JP3777896B2 - エンジン - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、自動2輪車あるいは船外機等に搭載されるV型2気筒エンジンなどのエンジンに関し、特に、エンジンケース(クランクケースと同じ)へ速度検出機構を設置したエンジンに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の自動2輪車等に搭載されるエンジン、例えば、縦置きV型2気筒エンジンユニットでは、前後気筒のピストン動作をコンロッドを介してクランクシャフトの回転動作に変換して、このクランクシャフトの回転力を変速機構で所望あるいは適切に変速して後輪への駆動出力とする。このクランクシャフトの回転はカムチェーンガイドにて張力調整可能なカムチェーンを介して吸排気バルブに伝達して吸排気制御を行う。
【0003】
また、クランクシャフトの回転力の変速は、プライマリドライブギヤを介して変速機構のカウンタシャフトに伝達され、このカウンタシャフトの変速ギヤ列とドライブシャフトの変速ギア列の噛み合いギヤの選択により変速したドライブシャフトの出力となる。そして、このドライブシャフトの一端側に設けたスプロケットに噛合されるドライブチェーンを介して車体の後輪に動力を伝達する。
【0004】
そして、このようなエンジンユニットに速度検出機構の設置は、例えば、ドライブシャフトに速度検知用のロータを設け、このロータにスピードセンサを近接させて対向位置させ。そして、このスピードセンサでロータの回転数を検出することにより車両速度を検出する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来構造のエンジンにおける速度検出機構にあっては、スプロケットが取り付けられるドライブシャフトの端部側にロータを取付けるとともに、このロータの取付位置に対応するスプロケットカバー側にスピードセンサを取り付けたり、あるいは、クラッチハウジングが取り付けられるカウンタシャフトの端部側にロータを取付けて、このロータの取付位置に対応するクラッチカバー側にスピードセンサを取り付けているのが現状である。
【0006】
このため、従来では、スプロケットカバーあるいはクラッチカバー側に取り付けられるスピードセンサの取付基端部が外部に露出し、例えば、走行時において飛び跳ねる石等による外力によって損傷し易いばかりでなく、外観性を重視する機種へ搭載する場合には、新たな別のカバーにて隠蔽保護する必要がある。
【0007】
ところで、スピードセンサをクランクケース側に取付けて、ロータに近接させて対向位置させようとする場合には、クランクケース内に組付けられるミッション部品との干渉等を考慮すると、ロータの外径を大きくすることができない。
【0008】
しかも、コスト的に既存のスピードセンサを他の機種と共に共通して使用することが要請されることから、ドライブシャフトにロータを取り付け、このロータに近接対向させてスピードセンサを取り付けようとする場合には、ロータに対するスピードセンサの長さも規制され、これによって、スピードセンサの取付位置が、クランクケースの外形状に伴い、ロータに近接するクランクケースの後端外周面側壁に制約されてしまう。
【0009】
また、クランクケースの後端外周面側にスピードセンサを取り付けようとする場合、特に、V型2気筒エンジンにあっては、リヤシリンダの後端外部に設けたカムチェーンの張力を調整するカムチェーンアジャスタに対して、締付用工具にて後方から差込み操作する際、締付用工具がクランクケースの後端側外周面と干渉し、これによって、カムチェーンアジャスタによるカムチェーンの張力調整作業が容易に行えないという問題が生じる。
【0010】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたもので、ロータの外径を大きくすることなくエンジンケースへの既存のスピードセンサの設置を可能にし、かつ、外観性の向上及び外力からスピードセンサの損傷を確実に防止できるとともに、カムチェーンアジャスタによるカムチェーンの張力調整作業を容易に行うことができるようにしたエンジンを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記した課題を解決するために、本発明は次の構成を有する。
