JP3780228B2 - 2段階剥離の既設ドア枠除去方法及びその拡開装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はドア枠を改装するに際して鋼製既設ドア枠を剥離除去するドア枠除去方法に関し,特に既設ドア枠に2段階剥離を行うことによってドア枠除去を効率化した2段階剥離の鋼製既設ドア枠除去方法及びこれに用いる拡開装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種既設ドア枠を剥離除去するドア枠除去方法として,例えば特公平5−57396号が知られており,これによれば,挟持装置の一対の挟持爪によって鋼製の既設ドア枠の枠部を抱持状に挟持して該挟持爪を加圧駆動によって無段階閉鎖して該挟持位置でコンクリート躯体から枠部を長手方向に剥離する剥離工程と,剥離後に既設ドア枠をコンクリート躯体から室外側に引出撤去する既設ドア枠撤去工程による除去方法とされる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この場合理論的には既設ドア枠をコンクリート躯体から除去することが可能となるが,これを実際に用いると,挟持装置の一対の挟持爪によって既設ドア枠の枠部を剥離することは容易ではなく,剥離のためには該枠部の挟持とその無段階閉鎖による剥離の作業を,既設ドア枠のアンカー溶接した溶接棒部分のみならず,これらの間を含めて小ピッチに繰返して行う必要があり,作業が煩雑となるとともに作業性が悪く,例えば居住状態のマンション等におけるドア枠改装と新設ドアの設置を,一日に10軒程度というように同時に多数処理しようとすると,先行作業の既設ドア枠除去に大幅な時間が掛り,次工程の着手が遅れることによって工事時間が予定より数時間延び,工事が夜間にずれ込む等して,例えば居住者等の苦情要因となっている。
【0004】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので,その解決課題とするところは,第1に,居住状態のドア枠改装を可及的容易且つ短時間に効率良く行うとともに工事に対する居住者の苦情を解消し得るようにした2段階剥離の鋼製既設ドア枠除去方法を提供するにあり,第2に,該既設ドア枠の除去方法に好適に用い得て,簡易且つ確実に既設ドア枠を浮上分離可能とする拡開装置を提供するにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題に添って検討したところ,上記従来の既設ドア枠に使用する挟持装置の一対の挟持爪は,対向方向に先細状に傾斜した楔状を呈するものとされ,既設ドア枠の枠部を前後から抱持状に挟持してコンクリート躯体と枠部間に食い込ませて,その食い込み傾斜によって枠部を強制的に浮上剥離するものとされ,挟持装置を手持ちして現場作業を行う軽量化,小型化の必要性から挟持爪の大きさには自ずと限界が生じ,ある程度の大きさのものとせざるを得ないことに上記作業の煩雑さと作業性の悪さの原因があるものと認められる。
【0006】
上記浮上剥離の構造を維持しながら挟持装置の挟持爪を大きく設定することは困難であり,一方でこの挟持装置は上記理論的に優れたものと認められるから,本発明はこの挟持装置を使用して,一対の挟持爪で既設ドア枠の枠部を挟持し無段階閉鎖することによって該枠部を,例えばアンカー溶接部分等の単一乃至複数箇所で長手方向部分的に浮上剥離し,更に該挟持装置の部分的な浮上剥離後の上記可及的一気の全体的な浮上剥離を行うに適した拡開爪の無段階拡開を好適に行う可及的コンパクトにして操作性のよい拡開装置を使用して,該拡開装置の拡開爪を上記浮上剥離した同一又はその近傍の部分に挿入して同じく単一乃至複数箇所で無段階拡開することによって該枠部を長手方向全体に浮上剥離することにより,挟持装置による一次的な部分浮上剥離の工程と拡開装置による二次的な全体浮上剥離の工程とを併用して既設ドア枠を可及的一気に屈曲変形して分離することによって,コンクリート躯体から既設ドア枠を短時間で簡易且つ確実に浮上剥離し,然る後に該既設ドア枠の引出撤去するようにしたものであって,即ち請求項1に記載の発明を,鋼製の既設ドア枠を挟持装置によって長手方向部分的にコンクリート躯体から浮上剥離する部分剥離工程と,拡開装置によって長手方向全体的にコンクリート躯体から浮上剥離する全体剥離工程と,該浮上剥離して枠部が屈曲変形した既設ドア枠をコンクリート躯体から室外側に引出撤去する既設ドア枠撤去工程とを備える既設ドア枠除去方法であって,上記部分剥離工程を,その上記挟持装置の一対の挟持爪によって鋼製の既設ドア枠の枠部を抱持状に挟持し該挟持爪を加圧駆動により無段階閉鎖することによってその上記浮上剥離を行い,上記全体剥離工程の拡開装置を,油圧アクチュエータを内蔵し又は油圧アクチュエータに接続可能の握りハンドルと,該握りハンドルの先端に回動自在に軸支固定し軸支側後方にその対向面を相互にV字状とするように同一角度に傾斜して摺動傾斜面を具備した一対の拡開爪と,上記摺動傾斜面の位置で該一対の拡開爪をその対向面側に向けて付勢する閉鎖用スプリングと,油圧アクチュエータの作動によって上記握りハンドルから進退自在のピストンと,該ピストンの先端に設置しその進行によって上記一対の拡開爪の摺動傾斜面間をその先端側に向けて進行する摺動傾斜面と同一角度に傾斜した左右対称の傾斜側面を具備した矢尻状の先端具とを具備した拡開装置とし,上記全体剥離工程を,拡開装置の一対の拡開爪を既設ドア枠の枠部における浮上剥離部分に挿入し油圧アクチュエータの作動により先端具を拡開爪間に進行させ該一対の拡開爪を無段階拡開することによってその上記浮上剥離を行うことを特徴とする2段階剥離の鋼製既設ドア枠除去方法としたものである。
【0007】
請求項2に記載の発明は,上記に加えて,既設ドア枠の下枠はコンクリート躯体の床にその殆どを埋め込んで設置されていることが多く,この場合上記挟持装置を下枠に適用するのが煩雑な作業を必要とするために,上記2段階剥離を既設ドア枠の上枠と左右の縦枠の枠部とし,下枠の枠部については拡開装置の拡開爪を挿入可能な程度にコンクリート躯体の床面に部分的な斫りを施し,該斫り部分に拡開爪を挿入拡開することによって既設ドア枠の上記浮上剥離を行うようにして,下枠埋め込み設置のケースの既設ドア枠の除去を更に容易になし得るようにしたものであって,これを,上記部分剥離工程によって長手方向部分的に浮上剥離する枠部を上記既設ドア枠における上枠及び側枠とする一方,既設ドア枠の下枠に対して該部分剥離工程に代えて,コンクリート躯体の床面に部分的に斫り部を形成する部分斫り工程を施し,該斫り部に上記拡開装置の一対の拡開爪を挿入して上記下枠に全体剥離工程を直接に施すことを特徴とする請求項1に記載の2段階剥離の既設ドア枠除去方法としたものである。
【0008】
請求項3に記載の発明は,上記挟持装置による部分的な浮上剥離及び/又は拡開装置による全体的な浮上剥離による既設ドア枠の変形分離に際して,コンクリート躯体の破損によって塵埃が発生飛散するため,上記既設ドア枠の除去を,居住者の居住状態で行うとその近傍に塵埃が飛散して室内の床,壁等を汚損する可能性があるところ,玄関スペースの一部,例えば土間部分を作業に使用するもその余の廊下等の室内部分に塵埃が及ぶのを遮断するように,上記部分剥離工程に先行して防塵シート配置工程を備えるとともに該防塵シート配置工程をシート押え装置を用いて可及的簡易且つ確実に室内部分を遮断して,該室内部分に塵埃が飛散するのを防止し得るようにしたものであって,これを,上記部分剥離工程に先行してシート押え装置を用いて既設ドア枠の室内側に防塵シートを配置する防塵シート配置工程を追加的に備え,上記シート押え装置を高さ調整自在の中央ポールと該中央ポール上端の水平支持枠とを具備した正面T字状に構成し,該シート押え装置を用いた防塵シート配置工程を,上記水平支持枠に防塵シートを支持して該水平支持枠を天井に突き当てることによって該防塵シートを上記既設ドア枠 設置開口の室内側に吊り配置することを特徴とする請求項1又は2に記載の2段階剥離の鋼製既設ドア枠除去方法としたものである。
【0009】
