JP3776832B2 - ポリウレタンフォーム成型用水系離型剤組成物 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明はポリウレタンフォーム成型用水系離型剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリウレタンフォーム成型用離型剤として長らく溶剤系離型剤が使用されてきたが、有機溶剤の引火性や作業環境等の問題からこれの代替品として水系離型剤が提案されている。例えば本願出願人による特開平9−141671号公報などを参照されたい。
【0003】
上記特許公開公報に開示の発明では、水系離型剤において専らナフテン系炭化水素化合物やパラフィン系炭化水素化合物からなる疎水性向上剤に着目して、その改良を図ることにより離型性能及び作業性能に優れた水溶性の離型剤を提供している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、水系離型剤について鋭意検討を進めてきたところ、これに用いられる界面活性剤についての検討が不十分であったことに気が付いた。
本発明者らが知る限りにおいて、ポリウレタンフォーム成型用離型剤に含まれる乳化剤はステアリン酸モルホリン塩等の脂肪酸揮発性アミン塩の使用が一般的であった。しかしながら、かかるステアリン酸モルホリン塩からなる界面活性剤では、離型剤を安定化するために、その使用量が多量となっていた。例えば、離型成分100重量部に対して20〜50重量部のステアリン酸モルホリン塩が必要であった。界面活性剤の使用量が多くなると、離型剤の離型性能に悪影響の出るおそれがある。
【0005】
他方、カチオン系界面活性剤としてアルキルアミンの無機酸塩(塩酸塩等)や低級カルボン塩(酢酸塩等)が知られている。しかしながら、前者をポリウレタンフォーム成型用離型剤として使用すると金型に対する腐食性が問題となる。後者の場合は刺激臭があって作業環境等の点で問題が生じる。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明は上記課題を解決すべくなされたものであり、その構成は次ぎのとおりである。
界面活性剤としてアルキルアミンのアミノ酸塩を含む、ことを特徴とするポリウレタンフォーム成型用水系離型剤組成物。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、この発明について詳細に説明する。
(アルキルアミンのアミノ酸塩)
離型成分(離型性物質;ワックス等、詳細は後述)の100重量部に対するアルキルアミンのアミノ酸塩の配合量は1〜50重量部とすることが好ましい。アルキルアミンのアミノ酸塩の配合量が1重量部未満であると、乳化物を形成できず、50重量部を超えると離型剤の離型性能が低下するので、それぞれ好ましくない。
離型性分100重量部に対するアルキルアミンのアミノ酸塩の更に好ましい配合量は1〜20重量部であり、更に更に好ましくは3〜10重量部である。
このように、本発明のアルキルアミンのアミノ酸塩を界面活性剤として使用すると、従来例で使用されていたステアリン酸モルホリンに比べてその使用量を削減できることとなる。本発明者らの検討によれば、本発明のカチオン系界面活性剤によれば従来例のステアリン酸モルホリンのほぼ1/3〜1/5の使用量(重量比)で離型剤を安定化させることができた。
【0008】
アルキルアミンのアルキル基の炭素数は12〜24とすることが好ましい。アルキル基の炭素数が12未満であると乳化が不安定となり、離型剤の安定性が低下する。他方、アルキル基の炭素数が24を超えると乳化が不十分となり、離型剤の組成が分離するおそれがある。
アルキル基は直鎖状あっても、分枝していてもよい。
【0009】
アミノ酸は一般的に固体の弱酸であり、金型等の金属を腐食させることは少ない。また、酢酸のような刺激臭もないので作業環境に悪影響を及ぼすこともない。
本発明者らの検討によれば、アミノ酸の中でもカルボキシル基を2つ有するものが好ましく、中でも酸性アミノ酸であるアスパラギン酸及びグルタミン酸の一方又は両方を採用することが好ましい。
このアミノ酸の存在により、この発明の界面活性剤はカチオン系となる。
【0010】
このようなアルキルアミンのアミノ酸塩からなる界面活性剤を、ポリウレタンフォーム成型用水系離型剤組成物に配合したところ、実施例1(表1〜3参照)に示すように、優れた離型性能(離型性、セルオープン性、表面肌荒れ、乾燥性)と優れた作業性(臭気、腐食性)が得られた。
