JP3780901B2 - 電力変換システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数台の電力変換器により負荷に電力を供給する電力変換システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、電動機駆動装置などのような電力変換システムは、インバータのような電力変換器とこれを制御する制御装置により構成される。ここで、大容量の電動機駆動装置を実現するには、電力変換器を大容量化する必要があり、その方法の一つとして、複数の電力変換器を並列運転させて各変換器の出力電力の和を交流電動機に供給する方法がある。
【0003】
変換器の並列運転には、各変換器をリアクトルまたは相間リアクトルを介して電動機に接続する形態と、3相2巻線電動機を用いて3相巻線一組に対して1つの変換器を接続する形態とがある。前者の場合、各変換器は電気的に結合しており、後者の場合は磁気的に結合している。このような結合が存在するため、各変換器を構成しているスイッチング素子のスイッチング特性(例えばターンオフ特性)のばらつきにより電圧差が生じると、この結合を介して変換器間に不要な循環電流が流れる。この循環電流は‘インバータ間横流’もしくは‘横流’とも呼ばれており、以下では、‘横流’と記載する。
【0004】
インバータの並列運転システムにおいて、このような横流を効果的に抑制する制御方法として、特許第2515903号公報に記載された方法と、電気学会半導体電力変換研究会資料SPC−00−45(2000年6月)の第47頁から53頁にインバータ並列運転システムの制御手法に関する解析と題して記載された方法とが挙げられる。これらは、電力変換器の出力電流を制御する電流補償器において、出力電流の加算値、即ち電動機に流れる電流に対する制御ゲインと各変換器の不平衡電流、即ち横流に対する制御ゲインとを異ならせて制御する方法である。これにより、電動機に流れる電流に対する制御応答と横流に対する制御応答とをそれぞれ区別して設定できる。その結果、横流を適切な制御ゲインで抑制でき、かつリアクトルを小形化できる効果が得られる。また上記の他、並列した変換器の制御方法として、特開昭63−316670号公報,特開昭61−218373号公報,特開平3−128626号公報にそれぞれ制御方法が記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
まず、特許第2515903号公報に記載された方法に対する課題を述べる。本公報には、大きく分けて、1)出力電流の加算値、即ち電動機に流れる電流に対する制御ゲインと各変換器間の横流に対する制御ゲインとを全く独立に設定できる制御構成と、2)電動機に流れる電流に対する制御ゲインと横流に対する制御ゲインが制約のある異なる値に設定できる制御構成とが提示されている。
【0006】
前者は、制御構成が複雑であるため、制御をディジタル化した場合、即ちマイコンやディジタルプロセッサで実装した場合に、演算処理に時間がかかる。この結果、むだ時間遅れが大きくなり、安定余裕が減少するため、制御ゲインを上げられず、制御系の指令応答特性や外乱抑制特性が悪くなるという問題が生じる。
【0007】
後者は、制御構成が簡単であるが、提示されている構成では電動機電流制御に誤差が生じる。これは、インバータ並列運転システムの制御系を解析し、電動機電流制御系と横流制御系に分けることによって示すことができる。具体的には、横流制御系から電動機電流制御系へ干渉入力が発生することになり、これが外乱となって、電動機電流制御に誤差を生じさせる。この誤差は、例えばエレベータ用の電動機ではエレベータのかご速度の誤差やかごの振動を生み出す可能性があり、エレベータの乗り心地に影響するため問題となる。
【0008】
次に、電気学会半導体電力変換研究会資料SPC−00−45(2000年6月)の第47頁から53頁にインバータ並列運転システムの制御手法に関する解析と題して記載された方法に対する課題を述べる。ここに提示されている制御構成は、電動機に流れる電流に対する制御ゲインと横流に対する制御ゲインを完全に独立させることができ、構成も比較的簡素になっている。しかし、それぞれのインバータを制御する制御装置が相互に干渉し合う可能性があり、制御動作が不安定化する可能性がある。
【0009】