請求項4に記載の発明は,上記挟持装置の部分的な浮上剥離後の上記可及的一気の全体的な浮上剥離を行うに適した拡開爪の無段階拡開を好適に行うとともに可及的コンパクトにして操作性のよい拡開装置を提供するように,これを,油圧アクチュエータを内蔵し又は油圧アクチュエータに接続可能の握りハンドルと,該握りハンドルの先端に回動自在に軸支固定し軸支側後方にその対向面を相互にV字状とするように同一角度に傾斜して摺動傾斜面を具備した一対の拡開爪と,上記摺動傾斜面の位置で該一対の拡開爪をその対向面側に向けて付勢する閉鎖用スプリングと,油圧アクチュエータの作動によって上記握りハンドルから進退自在のピストンと,該ピストンの先端に設置しその進行によって上記一対の拡開爪の摺動傾斜面間をその先端側に向けて進行する摺動傾斜面と同一角度に傾斜した左右対称の傾斜側面を具備した矢尻状の先端具とを備え,上記油圧アクチュエータの作動によって上記先端具を上記一対の拡開爪間に進行させ該一対の拡開爪を無段階拡開することによってコンクリート躯体から鋼製の既設ドア枠における枠部を長手方向全体的に浮上剥離自在としたことを特徴とする2段階剥離の鋼製既設ドア枠除去方法用の拡開装置としたものである。
【0010】
本発明はこれらをそれぞれ発明の要旨として上記課題解決の手段としたものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下図面の例を参照しながら本発明を更に具体的に説明すれば,Aはコンクリート躯体,Bは,該コンクリート躯体Aに設置され,図示省略の新設ドア枠を設置するドア枠改装を行うために除去対象とした鋼製の既設ドア枠であり,既設ドア枠Bの除去は,挟持装置10によって既設ドア枠Bの枠部1,2及び3を長手方向部分的に浮上剥離する一次的な部分剥離工程と,拡開装置20によって該枠部1,2及び3を長手方向全体に浮上剥離する二次的な全体剥離工程と,然る後に該既設ドア枠Bを引出撤去する既設ドア枠撤去工程とを備えた2段階剥離の鋼製既設ドア枠除去方法によって行うようにしてある。
【0012】
一次的な上記部分剥離工程は,これを,その挟持装置10の一対の挟持爪13によって鋼製の既設ドア枠Bの枠部1,2及び3を抱持状に挟持し該挟持爪13を加圧駆動により無段階閉鎖することによってその上記浮上剥離を行う工程とし,二次的な上記全体剥離工程は,後述する拡開装置20の一対の拡開爪22を該既設ドア枠Bの枠部1,2及び3における浮上剥離部分に挿入し油圧アクチュエータの作動により先端具26を拡開爪22間に進行させ該一対の拡開爪22を無段階拡開することによってその上記浮上剥離を行う工程とし,上記既設ドア枠撤去工程は,該浮上剥離して枠部1,2及び3が屈曲変形した既設ドア枠Bをコンクリート躯体Aから室外側に引出撤去する工程としてあり,このとき本例の上記既設ドア枠除去方法は,上記部分剥離工程に先行してシート押え装置31を用いて既設ドア枠Bの室内側に防塵シート30を配置する防塵シート配置工程を備えたものとしてあり,また上記部分剥離工程によって長手方向部分的に浮上剥離する枠部1,2及び3を上記既設ドア枠Bにおける上枠1及び側枠2とする一方,既設ドア枠Bの下枠3に対して該部分剥離工程に代えて,コンクリート躯体Bの床面に部分的に斫り部4を形成する部分斫り工程を施し,該斫り部4に上記拡開装置20の一対の拡開爪22を挿入して上記下枠3に全体剥離工程を直接に施すことによってこれを行うものとしてある。
【0013】
本例にあって既設ドア枠Bの2段階の浮上剥離,即ち屈曲変形による2段階の分離に用いる装置のうち,上記挟持装置10は,図5に示すようにハンドル11を上方に配置したガイドレール12と,該ガイドレール12の先端にその長手方向内側に向けて設置しガイドレール12長手方向後方に向けて楔状をなす固定一方の挟持爪13aと,該ガイドレール12にスライド自在にして該ガイドレール12長手方向前方に向けて上記固定一方の挟持爪13aと先端を対接可能とした逆配置の同一形状とした可動他方の挟持爪13bと,ガイドレール12後端に設置したガイド脚部を貫通して上記可動他方の挟持爪13bに固定したピストン14と,該ピストン14を進退する図示省略のアクチュエータとを備えたものとし,このとき本例のアクチュエータはその加圧力及び加圧速度を枠部の浮上剥離に適したものとし易い油圧のもの,特に現場の搬入操作に好適な油圧シリンダーを油圧ポンプの操作によって作動するものとしてあり,該油圧の加圧駆動によってピストン14を進行させガイドレール12の案内によりピストン14先端の可動側の挟持爪13bを固定側の挟持爪13aに向けて進行させ,該一対の挟持爪13を無段階閉鎖することによって上記一次的な既設ドア枠B,本例にあっては上枠1及び左右側枠2の部分剥離を,例えば長手方向複数箇所で行うようにしてある。