本発明は、クランクシャフトと平行に変速ギヤ列をそれぞれ備えたカウンタシャフトおよびドライブシャフトを回転自在にエンジンケース内に軸支した小型車両用エンジンにおいて、カウンタシャフトでは、その一側軸端に発進用クラッチを配設し、ドライブシャフトでは、前記発進用クラッチ配設側と反対側のドライブシャフト軸端に後輪に動力を伝達するドライブスプロケットを取付け、かつ、該クラッチ配設側のドライブシャフト軸端にスピードセンサ用ロータを取付け、前記センサ用ロータは、前記発進用クラッチよりエンジン内側に位置し、かつ側方視で発進用クラッチと重なるように配設したことを特徴とするエンジンである。
【0012】
また、本発明において、エンジンユニットの変速ギヤ列を左右に2分割可能に組み合わされる一対のエンジンケース内に収容し、かつ該エンジンケースの外部に前記各々のシャフトの左右両端部を露出させるとともに、前記各々のエンジンケースにそれぞれ取外し可能に取り付けられるスプロケットカバー及びクラッチカバーにて隠蔽保護してなるエンジンであって、前記エンジンケースの後壁部に、前方に向けて凹む凹所を形成し、該凹所に前記スピードセンサ用ロータに対向させてスピードセンサを取り付けるスピードセンサ取り付け部を設けると共に、クラッチカバーの前記凹所に対応する部位に後ろ側へ延出する延出部を設け、該延出部にて前記スピードセンサを隠蔽保護したものにできる。
また、本発明において、エンジンはV型多気筒エンジンであり、前記スピードセンサ取り付け部の凹所は、エンジンのリヤ気筒の後端外部に設けたカムチェーンアジャスタに用いる締付用工具の後方からの差込み操作に対し、前記エンジンケースの後端側外周面と干渉しないものになっているものにできる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
図1及び図2は、本発明の実施形態に係るエンジン、例えば、V型2気筒エンジンを搭載した自動2輪車を示す。
【0014】
図1及び図2において、符号1は車体Aに搭載されたエンジンユニットである。このエンジンユニット1は、図3及び図4に示すように、エンジン2を構成するフロント気筒2A及びリヤ気筒2Bを有する。
【0015】
図1〜図4に示すように、この各々の気筒2A,2Bは、シリンダハウジング3、ピストンシリンダ4及びピストン5を備え、ピストンシリンダ4内のピストン5上部燃焼室内に吸気される混合気を点火プラグ6にて燃焼させる。インレットバルブ7及びエキゾーストバルブ8による吸排気工程によりピストン5をピストン動作させ、このピストン5のピストン動作を、コンロッド9を介して後述するミッション部20の動力伝達機構に駆動力を出力するクランクシャフト21に伝達するようになっている。
また、インレットバルブ7及びエキゾーストバルブ8の吸排気制御は、一対のロッカアーム10,11と、これらのロッカアーム10,11を交互に揺動させるカム12(カムシャフト13)の回転にて行われる。
【0016】
このカム12の回転動作は、カムシャフト13に設けたスプロケット14と、クランクシャフト21に組付けたスプロケット22との間にカムチェーン15を掛け渡し噛合し、このカムチェーン15を介してクランクシャフト21の回転力をカムシャフト13に伝達することにより行われるようになっている。
【0017】
カムチェーン15は、カムチェーンガイド16にて案内保持され、カムチェーンテンショナ17にて所定の張力に調整可能に維持されるようになっているもので、特に、リヤ気筒2B側のカムチェーンテンショナ17は、軸18にて回動調整可能に軸支されているとともに、シリンダハウジング3の後端外部に設けたカムチェーンアジャスタ19によりカムチェーン15に対する張力の調整が行われる。
【0018】
カムチェーンアジャスタ19は、カムチェーンテンショナ17をカムチェーンに押し付ける突出方向にスプリング19aで付勢されたアジャスタロッド19bと、該アジャスタロッド19bの突出方向の移動のみを許容するラチェット機構19cとを備え、カムチェーンの弛みに応じてアジャスタロッド19bを突出させ自動的にカムチェーンの張りを調整するものである。カムチェーンアジャスタ19はシリンダヘッドを分解する等カムチェーンを弛める必要のあるときにエンジンから取り外す必要が生じる。
実施形態では、締付用工具Tの後方からの差込み操作によりカムチェーンアジャスタ19をエンジンに取り付けるボルトが締められるようになっている。このカムチェーンアジャスタ19は、図3に2点破線にて示すように、その締付用工具Tによる差込み操作軸Pが、リヤ気筒2Bのシリンダハウジング3の後傾倒角度αに応じて傾斜θさせて設置されている。