他方、従来から汎用されていたステアリン酸モルホリンを界面活性剤として使用した場合には、離型剤を安定化させるため比較例1に示すように、実施例1の場合に比べて3倍強(重量比)の界面活性剤の使用が必要となる。その結果、離型性能が実施例1に比べて劣ることとなる。
【0011】
比較例1において特にその性能が劣っている乾燥性は、一般的にレベリング剤を添加し、離型剤が集合して液滴を形成することを防止することにより、解決できる。
本発明者らの知見によれば、非イオン界面活性剤のなかにもレベリング性能を有するものがあり、例えばポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤の使用が好ましい。そこで、実施例2〜4において当該非イオン界面活性剤を添加したところ、そのレベリング性が向上し、もって乾燥性の向上がみられた。
【0012】
本発明者らの更なる検討により、上記ポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤において、エチレンオキサイドの付加数は1〜15モルとすることが好ましく、更に好ましくは5〜10モルである。エチレンオキサイドの付加数が15モルを越えるとエチレンオキサイド基がイソシアネートと反応する為、離型性を悪化させるので好ましくない(比較例3参照)。
また、エチレンオキサイドの付加数が5モル以上になるとレベリング性向上に大きく寄与することがわかった。
かかるレベリング向上機能を有するポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤はアルキルアミンのアミノ酸塩と併せて離型成分100重量部に対して1〜100重量部を配合することが好ましい。更に好ましくは5〜50重量部である。更に更に好ましくは5〜40重量部である。アルキルアミンのアミノ酸塩とポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤との配合割合は1:0〜1:10とすることが好ましい。更に好ましくは1:1〜1:5である。
ポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤として、アルキルアミン、高級アルコール、アルキルフェノール、脂肪酸アミド、ポリプロピレングリコール、油脂、多価アルコール脂肪酸エステル、脂肪酸等のエチレンオキサイド付加物が挙げられる。
【0013】
ポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤において、アルキルアミンのエチレンオキサイド付加物の場合、そのエチレンオキサイドの付加数が小さいときアミノ酸との反応性(塩の生成)の観点からすれば、アルキルアミン(エチレンオキサイド付加物無し)と大きな差が生じない。例えば、実施例5に示すように、エチレンオキサイド付加数が1モルのアルキルアミンを用いたときにも、実施例1とほぼ同様の性能が得られる。
本発明者らの検討によれば、アルキルアミンに対するエチレンオキサイド付加量が5モル未満のとき、より好ましくは1以下のとき、当該エチレンオキサイドの付加にかかわらずアミノ酸塩が形成されて、界面活性剤として有効になると考えられる。
【0014】
以上より、本発明を別の観点からながめれば、本発明の特徴はポリウレタンフォーム成型用水系離型剤組成物においてカチオン系活性剤を採用するにあたり、その酸成分としてアミノ酸を選択したことにある。
既述のように、アミノ酸は金型等の金属に対する腐食性が少なく、また刺激臭もないので作業環境の点で好ましいものである。
かかるアミノ酸としては、2つのカルボキシル基を有するものが好ましく、中でも酸性アミノ酸であるグルタミン酸及び/又はアスパラギン酸が好ましい。
カチオン系活性剤において、塩基側はアルキルアミンとすることが好ましく、アルキル基の炭素数は12〜24とすることが好ましい。アルキル基の炭素数が12未満であると乳化が不安定となり、離型剤の安定性が低下する。他方、アルキル基の炭素数が24を超えると乳化が不十分となり、離型剤の組成が分離するおそれがある。アルキル基は直鎖状あっても、分枝していてもよい。
このアルキルアミンには5モル未満、好ましくは1モル以下のエチレンオキサイドが付加されていてもよい。
