JP3781442B2 - 溶媒を使用しないでポリカーボネート‐オリゴマーを製造する方法 - Google Patents

溶媒を使用しないでポリカーボネート‐オリゴマーを製造する方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明はシリコーン‐ポリカーボネートブロックコポリマーの製造方法に係る。特に本発明は、触媒の存在下、有機溶媒を存在させないでポリカーボネート樹脂を二価フェノールと溶融反応させることによって末端ヒドロキシ基を有するポリカーボネートオリゴマーを生成する方法に係る。その後このオリゴマーを、クロロ‐オルガノシロキシ末端基を有するポリオルガノシロキサンと結合させると前記ブロックコポリマーが生成する。ここで使用する方法は、最終合成段階で直接ホスゲンガスを使用することなくブロックコポリマーを生成するのに有効である。
【0002】
【従来の技術】
シロキサン‐ポリカーボネート樹脂は、まずシロキサンオリゴマーのクロロ末端基を過剰のビスフェノール‐A(BPA)と反応させた後得られたフェノール性ヒドロキシ末端基をもつシロキサンを通常の界面ホスゲン化反応で追加のBPAおよびホスゲンと反応させて所望のブロックコポリマーを得るという二段階プロセスで作成することができる。この種の有用なポリカーボネート‐ポリジメチルシロキサンブロックコポリマーの1つは平均ブロック長約10のシロキサン単位を43重量%含有している。この物質はポリカーボネート樹脂とのブレンド中で耐衝撃性改良剤として、またポリカーボネート樹脂シートおよびアクリル樹脂シートの多層ラミネートの中間層として使うフィルムとして利用される。通常これらのラミネートは二層以上のポリカーボネートシートおよび場合により設けられるアクリルシートの内層で構成されており、さらに接着剤として、およびシート間を隔てるスペーサーとして機能する樹脂中間層をもっている。
【0003】
本出願の譲受人に譲渡されているボーン(Vaughn)の米国特許第3,189,662号(引用により本明細書に含まれているものとする)に記載されている特定のプロセスでは、二価フェノールで末端が停止したポリジオルガノシロキサンと二価フェノールの混合物を有機溶媒と酸受容体の存在下でホスゲン化することによってシリコーン‐ポリカーボネートブロックコポリマーが作成されている。この方法によると、引張り特性が改良された射出成形可能な熱可塑性樹脂やエラストマーのような各種用途に有用なシリコーン‐ポリカーボネートブロックコポリマーが生成するとはいうものの、この方法では最終合成段階で直接ホスゲンガスを使用する必要がある。
【0004】
シリコーン‐ポリ(アリールカーボネート)ブロックコポリマーは、本出願の譲受人に譲渡されているエバンス(Evans) の米国特許第4,920,183号に記載されているように、ブロックコポリマーの最終合成段階で直接ホスゲンガスを使用することなく作成することができる。すなわち、化学結合したアリールカーボネート単位を平均して約2〜約1,000個有するヒドロキシアリールで末端が停止したポリ(アリールカーボネート)オリゴマーを、有機溶媒と酸受容体の存在下で、化学結合したジオルガノシロキシ単位を平均して約2〜約1,000個有する塩素で末端が停止したポリジオルガノシロキサンと結合させる。この混合物からシリコーン‐ポリ(アリールカーボネート)ブロックコポリマーを回収するには、たとえば、反応混合物をメタノールのような沈殿用溶媒に添加する。
【0005】
上記エバンス(Evans) らの米国特許第4,920,183号では、ヒドロキシアリールオリゴマーの製造も論じられている。エバンス(Evans) らによると、これらのオリゴマーは、本出願の譲受人に譲渡されている米国特許第4,849,502号(引用により本明細書に含まれているものとする)に示されているように、フェノールまたはビスフェノール‐A(BPA)の存在下で環状アリールカーボネートを重合させることによって作成することができる。
【0006】
エバンス(Evans) らは、ヒドロキシアリールオリゴマーを作成するのに使用することができる別の方法も論じているが、それによると、適切な溶媒中で高分子量のポリカーボネート樹脂をフェノール類または多価フェノールおよび重合開始剤、たとえばアルカリ金属フェノキシド、または本出願の譲受人に譲渡されているブルネル(Brunelle)らの米国特許第4,644,053号(引用により本明細書中に含まれるものとする)に記載されているようなポリカーボネート生成触媒と制御しながら反応させる。
【0007】