【0019】
一方、エンジンユニット1のミッション部20は、後述する左右に2分割可能に組み合わされる左,右一対のクランクケース41,42内に組付け収納されている。クランクシャフト21の一端部21a側には、図示しないスタータのスタータモータ駆動のギヤがかみ合うスタータドリブンギヤ22が組付けられて、一方のクランクケース41側に軸支される。また、クランクシャフト21の他端部21b側には、プライマリドライブギヤ23がカムチェーンスプロケットギヤと共に組付けられて、他方のクランクケース42側に軸支されている。
【0020】
クランクシャフト21のプライマリドライブギヤ23は、変速機構のカウンタシャフト24に組付けたプライマリドリブンギヤ25に噛合されて、これらプライマリドライブギヤ23及びプライマリドリブンギヤ25を介してクランクシャフト21の回転力をカウンタシャフト24に伝達するようになっている。
【0021】
カウンタシャフト24の一端部24a側は、一方のクランクケース41側に軸支され、その他端部24b側には、プライマリドリブンギヤ25と共に発進用クラッチ機構としてクラッチハウジング26、クラッチスリーブハブ27、クラッチプレッシャプレート28及びクラッチレリーズラック29が組付けられて、他方のクランクケース半体42側に軸支されている。
変速機構は、クラッチ機構を介して入力されたエンジン2の回転出力をこのカウンタシャフト24のギヤ列を介してドライブシャフト30のギヤ列の噛み合いの選択により、変速してドライブシャフト30から出力する。この出力された駆動力は、ドライブシャフト30の一端部30a側に組付けたスプロケット31に掛け渡し噛合されるドライブチェーン32を介して車体Aの後輪に伝達される構成になっている。
【0022】
そして、クランクシャフト21、カウンタシャフト24及びドライブシャフト30の各々の左右両端部21a,21b、24a,24b及び30a,30b側は、左,右のクランクケース41,42から外部にそれぞれ露出させてなるとともに、各々の露出端部は、クランクケース41,42にそれぞれ取外し可能に取り付けられるスプロケットカバー51及びクラッチカバー52にて隠蔽保護されるようになっているもので、このクラッチカバー52には、変速機構のクラッチレリーズラック29に噛合されるクラッチレリーズピニオン53が設けられている。
【0023】
また、ドライブシャフト30の他端部30b側には、速度検知のためのスピードセンサ用ロータ33が組付けられており、前記ロータ33は、前記発進用クラッチよりエンジン内側に位置し(具体的には、クラッチカバー52とクランクケースとの合せ面60よりも内側に位置し)、かつ側方視で全部または一部が発進用クラッチと重なるようになっている。
また、このロータ33に対応するクランクケース42後壁の後端外周面42aでは、車幅方向外側位置に、後面から上面の一部にかけて概略L字形状の部分に、前方に凹んだ箇所(凹所)43が形成される。また、この凹所43はリヤ気筒2Bの後端外部に設けたカムチェーンアジャスタ19の締付用工具Tによる差込み操作軸Pが干渉しない位置形状に成されている。
この凹所43の壁には、スピードセンサ44が後方から前方に向けて差し込んで固定されロータ33に近接対向させて取り付けられている。
【0024】
さらに、クラッチカバー52の後部側外周部では、クランクケース42後壁の後端外周面42aに凹所43の形成されていない部位に向けてスカート部52aが延出形成され、このスカート部52aにてスピードセンサ44の取付基端部44aを外側から隠蔽して保護し得るようになっている。車体右側方から見るとクラッチカバーのスカート部52aはクランクケース42後壁部の後端外周面42aに一致しているように見え、スピードセンサ44のコネクタのある取付け基端部44aがほぼ見えなくなり外観的にもまとまった印象を得ることができる。
【0025】
なお、上記した実施形態では、V型2気筒エンジンを例にして説明したが、これには限定されず、1気筒エンジンあるいは多気筒エンジンにおいても応用可能であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更実施可能である。