この他、特開昭63−316670号公報において開示された制御構成では、各インバータの制御において、それぞれの電流検出値を相互に加算した信号を用いているために、各インバータの制御が相互干渉し合う可能性があり、問題となる。また、特開昭61−218373号公報において開示された制御構成では、一括の制御装置には対応できるが、変換器それぞれに個別に制御装置を備える場合には対応できないため、問題となる。ここで、実際のケースでは、変換器へのゲートパルス信号はパルスの劣化を防ぐため、できるだけ短距離で伝送する必要があり、個別の制御装置による実装が望ましい。さらに、特開平3−128626号公報において開示された制御構成では、それぞれの変換器に対する制御構成が、全て平均電圧(各変換器の出力電圧を加算した量から演算)を用いた同一の構成のため、各変換器の制御が相互干渉し合う可能性があり、問題となる。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の課題は、比較的簡単な制御構成によって、横流を抑制しながらも、複数の電力変換器を安定に制御できる電力変換システムを提供することにある。
【0011】
本発明に係る電力変換システムにおいては、第1および第2の電力変換装置が、負荷に対し、それぞれ第1および第2の電流を出力する。第1の電力変換器は、第1の電流が所定の値に近づくように、かつ第1および第2の電力変換器間に生じる横流がゼロに近づくように制御される。第2の電力変換器は、第2の電流が所定の値に近づくように、第1の電力変換器とは独立に制御される。このように、第1の電力変換器の制御によって横流が制御され、かつ第2の電力変換器が独立に制御されるので、横流を抑制しながらも横流制御に伴う第1および第2の電力変換器間の干渉を防止できる。したがって、第1および第2の電力変換器を共に安定に制御できる。
【0012】
本発明に係る他の電力変換システムにおいては、第1の電力変換器は、第1の電流の値と、第1の電流の値と前記第2の電流の値の加算値とに基づいて制御され、第2の電力変換器は、第2の電流の値に基づいて、第1の電力変換器とは独立に制御される。このように、第1の電力変換器が第1および第2の電流の値の加算値によって制御されるので横流を制御できる。さらに、第2の電力変換器が独立に制御されるので、横流制御に伴う第1および第2の電力変換器間の干渉を防止できる。例えば、第2の電力変換器は、第1の電流の変動に影響されること無く、制御される。したがって、第1および第2の電力変換器を共に安定に制御できる。
【0013】
本発明に係るさらに他の電力変換システムにおいては、第1の電力変換器は、第1の電流の値と、第1の電流の値と第2の電流の値の加算値とに基づいて制御され、第2の電力変換器は、第1および第2の電流の値の内、第2の電流の値のみに基づいて制御される。第2の電力変換器が第2の電流の値のみに基づいて制御されることにより、横流制御に伴う第1および第2の電力変換器間の干渉を防止できる。
【0014】
本発明に係るさらに他の電力変換システムにおいては、第1および第2の電力変換器は、それぞれ第1および第2の制御装置を備える。第1の制御装置は、第2の制御装置から第1の制御装置へ伝送される第2の電流の値に応じた信号に基づいて第1の電力変換器を制御し、第2の制御装置は、第1の電力変換器とは独立に第2の電力変換器を制御する。このように、第1の電力変換器が第2の電流の値に応じた信号に基づいて制御されるので、横流が制御され、かつ第2の電力変換器が独立に制御されるので、横流制御に伴う第1および第2の電力変換器間の干渉を防止できる。
【0015】
電力変換器としては、インバータ,コンバータなどが有る。また、負荷としては、各種電動機や、各種電気装置などが有る。
【0016】
なお、本発明に係る電力変換システムの他の特徴は、以下の記載から明らかになるであろう。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。
【0018】
図1は、本発明を適用した第1の実施例である交流電動機の駆動装置の構成図を表している。電動機駆動装置は、インバータ1A(第1の電力変換器)から電力線2A,相間リアクトル4を介して交流電動機3に電力を供給する系と、インバータ1B(第2の電力変換器)から電力線2B,相間リアクトル4を介して交流電動機3に電力を供給する系とによるインバータのセット並列接続で構成されている。以下では、インバータ1A,電力線2Aおよびインバータ1Aを制御する制御装置6Aよりなる系をA系,インバータ1B,電力線2Bおよびインバータ1Bを制御する制御装置6Bよりなる系をB系と呼ぶことにする。
