JP3779593B2 - 回転霧化頭 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば車体等の被塗物に塗装を行なう塗装機に用いて好適な回転霧化頭に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、自動車の車体等の被塗物に塗装を行なうときには、例えば塗着効率、塗装仕上り等の面で有利な回転霧化頭型塗装装置が多用されている。そして、この回転霧化頭型塗装装置に用いられる回転霧化頭は、霧化頭本体とハブ部材とによって大略構成されている。
【0003】
例えば、特開平9−234393号公報等に記載された回転霧化頭型塗装装置では、回転霧化頭の霧化頭本体は、後端側がエアモータの回転軸に取付けるための回転軸取付部となり、該回転軸取付部から前側に向けて筒形ないしベル形に形成されている。また、霧化頭本体の前部側には、放出端縁に向けて塗料を薄膜化する塗料薄膜化面が形成され、該塗料薄膜化面の奥部側には塗料溜りが設けられている。さらに、霧化頭本体には、塗料薄膜化面と塗料溜りとの間に位置して段付状のハブ嵌合段部が設けられている。
【0004】
一方、回転霧化頭のハブ部材は、塗料溜りの前方を覆うようにハブ嵌合段部に嵌合して取付けられるもので、該ハブ部材の外周側には、塗料溜りに供給された塗料を霧化頭本体の塗料薄膜化面に流出させるための塗料流出孔が多数個穿設されている。
【0005】
また、霧化頭本体に形成されたハブ嵌合段部の内周面とハブ部材の外周面のいずれか一方側には、Oリングが嵌着され、該Oリングの弾性力によってハブ嵌合段部に対しハブ部材を取付け、取外し可能に保持する構成としている。
【0006】
ここで、通常色替などにより回転霧化頭を洗浄するときには、塗装装置に回転霧化頭を取付けたままで、その洗浄を行う所謂自動洗浄を行っている。即ち、自動洗浄とは、回転霧化頭を高速で回転させた状態で、フィードチューブから霧化頭本体の塗料溜りにシンナ等の洗浄流体を供給し、この洗浄流体により、塗料溜り、ハブ部材の前面、ハブ部材の後面、塗料流出孔、塗料薄膜化面等の塗料接液部に付着している塗料を洗い流すものである。しかし、この自動洗浄を行っても、これらの塗料接液部には、塗装中に塗料に含まれる顔料成分等が僅かずつ付着し、堆積する。このため、塗料接液部に顔料等が固着してしまった場合には、回転霧化頭を回転軸から取外し、ブラシ等を用いて手作業で塗料接液部に付着した顔料等の固着物を除去している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前述した特開平9−234393号公報等による回転霧化頭によると、ハブ部材は、Oリングの弾性力を利用しハブ嵌合段部に取付け、取外し可能に保持する構成としている。この場合、Oリングは、押圧することにより容易に変形する程度の弾性を有している。このため、回転霧化頭を例えば40000rpm以上の高速で回転させた場合には、Oリングに作用する遠心力により該Oリングの内径寸法が増大してしまう。
【0008】
これに対し、霧化頭本体とハブ部材は、一般的にアルミニウム合金、ステンレス合金、硬質な樹脂材料等を用いて形成されている。従って、回転霧化頭を高速回転させて遠心力が作用した場合でも、霧化頭本体とハブ部材はOリングの変形量に比較して非常に小さく変形するだけである。
【0009】
これらのことにより、回転霧化頭を高速回転させたときには、Oリングだけが遠心力によって拡径することになるから、該Oリングはハブ部材を保持することができなくなる。この結果、Oリングによるハブ部材の保持力が低下し、該ハブ部材がハブ嵌合段部内でがたつきを生じる虞れがあるという問題がある。
【0010】
また、Oリングは、霧化頭本体とハブ部材の着脱作業を繰り返すと、劣化して弾性力が低下する。この状態で回転霧化頭を高速回転させると、Oリングは、回転霧化頭を確実に支持することができなくなり、該回転霧化頭の回転バランスが不安定になってしまう。さらに、霧化頭本体とハブ部材の着脱作業を繰り返すと、Oリングは、相手側の部材と擦れ合って損傷するから、頻繁な交換を要するという問題がある。
【0011】
また、色替等により回転霧化頭を自動洗浄しても、霧化頭本体のハブ嵌合段部とハブ部材の外周面との間の隙間には、塗装中に塗料流出孔から塗料が入り込んで塗料中の顔料等が堆積し、固着する。従って、この隙間に固着した顔料等の固着物を除去するためには、ハブ部材の後部を押して霧化頭本体からハブ部材を取外す必要がある。このような場合、顔料等の固着物は、隙間に固まってしまい、くさびと同様の作用をするから、ハブ部材は容易に取外すことができないという問題がある。しかも、ハンマー等を用いてハブ部材の後部に強い力を加えて、霧化頭本体からハブ部材を無理に取外そうとすると、霧化頭本体のハブ嵌合段部とハブ部材の外周面との嵌合面が損傷するという問題がある。
【0012】
一方、ハブ部材には、多数の塗料流出孔が設けられている。しかし、これらの塗料流出孔は、塗料溜りから塗料薄膜化面に塗料を均一に流出する必要があるため、その径寸法は小さく、周方向に多数個列設されている。従って、塗料流出孔を塗料が通過するときに、塗料中の顔料成分等が塗料流出孔の内面に付着して堆積し、徐々に塗料流出孔の径寸法を小さくしてしまう。
【0013】
この結果、各塗料流出孔の径寸法は、塗料の堆積によってばらつきを生じるから、該各塗料流出孔から塗料薄膜化面に流出する塗料は、その流量が安定せず、塗料薄膜化面では塗料を均一に薄膜化することができなくなる。このため、放出端縁から放出された塗料粒子が不揃いとなり、塗装品質の低下を招くという問題がある。
【0014】