【0026】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、ドライブスプロケットの外側にセンサ用ロータを配設するものに比べてパワーユニットの全幅を小型にできる。また、センサ用ロータをクラッチの内側に配置したのでロータの外径を体系に形成できより精度の高いスピード計測ができる。また、センサ用ロータをクラッチの外径内にほぼ収まるように形成したのでエンジンを小型化できる。
また、スピードセンサの取付基端部をクラッチカバーに一体に延出形成したスカート部にて隠蔽保護するので、例えば、走行時において飛び跳ねる石等による外力による損傷を防止することができる。また、クラッチカバーの形状がセンサの位置に影響されず、かつ、スピードセンサがクラッチカバーの影響を受けない。
さらに、V型多気筒エンジンにおいては、センサ取り付け部の凹所がリヤ気筒の後端外部に設けたカムチェーンのカムチェーンアジャスタの張力調整に用いられる締付用工具の後方からの操作に対して、エンジンケースの後端側外周面と干渉しないような形態を有することから、カムチェーンアジャスタの取り付けるボルトの締め付け作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るエンジン、例えばV型2気筒エンジンを搭載してなる自動2輪車の一実施形態を示す右側面図である。
【図2】 同じく左側面図である。
【図3】 同じくエンジンユニットの拡大断面図である。
【図4】 図3のI−I線矢視方向から見たエンジンユニットの横断面図である。
【符号の説明】
A 車体
1 エンジンユニット
2 エンジン
2A フロント気筒
2B リヤ気筒
3 シリンダハウジング
4 ピストンシリンダ
5 ピストン
7 インレットバルブ
8 エキゾーストバルブ
9 コンロッド
15 カムチェーン
16 カムチェーンガイド
17 カムチェーンテンショナ
19 カムチェーンアジャスタ
20 ミッション部
21 クランクシャフト
21a クランクシャフト一端部
21b クランクシャフト他端部
23 プライマリドライブギヤ
24 カウンタシャフト
24a カウンタシャフト一端部
24b カウンタシャフト他端部
25 プライマリドリブンギヤ
26 クラッチハウジング
27 クラッチスリーブハブ
28 クラッチプレッシャプレート
30 ドライブシャフト
30a ドライブシャフト一端部
30b ドライブシャフト他端部
31 スプロケットギヤ
32 ドライブチェーン
33 速度検知用ロータ
41 クランクケース(エンジンケース)
42 クランクケース(エンジンケース)
42a クランクケースの後壁部の後端外周面
43 凹所
44 スピードセンサ
51 スプロケットカバー
52 クラッチカバー
52a スカート部
Claims (3)
- クランクシャフトと平行に変速ギヤ列をそれぞれ備えたカウンタシャフトおよびドライブシャフトを回転自在にエンジンケース内に軸支した小型車両用エンジンにおいて、
カウンタシャフトでは、その一側軸端に発進用クラッチを配設し、
ドライブシャフトでは、前記発進用クラッチ配設側と反対側のドライブシャフト軸端に後輪に動力を伝達するドライブスプロケットを取付け、かつ、該クラッチ配設側のドライブシャフト軸端にスピードセンサ用ロータを取付け、
前記センサ用ロータは、前記発進用クラッチよりエンジン内側に位置し、かつ側方視で発進用クラッチと重なるように配設したことを特徴とするエンジン。 - エンジンユニットの変速ギヤ列を左右に2分割可能に組み合わされる一対のエンジンケース内に収容し、かつ該エンジンケースの外部に前記各々のシャフトの左右両端部を露出させるとともに、前記各々のエンジンケースにそれぞれ取外し可能に取り付けられるスプロケットカバー及びクラッチカバーにて隠蔽保護してなるエンジンであって、
前記エンジンケースの後壁部に、前方に向けて凹む凹所を形成し、該凹所に前記スピードセンサ用ロータに対向させてスピードセンサを取り付けるスピードセンサ取り付け部を設けると共に、
クラッチカバーの前記凹所に対応する部位に後ろ側へ延出する延出部を設け、該延出部にて前記スピードセンサを隠蔽保護したことを特徴とする請求項1に記載のエンジン。 - エンジンはV型多気筒エンジンであり、前記スピードセンサ取り付け部の凹所は、エンジンのリヤ気筒の後端外部に設けたカムチェーンアジャスタに用いる締付用工具の後方からの差込み操作に対し、前記エンジンケースの後端側外周面と干渉しないものになっていることを特徴とする請求項2に記載のエンジン。
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