【0014】
即ち該挟持装置10による部分剥離は,例えば上記固定一方の楔状挟持爪13aの先端を枠部1,2の室内側端部に引掛け状に係合し,可動他方の楔状挟持爪13bの先端を該枠部1,2の室外側端部乃至これを埋め込んだコンクリート躯体Aの壁に同様に引掛け状に係合して,該枠部1,2を抱持状に挟持しその係合挟持状態で加圧駆動,即ち油圧ポンプを駆動し,枠部1,2の室内外端部とその内側(正面から見ると枠部の背面)に位置して該枠部1,2の取付ベースをなすコンクリート躯体Bとの間に楔状挟持爪13を食い込ませるように挟持することによって,コンクリートより弱い鋼製の既設ドア枠Bの枠部1,2を強制的に屈曲変形して該部分の浮上剥離を行うようにするものとしてある。
【0015】
挟持装置10による部分剥離は,本例において上枠1及び左右の側枠2の各長手方向単一又は複数箇所に行うものとし,該部分剥離位置は,好ましくはこれを該枠部1,2における上記コンクリート躯体Aのアンカー溶接位置においてこれを行って,挟持爪13の挟持によって上記枠部1,2の変形とともに該アンカー乃至これと枠部1,2を連結した溶接棒を強制破断することにより,アンカー溶接部分毎にその各部分的な浮上剥離を行うものとしてある。
【0016】
このように挟持装置10によって部分剥離した枠部1,2は,その長手方向の数箇所部分が変形し,コンクリート躯体Bから部分的に浮上剥離した状態に面内方向に隆起し,該部分には幾分かの空隙が生じるから,該空隙を利用して上記拡開装置20による拡開爪22の先端をこれに挿入し,次工程の上記二次的な全体剥離工程に以降すればよい。
【0017】
上記2段階の分離に用いる装置のうち,上記拡開装置20は,図6に示すように,油圧アクチュエータ,本例にあっては油圧シリンダーを内蔵し又はこれに接続可能の握りハンドル21と,該握りハンドル21の先端に回動自在に軸支固定し軸支側後方にその対向面を相互にV字状とするように同一角度に傾斜して摺動傾斜面23を具備した一対の拡開爪22と,上記摺動傾斜面23の位置で該一対の拡開爪22をその対向面側に向けて付勢する閉鎖用スプリング24と,油圧アクチュエータ,即ち油圧シリンダーの作動によって上記握りハンドル21から進退自在のピストン25と,該ピストン25の先端に設置しその進行によって上記一対の拡開爪22の摺動傾斜面23間をその先端側に向けて進行する摺動傾斜面23と同一角度に傾斜した左右対称の傾斜側面を具備した矢尻状の先端具26とを備え,上記油圧アクチュエータ,即ち油圧シリンダーの作動によって上記先端具26を上記一対の拡開爪22間に進行させ該一対の拡開爪22を無段階拡開することによってコンクリート躯体Aから鋼製の既設ドア枠Bにおける枠部1,2を長手方向全体的に浮上剥離自在としたものとしてある。
【0018】
即ち拡開装置20は,本例において一対の拡開爪22の拡開を,上記挟持装置10と同様にその加圧力及び加圧速度を,後述の下枠を含めた枠部1,2及び3の一気の大幅な浮上剥離に適したものとし易い油圧のもの,特に現場の搬入操作に好適な油圧シリンダーを油圧ポンプの操作によって作動するものとし,本例にあって該油圧シリンダーによる拡開爪22の拡開力は,これを例えば数トン程度といった強力なものとして,既設ドア枠Bの枠部1,2及び3の上記浮上剥離を単一箇所の拡開又は複数箇所の拡開,好ましくは単一箇所の拡開によって,可及的容易且つ一気になし得るようにしてある。
【0019】