【0019】
A系インバータ1A,B系インバータ1Bは、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)またはGTO(Gate Turn Off thyristor)のような半導体スイッチング素子を用いて構成されており、それぞれA系の制御装置6A,B系の制御装置6Bからの制御指令に基づいて、3相の交流電圧・電流を出力する。また、A系制御装置6A,B系制御装置6Bは、それぞれのインバータに対する個別の制御装置となっており、これらはマイコン,DSP(Digital Signal Processor ),ゲートアレイ,システムLSI等によって実現される。交流電動機3には、誘導電動機,永久磁石同期電動機,3相2巻線誘導電動機が用いられる。
【0020】
次に、各制御装置の処理の流れを説明する。本実施例における制御装置の特徴として、次の3点が挙げられる。
【0021】
1)B系制御装置6Bは、A系制御装置6Aに対して、制御的に独立している。言い換えると、B系制御装置6BはA系制御装置6Aの動作による干渉を受けない制御構成となっている。すなわち、B系インバータは、A系インバータ動作からの干渉を受けずに、A系インバータとは独立に制御される。
【0022】
2)A系制御装置6Aでは、A系インバータ1Aの電流検出値iA (第1の電流)とB系インバータ1Bの電流検出値iB(第2の電流)の加算値(iA+iB)に対する制御と、iA に対する制御を実施し、B系制御装置6Bでは、iB に対する制御を実施する。
【0023】
3)B系制御装置6BからA系制御装置6AへB系インバータ1Bの電流検出値iB をディジタル信号として伝送し、横流制御に用いる。
【0024】
まず処理の簡単なB系制御装置6Bの処理の流れを説明する。B系制御装置6Bは、B系インバータ電流の検出値iB を用いて、iB に対する電流補償により、B系インバータ1Bに対する制御指令を演算する。電流センサ5B,A/D変換器(アナログ/ディジタル変換器)7Bを介して、B系インバータ1Bの電流検出値iB を取り込む。iB と電流指令値ii *との偏差を減算器61Bで演算し、この偏差を電流補償器62Bで零に近づくように補償する。すなわち、B系制御装置6Bは、iB に基づいて、iB が所定の値であるii *に近づくように、B系インバータ1Bを制御する。本実施例においては、B系インバータ1Bは、iA とiB の内iB のみに基づいて制御されるので、iA の変動に影響されずにA系インバータ1Aとは独立に制御される。ここで、電流補償器62Bには比例補償器または比例積分補償器を用いる。電流補償器62Bの出力は、B系インバータ1Bに対する電圧指令VB *となり、PWM(Pulse Width Modulation)制御器9Bによって、PWMパルス指令に変換され、B系インバータ1Bへの制御指令となる。また、iB はディジタル信号伝送用の送信器10Bにより送信データに変換され、ディジタル信号用通信線11を介してA系制御装置6Aに送信される。
【0025】
次に、A系制御装置6Aの処理の流れを説明する。A系制御装置6Aでは、A系インバータ電流の検出値iA とB系インバータ電流の検出値iB とを用いて、iA に対する電流補償と、(iA+iB)に対する電流補償を実施し、A系インバータ1Aに対する制御指令を演算する。まず、A系制御装置6Aでは、電流センサ5A,A/D変換器7Aを介して、A系インバータ1Aの電流検出値iA を取り込み、さらに、バッファ機能付き受信器8Aを介して、B系インバータ1Bの電流検出値iB を取り込む。iA に対する電流補償については、減算器61Aにて、iA と電流指令値ii *の偏差を演算し、この偏差を電流補償器62Aで零に近づくように補償する。すなわち、A系制御装置6Aは、iA に基づいて、iA が所定の値であるii *に近づくように、A系インバータ1Aを制御する。ここで、電流補償器62Aには比例補償器または比例積分補償器を用いる。(iA+iB)に対する電流補償については、加算器63Aにて(iA+iB)を演算し、また係数乗算器64Aにてii *を2倍して、両者の偏差2×ii *−(iA+iB)を減算器65Aで演算し、この偏差が零に近づくように電流補償器66Aで補償する。すなわち、A系制御装置6Aは、(iA+iB)に基づいて、AおよびB系インバータ間に発生する横流が零に近づくように、A系インバータ1Aを制御する。