しかも、塗料流出孔の径寸法が小さくなると、塗料が流出されずに塗料溜りに充満してしまうから、塗料溜りから溢れる塗料が回転軸等の隙間に流れ込んでしまい、エアモータに悪影響を与えるという問題がある。
【0015】
そこで、従来技術では、金属材料からなる細い棒状(針状)の道具を用い、この棒を多数個の塗料流出孔に1個ずつ通し、該各塗料流出孔に堆積して固着した塗料を除去している。このため、固着した塗料の除去作業に非常に多くの手間を要してしまい、作業性の低下を招くという問題がある。
【0016】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、霧化頭本体とハブ部材とを容易に組立、分解することができるようにした回転霧化頭を提供することにある。
【0017】
また、本発明の他の目的は、高速回転時でもハブ嵌合凹溝内にハブ部材を確実に保持することができるようにした回転霧化頭を提供することにある。
【0018】
さらに、本発明の他の目的は、塗料通路に固着した塗料中の顔料等の固着物を簡単に除去することができるようにした回転霧化頭を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明による回転霧化頭は、筒形ないしベル形に形成され、後端側が回転軸に取付けるための回転軸取付部となり、内周面の前側が放出端縁に向けて塗料を薄膜化する塗料薄膜化面となると共に奥部側が塗料溜りとなった霧化頭本体と、前記塗料溜りの前方を覆うように該霧化頭本体に着脱可能に取付けられたハブ部材とからなる。
【0020】
そして、上述した課題を解決するために、本発明の請求項1の発明が採用する構成の特徴は、霧化頭本体には、塗料溜りと塗料薄膜化面との間の内周面に全周に亘って凹溝状に形成されたハブ嵌合凹溝を設け、ハブ部材は、霧化頭本体の内周面のうち該ハブ嵌合凹溝の前端と塗料薄膜化面との間に位置する部位の内径に比較して小径な円板状体からなる蓋部と、該蓋部から軸方向の後側に延びて設けられ先端部が弾性変形しながら前記ハブ嵌合凹溝に係合、離脱可能に嵌合する複数本の脚部と、隣合う各脚部間に位置して設けられた複数個の切欠溝とにより構成し、ハブ部材の各脚部を前記ハブ嵌合凹溝に嵌合したときには、前記ハブ嵌合凹溝と各切欠溝との間に複数の孔状塗料通路を形成すると共に、霧化頭本体の内周面と蓋部の外周面との間に環状塗料通路を形成する構成としたことにある。
【0021】
このように構成したことにより、霧化頭本体の塗料溜りを覆うようにハブ部材をあてがい、該ハブ部材を霧化頭本体内に押込むと、該ハブ部材の各脚部は、それぞれが独立しているから霧化頭本体の内周面で径方向の内側に比較的容易に弾性変形し、ハブ嵌合凹溝で拡径して当該ハブ嵌合凹溝に嵌合する。これにより、ハブ部材は、各脚部の弾性力によってハブ嵌合凹溝に係合し抜止め状態に保持される。そして、回転霧化頭を高速回転させたときには、ハブ部材の各脚部は、遠心力によって拡径しようとするから、ハブ嵌合凹溝に強く押付けられ、ハブ部材の保持状態を維持する。
【0022】
また、ハブ部材は、ハブ嵌合凹溝に嵌合した状態で、各切欠溝とハブ嵌合凹溝との間に孔状塗料通路を形成すると共に、霧化頭本体の内周面のうちハブ嵌合凹溝の前端と塗料薄膜化面との間に位置する部位蓋部の外周面との間に環状塗料通路を形成するから、塗装を行う場合には、塗料溜りに塗料を供給することにより、塗料は該塗料溜りから各孔状塗料通路と環状塗料通路を通って塗料薄膜化面に流出し、放出端縁から塗料粒子となって飛行し、被塗物に塗装される。
【0023】
一方、各孔状塗料通路、環状塗料通路等に堆積して固着した塗料中の顔料等の固着物を除去する場合には、霧化頭本体の回転軸取付部側からハブ部材の後面を前側に押圧する。これにより、ハブ嵌合凹溝と脚部との隙間に固着物が固着している場合でも、ハブ部材を霧化頭本体内に押込んだときと同様に、各脚部が比較的容易に弾性変形するから、該ハブ部材をハブ嵌合凹溝から取外すことができる。そして、霧化頭本体からハブ部材を取外した状態では、孔状塗料通路は、ハブ部材の切欠溝と霧化頭本体のハブ嵌合凹溝とに分割されるから、ブラシ等を用いて切欠溝、ハブ嵌合凹溝に固着した顔料等の固着物を容易に除去することができる。また、霧化頭本体の内周面、ハブ部材の塗料受面等の塗料接液部に堆積し固着した固着物も容易に除去することができる。
【0024】
請求項2の発明によると、各脚部と切欠溝は蓋部の外周側に交互に形成し、各孔状塗料通路は各切欠溝とハブ嵌合凹溝との間に独立して形成する構成としたことにある。
【0025】
このように構成したことにより、塗料溜りに供給された塗料は各孔状塗料通路から均一に流出し、環状塗料通路に流出する。
【0026】
請求項3の発明によると、環状塗料通路は、霧化頭本体の内周面とハブ部材の蓋部外周面との間に全周に亘って円環状に形成したことにある。
【0027】
このように構成したことにより、各孔状塗料通路を通過した塗料は、環状塗料通路を流れて塗料薄膜化面に供給される。
【0028】
請求項4の発明によると、各脚部は、蓋部の位置から先端部の方向に離間するに従って径方向外側に向けて拡径する拡径脚部として形成したことにある。
【0029】
このように構成したことにより、各脚部は、その先端部が最も径方向の外側に位置しているから、ハブ部材を霧化頭本体内に押込んだときには、各脚部の先端部をハブ嵌合凹溝に確実に嵌合することができる。
【0030】
請求項5の発明によると、霧化頭本体のハブ嵌合凹溝と内周面との間の境界部は、滑らかな円弧面として形成したことにある。
【0031】
このように構成したことにより、塗料等が塗料溜りから塗料薄膜化面に向けてハブ嵌合凹溝を乗り越えるように流れるときに、円弧面はこの塗料等を飛散させることなく、円滑に流通することができる。
【0032】