一対の拡開爪22は,本例にあって上記握りハンドル21に突設した左右に一対にしてそれぞれ上下の突片間に端部を挿入軸支して回動自在の軸支固定を行ってあり,このとき拡開爪22は,平面を平行四辺形乃至その類似形状とし,その鋭角側先端部の一方を軸支固定し,他方を上記部分的浮上剥離した枠部1,2及び3に対する鋭角の挿入部とすることによって,一対の拡開爪22,特にその軸支側後方に拡開するようにその対向する側面を同一角度に傾斜して摺動傾斜面23とし,該対向する摺動傾斜面23によって一対の拡開爪22の軸支側後方に平面V字状の空隙を形成する一方,上記矢尻状の先端具26を該V字状の空隙と同一傾斜角度のV字側面を有する三角ブロックの矢尻状に形成することによって,上記空隙に該先端具26を面接して嵌合し得るようにしてあり,一対の拡開爪22の閉鎖状態で該先端具26を該空隙に面接嵌合するようにピストン25の先端に設置することによって,ピストン25が進行して該先端具26が先端側に繰出し進行するのに伴って,該先端具26のブロック厚さに応じて左右後端頂点位置の垂直線部分が摺動押圧部として上記摺動傾斜面23を摺動してこれを押圧し,該押圧によって一対の拡開爪22をそれぞれ軸支部分を中心にして同時に強制回動してこれを強制的に拡開し,上記挟持装置10によって部分的に浮上剥離した浮上剥離部分に挿入した鋭角の挿入部を拡開することによって該部分の浮上剥離を更に拡大し,枠部1,2及び3を大きく屈曲変形してその長手方向全体的な浮上剥離を自在としてある。このとき先端具26の繰出し進行は,油圧アクチュエータの作動,本例にあっては油圧シリンダーの作動によるものとしたピストン25の先端に設置した三角ブロック状としたことによって,鋭角の挿入部の拡開が無段階的になされ,枠部1,2及び3に対して拡開力がブロック厚さの面乃至線接触状態で均一に作用することにより該枠部1,2及び3が好ましい屈曲変形の浮上剥離を行うことができ,例えば枠部1,2及び3が拡開途中で破断し,既設ドア枠Bの除去が煩雑化するようなトラブルもない。
【0020】
本例にあって一対の拡開爪22(鋭角の挿入部)の最大拡開幅は,例えば10cm程度とし,該一対の拡開爪22の拡開によってコンクリート躯体Bから既設ドア枠Bを完全に浮上剥離するのに充分な幅を確保したものとしてあり,このように10cm程度の拡開幅を備えた拡開装置20を用いることによって枠部1,2及び3毎に1回の拡開作業,多くても2回程度の拡開作業によって上記完全な浮上剥離を行うことができるようにしてある。
【0021】
拡開装置20による上記全体剥離工程は,これを,拡開装置20の一対の拡開爪22を既設ドア枠Bの枠部1,2及び3における浮上剥離部分に挿入し油圧アクチュエータの作動により先端具26を拡開爪22間に進行させ該一対の拡開爪22を無段階拡開することによってその上記浮上剥離を行うものとしてあり,該一対の拡開爪の挿入は上記部分剥離工程によって部分的に浮上剥離したと同一部分又はその近傍部分に一対の拡開爪22を挿入してこれを行えばよい。複数箇所で無段階拡開を行うときは,2回目乃至それ以降の拡開は,アンカー溶接部分又はこれらの間等,部分的に浮上剥離した枠部1,2を効率よく全体的に浮上剥離するに適した箇所において行うようにすることができ,部分剥離工程をアンカー溶接部分に施せば,該部分が既に破断していることも多いから,拡開装置20による全体剥離工程は,挟持装置10による部分的な浮上剥離部分と常に同一箇所とすべき必要はない。
【0022】
本例にあって拡開装置20の全体剥離工程に先立つ上記挟持装置10による部分剥離工程は既設ドア枠Bの上枠1及び左右側枠2に対して行うものとし,下枠3については,上記のように該部分剥離工程に代えて,部分斫り工程を採用することによって,上記コンクリート躯体Bの床面に部分的な斫り部4を形成するものとし,該部分的な斫り部4に拡開装置20の一対の拡開爪22を挿入し,該斫り部4を上記浮上剥離部分に相当するものとして,該下枠3に全体剥離工程を直接に施すようにすればよく,このとき該部分斫り工程は,ドリル,ハンマー等のコンクリート躯体Aを斫ることができる斫り工具を用いてコンクリート躯体Aの床面に長手方向単一又は複数箇所の斫り部4を部分的に形成するものとしてあり,その余は挟持装置による部分剥離工程乃至その後の全体剥離工程と同様にすればよい。
【0023】
既設ドア枠Bの除去は,このように挟持装置10による上枠1及び左右側枠2の部分剥離工程,下枠3の部分斫り工程後に,拡開装置20による全体剥離工程を施すようにすればよく,該全体剥離工程によって既設ドア枠Bは,アンカー溶接部分が破断するとともにコンクリート躯体Aから大きく浮上剥離する結果,上下枠1,3及び左右側枠2がそれぞれその対向方向に屈曲変形して室外側に引出撤去可能となるから,既設ドア枠撤去工程として該変形屈曲した既設ドア枠Bをコンクリート躯体A,即ち既設ドア枠Bの設置開口から室外側に引出撤去すればよく,これによって本例における既設ドア枠Bの除去を完了することができる。