ここで、電流補償器66Aには比例補償器または比例積分補償器を用いる。加算器67Aでは、電流補償器62Aと電流補償器66Aの出力を加算し、この結果がA系インバータ1Aに対する電圧指令VA *となる。PWM制御器9Aは、VA *をPWMパルス指令に変換して、A系インバータ1Aへの制御指令として出力する。ここで、バッファ機能付き受信器8Aは、受信したiB データをメモリ等のバッファにしばらくの時間(例えば1サンプル周期以上)蓄積できる。このためiB を受信するタイミングとA系制御装置6AがiB を取り込むタイミングがずれていても、バッファに一時保存することで、データの受け渡しが可能となる。図1の制御装置それぞれの動作シーケンスについては、図6を基に後述する。
【0026】
図1の交流電動機の駆動装置に対する制御原理を次に説明する。A系インバータ1Aに対する電流検出値をiA 、B系インバータ1Bに対する電流検出値をiB 、電流指令値をii *、A系インバータ1Aに対する電圧指令をVA *、B系インバータ1Bに対する電圧指令をVB *とする。また、各電流補償器には比例補償器を用いることにし、比例ゲインをそれぞれ、電流補償器62A,62BはK1p、電流補償器66AはK2pと定める。この時、A系制御装置6A,B系制御装置6Bの制御を表す式は、それぞれ次のようになる。
【0027】
【数1】
Figure 0003780901
【0028】
【数2】
Figure 0003780901
【0029】
(1)式と(2)式の和、および(1)式と(2)式の差を求めると、それぞれ次のようになる。
【0030】
【数3】
Figure 0003780901
【0031】
【数4】
Figure 0003780901
【0032】
(3)式および(4)式において、各変数を次のように置き換える。
【0033】
(3)式において、
【0034】
【数5】
Figure 0003780901
【0035】
(4)式において、
【0036】
【数6】
Figure 0003780901
【0037】
ここで、im はA系とB系のインバータ電流の和であり、電動機に流れる電流に対応し、ic はA系とB系のインバータ電流の差であり、A系とB系のインバータ間の横流に対応する。また、Vm *はA系とB系のインバータ電圧指令の和であり、これを電動機に対する電圧指令と考え、Vc *はA系とB系のインバータ電圧指令の差であり、これを横流が流れる回路における電圧指令と考える。この時、(3)式、(4)式はそれぞれ次のように表すことができる。
【0038】
【数7】
Figure 0003780901
【0039】
【数8】
Figure 0003780901
【0040】
(5)式を電動機に電流を流す回路(これを電動機電流回路と呼ぶ)に対する電流制御を表す式と考え、(6)式を横流を流す回路(これを横流回路と呼ぶ)に対する電流制御を表す式と考えると、それぞれの制御系のイメージは図4のように表すことができる。ここで、電動機電流回路および横流回路は元のインバータ並列運転システムの回路を等価変換したものに対応し、両者をまとめてインバータ並列運転システムの等価回路と呼ぶことにする。
【0041】
インバータ並列運転システムは、図1のように、2台のインバータとその制御装置、および電動機が相互作用する系のため、そのままではその動作を捉えにくいが、電動機電流回路と横流回路による等価回路として表すと、動作の把握が容易になる。本実施例の効果も、等価回路上で表すとより明確になるため、以下、等価回路上でその意味を説明する。
【0042】
図4が表す意味を説明するために、まず、図3が表す意味を説明する。図3は、インバータ並列運転システムに対する理想的な制御の状態を表しており、電動機電流回路と横流回路がそれぞれ独立に制御できていることが分かる。即ち、電動機電流は電動機電流補償器で制御され、横流回路は横流補償器で制御されており、両者の間に干渉はない。この結果、電動機電流,横流共に制御指令と一致するように制御できる。尚、従来技術に挙げた、電気学会半導体電力変換研究会資料SPC−00−45(2000年6月)の第47頁から53頁にインバータ並列運転システムの制御手法に関する解析と題して記載された方法は、図3に対応する制御を実現できる。しかし、課題に記したように、A系,B系の制御装置間で相互に制御的に干渉する可能性があることや、双方向の通信が必要でありノイズが混入する可能性が高くなること、またノイズが混入した場合、相互干渉により影響が大きくなること等の問題がある。