塩素で末端が停止したポリジオルガノシロキサンは、米国特許第2,381,366号および第2,629,726号に記載されているように、ジオルガノジハロシラン、たとえばジメチルジクロロシランの制御された加水分解のような公知の方法によって作成することができる。塩素で末端が停止したポリジオルガノシロキサンを作成するのに使用することができる別の方法は、米国特許第2,421,653号に記載されているように、塩化第二鉄のような金属触媒の存在下でジオルガノクロロシランと環状ポリジオルガノシロキサン、たとえばオクタメチルシクロテトラシロキサンとの混合物を平衡化させるものである。
【0008】
特願昭60−114576号には、高分子量のポリカーボネートをヒドロキシ化合物(たとえば、1,6‐ヘキサンジオールやジエチレングリコール)と反応させて末端にヒドロキシ基を有する低分子量ポリカーボネートを生成させる方法が開示されている。有用と思われるヒドロキシ化合物を例示した膨大なリストの中には2,2‐ビス(4‐ヒドロキシフェニル)プロパンが開示されているが、好ましい化合物とはされていない。この文献には、ビスフェノール‐Aとポリカーボネートとの比がまったく開示されていない。また、この文献には、ヒドロキシアリールで末端が停止したポリカーボネートオリゴマーをポリジオルガノシロキサンと反応させてポリカーボネート‐ポリシロキサンブロックコポリマーを形成することも開示されていない。最近の産業界では、溶媒の量を少なくし、またホスゲンガスを直接使用することなく、シリコーン‐ポリアリールカーボネートブロックコポリマーを製造する簡単な方法が求められている。
【0009】
【発明の概要】
本発明の基礎をなす発見は、塩基性触媒の存在下で溶媒を存在させずにポリカーボネート樹脂をビスフェノール‐Aと溶融反応させることによって、ヒドロキシで末端が停止したポリカーボネートオリゴマーを生成させることができるということである。BPAとポリカーボネートのモル比は約1:50から約5:10までの範囲が好ましく、約2:10から約4:10までがさらに好ましい。このヒドロキシで末端が停止したポリカーボネートオリゴマーはその後、有機溶媒と酸受容体の存在下で塩素で末端が停止したポリジオルガノシロキサンと反応させて、ホスゲンを直接使用することなく、シリコーンポリカーボネートコポリマーを得ることができる。特定の具体例では、ポリカーボネートオリゴマーをシリコーン組成物と組合せるとシリコーン‐ポリカーボネートブロックコポリマーが生成する。
【0010】
【発明の詳細な開示】
本発明は、直接ホスゲンを使用することなく有用なポリカーボネートオリゴマーを無溶剤で製造することに関する。これらのオリゴマーは、化学結合したカーボネート単位を平均して約2〜約50個、好ましくは2〜約15個、さらに好ましくは約3〜約6個もちヒドロキシアリールで末端が停止した比較的短いポリカーボネートオリゴマーであり得る。ポリカーボネートオリゴマーを生成させるには、溶媒を存在させずに、またホスゲンガスを使用しないで、ポリカーボネート樹脂を、ビスフェノール‐A(BPA)、すなわち2,2‐ビス(4‐ヒドロキシフェニル)プロパンのような二価フェノールと溶融反応させる。BPAとポリカーボネートとのモル比は約1:50から約5:10までの範囲が好ましく、約2:10から約4:10までがさらに好ましい。本明細書を通じてBPAとポリカーボネートのモル比を表現する際に使用するポリカーボネートという用語は、ポリマー連鎖中のポリカーボネート繰返し単位を意味するものと理解されたい。このポリカーボネートオリゴマーを、化学結合したオルガノシロキシ単位を平均して約2〜約100個、好ましくは約5〜約60個、さらに好ましくは約7〜約12個もち塩素で末端が停止したポリオルガノシロキサンと有機溶媒中で反応させると、シリコーン‐ポリカーボネートブロックコポリマーが形成される。
【0011】
本発明においては、高分子量のポリカーボネート樹脂を出発物質として使用し、これをBPAと溶融反応させてヒドロキシ末端基を有するポリカーボネートオリゴマーを生成させる。こうして生成したポリカーボネートオリゴマーは、ホスゲンガスを直接使用しないで、前記ブロックコポリマーの最終合成段階に使用することができる。「ポリカーボネート樹脂」および「二価フェノール」という用語は周知のものであり、米国特許第4,960,863号、第4,973,665号および第4,999,408号(いずれも引用により本明細書に含まれているものとする)に詳細に定義されている。
【0012】
ポリカーボネート(PC)樹脂としては、25℃のメチレンクロライド中で固有粘度が約0.4〜約1.6dl/gの範囲であり分子量が約20,000〜約100,000の範囲であるたくさんの入手可能な材料のいずれでもよい。後述の実施例では固有粘度が0.6dl/gのPC樹脂と1.5dl/gのPC樹脂のブレンドを使用し、これらのPCオリゴマーの平均鎖長はカーボネート単位が約4個である。