【0024】
このとき既設ドア枠Bの除去は,その各工程でコンクリート躯体Aの破損が生じて,廊下等の室内部分に塵埃が発生飛散することによって室内を汚損する可能性があるので,本例にあっては季節ドア枠Bの上記工程,特に部分剥離工程に先行して,上記防塵シート30によって塵埃による室内の汚損を防止する防塵シート配置工程を施すものとしてあり,従ってこのとき既設ドア枠Bの除去方法は,一般に防塵シート配置工程,部分剥離工程,部分斫り工程,全体剥離工程,既設ドア枠撤去工程を,これらの順に備える(部分剥離工程と部分斫り工程の順番は入替え可能である)ものとしてあり,防塵シート30の除去は,例えば新設ドア枠の設置に使用することある溶接の火花の飛散を防止するように該新設ドア枠乃至新設ドアの設置後に防塵シート除去工程としてこれを行うものとしてある。
【0025】
防塵シート配置工程は,シート押え装置31を用いて防塵シート30を配置するが,該シート押え装置31は,これを高さ調整自在の中央ポール32と該中央ポール32上端の水平支持枠36とを具備した正面T字状に構成したものとしてあり,該シート押え装置31を用いた防塵シート配置工程は,これを,上記水平支持枠36に防塵シート30を支持して該水平支持枠36を室内の天井に突き当てることによって該防塵シート30を上記既設ドア枠B設置開口の室内側に吊り配置することによって行うものとしてあり,上記防塵シート除去工程は,逆に水平支持枠36の天井突き当てを外し,防塵シート30の吊り配置を外すように行うものとし,そのシート押え装置31はこれを再利用するものとしてある。
【0026】
本例のシート押え装置31は,例えば木材を用いた中央ポール32と水平支持枠36とによって正面がT字状をなすように構成してあり,中央ポール32は上下に複数区分,例えば2区分したポール材33を高さ調整自在に連結して2〜3m程度の高さとし得るようにすることによって天井高さに合せてこれに突き当て自在に構成し,水平支持枠36は,例えば1〜1.5m程度の長さに上位のポール材33の先端にこれと直交するように着脱自在乃至回動自在に固定することによって設置したものとしてあり,このとき上記ポール材33の高さ調整自在の連結は,ポール材33の側面を部分的に重合するように重合対接し,天井高さに合せた後に,これらを固定するようにしてあり,本例にあって該固定は,重合対接したポール材33を被嵌するように,例えば重合対接したポール材33の合計幅より大きな厚肉矩形筒状をなすバンド34と該バンド34に設置したナットに螺装した,例えば蝶ネジによるボルト35を回転することによってボルト35先端がポール材33を押圧して,バンド34とポール材33間の空隙を吸収することによって,バンド34がポール材33を抱持挟着してこれを行うものとしてあり,このとき該バンド34の抱持挟着は,例えば安定したポール材33の連結を可能とするように上下に複数箇所,例えば2箇所配置するものとしてある。
【0027】
本例にあっては中央ポール32を大方の見当を付けた長さとするようにボルト35を仮締めしてポール材33を仮止め状態とし,上端の水平支持枠36に防塵シート,本例にあっては防炎加工を施した緻密メッシュ状織布による防塵シート30を被せるように支持し,仮締めしたボルト35を幾分緩めて中央ポール32を延長するように高さ調整して水平支持枠36を天井に突き当てるようにボルト35を本締めし,該防塵シート30を水平支持枠36と天井との間に挟持するようにしてその吊り配置を行って,既設ドア枠Bの除去に伴うその室内側の防塵を行うものとしてある。
【0028】
このとき防塵シート30は,その面積を既設ドア枠Bの設置開口の面積より上下左右を拡大した該開口より大きなものとして吊り配置の状態で該開口室内側の周縁(天井,壁面と床の周縁。但し一般に壁面の片側には玄関サイドボードが置かれているから,該サイドボード等が周縁をなすこともある)に端部を対接したときに折返しが生じるように余裕を持ったものとしてあり,また本例にあって上記シート押え装置31が,その中央ポール32と交差するようにこれと一体又は別体にして壁面間の幅より長い支持棒37を備え,該支持棒37を上記吊り配置した防塵シート30の側面,即ち壁面側に形成した折返し間に回動係止するように架設し,上記水平支持枠36近傍の上方位置において防塵シート30の吊り配置を補助し,その吊り配置を既設ドア枠Bの設置開口室内側を可及的に蜜に封止してその防塵を可及的充分になし得るようにしてある。