請求項6の発明によると、環状塗料通路は、後側から前側に向けて漸次径寸法が大きくなる環状塗料通路として形成したことにある。
【0033】
このように構成したことにより、霧化頭本体の内周面が、後側から前側に向けて拡径する内周面となるから、ハブ部材を霧化頭本体に組付けるときに、拡径内周面は、ハブ部材の脚部を徐々に弾性変形させてハブ嵌合凹溝に容易に嵌合させることができる。また、各孔状塗料通路を通過した塗料は、環状塗料通路を流れて塗料薄膜化面に供給される。
【0034】
請求項7の発明によると、環状塗料通路は、後側から前側に向けてほぼ等しい径寸法をもった環状塗料通路として形成したことにある。
【0035】
このように構成したことにより、各孔状塗料通路を通過した塗料は、均径な環状塗料通路を流れて塗料薄膜化面に供給される。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態による回転霧化頭を用いた回転霧化頭型塗装装置を図1ないし図8に従って詳細に説明する。
【0037】
1は回転霧化頭型塗装装置のカバーで、該カバー1は円筒状に形成され、その内部には、後述のエアモータ2を収容している。
【0038】
2はカバー1内に収容されたエアモータで、該エアモータ2は、筒状に形成されたモータケーシング2Aと、該モータケーシング2A内に収容されたエアタービン2Bと、後述する回転軸3を回転可能に軸支する静圧エア軸受2Cとによって大略構成されている。そして、エアモータ2は、エアタービン2Bに圧縮エアが供給されることにより、回転軸3を回転駆動するものである。
【0039】
3はエアモータ2の静圧エア軸受2Cに回転可能に支持された中空の回転軸で、該回転軸3の先端はエアモータ2の前側に突出し、その先端部には後述の回転霧化頭11が取付けられている。また、回転軸3の基端側はエアモータ2のエアタービン2Bに取付けられている。
【0040】
4は回転軸3内に挿通して設けられたフィードチューブで、該フィードチューブ4の先端部は、回転軸3から突出して回転霧化頭11内に延在している。そして、フィードチューブ4は、同軸な二重筒として形成され、中央に位置して塗料と洗浄流体としてのシンナ等が流通する塗料通路4Aと、該塗料通路4Aの外周側に位置してシンナ等が流通する環状のシンナ通路4Bとによって構成されている。そして、フィードチューブ4は、塗装作業時には、塗料通路4Aから回転霧化頭11に向け塗料を供給する。また、塗料の色替等に伴う洗浄作業時には、塗料通路4Aは後述するハブ部材14の前面等を洗浄するシンナ等を供給し、シンナ通路4Bは霧化頭本体12の塗料薄膜化面12C、放出端縁12D等を洗浄するシンナ等を供給する。
【0041】
5はカバー1の先端部に取付けられたシェーピングエアリングで、該シェーピングエアリング5は、円筒状に形成され、その先端側には回転霧化頭11から噴霧された塗料の噴霧パターン等を制御するためのエアを噴出するエア噴出口5A,5A,…が周方向に多数個形成されている。
【0042】
次に、11は回転軸3の先端部に取付けられた本実施の形態による回転霧化頭で、該回転霧化頭11は、図2に示す如く、後述する霧化頭本体12、ハブ嵌合凹溝13、ハブ部材14、孔状塗料通路19、環状塗料通路20等によって大略構成されている。
【0043】
12は回転霧化頭11の外形をなし、後部側から前部側に向けて拡開するベル形に形成された霧化頭本体で、該霧化頭本体12は、例えばアルミニウム合金、ステンレス合金、硬質な樹脂材料等を用いて形成されている。ここで、霧化頭本体12を樹脂材料によって形成する場合には、導電性を有する導電性樹脂材料、または表面に導電性塗料の皮膜処理を施した非導電性の樹脂材料が用いられている。これにより、霧化頭本体12には、塗装を行なう場合に高電圧を印加することができるから、該霧化頭本体12は、その表面を流れる塗料を高電圧に直接的に帯電させることができる。
【0044】
そして、霧化頭本体12は、その後端側が円筒状の回転軸取付部12Aとなり、該回転軸取付部12Aの奥部にはエアモータ2の回転軸3に螺着される雌ねじ12A1が刻設されている。また、霧化頭本体12には、回転軸取付部12Aの奥部を閉塞するように環状隔壁12Bが径方向内向きに突出して形成され、該環状隔壁12Bの内周側には回転軸3の先端側から突出したフィードチューブ4の先端が挿通される。
【0045】
一方、霧化頭本体12の前面側は、円皿状に拡開する塗料薄膜化面12Cとなり、霧化頭本体12の前端(外周端)は塗料薄膜化面12Cに連続した放出端縁12Dとなっている。また、霧化頭本体12には、奥部側に位置して環状隔壁12Bと後述のハブ部材14との間に塗料溜り12Eが設けられ、該塗料溜り12Eは、フィードチューブ4から吐出された塗料を一時的に溜め、拡散する空間である。さらに、塗料溜り12Eと塗料薄膜化面12Cとの間に位置する霧化頭本体12の内周面12Fは、図5に示すように、後側から前側に向けて拡径した拡径内周面として形成されている。また、前側が拡径した拡径内周面12Fの前端部(塗料薄膜化面12Cとの境界部)の内径寸法D1は、後述するハブ嵌合凹溝13の最大内径寸法D2よりも大きく設定されている(D1>D2)。
【0046】
そして、霧化頭本体12は、回転霧化頭11が高速回転している状態で、塗料溜り12Eに塗料が供給されると、この塗料を後述する孔状塗料通路19から塗料薄膜化面12Cに供給する。これにより、塗料薄膜化面12Cに供給された塗料は、放出端縁12Dから塗料粒子となって噴霧される。
【0047】