【0015】
ポリウレタンフォーム成型用水系離型剤には以下の成分が配合される。
(離型性物質)
本発明に言う離型性物質は、例えば直鎖系ワックスとして、直鎖系ポリエチレンワックス、高純度精製パラフィンワックス、フィッシャートロップシュワックス等である。 直鎖系ワックスの平均分子量は500〜1000が好ましい。 また離型性物質全体に対して50%以上含有するとより好ましい。カルナウバワックス、モンタンワックス、マイクロクリスタリンワックス、分岐状ポリエチレンワックス、シリコーン等が使用出来るが,これらの混合比率は50%未満が好ましい。
【0016】
(溶剤)
疎水性向上剤としての溶剤の添加量は好ましくは離型性物質100重量部に対して50〜500重量部である。 添加量が50重量部未満では離型性物質の規則的分子配列が十分行えず、成型品のセルオープン性が悪くなる。 添加量が500重量部を越えると乳化に要する乳化剤が余計に必要になり、乳化剤の悪影響がでて成型品のセルオープン性が低下する。
本発明で使用される溶剤は、沸点が150〜250℃である有機化合物が適している。 例えば、(a)炭化水素類としては、ノナン、デカン、ウンベンゼン、テトラリン、イソプロピルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、パラフィン系炭化水素混合物(炭素数10〜13)、ナフテン系炭化水素混合物(炭素数11〜13)等、(b)ハロゲン化物としては、p−クロロトルエン、ヘキサクロロエタン、トリクロロベンゼン、ブロモベンゼン、臭化オクチル等、(c)エーテルとしては、アニソール、フェネトール、クレジルメチルエーテル、エチルベンジルエーテル、ブチルフェニルエーテル等がある。 またこれらの化合物は混合物で使用しても良い。 より好ましいのは(a)炭化水素類であり、なかでもナフテン系炭化水素、パラフィン系炭化水素、及びパラフィン系とナフテン系炭化水素の混合物が人体への安全性・環境面において更に好ましい。
尚、溶剤の沸点が150℃未満では離型剤皮膜形成過程で疎水性向上剤が水より早く蒸発し離型剤皮膜の疎水性が不十分となる。 溶剤の沸点が250℃を越えると離型剤皮膜に溶剤が残り、セル荒れ、ボイドが発生し離型性が悪くなる。
【0017】
(添加剤)
更に本発明による水性離型剤は慣用の少量の添加剤として、殺菌剤、整泡剤、濡れ剤、レベリング剤、消泡剤等含有していても良い。
【0018】
(製造方法)
本発明の水性エマルションを製造する方法の例を次に記述する。まず離型性物質、溶剤、更にその他成分を加え110〜120℃に加熱溶融混合する。 これを90℃以上に加熱した界面活性剤水溶液中にホモミキサーでかき混ぜながら、徐々に添加していき乳化液を作る。 続いてこれをホモジナイザーで処理してより微細な粒子のエマルションとする。 得られたエマルションを室温まで冷却し安定なエマルション組成物を作る。尚、上記方法において、離型性物質、溶剤、その他成分は各々別々に乳化した後混合してもよい。
【0019】
【実施例】
以下、本発明をより明瞭にするため、実施例及び比較例を表1〜表3に示す。
【表1】
【表2】
【表3】
【0020】
性能試験法
本発明の性能的効果を明確にするため、実施例及び比較例につき、次記に示す性能試験を行った。
(1)離型剤の塗布: 鉄製箱形状金型(内寸法;たて15cm、横20cm、深さ5cmで取手のある蓋つき)を50〜55℃に加温し、離型剤組成物をエアガンで均一に噴霧(1m2当たり約30g)して2分間乾燥する。
(2)ポリウレタンフォームの成型: 原料としてポリオール(三井東圧製MS−300)を40部及びTDI/MDI=1/1を20部室温で2000rpmで5秒間撹拌混合し、直ちに金型に注入し蓋をしめて50〜55℃で反応させる。 金型を50〜55℃の恒温器にいれキュアー時間を含めて10分間放置する。
(3)離型性の評価: 上記金型の蓋の取手にバネ秤をセットし蓋を開ける。その時にかかった荷重を測定する。
評価基準:◎は5〜10kg以下;○は10〜15kg;△は15〜20kg;×は20kg以上。
(4)成型フォームのセルオープン性の評価: 成型したウレタンフォーム表面の5cm×5cm角内の全セルの数及びセルの破泡の有無を目視測定する。 全セル数に占める破泡セル数の比率をもってセルオープン率とする。 セルオープン性は60%以上が好ましい。 評価基準:セルオープン率が:◎は80%以上;○は60〜80%;△は40〜60%;×は40%以下、もしくはセルオープンになっていない。