【0029】
図中27は拡開装置20の拡開爪22を軸支した軸,28はスプリング24によって閉鎖して作業者の手を挟む危険を解消するように一方の拡開爪22に軸支して他方の拡開爪22との間に間隔を形成する一方,作業終了後には拡開爪22の閉鎖を妨げないように収容可能に設置した回動プレートである。
【0030】
図示した例は以上のとおりとしたが,既設ドア枠,その枠部,挟持装置,その一対の挟持爪,拡開装置,その一対の拡開爪,部分剥離工程,全体剥離工程,その拡開装置,既設ドア枠撤去工程,必要に応じて用いる部分斫り工程,防塵シート配置工程,シート押え装置,防塵シート等の各具体的形状,構造,材質,方法,手順,これらの関係,これらに対する付加等は上記発明の要旨に反しない限り様々な形態とすることができる。
【0031】
【発明の効果】
本発明は以上のとおりに構成したから,請求項1に記載の発明は,挟持装置を使用して,一対の挟持爪で既設ドア枠の枠部を挟持し無段階閉鎖することによって該枠部を,例えばアンカー溶接部分等の単一乃至複数箇所で長手方向部分的に浮上剥離し,更に該挟持装置の部分的な浮上剥離後の上記可及的一気の全体的な浮上剥離を行うに適した拡開爪の無段階拡開を好適に行う可及的コンパクトにして操作性のよい拡開装置を使用して,該拡開装置の拡開爪を上記浮上剥離した同一又はその近傍の部分に挿入して同じく単一乃至複数箇所で無段階拡開することによって該枠部を長手方向全体に浮上剥離することにより,挟持装置による一次的な部分浮上剥離の工程と拡開装置による二次的な全体浮上剥離の工程とを併用して既設ドア枠を可及的一気に屈曲変形して分離することによって,コンクリート躯体から既設ドア枠を短時間で簡易且つ確実に浮上剥離し,然る後に該既設ドア枠の引出撤去することにより,居住状態のドア枠改装を可及的容易且つ短時間に効率良く行うとともに工事に対する居住者の苦情を解消し得るようにした2段階剥離の鋼製既設ドア枠除去方法を提供することができる。
【0032】
請求項2に記載の発明は,上記に加えて,上記2段階剥離を既設ドア枠の上枠と左右の縦枠の枠部とし,下枠の枠部については拡開装置の拡開爪を挿入可能な程度にコンクリート躯体の床面に部分的な斫りを施し,該斫り部分に拡開爪を挿入拡開することによって既設ドア枠の上記浮上剥離を行うようにして,下枠埋め込み設置のケースの既設ドア枠の除去を更に容易になし得るようにすることができる。
【0033】
請求項3に記載の発明は,玄関スペースの一部,例えば土間部分を作業に使用するもその余の廊下等の室内部分に塵埃が及ぶのを遮断するように,上記部分剥離工程に先行して防塵シート配置工程を備えるとともに該防塵シート配置工程をシート押え装置を用いて可及的簡易且つ確実に室内部分を遮断し得るようにして,上記挟持装置による部分的な浮上剥離及び/又は拡開装置による全体的な浮上剥離に伴う塵埃の飛散を防止し,室内の床,壁等を汚損する可能性を解消するとともに居住者の居住状態での既設ドア枠の除去を可能とすることができる。
【0034】
請求項4に記載の発明は,上記挟持装置の部分的な浮上剥離後の上記可及的一気の全体的な浮上剥離を行うに適した拡開爪の無段階拡開を好適に行うとともに可及的コンパクトにして操作性のよい拡開装置とすることによって,既設ドア枠の除去方法に好適に用い得て,簡易且つ確実に既設ドア枠を浮上分離可能とする拡開装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】挟持装置による枠部浮上剥離の方法を示す断面図である。
【図2】拡開装置による枠部浮上剥離の方法を示す断面図である。
【図3】拡開装置による下枠浮上剥離の方法を示す断面図である。
【図4】浮上剥離した既設ドア枠の正面図である。
【図5】挟持装置の正面図である。
【図6】拡開装置の正面図である。