【0013】
シリコーン‐ポリカーボネートコポリマーを形成するには、前記ヒドロキシアリールオリゴマーと塩素で末端が停止したポリジオルガノシロキサンとを、有機溶媒(たとえばメチレンクロライド)と酸受容体(たとえばトリエチルアミン)とを存在させて高温で反応させる。反応物質の添加順序に特に制限はない。使用することができる反応温度は約15〜約40℃の範囲である。シリコーン‐ポリカーボネートブロックコポリマーの回収は、反応混合物にメタノールのような沈殿用溶剤を加えることによって、または蒸気沈殿によって実施することができる。
【0014】
本発明の方法によって製造されたシリコーン‐ポリカーボネートブロックコポリマーは、ポリカーボネートの積層用接着剤樹脂として、またポリカーボネートと他の樹脂とのブレンド中で耐衝撃性改良剤として使用することができる。
ポリオルガノシロキサン材料の鎖長は約2〜約100個、好ましくは約5〜約60個、さらに好ましくは約7〜約12個であり得る。下記実施例の場合ポリオルガノシロキサンは、D単位ともいわれるジメチルシロキサン単位が約8〜約10個の平均鎖長を有するポリジメチルシロキサン(PDMS)である。
【0015】
【実施例の記載】
当業者がより容易に本発明を実施することができるように、以下に限定ではなく単に例示として実施例を挙げる。
方法1 PCオリゴマー調製(小規模)
ラインシュタール・ヘンシェル社(Rheinstahl Henschel AG)製のFM型10リットルミキサー中で、ポリカーボネート樹脂(25℃メチレンクロライド中の固有粘度が0.57dl/g)300gとテトラフェニルホウ酸テトラブチルアンモニウム0.7g(0.00125モル)とのブレンドを30秒間よく混合した。次にこのブレンドに、同じグレードのポリカーボネート樹脂を970g追加する(合計で1270g、5モル)と共にビスフェノール‐Aを342g(1.5モル)加えた。充分に混和した後混合物を、260℃で運転するワーナー・プライデラー社(Werner Pfleiderer Co.) 製のモデルZ SK−30二軸式エクストルーダー中に導入した。生成物のオリゴマーが液体流としてエクストルーダーから出て来たのでこれを水で急冷して回収した。このオリゴマーの特性をゲル透過クロマトグラフィー(GPC)で決定した。下記表参照。
方法2 PCオリゴマー調製(大規模)
方法1と同様にして、ポリカーボネート樹脂(固有粘度0.57dl/g)1.36kgと水酸化テトラメチルアンモニウム五水和物6.45gとのブレンドをよく混合した。この操作を繰返した後、この触媒を含有するブレンド2.73kgを、リボンブレンダー中で、同じグレードのポリカーボネート樹脂8kg、高分子量ポリカーボネート樹脂(固有粘度1.5dl/g)60.9kgおよびビスフェノール‐A19.2kgと混合した。次にこの混合物を方法1に記載したようにして277℃の温度のエクストルーダーで溶融加工した。エクストルーダーから液体流として出て来た生成物のオリゴマーは、標準的な二ロールフレーカー装置の冷却したステンレススチール製のロール(直径6インチの逆転ロール2個)に接触させて回収した。GPCでオリゴマーの特性を測定した。
Figure 0003781442
1)PC1樹脂とPC2樹脂のIVはそれぞれ0.57dl/gと1.5dl/gであった。
【0016】
2)PC1中の末端キャッピングが2.3モル%、PC2中の末端キャッピングが0.17モル%として計算したモル%。
3)MWは重量平均分子量。MNは数平均分子量。データはゲル透過クロマトグラフィー(GPC)で得られたもの。ゲル透過クロマトグラフィー分析は、2つのウルトラスティラゲル(ultrastyragel) 直線カラムと1つの500オングストロームウルトラスティラゲル(ultrastyragel) カラムを備えたウォターズ・アソシエーツ(Watters Associates)150C型装置で溶媒としてクロロホルムを用いて実施した。この装置はビスフェノール‐Aポリカーボネートの標準品を用いて補正した。表中で「GPC」とされている分子量データはGPC分析で直接得られたデータである。しかし、分子量を分析しようとする物質について表には「補正MN」とされている第二の数平均分子量値も挙げてある。このために、GPC分析で得られる最も低い4つのMNピークに対して、ビスフェノール‐Aおよび末端にヒドロキシ基をもつ最も小さい3つのポリカーボネートオリゴマーの分子量MN、すなわち228、482、736、996をあてた。