(5)乾燥性: 上記温度の型に離型剤をスプレー塗布してから乾燥するまでの時間を測定した。評価基準:○ 30秒以内、 △ 60秒以内、 × 60秒以上。
(6)臭気: 上記温度の型に離型剤をスプレー塗布した時の臭気をヒトが判断した。評価基準:○ 不快臭なし、 × 不快臭あり
(7)腐食性: 離型剤をサンプル瓶に半量取り、脱脂処理した鉄板を浸漬する65℃の恒温器中に4時間静置後錆の発生を観察する。評価基準:○ 錆の発生なし、× 錆の発生あり
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明ではポリウレタンフォーム成型用水系離型剤組成物のカチオン系界面活性剤として、アルキルアミンのアミノ酸塩を採用した。これにより、従来汎用されていたアニオン系ステアリン酸モルホリンに比べて少ない使用量で離型剤組成物エマルジョンを安定化させることができる。そして、界面活性剤の使用量が抑制されることに基づき、離型剤に本来要求される離型性能(離型性、セルオープン性等)が向上されることとなる。
なお、アルキルアミンはこれに少量のエチレンオキサイドが付加されていても良い。
【0022】
この発明は、上記発明の実施の形態及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
Claims (9)
- アルキルアミンのアミノ酸塩を含むポリウレタンフォーム成型用水系離型剤組成物であって、
前記アルキルアミンはそのアルキル基の炭素数が12〜24であり、
前記アミノ酸はアスパラギン酸及び/又はグルタミン酸であり、
前記アルキルアミンのアミノ酸塩の配合割合が、離型成分100重量部に対して1〜50重量部である、ことを特徴とするポリウレタンフォーム成型用水系離型剤組成物。 - ポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤(エチレンオキサイド付加数が1〜15モル)が更に含まれる、ことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
- ポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤(エチレンオキサイド付加数が5〜10モル)が更に含まれる、ことを特徴とする請求項1に記載の組成物。
- 前記アルキルアミンのアミノ酸塩及びポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤の配合割合が、離型成分100重量部に対して1〜100重量部である、ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の組成物。
- アルキル基の炭素数が12〜24であるアルキルアミンのエチレンオキサイド付加物(エチレンオキサイドの付加数は5モル未満)とアスパラギン酸及び/又はグルタミン酸との塩からなるカチオン系界面活性剤を含み、該カチオン系界面活性剤の配合割合が、離型成分100重量部に対して1〜50重量部である、ことを特徴とするポリウレタンフォーム成型用水系離型剤組成物。
- ポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤(エチレンオキサイド付加数が1〜15モル)が更に含まれる、ことを特徴とする請求項5に記載の組成物。
- ポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤(エチレンオキサイド付加数が5〜10モル)が更に含まれる、ことを特徴とする請求項5に記載の組成物。
- 前記カチオン系界面活性剤及びポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤の配合割合が、離型成分100重量部に対して1〜100重量部である、ことを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の組成物。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の水系離型剤組成物を金型に塗布する、ことを特徴とするポリウレタンフォームの成型方法。
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