【図7】防塵シートの吊り支持状態を示す正面図である。
【符号の説明】
A コンクリート躯体
B 既設ドア枠
1 上枠
2 側枠
3 下枠
4 斫り部
10 挟持装置
13 挟持爪
20 拡開装置
22 拡開爪
30 防塵シート
31 シート押え装置
Claims (4)
- 鋼製の既設ドア枠を挟持装置によって長手方向部分的にコンクリート躯体から浮上剥離する部分剥離工程と,拡開装置によって長手方向全体的にコンクリート躯体から浮上剥離する全体剥離工程と,該浮上剥離して枠部が屈曲変形した既設ドア枠をコンクリート躯体から室外側に引出撤去する既設ドア枠撤去工程とを備える既設ドア枠除去方法であって,上記部分剥離工程を,その上記挟持装置の一対の挟持爪によって鋼製の既設ドア枠の枠部を抱持状に挟持し該挟持爪を加圧駆動により無段階閉鎖することによってその上記浮上剥離を行い,上記全体剥離工程の拡開装置を,油圧アクチュエータを内蔵し又は油圧アクチュエータに接続可能の握りハンドルと,該握りハンドルの先端に回動自在に軸支固定し軸支側後方にその対向面を相互にV字状とするように同一角度に傾斜して摺動傾斜面を具備した一対の拡開爪と,上記摺動傾斜面の位置で該一対の拡開爪をその対向面側に向けて付勢する閉鎖用スプリングと,油圧アクチュエータの作動によって上記握りハンドルから進退自在のピストンと,該ピストンの先端に設置しその進行によって上記一対の拡開爪の摺動傾斜面間をその先端側に向けて進行する摺動傾斜面と同一角度に傾斜した左右対称の傾斜側面を具備した矢尻状の先端具とを具備した拡開装置とし,上記全体剥離工程を,拡開装置の一対の拡開爪を既設ドア枠の枠部における浮上剥離部分に挿入し油圧アクチュエータの作動により先端具を拡開爪間に進行させ該一対の拡開爪を無段階拡開することによってその上記浮上剥離を行うことを特徴とする2段階剥離の鋼製既設ドア枠除去方法。
- 上記部分剥離工程によって長手方向部分的に浮上剥離する枠部を上記既設ドア枠における上枠及び側枠とする一方,既設ドア枠の下枠に対して該部分剥離工程に代えて,コンクリート躯体の床面に部分的に斫り部を形成する部分斫り工程を施し,該斫り部に上記拡開装置の一対の拡開爪を挿入して上記下枠に全体剥離工程を直接に施すことを特徴とする請求項1に記載の2段階剥離の既設ドア枠除去方法。
- 上記部分剥離工程に先行してシート押え装置を用いて既設ドア枠の室内側に防塵シートを配置する防塵シート配置工程を追加的に備え,上記シート押え装置を高さ調整自在の中央ポールと該中央ポール上端の水平支持枠とを具備した正面T字状に構成し,該シート押え装置を用いた防塵シート配置工程を,上記水平支持枠に防塵シートを支持して該水平支持枠を天井に突き当てることによって該防塵シートを上記既設ドア枠設置開口の室内側に吊り配置することを特徴とする請求項1又は2に記載の2段階剥離の鋼製既設ドア枠除去方法。
- 油圧アクチュエータを内蔵し又は油圧アクチュエータに接続可能の握りハンドルと,該握りハンドルの先端に回動自在に軸支固定し軸支側後方にその対向面を相互にV字状とするように同一角度に傾斜して摺動傾斜面を具備した一対の拡開爪と,上記摺動傾斜面の位置で該一対の拡開爪をその対向面側に向けて付勢する閉鎖用スプリングと,油圧アクチュエータの作動によって上記握りハンドルから進退自在のピストンと,該ピストンの先端に設置しその進行によって上記一対の拡開爪の摺動傾斜面間をその先端側に向けて進行する摺動傾斜面と同一角度に傾斜した左右対称の傾斜側面を具備した矢尻状の先端具とを備え,上記油圧アクチュエータの作動によって上記先端具を上記一対の拡開爪間に進行させ該一対の拡開爪を無段階拡開することによってコンクリート躯体から鋼製の既設ドア枠における枠部を長手方向全体的に浮上剥離自在としたことを特徴とする2段階剥離の鋼製既設ドア枠除去方法用の拡開装置。
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- 2002-06-26 JP JP2002186315A patent/JP3780228B2/ja not_active Expired - Lifetime
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