13は霧化頭本体12の内周面12Fに設けられたハブ嵌合凹溝で、該ハブ嵌合凹溝13は、後述するハブ部材14の脚部17先端が係合、離脱可能に嵌合するもので、拡径内周面12Fの前,後方向中間位置を全周に亘り断面円弧状に窪ませることによって形成されている。また、ハブ嵌合凹溝13は、図6に示す如く、内周面12Fとの間の境界部が滑らかな前側円弧面13A,後側円弧面13Bとなっている。そして、各円弧面13A,13Bは、塗料溜り12Eから塗料薄膜化面12Cに向け塗料が流れるときに、この塗料が飛散せずに円滑にハブ嵌合凹溝13を乗り越えることができるようにしている。
【0048】
ここで、ハブ嵌合凹溝13の最大内径寸法D2は、前側円弧面13Aの位置での内径寸法D3よりも大きな寸法で、内周面12Fの前端部の内径寸法D1よりも小さな寸法に設定されている(D1>D2>D3)。また、ハブ嵌合凹溝13の最大内径寸法D2は、後述するハブ部材14の脚部17の最大外径寸法D6と同じ寸法か、または僅かに小さな寸法に設定されている(D2≦D6)。これにより、ハブ嵌合凹溝13は、前側円弧面13Aを乗り越えて嵌合するハブ部材14の各脚部17をがたつかせることなく確実に保持することができる。
【0049】
14は塗料溜り12Eの前方を覆うように霧化頭本体12に着脱可能に取付けられたハブ部材で、該ハブ部材14は、遠心力の作用によって変形し易く適度な弾性と撓み性をもった材料、例えばポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド(PI)等の樹脂材料を用いてほぼ円板状に形成されている。そして、ハブ部材14は、図7に示す如く、後述の蓋部15、脚部17、切欠溝18等によって大略構成されている。
【0050】
15はハブ部材14の本体部をなす円板状に形成された蓋部で、該蓋部15は、その前面15Aが平坦面となり、後面側がフィードチューブ4から吐出される塗料を受けると共に前述した塗料溜り12Eを閉塞する塗料受面15Bとなっている。また、蓋部15の外周面15Cは、前端部の外径寸法D4が後端部の外径寸法D5よりも大きな寸法に設定され(D4>D5)、これにより、後側から前側に向け漸次径寸法が大きくなる拡径外周面として形成されている。また、蓋部15の前端部の外径寸法D4は、霧化頭本体12の拡径内周面12F前端部の内径寸法D1よりも小さく設定されている(D1>D4)。さらに、蓋部15の後端部の外径寸法D5はハブ嵌合凹溝13の前側円弧面13Aの位置(即ち、拡径内周面12Fの後端位置)での内径寸法D3よりも小さく設定されている(D3>D5)。
【0051】
一方、塗料受面15Bの中心部には、フィードチューブ4から吐出された塗料の受渡しを円滑にするために後側に突出した円錐状突起15Dが形成されている。ここで、蓋部15の外周面15Cは、霧化頭本体12に取付けられた状態で、内周面12Fとの間に一定の隙間寸法を有し、後述する環状塗料通路20を形成する。
【0052】
16,16,…は蓋部15の軸中心側に設けられた4個のシンナ流出孔で、該各シンナ流出孔16は、塗料受面15B(円錐状突起15D)から前面15Aに亘って穿設されている。そして、シンナ流出孔16は、前面15Aに付着した塗料を洗浄するときに、シンナを塗料受面15Bから前面15A側に供給する通路をなしている。
【0053】
17,17,…は蓋部15の後面外周側に一体的に形成された複数本の脚部(実施例の場合14本)で、該各脚部17は、図8に示すように、1本1本が独立して形成され、かつ周方向に等間隔で、全周に亘って配置されている。また、脚部17は、蓋部15の後面外周側から先端部17Aの方向(軸方向の後側)に離間するに従って径方向外側に向けて拡径する拡径脚部として形成され、その先端部17A位置での最大外径寸法D6は、蓋部15の後端部の外径寸法D5よりも大きく設定されている(D6>D5)。また、脚部17の先端部17Aは、自由端となってハブ嵌合凹溝13にほぼ合致するような球面形状をなしている。
【0054】
また、脚部17の先端部17Aの最大外径寸法D6は、蓋部15の前端部の外径寸法D4と同じ寸法か、または小さな寸法に形成されている(D6≦D4)。さらに、各脚部17(先端部17A位置)の最大外径寸法D6は、ハブ嵌合凹溝13の最大内径寸法D2と同じ寸法か、または僅かに大きな寸法に設定されている(D6≧D2)。
【0055】
そして、各脚部17は、それぞれが独立していることにより、比較的容易に弾性変形することができるから、ハブ嵌合凹溝13に対する着脱作業を容易に行うことができる。しかも、各脚部17の最大外径寸法D6は、ハブ嵌合凹溝13の最大内径寸法D2と同じ寸法か、または僅かに大きな寸法に設定しているから、該各脚部17はハブ嵌合凹溝13に確実に保持されることになる。
【0056】
以上の点から霧化頭本体12の内周面12Fの前端部の内径寸法D1、ハブ嵌合凹溝13の最大内径寸法D2、ハブ嵌合凹溝13の前側円弧面13Aの位置での内径寸法D3と、ハブ部材14の蓋部15の前端部の外径寸法D4、蓋部15の後端部の外径寸法D5、脚部17の先端部17A位置での最大外径寸法D6とは、下記数1の関係にある。
【0057】
【数1】
D1>D2>D3
D4≧D6>D5
D6≧D2
D1>D4
D3>D5
【0058】
18,18,…は蓋部15の後面外周側に各脚部17と交互に形成された複数個(実施例では14個)の切欠溝で、該各切欠溝18は、隣合う各脚部17間に位置してほぼU字形状に形成され、かつ周方向に等間隔で全周に亘って配置されている。そして、切欠溝18は、ハブ部材14の脚部17を霧化頭本体12のハブ嵌合凹溝13に嵌合したときに、該ハブ嵌合凹溝13との間に後述の孔状塗料通路19を形成するものである。
【0059】
19,19,…は霧化頭本体12内にハブ部材14を取付けたときに、該霧化頭本体12のハブ嵌合凹溝13の内周面とハブ部材14の各切欠溝18との間に形成される複数個の孔状塗料通路で、該各孔状塗料通路19は、図3に示すように周方向に等間隔で、全周に亘り、各脚部17と交互に切欠溝18と対応した数だけ独立して多数個列設されている。そして、各孔状塗料通路19は、回転霧化頭11を高速回転し、フィードチューブ4から塗料溜り12Eに塗料を供給したときに、この塗料を後述の環状塗料通路20に向け均一に流通するものである。