【0017】
4)GPCの4つの低いMWピークに対してMWを228、482、736、990(すなわち、BPA、「ダイマー」、「トリマー」、「テトラマー」)とした後のMWデータ。
5)実施例1〜14は方法1、実施例16は方法2である。
6)テトラフェニルホウ酸テトラブチルアンモニウムを触媒として使用。
【0018】
7)水酸化テトラメチルアンモニウム五水和物を触媒として使用。
8)オリゴマーは黄色であった。
9)実施例10では触媒をあらかじめPC1と混合し、実施例11では触媒をPC1とPC2のブレンドとあらかじめ混合した。
実施例1〜3ではBPA/PCのモル比が1:10から3:10まで変わっている。実施例12〜14は、触媒と樹脂の量は一定に保ったまま、1:10から4.8:10のさらに広い範囲のBPA/PCモル比を示している。BPAを加えるとオリゴマーの分子量が低下する。
【0019】
実施例4〜6は、触媒が異なると通常結果も異なることを示している。ホウ酸塩触媒は、実施例1〜3の低分子量低粘度(高末端キャッピング)PC1樹脂ではうまくいくが、実施例4の高分子量高粘度(低末端キャッピング)PC2ではそれほど有効でなかった。水酸化テトラメチルアンモニウム(アンモニウムをベースとする触媒)は結果においてホウ酸塩触媒と同じ変化を示さない。
【0020】
実施例5〜9はアンモニウムをベースとする触媒の有効範囲を示しているが、実施例9は表示した条件に対して最適に近い。分子量は触媒が約0.025モル%で最低になる。触媒の添加量をそれより増やすと黄変が生ずる。いろいろな公知の種類の塩基性触媒が、所望の結果を達成するのに有効な量、たとえば約0.005〜約0.1モル%で使用できる。ポリカーボネートオリゴマーの製造に使用する塩基性触媒は従来周知の塩基性触媒のいずれかである。これらの触媒としては有機と無機の塩基が両方とも包含される。有機および無機の塩基触媒の非限定的代表例をいくつか挙げると、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、ナトリウムメチラート、ホウ水素化ナトリウム、イソプロピルアミン、ナトリウムフェノキシド、水素化アルミニウムナトリウム、および水酸化テトラメチルアンモニウムや水酸化テトラエチルアンモニウムのような水酸化アルキルアンモニウムがある。また、ポリカーボネートオリゴマーの製造に使用する高温で塩基性触媒に変換されることが知られているテトラフェニルホウ酸テトラアルキルアンモニウムのような化合物も包含される。
【0021】
本発明ではポリカーボネートを原料として使用して、溶媒もホスゲンも使用しない押出し反応でポリカーボネートオリゴマーを生成する。これらのオリゴマーをシロキサンと組み合わせると所望のポリカーボネート‐シロキサンコポリマーが生成する。
現時点で本発明の好ましい態様と考えられる具体例について説明して来たが、当業者にはすぐ明らかなように、本発明から逸脱することなく各種変更や修正を行なうことが可能であり、特許請求の範囲においては本発明の思想と範囲内に入るそのような変更や修正をすべて包含することを意図しているものである。

Claims (4)

  1. テトラフェニルホウ酸テトラブチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウムおよび水酸化テトラメチルアンモニウムより成る群の中から選択された少なくとも1つの塩基性触媒の存在下にポリカーボネート樹脂とビスフェノールA(BPA)とを溶融反応させてヒドロキシアリールで末端が停止したポリカーボネートオリゴマーを生成させることからなるポリカーボネート−オリゴマーを製造する方法において、ホスゲンおよび溶媒を存在させないで、ビスフェノールAと、25℃のメチレンクロライド中で0.4〜1.6dl/gの範囲の固有粘度および20,000〜100,000の範囲の分子量を有するポリカーボネート樹脂とを、BPAとポリカーボネートのモル比を1:50から5:10までの範囲として溶融反応させ、これにより前記オリゴマーが化学結合したカーボネート単位を平均して2〜50個有する、ポリカーボネート‐オリゴマーの製造方法。
  2. ポリカーボネートオリゴマーが2〜15個のカーボネート単位を有する、請求項1記載の方法。
  3. BPAとポリカーボネートのモル比が2:10から4:10までである、請求項1記載の方法。
  4. 触媒がポリカーボネートに対して0.005〜0.1モル%の範囲で存在する、請求項1記載の方法。
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