【0043】
図4は、図1に示した交流電動機の駆動装置の制御上の働きを等価回路上で表した図となっている。図3と異なる点は、電動電流回路の制御系から横流回路の制御系への干渉入力の存在にある。この干渉入力は、(6)式の(Kmp−Kcp)(im *−im)項に対応している。この干渉入力のため、横流回路に対する制御には制御誤差が発生する。しかし、電動機電流回路に対する制御には影響がない。従って、発生する横流が許容範囲内であれば、電動機電流は制御指令通りに制御できるため、電動機の駆動装置としての目的は達せられることになる。
【0044】
また、制御誤差で発生する横流の大きさは、(Kmp−Kcp)(im *−im)で決まるため、KmpとKcpとを近づけることで横流を小さくできる。尚、KmpとKcpはそれぞれ電動機電流回路のインダクタンス、横流回路のインダクタンス値に比例するため、両者の値を近づけることは、横流回路のインダクタンス値を増やす、即ち、インバータと電動機間に挿入するリアクトルのインダクタンス値を増やすことになる。従って、実際はKmpとKcpは横流が許容値に入るような範囲で、適当な差にとどめておくのが望ましい。
【0045】
さらに比較のため、特許第2515903号公報に記載された従来技術の問題点を等価回路上で説明する。図7は、特許第2515903号公報に記載された従来技術の制御構成を表している。図1と同じ要素については図1と同じ番号で表している。図1と異なる点は、A系インバータ1Aに対する制御が(iA+iB)に対する電流制御のみで行われている点にある。具体的には、A系インバータ1Aに対する制御は、iA とiB を加算器63Aで加算して、これを係数乗算器13Aで1/2倍して、電流指令値ii *との偏差を減算器65Aで演算し、電流補償器12Aで偏差を零に補償するように電圧指令VA *を出力して実施される。尚、B系インバータ1Bに対する制御は図1と同様となる。電流補償器12Aの比例ゲインをK3pと定めると、A系とB系インバータに対する制御を表す式は、それぞれ次のようになる。
【0046】
【数9】
Figure 0003780901
【0047】
【数10】
Figure 0003780901
【0048】
(7)式と(8)式の和、および(7)式と(8)式の差を求めると、それぞれ次のようになる。
【0049】
【数11】
Figure 0003780901
【0050】
【数12】
Figure 0003780901
【0051】
(9)式および(10)式において、各変数を次のように置き換える。
【0052】
(9)式において、
【0053】
【数13】
Figure 0003780901
【0054】
(10)式において、
【0055】
【数14】
Figure 0003780901
【0056】
この時、(9)式,(10)式はそれぞれ次のように表すことができる。
【0057】
【数15】
Figure 0003780901
【0058】
【数16】
Figure 0003780901
【0059】
(11)式,(12)式を等価回路上で表すと、図5のようになる。この図が特許第2515903号公報に記載された従来技術の制御の働きを表した図となる。
【0060】
図5では、横流回路に対する制御系から電動機電流に対する制御系に入り込む干渉入力が存在する。干渉入力は外乱となるため、電動機電流に対する制御は、制御指令に対して、誤差が発生することになる。この誤差は、例えばエレベータ用の電動機ではエレベータのかご速度の誤差やかごの振動を生み出す可能性があり、乗り心地に影響するため、問題となる。また、干渉入力はKc・icであるため、制御ゲインKc を零にしない限りこれを零にすることはできない。このように、特許第2515903号公報に記載された従来技術の制御の働きを等価回路上で解析すると、横流回路に対する制御系から電動機電流に対する制御系に干渉入力が生じており、これは電動機電流制御に対する外乱として作用するため、電動機の動作に振動等の悪影響が生じることが問題となる。
【0061】
これに対して、図1に示した実施例の電動機駆動装置は、等価回路上では、図4のような制御となり、電動機電流回路の制御系には干渉入力がなく、制御指令通りに制御できるという長所がある。図4では、横流回路の制御系に干渉入力が存在するが、電動機の動作には影響がなく、またその大きさは制御ゲインを調整することで小さくすることができる。