【0060】
また、20は霧化頭本体12内にハブ部材14を取付けたときに、該霧化頭本体12の拡径内周面12Fとハブ部材14の蓋部15の外周面15Cとの間に形成される環状塗料通路で、該環状塗料通路20は、図2、図4に示す如く、全周に亘って円環状をなし、内周面12F、外周面15Cにより後側から前側に向けて漸次径寸法が大きくなるように拡径している。これにより、拡径した環状塗料通路20は、霧化頭本体12の拡径内周面12Fと蓋部15の外周面15Cとの間で、塗料を均一に流通することができ、また各面15C、12Fに接触するようにシンナを流通することができる。
【0061】
ここで、環状塗料通路20の幅寸法a(図2中に図示)は、その前端側で下記数2の関係にある。
【0062】
【数2】
a≒(D1−D4)/2
【0063】
本実施の形態による回転霧化頭11は上述の如き構成を有するもので、次に、回転霧化頭11の組立作業、回転霧化頭11による塗装動作および固着した塗料中の顔料等の除去(分解)作業について説明する。
【0064】
最初に、回転霧化頭11の組立作業、即ち霧化頭本体12にハブ部材14を組付ける作業について説明する。
【0065】
まず、霧化頭本体12の塗料溜り12Eを覆うようにハブ部材14をあてがい、該ハブ部材14を塗料溜り12E側に押込むように押圧する。このときに、霧化頭本体12の拡径内周面12Fは、その前端部の内径寸法D1が各脚部17の最大外径寸法D6よりも大きく設定されているから、ハブ部材14を霧化頭本体12の中央に位置決めすることができる。しかも、拡径内周面12Fは、前側から後側に向け漸次径寸法が小さくなっているから、ハブ部材14の各脚部17は、徐々に弾性変形することができ、前側円弧面13Aを乗り越えることによってハブ嵌合凹溝13に容易に嵌合することができる。さらに、脚部17は、1本、1本が独立しているから、比較的容易に撓むことができ、これによってもハブ嵌合凹溝13に容易に嵌合することができる。
【0066】
そして、ハブ嵌合凹溝13に嵌合したハブ部材14の各脚部17は、その最大外径寸法D6がハブ嵌合凹溝13の最大内径寸法D2と同じ寸法か、または僅かに大きな寸法に設定されているから、各脚部17は、ハブ嵌合凹溝13に合致し、確実に保持される。
【0067】
次に、このように組立てられた回転霧化頭11を用いて被塗物に塗料を噴霧する塗装作業について説明する。
【0068】
まず、エアモータ2によって回転軸3と共に回転霧化頭11を高速、例えば3000〜100000rpmで回転駆動する。このときには、回転霧化頭11の霧化頭本体12、ハブ部材14に遠心力が作用するが、該ハブ部材14の各脚部17は、それぞれ独立して形成されており、弾性変形し易くなっているから、霧化頭本体12よりもハブ部材14の各脚部17の方が径方向に大きく広がる。これにより、該各脚部17は、ハブ嵌合凹溝13に強く押付けられるから、ハブ嵌合凹溝13によるハブ部材14の保持状態をより一層高めることができる。
【0069】
そして、フィードチューブ4からハブ部材14の塗料受面15Bに塗料を供給すると、塗料受面15Bに供給された塗料は、遠心力により塗料溜り12Eから各孔状塗料通路19、環状塗料通路20を通って霧化頭本体12の塗料薄膜化面12Cに流出する。このとき、各孔状塗料通路19は、蓋部15の外周側に全周に亘り等間隔で独立して形成されているから、塗料溜り12Eに供給された塗料は、各孔状塗料通路19から均一に流出する。しかも、環状塗料通路20は、ほぼ一定の幅寸法aをもって形成しているから、塗料を全周に亘って均一に流通することができる。これにより、塗料薄膜化面12Cに供給された塗料は、放出端縁12Dから塗料粒子となって噴霧され、被塗物に塗着する。
【0070】
この塗装時に、回転霧化頭11に高電圧発生器(図示せず)から供給される高電圧を印加することにより、霧化頭本体12等の表面を流れる塗料を高電圧に直接的に帯電させることができるから、この帯電塗料を被塗物に向け飛行させて塗着効率を高めることができる。
【0071】
次に、前色の塗装が終了し、次色の塗料に色替を行う場合の色替動作について説明する。
【0072】
まず、塗料の色替を行う場合には、各部に付着している前色の塗料を洗浄する、所謂自動洗浄を行う。この自動洗浄作業では、回転霧化頭11を回転させた状態で、フィードチューブ4の塗料通路4Aにシンナを供給して前色の塗料を排出した後に、シンナ通路4Bから回転霧化頭11に向け洗浄流体となるシンナ等を供給する。このときに、環状塗料通路20は、ほぼ一定の幅寸法aをもって形成し、かつ前側に向け漸次径寸法が大きくなるように拡径して形成しているから、ハブ部材14の外周面15Cにもシンナを供給することができる。
【0073】
これにより、環状塗料通路20を流通するシンナは、霧化頭本体12の拡径内周面12F、ハブ部材14の外周面15Cに付着した前色塗料を効率よく洗浄することができる。また、孔状塗料通路19から流出したシンナは、霧化頭本体12の塗料薄膜化面12C、放出端縁12Dに付着した塗料を洗浄し、シンナ流出孔16から流出したシンナは、ハブ部材14の前面15Aを洗浄することができる。
【0074】
一方、ハブ部材14の切欠溝18、ハブ嵌合凹溝13と各脚部17との間の隙間等に付着した塗料は、前述した自動洗浄作業では除去することができない。このため、ハブ部材14の切欠溝18等には、付着した塗料中に含まれる顔料成分等が徐々に堆積して固着物となる。このため、この固着物は、回転霧化頭11を分解し、この分解状態で除去するようになっている。そこで、回転霧化頭の分解作業、固着物の除去作業について説明する。
