コイル層に近い磁性膜の透磁率と膜厚との積の値を、前記コイル層から遠い磁性膜の前記透磁率と膜厚との積の値よりも小さくすることで、コイル層に近い磁性膜に磁束が集中するのを回避できる。
【0148】
例えば、前記コイル層に最も近い磁性膜の透磁率と膜厚との積の値を、それ以外の磁性膜の透磁率と膜厚との積の値よりも小さくし、あるいは、前記コイル層から最も遠い磁性膜の透磁率と膜厚との積の値を、それ以外の磁性膜の透磁率と膜厚との積の値よりも大きくし、最も好ましくは、前記磁性膜の透磁率と膜厚との積の値を、前記コイル層から遠ざかるにしたがって順に大きくすることで、コイル層に近い磁性膜に磁束が集中するのを回避でき、コイル層から遠ざかる膜厚の厚い磁性膜に磁束が導かれ易くなる。
【0149】
また、本発明によれば、前記磁性層を形成する任意の2つの磁性膜を比較したときに、前記コイル層に近い磁性膜の膜厚を、前記コイル層から遠い磁性膜の膜厚よりも小さくすることで、コイル層に近い磁性膜に磁束が集中するのを回避できる。
【0151】
よって本発明では、各磁性膜にほぼ均一な磁束分布が得られ、全ての磁性膜を、ほぼ同じように機能させることが可能になる。
【0152】
本発明によれば、各磁性膜の膜厚を適正に調整することで、各磁性膜の損失等価抵抗をほぼ同じ値に設定でき、従来に比べ直流重畳特性の向上を図ることができる。また、インダクタンスの低下を抑えることができる。また、高周波帯域においても、鉄損の低下を図ることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における薄膜インダクタ(インダクティブ素子)の構造を示す部分斜視図、
【図2】図1の切断線2−2をa方向から切断した際の薄膜インダクタの構造を示す部分断面図、
【図3】参考例における他の薄膜インダクタ(インダクティブ素子)の構造を示す部分断面図、
【図4】本発明における他の薄膜インダクタ(インダクティブ素子)の構造を示す部分平面図、
【図5】本発明における他の薄膜インダクタ(インダクティブ素子)の構造を示す部分平面図、
【図6】全ての磁性膜の膜厚及び幅寸法を同じにした場合の各磁性膜の磁束分布を示す模式図、
【図7】全ての磁性膜の膜厚を同じ膜厚で形成し、且つ各磁性膜をオーバーハングさせた場合の各磁性膜の磁束分布を示す模式図、
【図8】コイル層から遠ざかる磁性膜ほど膜厚を小さく形成し、且つ各磁性膜をオーバーハングさせた場合の各磁性膜の磁束分布を示す模式図、
【図9】コイル層から遠ざかる磁性膜ほど膜厚を大きく形成し、且つ各磁性膜をオーバーハングさせた場合の各磁性膜の磁束分布を示す模式図、
【図10】従来の薄膜インダクタ(インダクティブ素子)の構造を示す部分断面図、
【図11】図10の薄膜インダクタにおける周波数と各磁性膜の損失等価抵抗との関係を示すグラフ、
【符号の説明】
10 薄膜インダクタ
11、16、20、22 第1の磁性層
11a、11b、11c、13a、13b、13c、16a、16b、16c、20a、20b、20c、22a、22b、22c 磁性膜
12、17、21、23 コイル層
13、18 第2の磁性層
24、25 スリット
Claims (13)
- コイル層および、絶縁層を介して前記コイル層を覆う磁性層が設けられたインダクティブ素子において、前記磁性層は、少なくとも2層の磁性膜が重ねられて形成されており、各磁性膜の膜厚が相違することによって、各磁性膜の透磁率と膜厚との積の値が相違し、前記磁性層を形成する任意の2つの磁性膜を比較したときに、前記コイル層に近い磁性膜の透磁率と膜厚との積の値が、前記コイル層から遠い磁性膜の前記透磁率と膜厚との積の値よりも小さくなる磁性膜の組みあわせを含むことを特徴とするインダクティブ素子。
- 前記各磁性膜の透磁率が同じである請求項1記載のインダクティブ素子。
- 前記磁性層は3層以上重ねられた磁性膜を有し、前記コイル層に最も近い磁性膜の透磁率と膜厚との積の値が、それ以外の磁性膜の透磁率と膜厚との積の値よりも小さい請求項1または2に記載のインダクティブ素子。
- 前記磁性層は3層以上重ねられた磁性膜を有し、前記コイル層から最も遠い磁性膜の透磁率と膜厚との積の値が、それ以外の磁性膜の透磁率と膜厚との積の値よりも大きい請求項1ないし3のいずれかに記載のインダクティブ素子。
- 前記磁性層は3層以上重ねられた磁性膜を有し、前記磁性膜の透磁率と膜厚との積の値が、前記コイル層から遠ざかるにしたがって順に大きくなる請求項1ないし4のいずれかに記載のインダクティブ素子。
- コイル層および、絶縁層を介して前記コイル層を覆う磁性層が設けられたインダクティブ素子において、前記磁性層は、少なくとも2層の磁性膜が重ねられて形成されており、前記磁性層を形成する任意の2つの磁性膜を比較したときに、前記コイル層に近い磁性膜の膜厚が、前記コイル層から遠い磁性膜の膜厚よりも小さくなる磁性膜の組みあわせを含むことを特徴とするインダクティブ素子。
- 前記磁性層は3層以上重ねられた磁性膜を有し、前記コイル層に最も近い磁性膜の膜厚が、それ以外の磁性膜の膜厚よりも小さい請求項6記載のインダクティブ素子。
- 前記磁性層は3層以上重ねられた磁性膜を有し、前記コイル層から最も遠い磁性膜の膜厚が、それ以外の磁性膜の膜厚よりも大きい請求項6または7に記載のインダクティブ素子。
- 前記磁性層は3層以上重ねられた磁性膜を有し、前記磁性膜の膜厚が、前記コイル層から遠ざかるにしたがって順に大きくなる請求項6ないし8のいずれかに記載のインダクティブ素子。
- 前記磁性層を形成する各磁性膜のうち、コイル層に最も近い磁性膜は、その両側端部がそれ以外の少なくとも1つの磁性膜の両側端部よりも中心側に位置するように形成されている請求項1ないし9のいずれかに記載のインダクティブ素子。
- 前記磁性層を形成する各磁性膜のうち、コイル層から最も遠い磁性膜は、その両側端部がそれ以外の少なくとも1つの磁性膜の両側端部よりも側方へ延出するように形成されている請求項1ないし10のいずれかに記載のインダクティブ素子。
- 前記磁性層を形成するいずれか2つの磁性膜を比較したときに、前記コイル層から遠い磁性膜の両側端部が、前記コイル層に近い磁性膜の両側端部よりも側方へ延出するように、コイル層から遠ざかる磁性膜ほど幅寸法が大きく形成されている請求項10または11に記載のインダクティブ素子。
- 前記磁性層を形成する各磁性膜のうち、前記コイル層から最も遠い磁性膜を除いた少なくとも一つの磁性膜に、スリット或いは切り欠き部が形成されている請求項1ないし12のいずれかに記載のインダクティブ素子。
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