【0062】
以上、図1に示した実施例による電動機駆動装置を制御上の特徴という面から説明したが、次に、実装上の特徴を図1を基に説明する。
【0063】
まず第一に、B系制御装置6BがA系制御装置6Aとは制御的に独立している点が挙げられる。これは、図1にあるように、B系制御装置6BはB系インバータ1Bの電流検出値iB のみを使って、制御するため、A系インバータ1Aの電流が何らかの影響で大きく変動したとしても、B系制御装置6Bはその変動には影響されずに安定に動作を続けることができる。これに対して、従来技術に挙げた、電気学会半導体電力変換研究会資料SPC−00−45(2000年6月)の第47頁から53頁にインバータ並列運転システムの制御手法に関する解析と題して記載された方法では、A系制御装置もB系制御装置も共にA系インバータ,B系インバータの電流検出値を用いているため、例えば、A系インバータの電流が何らかの影響で大きく変動すると、それによって、B系インバータの電流も変動し、この結果がさらにA系インバータの電流の変動を生み出すという相互干渉状態になり、制御が不安定化する可能性が考えられる。図1に示した電動機駆動装置ではこの可能性が低い。
【0064】
第二に、制御装置間の通信が、B系インバータ1Bの電流検出値iB のみの伝送で良い点が挙げられる。例えば、従来技術に挙げた、電気学会半導体電力変換研究会資料SPC−00−45(2000年6月)の第47頁から53頁にインバータ並列運転システムの制御手法に関する解析と題して記載された方法では、相互にiA とiB を伝送し合う必要があり、この場合、通信路が2本あるため、信号にノイズが入る可能性が高まるという問題がある。これに対して、図1の装置では、iB のみの伝送のため、ノイズの入る可能性を小さくすることができる。また、上記の従来技術では、A系制御装置とB系制御装置が共に、送信器と受信器を備える必要があるが、図1の装置では、B系制御装置に送信器、A系制御装置に受信器を備えるだけでよく、通信部の構成が簡素化でき、部品点数も減るため信頼性を上げることができる。
【0065】
第三に、A系制御装置6AとB系制御装置6B間でのiB の伝送をディジタル信号用通信線11を介したディジタル信号による伝送としていることが挙げられる。これにより、伝送中にノイズが混入する影響を抑制でき、動作信頼性を向上できる。また、A系制御装置6Aにおける受信器をバッファ機能付きの受信器としているために、iB が伝送されるタイミングと、A系制御装置6AがiBを取り込むタイミングがずれていても、バッファに一時保存して受け渡すことが可能になる。図6に、A系制御装置6AとB系制御装置6Bの動作シーケンスを示す。まずA系制御装置6Aの動作シーケンスから説明する。まず、A系インバータ電流検出値iA のディジタルデータをA/D変換器7Aから入力し(S1A)、次にB系インバータ電流検出値iB のディジタルデータをバッファ機能付き受信器8Aから入力する(S2A)。そして、取り込んだiA とiB を用いて、電流制御演算を実施し、電圧指令VA *を求める(S3A)。最後に、電圧指令VA *により、PWM制御器9AでPWM制御を行い、PWMパルス指令をインバータ1Aに出力する(S4A)。以上が、1制御周期内でのA系制御装置6Aの動作シーケンスとなる。従って、1制御周期毎にiB を更新するため、制御周期が短ければ、iA とiB とはほぼ同期したデータとして扱うことができる。尚、B系制御装置6Bの動作シーケンスは、A系制御装置6Aの動作シーケンスに対して、iB の受信の代わりに、送信器10BによるiB の送信処理が入る。図6に示した動作シーケンスを適用することにより、A系制御装置6AとB系制御装置6B間でのiB の伝送を含めて、それぞれの制御処理がスムーズに実行できる。
【0066】
最後に、以上で説明した図1に示した実施例の電動機駆動装置の特徴をまとめる。
1)等価回路上で制御の働きを解析すると、電動機電流回路に対する制御系には、外乱となる干渉入力が入り込まず、制御指令に一致するように制御できる。
2)B系制御装置6Bは、A系制御装置6Aに対して、制御的に独立しており、相互干渉が起こらず、システムとして安定な制御動作が可能となる。
3)B系制御装置6BからA系制御装置6AへはiB のみを伝送すればよいため、伝送時にノイズが混入する可能性が小さくなり、また伝送のために必要な装置も簡素化できる。