【0075】
まず、霧化頭本体12からハブ部材14を取外す場合には、これに先立って回転軸3から回転霧化頭11を取外す。次に、霧化頭本体12の回転軸取付部12A内に棒状の分解用治具(図示せず)を挿入し、該冶具によってハブ部材14を後側から押圧する。このときに、例えば脚部17とハブ嵌合凹溝13との間に塗料中の顔料等が固着物となって固着している場合でも、各脚部17は、独立して形成され、弾性変形し易くなっているから、ハブ部材14は、脚部17を弾性変形させながらハブ嵌合凹溝13から容易に取外すことができる。
【0076】
このようにして霧化頭本体12からハブ部材14を取外した状態では、各孔状塗料通路19は、霧化頭本体12側のハブ嵌合凹溝13とハブ部材14側の切欠溝18とに分割されるから、ブラシ等を用いてハブ嵌合凹溝13、切欠溝18を擦ることにより、固着物を容易に除去することができる。その他にも、洗浄が困難な霧化頭本体12の塗料溜り12E、内周面12F、ハブ部材14の外周面15C、脚部17等の塗料接液部に堆積し固着した固着物を、ハブ嵌合凹溝13、切欠溝18と同様に容易に除去することができる。
【0077】
かくして、本実施の形態によれば、霧化頭本体12は金属材料または硬質な樹脂材料を用いて形成し、ハブ部材14は適度な弾性と撓み性を有する樹脂材料を用いて形成している。また、霧化頭本体12の拡径内周面12Fにはハブ嵌合凹溝13を設け、ハブ部材14には該ハブ嵌合凹溝13に係合、離脱可能に嵌合する脚部17を設けている。これにより、霧化頭本体12にハブ部材14を取付けるときには、霧化頭本体12の内周面12Fにハブ部材14をあてがい、該ハブ部材14を押込むことにより、脚部17を弾性変形させながらハブ嵌合凹溝13内に嵌合することができる。
【0078】
この結果、回転霧化頭11を高速回転させたときには、適度な弾性と撓み性を有する樹脂材料を用いて形成されたハブ部材14は、その脚部17をハブ嵌合凹溝13に強く押付けることができるから、ハブ嵌合凹溝13内での脚部17の保持力を高めることができ、ハブ部材14の脱落事故等を未然に防止して、回転霧化頭11に対する信頼性を向上することができる。また、ハブ部材14の回転バランスを長期に亘って安定させることができる。
【0079】
一方、自動洗浄作業では除去することが困難な、ハブ部材14の切欠溝18、ハブ嵌合凹溝13と各脚部17との間の隙間等に堆積し固着した顔料等の固着物を除去する場合には、分解用治具を用いて霧化頭本体12の回転軸取付部12A側からハブ部材14を押圧することにより、該ハブ部材14を霧化頭本体12から容易に取外すことができる。この状態では、孔状塗料通路19は、霧化頭本体12側のハブ嵌合凹溝13とハブ部材14側の切欠溝18とに分離することができるから、ブラシ等を用いてハブ嵌合凹溝13、切欠溝18を擦ることにより、各部に固着した固着物を容易に除去することができ、作業性を向上することができる。
【0080】
また、環状塗料通路20は、ほぼ一定の幅寸法aをもって形成しているから、塗装を行うときには、塗料を全周に亘って均一に流通することができ、塗装品質を高めることができる。一方、塗料の洗浄を行うときには、霧化頭本体12の内周面12F、ハブ部材14の外周面15Cに付着した塗料をシンナによって効率よく洗浄することができ、洗浄効率を向上することができる。
【0081】
また、ハブ部材14の各脚部17は、それぞれが独立して形成されているから、ハブ嵌合凹溝13に嵌合、離脱するときに容易に弾性変形することができる。これにより、従来技術で述べたように、例えば脚部17とハブ嵌合凹溝13との間の孔状塗料通路19に顔料等の固着物が固着している場合でも、ハブ部材14は、指先の力だけで取外したり、取付けたりすることができ、着脱作業を容易に行うことができる。
【0082】
さらに、ハブ嵌合凹溝13は、拡径内周面12Fとの間の境界部を滑らかな円弧面13A,13Bとしているから、塗料溜り12Eから塗料薄膜化面12Cに向けて流れる塗料は、境界部で飛散することなく、ハブ嵌合凹溝13を円滑に乗り越えることができる。これにより、円弧面13A,13Bは、霧化頭本体12内での塗料の流れをスムーズにして塗装品質を向上することができる。
【0083】
また、後側から前側に向けて径寸法が大きくなる拡径した環状塗料通路20によって、霧化頭本体12の内周面12Fも、後側から前側に向けて拡径した拡径内周面として形成されているから、ハブ部材14を霧化頭本体12に取付けるときに、該ハブ部材14は、霧化頭本体12の中央に位置決めすることができ、取付作業を容易かつ正確に行うことができる。
【0084】
一方、ハブ部材14の各脚部17は、独立形状によって弾性変形し易くなっているから、ハブ部材14を霧化頭本体12と同様の金属材料、硬質な樹脂材料等によって形成した場合でも、各脚部17は、容易に撓むことができ、ハブ嵌合凹溝13内で十分な保持力を得ることができる。
【0085】
なお、実施の形態では、霧化頭本体12とハブ部材14との間には、それぞれ後側から前側に向けて漸次径寸法が大きくなった霧化頭本体12の拡径内周面12Fと蓋部15の外周面15Cとによって拡径した環状塗料通路20を形成した場合を例に挙げて説明した。
【0086】
しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば図9に示す変形例のような回転霧化頭31を用いてもよい。この場合、回転霧化頭31は、回転軸取付部32A、環状隔壁32B、塗料薄膜化面32C、放出端縁32D、塗料溜り32E、内周面32Fからなり、内周面32Fにハブ嵌合凹溝33が設けられた霧化頭本体32と、蓋部35、シンナ流出孔36、脚部37、切欠溝38からなるハブ部材34と、ハブ嵌合凹溝33と切欠溝38との間の孔状塗料通路39とによって大略構成する。そして、ほぼ等しい径寸法をもった均径内周面32Fと蓋部35の外周面35Cとの間には、後側から前側に向けてほぼ等しい径寸法をもった均径な環状塗料通路40を形成する構成としてもよい。
【0087】
従って、この変形例によれば、均径な環状塗料通路40は、孔状塗料通路39を通過した塗料を、塗料薄膜化面32Cに供給することができる。また、シンナ等を供給したときには、環状塗料通路40に付着した塗料を洗浄することができる。
【0088】
また、実施の形態では、ハブ部材14には14本の各脚部17を設けた場合を例に挙げて図示したが、本発明はこれに限らず、脚部17は、ハブ部材14を霧化頭本体12に支持することができる本数、即ち、周方向に3本以上設けられていればよい。そして、脚部17の本数が少ない場合には、孔状塗料通路は周方向に延びるスリット状の長孔となる。
【0089】
一方、実施の形態では、回転霧化頭11の霧化頭本体12を金属材料または導電性の樹脂材料によって形成し、該霧化頭本体12等を介して直接的に塗料を高電圧に帯電させる直接帯電式の回転霧化頭型塗装装置を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、例えばカバー1の外周側には外部電極を設け、この外部電極が回転霧化頭11から噴霧された塗料を間接的に高電圧に帯電させる間接帯電式の回転霧化頭型塗装装置に適用してもよい。
【0090】
さらに、実施の形態では、霧化頭本体12をベル形状に形成した場合を例示したが、霧化頭本体は回転軸取付部から放出端縁に向けて徐々に大径となった筒形状に形成してもよい。
【0091】
【発明の効果】
以上詳述した通り、請求項1の発明によれば、霧化頭本体には、塗料溜りと塗料薄膜化面との間の内周面に全周に亘って凹溝状に形成されたハブ嵌合凹溝を設け、ハブ部材は、霧化頭本体の内周面のうち該ハブ嵌合凹溝の前端と塗料薄膜化面との間に位置する部位の内径に比較して小径な円板状体からなる蓋部と、該蓋部から軸方向の後側に延びて設けられ先端部が弾性変形しながら前記ハブ嵌合凹溝に係合、離脱可能に嵌合する複数本の脚部と、隣合う各脚部間に位置して設けられた複数個の切欠溝とにより構成し、ハブ部材の各脚部を前記ハブ嵌合凹溝に嵌合したときには、前記ハブ嵌合凹溝と各切欠溝との間に複数の孔状塗料通路を形成すると共に、霧化頭本体の内周面と蓋部の外周面との間に環状塗料通路を形成する構成としている。
【0092】
従って、霧化頭本体の塗料溜りを覆うようにハブ部材をあてがい、該ハブ部材を霧化頭本体内に押込むことにより、該ハブ部材の各脚部を弾性変形させる。このときに各脚部は、それぞれが独立しているから霧化頭本体の内周面で径方向の内側に比較的容易に弾性変形することができ、ハブ嵌合凹溝で拡径して当該ハブ嵌合凹溝に嵌合することができる。これにより、各脚部は、その弾性力によってハブ部材をハブ嵌合凹溝に係合し、抜止め状態に保持することができる。そして、回転霧化頭を高速回転させたときには、ハブ部材の各脚部は、遠心力によって拡径しようとするから、該各脚部は、ハブ部材を霧化頭本体内に強固に支持することができるから、ハブ部材の脱落事故等を未然に防止して、回転霧化頭に対する信頼性を向上することができる。
【0093】
また、ハブ部材は、ハブ嵌合凹溝に嵌合した状態で、各切欠溝とハブ嵌合凹溝との間に孔状塗料通路を形成すると共に、蓋部の外周面と霧化頭本体の内周面との間に環状塗料通路を形成する構成としている。これにより、塗装を行う場合には、塗料溜りに塗料を供給することにより、この塗料は該塗料溜りから各孔状塗料通路と環状塗料通路を通して塗料薄膜化面に均一に流出させることができ、放出端縁から均一な塗料粒子として飛行させ、被塗物の塗装品質を向上することができる。
【0094】
しかも、各孔状塗料通路、環状塗料通路等に堆積して固着した塗料中の顔料等の固着物を除去する場合には、霧化頭本体の回転軸取付部側からハブ部材の後面を前側に押圧する。これにより、ハブ嵌合凹溝と脚部との隙間に固着物が固着している場合でも、ハブ部材を霧化頭本体内に押込んだときと同様に、各脚部を容易に弾性変形させて、該ハブ部材をハブ嵌合凹溝から取外すことができる。そして、霧化頭本体からハブ部材を取外した状態では、孔状塗料通路は、ハブ部材の切欠溝と霧化頭本体のハブ嵌合凹溝とに分割されるから、ブラシ等を用いて切欠溝、ハブ嵌合凹溝に固着した顔料等の固着物を容易に除去することができ、また、霧化頭本体の内周面、ハブ部材の塗料受面等の塗料接液部に堆積し固着した固着物も容易に除去することができ、作業性を向上することができる。
【0095】
請求項2の発明によれば、各脚部と切欠溝は蓋部の外周側に交互に形成し、各孔状塗料通路は各切欠溝とハブ嵌合凹溝との間に独立して形成する構成としている。これにより、塗料溜りに供給された塗料は各孔状塗料通路から均一に流出し、環状塗料通路に流出するから、均一な塗料粒子として被塗物に塗着することができる。
【0096】
請求項3の発明によれば、環状塗料通路は、霧化頭本体の内周面とハブ部材の蓋部外周面との間に全周に亘って円環状に形成しているので、環状塗料通路は、各孔状塗料通路を通過した塗料を塗料薄膜化面に供給することができる。
【0097】
請求項4の発明によれば、各脚部は、蓋部の位置から先端部の方向に離間するに従って径方向外側に向けて拡径する拡径脚部として形成しているので、ハブ部材を霧化頭本体内に押込んだときには、各脚部は、最も径方向の外側に位置する先端部をハブ嵌合凹溝に確実に嵌合することができる。
【0098】