4)B系制御装置6BからA系制御装置6AへのiB の伝送は、ディジタル信号として、伝送されるため、伝送時に混入するノイズの影響を低減できる。
【0067】
図2は、本発明を適用した交流電動機の駆動装置の第2の実施例を表している。図2において、図1と同じ構成要素は同じ番号で表している。図2が図1と異なる点は、B系インバータ1Bの電流検出信号を電流センサ5Bから直接、A系制御装置6AのA/D変換器7Aに入力させている点にある。この場合、電流センサ5BからA系制御装置6AのA/D変換器7Aへはアナログ信号として伝送することになり、ノイズが混入する可能性が高くなるが、反面、伝送は瞬時に行われるため、伝送によるむだ時間遅れは非常に小さくなり、制御安定性が向上するため、制御ゲインを高くできる。この結果、電動機に対する制御応答性を向上できる。図2の構成は、例えば高速な制御応答性が必要な場合に適している考えられる。尚、この場合、電流センサ5BからA系制御装置6AのA/D変換器7Aへのアナログ信号線のノイズ対策を強化する必要がある。
【0068】
上記実施例によれば、制御原理上は、電動機に流れる電流に対する制御ゲインと横流に対する制御ゲインを異ならせることができる上で、電動機の電流に対する制御系には横流に対する制御系からの干渉入力が入り込まないような制御を実現できる。従って、電動機の電流を指令通りに制御できる。さらに、制御実装上は、B系制御装置がA系制御装置に対して制御的に独立しているため、言い換えると、B系制御装置はA系制御装置の動作による干渉を受けないため、仮にA系制御装置のためにA系インバータの電流が変動したとしても、B系制御装置はその影響を受けないため、相互干渉は発生せず、定常的にはA系,B系インバータ共に安定に動作できる。また、A系制御装置とB系制御装置間の通信路は1つで良いため、ノイズの混入を受けにくいようにできる。
【0069】
実施例では、誘導電動機と相間リアクトルの組合せによる構成を説明したが、その代わりに3相2巻線電動機を適用した場合でも、制御装置の構成は同じにして同様の効果を得ることができる。
【0070】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、比較的簡単な制御構成によって、横流を抑制しながらも、負荷に電力を供給する複数の電力変換器を安定に制御できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による第1の実施例における電動機駆動装置の構成図。
【図2】本発明による第2の実施例における電動機駆動装置の構成図。
【図3】インバータのセット並列運転システムに対する等価回路上での制御系イメージ。
【図4】第1の実施例の制御構成による等価回路上での制御系イメージ。
【図5】従来の制御構成による等価回路上での制御系イメージ。
【図6】第1の実施例における電動機駆動装置に対する動作シーケンス。
【図7】従来の電動機駆動装置の構成図。
【符号の説明】
1A…A系インバータ、1B…B系インバータ、2A…A系電力線、2B…B系電力線、3…交流電動機、4…相間リアクトル、5A…A系電流センサ、5B…B系電流センサ、6A…A系制御装置、6B…B系制御装置、7A,7B…A/D変換器、8A…バッファ機能付き受信器、9A,9B…PWM制御器、10B…送信器、11…ディジタル信号用通信線、12A,62A,62B,66A…電流補償器、13A…係数乗算器、61A,61B,65A…減算器、63A,67A…加算器、64A…係数乗算器。

Claims (1)

  1. 負荷に第1の電流を出力する第1の電力変換器と、前記第1の電力変換器を制御する第1の制御装置と、
    前記負荷に第2の電流を出力する第2の電力変換器と、前記第2の電力変換器を制御する第2の制御装置と、
    を備え、
    前記第1の制御装置は、前記第1の電流の検出値と電流指令値との偏差が零に近づくように補償する第1の電流補償器と、前記第1の電流の検出値と前記第2の電流の検出値との加算値と前記電流指令値の2倍との偏差を零に近づくように補償する第2の電流補償器とを有し、
    前記第2の制御装置は、前記第2の電流の検出値と前記電流指令値との偏差が零に近づくように補償する電流補償器を有し、
    前記第2の電力変換器は、前記第1および第2の電流の検出値の内、前記第2の電流の値のみに基づいて制御される電力変換システム。
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