請求項5の発明によれば、霧化頭本体のハブ嵌合凹溝と内周面との間の境界部は、滑らかな円弧面として形成しているので、塗料等が塗料溜りから塗料薄膜化面に向けてハブ嵌合凹溝を乗り越えるように流れるときに、円弧面はこの塗料等を飛散させることなく、円滑に流通することができ、塗料の供給を安定化させて、塗装品質を向上することができる。
【0099】
請求項6の発明によれば、環状塗料通路は、後側から前側に向けて漸次径寸法が大きくなる環状塗料通路として形成しているので、霧化頭本体の内周面は、後側から前側に向けて拡径する内周面となるから、該拡径内周面は、ハブ部材の脚部を徐々に弾性変形させてハブ嵌合凹溝に容易に嵌合させることができ、組立作業性を向上することができる。また、環状塗料通路は、各孔状塗料通路を通過した塗料を塗料薄膜化面に供給することができる。
【0100】
請求項7の発明によれば、環状塗料通路は、後側から前側に向けてほぼ等しい径寸法をもった環状塗料通路として形成しているので、環状塗料通路は、各孔状塗料通路を通過した塗料を塗料薄膜化面に供給することができ、洗浄流体を供給したときには、環状塗料通路に付着した塗料を洗浄することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態による回転霧化頭を備えた回転霧化頭型塗装装置を示す断面図である。
【図2】図1中の回転霧化頭を拡大して示す拡大断面図である。
【図3】図2中の矢示III−III方向からみた要部拡大断面図である。
【図4】図2中の矢示IV−IV方向からみた要部拡大断面図である。
【図5】霧化頭本体とハブ部材とを分解して示す分解断面図である。
【図6】ハブ嵌合凹溝の近傍を拡大して示す要部拡大断面図である。
【図7】ハブ部材を単体で拡大して示す正面図である。
【図8】ハブ部材を図7中の矢示VIII−VIII方向からみた右側面図である。
【図9】本発明の変形例による回転霧化頭を図2と同様位置からみた拡大断面図である。
【符号の説明】
11,31 回転霧化頭
12,32 霧化頭本体
12A,32A 回転軸取付部
12C,32C 塗料薄膜化面
12D,32D 放出端縁
12E,32E 塗料溜り
12F,32F 内周面
13,33 ハブ嵌合凹溝
13A,13B 円弧面
14,34 ハブ部材
15,35 蓋部
15C,35C 外周面
17,37 脚部
17A 先端部
18,38 切欠溝
19,39 孔状塗料通路
20,40 環状塗料通路

Claims (7)

  1. 筒形ないしベル形に形成され、後端側が回転軸に取付けるための回転軸取付部(12A,32A)となり、内周面(12F,32F)の前側が放出端縁(12D,32D)に向けて塗料を薄膜化する塗料薄膜化面(12C,32C)となると共に奥部側が塗料溜り(12E,32E)となった霧化頭本体(12,32)と、前記塗料溜り(12E,32E)の前方を覆うように該霧化頭本体(12,32)の内周面(12F,32F)に着脱可能に取付けられたハブ部材(14,34)とからなる回転霧化頭(11,31)において、
    前記霧化頭本体(12,32)には、前記塗料溜り(12E,32E)と塗料薄膜化面(12C,32C)との間の内周面(12F,32F)に全周に亘って凹溝状に形成されたハブ嵌合凹溝(13,33)を設け、
    前記ハブ部材(14,34)は、前記霧化頭本体(12,32)の内周面(12F,32F)のうち該ハブ嵌合凹溝(13,33)の前端と塗料薄膜化面(12C,32C)との間に位置する部位の内径に比較して小径な円板状体からなる蓋部(15,35)と、該蓋部(13,35)から軸方向の後側に延びて設けられ先端部が弾性変形しながら前記ハブ嵌合凹溝(13,33)に係合、離脱可能に嵌合する複数本の脚部(17,37)と、隣合う各脚部(17,37)間に位置して設けられた複数個の切欠溝(18,38)とにより構成し、
    前記ハブ部材(14,34)の各脚部(17,37)を前記ハブ嵌合凹溝(13,33)に嵌合したときには、前記ハブ嵌合凹溝(13,33)と各切欠溝(18,38)との間に複数の孔状塗料通路(19,39)を形成すると共に、前記霧化頭本体(12,32)の内周面(12F,32F)と蓋部(15,35)の外周面(15C,35C)との間に環状塗料通路(20,40)を形成する構成としたことを特徴とする回転霧化頭。
  2. 前記各脚部(17,37)と切欠溝(18,38)は前記蓋部(15,35)の外周側に交互に形成し、前記各孔状塗料通路(19,39)は前記各切欠溝(18,38)とハブ嵌合凹溝(13,33)との間に独立して形成してなる請求項1に記載の回転霧化頭。
  3. 前記環状塗料通路(20,40)は、前記霧化頭本体(12,32)の内周面(12F,32F)とハブ部材(14,34)の蓋部外周面(15C,35C)との間に全周に亘って円環状に形成してなる請求項1または2に記載の回転霧化頭。
  4. 前記各脚部(17,37)は、前記蓋部(15,35)の位置から先端部の方向に離間するに従って径方向外側に向けて拡径する拡径脚部として形成してなる請求項1,2または3に記載の回転霧化頭。
  5. 前記霧化頭本体(12,32)のハブ嵌合凹溝(13,33)と内周面(12F,32F)との間の境界部は、滑らかな円弧面として形成してなる請求項1,2,3または4に記載の回転霧化頭。
  6. 前記環状塗料通路(20)は、後側から前側に向けて漸次径寸法が大きくなる環状塗料通路として形成してなる請求項1,2,3,4または5に記載の回転霧化頭。
  7. 前記環状塗料通路(40)は、後側から前側に向けてほぼ等しい径寸法をもった環状塗料通路として形成してなる請求項1,2,3,4または5に記載の回転霧化頭。
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